JP4228165B2 - 磁気記録材用紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法 - Google Patents

磁気記録材用紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な磁気特性を維持したまま、優れた分散性を有していると共に可及的に可溶性塩が低減されているFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、オーディオ用、ビデオ用、コンピュータ用の磁気記録再生用機器の小型軽量化、長時間記録化、記録の高密度化、若しくは記憶容量の増大化が著しく進行しており、磁気記録媒体である磁気テープ、磁気ディスクに対する高性能化、高密度記録化の要求が益々高まってきている。
【0003】
即ち、磁気記録媒体の高画像画質、高出力特性、殊に周波数特性の向上及び保存特性、耐久性の向上が要求され、その為には、磁気記録媒体に起因するノイズの低下、高い保磁力Hcと保磁力分布SFD、耐候性ΔBmが優れていることが要求されている。
【0004】
磁気記録媒体のこれらの諸特性は磁気記録媒体に使用される磁性粒子粉末と密接な関係を有しており、近年においては、従来の酸化鉄磁性粒子粉末に比較して高い保磁力と大きな飽和磁化値σsを有する鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末が注目され、デジタルオーディオテープ(DAT)、8mmビデオテープ、Hi−8テープ、さらにハイビジョン用のW−VHSテープ、デジタル記録方式のDVCテープ等に使用され、コンピューター用ではZip,スーパーディスク等のリムーバブルディスクに使用され、最近では大容量のHi−FDで採用され、現在その事業化段階にある。
【0005】
そこで、これらの鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末についても更に特性改善が強く望まれている。
【0006】
即ち、より高い保磁力、優れた保磁力分布SFD、優れた耐候性ΔBmを有する磁気記録媒体を得るためには、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末がより高い保磁力とより大きい飽和磁化値を有すると共に、粒子サイズの分布ができるだけ狭く、分散性が優れ、且つ、酸化安定性Δσsに優れていることが強く要求されている。
【0007】
また、上記各種磁気記録媒体の高密度化、高信頼性及び耐久性向上のために金属磁性粒子粉末としては、可及的に可溶性塩が除去されていることが要求されている。
【0008】
以下、この事実について詳述する。
【0009】
即ち、一般に、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は、第一鉄塩水溶液と水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液とを反応して得られる鉄含有沈殿物を含む懸濁液を空気等の酸素含有ガスを通気して酸化反応を行い得られる紡錘状ゲータイト粒子粉末、該ゲータイト粒子粉末を加熱脱水して得られる紡錘状ヘマタイト粒子粉末、又は、これら粒子粉末に鉄以外の異種元素を含有させた紡錘状粒子粉末を出発原料として用い、該出発原料を還元性ガス雰囲気下で加熱還元することにより得られている。
【0010】
上記製造法に由来して、紡錘状金属磁性粒子粉末はナトリウムや製法上不可避的に存在するカルシウムを含有しており、可溶性ナトリウム塩や可溶性カルシウム塩を含有している場合には、磁気記録媒体に使用したときに含有している可溶性ナトリウム塩や可溶性カルシウム塩などの可溶性塩に起因した化合物が磁性塗膜及び磁気ヘッドに析出するため問題となっている。この事実は、特開平9−305958号公報の「各層に使用される磁性体、非磁性体、カーボンブラック、フィラーが含有している水溶性イオンの総和がある量を超えると高温高湿条件で保存後走行させると摩擦係数が増加し、極端な場合は張り付き現象が発生し走行停止する現象が認められた。さらに極端な場合、析出物がスペーシングロスとなり、磁気テープの再生出力が低下する。また金属ヘッドを腐食し、記録再生特性を劣化させてしまう。」という記載からも明らかである。
【0011】
金属磁性粒子粉末中の可溶性塩を低減させる方法としては、1)出発原料として水酸化ナトリウム等のアルカリ金属からなるアルカリ水溶液を用いない、2)水洗によって可溶性塩を低減する、のどちらかの方法が採られている。本発明は、2)の方法に関するものである。
【0012】
水洗による場合には、金属磁性粒子粉末に至るまでの各生成物ごとに水洗することが考えられるが、上記金属磁性粒子粉末の製造法において、出発原料であるゲータイト粒子粉末及びヘマタイト粒子粉末の段階で水洗を行っても、除去されるのは粒子粉末中の水可溶性塩だけであるため、還元して金属磁性粒子粉末とした場合には、粒子中に含有している不溶性不純物が粒子表面に移動し可溶性塩となって析出してくることが知られている。この事実は、特開平7−22224号公報の「周期表第1a族元素を0.05重量%以下にするには、これらの元素が製造過程で不可避的に混入する場合にはその除去処理を行うことが必要である。……特にオキシ水酸化鉄、酸化鉄、金属磁性粉と工程が進むに伴って該元素は粒子表面に偏析してくる…」という記載からも明らかである。一方、金属磁性粒子粉末とした後に水洗を行った場合、特に粒子形状が紡錘状の場合には、保磁力などの磁気特性が低下し、磁性塗料中での分散性も低下する傾向がある。
