JP4149882B2 - 合成擬革及びその製造方法 - Google Patents
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合成擬革は、ポリウレタン系樹脂を含浸させた不織布上に表皮層を設けたもの、基布上にポリウレタン樹脂のミクロポーラス層を形成させ、その上に表面層を設けたもの等の種々の構造を有するものがあるが、本発明では合成擬革の構造はいずれの構造であってもよく、表皮層が長鎖側鎖含有親水性ポリウレタン樹脂を含む層から形成されていることが特徴である。
本発明で使用する長鎖側鎖含有親水性ポリウレタン樹脂は、水系分散体を形成し得る親水性ポリウレタン樹脂であり、ポリウレタン分子鎖中に、水酸基以外の親水性基を有する単位と、側鎖に長鎖アルキル基を有する単位と、ポリシロキサンセグメント(単位)とを有し、これらの単位がウレタン結合及び/又はウレア結合で連結されてなる親水性ポリウレタン樹脂である。又、上記の各単位に加えて、低分子量ポリマー鎖を側鎖又は主鎖中に有する単位とポリオール及び/又はポリアミンからの単位を有する親水性ポリウレタン樹脂である。そして、該樹脂中の親水性基は部分的に、又は完全に中和されている。
本発明では、長鎖側鎖含有親水性ポリウレタン樹脂には、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有するポリウレタン、ポリウレア及びポリウレタン−ポリウレアが含まれる。
本発明で使用する、親水性官能基と長鎖アルキル基とポリシロキサンセグメント、更には低分子量ポリマー鎖、ポリオール鎖及び/又はポリアミン鎖を含有する親水性ポリウレタン樹脂は、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する部分が幹部分を、長鎖アルキル基及び低分子量ポリマー鎖が枝部分を形成し、ポリシロキサンセグメントについては、その原料成分が、例えば両末端反応型であれば幹部分に、片末端反応型であれば枝部分に導入される。この長鎖側鎖含有親水性ポリウレタン樹脂の水系分散体から生地、不織布等の擬革基材表面上に乾燥塗膜を形成させた場合には、上記各単位又はセグメント間の表面エネルギーの相違から、表面エネルギーの低いポリシロキサンセグメントと枝部分の長鎖アルキル基と低分子量ポリマー鎖部分は表面層に、幹のウレタン結合及び/又はウレア結合を有する部分と親水性官能基部分は上記基材側に配向する。
(A)同一分子内に少なくとも1個、好ましくは1個の水酸基以外の親水性基と少なくとも1個、好ましくは2個の活性水素含有基とを両有する化合物としては、スルホン酸系、カルボン酸系、燐酸系、アミン系等の化合物を用いることができる。この成分は、その親水性基によって親水性ポリウレタン樹脂に、基布との密着性を付与する効果と該樹脂を水系媒体中へ安定に分散、自己乳化させる作用をする。
例えば、スルホン酸系化合物としては、例えば、下記化合物及びその誘導体等が挙げられる。
以上は本発明において使用される好ましい化合物の例示であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。
従って、上述の例示化合物のみならず、その他現在市販されていて、市場から容易に入手できる化合物は、いずれも本発明に使用することができる。
これらは本発明において使用される好ましい化合物の例示であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではなく、その他現在市販されている市場から容易に入手できる化合物は、いずれも本発明に使用することができる。
(1)アミノ変性ポリシロキサン化合物
(1)ポリエーテルポリオール、例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等)及び/又は、複素環式エーテル(テトラヒドロフラン等)を重合又は共重合して得られるもの、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール(ブロック又はランダム)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレングリコール等、
(4)ポリカーボネートジオール、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネート等、
(5)ポリオレフィンポリオール、例えば、ポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリコール又は、その水素化物等、
(6)ポリメタクリレートジオール、例えば、α,ω−ポリメチルメタクリレートジオール、α,ω−ポリブチルメタクリレートジオール等が挙げられる。
これらのポリオールの分子量は特に限定されないが、通常数平均分子量は500〜2,000程度である。又、これらのポリオールは単独或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
得られるこれらの長鎖側鎖含有親水性ポリウレタン樹脂の分子量は、重量平均分子量(GPCで測定。標準ポリスチレン換算。)が2,000〜500,000の範囲が好ましい。
