JP4324731B2 - 恒温槽 - Google Patents

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本発明は種々の分析装置において内部の温度を設定温度に制御するための恒温槽に関し、例えば液体クロマトグラフ又はガスクロマトグラフにおけるカラム用の恒温槽に関するものである。
液体クロマトグラフでは保持温度がカラム温度の影響を受けるため、再現性のよい分析を行なうためにカラム温度を一定に保つ恒温槽が用いられている。カラム恒温槽としては空気循環槽方式が最も多く使用されているが、そのほかに加熱ブロック方式のものも用いられている。本発明はいずれの方式の恒温槽も対象としている。
液体クロマトグラフ用カラム恒温槽において、温度の正確さは重要なパラメータのひとつであるため、恒温槽そのものが有する温度測定機能によって測定された温度と、外部の校正された温度計によって測定された恒温槽内部の温度との差を補正する機能を有することが多い。
そのような温度補正方式には大きくわけて1点補正法と2点補正法がある。その1点補正法による温度補正方法のひとつとして、オフセット補正法がある。恒温槽が有する温度測定機能で測定された温度をXP℃であったときに外部の校正された温度計によって測定された恒温槽内部の温度がXT℃であったとすると、恒温槽が有する温度測定機能で測定された任意の温度To℃から、温度校正後の温度としての恒温槽の表示温度又は制御温度はTc℃として次の式で表される。
Tc=To+(XT−XP) ・・・(1)
すなわち、ある1点での温度誤差をオフセット値として、全ての温度範囲で補正するのがオフセット補正である。
もうひとつの1点補正法による温度補正方法として傾き補正法がある。前述と同じように、恒温槽が有する温度測定機能で測定された温度をXP℃であったときに外部の校正された温度計によって測定された恒温槽内部の温度をXT℃であったとすると、恒温槽が有する温度測定機能で測定された任意の温度To℃から、温度校正後の温度としての恒温槽の表示温度又は制御温度はTc℃として、ある任意の温度XF℃を導入して次の式で表される。
Figure 0004324731
Fは固定温度点で、To=XFの場合、Tc=To=XFとなる温度であり、通常は、恒温槽が有する温度測定機能が最も温度正確さに優れた温度をXFとする。たとえばサーミスタの規格温度や、室温付近などが選ばれる。この補正の場合、XFを固定点とし、Toにかかる係数が傾き補正係数となって、全ての温度範囲で補正する。
これらのような1点補正法では補正温度(XT℃)の近くでは正しく補正されるが、恒温槽内温度が補正温度から離れると、補正がずれてくる。そのため、そのような欠点を補うために2点補正法がある。
2点補正法では、2点の温度で補正を行なう。1点目では恒温槽の有する温度測定機能で測定された温度がXP1℃であったときに外部の校正された温度計によって測定された恒温槽内部の温度をXT1℃とし、2点目では恒温槽の有する温度測定機能で測定された温度がXP2℃であったときに外部の校正された温度計によって測定された装置内部の温度をXT2℃であったとすると、恒温槽が有する温度測定機能で測定された任意の温度To℃から、温度校正後の温度としての恒温槽の表示温度又は制御温度はTc℃として次の式で表される。
Figure 0004324731
ここで、XT1=XP1とすると、(2)式と等価な式になる。
前述の2点補正法では、2点の補正温度をあらかじめ決めておかないと補正ができないという欠点がある。それは、2点補正法では、補正の動作を行なおうとする時点で、恒温槽で測定された温度と外部の校正された温度がそれぞれ2点ずつ決定されていることが必要だからである。厳密にはこの2点は任意とすることも可能であるが、補正処理を行なう演算部が任意の点で補正できるように対応している必要があり、コーディングが少々複雑となる。コーディングが簡便であるという理由から、多くの場合、装置の仕様で決められた2点の温度で補正が行なわれる。
本発明は恒温槽における温度補正点をあらかじめ決められた一定の温度でなくても任意の1点又は2点で補正できるようにすることを目的とするものである。
本発明では第1段階として1点補正法のオフセット補正を行い、オフセット補正がされた状態で第2段階として傾き補正を行う。
本発明は、温度測定素子と加熱機構又は加熱・冷却機構を備えた恒温槽本体と、前記温度測定素子の測定温度信号を取り込み、恒温槽本体の温度が設定温度になるように前記加熱機構又は加熱・冷却機構への通電を制御する制御装置とを備えた恒温槽を対象とする。そして、本発明では、前記制御装置は温度測定素子による測定温度を補正する補正手段を備え、該補正手段は測定温度に一定温度値を加算又は減算するオフセット補正を行なう第1段階補正部と、さらに前記温度測定素子による測定温度と校正された温度との直線関係に基づく傾き補正を行なう第2段階補正部とを備えており、かつ、前記制御装置は該補正手段により補正された温度が設定温度となるように恒温槽本体の温度を制御するものである。