【0013】
また、金属磁性粒子粉末の安定化等のために有機溶媒を用いた場合には、紡錘状金属磁性粒子粉末中に多量のカーボンが残存し、磁性塗膜にするときの樹脂との相溶性が悪くなり、分散性が低下する傾向がある。
【0014】
近年、高い保磁力を有する金属磁性粒子粉末を得るために粒子サイズは益々微粒子化しており、その出発原料も微粒子化している。出発原料が0.15μm以下の微粒子から得られた金属磁性粒子粉末を水洗した場合には、粒子サイズが小さいことに起因して乾燥時の粒子間距離がより小さくなり凝集が起こりやすくなるため、保磁力や飽和磁化値等の磁気特性の低下を招き、優れた磁気記録媒体を得ることが困難となる。
【0015】
従来、可溶性ナトリウムなどの不純物を低減させる技術が、特開昭56−51029号公報、特開平7−22224号公報、特開平8−172005号公報、特開平9−305958号公報等に記載されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
良好な磁気特性を維持したまま、可及的に可溶性塩を低減すると共に優れた分散性を有するFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子を製造することは、現在最も要求されているところであるが、前記諸特性を十分満足する紡錘状合金磁性粒子は未だ提供されていない。
【0017】
即ち、前出特開昭56−51029号公報には、針状金属磁性粒子粉末を水性溶媒(水又は水と有機溶媒を混和した水が50%以上のもの)で洗浄することが記載されているが、コバルト含有量が十分ではないため、有機溶剤が変成し残留しやすく、乾燥温度も高くないため有機溶剤の除去も十分とは言い難いものである。また、得られた金属磁性粒子粉末は磁気特性及び分散性の点で十分とは言い難いものである。
【0018】
また、前出特開平7−22224号公報には、ヘマタイト粒子粉末及び金属磁性粒子粉末として水洗することが記載されているが、後出比較例に示すとおり、微粒子粉末で紡錘状の金属磁性粒子粉末を水洗・乾燥しただけでは、金属磁性粒子粉末の粒子間の凝集が顕著となり、嵩密度が高くなり、磁気特性及び分散性の点で十分とは言い難いものである。
【0019】
また、前出特開平8−172005号公報には、紡錘状ゲータイト粒子粉末及び紡錘状ヘマタイト粒子粉末を加熱還元し、次いで表面酸化した後、水洗乾燥することが記載されているが、水の表面張力に関して考慮されておらず、粒子間の凝集が起こりやすくなるため、得られた金属磁性粒子粉末の嵩密度が0.55〜1.0g/mlと高く、分散性が十分とは言い難いものである。
【0020】
また、前出特開平9−305958号公報には、金属磁性粒子粉末を水洗した後、再度還元・表面酸化することが記載されているが、後出比較例に示すとおり、微粒子且つ、紡錘状を呈した金属磁性粒子粉末では途中の水洗・乾燥時に既に金属磁性粒子粉末の粒子間の凝集が顕著となるため、得られる金属磁性粒子粉末は嵩密度が高くなり、磁気特性及び分散性の点で十分とは言い難いものである。
【0021】
そこで、本発明は、良好な磁気特性を維持したまま、優れた分散性を有していると共に可及的に可溶性塩を低減されているFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子を得ることを技術的課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0023】
即ち、本発明は、全Feに対してCo換算で20〜45原子%のコバルトを含有する平均長軸径が0.05〜0.15μmの紡錘状ゲータイト粒子又は該ゲータイト粒子を加熱脱水して得られる紡錘状へマタイト粒子を出発原料として磁気記録材用紡錘状合金磁性粒子粉末を得る製造法において、前記出発原料を加熱還元を行って紡錘状合金磁性粒子粉末を得、該紡錘状合金磁性粒子粉末を気相中で表面酸化する第1工程、第1工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末を水洗する第2工程、第2工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末に付着している水を親水性、且つ、沸点が100℃以下の有機溶媒で置換して脱水ろ過した後に、造粒成型する第3工程及び第3工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末を50〜100℃の温度範囲の空気中で有機溶媒を乾燥させると共に再表面酸化する第4工程からなることを特徴とする磁気記録材用Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法である。
【0024】
また、本発明は、上記製造法において、第4工程で相対湿度1〜20%の空気中で紡錘状合金磁性粒子粉末を乾燥させると共に再表面酸化することを特徴とする磁気記録材用Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法である。
