JP4246106B2 - 飽和可能リアクトルを備えた電気アーク溶接機の電源 - Google Patents

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Description

本発明は、電気アーク溶接に使用されるタイプの電源に関し、さらに電源の操作を増強する新規な飽和可能リアクトルを利用する電源に関する。
本発明は、2つの一次スイッチイング回路が、交互に変圧器の二次ネットワークでパルスを生成するために、直列の二つのコンデンサに対するそれぞれのスイッチイング回路を含むタイプの電源に関する。本発明のタイプにほぼ類似している電源は、特許文献1に示されている。本発明が使用される環境では、また、二次ネットワークと溶接設備との間の出力回路を含み、この場合、スイッチ手段が、AC、正のDCまたは負のDCのモードの何れかで電気アーク溶接機を操作するために用いられる。このような出力スイッチングネットワークは、特許文献2に示されている。これらの2つの特許文献は、本発明が特に関している電源に関する一般的な情報として、本明細書に参考として引用される。それらは、本発明そのものを示していない。しかし、本発明の背景技術であるので、本明細書では電源の操作の詳細として引用するが、本明細書においてそのものを繰り返し記述する必要はないと思われる。
高電圧電力線を使用するインバータ電源を用いる電気アーク溶接機では、しばしば、高電圧を利用するために直列に接続された2つの一次スイッチング回路を用いる。この一般的な概念は、特許文献1に示されている。これらの2つの直列に接続されたスイッチング回路は、変圧器を介して、溶接機の出力溶接回路に結合される。システムは、電源に含まれ、直列に接続された一次回路をバランスさせて、前記2つの回路の電気部品を損なう電圧の不均衡を避けている。この直列の一次回路のバランスをとることは、通常、スイッチング操作中に2つの直列に接続されたコンデンサが等しい電圧を維持するための、直列に接続する一次回路のコンデンサに電荷を戻すためのダイオードクランプネットワークにより達成される。各直列回路は、通常、2つの直列に接続された電源スイッチを含み、この2つの電源スイッチを導電性にして、入力一次ネットワークの一次回路の1つに電圧を加え、この一次回路は、直列に接続されたコンデンサの内の1つのコンデンサの電圧を含むように構成している。スイッチの第一のセットが伝導性であるとき、他の一次回路のスイッチの第二のセットは、伝導性ではない。しかし、第一の一次回路の電圧は、第二の一次回路の一次巻線に、変圧器のコアを経て誘導的にカップリングされる。もし第二のコンデンサの電圧が第一のコンデンサの電圧より低いならば、電流が、第二の回路のクランプダイオードを経て流れて、一次回路の2つの直列接続された入力コンデンサの電圧を等化する。次のスイッチングサイクル中、スイッチの第一の組みはターンオフし、そしてスイッチの第二の組みはターンオンして、第二の入力のコンデンサの電圧を使用して第二の一次回路の一次巻線に電圧を加える。この電圧は、同様に、第一の一次回路の一次巻線に、変圧器のコアを経て誘導的にカップリングされる。また、もし第一のコンデンサの電圧が第二のコンデンサの電圧より低いならば、電流は、第一の一次回路のダイオードを経て流れる。この方法を利用することにより、2つのコンデンサは、高速スイッチング操作中バランスされる。
米国特許第5351175号明細書 米国特許第6489592号明細書
しかし、このよく行われる方法は、スイッチの誘導時間があまりに短くて、2つの直列の一次回路のクランプ回路にとり適当な時間で適切にターンオンすることができない。この条件は、変圧器が低い電圧またはショート回路の負荷に電流を制御しているときに、生ずる。この状況では、コンデンサは、バランスがとれなくなる。この条件は、電気部品に損傷をあたえ、このため、高価なソフトウエアプログラムが、しばしば、使用されて、入力コンデンサの電圧を感知しそして2つのコンデンサのバランスを待つ一次巻線回路の1つを不活性にする。これは、高価であり、そして出力のための有効なコントロール装置を要する。スイッチの1つのセットのスキップ・ファイアリング(firing)が、電源に使用されてきているが、しかし、この装置は、溶接工程例えばTIGまたはパルスMIG溶接について低い電流を制御しているとき、実際上面倒な問題を生ずる。溶接回路の低電圧開始法(Reduced
Voltage Starting)のような方法で低い電圧を制御するときにも、これは問題である。電気アーク溶接で使用される電源変圧器の活性ソフトウエアの補正は、高価であり、そして溶接にとり満足できるものではない。
