JP4146190B2 - キャスク固定用架台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、核燃料集合体を収納する略円柱形状のキャスクを、架台上に縦置きに固定した状態で移動するためのキャスク固定用架台に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所において発生した使用済みの燃料集合体は、図1に示すようなキャスク2と呼ばれる専用の容器に所定の体数毎に収納される。このように燃料集合体を収納したキャスク2は、これら燃料集合体が再処理に供されるまでの間、その内部に燃料集合体を収納したままキャスク貯蔵建屋に貯蔵される。
【0003】
図11に示すように、キャスク貯蔵建屋には天井クレーン22が備えられており、専用トレーラ25等によって建屋に搬入されたキャスク2が、この天井クレーン22によって、1基ずつ吊り上げられてキャスク貯蔵建屋内の所定の貯蔵場所に設置された支持構造物23の上まで移動される。
【0004】
この支持構造物23は、略円柱形状のキャスク2を1基ずつ縦置きに載置することが可能なように円環リング形状に形成されており、さらにこの円環リング上に、それぞれ対称位置となるように図示しない固定治具が設けられている。キャスク2は、所定の支持構造物23上に縦置きに載置されると、この図示しない固定治具によって固定されることによって、地震時にも安定して貯蔵される。また、他のキャスク2が吊り下げ誤操作等によって転倒した場合であっても、それによって既に貯蔵されているキャスク2が転倒しないようにしっかりと固定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のキャスク貯蔵方法では、以下のような問題がある。
【0006】
すなわち、従来のキャスク貯蔵方法では、キャスク貯蔵建屋内に搬入されたキャスク2を所定の貯蔵場所に移送するのに天井クレーン22を使用している。燃料集合体を収納したキャスク2はその重量が約100トン以上にも及ぶために、キャスク貯蔵建屋における天井クレーン22の荷重設計は極めて厳しいものとなる。したがって、キャスク貯蔵建屋の建設コストアップをもたらしている。
【0007】
また、天井クレーン22を用いてキャスク2を吊り上げて移送することを可能にするためには、ある程度の階高を確保する必要があり、これによってキャスク貯蔵建屋が大型化してしまう。これもまた、キャスク貯蔵建屋の建設コストアップをもたらしている。
【0008】
上述したように、従来のキャスク貯蔵方法では、天井クレーン22を用いてキャスク2を移動することに起因して、キャスク貯蔵建屋の建設コストが増大化してしまうという問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、キャスク貯蔵建屋に受け入れたキャスクを、天井クレーンを用いることなく所定の貯蔵場所まで移動可能とし、もって、キャスク貯蔵建屋の建設コストの削減に資することが可能なキャスク固定用架台を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0011】
すなわち、請求項1の発明では、核燃料集合体を収納する略円柱形状のキャスクを固定し、圧縮空気をダイヤフラムから噴出させるエアパレットによって与えられる浮力によってキャスク貯蔵建屋の床面に沿って移動可能とする断面形状が正方形のキャスク固定用架台であって、略円柱形状のキャスクを架台上に縦置きに載置したまま固定するキャスク固定手段と、前記架台を前記キャスク貯蔵建屋の床面に設置する架台設置手段とを備え、前記架台設置手段が前記架台の四隅に配置されて前記キャスク貯蔵建屋の床面に接する平坦な設置面を有し、前記架台の底面にエアパレット装着部となる開口凹部が所定の間隔をもって2箇所平行に設けられ、前記エアパレットを前記エアパレット装着部に着脱可能な前記架台設置手段が、前記床面の貯蔵位置に対応して穿設された4つ一組のネジ穴と、前記架台四隅の平坦な設置面を貫通するボルトとで構成され、前記ネジ穴にボルトを螺合することにより、前記架台を設置面に固定する。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1に記載のキャスク固定用架台において、前記架台の底面が、床面に接する平坦な設置面と、少なくとも一方の側端面に開放された前記エアパレットの挿入及び引き抜きができるエアパレット装着用の開口凹部とを備えている。
【0014】