【0025】
次に、本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0026】
本発明における出発原料には、全Feに対してCo換算で20〜45原子%のコバルトを含有し、平均長軸径が0.05〜0.15μmである紡錘状ゲータイト粒子粉末又は該ゲータイト粒子粉末を加熱脱水処理して得られた全Feに対してCo換算で20〜45原子%のコバルトを含有し、平均長軸径が0.05〜0.13μmである紡錘状へマタイト粒子粉末を用いる。
【0027】
本発明における出発原料は、紡錘状粒子であり、樹枝状粒子が混在せず、サイズ分布に優れるものである。
【0028】
本発明における出発原料のコバルトの含有量が全Feに対して20原子%未満の場合には、得られたFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末は酸化安定性を十分に改良することができず、また、大きな飽和磁化値が得られ難い。また、有機溶剤が変成しやすく、残存カーボン量が多くなる。45原子%を超える場合は、還元速度の制御が非常に難しくなり、加熱還元時に粒子及び粒子相互間で形状破壊や焼結を生じ、高い保磁力が得られ難くなる。
【0029】
本発明における出発原料の平均長軸径が0.05μm未満の場合には、得られる紡錘状合金磁性粒子が超常磁性となりやすいため大きな飽和磁化値が得られず、同時に高い保磁力も得られ難くなる。逆に0.15μmを超える場合には、目的とする高い保磁力が得られない。
【0030】
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末は、焼結防止効果や還元速度の制御を考慮すると、平均短軸径が0.010〜0.023μm、全Feに対してAl換算で5〜15原子%のアルミニウムを含有し、軸比(平均長軸径/平均短軸径)が4〜8、BET比表面積値が100〜250m2/gであることが好ましい。
【0031】
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末は、粒子表面をCo化合物、Al化合物及び焼結防止剤で被覆してもよい。
【0032】
焼結防止剤としては、希土類元素の化合物を用いることができ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム等の1種又は2種以上が好ましい。特に、イットリウム、ネオジウムが好適である。
【0033】
なお、焼結防止効果の向上のため、あるいは、必要によりその他の元素としてSi、B、Ca、Mg、Ba、Sr等から選ばれる元素の化合物の1種又は2種以上を使用してもよい。これらの化合物は、焼結防止効果を有するだけでなく、還元速度を制御する働きも有するので、必要に応じて組み合わせて使用すればよい。
【0034】
本発明における紡錘状へマタイト粒子粉末は、焼結防止効果や還元速度の制御を考慮すると、平均短軸径が0.010〜0.022μmであって、全Feに対してAl換算で5〜15原子%のアルミニウムと希土類元素換算で5〜10原子%の希土類元素を含有し、軸比(平均長軸径/平均短軸径)が4〜8、BET比表面積値が50〜120m2/gであることが好ましい。
【0035】
また、紡錘状ヘマタイト粒子粉末は、前記紡錘状ゲータイト粒子粉末を酸化性雰囲気下で150〜350℃の温度範囲で加熱脱水し、更に、同雰囲気下で450℃を超えて700℃未満の温度範囲で加熱処理して得ることが好ましい。
【0036】
本発明において固定還元装置へ投入するに当っては、前記出発粒子粉末を常法により造粒して平均径1〜5mmの顆粒状物にして用いることが好ましい。
【0037】
本発明における還元装置としては、固定層を用いた還元装置が好ましく、具体的には、静置式還元装置(バッチ式)もしくはベルト上に固定層を形成して該ベルトを移送させながら還元する移動式還元装置(連続式)が好ましい。
【0038】
本発明における固定層の層高は、30cm以下が好ましい。30cmを超える場合には、多量にCoを含有するため還元促進作用が顕著であるのと同時に、固定層の層下部の急激な還元による水蒸気分圧の増大によって、固定層上部の保磁力が低下する等の問題が起こり、全体として特性が劣化する。工業的な生産性を考慮すると、3〜30cmがより好ましい。なお、バッチ式、連続式(特開平6−93312号公報等)では生産性が異なるため、バッチ式の固定層還元装置では層高を8cmを超え、30cm以下とすることが好ましい。
【0039】
本発明では、第1工程の加熱還元温度まで昇温する期間の雰囲気は不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気としては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が好ましく、殊に窒素ガスが好適である。不活性ガス以外の雰囲気では、温度が経時的に変化する昇温時に還元が起こり、金属磁性粒子生成時の還元温度が一定にできないため、均一な粒子成長が起こりにくく高い保磁力を得ることが困難となる。
【0040】
なお、第1工程の昇温速度は特に限定されないが、2〜100℃/minが好ましい。また、第1工程の昇温時における不活性ガスのガス空塔速度は特に限定されないが、出発原料の顆粒状物が飛散したり、破壊されたりしない速度にすればよい。
