JP4337961B2 - 電気エネルギ変換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気エネルギ変換器に関し、より詳細には磁気発生機構部(ステーター側)と回転機構部(ローター側)とが互いに分離可能に組み立てられた誘導電動機などの電気エネルギ変換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び課題】
電気エネルギを回転エネルギや熱エネルギなどに変換する電気エネルギ変換器、例えば誘導電動機や誘導加熱器などが種々の分野で広く利用されている。
【0003】
また、今日では、従来一体的に構成されていた電動機の固定子(ステータ)および回転子(ロータ)を、固定子は磁気発生機構部内に収容し、また回転子は回転機構部内に収容し、磁気発生機構部および回転機構部を夫々分離独立した器具として構成し、両者が磁気結合するように組み立てることにより、誘導電動機の機能をさらに発展させて応用面の多様化を可能とした分離型誘導電動機が提案されている(例えば特開平8−35664号、同10−98860号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に磁気空隙長を大きくするにつれ磁気結合度は低下し、低トルク,高速回転という機械的出力特性を有し、そのままでは非常に使い難いのが現状である。
【0005】
これを改善するには、例えば誘導電動機一般の技術として知られている、駆動コイルの数を増やし高密度に配置して、一回転角(一機械角)当たりの電気角数を増やすことにより高トルク化を図る方法を適用することが考えられる。
【0006】
しかしながら、1つの与えられた平面内に現実的に配置できる駆動コイルの総数はサイズやコストなどの制約から限度があり、高トルク化を図るにも限度がある。
【0007】
また、回路基板上にパターンをコイル状に形成する、いわゆるプリントコイル製法という方法を用いれば、プリントコイルを複雑な形状にできるので、コイルを密集配置することは可能であるが、1層基板ではパターンを積み重ねるということはできず巻線数を増やすには限界があるため、高トルク化が望まれる分離型電動機のコイル形成方法としては適当でない。
【0008】
さらに同一円周上に多数の駆動コイルを並べると、必然的に同相内の極間ピッチすなわちコイルピッチが短くなり、磁気空隙長を長くすると、駆動コイルから発せられる磁束を回転板の1ターンコイルに十分に鎖交させることができず、駆動エネルギを十分に伝達することができない。換言すれば、長い磁気空隙長を有する分離型電動機においては、ある程度の極間ピッチを確保できるように適度な間隔をとって駆動コイルを配置しながら高トルク化を図ることが必要となるため、磁気発生機構部が大きくなり小形の装置にできないという問題がある。
【0009】
さらにまた、低トルク,高速回転のものを高トルク,低速回転のものに変更するという機械出力特性の変更方法として、歯車減速機構を設ける方法が考えられる。ここで分離型誘導電動機に歯車減速機構を設けるに際しては、軸受を含む機械出力部が回転機構部内で完結していることが必要である。また、一層高トルク,低速回転にするには、歯車減速機構を多段にしたり軸方向に積み重ねてゆくことも望まれる。
【0010】
しかしながら、従来の分離型誘導電動機、特に扁平の分離型誘導電動機は出力軸が回転する軸回転方式であるため、分離ができ扁平であり薄型であるという条件を満たしながら、歯車減速機構を多段にしたり、軸方向に積み重ねてゆくことは困難である。
【0011】
このように、分離型誘導電動機を始めとする従来の電気エネルギ変換器においては、高効率、高トルクのものを小形且つ簡易な構成で実現することは困難であった。
【0012】
また、分離型であるため、磁気発生機構部に回転機構部が搭載されていない状態で駆動コイルを駆動するという状態が生じるが、このような駆動状態では、電流供給源(例えばインバータ回路)の出力トランジスタに大電流が流れ、これを放置すると破壊に至るという問題がある。
【0013】
以上述べたように、従来の電気エネルギ変換器においては、高効率、高トルクのものを小形で簡易な構成で実現することは難しく、また負荷変動による影響を受けるなどの制約があることから、分離型であるという特徴を十分に発揮した装置を提供することが困難であり、その応用面が制約されていた。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、分離ができるという分離型の電気エネルギ変換器の形状的特徴を損なうことなく、より小型な形状でもって高トルク化を図ることができる電気エネルギ変換器を提供することを目的とするものである。
【0015】
また負荷変動による影響を受けるという従来の電気エネルギ変換器が有する問題点を解消することのできる電気エネルギ変換器を提供することを目的とするものである。
【0016】
さらに、分離型であるという特徴を十分に発揮した装置への応用展開を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決する手段】
