JP4333859B2 - アンモニア含有水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アンモニア含有水の処理方法、詳しくは例えば、し尿などのアンモニアまたはアンモニア塩を含む水中のアンモニアを除去したり、アンモニアを含む気体からアンモニアを洗浄除去した際に生じる排水などに含まれるアンモニアをスチームストリッピングにより、水中から放散させ、放散したアンモニアを触媒を用いて窒素と水に転化させるアンモニア含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアンモニア含有水の処理方法として、例えば特開昭51−6352号公報の「アンモニア含有排液の処理方法」(第1の従来法)と、特開平3−258388号公報の「NH3 の含有廃水の処理方法」(第2の従来法)と、特開平9−75915号公報の「アンモニア態窒素処理システム」(第3の従来法)などが知られている。
【0003】
このうち、第1の従来法とは、アンモニア排液をアルカリ性にして空気によってストリッピングさせる、いわゆる空気ストリッピング法である。
また、第2の従来法とは、アンモニア含有排水をアルカリ性かつ加温下で排ガスと気液接触させ、アンモニアをストリッピングにより除去し、燃焼工程でアンモニア含有気体を燃焼酸化し、これにより発生する排ガスを気液接触用の排ガスとして利用する空気ストリッピング法である。
さらに、第3の従来法とは、アンモニア態窒素を含む排水にアルカリを添加してアンモニアに変換し、この変換工程で排水からアンモニアをストリッピングし、次いで得られたアンモニアを固体触媒の存在下で酸素と反応させて窒素に変換し、得られた熱を利用する方法である。
これら第1〜第3の空気ストリッピングによるアンモニア含有水の処理方法では、液をアルカリ性にするための薬品費が嵩むという問題がある。
【0004】
従来のアンモニア含有水の処理方法には、このような空気ストリッピングによるほかに、スチームにより排水を蒸留して、アンモニアをストリッピングし、ストリッピングされたアンモニアを固体触媒の存在下で酸素と反応させて、窒素と水蒸気に転化する方法も知られている。しかしながら、従来のスチームストリップ法では、スチームを大量に消費するため、エネルギーコストが高くつくという問題がある。
【0005】
ところで、スチームストリッピング法において、蒸留塔の塔頂から出てくる高温のアンモニア含有蒸気に着目すると、これをストリッピングの熱源として再利用すれば、外部からのスチームの供給を不要にするか、あるいは大幅に減らすことができるので、エネルギーコストの削減が可能となる。そこで、アンモニア含有蒸気をコンプレッサーまたはスチームエジェクターで圧縮し、蒸留塔の塔底の加熱に用いることが行われる。このとき、蒸留塔の塔底の蒸発温度よりもアンモニア含有蒸気の凝縮温度の方が高くなるように蒸気の圧縮が行われる。
【0006】
塔頂蒸気中のアンモニアを触媒反応によって分解させる場合、蒸留塔に供給される排水のアンモニア濃度が高いときは、放散されて塔頂から出てくる蒸気中のアンモニア濃度も大であるので、塔頂から蒸気圧縮に至る間あるいは蒸気圧縮から凝縮に至る間に、触媒反応器を設置して分解反応を行なわせ、凝縮した液はアンモニアを含まない清浄な排水として放出することができる(図2)(特開平11−76761号公報参照)。
【0007】
しかしながら、蒸留塔に供給する液のアンモニア濃度が低い場合、塔頂蒸気のアンモニア濃度も下がり、反応のための適正濃度を下回ることがある。この場合、蒸留塔に還流をかければ、塔頂でのアンモニアの濃縮が起こるので、圧縮した蒸気の一部を凝縮させ、凝縮した液は蒸留塔に還流し、凝縮しなかった少量の蒸気を触媒反応に送って、その中に含まれるアンモニアを分解させればよい(図3)。このとき、蒸留塔の加熱に利用する熱をできるだけ多く回収するためには、できるだけ凝縮を進行させ、系外に抜き出すアンモニア含有蒸気の量を少なくしなければならない。