【0041】
また、第1工程の昇温時の不活性ガス雰囲気から加熱還元工程の還元性ガス雰囲気への切り替えは、還元装置の種類によって異なり、工業的には、バッチ式の場合では還元装置内の圧力を制御しながら段階的に行う方法が好ましく、連続式の場合では昇温ゾーンと還元ゾーンとを区分する方法が好ましい。いずれの場合も短時間で切り替えを行う方が望ましく、少なくとも10分以内に行うことが好ましい。
【0042】
本発明の第1工程の加熱還元工程における雰囲気は、還元性ガスであり、還元性ガスとしては水素が好適である。
【0043】
本発明における第1工程の加熱還元温度は350〜700℃が好ましく、より好ましくは、400〜650℃である。加熱還元温度は、出発原料の被覆処理に用いた化合物の種類、量に応じて上記温度範囲から適宜選択することが好ましい。加熱還元温度が350℃未満の場合には、還元の進行が非常に遅く工業的でなく、得られた紡錘状合金磁性粉末の飽和磁化値も低いものとなる。700℃を超える場合には、還元反応が急激に進行して粒子の形状破壊や粒子及び粒子相互間の焼結を引き起こしてしまい、保磁力が低下する。
【0044】
本発明における第1工程の還元性ガスのガス空塔速度は、40〜150cm/sが好ましい。ガス空塔速度が40cm/s未満の場合、出発原料の還元で発生した水蒸気が系外に運ばれる速度が非常に遅くなるため、層上部の保磁力、SFDが低下し、全体として高い保磁力が得られない。150cm/sを超える場合、目的とする紡錘状合金磁性粒子粉末は得られるが、還元温度が高温を要したり、造粒物が飛散し破壊されるなどの問題が起こり易く好ましくない。
【0045】
本発明における第1工程の表面酸化処理の雰囲気は、酸素を含んだ不活性ガス雰囲気で表面酸化処理を行う。不活性ガス雰囲気としては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が好ましく、殊に窒素ガスが好適である。酸素の含有量は0.1〜5vol%が好ましく、所定量まで徐々に酸素量を増加させることが好ましい。また、不活性ガス雰囲気としては水蒸気を含有させてもよい。水蒸気を含有させた場合は、高い保磁力を有する紡錘状合金磁性粒子粉末が得られやすい。
【0046】
本発明における第1工程の表面酸化温度は、40〜200℃が好ましく、より好ましくは、40〜180℃である。40℃未満の場合には、十分な厚さを有する表面酸化層を形成することが困難となり、水洗による磁気特性の低下が顕著となる。200℃を超える場合には、粒子の形骸変化、特に酸化物が多量に生成されるため短軸が極端に膨張し、場合によっては、形骸破壊が起こりやすいため好ましくない。
【0047】
なお、本発明においては第1工程の加熱還元と表面酸化を繰り返し行ってもよく、具体的には、最初の加熱還元を350〜600℃で行った後、80〜200℃で表面酸化を行い、次いで、450〜700℃で再度加熱還元を行い、更に40〜160℃で表面酸化を行う。加熱還元と表面酸化を繰り返し行うことによってより緻密な紡錘状合金磁性粒子粉末を容易に得ることができる。
【0048】
第1工程を終了した紡錘状合金磁性粒子粉末は、粗粉砕して第2工程の水洗を行う。
【0049】
本発明における第2工程の水洗は、第1工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末を水中に入れて紡錘状合金磁性粒子粉末の懸濁液とし、ろ過後のろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまで水洗することが好ましい。この際、懸濁液及び水洗水の温度は、常温から100℃までの温度範囲で行うことが好ましい。
【0050】
水洗に使用する水は、イオン交換水であることが好ましい。
【0051】
本発明における第3工程では、第2工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末に付着している水を有機溶媒で置換し脱水する。用いる有機溶媒としては親水性であって、且つ、沸点が100℃以下の有機溶媒を用いる。具体的には、アセトン(沸点:56.5℃)、エタノール(沸点:78.3℃)、メタノール(沸点:64.1℃)等である。親水性以外の有機溶媒では水と容易に置換することが出来ない。また、沸点が100℃を超える場合には、第4工程において十分に乾燥することができず、得られた紡錘状合金磁性粒子粉末は残存カーボン量が多くなる。
【0052】
紡錘状合金磁性粒子粉末は、ろ過して造粒成型した後、第4工程に移行する。
【0053】
本発明における第4工程は空気中で行う。また、空気中で相対湿度が1〜20%の範囲の水蒸気を含有させてもよい。水蒸気を含有させることによって、より高い保磁力を有する紡錘状合金磁性粒子粉末を得ることができる。水蒸気の含有量が相対湿度で1%未満の場合には、保磁力向上の効果が十分とは言い難いものである。20%を超える場合には、目的とする効果は得られるが、吸着水分量が多くなるので好ましくない。水蒸気の含有量は好ましくは、相対湿度で2〜18%である。
【0054】
