JP4132143B2 - ガス移送配管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば化学プラントにおいて、粒径8μm以上の液滴粒子を含むガスを流速6m/秒以上で流すガスの移送配管に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油精製、石油化学工業等における多くのプラントにおいては、プロセス中にガス流に液滴を伴うことがあり、このガス流を移送するにあたり、移送先の工程の都合上ガス流に含まれる液滴を除去する必要がある場合がある。例えばLNGやエチレンプラントにおけるコンプレッサ−の入口では、ガスの性状として8μm以上の液滴を99.9%以上除去することが要求され、またある種の反応系においてはガス流に含まれる液滴を極力抑える必要がある。このため、従来ではこれらの工程の前の移送系において、互いに隣接する配管の間にノックアウトドラムやコンプレッササクションドラムなどと呼ばれている液滴分離機能を備えた特別の設備を介在させ、ガス流中の液滴を除去するようにしている。これらドラムは配管とは別個の機器であり、フランジ同士をボルト締めすることによって配管に対して着脱自在に設けられている。
【0003】
このような液滴分離器としては、液滴を重力沈降させて分離する重力型や、ガスを通過させる充填物に液滴を衝突させて分離する衝突型や、慣性力を利用しガスと液滴との比重の違いにより液滴を分離する慣性力型や、ガス流中の液滴に遠心力を与え、ガスと液滴との比重の違いにより分離する遠心力型等がある。
【0004】
例えば図13は衝突型の例であり、この例では分離容器11の上方側にメッシュ体12が設けられている。この液滴分離器では、液滴を含むガスは、分離容器11の側壁のほぼ中央部に設けられたガス供給口13aから分離容器11の頂部に設けられたガス排出口13bに向けて、分離容器11内を下方側から上方側に向けてメッシュ体12を介して流れていく。この際液滴はメッシュ体12の表面に衝突し、やがて膜状に合一されて重力作用により下方側へ落下し、こうしてガス流から分離され、分離容器11の底部に設けられた液排出口14から排出される。
【0005】
また図14は慣性力型の例であり、この例では分離容器16の内部にベ−ン16と呼ばれる例えば断面形状が波型の垂直な衝突板を、ガスの流路に対して平行に、かつ隣接する衝突板との間に隙間を開けて配列して構成されている。分離容器の流路の上流側と下流側には夫々三角柱状の流路部材18a,18bが設けられており、この流路部材の端部には夫々ガス供給口17aとガス排出口17bが設けられている。この液滴分離器では、液滴を含むガスは各衝突板の間を蛇行して流れるが、この際比重の大きい液に慣性力が働いて液滴はガスの流線から離れ、前記板面に衝突して液膜となりガス流から分離される。そしてガスはガス排出口17bから排出され、液はベ−ン16の下方側に設けられた液排出口19から排出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述のタイプの液滴分離器は、いずれもガス流速の適用範囲が配管内のガス流速よりも遅い場合が多く、液滴除去を確実に実施する場合にはガス流速を減速させる必要があり、このため配管よりもかなり大きな口径の分離容器を必要とし、LNGやエチレンプラントでは、配管の内径が例えば数十cm〜1m程度と大きいため、これに対応して液滴分離器を構成すると、液滴分離器がかなり大型化してしまう。
【0007】
このため液滴分離器自体のコストが増大すると共に、広い設置スペ−スも必要となり、また配管の引回しも複雑となるため、結果的にコストの増大を招くこととなる。さらにまた液滴分離器が大型化すると液滴分離器で分離された液滴を捕集する機器も大型化するため、保守点検や回収に多大の手間と時間を要するという問題もある。
【0008】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的はガス移送配管内で気液分離を行なうことにより、液滴分離器を不要とし、プラント全体の小型化及びコストの低減を図ることのできるガス移送配管を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液滴粒子を含むガス流の移送配管をガス流の移送という本質的な使用目的の他に、液滴分離器として機能させることに着目してなされたものである。このため本発明は、粒径8μm以上の液滴粒子を含むガスを流速6m/秒以上で流すガス移送配管において、