本発明によれば、飽和可能リアクトルは、上述のように、電源の変圧器と直列に接続される。1つ以上の飽和可能リアクトルは、スイッチの組みの1つが伝導性にされた直後の時間中、電圧を抑止する。この遅延の作用が、インバータ電源の出力で変圧器の二次ネットワークに電力がカップリングされるのを防ぐ。従って、スイッチの組みは、より長い時間伝導性にし、2つの一次回路のダイオードクランプネットワークがコンデンサの電荷をバランスするのを可能にし、このため、コンデンサを、高速スイッチング操作中バランスがとれた状態にする。飽和可能リアクトルに関する時間遅延の設定は、約1.0msである。これは、2つのスイッチング回路のクランプネットワークに対して、十分な時間を与え、これにより2つの直列接続された一次回路の入力コンデンサの電圧を適切に操作しバランスさせることを可能にする。
飽和可能なスイッチング特性は、IGBTのような電子スイッチよりソフトである。スイッチングが開始するとき、飽和可能リアクトルは、リアクトルが飽和するまで、印加される電圧をブロックする。その結果、電流は、飽和が生ずるまで、流れない。磁気コアが飽和する時、電流が発生する。そしてこのターンオンの特性は、電子スイッチの早いスイッチングに比べて遅くかつソフトに生ずる。従って、電気信号において寄生共鳴が少ないという利点が存在する。飽和可能リアクトルがスイッチングサイクルで遅延をもたらすため、飽和可能リアクトルが飽和するまで、一次回路から二次回路へ転送される電力は存在しない。その結果、コントロール回路のパルス幅は、飽和可能リアクトルの遅延時間以下に低下できるので、スイッチング操作が存在したとしても、零の出力電力が存在する。飽和可能リアクトルの遅延より短い時間を有する短いパルスは、出力電力のないスイッチングを可能にする。これは、従来技術のスキップ・ファイアリングコントロール回路を使用することなく、零の電力出力からフルパワーへの滑らかな制御を達成する新規な飽和可能リアクトルを使用する装置を提供する。低い電力または無電力の操作で、2つの直列接続されたコンデンサは、各一次回路の通常のクランプネットワークを使用して、バランスがとれたままに維持される。従来のソフトウエアに基づくスキップ・ファイアリング技術を利用しても、コンデンサはバランスされるが、コンデンサをバランスするこの装置は、一般に、TIGまたはパルスMIG溶接には使用できない。
本発明によれば、直列に接続された2つの一次回路を有するインバータを含む電気アーク溶接機用の電源の改良が提供される。直列接続された一次回路のそれぞれは、一次巻線セクションと並列に接続されたコンデンサ、このコンデンサの電圧を加えるための1つ以上のスイッチからなる。この方法で、一次回路は、一次巻線セクションに電圧パルスを交互に生成させて、一次巻線に結合されしかも出力溶接回路に出力回路により接続された二次巻線を有する二次回路に電圧パルスを誘導する。このタイプの一次電源の改良は、直列回路または出力回路の少なくとも1つにソフトフェライト飽和可能リアクトルを使用して、一次巻線セクションにおける電圧パルスを遅延させることである。飽和可能リアクトルは、リングの形状を有し、そして一次回路の直列回路または出力回路の何れかを構成するワイヤの回りに設けられる。本発明によれば、飽和可能リアクトルに使用されるソフトフェライトは、約0.40テスラより低い飽和フラックス密度を有する。これは、少なくとも0.5マイクロ秒の一次巻線における遅延を生ずるように大きさが決められる。飽和可能リアクトルは、操作及び表面の冷却を最適にするために、3.5cm2/cm3より大きい表面積対体積比を有するリングである。出力回路は、通常、2つの入力リードを備えた整流器であり、その場合、飽和可能リアクトルは、本発明の二次回路から延在しているこれらのリードの両者を囲むリングである。
本発明の他の態様によれば、二次巻線回路を有する変圧器の一次巻線回路の電圧を遅延させる飽和可能リアクトルリングが提供され、その場合、飽和可能リアクトルは0.40テスラより低い飽和フラックスを有する。この飽和可能リアクトルは、1つの態様では、外側の直径より長い長さを有する。他の態様では、リングの断面は、その高さより長い幅を有する矩形である。その上、熱シンク管は、本発明の他の特徴によれば、飽和可能リアクトルリングのまわりに配置される。
本発明の主な目的は、電気アーク溶接で使用されるインバータタイプの電源の変圧器と直列に設けた飽和可能リアクトルを提供することであり、これにより、直列に接続された入力コンデンサの電圧をバランスさせるために一次電圧パルスに僅かな遅延をもたらすことである。
本発明の他の目的は、飽和可能リアクトルが0.40テスラより低い飽和フラックス及び大きな表面積対体積比を有するソフトフェライトを有する、上記の飽和可能リアクトルの提供である。