有機溶剤として好ましいものは、イソシアネート基に不活性であるか、又は反応成分よりも低活性なものが挙げられる。このような溶剤としては、例えば、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族系炭化水素溶剤(トルエン、キシレン、スワゾール(コスモ石油株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)、ソルベッソ(エクソン化学株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)等、脂肪族系炭化水素溶剤(n−ヘキサン等)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、エーテル系溶剤(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等)、グリコールエーテルエステル系溶剤(エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等)、アミド系溶剤(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ラクタム系溶剤(n−メチル−2−ピロリドン等)が挙げられる。これらのなかでは、溶剤回収、ウレタン合成時の溶解性、反応性、沸点、水への乳化分散性を考慮すれば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、及びテトラヒドロフラン等が特に好ましい。
又、構成単位として、(2)前記の化合物(A)〜(E)を用いた場合には、化合物(A)から導入される単位を1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、化合物(B)から導入される単位を1〜95重量%、好ましくは5〜70重量%、化合物(C)から導入される単位を1〜90重量%、好ましくは1〜80重量%、化合物(D)から導入される単位を1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%及び化合物(E)から導入される単位を1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%(化合物(A)〜(E)から導入される単位の合計は100重量%である。)含有する長鎖側鎖含有親水性ポリウレタン樹脂が好ましい。
ウレタン基を利用した架橋方法で使用する架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート架橋剤が挙げられる。ポリイソシアネート架橋剤としては、このような架橋方法で従来から使用されている公知のものがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、2,4−トルイレンジイソシアネートの二量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス−(p−イソシアネートフェニル)チオフォスファイト、多官能芳香族イソシアネート、多官能芳香族脂肪族イソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、脂肪酸変性多官能脂肪族イソシアネート、ブロック化多官能脂肪族イソシアネート等のブロック型ポリイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。これらのポリイソシアネート架橋剤は、適量であれば諸物性(耐加水分解性、耐熱性、耐光性、接着性付与等)の向上に特に有効であるが、使用量が多すぎると未反応イソシアネートが残留し、諸物性の低下等の弊害を引き起こすため、該ポリウレタン樹脂100重量部に対して120重量部以下、好ましくは1〜50重量部の範囲内の使用が好ましい。
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、マンホールを備えた反応容器を窒素ガスで置換した後、表1、2に記載の種類及び量の、(A)親水性基含有化合物成分、(B)長鎖アルキル基含有ジオール成分(「長鎖アルキル基含有化合物」と称する。)、(C)両末端又は片末端に水酸基を有するポリシロキサン成分、及び鎖伸長剤(短鎖ジオール成分)、又はこれらの成分に更に(D)片末端に水酸基を有する低分子量ポリマー成分及び(E)高分子ジオール成分(「ポリオール成分」と称する。)を加え、テトラヒドロフランを所定量加え、均一に溶解させ、溶液濃度を調節した。続いてヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を所定量加えて80℃で反応を行った。赤外吸収スペクトルで2,270cm-1の遊離イソシアネート基による吸収がないことを確認した後、50℃に冷却し、所定の固形分(製造例1〜4:45%;比較製造例1:30%)となる量のイオン交換水と、中和剤を所定量加え、系内を均一に乳化させた。最後に、系内のテトラヒドロフランを真空脱気して回収し、ポリウレタン水系分散体を得た。ポリウレタンの原料組成、塗料(水系分散体)及びポリウレタン(PU)の性状を表1及び表2に示す。尚、比較製造例2、3は上記反応溶液(固形分30%)のままで、中和、乳化は行なっていない。
尚、ポリウレタンの分子量はGPCで測定した、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。ポリシロキサン含有量は、JIS K0117の赤外分光分析法で測定したシロキサン含有量をポリシロキサン含有量として表示した。
(A)
・A−1:ジメチロールブタン酸
・A−2:ジメチロールプロパン酸
(B)
・B−1:AOG−X68(1,2−ヒドロキシアルカン(ダイセル化学工業社製))
CH2(OH)−CH(OH)−(CH2)nCH3
(nは整数、平均分子量360)
・B−2:AOG−Y08(1,2−ヒドロキシアルカン(ダイセル化学工業社製))
CH2(OH)−CH(OH)−(CH2)nCH3
(nは整数、平均分子量550)
・D−1:
(R1=H又はCH3、R2=エチル基、平均分子量2,000、Tg=−24℃)
(E)