請求項3の発明では、請求項1または2に記載のキャスク固定用架台において、前記架台を前記床面に設置する際には、貯蔵建屋の床面の貯蔵位置に対応した4つ一組のアンカー部材に固定手段を介して固定する。
【0015】
請求項4の発明では、請求項1または2に記載のキャスク固定用架台において、前記架台を前記床面に設置する際には、貯蔵建屋の床面の貯蔵位置に対応した4つ一組のアンカー部材に、円形断面とした棒状部材の一端にネジ部が設けられ、他端に係止部が設けられている固定手段を介して固定する。
【0016】
請求項5の発明では、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のキャスク固定用架台において、架台は、キャスクを載置する面の各辺が、キャスクの円柱直径よりも長い略平板形状であって、キャスク固定手段は、面のほぼ中心にキャスクの円柱断面の中心を一致させてキャスクを固定する。
【0017】
請求項6の発明では、請求項1乃至5のうちいずれか1項の発明のキャスク固定用架台において、前記架台に、駆動輪を前記床面へ接地させる付勢手段と、走行方向を操作する操舵機構とを具備してなる架台駆動装置を設ける。
【0018】
請求項7の発明では、請求項6の発明のキャスク固定用架台において、前記架台に対し、前記駆動装置を着脱可能に取り付ける。
【0019】
請求項8の発明では、請求項6または7のいずれか1項の発明のキャスク固定用架台において、前記駆動装置は、下端部に前記駆動輪が取り付けられて鉛直方向または略鉛直方向に配置された1または複数の操舵軸部を備え、前記駆動輪毎に走行駆動源が設けられると共に、前記操舵軸部毎に操舵駆動源及び前記付勢手段が設けられている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
なお、以下の実施の形態の説明に用いる図中の符号は、図11と同一部分については同一符号を付して示すことにする。
【0022】
本発明の実施の形態を図1から図10を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係るキャスク固定用架台の構成例を示す平面図(図1(a))及び立面図(図1(b))である。
【0024】
すなわち、本発明の実施の形態に係るキャスク固定用架台1は、その断面がほぼ正方形の平板形状をなしている。そして、この架台1の上に、キャスク断面の中心を、この架台1の平板中心に一致させるようにキャスク2を縦置きに載置する。載置されたキャスク2は、たとえば固定ボルト3のようなキャスク固定手段によって架台1上に固定する。架台1の各辺は、キャスク2の直径よりも長くしており、これによって、架台1は、移動中であってもキャスク2を安定して固定する。
【0025】
そして、架台1の底面には、架台1を床面8上に安定的に設置するための架台設置手段として、床面8に接する平坦な設置面1aを形成してある。この設置面1aは、図2に示すように、実質的には後述するエアパレットの装着部分となる開口凹部1bを除いたできるだけ広い領域(面積)に設けて安定性を確保するのが好ましく、平坦な床面8上に設置されて自立する架台1及びキャスク2の荷重を支持すると共に、がたつきを防止し、地震や振動等があっても自立が不安定にならないようにしたものである。なお、図1には雄ネジ12等後述する固定手段であるボルト固定の構成が記載されているが、設置面1aによる自立設置の場合には不要である。
【0026】
図2に例示した架台1の底面には、後述するエアパレット装着部4となる開口凹部1bが、紙面上下方向の両側端面に開放されて、すなわちエアパレット5の挿入及び引き抜きを両側端面で実施できるように側端面を貫通し、所定の間隔をもって2箇所平行に設けられている。また、設置面1aは、開口凹部1bを両側から挟むようにして、紙面左右方向の両側端部及び中央部に合計3箇所、全面が平坦面を形成するように設けられている。すなわち、平坦な底面に、底面部側に部材がなく開口する開口凹部1bを設け、エアパレット5が発生する浮力を妨げない形状となっている。
なお、開口凹部1bは、必ずしも両側端面を開放する必要はなく、いずれか一方のみでもよい。
【0027】
上述した開口凹部1bは、架台1の下部に、エアパレット装着手段として2箇所設けられたエアパレット装着部4となる。このエアパレット装着部4にはエアパレット5の着脱が可能である。エアパレット5の装着は、エアパレット5をエアパレット装着部4に挿入することによって行い、また装着しているエアパレット5をエアパレット装着部4から抜き取ることによってエアパレット5を取り外すことができる。なお、図1及び図2の場合、両側端部のいずれからでもエアパレット5の挿入及び抜き取りが可能である。