本発明における第4工程の反応温度は50〜100℃が好ましい。第4工程の反応温度が50℃未満の場合には、乾燥が不十分なため第3工程で使用した有機溶媒が残存する。100℃を超える場合には、親水性有機溶媒は十分に揮発できるが、磁気特性、特に飽和磁化値が低下するので好ましくない。
【0055】
次に、本発明によって得られたFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末について述べる。
【0056】
本発明によって得られるFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末は、Coを全Feに対して20〜45原子%、好ましくは20〜40原子%含有する。平均長軸径が0.05〜0.12μmであり、結晶子サイズD110は120〜160Åが好ましく、より好ましくは130〜160Åである。また、標準偏差は0.02μm以下が好ましく、サイズ分布は0.20以下が好ましく、BET比表面積値は40〜60m2/g、嵩密度は0.35〜0.50g/mlであることが好ましい。また、可溶性ナトリウム塩は10ppm以下、可溶性カルシウム塩は50ppm以下、残存カーボン量は1.0wt%以下、水分含有量は1.5wt%以下である。
【0057】
本発明によって得られるFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末は、保磁力Hcが159.2〜198.9kA/m(2000〜2500Oe)が好ましく、より好ましくは167.1〜198.9kA/m(2100〜2500Oe)であって、飽和磁化値σsが120〜160Am2/kg(120〜160emu/g)が好ましく、より好ましくは130〜160Am2/kg(130〜160emu/g)。角型比(σr/σs)が0.52〜0.55、飽和磁化値の酸化安定性Δσsは10%以下が好ましい。
【0058】
なお、本発明によって得られるFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて得られた磁性塗膜は、保磁力Hcが159.2〜198.9kA/m(2000〜2500Oe)であって、角形比(Br/Bm)が0.85以上、SFDが0.40以下、酸化安定性ΔBmが8%未満である。
【0059】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
【0060】
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末、紡錘状へマタイト粒子粉末及びFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の平均長軸径、平均短軸径及び軸比は、いずれも電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示した。
【0061】
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末、紡錘状へマタイト粒子粉末及びFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末のCo量、Al量、希土類元素量、ナトリウム量、カルシウム量及びその他の金属元素の含有量は、「誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS4000」(セイコー電子工業(株)製)を使用して、測定した。
【0062】
粒子粉末のBET比表面積値は、「モノソーブMS−11」(カンタクロム(株)製)を使用して、BET法により測定した値で示した。
【0063】
結晶子サイズD110(紡錘状合金磁性粒子のX線結晶粒径)は、「X線回折装置」(Rigaku製)(測定条件:ターゲットCu、管電圧40kV、管電流40mA)を使用して、X線回折法で測定される結晶粒子の大きさを、紡錘状合金磁性粒子の(110)結晶面のそれぞれに垂直な方向における結晶粒子の厚さを表したものであり、各結晶面についての回折ピーク曲線から、下記のシェラーの式を用いて計算した値で示したものである。
【0064】
D110=Kλ/βcosθ
【0065】
但し、β=装置に起因する機械幅を補正した真の回折ピークの半値幅(ラジアン単位)。
K=シェラー定数(=0.9)、
λ=X線の波長(Cu Kα線 0.1542nm)、
θ=回折角((110)面の回折ピークに対応)。
【0066】
紡錘状合金磁性粒子粉末の残存カーボン量は、「炭素・硫黄測定装置」(Horiba製)を使用して測定した。
【0067】
紡錘状合金磁性粒子粉末の嵩密度は、試料を内容積31mlの容器に入れて、下記計算により求めた。
嵩密度(g/ml)=試料(g)/31(ml)
【0068】
紡錘状合金磁性粒子粉末の水分含有量は、「カールフィッシャー水分計」(京都電子(株)製)を使用して測定した。
【0069】
Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末及び磁性塗膜片の磁気特性は、「振動試料磁力計VSM−3S−15」(東英工業(株)製)を使用して、外部磁場795.8kA/m(10kOe)で測定した。
【0070】