配管の軸方向に対して平行又は斜めになるように配設され、液滴粒子と気体との慣性力の差により前記ガスから液滴粒子を分離する板状の慣性衝突式分離部材を備えた液滴分離手段と、
前記慣性衝突式分離部材の前面及び/又は背面に設けられ、当該慣性衝突式分離部材の前面側のガス速度が大きい領域程、開口率が小さくなるように構成された流速調整部材と、
前記液滴分離手段の下流側に位置し、前記液滴分離手段により分離された液滴粒子の集合よりなる液を捕集する液捕集手段と、
前記液捕集手段で捕集した液を配管外に排出する液排出手段と、を備えたことを特徴とする。この場合、前記流量調整部材は多孔板であってもよい。また液滴分離手段が設けられている配管は、例えばこの配管に隣接する他の配管と溶接されていて一体化となっている。
【0010】
ここで慣性衝突式分離部材を、配管の軸方向に対して平行又は斜めになるようにすると、慣性衝突式分離部材を通過するガス速度が小さくなり、配管内のガス速度を確保しながら、慣性衝突式分離部材を通過するときには、この慣性衝突式分離部材のガス速度の適用範囲の流速にすることができる。
なお本発明は、配管の一部の管径を他の部位よりも大きくし、この管径の大きい領域に慣性衝突式分離部材を設けるようにしてもよい。
【0011】
本発明のように流速調整部材を設けると、慣性衝突式分離部材の軸方向におけるガス速度の均一化を図ることができる。さらに慣性衝突式分離部材の配管の軸方向の上流側に、液滴粒子を含むガスの通気をガイドするためのガイド部材を設けるようにしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について説明する。先ず本発明は、エチレンプラントやLNGプラント等で代表される化学プラント内のガス移送配管を対象にしている。そして、これらのプラントにおけるガス移送配管内のガス流速が通常6m/秒以上であり、また、これらのガス移送配管では粒径8μm以上の液滴粒子(以下液滴という。)の除去が要請されていることから、本発明では6m/秒以上のガス流から粒径8μm以上の液滴を分離する場合を対象としている。
【0013】
図1は例えば石油精製プラントにおいて、例えば粒径が8μm以上の液滴を含むガスを例えば6m/秒以上の流速でコンプレッサ−に送る例えば金属製の配管系2を示し、これら配管系2は例えば内径Dが1mの大口径の配管を接続してなる。図1にて200で示す配管は、本発明の実施の形態に係るガス移送配管に相当するものであり、隣接する配管201、202とは溶接されていて一体化している。
【0014】
この配管200について図2、3に基づいて詳述すると、図2は、図1において点線で示した配管200の一部分の断面図である。図中3は液滴分離手段であり、31は慣性衝突式分離部材をなす板状のメッシュ体である。このメッシュ体31は例えば線径0.120mmのワイヤを用いて形成された厚さtが100〜150mm、空間率が98%の直方体状をなしており、配管200の上下方向のほぼ中央の位置に、配管200内を上下に分割するように水平に設けられている。
【0015】
このメッシュ体31の上流側の端部には上方に延び、軸方向から見た形状が半円形状の板状の保持部材32aが設けられ、同じく下流側の端部には下方に延びる半円形板状の保持部材32bが設けられている。これら保持部材32a,32bは夫々配管200の上部内壁と下部内壁の内周面に溶接により固定されており、これら保持部材32a,32bにより囲まれた領域に、後述するガス流の通流路が形成される。
【0016】
またメッシュ体31の直ぐ背面側(下流側)には、多数の孔33aが穿設された多孔板33がメッシュ体31の上面のほぼ全面と対向するように設けられている。前記多孔板33は、メッシュ体31を通過するガス速度をガスの通気面全体に亘ってほぼ均一に調整するための流速調整部材(整流部材)をなすものであり、この調整は例えば多孔板33の開口率(多孔板33の面積に対する孔33aの面積の割合)をメッシュ体31の前面側(上流側)のガス速度が大きい領域程小さくすることにより行われる。
【0017】