【0028】
エアパレット5は、図3に示すように、並設された2つのダイヤフラム7を備えており、図示しない圧縮空気供給部からエアホース13を介して供給される圧縮空気6をこれらダイヤフラム7から噴出する。これによって、このエアパレット5がエアパレット装着部4に挿入されている場合にはキャスク固定用架台1に浮力を与える。架台1の下部2箇所に設けられたエアパレット装着部1のそれぞれにエアパレット5を装着し動作させた場合、架台1は、図1(a)に示すように、4つのダイヤフラム7からバランス良く浮力を受ける。この浮力によって、架台1の静止摩擦係数を約1/1000に低減し、キャスク2が載置された場合であっても、作業員の人力によってキャスク貯蔵建屋の床面8上を容易に移動可能としている。なお、後述する専用の駆動装置や市販の牽引車等を架台移動手段として用い、架台1を移動させるようにしても良い。
【0029】
また、上述した設置面1aによる自立に加えて、架台1を床面8に固定する固定手段の一例として、たとえばボルト固定する構造を採用してもよく、以下ではこのボルト固定の構成例を説明する。
すなわち、図4に示すように、キャスク貯蔵建屋の床面8には、架台1上に固定されたキャスク2を貯蔵する貯蔵位置に対応して4つ1組のネジ穴10を穿設し、図5に示すように、各々のネジ穴10に雌ネジ11を設けている。一方、架台1には、その4隅近傍にそれぞれ貫通穴14を設けている。これら4つの貫通穴14は、4つ1組のネジ穴10の位置それぞれに対応して設けており、エアパレット5で浮上した架台1を床面8上で移動させ、位置合わせをすることによって、4つのネジ穴10の位置と、4つの貫通穴14の位置とが一致するようにしている。
【0030】
4つの貫通穴14の位置を、4つのネジ穴10の位置に一致するように架台1の位置を調整することによって、架台1の貯蔵位置への位置合わせを完了する。位置合わせを完了した状態でエアパレット5への圧縮空気6の供給を停止し、図5に示すように、床面8と設置面1aとが密着した状態でボルトの雄ネジ12を貫通穴14を介して雌ネジ11に螺設することにより、床面8に対して架台1を機械的に固定する。このようにして、キャスク2を架台1に固定したままキャスク貯蔵建屋の所定の貯蔵場所に固定すると、上述した設置面1aによる自立の安定性に加えて、架台1上に固定されたキャスク2がボルトにより機械的に固定されるので、その設置安定性や確実性はより一層向上する。
【0031】
また、架台1の床面8への固定が完了すると、エアパレット装着部4からエアパレット5を抜き取る。抜き取ったエアパレット5は、別の架台1の移動のために用いる。なお、架台1を貯蔵位置に位置合わせした時点で、雄ネジ12を雌ネジ14に若干螺合させてボルトによる仮止めをしてからエアパレット5を抜き取ってもよい。
【0032】
ところで、架台1の固定手段としては、上述したボルト固定の他にも、たとえば図6(a)、(b)に示すような構成などの採用も可能である。
図6において、図中の符号1cは架台1の側面に複数設けられた固定用補助部材、10Aは床面8に埋設されたアンカー部材、15は先端にネジ部15aが設けられたボルト、16は両端部に異なる方向の内ネジが設けられている逆ネジナット、17は一端にネジ部17aが設けられたアンカー連結部材である。
【0033】
この固定手段では、アンカー部材10A内に円柱状の中空部18が形成され、該中空部18の上部には、床面8に連通して中空部18とは断面形状の異なる連通孔19が形成されている。この連通孔19は、アンカー連結部材17の下端側に設けられた係止部17bの断面形状と略同形状とし、かつ、係止部17bの通過が可能となるように若干大きく設定した断面形状(たとえば略矩形断面)に形成されている。
アンカー連結部材17は、円形断面とした棒状部材の一端にネジ部17aが設けられ、他端に係止部17bが設けられている。係止部17bは、連通孔19を通り抜けて中空部18に入り込んだ状態で回転させることにより、その上端部が中空部18の上端面に係止されて抜け出ることがないようになっている。
【0034】