磁性塗膜片の磁気特性は、下記の成分を100mlのポリビンに下記の割合で入れた後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で8時間混合分散を行うことにより調製した磁性塗料を厚さ25μmのポリエチレンテレフタートフィルム上にアプリケータを用いて50μmの厚さに塗布し、次いで、500mT(5kGauss)の磁場中で乾燥させることにより得た磁性塗膜片の磁気特性を測定した。
【0071】
Figure 0004228165
【0072】
粉体の飽和磁化値の酸化安定性の評価であるΔσs及び磁性塗膜の飽和磁束密度Bmの耐候性の評価であるΔBmは、温度60℃、相対湿度90%の恒温槽に粉体又は磁性塗膜片を一週間静置する促進経時試験の後に、粉体の飽和磁化値及び磁性塗膜の飽和磁束密度をそれぞれ測定し、試験開始前に測定したσs及びBmと促進経時試験一週間後のσs’及びBm’との差(絶対値)を試験開始前のσs及びBmでそれぞれ除した値をΔσs、ΔBmとして算出した。Δσs、ΔBmが0%に近いほど酸化安定性が優れていることを示す。
【0073】
<紡錘状ゲータイト粒子粉末の製造>
炭酸ナトリウム25molと、水酸化ナトリウム水溶液を20mol(混合アルカリに対し水酸化ナトリウムは規定換算で28.6mol%に該当する。)を含む混合アルカリ水溶液30lを気泡塔の中に投入し、窒素ガスを通気しながら47℃に調整する。次いでFe2+として20molを含む硫酸第一鉄水溶液20l(硫酸第一鉄に対し混合アルカリ水溶液は規定換算で1.75当量に該当する。)を気泡塔中に投入して20分間熟成した後、Co2+4.2molを含む硫酸コバルト水溶液4l(全Feに対しCo換算で21原子%に該当する。)を添加し、さらに4時間40分間熟成した後、空気を通気してFe2+の酸化率40%まで酸化反応を行ってゲータイト種晶粒子を生成させた。
【0074】
次いで、Al3+2.4molを含む硫酸アルミニウム水溶液1l(全Feに対しAl換算で12原子%に該当する。)を添加して酸化反応を行った後、水洗してプレスケーキとした。
【0075】
前記ケーキの一部を常法により乾燥、粉砕を行って得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末は、平均長軸径が0.131μm、平均短軸径が0.0175μm、軸比が7.5、標準偏差σが0.0250μm、サイズ分布(標準偏差/平均長軸径)が0.191、BET比表面積値が179.2m2/g、粒子全体としてCo含有量が全Feに対して21原子%、Al含有量が全Feに対して12原子%であった。
【0076】
<紡錘状へマタイト粒子粉末の製造>
ここに得た紡錘状ゲータイト粒子粉末のプレスケーキを水中に十分分散させた後、硝酸イットリウム水溶液と硫酸コバルト水溶液を添加し十分攪拌した。次いで攪拌しながら、炭酸ナトリウム水溶液を添加して水溶液のpHを9.5に調整し、その後、フィルタープレスで濾過、水洗し、プレスケーキを得た。得られたプレスケーキを、押出し成型機を用いて孔径3mmの成型板で押出し成型して造粒し、次いで120℃で乾燥し、全Feに対してY換算で8原子%のY化合物と全Feに対してCo換算で12原子%のCo化合物とが被覆された紡錘状ゲータイト粒子粉末の造粒物を得た。得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末中のCoの含有量は全Feに対して33原子%、Alの含有量は全Feに対して12原子%、Yの含有量は全Feに対して8原子%であった。
【0077】
前記Y、Co化合物が被覆された紡錘状ゲータイト粒子粉末の造粒物を空気中300℃で脱水し、その後、同雰囲気中600℃で加熱脱水して紡錘状ヘマタイト粒子粉末の造粒物を得た。得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末造粒物は、顆粒状で、平均径が2.6mmであった。
【0078】
得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末は、平均長軸径が0.121μm、平均短軸径が0.0168μm、軸比が7.2、標準偏差σが0.0220μm、サイズ分布が0.182、BET比表面積値が94.2m2/gであり、該粒子中のCoの含有量は全Feに対して33原子%、Alの含有量は全Feに対して12原子%、Yの含有量は全Feに対して8原子%であった。
【0079】
<紡錘状合金磁性粒子粉末の製造>
ここに得た紡錘状ヘマタイト粒子粉末の顆粒状造粒物100g(平均径:2.6mm)を内径72mmのバッチ式固定層還元装置に入れ、層高を5.5cmとした後、500℃でガス空塔速度50cm/sの窒素ガスを通気しながら、500℃まで加熱昇温し、次いで、水素ガスに切り替えてガス空塔速度50cm/sの水素ガスを通気しながら、500℃で排気ガス露点が−30℃に達するまで加熱還元して紡錘状合金磁性粒子粉末の造粒物を得た。
【0080】
その後、再び窒素ガスに切り替えて80℃まで冷却し、品温を80℃で保持し、次いで空気を混合して酸素濃度を0.35vol%まで徐々に増加させて品温が[保持温度+1]℃になるまで(最大品温140℃、処理時間2時間)表面酸化処理を行い、粒子表面に表面酸化層を形成した。
【0081】
前記紡錘状合金磁性粒子粉末の飽和磁化値は128.2Am2/kgであった。次に、不活性ガス雰囲気下で600℃まで昇温し、ガス空塔速度60cm/sの水素ガスに切り換えて排気ガス露点が−30℃に達するまで再度加熱還元した。
