JP4198327B2 - 光記録媒体の構造およびその製作方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に関する分野に関し、特に、ROM(Read Only Memory;読み出し専用)の光記録媒体構造およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスタンパーによる技術として、特開平6−267117号公報には従来の凹凸形状からなる読み出し専用(ROM)光記録媒体の製造方法が記載されているが、この製造方法は、ROM作製時に必要となるスタンパー製造において、スタンパー完成後に電解メッキもしくは無電解メッキ等のメッキ法により、補正用メッキ皮膜を形成し、信頼性の高いスタンパー原盤を形成することを特徴とするものであるが、この方法においては、100nm以下の記録ビットの読み出し専用の光記録媒体を製造することが難しい。また、特開平10−64125号公報には、スタンパーの記録ビットのみ選択的にデポするROMの製造方法が記載されており、ROM作製時に必要となるマスターディスクの製造ステップを必要とせず、製造時間の短縮を特徴としている。この技術によると、図5に示すように、基体上にレジストを塗布し(図5−(b))、レジストパターンを形成し(図5−(d))、その後、このレジストパターン以外の領域に、電気的もしくは化学的に基体と同種の材料を付着させ(図5−(h))ることにより、ROM製作用のプレス台が製造される。
しかしながら、この読み出し専用の光記録媒体の製造方法においても、100nm以下の記録ビットの読み出し専用の光記録媒体の製造は難しい。
【0003】
光記録媒体は、追記型のCD−Rや書き換え可能なCD−RWなどの登場により、その市場規模が劇的に大きくなっている。特に、近年発売されたDVDにより、さらに大きくなるものと考えられる。このような光記録媒体の市場の拡大に伴い、この光記録媒体により公的文書や重要機密文章を保存する傾向が高まっている。特に、このような記録媒体は、音楽用の数十万枚と作られるCD−ROMと異なり、数十枚単位でしか作られないことが多い。
このような数十枚単位のCD―ROMに代表される読み込み専用の光記録媒体では、製造コストが非常に高くなってしまう。また、CD−Rに代表される追記型の光記録媒体やCD−RWに代表される書き換え可能な光記録媒体の場合、1枚当たりの製造単価は抑えられるものの、上書きされる(改ざんされる)可能性がある。また、今後伸びゆく微小化により、その凹凸構造も、スタンパー形成では非常に難しいという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記従来技術に鑑みて、局所的に成膜された層により、凹凸を形成することによって、100nm以下の記録ビットの読み出し専用の光記録媒体を提供し、また、従来用いられていたスタンパーを作る必要がないため、製造時間を効果的に短縮できるだけでなく、製造コストも効果的に低くすることができる読み出し専用の光記録媒体及びその製造方法、より詳しくは、相変化記録材料の相状態の違いにより、選択的に高屈折材料を局所的に成膜した光記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「読み出し専用の光記録媒体において、少なくとも1層として相変化型記録材料層を有し、該相変化型記録材料層に炭素膜からなる高屈折率材料層を局所的に成膜して凹凸構造を形成したことを特徴とする光記録媒体」」、(2)「前記炭素膜は、ダイヤモンド状炭素(DLC)で形成されていることを特徴とする前記第(1)項に記載の光記録媒体」、(3)「前記炭素膜の厚さが、再生入射波長λの1/4であることを特徴とする前記第()項に記載の光記録媒体」、(4)「前記相変化型記録材料層はポリカーボネイト基板上に形成され、前記凹凸構造上に反射層とUV樹脂層が順に積層されていることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れか1に記載の光記録媒体」により達成される。
【0006】
また、上記課題は、本発明の(5)「前記第(1)乃至第(3)のいずれか1に記載の光記録媒体の製造方法であって、少なくとも、基板上に相変化記録材料を成膜して相変化記録材層を形成する工程、相変化記録材料層をアモルファス相とクリスタル相とに状態を変化させる工程及びアモルファス相上に高屈折率材料層を形成する工程とを有することを特徴とする光記録媒体の製造方法」、(6)「前記高屈折率材料層を形成する工程の後に、相変化記録材料層を初期化する工程を有することを特徴とする前記第(に記載の光記録媒体の製造方法」、(7)「前記高屈折率材料層を形成する工程が、水素雰囲気中で炭素ターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタ法であることを特徴とする前記第(5)項または第(6)項に記載の光記録媒体の製造方法」により達成される。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、先に記述したように、読み出し専用の光記録媒体の構造に関するものであり、特に、この光記録媒体の構造として、局所的に成膜された層を形成し凹凸を作り出したものである。この凹凸構造は、相変化材料のクリスタル相状態とアモルファス相状態の2相での電気特性の違いを用いている。また、この局所的に選択成膜される材料として、再生時に高いモジュレーションを保ちつつ、その膜厚を薄くできる高屈折率材料を用いている。特に、この高屈折率材料として、高屈折率材料の1つである炭素膜、特に、ダイヤモンド状炭素(DLC)を用いている。