本発明の他の目的は、上記の飽和可能リアクトルを利用する電気アーク溶接機用の改良された電源の提供である。
本発明のさらに他の目的は、パルス変圧器が飽和可能リアクトルを使用して変圧器の入力回路を安定化することを目的として一次パルスを遅延する、インバータ駆動溶接機の改良されたパルス変圧器の提供である。
これらの目的及び他の目的並びに利点は、図面とともに以下の記述から明らかになるだろう。
図1の配線図は、本発明の好ましい態様を示し、電源Aは、端子Gで接地している素材W及び電極Eを有する出力回路として概略的に画かれた溶接工程を行うためのインバータ電源である。電源は、フィルタインダクタ12を備えた三相入力を有する入力整流器10を含み、リード14、16にDCバスを画定している。2つのバスの間には、直列に接続され、かつ出力変圧器の一次側用の出力パルスを生成するために交互に操作される2つの一次回路20、22が設けられている。直列に接続されたコンデンサ30、32は、一次回路20、22の入力側に設けられている。一次回路20は、同等のスイッチQ1、Q2及びクランプダイオードD1、D2を含み、一次巻線40にコンデンサ30の電圧を適用することによりパルスを生成する。一次回路22は、クランプダイオードD3及びD4を備えた同等のスイッチQ3、Q4を含み、一次巻線42にコンデンサ32の電圧を適用する。一次巻線40、42は、コア44により示され、又、変圧器の結合を示す点線で示される変圧器の一次巻線である。一次巻線40、42は、コア44を介して二次巻線50、52にパルスを生成する。この二次巻線50、52は、それぞれ、出力リード64、66を有し、この出力リード64、66は、ダイオード54、56により形成される出力整流器に接続される。センタータップリード60は、ダイオードとともに、チョーク70を介して、電極E及び素材Wの間に溶接電流を提供する。スイッチQ1、Q2は、ともにターンオンして、コンデンサ30の電圧により一次巻線40にエネルギーを与える。パルスを生成するために、スイッチQ3、Q4は、スイッチQ1及びQ2がターンオンしている時、ターンオフする。一次巻線40の電圧は、コア44を経て他の一次巻線42に誘導的にカップリングされる。もしコンデンサ32の電圧がコンデンサ30の電圧より低いならば、電流はクランプダイオードD3、D4を経て流れて、コンデンサ30、32の電圧を等化する。次のスイッチングサイクル中、スイッチQ1及びQ2はターンオフし、スイッチQ3、Q4はターンオンする。これにより、コンデンサ32の電圧によって一次巻線42にエネルギーを与える。この電圧は、同様に、一次コイル40に誘導的にカップリングされる。もしコンデンサ30の電圧がコンデンサ32の電圧より低いならば、充電電流は、クランプダイオードD1及びD2に流れて、同様に、コンデンサ30、32の電圧を等化する。この方法は、交互に行われて、一次回路20、22により一次パルスを生成し、電源用の出力変圧器の一次セクションを形成する。電圧が、スイッチの低いデューティサイクルのために低いときは、高速スイッチング操作中コンデンサを等化するに充分な時間が存在しない。スイッチング速度は、約20kHzであり、好ましくは40kHzである。このコンデンサの不均衡は、部品に損傷を与える。この不均衡を防ぐために、電源は、一般に、一次回路20、22の1つをスキップファイアリングしてコンデンサをバランスさせるソフトウエアを含む。しかし、本発明は、スキップ・ファイアリングする必要性がない。
図1に示された溶接機回路の変圧器Tは、一次巻線40、42のパルスにより、二次回路B(リード64、66によってダイオード54、56に接続された二次巻線50、52を含む)に電流パルスを生じさせる。整流器への入力は、センタータップリード60での電流と組み合わされて、チョーク70を経て溶接操作を作動させる。実際には、特許文献2に画かれたスイッチングネットワークが、出力回路に使用されて、出力溶接操作を作動させる。このタイプの出力回路では、2つのスイッチが、整流器の出力側に設けられる。出力は、リード62で正の電圧である。センタータップリード60は、接地電位である。これらのリードは、二次整流器の出力を形成する。特許文献2の出力スイッチを交互に操作することにより、AC溶接モードが達成される。特許文献2のスイッチの何れか1つは、ダウンチョッパとして操作され、連続して正のDC溶接モードまたは負のDC溶接モードの何れかをもたらす。スイッチングネットワークについて、特許文献2は本明細書において参考として引用されるが、それは本発明の一部を形成するものではない。