【0082】
その後、再び窒素ガスに切り替えて40℃まで冷却し、品温を40℃で保持し、次いで水蒸気6g/m3と空気を混合して酸素濃度を0.35vol%まで徐々に増加させて、品温が[保持温度+1]℃となるまで(最大品温80℃、処理時間1時間)表面酸化処理を行い、粒子表面に安定な表面酸化層を形成して紡錘状合金磁性粒子の造粒物を得た(第1工程)。
【0083】
第1工程で得られた紡錘状合金磁性粒子粉末の造粒物50gを、乳鉢で粗粉砕し、60℃のイオン交換水1lに1時間浸漬した後、ろ過し、更に1lのイオン交換水でろ液の電導度が10μS/cm以下になるまで洗浄した後、ろ過してケーキを得た(第2工程)。
【0084】
第2工程で得られた紡錘状合金磁性粒子粉末のケーキに、アセトン1l(親水性溶媒で沸点56.5℃)を通して該粒子粉末に付着している水をアセトンに置換した後、ろ過して押し出し成型して造粒物(未乾燥)を得た(第3工程)。
【0085】
ここに得た紡錘状合金磁性粒子粉末の造粒物(未乾燥)をステンレス製パレットに入れ、60℃、相対湿度5%の空気を通気している乾燥機に3時間静置して、アセトンを乾燥させると共に表面酸化被膜を形成させて紡錘状合金磁性粒子粉末を得た(第4工程)
【0086】
ここに得た紡錘状合金磁性粉末は、平均長軸径が0.110μm、BET比表面積値が50.4m2/g、結晶子サイズD110が156Åの粒子からなり、紡錘状かつ粒度が均整で樹枝状粒子がないものであった。また、該粒子中のCo含有量は全Feに対して33原子%、Al含有量は全Feに対して12原子%、Y含有量は8原子%であった。
【0087】
また、嵩密度が0.43g/ml、可溶性Naが2ppm、可溶性Caが44ppm、残存カーボンが0.28wt%、水分が1.2wt%であった。尚、第1工程直後の紡錘状合金磁性粒子粉末及び第4工程を経た紡錘状合金磁性粒子粉末から可溶性Feは検出されなかった。
【0088】
また、該紡錘状合金磁性粒子粉末の磁気特性は、保磁力Hcが190.5kA/m(2394Oe)、飽和磁化値σsが139.8Am2/kg(139.8emu/g)、角型比(σr/σs)が0.528、飽和磁化値の酸化安定性Δσsが絶対値として3.0%(実測値−3.0%)であった。
【0089】
また、磁性塗膜の特性は、保磁力Hcが191.1kA/m(2402Oe)、角形比(Br/Bm)が0.87、SFDが0.38、酸化安定性ΔBmが絶対値として2.9%(実測値−2.9%)であった。
【0090】
【作用】
本発明において最も重要な点は、紡錘状合金磁性粒子粉末を水洗した後、該粒子粉末に付着している水を特定の有機溶媒で置換脱水後、乾燥することによって、良好な磁気特性を維持したまま、優れた分散性を有していると共に可及的に可溶性塩が低減されているFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末が得られるという事実である。
【0091】
本発明においては、第1工程で全Feに対してCo換算で20〜45原子%のコバルトを含有する出発原料を加熱還元して得られた紡錘状合金粒子粉末に、表面酸化処理を行って安定化させているから、第3工程において用いる有機溶剤の変成を抑制できるので、有機溶剤に起因する残存カーボン量を極力少なくすることができる。また、第1工程であらかじめ安定化されているから、第4工程において高い温度で乾燥処理を行っても磁気特性が大幅に低下することはない。
【0092】
さらに、本発明においては、第2工程で紡錘状合金磁性粒子粉末の状態で水洗するため、途中の生成物であるゲータイト粒子粉末、ヘマタイト粒子粉末の段階で水洗する場合に比べて、可溶性ナトリウム、可溶性カルシウムなどの不純物をより低減することができる。
【0093】
また、第2工程の水洗後、第3工程において特定の有機溶媒で置換、脱水すること、即ち、表面張力の大きな水を表面張力が小さい有機溶媒に置換することによって、乾燥後の紡錘状合金磁性粒子粉末の粒子間の凝集を抑制することがでる。更に、用いる有機溶媒の沸点が100℃以下であること及び第4工程の乾燥温度を有機溶媒が揮発するのに十分に高い温度範囲で乾燥を行うことから、紡錘状合金磁性粒子粉末中の残存カーボン量も極力少なくすることができる。この相乗効果によって、磁性塗膜中での紡錘状合金磁性粒子粉末の磁気特性及び分散性が低下しないものである。
【0094】
この事実は、本発明の実施例と比較例を対比することからも明らかである。即ち、水洗後有機溶媒で置換しない場合(比較例2)は、粒子間の凝集が起こり嵩密度が高く分散性が低下している(磁性塗膜のSFDが悪くなる)。また、水洗後有機溶媒で置換しても乾燥温度が高くなければ(比較例4)、嵩密度の増加と保磁力の低下は抑制できるが、有機溶媒を十分に揮発することができず残存カーボン量が多くなり、磁性塗膜中での分散性が低下する。
【0095】
また、第4工程において水蒸気を含有する雰囲気で乾燥処理及び表面酸化処理することによって、保磁力を高くすることができる理由については未だ明らかではないが、紡錘状合金磁性粒子粉末の表面酸化層を構成するFe−Co酸化物が形状あるいは結晶異方性を向上させ、磁気特性、特に、保磁力の向上に上手く関与しているものと本発明者は推定している。
【0096】