具体的には、メッシュ体31の前面(上流側の面)に吸い込まれるガス速度は、配管の後方に向う程(保持部材32bに近づく程)大きくなるので、例えば多孔板33を軸方向にa1〜a5の区画に5つに分割し、配管の下流側に位置する領域程開口率が小さくなるように、即ちa5,a4,a3,a2,a1の順に徐々に開口率が小さくなるように構成されている。
【0018】
このようなメッシュ体31の下流側には、例えば図2及び図3に示すように、配管200の内周に沿って環状に形成された液捕集部材4が設けられている。この液捕集部材4は、例えば配管200の内周囲に溶接固定された環状の固定部41と、上流側に向かって配管の軸方向に延びる筒状部42とからなり、例えば筒状部42と管壁との間隔が10〜20mm、長さL1が200mm程度になるように構成されている。
【0019】
前記メッシュ体31の下流側端部の保持部材32bのすぐ上流側の配管200の下端部には、液を配管200の外に排出するための排出管51が接続され、また前記液捕集部材4の直ぐ上流側の配管200の下端部には、液捕集部材4により捕集された液を配管200の外に排出するための排出部材である排出管52が接続されており、これら排出管51、52の他端側は夫々バルブV53a,53bを介してトラップ54a、54bに接続されている。
【0020】
このような配管200では、液滴を含むガスの通流は保持部材32a,32bにより妨げられるため、液滴を含むガスは図2中点線Aで示すように、メッシュ体31の下方側から上方側に向けて、メッシュ体31及び多孔板33を通過しながら通流していくようになる。即ち液滴を含むガスの内ガス成分は、点線Bで示すようにメッシュ体31内を、ガスの通過方向が配管の軸方向に対して垂直になるように通過していき、通過した後ではまた軸方向に戻って通流していく。
【0021】
一方液滴はガスとの慣性力の差によりメッシュ体31を通過できずにその下方側表面に衝突して付着する。そしてメッシュ体31表面への液滴の衝突が多くなると液滴は次第に凝集し大きな液滴となり、やがて実線Cで示すように重力により下方側に落下し、保持部材32bの手前側の排出管51を介して配管200の外に排出され、トラップ54aに捕集される。こうして液滴を含むガスから液滴が分離される。
【0022】
またメッシュ体31を通過してしまった液滴は慣性力によりそのまま直進し、配管200の内壁面に衝突して次第に凝集して大きな液滴となり、実線C’で示すように内壁に沿って下流側へ向けて流れていく。そして図3に示すように液捕集部材4の筒状部42を伝わって下流側へ流れていき、固定部41に当たって下方側に流れ、排出管52を介して配管200の外へ排出されてトラップ54bに捕集される。このように液滴は液捕集部材4により下流側への通流が阻止されて捕集されるが、ガスは点線Bで示すように液捕集部材4の開口部分を通過してさらに下流側へ通流していき、これにより液滴を含むガスから液滴が分離される。
【0023】
既述のようにメッシュ体31を配管200の軸方向に水平に設けると、ガスは配管200の軸方向に対して垂直な向きでメッシュ体31を通過していく。従ってメッシュ体31の断面積(ガスの通過面積)を配管の断面積よりも大きくすることができるため、これを通過する際のガス速度を小さくすることができる。例えばメッシュ体31はガス速度が3m/秒以下の場合に適用できるため、上述のように配管内のガス速度が6m/秒程度である場合にはこの適用範囲を越えてしまうが、メッシュ体31を配管の軸方向に対して水平に設けて断面積を2倍とすると、ガス速度を約3m/秒程度にまで遅くすることができ、前記適用範囲内に収めることができる。
【0024】
また多孔板33により、メッシュ体31を通過する方向においてほぼ均一に調整される。即ちメッシュ体31を通過するガスの流量は、前記軸方向の上流側ではガスの通流方向の変化が急激であって、軸方向に対して垂直な方向に流れにくいため、上流側では少なく、下流側に向けて徐々に多くなっていく。ここでガス速度はガス流量に比例するため、このままではガス速度は配管における上流側では遅く、配管における下流側に向けて徐々に速くなってしまう。
【0025】