本発明は、リード64、66の回りの磁気飽和可能リアクトルリングとして二次回路Bと直列であり、しかもコア104により磁気的に結合された巻線100、102として表される飽和可能リアクトルカップルSRの付加に関する。飽和可能リアクトルは、ダイオード54、56からなる整流器に向かうリード64、66の回りのリングとして、従来技術とは全く異なってデザインされる。この飽和可能リアクトルは、一次巻線40、42に生ずるパルスを遅延させて、スイッチング操作間に、コンデンサ30、32を等化またはバランスさせる。この遅延は、一次巻線40、42の短いパルスにより得られる低い電圧によるコンデンサの不均衡の問題を防ぐ。実際には、パルスの遅延は、少なくとも約0.5マイクロ秒である。飽和可能リアクトルは、スイッチングペアが活性化された直後の時間、電圧をブロックする。これは、二次巻線50、52へ電力がカップリングするのを防ぐ。スイッチペアは、そのため、より長い時間ターンオンし、一次回路20、22のダイオードクランプネットワークをしてコンデンサ30、32の電荷をバランスするに十分な時間を生じさせる。飽和可能リアクトルの遅延時間を約1.0マイクロ秒に設定すると、クランプネットワークを適切に操作するのに十分な時間を与え、そしてコンデンサの電圧をバランスさせる。しかし、0.5マイクロ秒の遅延でも有益な結果をもたらすことが分かった。実際には、遅延は、約2.0マイクロ秒である上限を有しなければならない。材料の構築及び飽和可能リアクトルカップルSRのサイズは、標準の周知の飽和可能リアクトルの技術を使用することにより、この望ましい遅延を達成する。この飽和可能リアクトルは受動であり、そしてコントロール巻線を含まない。リアクトルは、リアクトルが飽和するまで、電流の流れを防ぐことにより一次回路のパルスを遅延させる。
本発明の態様では、飽和可能リアクトルは、変圧器の一次巻線または二次巻線の何れかと直列であり、一次巻線にパルスを与えるのに使用されるコンデンサをバランスする目的でパルスの遅延を達成する。飽和可能リアクトルの他の別の用途は、図2に示される電気アーク溶接機用のマトリックス変圧器M(標準の技術に従ってスイッチQ1、Q2及びスイッチQ3及びQ4によりパルスを与えられる一次巻線122を有する電源120を含む)における使用である。このマトリックス装置では、マトリックス変圧器130、132及び134は、それぞれ個々の結合コア124、126及び128を含む。これらのコアは、パルスされる一次巻線122をいくつかの二次巻線(それらの3つが画かれている)に結合する。二次回路さらにその整流器のそれぞれが同じであるため、二次回路及び整流器140のみが説明されるが、この説明は、マトリックス変圧器Mを構成している他の二次回路及び整流器142、144に適用される。整流器140は、入力リード150、152、並びに正の端子である出力リード154を含む。二次巻線160、162へのパルス入力は、3つの二次回路からの3つの出力リード154の合計を正の端子にもたらす。リード164は、接地電位である。前述したように、相対する極性の出力リード154、リード164は、好ましくは、特許文献2に示されたように、出力スイッチネットワークに接続される。従って、チョーク170を備えた素材W及び電極Eにより示される溶接装置は、AC溶接モード、正のDC溶接モードまたは負のDC溶接モードで操作される。本発明の好ましい態様で使用されるこのスイッチングネットワークは、特許文献2から参考として引用されることができるため、本発明の好ましい態様では説明されていない。個々の二次回路は、それぞれ、それら自体の飽和可能リアクトルSR1、SR2及びSR3を含む。ときには、ただ1つの二次回路がリアクトルを有する。3つの画かれた飽和可能リアクトルのそれぞれは、整流器140の入力リード150、152を囲む管状の構造として画かれている、ソフトフェライトリングである。これらの飽和可能リアクトルのそれぞれは、入力巻線において電圧パルスを遅延して、図1に示されるコンデンサ30、32の電圧をバランスさせる。
本発明で使用される飽和可能リアクトルの動作は、図3及び4において概略的に画かれ、そして従来技術と比較される。スイッチの操作により生ずる電圧パルスは、スイッチQ1、Q2についてパルス200そしてスイッチQ3、Q4についてパルス202として画かれている。飽和可能リアクトルのない従来技術では、二次回路の電流は、グラフ204、206により指示される形を有する。二次回路において飽和可能リアクトルを使用することにより、電流は遅延して、一次回路20、22のコンデンサに適用される実際の電圧を遅延させる。これは、結局、電圧パルスを遅延させる。電流は、204a、206aとして示され、そして遅延時間は210であり、その遅延は、飽和可能リアクトルのサイズ及び材料により決定される。