本発明による電気エネルギ変換器は、所定の周波数の電流を出力する多相交流の電流供給源と、この電流供給源により駆動され回転磁界を発生する磁気発生機構部と、回転自在の1ターンコイル群の良導体と背面の良軟磁性材とによる回転体を有する回転機構部とを備え、磁気発生機構部と回転機構部とが互いに分離可能に組み立てられ、両者が磁気的空隙を隔て対向配置され、磁気発生機構部から発生する回転磁界を回転体に作用させて、この回転体を回転駆動する電気エネルギ変換器であって、磁気発生機構部が、径の異なる円周上に夫々配された空間的位相配置を持つ複数個の駆動コイルから成る駆動コイル列を有し、電流供給源が、各駆動コイル列から発生される磁束により形成される回転磁界により、駆動コイル列と直接的に対面する前記回転体内の1ターンコイル鎖列との間に生じる夫々の発生トルクが、互いに他の駆動コイル列による発生トルクを補うように、前記駆動コイルを駆動するか、前記駆動コイル列の夫々を多相駆動の各相に対応させて駆動することにより、前記回転体に全体として1組の発生トルクを生ぜしめるものであり、前記回転機構部が、前記磁気発生機構部の両側に、固有の出力軸を持つ回転体を夫々独立に配置して成るものであることを特徴とするものである。
【0018】
本発明による電気エネルギ変換器の電流供給源は、各駆動コイルから発生される磁束により形成される回転磁界により回転体に生じる駆動コイル列に対応する各発生トルクが、互いに他の駆動コイル列による発生トルクの谷間を補うように、駆動コイルを駆動するもの(後述する「独立リング対」に相当する)であることが望ましい。
【0019】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、この駆動コイル列、回転体および電流供給源からなるトルク発生機構部を、複数有して成るものとしてもよい。
【0020】
さらに、本発明による電気エネルギ変換器の電流供給源は、駆動コイル列の夫々を多相駆動の各相に対応させて駆動することにより、回転体に全体として1組の発生トルクを生ぜしめるもの(後述する「変形リング対」に相当する)としてもよい。
【0021】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、この駆動コイル列、回転体および電流供給源からなるトルク発生機構部を、複数有して成るものとしてもよい。
【0022】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、各駆動コイルから発生される磁束により形成される回転磁界により回転体に生じる駆動コイル列に対応する各発生トルクが、互いに他の駆動コイル列による発生トルクの谷間を補うように、駆動コイルを駆動する電流供給源、駆動コイル列および回転体からなる第1のトルク発生機構部と、
駆動コイル列の夫々を多相駆動の各相に対応させて駆動することにより、回転体に全体として1組の発生トルクを生ぜしめる電流供給源、駆動コイル列および回転体からなる第2のトルク発生機構部とを混在させて成るものとしてもよい。
【0023】
また、本発明による電気エネルギ変換器の回転機構部を、固定された筐体に植立された固定軸と、この固定軸に直接または間接に、独立回転可能に支持された複数の回転体とを備えたものとし、この回転体が、回転力を出力し得る出力軸を夫々一体的に有して成るものとしてもよい。
【0024】
この場合、固定軸の他端側には、前記回転力を取り出すための開口部を有する、該固定軸の他端を支持する支持部材を設けるのが好ましい。
【0025】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、回転体の回転数を検出する回転数検出手段をさらに備え、
電流供給源を、回転数検出手段の出力に基づいて、回転体が回転中に該回転体の負荷が変動した場合においても、常に回転数を一定に保つように制御する回転数制御手段を有して成るものとするのが望ましい。
【0027】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、複数の磁気発生機構部が、回転機構部の回転体に対して、分離対面、または一体的対面と分離対面との混在の内の何れかの状態で設けられているものとすることができる。
【0028】
ここで「回転体に対して、分離対面の状態」とは、複数の磁気発生機構部夫々が、回転機構部と分離可能に組み立てられると共に回転機構部内の回転体と磁気的空隙を隔て対向配置された状態を意味する。これに対して「回転体に対して、一体的対面の状態」とは、複数の磁気発生機構部夫々が、回転機構部と一体的(分離不可能)に組み立てられると共に回転機構部内の回転体と磁気的空隙を隔て対向配置された状態を意味し、「回転体に対して、一体的対面と分離対面との混在の状態」とは、前記2つを混在させた状態、即ち、複数の磁気発生機構部の少なくとも1つが回転機構部と分離可能に組み立てられ且つ残りが回転機構部と一体的(分離不可能)に組み立てられると共に、各磁気発生機構部が回転機構部内の回転体と磁気的空隙を隔て対向配置されることを意味する。
【0029】
また、本発明による電気エネルギ変換器の回転体を、動的釣り合いが保たれた状態で、複数の切欠部が設けられて成るものとし、
磁気発生機構部を、該磁気発生機構部に回転機構部が搭載時には夫々が同時に前記切欠部であることを検出しないような位置に配設された、切欠部の有無を検出する複数のセンサを有して成るものとし、
電流供給源を、センサの全ての出力が前記切欠部であることを示すときには回転機構部が非搭載と見なして駆動コイルの駆動を停止する駆動停止手段を有して成るものとするのが望ましい。
【0030】
また、本発明による電気エネルギ変換器の回転体を、回転以外の機能を持つ部材の表面、例えば底面,上面,外側面,斜面および内面などに、一体的に造り込む,またははめ込むなどして取り外し自在に装着されたものとし、
磁気発生機構部を、磁気空隙を隔てて回転体に対向して配置されたものとしてもよい。
【0031】