一方多孔板33の開口率は配管における上流側では大きく、下流側に向けて徐々に小さくなるように形成されているため、メッシュ体31体及び多孔板33を組み合わせた構造体についてみれば、上流側ではガスの通過抵抗が小さく(ガスが通過しやすく)、下流側に向けて徐々にガスの通過抵抗が大きくなっていく(ガスが通過しにくくなっていく)。このためメッシュ体31を通過するガス速度は通過面全体に亘ってほぼ均一に調整される。
【0026】
このようにするとメッシュ体31のいずれの通過領域においてもガスの通過速度をメッシュ体31の適用範囲に収めるように調整することができる。またメッシュ体31を配管の軸方向に沿って配置することにより、メッシュ体31の前面側に流速分布が生じるが、メッシュ体31の通過速度の均一化を図るようにすれば、メッシュ体31の通過速度の適用範囲が狭くても、確実に液滴とガスとを分離することができる。
【0027】
本実施の形態では、上述のようにガス移送配管内にメッシュ体31を軸方向に対して水平に設け、配管の断面積よりも通過面積の大きいメッシュ体31を用いることにより、メッシュ体31内のガスの通過速度を遅くしてメッシュ体31の許容範囲内に収め、そしてメッシュ体31の前面側におけるガス速度分布に対して、多孔板33によりガスの通過速度の均一化を図っているので、配管内のガス速度が例えば6m/秒程度と高速度であっても、メッシュ体31により液滴分離を確実に行うことができる。
【0028】
また前記多孔板33は、メッシュ体31の前面側(上流側)に設けてもよいが、上述の例の如くメッシュ体31の背面側(下流側)の近傍に設けることが好ましい。その理由について述べると、メッシュ体31の前面側に多孔板33を設ける場合には、多孔板33から少し下流側に離れた所で流速分布の均一性が高くなり、しかもその位置が流速によって左右されることを経験的に把握している。このため流速の経時変化などを見込んで、多孔板33をメッシュ体31からどのくらい離れた所に設置するかという点が難しいと考えられるが、これに対してメッシュ体31の背面の近傍に多孔板33を設ければ、前からくるガスを多孔板33が押えるという格好になって、その直前のメッシュ体31の領域の流速分布の均一性が高く、設計が容易であるという利点がある。多孔板33をメッシュ体31の背面側に設ける場合には、両者の離間距離は300mm以内であることが好ましい。
【0029】
またこのようにガス移送配管内において、つまり互に溶接されて一体化された配管内においてガスと液滴の分離を行なっているので、配管と配管との間に特別に用意した大口径の液滴分離器を取付ける必要がない。このため液滴分離用のノックアウトドラムやコンプレッサ−サクションドラム等を特別に用意する必要がなくなるため、これらの設置に必要なスペ−スや周辺機器類も不要となり、従来に比べてプラント全体を小形化することができると共に、建設コストも含めた設備全体のコストダウンを図ることができる。さらに配管の液滴分離手段の近傍に、例えばマンホ−ルを設置することにより、保守点検を容易に行うことができる。さらに本実施の形態では、後述の実施例で示すように、8μm以上の液滴を100%除去可能な速度範囲は液滴分離手段の面積を大きくする設計条件の変更に応じて任意に設定できる。
【0030】
以上において本実施の形態では、例えば図4に示すように、メッシュ体31の配管の軸方向の上流側に、配管200の上部内壁面からメッシュ体31の上流側の下端部に向けて下方側に湾曲しながら傾斜するガイド部材34を設けるようにしてもよい。このようにすると液滴を含むガス(A)はガイド部材34に沿って下方側に向けて流れていくので、ガス流の抵抗が小さくなる。これにより液滴を含むガスはスム−ズにメッシュ体31の下方側に回り込むようになり、メッシュ体31の軸方向におけるガス流量の変化量が小さくなる。従ってメッシュ体31の軸方向においてガス速度を均一にするための調整をより容易に行うことができる。
【0031】
また液滴分離手段3は、例えば図5に示すように、メッシュ体31の上流側の端部には下方に延びる保持部材35aを設け、同じく下流側の端部には上方に延びる保持部材35bを設けて、液滴を含むガスがメッシュ体31を上方側から下方側に向けて通過していくように構成してもよい。この例においても、多孔板33はメッシュ体31のすぐ下流側に設けられていて、開口率は下流側に向けて徐々に小さくなるように構成されている。
【0032】