前記補正手段は第1段階補正部のみによる補正と、第1段階補正部及び第2段階補正部による補正のいずれかを選択できるものとすることができる。
本発明の恒温槽は種々の分析装置に利用できるものであるが、特に正確な温度制御が要求される液体クロマトグラフのカラム用恒温槽に利用するのに適する。
本発明では、補正手段がオフセット補正を行なう第1段階補正部と、傾き補正を行なう第2段階補正部とを備えているので、第1段階のオフセット補正を任意の温度で行うことができ、さらに第2段階の傾き補正も任意の温度で行うことができる。すなわち、従来の2点補正法を任意の2点の温度で補正することができる。
第1段階補正部のみによる補正と、第1段階補正部及び第2段階補正部による補正のいずれかを選択できるものとすれば、1点のみによる補正でも、2点による補正でも対応できるようになる。常にある1点での温度でのみ使用する場合は、その温度の1点補正のみで充分であり、ある2点の温度での使用が多い場合は、その2点の温度で補正できる。あらゆる温度で使用する場合は、室温付近と室温から大きく離れた温度の2点で補正すれば、広範囲での温度正確さを満たすことができる。
このように使用者の使い方に応じた温度補正が可能となる。
第1段階の補正として、恒温槽の有する温度測定機能で測定された温度がXP1℃であったときに外部の校正された温度計によって測定された恒温槽内部の温度をXTl℃とすると、恒温槽の有する温度測定機能で測定された任意の温度To℃から、温度校正後の温度としての恒温槽の表示温度又は制御温度はTc℃として次の式で表される。
Tc=To+(XTl−XPl) …(4)
第2段階の補正として、恒温槽の有する温度測定機能で測定された温度がXP2℃であったときに外部の校正された温度計によって測定された恒温槽内部の温度をXT2℃とすると、恒温漕の有する温度測定機能で測定された任意の温度To℃から、温度校正後の温度としての恒温槽の表示温度又は制御温度はTc℃として次の式で表される。
Figure 0004324731
ここで、XP2はすでに(4)式によって補正計算が行われたあとの温度である。
(5)式は、第1項が恒温槽の有する温度測定機能で測定された温度であり、温度補正がされる前の温度である。第2項は第1段階の補正によって算出されるオフセット量、第3項は第2段階の補正によって算出される傾き補正量となっている。そのため、第2項までの演算の結果を出力すれば第1段階のみの補正となり、第3項までの演算を行なえば第2段階までの補正となる。このように、第1段階のみの補正を選択することも可能である。
また、2点の温度補正点XP1,XP2も前もって決めておく必要がない。
このようにXP1,XP2は、任意の温度で補正が可能ではあるが、本捕正の特性上、オフセット補正となるXP1の温度は、サーミスタの規格温度や、室温付近の温度を選ぶことが望ましい。また、傾き補正となるXP2の温度はXP1から充分に離れたほうが望ましい。
次に、一実施例について説明する。
図1は一実施例を概略的に示すブロック図である。2は恒温槽で、例えば液体クロマトグラフのカラム用恒温槽であり、内部に収納されたカラムの温度を一定にするように機能する。恒温槽2内には、通電により発熱して恒温槽2内を加熱するヒータ6と、恒温槽2内の空気を攪拌させて温度を均一にするファン8が設けられている。4はヒータ6を通電させるための駆動部であり、外部から通電用の電源が供給され、制御部22により制御されてヒータ6に通電する。
恒温槽2内にはさらに温度測定素子としてサーミスタ10が設けられている。サーミスタ10は恒温槽内の空気の温度を測定する位置に配置されている。
サーミスタ10にはその検出信号を増幅する増幅器12が接続されている。増幅器12のアナログ出力をデジタル信号に変換するために、増幅器12の出力端子にA/Dコンバータ14が接続されている。A/Dコンバータ14の出力端子にはA/Dコンバータ14からのデジタル出力を温度信号に変換する変換部16が設けられている。変換部16は数値と温度との対応関係を示すテーブルをデータとして備えており、A/Dコンバータ14からのデジタル出力を受け、そのテーブルに基づいて温度値に変換する。変換部16で変換された温度Toはサーミスタ10が測定した補正前の温度である。
18は本発明の特徴とする補正部であり、温度Toを補正式(5)式により補正された温度Tcに変換するものである。補正部18は(5)式を演算するために第1段階演算部20−1と第2段階演算部20−2を備えている。第1段階演算部20−1は(5)式のうち右辺の第2項までの演算を行うものであり、第2段階演算部20−2はそれにさらに第3項を加算する演算を行なうものである。
補正部18で補正されて得られた温度Tcは制御部22に供給され、設定値と比較される。制御部22は温度Tcが設定値と一致するように、駆動部4からヒータ6への通電量を制御する。
補正部18で補正演算された温度Tcは表示装置(図示略)にも供給されて表示される。