その結果、還流比が大きくなって、塔頂のアンモニア濃度が高まり、分解反応に送る蒸気中のアンモニアが、触媒反応のための適正範囲を上回るようになることが課題となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、アンモニアを含む水をスチームストリッピングにより、水中から放散させ、放散したアンモニアを触媒を用いて窒素と水に転化させる、改良されたアンモニア含有水の処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アンモニアを含む水からスチームストリッピング法によりアンモニアを放散させる蒸留塔の塔頂で発生するアンモニアを含む蒸気をコンプレッサーまたはスチームエジェクターにより昇圧したのち、これを上記蒸留塔の熱源として利用しながら一部を凝縮させ、凝縮した液は還流液として蒸留塔に循環させ、未凝縮の蒸気はアンモニア濃度調整用のガスを加えて、アンモニアの濃度が2容量%以下、かつ温度が200〜350℃となるようにガスを調整し、このガスを触媒を充填した反応器でアンモニアを分解させ、この反応器で生成するガスの一部を上記アンモニア濃度調整用のガスとして循環させることを特徴とするアンモニア含有水の処理方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
処理されるアンモニア含有水は、限定されない。例えば、下水、し尿およびこれらの処理場で発生する汚泥脱水機の脱離水、工場やプラントの排水、アミン製造プラントの排水、食品製造工場の排水、火力発電所の排水などが挙げられる。水中のアンモニアは、単一成分として存在してもよいし、化合物として含まれていてもよい。また、それらの形態は、水溶液、スラリーのいずれであってもよい。蒸留塔の塔底温度は、好ましくは100〜130℃である。100℃未満では、ストリッパーの塔頂の圧力が減圧となり、スチームエジェクターを用いる場合には駆動用スチームが多くなり、また、コンプレッサーを用いる場合には動力が大きくなる。一方、130℃を超えると、塔内圧力が高くなり、アンモニアの気液平衡関係がストリッピングに不利になる。
【0011】
アンモニアの放散は、バルブトレイ、シーブトレイなどの棚段を用いる蒸留塔、あるいはリングなどの充填物を用いる蒸留塔内で行われる。塔内を下降する液と、上昇する蒸気を棚段の上あるいは充填物の表面で接触させ、液中のアンモニアを蒸気中に移行させる。塔内を上昇する蒸気は、塔底部を加熱して液を蒸発させることにより発生させるが、一部の蒸気を外部から導入してもよい。
【0012】
コンプレッサーまたはスチームエジェクターは、自己圧縮蒸発のために適用される。自己圧縮蒸発とは、液から蒸発した蒸気を圧縮して圧力を高め、その凝縮の潜熱を利用して元の液を蒸発させる方式であり、蒸留塔塔頂の蒸気をコンプレッサーまたはスチームエジェクターで圧力を高めて、蒸留塔のリポイラーへ送り、加熱用蒸気として利用する。コンプレッサーまたはスチームエジェクターによる昇圧は、通常、30〜200kPa、好ましくは100〜150kPaである。30kPa未満では、塔底を加熱するために必要な温度差が得難い。一方、200kPaを超えると、コンプレッサーまたはスチームエジェクターの効率が悪くなる。
【0013】
分解反応に送るためのアンモニアの濃度を高めるには、塔頂蒸気の一部を凝縮させて蒸留塔に還流する。
【0014】
触媒反応器に供給するガスは、アンモニアの濃度が2容量%以下となるように、かつ温度が200〜350℃となるように調整することが好ましい。アンモニアの濃度が2容量%を超えると、反応による発熱で触媒層の温度が上がりすぎて触媒の劣化が起こりやすい。また、温度が200℃より低いと、アンモニアの分解反応が進みにくい。
ここで、アンモニアの濃度は、反応生成ガスの一部をリサイクルし、これと蒸留塔からのアンモニア含有蒸気とを混合することによって調整する。また、温度の調整は、熱交換器を用いる間接的加熱・冷却あるいはリサイクルガスとの混合による直接的加熱・冷却のいずれによってもよい。
【0015】
アンモニア分解のための触媒としては、白金,パラジウムまたはルテニウムなどの貴金属触媒が用いられ、担体としては、アルミナやチタニアが採用される。アンモニア分解反応の進行のためには、温度が300℃以上であることが必要であるが、500℃を超えると、触媒の劣化が始まる。アンモニア分解の反応は、式(1)で表される。