これらの材料は、遅延時間が少なくとも0.5マイクロ秒そして好ましくは1.0マイクロ秒であるように選ばれる。3.0マイクロ秒の一般的な範囲にあると思われる遅延の上限が存在する。遅延の概念は、コンデンサ30、32をして反対の一次巻線の操作からコンデンサに逆電圧が誘導される前に安定化させることである。磁気飽和可能リアクトルは、飽和可能リアクトルが飽和するまでどんな電力も一次回路から二次回路へ転送されないようにスイッチングサイクル中に遅延時間210をもたらす。この利点は、例えばパルスの幅200、202のようなコントロール回路のパルス幅が遅延値210以下になり、スイッチングサイクルを中断することなく零の出力電力を生成することである。これは、スイッチQ1−Q4をスキップ・ファイアリングすることなく、零の出力から最大出力に亘って滑らかな制御を達成するメカニズムを提供する。前述のように、このスキップ・ファイアリングは、TIG溶接またはパルスMIG溶接において低電流を制御するとき、問題を生ずる。遅延は、飽和可能リアクトルのボルト・秒の積に比例する。従来技術と飽和可能リアクトルを使用する本発明との差は、図5及び図6に示される。図5に画かれているように、非常にせまいパルス220が、低電力及び低電圧の出力を得るために形成される。この短いパルスは、パルス220を相対する一次回路20または22中に誘導する出力電流222を生成する。クランプダイオードがコンデンサ30、32の電圧をバランスするに充分な時間はない。変圧器の二次回路に飽和可能リアクトルを使用して、図6に示されるように、それぞれ交互の一次回路20、22からの小さい電圧パルス230及び232は、すべての電力が二次回路を経て転送される前に遅延210を生ずる。電力は、電流パルス230a、232aにより示される。低電圧において、遅延210は、コンデンサのバランスを可能にする。パルス230、232の後縁迄の期間は、240として示される。図6から分かるように、個々のパルスのデューティサイクルは、極めて小さく、低い出力電力及び電圧を生成する。従って、入力コンデンサへの電圧の遅延が、任意の補助回路なしにまたはスキップ・ファイアリングなしに、コンデンサをバランスさせることができる。
飽和可能リアクトルカップルSRのボルト・秒の積は、使用される磁気材料の断面積及びタイプに比例する。電気アーク溶接用のインバータを使用する電源の一次電圧は、典型的には、実際の溶接操作に必要な電圧よりはるかに高い。その結果、溶接機の変圧器は、典型的に8:1−3:1の範囲内の巻数比を有する。変圧器のより低い電圧側が二次回路130、132、134にあるために、飽和可能リアクトルカップルSRを二次回路に配置することが、好ましい。その結果、飽和可能リアクトルは、二次ネットワーク中に用いるのが最も効果的である。もちろん、飽和可能リアクトルは、一次巻線122へのリードのまわりに適用されることにより、変圧器の高電圧側で使用されることもできる。実際には、飽和可能リアクトルは、受動であるかまたはコントロールされる。本発明では、リアクトルは、変圧器の一次巻線または二次巻線のリードに設けられる磁気リングコアからなる。本発明によれば、飽和可能リアクトルは、飽和及び不飽和が生ずる時間に影響を与えるコントロール巻線を含まない。飽和は、約0.4テスラより低いフラックス密度であり、そして図2に示されるように、入力リード150、152のまわりの飽和可能リアクトルの材料及び寸法によって固定される。通常の実際では、スイッチングの概念の飽和可能リアクトルは、「方形ループ(square
loop)材料」により選択される。これは、「ハードフェライト」と定義され、そして図7においてB−H曲線300により示される。この方形ループ材料は、約1.0テスラまたは10キロガウスである高い飽和フラックス密度を有する。このハードフェライト材料は、せまいB−H曲線300によってヒステリシス損が低いために、スイッチング飽和可能リアクトルで使用される。コアの損失は、低いように選ばれるので、飽和可能リアクトルは、高いスイッチング周波数でもハードな飽和に耐えることができる。この高透磁率磁気材料は、コントロール巻線がリアクトルに使用されるとき望ましい。それは、小さいコントロール電流がコアをその飽和状態に保持するからである。これらのハードフェライト材料は、またB−H曲線の方形の形状のために、はっきりしたスイッチング特性を有する。B−H曲線300を有するハードフェライト方形ループ材料を含む種々の市販の材料を利用することが出来る。しかし、本発明は、図7に示されるように、ソフトB−H曲線302を有するソフトフェライト材料を使用する。ソフトフェライト材料は、比較的低い透磁率を有するようにデザインされ、飽和を達成するために高い磁化電流を要する。本発明による飽和フラックス密度は、比較的低く、典型的に約0.3テスラである。