さて、架台1を固定する場合には、固定用補助部材1cに穿設された貫通孔1dに上方からボルト15を挿入し、係止部17bが中空部18内で係止可能な状態にあるアンカー連結部材17のネジ部17a及びボルト15のネジ部15aの双方に逆ネジナット16をねじ込んで締め込む。この結果、ボルト15及びアンカー連結部材17は互いに接近する方向へ引っ張られるので、ボルト15の頭部下面が固定用補助部材1cの上面に当接し、かつ、係止部17bの上端部が中空部18の上端面に当接して、架台1を床面8に固定することができる。このような固定手段は、上述したボルト固定と同様に複数箇所(たとえば4箇所)に配置されている。
なお、ボルト15と固定用補助部材1cの貫通孔1dとの間は、螺合するようにしてもよい。
【0035】
ところで、上述したようにしてキャスク貯蔵建屋の貯蔵場所に架台1と共に固定されたキャスク2を、再処理等のためにキャスク貯蔵建屋から払い出す場合には、以下のような手順で行う。なお、ここでは、図5に示したボルト固定を採用した場合について説明する。
【0036】
最初は、所定の貯蔵場所に固定されている架台1のエアパレット装着部4にエアパレット5を装着する。次に、雄ネジ12を雌ネジ11からはずして、架台1を床面8から解放する。なお、ボルトによる固定をしない場合、換言すれば設置面1aにより架台1及びキャスク2を床面8上に自立させている場合には、当然ながら雄ネジ12の取り外し作業は不要である。
さらに、エアパレット5に庄縮空気6を供給して架台1に浮力を与え、床面8に沿って移動可能な状態とした上で作業員による人力、あるいは専用の架台移動手段(駆動装置等)によって架台1を床面8に沿って払出場所まで移動する。
【0037】
ここで、架台1を移動させる架台移動手段の一例として、専用の駆動装置の一実施形態を図7から図9を用いて説明する。なお、図7は架台1に駆動装置30を取り付けた状態を示す平面図、図8は図7の側面図、図9は図7のC矢視図であり、上述した図1から図6と同様の部分については同じ符号を付して示すことにする。
【0038】
図示の駆動装置30は、断面を略正方形とした架台1の一辺に取り付けられている。この駆動装置30は、架台1に結合される略H型のフレーム31に支持された2輪タイプであり、駆動輪32を床面8に接地させる付勢手段33と、走行方向を操作する操舵機構40とを備えている。
【0039】
フレーム31は、H型を形成する2本のアーム31a,31bの一端が架台1の側面にボルト34を用いて固定される。各アーム31aの下面には、それぞれ鉛直方向(あるいは略鉛直方向)に配置された操舵軸部41が付勢手段33を介して支持されている。付勢手段33としては、浮力を受ける架台1と共に浮上する駆動輪32を下向きに付勢して接地させる弾性体であれば何でもよく、たとえばコイルバネなどを使用可能である。しかし、ここではエアパレット5に圧縮空気6を使用していることから、この圧縮空気6を共用して矢印33aの方向に伸縮する空気バネの採用が好ましい。
【0040】
操舵軸部41の上端部は、付勢手段33の付勢を受ける操舵軸受42によって回動可能に支持されている。また、操舵軸部41の下端部には、車軸32aに支持された駆動輪32が取り付けられている。
駆動輪32の車軸32aは、走行駆動源となる走行モータ35に連結されている。この走行モータ35と車軸32aとの間には、必要に応じて減速機構等が設けられる。なお、走行駆動源となる走行モータ35は、二つの駆動輪32がそれぞれ専用のものを備えている。
【0041】
操舵軸部41の外周面には、減速機43を構成する一方の受動歯車43aが固定されている。この受動歯車43aは、操舵駆動源として設けられている操舵モータ44の駆動軸に固定されて一体に回動する駆動歯車43bと噛合している。この操舵モータ44及び減速機43は、二つの操舵軸部41にそれぞれ専用のものが設けられている。
【0042】
この結果、操舵モータ44を駆動させると、駆動歯車43bを介して受動歯車43aが回動するので、この受動歯車43aと一体に操舵軸部41も回動して駆動輪32の走行方向を操作することができる。なお、駆動輪32の操舵角度については、たとえばエンコーダのような回転角度検出手段の検出値をフィードバックして操舵モータ44の駆動量を制御すればよく、これにより所望の操舵角度を正確に得ることができる。
【0043】
このように構成された駆動装置30を架台1に取り付けることで、エアパレット5の作用で浮上した架台1及びキャスク2は、付勢手段33により確実に接地する駆動輪32を走行モータ35で回転させて移動させることができる。
【0044】