4NH3 +3O2 →6H2 O+2N2 ・・・(1)
分解反応に必要な酸素は、触媒反応器の入口で、酸素量/理論必要酸素量比1.03〜10.0、好ましくは1.1〜5.0となるように、濃度調整用のリサイクルガス中に、空気あるいは酸素含有ガスを混入させる。ここで、理論必要酸素量は、式(1)より得られる化学量論酸素量であり、反応基入口アンモニア濃度が1.0容量%のとき、酸素濃度は0.77〜7.5容量%、好ましくは0.83〜3.8容量%である。
副反応によってNOxが生成するので、下記(2),(3)のように、NOxを還元する反応も併せて行われる。
NO+NH3 +1/4O2 →N2 +3/2H2 O・・・(2)
NO2 +2NH3 +1/2O2 →3/2O2 +3H2 O・・・(3)
なお、NOxを還元する反応は、脱硝反応器を別途設けて行なってもよい。
【0016】
【実施例】
以下、図1を用いて、本発明の実施例を示す。図1は、アンモニア600mg/lを含む排水125,000kg/hを処理する実施例のフローチャートである。
図1において、▲1▼は排水を予熱するための熱交換器、▲2▼は蒸留塔、▲3▼は蒸気圧縮器、▲4▼は蒸留塔のリボイラー、▲5▼は凝縮液の分離槽、▲6▼はアンモニア分解反応器、▲7▼は脱硝反応器、▲8▼は反応ガス冷却器である。
【0017】
アンモニア含有排水1は、蒸留塔でアンモニアを除去された処理水2と熱交換し、100℃に予熱されて蒸留塔▲2▼に供給される。塔内で、アンモニアは水中から追い出され、液中のアンモニア濃度は、蒸留塔の塔底で100mg/l以下となる。
水中から放散されたアンモニアは、塔頂蒸気3の中に1.4容量%の濃度となって塔外に排出される。塔頂蒸気は、ほぼ大気圧である100kPaで蒸留塔から排出され、蒸気圧縮機▲3▼で180kPaに加圧され、リボイラー▲4▼の加熱蒸気5となる。蒸気圧縮機▲3▼の動力は、650kWである。加熱蒸気5は、蒸気圧縮機出口で170℃に昇温しているが、凝縮を開始する温度は117℃である。
【0018】
リボイラー▲4▼では、塔底の液の一部を蒸発させて蒸留塔内を上昇する蒸気を発生させる。リボイラー▲4▼の蒸発温度は、107℃である。加熱蒸気5は、リボイラー内で冷えて117℃になったときに凝縮が始まり、凝縮の進行と同時に少しずつ温度が下がって、110℃でリボイラー▲4▼を出る。リボイラー▲4▼を出る流れ6は、蒸気と液とが混在する状態であり、重量の割合で液の量が約95%である。蒸気のアンモニア濃度は10容量%、液のアンモニア濃度は1重量%である。
加熱蒸気5だけでは蒸留塔▲2▼の熱源として若干不足のため、外部からスチーム4を導入して熱量を補う。加熱蒸気5の量は14,500kg/h、外部から導入するスチーム4の量は1,400kg/hである。
【0019】
リボイラーを出た流れ6は、分離槽▲5▼で気・液に分離されて、液は還流7として蒸留塔▲2▼に戻され、蒸気8はアンモニアを分解するためにアンモニア分解反応器▲6▼に送られる。
この反応器▲6▼に供給される前に、蒸気8はリサイクルされる高温の反応生成ガス11および低温の反応生成ガス15と混合され、濃度と温度が調整される。
アンモニアを分解するために必要な酸素は、空気16をリサイクルガス中に加えることによって供給される。このように、リサイクルガスと混合して調整することによって、アンモニア分解反応器▲6▼に供給するガス9は、アンモニア濃度が0.6容量%、温度が350℃となる。
【0020】
反応生成ガス10は、アンモニアをほとんど含んでおらず、アンモニア分解反応器▲6▼内で発生する反応熱によって温度が400℃に上がっている。このガスは、一部を供給ガスの濃度調整用のリサイクルガス11とし、残部12を脱硝反応器▲7▼に送ってNOxを除去する。脱硝反応器▲7▼の生成ガス13は、反応ガス冷却器▲8▼によって冷やされて冷ガス14となるが、その一部もアンモニア分解反応器入口へリサイクルする。冷ガスのリサイクル15は、高温のリサイクル11と適宜混合することによって、分解反応器入口ガス9を適正温度範囲に保つ効果を持つ。