飽和可能リアクトルを高い周波数で操作されるとき、本発明で使用されるソフトフェライトコアは、それらがスイッチング操作中実質的な損失を示すため、適切な冷却を行うようにデザインされねばならない。本発明は、電気アーク溶接機用の電源に関する。この電源は、B−H曲線300を有する飽和可能リアクトルを使用できない。それは、この材料が非常に低い電流で飽和するためである。溶接機は、数百アンペアの出力電流で操作される。溶接機の操作中の無視可能な数アンペアの電流による小さい不均衡でも、方形ループ飽和可能リアクトルを不適切な時に飽和させる。溶接操作で使用されるハードフェライト飽和可能リアクトルの欠点を克服するために、飽和可能リアクトルはコントロール巻線を使用して、飽和及び不飽和が生ずる時間ウインドウを調節しなければならない。これは、一次回路20、22の電圧を遅延する飽和可能リアクトルとして魅力に欠け、そして時間を浪費し、高価である。従って、本発明は、B−H曲線302を有するタイプのソフト材料を使用する。この材料は、非常に滑らかなスイッチング特性をもたらし、そして不適切な時の飽和の問題を生じない。低い透磁率は、B−H曲線302を有する材料をして、たとえ高い溶接電流においても、常に遅延210を生成する。
飽和可能リアクトルを形成するコア内の熱の放散は、コアの体積、形状及びコアで使用される材料のタイプの関数である。本発明を実施するのに使用される典型的なソフトフェライト材料は、B−H曲線302の最大フラックス密度に関連するコア損失を有する。しかし、磁気コア領域が、最大のフラックス密度に対して、本発明の一定のボルト・秒のブロッキング特性を達成するように設計しても、異なる材料間のコア損失値に最小の差が存在する。飽和可能リアクトルの冷却は、コアの体積とコアの表面積との両者の関数である。体積が大きければ大きいほど、失われるワットは大きくなり、そして放熱されねばならない。表面積を拡大することは、熱を除く機会をさらに大きくする。図8は、本発明を実施するのに使用されるタイプの飽和可能リアクトルカップルSRの概略的な寸法の図である。飽和可能リアクトルカップルSRは、内径310及び外径312そして厚さTを有する。式314、316及び318は、飽和可能リアクトルの表面積、体積及び磁化面積を得る数学的関係である。一定の磁化面積及びコアの形状では、外径312は、内径310が大きくなるにつれ、大きくなる。内径が大きくなるにつれ、体積及び全損失は、固定したコアの形状及び磁気の断面について大きくなる。コスト及び全熱損失を最低にするために、コアの材料の最低の量を使用するのが望ましい。これらの寸法の点を決定するために、冷却と磁気の特性との間の関係は、曲線322、324として図9に示されるように、グラフ320にプロットされている。飽和可能リアクトルコア冷却のデータは、1.5平方センチの断面積及び2.0センチの内径310を有するコアについてである。曲線324は、厚さ0.5センチ迄の飽和可能リアクトルであり、約8.0センチ迄の外径の飽和可能リアクトルにおいて、厚さTが増大するにつれての、外径の変化をプロットしている。これは、図12及び13に示されるパンケーキ状の形状の飽和可能リアクトルである。他の極端な例で、3.0センチの厚さにより外径は約3センチである。これは、図10及び11に概略的に画かれているパイプの形状を有するコアを生ずる。これは、好ましい態様である。曲線322に示されているように、表面積対体積比は、パンケーキの形状及びパイプの形状の極端な例の両者では高い。これらの極端な例の間では、断面が本質的に方形の形状であるとき、比は低下して最小約3.2になる。比が高ければ高いほど、冷却能率は高くなる。好ましい態様では、比は3.5より大きい。これは、その高さより大きい幅を有し、方形の断面を有するリングによってもたらされる。これは、好ましい形状である。
グラフ320のデータを得るのに使用される飽和可能リアクトルは、2.0センチの固定した内径を有する。これは、飽和可能リアクトルの中心を経て延在する2つのリードを受け入れるためである。ユニットあたりの長さを基準にして、表面積対体積比は、コアの形状が一定に保たれているならば、内径が大きくなっても一定である。その結果、導体またはリードを単に受け入れるのに必要な大きさよりも大きい内径にする利点はない。従って、飽和可能リアクトルの評価は、固定した内径を有する。曲線324は、固定した内径について、厚さTが低下するにつれ、外径が大きくなることを立証している。極端な限界で、形状は、中間に孔を有する大きな直径の薄い円板となる。これは、図12及び13に示される形状である。逆に、厚さが厚くなるにつれ、外径は小さくなる。極端な限界で、形状は図10及び11に示されるようなパイプになる。これらの2つの極端な例は、曲線322に示されるように、表面積対コア体積の比を最大にする。最小の比は、コアの断面が方形であるときに生ずる。曲線322、324は、所定の磁気特性に関して冷却効果を最大にする飽和可能リアクトルの形状の選択の概念を画いている。このプロットされた情報を使用して、図10−11及び図12−13に画かれた2つの形状が好ましい。これらの形状の両者は、3.5cm2/cm3より大きい表面積対体積比を有する。