このような読み出し専用の光記録媒体の構造を形成することで、従来用いられていたスタンパーを作る必要がないため、製造時間を効果的に短縮できるだけでなく、製造コストも効果的に低くすることができる。さらに、相変化材料に100nmの記録マークを形成することで、スタンパーでは非常に難しい、100nm以下の凹凸構造による記録ビット形成をすることができる。
【0008】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を詳細に記述する。
本発明の読み出し専用の光記録媒体の構造の1例を、図7を用いて説明する。
この読み出し専用の光記録媒体の層構成は、ポリカーボネート基板(1)/局所的に成膜された層(3)/反射層(4)/UV樹脂層(5)からなる。
この局所的に成膜された層(3)の形成方法の1例としては、ポリカーボネート基板(1)に、半導体のリソグラフィー技術を用いて、フォトレジストパターンを形成する。この実施例では、フォトレジストの膜厚として、40nm程度にした。このフォトレジストパターン上に反射層(4)となるAg層を120nm成膜し、さらに、スピンコート等によりUV樹脂(5)を成膜する。
この実施例では、局所的に成膜した層(3)として、フォトレジスト材料を用いたが、ポリカーボネート基板(1)上に高屈折率材料を成膜し、この高屈折材料膜上に、レジストパターンを形成、さらに、このレジストパターンをマスクとしてエッチングを行なうことにより、ポリカーボネート基板(1)上に、高屈折率材料からなる局所的に成膜された層(3)を形成することも可能である。
【0009】
さらに、読み出し専用光記録媒体の構造の1例を、図1を用いて説明する。
この読み出し専用の光記録媒体の層構成は、ポリカーボネート基板(1)/相変化記録材料層(2)/局所的に成膜された層(3)/反射層(4)/UV樹脂層(5)からなる。
【0010】
ポリカーボネイト基板(1)に、変化記録材料層(2)を成膜する(図2(b)参照)。
この実施例は、750nmピッチのランド/グルーブのポリカーボネイト基板を用い、相変化記録材料層としては、AgInSbTeの4元素系のものを成膜している。
この相変化記録材料層(2)に、変調された光を用いて情報を記録する(図2(c)参照)。
この実施例では、15mW程度の光を入射し、急冷することでアモルファス相(2a)を形成し、また、8mW程度の光を入射することによりクリスタル相(2c)を形成する。入射する光は、ポリカーボネイト基板側からでも、相変化記録層側からでも、どちらでもよい。
【0011】
次に、相変化記録材料層(2)側に、高屈折材料層を、アモルファス相とクリスタル相の電気伝導度の違いを用いて、アモルファス相(2a)にだけ局所的に選択成膜する(図2(d)参照)。
この実施例では、高屈折材料として、炭素を用いた。特に、所謂ダイヤモンド状炭素(DLC;Diamond Like Carbon)と呼ばれる炭素(以下、DLCと略す)を用いた。このDLC膜の成膜方法としては、請求項7に記載のように、水素雰囲気中で、炭素ターゲットをRF マグネトロンスパッタ法により成膜した。水素添加の有無によるDLC膜の成膜状態の違いを、図3(SEM像)および図4(トポログラフィー像)に示す。このSEM像およびトポグライフィー像からも分かるように、水素雰囲気中でRF マグネトロンスパッタ成膜することで、効果的にアモルファス相のみに選択的に成膜できることが分かる
この実施例のDLC膜の膜厚としては、約30nmである。成膜方法に関しても、この実施例では、RFマグネトロンスパッタを用いているが、蒸着やCVD等の方法でも問題はない。
この実施例では、凹凸の段差として約30nmで、凹凸の大きさとして約300nmの記録マークを形成しているが、相変化材料に書かれた記録マークの寸法を小さくすれば、さらに小さな凹凸を形成することが出来る。
このように、相変化記録膜材料の相状態の違いを用いて、局所的にかつ選択的な成膜を行ない、局所的に選択成膜された層による凹凸を形成している。
さらに、このDLC膜を成膜した上に、反射層となるAg膜を成膜する。(図2(e)参照)。
このAg膜上に、スピンコート等によりUV樹脂(5)を成膜する(図2(f)参照)。
さらに、全面クリスタル相となるように相変化材料層を初期化する(図2(g)参照)。
【0012】
この実施例で形成された読み出し専用の光記録媒体の再生方法としては、局所的に選択成膜されたDLC膜の有無による光路差を利用する。つまり、再生用の光を、ポリカーボネート基板(1)、相変化記録媒体層(2)および局所的に選択成膜されたDLC層のある部分(3)を透過させ、反射層(4)で反射し、再び同じ経路を辿る光路と、ポリカーボネート基板(1)、相変化記録媒体層(2)を透過させ、反射層(4)で反射し、再び同じ経路を辿る光路の2つの光路差による光の干渉効果を用いる。つまり、DLC層の厚さを、入射する光の波長;λのλ/4にすることにより、干渉条件を変えることができ、効果的にモジュレーションを付けることができる。また、このDLC膜の特性によっては、DLC膜自体の光の吸収を用いることも可能である。
【0013】