また、このような移動時において、コーナー部を通過するため架台1の方向転換(旋回)が必要な場合には、操舵機構40の操作によって駆動輪32の方向を進行方向へ操舵する。たとえば駆動輪32を図8(a)の状態にして搬送している場合には、一端駆動輪32の接地を解放して操舵機構40を90度操舵し、図8(b)の状態として再度接地させれば、余分な旋回スペースを必要とすることなくスムーズに移動方向を変えることができる。すなわち、ほとんどそのままの位置で、架台1及びキャスク2の移動方向をX軸方向からY軸方向へ90度、あるいはそれ以上の大きな角度にも容易に方向転換させることができる。
なお、上述した駆動装置30の旋回についてはこれに限定されることはなく、たとえば二つの駆動輪32に異なる動作(操舵及び駆動)をさせて旋回する方法など、状況に応じて種々の方法を選択することができる。
【0045】
上述したように、余分な旋回スペースを必要とすることなく旋回できると、キャスク2を所定の貯蔵位置まで搬送するために必要な搬送路のスペースを小さくすることができるので、キャスク貯蔵建屋の貯蔵効率を向上させてコストを削減することができる。
ところで、操舵機構40については、旋回スペースの問題がなければリンク式の操舵機構など他の構成が採用可能である。なお、駆動輪32及び駆動軸部41については、上述した2軸・2輪が安定性やコスト等の面で優れているが、本発明はこれに限定されることはなく、1軸・1輪あるいは3軸・3輪以上とすることも可能である。
【0046】
次に、以上のように構成した本実施の形態に係るキャスク固定用架台を用いてキャスクを貯蔵する場合における動作を図10に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図10のフローチャートは、架台1をボルト固定する場合を示している。
【0047】
まず、キャスク2は、従来と同様に専用トレーラ25によってキャスク貯蔵建屋の搬入エリアに搬入される(S1)。
【0048】
搬入エリアには、専用トレーラ25からキャスク2を吊り上げるための専用クレーンが設けられており、この専用クレーンによって、キャスク固定用架台1の中心にキャスク2が縦置き状態で吊り下げられる(S2)。
なお、この専用クレーンは、キャスク2を吊り上げ、所定の貯蔵場所まで移動した後にキャスク2を吊り下げるための天井クレーン22とは異なるものであって、建屋の外部に設定可能であるとともに、移動式とする必要もない。したがって、建屋の階高を確保する必要もなく、また、荷重設計上の要求を建屋側に課すものでもない。
【0049】
このようにして架台1の所定場所に縦置き状態で載置されたキャスク2は、固定ボルト3によって架台1上に固定される(S3)。
【0050】
さらに、架台1の下部に2箇所設けられたエアパレット装着部4に、エアパレット5がそれぞれ装着される(S4)。
エアパレット5には、図示しない圧縮空気供給部から圧縮空気6が供給され、この圧縮空気6をダイヤフラム7から噴出することによって、キャスク固定用架台1に浮力を与えられる(S5)。
【0051】
架台1の下部2箇所に設けられたエアパレット装着部4のそれぞれにエアパレット5を装着し動作させた場合、架台1は、図1(a)に示すように、4つのダイヤフラム7からバランス良く浮力を受け、これによって、架台1の静止摩擦係数は約1/1000に低減される。これによって、架台1は、キャスク2が載置された場合であっても、作業員の人力であってもキャスク貯蔵建屋の床面8上を容易に移動可能となる。
なお、上述した駆動装置30のような専用の移動車を用いることによっても、上述した架台1は床面8上を移動可能となる。また、架台1の上面の各辺は、キャスク2の直径よりも長いので、キャスク2は架台1上で安定した状態で移動がなされる。
【0052】
キャスク貯蔵建屋の床面8には、キャスク2を貯蔵する貯蔵位置に対応して4つ1組のネジ穴10が穿設され、さらに各々のネジ穴10には雌ネジ11が設けられている。
一方、架台1には、その4隅近傍にそれぞれ貫通穴14が設けられており、これら4つの貫通穴14は、4つ1組のネジ穴10の位置のそれぞれに対応して設けられている。したがって、架台1を床面8上で移動させ、所定の4つ1組のネジ穴10の位置と、4つの貫通穴14の位置とが一致するように架台1を移動させることによって、架台1の貯蔵場所への位置合わせがなされる(S6)。
【0053】
位置合わせが完了した状態で、貫通穴14を介して雄ネジ12が雌ネジ11に螺設され、架台1が床面8の所定の貯蔵場所に固定される(S7)。
このようにして、キャスク2は架台1に固定されたまま、キャスク貯蔵建屋に貯蔵される。
【0054】