グラフ320の曲線322は、本発明で使用される飽和可能リアクトルについて2つの最適な形状があることを示している。第一の形状は、図10−11で飽和可能リアクトルSRAとして表示されたパイプの構造である。第二の形状は、図12−13で飽和可能リアクトルSRBとして示されたパンケーキ状の構造である。飽和可能リアクトルSRAは、内径350及び外径352そして長さまたは厚さ354を有する。もちろん、内径は、入力リード150、152を受け入れるために2.0センチである。飽和可能リアクトルは通常熱シンクなしで使用されるが、実際には、熱シンクスリーブ360が飽和可能リアクトルSRAで使用される。このスリーブは、高伝導性材料例えばアルミニウムまたは銅から形成され、そして外側に延在するフィン364及び拡張可能なアセンブリギャップ366を備えた円筒状ベース362を有する。熱シンクスリーブ360は、飽和可能リアクトルが溶接機中で使用される変圧器の二次回路に設けられる前に、飽和可能リアクトルSRAの上にはめ込まれる。飽和可能リアクトルSRBは、内径370、外径372及び厚さまたは幅374を有する。飽和可能リアクトルSRBは、孔384、386を有する熱シンク円板380、382により冷却され、それらの孔は、内径370より大きい。構造上の保全性に関する最良の形状は、図10−11に示される形状であることが分かった。それは、フェライトの形状がより強くそして熱シンクに関する管状の押し出しが全アセンブリを衝撃から防ぐからである。その上、この特定の形状は、特に変圧器が図2に示されるマトリックスであるとき、変圧器のアセンブリにさらに容易に受け入れられる。
実際には、飽和可能リアクトルの形状は、図8に示されるように、内径と外径との間の差である厚さより長い長さTを有する方形の断面を有する。断面は、(OD−ID)/2であるその高さより長い幅Tを有する方形である。この形状は、一般に、図9で点xで示される。
本発明の好ましい態様を画いた簡単な配線図である。 本発明をマトリックス変圧器に使用したときの概略的な配線図である。 従来の電源により得られる電圧及び電流の曲線のパルスグラフである。 本発明を使用する利点を示す図3に類似したパルスグラフである。 従来の電流及び電圧の単一の一次パルスを示す電流及び電圧のグラフである。 本発明による電源の操作を画いた図5に類似したグラフである。 本発明で使用される磁気材料及びスイッチングリアクトルで通常使用される磁気材料のB−Hグラフである。 本発明により構築された飽和可能リアクトルにおける寸法間の関係を画いた概略的な寸法の図である。 本発明の或る態様を画いた2つの曲線を有するグラフである。 外側の熱シンク管を含む管状の飽和可能リアクトルの側面図である。 図10の線11−11にほぼ沿ってとられた断面図である。 熱を放散するアルミニウム円板を備えたパンケーキの形状の飽和可能リアクトルである。 図12の線13−13にほぼ沿ってとられた断面図である。
符号の説明
A 電源
B 二次回路
D1 クランプダイオード
D2 クランプダイオード
E 電極
G 端子
M マトリックス変圧器
Q1 スイッチ
Q2 スイッチ
Q3 スイッチ
Q4 スイッチ
SR 飽和可能リアクトルカップル
SR1 飽和可能リアクトル
SR2 飽和可能リアクトル
SR3 飽和可能リアクトル
SRA 飽和可能リアクトル
SRB 飽和可能リアクトル
T 変圧器
W 素材
10 入力整流器
12 フィルターインダクタ
14 リード
16 リード
20 一次回路
22 一次回路
30 コンデンサ
32 コンデンサ
40 一次巻線
42 一次巻線
44 コア
50 二次巻線
52 二次巻線
54 ダイオード
56 ダイオード
60 センタータップリード
64 リード
66 リード
70 チョーク
100 巻線
102 巻線
104 コア
120 電源
122 一次巻線
124 コア
126 コア
128 コア
130 マトリックス変圧器
132 マトリックス変圧器
134 マトリックス変圧器
140 整流器
150 入力リード
152 入力リード
154 出力リード
160 二次巻線
162 二次巻線
164 リード