このような液滴分離手段3では、液滴はメッシュ体31を通過できずにメッシュ体31の表面に付着するが、メッシュ体31への液滴の衝突が多くなると液滴は次第に凝集して大きくなり、やがて実線Cで示すように重力により下方側にメッシュ体31を介して落下する。そして液捕集部材4で捕集されて排出管52により配管200の外に排出され、これにより液滴を含むガスから液滴が分離される。従ってこのような液滴分離手段3では、メッシュ体31の下流側端部の保持部材35b近傍に排出管を設ける必要がないという利点が得られる。
【0033】
さらに液滴分離手段3は、例えば図6に示すように配管200内に傾斜するように設けるようにしてもよい。即ち軸方向の長さL2が4040mm、幅方向の長さL3が配管の内径Dの0.7倍、厚さtが100〜150mmの大きさのメッシュ体31を、下流側に向けて下方側に例えば傾斜角θ=8.5°で傾斜するように設けるようにしてもよい。ここで前記メッシュ体31の断面積(通過面積)は、配管内のガス速度及び配管の断面積に応じて適宜設定される。この例においても、多孔板33はメッシュ体31のすぐ下流側に設けられていて、開口率は配管における下流側に向けて徐々に小さくなるように構成されている。
【0034】
このような液滴分離手段3では、メッシュ体31を配管の軸方向に対して傾斜して設けているので、ガスはメッシュ体31の下方側から上方側に向けて軸方向に対して斜めの向きでメッシュ体31を通過していく。従って配管の断面積よりもメッシュ体31の断面積を大きくすることができる。またメッシュ体31が傾斜しているため、メッシュ体31の下方側に回り込む際のガスの向きの変化量が小さく、このためメッシュ体31の軸方向のガス流量の変化が小さいので、メッシュ体31の軸方向のガス速度を均一にするための調整が容易になる。
【0035】
ここで液滴分離手段3などが設置されている配管は、他の配管と管径が同じであることに限られるものではなく、管径が大きくてもよい。図7はこのような例を示すものであり、配管200の一部の管径を他の部位よりも大きくして拡径部30を形成し、この拡径部30内に既述の板状のメッシュ体31を配管200の軸方向に対して下流側が下がるように傾斜させて設けている。図8はメッシュ体31を上からみた平面図である。
【0036】
この実施の形態の各部の寸法の一例を挙げると、拡径部30の管径が1200mm、拡径部30以外の部位の管径が600mm、メッシュ体31の厚さtが100mm、メッシュ体31の配管200の軸方向における長さL0が7000mm、メッシュ体31の配管200の軸に対する傾きθが8.5度、多孔板33とメッシュ体31との、管径方向の離間距離Tが300mmである。
【0037】
このようにメッシュ体31が設置される配管部分を拡径部30として構成すれば、この部分よりも管径の小さい他の部分にメッシュ体31を設ける場合に比べて、メッシュ体31の長さを同じとすればメッシュ体31におけるガスの通流面積が大きくなるので、メッシュ体31の長さをそれ程大きくとらずに、十分なガス流速の適用範囲を確保することができる。図7に示す構成で得られるガス流速の適用範囲と同じ適用範囲を拡径部以外の個所で得ようとすると、メッシュ体31の配管200の軸方向の長さL0がおよそ20mにもなるため、図7に示す構成の方が施工が容易である。
【0038】
また本発明では図9に示すように板状のメッシュ体31を配管200の軸方向と平行に設けた場合にも、配管200に拡径部30を形成してこの中にメッシュ体31を配置するようにしてもよい。
【0039】
さらにまた液滴分離手段3は複数段設けるようにしてもよく、このようにするとガス速度が速い場合においても1つの分離手段を通過する度に速度が遅くなっていくので、先ず初めの液滴分離手段で粒径の大きい液滴を除去し、次の液滴分離手段、その次の液滴分離手段と進むにつれて徐々に粒径の小さい液滴を除去することができる。
【0040】
続いて本発明の他の実施の形態について図10に基づいて説明する。液滴分離手段6は、慣性衝突式分離部材をなすベ−ン61を備えている。このベ−ン61は、高さHが200mmの直方体状をなしており、配管200の上下方向のほぼ中央の位置に、配管200内を上下に分割するように水平に設けられている。
【0041】