架台1の床面8への固定が完了すると、エアパレット装着部4からエアパレット5が抜き取られる(S8)。
抜き取られたエアパレット5は、別の架台1の移動のために用いられる。
【0055】
上述したように、本実施の形態に係るキャスク固定用架台1においては、キャスク貯蔵建屋に受け入れたキャスク2を、エアパレット5による浮力を利用して床面8を移動させることができる。これによって、キャスク貯蔵建屋の天井クレーン22を不要とすることができ、キャスク貯蔵建屋の階高の低減化が可能となるのみならず、荷重設計上の要求の大幅な緩和も可能となる。その結果、キャスク貯蔵建屋の建設コストを低減することが可能となる。
【0056】
また、旋回スペースの小さい駆動装置30を使用すれば、搬送路のスペースを最小限にすることができるので、これによって、キャスク2の貯蔵効率が増し、キャスク貯蔵建屋の建設コストをさらに削減することができる。
ところで、駆動装置30は架台2に対して着脱式とするのが好ましく、これにより、駆動装置30を共用できるようになる。このため、駆動装置30を固定式とした場合と比較して、駆動装置30がない分だけ架台1の貯蔵スペースを小さくすることができ、したがって、キャスク貯蔵建屋の貯蔵効率を向上させることができる。
なお、駆動装置30の着脱機構としては、たとえば鉄道車両の連結機構など公知の技術を採用可能である。
【0057】
そして、架台1は、エアパレット5を着脱することが可能に構成されており、キャスク2が縦置き状態で固定された架台1を床面8に沿って移動させる場合にのみエアパレット5を装着して利用するので、エアパレット5の共用利用が可能である。したがって、エアパレット5は、上述した駆動装置20と共に必要最低限の個数のみ備えていれば良く、無駄な投資を避けることが可能となる。
【0058】
エアパレット5は、ダイヤフラム7から圧縮空気6を噴出することによって、キャスク2を縦置き状態で載置した架台1の静止摩擦係数を約1/1000に低減することができる。これによって、作業員は、キャスク2を縦置き状態で載置した架台1を、人力あるいは駆動装置30によって、床面8に沿って移動させることができるので、架台1の移動作業を極めて容易に行うことが可能となる。
また、架台1は、その面の各辺の長さがキャスク2の直径よりも長いので、作業員は、その上部にキャスク2を縦置きで載置した架台1を、安定した状態で移動することが可能となる。さらに、架台1の各辺の長さをキャスク2の直径より長くすることは、架台1及びキャスク2を自立設置させる場合において、設置面1aの面積を大きくして安定性を増す上でも有利になる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エアパレットから得られる浮力を利用して、架台上にキャスクを縦置きで固定したままキャスク貯蔵建屋の床面上を所定の貯蔵場所まで移動することができる。さらに、架台に固定されているキャスクは、所定の貯蔵場所において、架台ごと床面に自立設置させるか、あるいは、床面に固定手段を用いて固定することができる。特に、エアパレット搬送するための床面は安定した搬送を行うため高い平滑度が求められるため、架台側の底面に形成した平坦な設置面との相性はよく、安定した自立設置が期待できる。
また、建屋面積の低減に有効な旋回スペースの小さい駆動装置を用い、エアパレットで浮上させた架台及びキャスクを容易に移動させることも可能である。
【0061】
以上により、天井クレーンを省略することが可能となり、もって、キャスク貯蔵建屋の建設コストの削減に資することが可能なキャスク固定用架台を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るキャスク固定用架台の構成例を示す図で、(a)は平面図、(b)は立面図である。
【図2】 図1に示したキャスク固定用架台について底面構造例を示す図であり、(a)は底面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図3】 エアパレットの構成例を示す断面切欠図である。
【図4】 架台を床面に沿って所定の貯蔵場所まで移動する状態を説明するための平面図である。
【図5】 架台と床面との固定構造(ボルト固定)の詳細断面図である。
【図6】 図5に示した固定構造の変形例を示す図で、(a)は要部断面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図7】 図1のキャスク固定用架台に駆動装置を取り付けた状態を示す平面図である。