170 チョーク
200 パルス
202 パルス
204 グラフ
204a 電流
206 グラフ
206a 電流
210 遅延
220 パルス
222 出力電流
230 電圧パルス
230a 電流パルス
232 電圧パルス
232a 電流パルス
240 パルスの後縁間の期間
300 B−H曲線
302 B−H曲線
310 内径
312 外径
314 式
316 式
318 式
320 グラフ
322 曲線
324 曲線
350 内径
352 外径
354 長さまたは厚さ
360 熱シンクスリーブ
362 円筒状ベース
364 フィン
366 アセンブリギャップ
370 内径
372 外径
374 厚さまたは幅
380 熱シンク円板
382 熱シンク円板
384 孔
386 孔

Claims (15)

  1. DCバス間に直列に接続された2つの一次回路を含むインバータを有する電気アーク溶接機の電源であって、それぞれの前記一次回路が、
    一次巻線に並列に接続されたコンデンサと、
    前記コンデンサの電圧を前記一次巻線に印加するスイッチとからなり、
    前記一次回路が、前記一次巻線に交互に電圧パルスを発生させ、
    前記一次巻線に結合し、且つ、出力回路を介して出力溶接回路に接続している二次巻線を具備する二次回路に前記電圧パルスを誘導せしめるようにした電気アーク溶接機の電源において、
    前記直列に接続された一次回路又は前記出力回路の少なくとも1つにソフトフェライト飽和可能リアクトルを設けることで、前記一次巻線の電圧パルスを遅延せしめるように構成したことを特徴とする電気アーク溶接機の電源。
  2. 前記飽和可能リアクトルが、前記出力回路に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気アーク溶接機の電源。
  3. 前記飽和可能リアクトルが0.50テスラより低い飽和フラックス密度を有することを特徴とする請求項1または2記載の電気アーク溶接機の電源。
  4. 前記飽和可能リアクトルが、3.5cm2/cm3より大きい表面積対体積比を有することを特徴とする請求項1−3の何れかに記載の電気アーク溶接機の電源。
  5. 前記出力回路が2つの入力リードを有する整流器であり、前記飽和可能リアクトルが前記入力リードの両者を囲むリングであることを特徴とする請求項1記載の電気アーク溶接機の電源。
  6. 前記リングの長さは、前記リングの外径より大であることを特徴とする請求項5の電源。
  7. 前記リングの断面が、矩形であることを特徴とする請求項5記載の電気アーク溶接機の電源。
  8. 前記遅延が少なくとも0.5マイクロ秒であることを特徴とする請求項1または2記載の電気アーク溶接機の電源。
  9. 前記飽和可能リアクトルはリング状に形成され、前記リングの長さは、リングの外径より大であることを特徴とする請求項1−4の何れかに記載の電源。
  10. 前記飽和可能リアクトルの断面が、矩形であることを特徴とする請求項1−4の何れかに記載の電源。
  11. 前記飽和可能リアクトルの回りに熱シンク管を設けたことを特徴とする請求項1−10の何れかに記載の電源。
  12. 前記一次巻線及び二次巻線が、インバータ駆動の溶接機のパルス変圧器の一次巻線及び二次巻線であり、
    前記パルス変圧器が一次巻線ネットワーク及び二次巻線ネットワークを有し、
    前記パルス変圧器に直列に飽和可能リアクトルを設け、
    前記飽和可能リアクトルが、0.40テスラより低い飽和フラックスを有することを特徴とする請求項1記載の電源。
  13. 前記一次巻線及び二次巻線が、インバータ駆動の溶接機のパルス変圧器の一次巻線及び二次巻線であり、
    前記パルス変圧器が一次巻線ネットワーク及び二次巻線ネットワークを有し、
    前記パルス変圧器に直列に飽和可能リアクトルを設け、
    前記飽和可能リアクトルはリング状に形成され、その断面が矩形であることを特徴とする請求項1記載の電源。
  14. 前記一次巻線及び二次巻線が、インバータ駆動の溶接機のパルス変圧器の一次巻線及び二次巻線であり、
    前記パルス変圧器が一次巻線ネットワーク及び二次巻線ネットワークを有し、
    前記パルス変圧器に直列に飽和可能リアクトルを設け、
    前記飽和可能リアクトルの回りに熱シンク管を設けたことを特徴とする請求項1記載の電源。
  15. 前記飽和可能リアクトルが、前記一次巻線ネットワークのパルスを少なくとも0.5マイクロ秒遅延させることを特徴とする請求項12−14の何れかに記載の電源。
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