・PCD:プラクセルCD220(ポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業社製、nは整数、平均分子量2,000)
TEA:トリエチルアミン
架橋剤:カルボジライトV−02(日清紡績社製、カルボジイミド系架橋剤)
(1)基布の作製
下記の配合処方で調製した含浸液組成液を、ポリエステル製不織布に十分に含浸させた後、120℃で乾燥及び熱硬化させ、柔軟性を付与させた不織布を作製した。
〔含浸液組成物〕
・レザミンCUT−270W 100部
(大日精化工業社製シリコーン系エマルション)
・レザミンCUT−275C 75部
(大日精化工業社製触媒分散体)
・イオン交換水 600部
・レザミンCU−8445 100部
(大日精化工業社製エーテル系PU)
・レザミンCUT−30 2部
(大日精化工業社製湿式添加剤)
・レザミンCUT−107 3部
(大日精化工業社製湿式添加剤)
・レザミンCUT−250改 1部
(大日精化工業社製湿式添加剤)
・DMF 250部
上記基布を使用して、その表面に製造例1〜4及び比較製造例1〜3のポリウレタン水系分散体又はポリウレタン有機溶剤溶液を用いて下記の配合処方で調製した合成擬革表皮用組成物をそれぞれ用い、ナイフコーターにより乾燥後の厚みが15μmになるようにダイレクト塗布し、乾燥機中で水又は有機溶剤を乾燥して表皮層を有する合成擬革を作製した。
(i)(水系ポリウレタン:製造例1〜4(固形分45%)、比較製造例1(固形分30%))
・ポリウレタン水系分散体 100部
・セイカセブンDW−794ブラック 25部
・イオン交換水 固形分が20%となる量
(ii)(ポリウレタン溶液:比較製造例2、3(固形分30%))
・ポリウレタン溶液 100部
・セイカセブンDW−780(s)ブラック
20部
・MEK/DMF=1/1(重量比)
固形分が20%となる量
[VOC対策]
使用溶剤が0の場合を○、5%未満を△、5%以上を×で示す。
[外観]
見ための感性がよく、天然皮革調に近いものを○、そうでないものを×とする。
[風合い]
ボリューム感がありソフトなものを○、ミドルを△、ハードを×とする。
[低温屈曲性]
フレキソ試験機にて0℃、屈曲回数2万回で性能変化がないものを○、若干の亀裂があるものを△、亀裂がひどいものを×と表示する。
[耐摩耗性]
テーバー磨耗機を用いて、摩耗輪H22、荷重500g、100回で目視にて外観変化がない場合を○、若干の磨耗がある場合を△、摩耗のひどい場合を×と表示する。
合成擬革の面々を接着剤を介して貼り付け、接着強度(剥離強度)を測定した。接着強度が2kg/cm以上を○、1kg/cm以上2kg/cm未満を△、1kg/cm未満を×とした。
[撥水性]
45℃に傾けた合成擬革の表面層に、スポイトで水滴をたらした際に、水をはじくものを○、はじかないものを×と表示した。
[耐加水分解性]
ジャングル試験(温度:70℃、相対湿度95%、3週間)後の基布との接着強度を測定し、試験前の初期強度と比較した。保持率が70%以上を○、40%以上70%未満を△、40%未満を×と表示した。
[耐光性]
サンシャインウェザオメーター試験(温度:63℃、水無、120時間)後の基布との接着強度を測定し、試験前の初期強度と比較した。
保持率が70%以上を○、40%以上70%未満を△、40%未満を×と表示した。
[耐熱性]
ギァオーブンにて試験を実施し、温度は、120℃、150時間後の基布との接着強度を測定し、初期強度と比較した。
保持率が70%以上を○、40%以上70%未満を△、40%未満を×と表示した。
Claims (7)
- 表皮層が、ポリイソシアネートと、(A)水酸基以外の親水性基を少なくとも1個と活性水素含有基を少なくとも1個両有する化合物と、(B)側鎖に炭素数が8〜64のアルキル基と少なくとも1個の活性水素含有基とを有する長鎖アルキル基含有化合物と、(C)少なくとも1個の活性水素含有基を有するポリシロキサン化合物を、鎖伸長剤の不存在下又は存在下に反応させて得られる長鎖側鎖を有する親水性ポリウレタン樹脂を含む層からなることを特徴とする合成擬革。
- 長鎖側鎖を有する親水性ポリウレタン樹脂が、上記成分と、更に(D)分子鎖の一方の末端に活性水素含有基を少なくとも1個有する低分子量ポリマーと、(E)ポリオール及び/又はポリアミンとを反応させて得られるものである請求項1に記載の合成擬革。
- 化合物(A)が、カルボキシル基、スルホン酸基又はアミノ基を有するジオールである請求項1又は2に記載の合成擬革。
- 化合物(B)が、1,2−アルカンジオールである請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成擬革。
- 化合物(D)が、片末端に2個の水酸基を有する低分子量ポリマーである請求項2に記載の合成擬革。
- 表皮層を有する合成擬革を製造するに際し、表皮層形成に、ポリイソシアネートと、(A)水酸基以外の親水性基を少なくとも1個と活性水素含有基を少なくとも1個両有する化合物と、(B)側鎖に炭素数が8〜64のアルキル基と少なくとも1個の活性水素含有基とを有する長鎖アルキル基含有化合物と、(C)少なくとも1個の活性水素含有基を有するポリシロキサン化合物を、鎖伸長剤の不存在下又は存在下に反応させて得られる長鎖側鎖を有する親水性ポリウレタン樹脂を中和剤を用いて水系媒体中に分散又は乳化してなる水系分散体を用いた塗料を使用することを特徴とする合成擬革の製造方法。
- 長鎖側鎖を有する親水性ポリウレタン樹脂が、上記成分と、更に(D)分子鎖の一方の末端に活性水素含有基を少なくとも1個有する低分子量ポリマーと、(E)ポリオール及び/又はポリアミンとを反応させて得られるものである請求項6に記載の合成擬革の製造方法。
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