前記ベ−ン61は、例えば厚さ方向に延びる多数の波型の衝突板62を軸方向に間隙を介して互いに平行に配列して構成されており、各衝突板62の側部は支持枠63で支持されている。このベ−ン61の上流側の端部には上方に延び、軸方向から見た形状が半円形状の板状の保持部材64aが設けられ、同じく下流側の端部には下方に延びる半円形板状の保持部材64bが設けられている。これら保持部材64a,64bは夫々配管200の上部内壁と下部内壁の内周面に溶接により固定されている。
【0042】
またベ−ン61の直ぐ背面側(下流側)には、多数の孔65aが穿設された調整部材をなす多孔板65が設けられており、この多孔板65は、軸方向に分割されたb1〜b5の区画において、例えば下流側に向かうにつれて、b5,b4,b3,b2,b1の順に徐々に開孔率が小さくなるように構成されている。この他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0043】
このような配管200では、液滴を含むガスは点線Aで示すように、ベ−ン61の下方側から上方側に向けて、ベ−ン61及び多孔板65を通過しながら通流していくようになる。即ちベ−ン61を通過する際のガスの向きは配管200の軸方向に対して垂直になる。そして液滴を含むガスは各衝突板62の間隙を蛇行しながら通流し、この際比重の軽いガス成分は前記間隙を通過して下流側へ通流していく。
【0044】
一方比重の大きい液滴には慣性力が働いて、液滴はガス流から離れて衝突板62に衝突し液膜となり、これにより前記ガス流から液滴が分離される。そしてこの液膜は重力により実線Cで示すように、下方側へ落下し、保持部材64bの手前側の排出管51を介して配管200の外に排出され、トラップに捕集される。またベ−ン61を通過してしまった液滴は慣性力により直進し、配管200の内壁面に衝突して次第に凝集して大きな液滴となり、実線Cで示すように内壁に沿って下流側へ向けて流れていく。そして液捕集部材4により捕集され、排出管52を介して配管200の外へ排出される。
【0045】
本実施の形態においても、ベ−ン61を軸方向に対して水平に設けているため、ベ−ン61の通過面積を大きくすることができ、配管内のガス速度が6m/秒と高速度であっても、ベ−ン61を用いて液滴を含むガスから液滴を分離することができる。また第1の実施の形態と同様に、多孔板65によりガス速度をベ−ン61の通過面全体に亘ってほぼ均一に調整することができ、これにより液滴分離を確実に行うことができる。
【0046】
以上において本発明のガス移送配管は、例えば炭素数が4以上8以下の炭化水素からなる液滴を含む、例えば炭素数が1以上8以下の炭化水素からなるガスを移送する配管に適用することが望ましい。また本発明の液滴分離手段は、多孔板33及び65はメッシュ体31やベ−ン61の前面側(上流側)に設けるようにしてもよいし、メッシュ体31やベ−ン61等の慣性衝突式分離部材の厚さt(高さH)を変えることにより、慣性衝突式分離部材の通過抵抗を調整してここを通過するガスの通過速度の均一化を図るようにしてもよい。
【0047】
さらに本発明の液滴分離手段は、耐蝕性や耐熱性を有し、かつ軽量な材質で構成することが望ましいが、これらの性質を有する材質であれば用途に応じて例えばスチ−ルや硬質樹脂等の各種の素材を用いることができる。さらにまた本発明の液滴分離手段は、用途に応じて複数の液滴分離手段を組み合わせて用いるようにしてもよいし、この際方式の異なる液滴分離手段を組み合わせるようにしてもよい。これにより、適用できるガスの流速範囲をさらに拡大することができる。さらにまた本発明の液滴分離手段はガス移送配管の内壁に固定してもよいし、脱着可能に取り付けるようにしてもよく、ある配管に液滴分離手段を配設した後に、この配管と他の配管とを溶接やその他の方法により接続すればよい。
【0048】
【実施例】
以下に本発明の実施条件を決定するために行った実施例を比較例と共に記載する。
(実施例1)
図11に示すように、幅100mm、高さ700mm、長さ3.5mの塩化ビニル製二次元モデルの断面矩形の配管700を用意し、その内部にメッシュ体を備えた液滴分離手段を配設した(メッシュ型)。ここでメッシュ体は、図8の二次元モデル配管において、線径:0.120mm、軸方向の長さL4:2000mm、幅方向の長さL5:100mm、厚さt:100mm、表面積:310m2 /m3 、空間率:98%とし、保持部材は長さL6:550mmとし、液捕集部材は筒状部の長さL1:200mm、筒状部と管壁との間隔を10〜20mmとした。また多孔板の開孔率は、a1=8.6%、a2=10.0%,a3=11.4%、a4=12.8%,a5=14.3%に設定した。