この実施例では、通常のCD−ROMやDVD−ROMを基準とした実施形態を記述したが、今後期待される近接場光による光記録時にも、この凹凸構造を用いることができる。
また、この実施例では、ポリカーボネート側から再生光となる光ピックアップの光を入射することを想定しているが、UV樹脂が成膜されている側から光を入射する場合は、全面クリスタル層にするための初期化を省いてもよい。
また、この実施例では、全面クリスタル相にアモルファスマークを記録し、そのアモルファス相に選択成膜を行なったが、逆に、全面アモルファス相に、クリスタルマークを記録し、穴状にクリスタルマーク以外に選択成膜を行なってもよい。
また、この実施例では、最後の工程に全面クリスタル相になるように、相変化材料層を初期化しているが、高屈折材料層(DLC層)とのマッチングにより、全面アモルファス相にしてもよい。
【0014】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明の請求項1では、読み出し専用(ROM)の光記録媒体の構造を、局所的に成膜された層の凹凸から形成することにより、通常用いられているスタンパーを形成することなくその構造を形成できることから、製造コストを効果的に安価にし、また、製造時間も効果的に短くすることができる。さらに、100nm以下の凹凸パターンも効果的に形成することができる。
また、相変化材料を用いることで、その相状態の違いにより、効果的に局所に選択成膜することができる。
また、局所的に成膜された層からなる凹凸部の材料として、高屈折材料である炭素膜を用いることで、光の実効波長を短くすることができることから、膜厚を薄くすることが可能であり、製造時間を効果的に短縮することができ、高屈折率であるダイヤモンド状炭素を用いることで、効果的にアモルファス相に選択成膜することができる。
更に、請求項では、請求項1乃至4に記載の読み出し専用の光記録媒体の製造において、相変化材料の相状態の違いを用いることで、アモルファス相のみに、効果的に選択成膜することができ、相変化材料を成膜する工程およびその相変化材料に局所的に相状態を変化させる工程を有することで、効果的に目的とする情報を、読み出し専用の光記録媒体に記録させることができる。
更にまた、水素雰囲気中で炭素膜を成膜することにより、効果的に局所に炭素膜を成膜することができるという極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における読み出し専用光記録媒体の構造の一例を示した図である。
【図2】本発明における読み出し専用光記録媒体の製造方法の一例を示した図である。
【図3】本発明における水素添加の有無のよるDLC膜の成膜状態の違い(SEM像)を示した図である。
【図4】本発明における水素添加の有無のよるDLC膜の成膜状態の違い(トポグラフィー像)を示した図である。
【図5】従来技術における光ディス用クプレス台を製造する方法の幾つかのステップを概略的に示す図である。
【図6】本発明における成膜されたDLC膜のラマンスペクトルを示した図である。
【図7】本発明における光記録媒体の構造の一例を示した図である。
【符号の説明】
1 ポリカーボネート基板
2 相変化記録材料(媒体)層
2a アモルファス相
2c クリスタル相
3 局所的に成膜された層
4 反射層
5 UV樹脂層
11 基体
12 感光性樹脂層
13 レーザビーム
14 感光領域
15 小孔
17 材料
B プレス台

Claims (7)

  1. 読み出し専用の光記録媒体において、少なくとも1層として相変化型記録材料層を有し、該相変化型記録材料層に炭素膜からなる高屈折率材料層を局所的に成膜して凹凸構造を形成したことを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記炭素膜は、ダイヤモンド状炭素(DLC)で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記炭素膜の厚さが、再生入射波長λの1/4であることを特徴とする請求項2に記載の光記録媒体。
  4. 前記相変化型記録材料層はポリカーボネイト基板上に形成され、前記凹凸構造上に反射層とUV樹脂層が順に積層されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の光記録媒体。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1に記載の光記録媒体の製造方法であって、少なくとも、基板上に相変化記録材層を形成する工程、相変化記録材料層を局所的にアモルファス相に状態を変化させる工程、アモルファス相上に高屈折率材料層を形成する工程とを有することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  6. 前記高屈折率材料層を形成する工程の後に、相変化記録材料層を初期化する工程を有することを特徴とする請求項に記載の光記録媒体の製造方法。
  7. 前記高屈折率材料層を形成する工程が、水素雰囲気中で炭素ターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタ法であることを特徴とする請求項5または6に記載の光記録媒体の製造方法。
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