また、本発明における合金磁性粒子粉末の粒子形状は紡錘状であるにもかかわらず磁気特性の低下が少ない。粒子形状が針状である特開昭56−51029号公報及び針状と推定される特開平7−22224号公報では、磁気特性の低下が少ないが、粒子形状が紡錘状である特開平8−172005号公報では、水洗による磁気特性の低下が顕著である。本発明の製造法では上記理由により、粒子形状が紡錘状でも磁気特性の低下が少ないものと本発明者は考えている。
【0097】
また、本発明によって得られた紡錘状合金磁性粒子粉末は、水洗による不純物以外の金属成分が溶出することが無く、紡錘状合金磁性粒子粉末として高い金属含有率を有しているので、高密度の磁気記録媒体用として優れている。
【0098】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げる。
【0099】
出発原料1〜2:
出発原料粒子粉末として、表1に示した特性を有する出発原料を準備した。
なお、出発原料1は前記実施の形態に記載の紡錘状ヘマタイト粒子粉末と同様の粒子粉末である。出発原料2は前記実施の形態に記載の紡錘状ゲータイト粒子粉末に対して被覆するCo化合物の量を変化させ、次いで、ヘマタイト粒子粉末を得るときの加熱脱水温度を580℃にした以外は前記実施の形態と同様にして得た紡錘状ヘマタイト粒子粉末である。
【0100】
【表1】
Figure 0004228165
【0101】
実施例1〜6、比較例1〜7:
出発原料の種類及びそれぞれの製造条件を種々変化させた以外は前記発明に実施の形態と同様にして紡錘状合金磁性粒子粉末を得た。
【0102】
このときの製造条件を表2に、得られた紡錘状合金磁性粒子粉末の諸特性を表3に示す。なお、実施例5の出発原料は、発明の実施の形態に記載のY化合物とCo化合物とが被覆された紡錘状ゲータイト粒子粉末である(紡錘状ゲータイト粒子粉末の組成は、全Feに対してCo含有量が33原子%、Al含有量が12原子%、Y含有量が8原子%である。)。比較例6で使用した有機溶媒:シクロヘキサノールは親水性で沸点が161.10℃である。比較例7で使用した有機溶媒:エチルメチルケトンは疎水性で沸点が79.58℃である。比較例8では、第1工程における最初の還元処理の後、第2工程での水洗を行い、溶媒置換を行わない第3工程及び水蒸気を含有しない空気中で第4工程を経た後、再度還元した以外は、前記発明の実施の形態と同様にして紡錘状合金磁性粒子粉末を得た。
【0103】
【表2】
Figure 0004228165
【0104】
【表3】
Figure 0004228165
【0105】
表3に示した各々の紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて、前記発明の実施の形態と同様にして磁性塗膜片を得た。得られた磁性塗膜片の諸特性を表4に示す。
【0106】
【表4】
Figure 0004228165
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な磁気特性を維持したまま、優れた分散性を有すると共に可及的に可溶性塩が低減されているFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子を得ることができる。
【0108】
また、本発明により得られたFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて得られる磁気記録媒体は、高い保磁力、高い飽和磁化値及び優れた分散性を有するので、高密度記録、高出力、しかも、信頼性が高く耐候性が向上した磁気記録媒体として好適である。

Claims (2)

  1. 全Feに対してCo換算で20〜45原子%のコバルトを含有する平均長軸径が0.05〜0.15μmの紡錘状ゲータイト粒子又は該ゲータイト粒子を加熱脱水して得られる紡錘状へマタイト粒子を出発原料として磁気記録材用紡錘状合金磁性粒子粉末を得る製造法において、前記出発原料を加熱還元を行って紡錘状合金磁性粒子粉末を得、該紡錘状合金磁性粒子粉末を気相中で表面酸化する第1工程、第1工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末を水洗する第2工程、第2工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末に付着している水を親水性、且つ、沸点が100℃以下の有機溶媒で置換して脱水ろ過した後に、造粒成型する第3工程及び第3工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末を50〜100℃の温度範囲の空気中で有機溶媒を乾燥させると共に再表面酸化する第4工程からなることを特徴とする磁気記録材用Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法。
  2. 請求項1記載の製造法において、第4工程で相対湿度1〜20%の空気中で紡錘状合金磁性粒子粉末を乾燥と共に再表面酸化することを特徴とする磁気記録材用Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法。
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