【0049】
そして平均粒径が10〜20μm、粒径分布が2.4〜165μmの液滴(水)を含むガス(空気)をスプレ−ノズルにより生成して速度を変えながら供給し、粒径8μm以上の液滴を100%捕集できるガス速度、ガス流れのエネルギ−、配管内のガス速度を7m/秒としたときの圧力損失を求めた。
【0050】
また液滴分離手段として、メッシュ体を傾斜して設けた場合(傾斜型)と、ベ−ンを備えた液滴分離手段を用いた場合(ベ−ン型)についても同様の実験を行った。この際、図7において、メッシュ体は、配管の軸方向の長さ:2020mm、幅方向の長さ:100mm、傾斜角:8.5°とし、その他の条件は上述と同様に構成した。
【0051】
またベ−ン型については、ベ−ンの配管の軸方向の長さ:1000mm、配管の幅方向の長さ100mm、厚さ:200mm、衝突板の厚さ:0.6mm、衝突板の間隔:22mmとし、保持部材は長さ150mmとし、液捕集部材は筒状部の長さ:200mm、筒状部と管壁との間隔:10〜20mmとした。また多孔板の開孔率は、b1=8.6%、b2=10.0%,b3=11.4%、b4=12.8%,b5=14.3%に設定した。
【0052】
さらに比較例として、メッシュ体を備えた液滴分離器(図13参照)、ベ−ンを備えた液滴分離器(図14参照)からなる従来の液滴分離器を用意して、上述の液滴分離手段とほぼ同じ位置に配設し、同様の実験を行なった。前記メッシュ体を備えた液滴分離器としては、分離容器11の長さx1が3000mm、内径x2が800mm、メッシュ体12の厚さx3が150mmであるものを用いた。またベ−ンを備えた液滴分離器としては、分離容器15の大きさが1000mm×1000mm×400mm程度あり、流路部材18a,18bの高さyが500mmであるものを用いた。この結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
表1より、本発明の液滴分離手段では、従来の液滴分離器に比べて、粒径8μm以上の液滴を100%捕集できるときのガス速度の適用範囲を28m/sと大きくした場合においても確実に除去できることが確認された。またこれに合わせてガス流れのエネルギ−の適用範囲も従来の液滴分離器に比べて大きく、特に上限が従来では10〜120kg/m・s2 程度であるのに対し、本発明では970kg/m・s2 程度と格段に大きいことが確認された。
(実施例2)
またメッシュ体を配管の軸に対して斜めに配置し、拡径部を形成しない場合と形成した場合との夫々において、粒径8μm以上の液滴を100%補集できるガス速度、ガス流れのエネルギー、配管内のガス速度を7m/秒としたときの圧力損失をコンピュータでシミュレーションをして求めたところ、表2に示す結果が得られた。
【表2】
【0054】
拡径部を形成しないシミュレーションの条件については、管径が610mmの配管の中に、実施例1で用いたと同様のメッシュ体を図12(イ)に示す寸法に従って設置した。斜線部分はメッシュ体、データ点線部分は多孔板であり、メッシュ体は配管の軸に対して0.7度の角度で傾斜している。また多孔板については長さ方向に5個の領域に区画し、各区画領域の開孔率を、下流側から夫々8.6%、10.0%、11.4%、12.8%、14.3%に設定した。
【0055】
拡径部を形成したシミュレーションの条件については、管径が610mmの配管の中に管径が2000mmの拡大部を形成し、実施例1で用いたと同様のメッシュ体を図12(ロ)に示す寸法に従って設置した。メッシュ体は配管の軸に対して8.5度の角度で傾斜している。また多孔板については長さ方向に5個の領域に区画し、各区画領域の開孔率を、下流側から夫々0.5%、10.0%、11.4%、12.8%、14.3%に設定した。
このようにシミュレーションの結果においてもガス速度の適用範囲が大きく、実施例1のモデル実験よりもガス速度の上限側が大きいことが分かる。またメッシュ体を傾けて配管内に設置する場合には、拡径部を設ければ、拡径部を設けない場合と比較してメッシュ体の設置領域が短くて済むことが分かる。なお表2においてガス速度の適用範囲の上限値は50m/sを越えており、この値は実ガス配管においてほぼ上限に近く、従って実質的にガス速度の上限値はないということがいえる。