補正部18における演算式(5)は温度Toを補正する際には既に決定されている。外部の校正された温度計によりその演算式(5)を決定(校正ともいう)するときは、第1点目のサーミスタによる測定温度XP1が第1段階演算部20−1と第2段階演算部20−2に取り込まれ、外部からその時の校正された温度XT1が第1段階演算部20−1と第2段階演算部20−2に供給される。第2点目のサーミスタによる測定温度XP2が第2段階演算部20−2に取り込まれ、外部からその時の校正された温度XT2が第2段階演算部20−2に供給される。
なお、本発明では、「補正」の語は、演算式(5)に基づいて温度ToをTcに補正演算する操作と、外部の校正された温度計により演算式(5)を決定する操作との両方を指している。
図2は補正部18が外部の構成装置を用いて補正式を校正するための手順を示したものである。第1点目の温度でのサーミスタによる測定温度XP1が増幅器12、A/D変換器14及び変換部16を経て補正部18の第1段階演算部20−1と第2段階演算部20−2に取り込まれ、その時の外部の校正された温度計により測定された温度XT1が第1段階演算部20−1と第2段階演算部20−2に供給され、第1段階演算部20−1により演算式(5)の右辺第1項と第2項の演算が行われる。続いて、2段階補正を行う場合は、第2点目のサーミスタによる測定温度XP2が第2段階演算部20−2に取り込まれ、外部からその時の校正された温度XT2が第2段階演算部20−2に供給され、第2段階演算部20−2により演算式(5)の右辺第3項の演算が行われる。
補正式(5)の校正では第1段階の補正のみを行なうようにしてもよい。
図3はこのようにして校正された補正式(5)を用いて恒温槽の温度制御を行なうときの手順を示したものである。制御部22に設定温度を入力すると、制御部22はその時のサーミスタ10の補正された測定温度Tcを取り込み、設定値との差に応じて駆動部4を介してヒータ6に通電させる。
補正部18ではサーミスタ10の測定温度を増幅器12、A/D変換器14及び変換部16を経てToとして取り込み、補正式(5)に基づいて第1段階演算部20−1と第2段階演算部20−2により、又は第1段階演算部20−1のみにより補正された温度Tcに変換する。この操作は継続して行なわれ、制御部22はその補正された温度Tcが設定値になるまで駆動部4による通電量の変更を繰り返し行う。
この動作は恒温槽を使用している間中連続して続けられる。
実施例はヒータにより恒温槽内の空気を加熱し、攪拌させて恒温槽内を一定にする方式のものを例示しているが、ヒータ6から加熱ブロックを介して恒温槽内を加熱する方式の場合には、サーミスタ10をその加熱ブロックに接触させるように配置してもよい。
また、実施例ではヒータにより加熱する恒温槽を示しているが、加熱機構としてペルチェ素子など、他の手段を用いてもよい。また加熱だけでなく、ペルチェ素子などを用いて加熱と冷却の両方を行なうようにしてもよい。
本発明の恒温槽は、液体クロマトグラフのカラム用恒温槽を初め、ガスクロマトグラフのカラム用恒温槽など、他の分析装置においても一定温度に維持する必要のあるものには利用することができる。
一実施例を示すブロック図である。 同実施例における補正式の校正動作を示すフローチャート図である。 同実施例における温度補正の動作を示すフローチャート図である。
符号の説明
2 恒温槽
6 ヒータ
10 サーミスタ
18 補正部
20−1 第1段階演算部
20−2 第2段階演算部
22 制御部

Claims (3)

  1. 温度測定素子と加熱機構又は加熱・冷却機構を備えた恒温槽本体と、前記温度測定素子の測定温度信号を取り込み、恒温槽本体の温度が設定温度になるように前記加熱機構又は加熱・冷却機構への通電を制御する制御装置とを備えた恒温槽において、
    前記制御装置は前記温度測定素子による測定温度を補正する補正手段を備え、該補正手段は測定温度Toに一定温度値を加算又は減算する下記の式の右辺第2項までのオフセット補正を行なう第1段階補正部と、さらに下記の式の右辺第3項の傾き補正まで行なう第2段階補正部とを備えており、
    かつ、前記制御装置は該補正手段により補正された温度が設定温度となるように恒温槽本体の温度を制御するものであることを特徴とする恒温槽。
    Figure 0004324731
    ここで、
    P1 ,X P2 は恒温槽の有する温度測定機能での測定温度、
    T1 ,X T2 は温度測定機能での測定温度がそれぞれX P1 ,X P2 のときの外部の校正された温度計による恒温槽内部の測定温度、
    Toは恒温漕の有する温度測定機能での任意の測定温度、
    Tcは温度測定機能での測定温度Toの補正された温度
    である。
  2. 前記補正手段は第1段階補正部のみによる補正と、第1段階補正部及び第2段階補正部による補正のいずれかを選択できるものである請求項1に記載の恒温槽。
  3. 該恒温槽は液体クロマトグラフのカラム用恒温槽である請求項1又は2に記載の恒温槽。
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