【図8】 図7の側面図で、(a)は駆動輪がX軸方向へ直進する時の状態、(b)は(a)の状態から駆動輪を90度方向転換させた状態を示している。
【図9】 駆動装置における一つの駆動輪及び操舵軸部の構成例を示す図5のC矢視図である。
【図10】 同実施の形態に係るキャスク固定用架台を用いてキャスクを貯蔵する場合における動作を示すフローチャートである。
【図11】 一般的なキャスク貯蔵建屋の構造例を示す鳥瞰図である。
【符号の説明】
1 キャスク固定用架台
1a 設置面
1b 開口凹部
2 キャスク
3 固定ボルト
4 エアパレット装着部
5 エアパレット
6 圧縮空気
7 ダイヤフラム
8 床面
10 ネジ穴
10A アンカー部材
11 雌ネジ
12 雄ネジ(ボルト)
13 エアホース
14 貫通穴
15 ボルト
16 逆ネジナット
17 アンカー連結部材
18 中空部
22 天井クレーン
23 支持構造物
25 専用トレーラ
30 駆動装置
32 駆動輪
33 付勢手段
35 走行モータ(走行駆動源)
40 操舵機構
41 操舵軸部
42 操舵軸受
43 減速機
44 操舵モータ(操舵駆動源)
Claims (8)
- 核燃料集合体を収納する略円柱形状のキャスクを固定し、圧縮空気をダイヤフラムから噴出させるエアパレットによって与えられる浮力によってキャスク貯蔵建屋の床面に沿って移動可能とする断面形状が正方形のキャスク固定用架台であって、
略円柱形状のキャスクを架台上に縦置きに載置したまま固定するキャスク固定手段と、
前記架台を前記キャスク貯蔵建屋の床面に設置する架台設置手段とを備え、
前記架台設置手段が前記架台の四隅に配置されて前記キャスク貯蔵建屋の床面に接する平坦な設置面を有し、
前記架台の底面にエアパレット装着部となる開口凹部が所定の間隔をもって2箇所平行に設けられ、
前記エアパレットを前記エアパレット装着部に着脱可能な前記架台設置手段が、前記床面の貯蔵位置に対応して穿設された4つ一組のネジ穴と、前記架台四隅の平坦な設置面を貫通するボルトとで構成され、前記ネジ穴にボルトを螺合することにより、前記架台を設置面に固定することを特徴とするキャスク固定用架台。 - 請求項1に記載のキャスク固定用架台において、前記架台の底面が、床面に接する平坦な設置面と、少なくとも一方の側端面に開放された前記エアパレットの挿入及び引き抜きができるエアパレット装着用の開口凹部とを備えていることを特徴とするキャスク固定用架台。
- 請求項1または2に記載のキャスク固定用架台において、前記架台を前記床面に設置する際には、貯蔵建屋の床面の貯蔵位置に対応した4つ一組のアンカー部材に固定手段を介して固定するようにしたことを特徴とするキャスク固定用架台。
- 請求項1または2に記載のキャスク固定用架台において、前記架台を前記床面に設置する際には、貯蔵建屋の床面の貯蔵位置に対応した4つ一組のアンカー部材に、円形断面とした棒状部材の一端にネジ部が設けられ、他端に係止部が設けられている固定手段を介して固定するようにしたことを特徴とするキャスク固定用架台。
- 請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のキャスク固定用架台において、前記架台は、前記キャスクを載置する面の各辺が、前記キャスクの円柱直径よりも長い略平板形状であって、前記キャスク固定手段は、前記面のほぼ中心にキャスクの円柱断面の中心を一致させて前記キャスクを固定するようにしたことを特徴とするキャスク固定用架台。
- 請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載のキャスク固定用架台において、前記架台に、駆動輪を前記床面へ接地させる付勢手段と、走行方向を操作する操舵機構とを具備してなる架台駆動装置を設けたことを特徴とするキャスク固定用架台。
- 請求項6記載のキャスク固定用架台において、前記架台に対し、前記駆動装置を着脱可能に取り付けたことを特徴とするキャスク固定用架台。
- 請求項6または7のいずれか1項に記載のキャスク固定用架台において、前記駆動装置は、下端部に前記駆動輪が取り付けられて鉛直方向または略鉛直方向に配置された1または複数の操舵軸部を備え、前記駆動輪毎に走行駆動源が設けられると共に、前記操舵軸部毎に操舵駆動源及び前記付勢手段が設けられたことを特徴とするキャスク固定用架台。
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