冷ガス14の残部は、大気に放出される。大気に放出するガス17は、風量350Nm3 /h、アンモニア濃度1容量ppm以下である。
【0021】
本実施例において、供給される排水の量が40,000kg/hに減少した場合、蒸気8のアンモニア濃度は3.6容量%に減少する。このとき、冷却を目的とするリサイクル15は止めて、リサイクル11のみによって分解反応器入口ガス9のアンモニア濃度を0.2容量%、温度を350℃として運転を行なう。アンモニアの量が少ないので、反応器における発熱が少なく、反応生成ガス10の温度は365℃である。大気放出ガス17の風量は、120Nm3 /hとなる。
【0022】
【発明の効果】
本発明のアンモニア含有水の処理方法によれば、蒸留によってアンモニアをストリッピングする際に、蒸留塔の塔頂の蒸気をコンプレッサーまたはスチームエジェクターによって圧縮し、リボイラーの熱源として利用するので、蒸留塔を加熱するための外部熱源が不要となるか、あるいは大幅に低減でき、エネルギーコストが節減される。
【0023】
また、蒸留塔の塔頂蒸気から生じた凝縮水を、還流として蒸留塔に返すので、蒸留塔におけるアンモニアの濃縮が可能であり、水中のアンモニアが低い場合でも、分解反応器に送る蒸気中のアンモニアの濃度を十分に高めることができる。
【0024】
さらに、分解反応の生成ガスをリサイクルして、蒸留塔からのアンモニア含有蒸気と混合するので、分解反応器入口におけるガス中のアンモニアを反応のために望ましい濃度範囲に調整することができる。また、原水の供給量あるいはそのアンモニア濃度が変わって、蒸留塔の蒸気のアンモニア濃度が変動した場合でも、分解反応器入口ガスのアンモニア濃度を容易に適正範囲に調整することが可能である。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例のアンモニア含有水の処理方法による下水処理フローである。
【図2】従来のアンモニア含有水の処理方法による下水処理フローである。
【図3】従来の他のアンモニア含有水の処理方法による下水処理フローである。
【符号の説明】
▲1▼ 排水を予熱するための熱交換器
▲2▼ 蒸留塔
▲3▼ 蒸気圧縮器
▲4▼ 蒸留塔のリボイラー
▲5▼ 凝縮液の分離槽
▲6▼ アンモニア分解反応器
▲7▼ 脱硝反応器
▲8▼ 反応ガス冷却器

Claims (2)

  1. (イ)アンモニアを含む水からスチームストリッピング法によりアンモニアを放散させる蒸留塔の塔頂で発生するアンモニアを含む蒸気をコンプレッサーまたはスチームエジェクターにより昇圧したのち、
    (ロ)これを上記蒸留塔の熱源として利用しながら一部を凝縮させ、
    (ハ)凝縮した液は還流液として蒸留塔に循環させ、
    (ニ)未凝縮の蒸気は空気あるいは酸素含有ガスを混入させたアンモニア濃度調整用のガスを加えて、
    (ホ)アンモニアの濃度が2容量%以下、かつ温度が200〜350℃となるようにガスを調整し、次いで触媒を充填した反応器でこのガス中のアンモニアを分解させ、
    (ヘ)この反応器で生成するガスの一部を上記アンモニア濃度調整用のガスとして循環させる
    ことを特徴とするアンモニア含有水の処理方法。
  2. (イ)アンモニアを含む水からスチームストリッピング法によりアンモニアを放散させる蒸留塔の塔頂で発生するアンモニアを含む蒸気をコンプレッサーまたはスチームエジェクターにより昇圧したのち、
    (ロ)これを上記蒸留塔の熱源として利用しながら一部を凝縮させ、
    (ハ)凝縮した液は還流液として蒸留塔に循環させ、
    (ニ)未凝縮の蒸気は空気あるいは酸素含有ガスを混入させたアンモニア濃度調整用のガスを加えて、
    (ホ)アンモニアの濃度が2容量%以下、かつ温度が200〜350℃となるようにガスを調整し、次いで触媒を充填した反応器でこのガス中のアンモニアを分解させ、
    (ヘ)この反応器で生成するガスの一部を上記アンモニア濃度調整用のガスとして循環させる、
    (ト)とともに、その一部を分岐して冷却または加熱する
    ことを特徴とするアンモニア含有水の処理方法。
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