【0056】
従って本発明では、配管内のガス速度が高速である場合においても、確実に液滴とガスとを分離することができることが認められた。またこのようにガス流れのエネルギ−の許容範囲が大きいことから、需要量の変化に伴い、プラントでの処理量が変化し、配管中のガス流れのエネルギ−が変化しても、その変化量に十分に対応することができることが確認された。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、特別な液滴分離器を用意しなくても、ガス移送配管内で液滴を含むガスから液滴の分離を行なうことができるため、プラント全体が小型化し、プラント全体のコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるガス移送配管を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るガス移送配管を示す断面図である。
【図3】本発明の液滴分離手段と液捕集部材を示す斜視図である。
【図4】液滴分離手段の他の例を示す断面図である。
【図5】液滴分離手段のさらに他の例を示す断面図である。
【図6】液滴分離手段のさらに他の例を示す断面図である。
【図7】配管の拡径部内に液滴分離手段を設けた例を示す断面図である。
【図8】図7の例における液滴分離手段を示す平面図である。
【図9】配管の拡径部内に液滴分離手段を設けた他の例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係るガス移送配管を示す断面図である。
【図11】実施例で用いた二次元モデルの矩形配管を示す断面図である。
【図12】実施例で設定したシミュレーションの条件を示す説明図である。
【図13】従来の液滴分離器を示す側面図である。
【図14】従来の液滴分離器を示す側面図である。
【符号の説明】
2、200 配管
3、6 液滴分離手段
31 メッシュ体
33、65 多孔板
4 液捕集部材
51、52 排出管
54 トラップ
61 ベ−ン
Claims (7)
- 粒径8μm以上の液滴粒子を含むガスを流速6m/秒以上で流すガス移送配管において、
配管の軸方向に対して平行又は斜めになるように配設され、液滴粒子と気体との慣性力の差により前記ガスから液滴粒子を分離する板状の慣性衝突式分離部材を備えた液滴分離手段と、
前記慣性衝突式分離部材の前面及び/又は背面に設けられ、当該慣性衝突式分離部材の前面側のガス速度が大きい領域程、開口率が小さくなるように構成された流速調整部材と、
前記液滴分離手段の下流側に位置し、前記液滴分離手段により分離された液滴粒子の集合よりなる液を捕集する液捕集手段と、
前記液捕集手段で捕集した液を配管外に排出する液排出手段と、を備えたことを特徴とするガス移送配管。 - 前記流量調整部材は多孔板であることを特徴とする請求項1記載のガス移送配管。
- 液滴分離手段が設けられている配管は、この配管に隣接する他の配管と溶接されていて一体化されていることを特徴とする請求項1または2記載のガス移送配管。
- 配管の一部の管径を他の部位よりも大きくし、この管径の大きい領域に慣性衝突式分離部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のガス移送配管。
- 慣性衝突式分離部材は、前面側のガス速度が大きい領域ほどガスの通気抵抗が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のガス移送配管。
- 慣性衝突式分離部材の配管の軸方向の上流側に、液滴粒子を含むガスの通気をガイドするためのガイド部材を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のガス移送配管。
- 液滴粒子は主成分が炭素数4以上8以下の炭化水素であり、ガスは主成分が炭素数1以上8以下の炭化水素であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のガス移送配管。
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