また、本発明による電気エネルギ変換器の磁気発生機構部の主磁気回路を、Mn−Zn,Ni−Znなどの軟磁性フェライト部材で形成されたものとし、また、磁気発生機構部を構成する駆動コイルの巻線を、細線を数多く束ねた撚り線を使用したものとし、これにより磁気発生機構部が高周波駆動を可能とされたものとするのが望ましい。ここでの「高周波」とは5kHz〜30kHz程度の周波数範囲である。
【0032】
また、本発明による電気エネルギ変換器の電流供給源を、回転磁界と誘導加熱用の高周波交番磁界とを選択的に発生させる切換手段を備えたものとし、
回転体を、高周波交番磁界が発生されたとき該高周波交番磁界により誘導加熱されるものとすることもできる。特に回転体には加熱特性の優れた部材との複合化も行われる。
【0033】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、複数の回転体を備えた回転機構部とし、
電流供給源を、回転磁界と誘導加熱用の高周波交番磁界を同時に発生させ得る手段を備えたものとし、複数の回転体に対向して配置された磁気発生機構部から、独立に回転磁界および高周波交番磁界を同時または選択的に発生させるものとすることができる。
【0034】
ここで「独立に回転磁界および高周波交番磁界を同時または選択的に発生させる」とは、回転磁界と高周波交番磁界の組合せが自由であり、且つ何れも同時に発生させてもよく、また選択的に発生させてもよいことを意味する。「組合せ」とは、例えば2つの回転体を備えるものの場合には、両者に対して回転磁界を作用させる、両者に対して高周波交番磁界を作用させる、一方に対して回転磁界を作用させ他方に対して高周波交番磁界を作用させるといったことである。「選択的に発生させる」とは、回転磁界或いは高周波交番磁界の発生を、独立に交互にオンオフすることができることを意味する。
【0035】
また、本発明による電気エネルギ変換器の回転機構部を、固定した筐体に植立された固定軸と、該固定軸周りに回転自在に軸支された回転体と、該回転体の一部に同軸に一体的に形成された歯車と、該歯車と噛合する遊星歯車を有して成る減速機構と、該減速機構の出力部と一体的に形成された、固定軸に回転自在に軸支された出力軸とを備えたものとすることが望ましい。なお、このような構成を、固定軸の軸方向に多数積み重ねるようにしてもよい。
【0036】
なお、軸支された出力軸側には、該出力軸の回転力を取り出すための開口部を有する、固定軸の他端を強固に筐体に保持すべき、鶴の首的支持部材や三脚的支持部材を設けるのが好ましい。
【0037】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、所定の周波数の電流を出力する電流供給源と、この電流供給源により駆動され回転磁界を発生する磁気発生機構部と、回転自在の良導体で良軟磁性材の回転体を有する回転機構部とを備え、磁気発生機構部と回転機構部とが互いに分離可能に組み立てられ、両者が磁気的空隙を隔て対向配置され、磁気発生機構部から発生する回転磁界を回転体に作用させて該回転体を回転駆動する電気エネルギ変換器であって、
回転機構部が、固定された筐体に植立された固定軸と、固定軸に直接または間接に独立回転可能に支持された複数の回転体とを備え、
該回転体が、回転力を出力し得る出力軸を夫々独立にして一体的に有して成るものとすることができる。
【0038】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、所定の周波数の電流を出力する電流供給源と、この電流供給源により駆動され回転磁界を発生する磁気発生機構部と、回転自在の良導体で良軟磁性材の回転体を有する回転機構部とを備え、磁気発生機構部と回転機構部とが互いに分離可能に組み立てられ、両者が磁気的空隙を隔て対向配置され、磁気発生機構部から発生する回転磁界を回転体に作用させて該回転体を回転駆動する電気エネルギ変換器であって、
回転体の回転数を検出する回転数検出手段をさらに備えたものとし、
電流供給源が、回転数検出手段の出力に基づいて、回転体が回転中に該回転体の負荷が変動した場合においても、常に回転数を一定に保つように制御する回転数制御手段を有して成るものとすることができる。
【0040】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、所定の周波数の電流を出力する電流供給源と、この電流供給源により駆動され回転磁界を発生する磁気発生機構部と、回転自在の良導体で良軟磁性材の回転体を有する回転機構部とを備え、磁気発生機構部と回転機構部とが互いに分離可能に組み立てられ、両者が磁気的空隙を隔て対向配置され、磁気発生機構部から発生する回転磁界を回転体に作用させて該回転体を回転駆動する電気エネルギ変換器であって、
回転体を、動的釣り合いが保たれた状態で、複数の切欠部が設けられて成るものとし、
磁気発生機構部が、該磁気発生機構部に回転機構部が搭載時には夫々が同時に前記切欠部であることを検出しないような位置に配設された、切欠部の有無を検出する複数のセンサ(例えば磁気センサなど)を有して成るものとし、
電流供給源を、センサの全ての出力が前記切欠部であることを示すときには回転機構部が非搭載と見なして駆動コイルの駆動を停止する駆動停止手段を有して成るものとすることができる。
【0041】
また、このセンサを、回転体の回転数を検出する回転数検出手段を兼ねるものとすることもできる。
【0042】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、所定の周波数の電流を出力する電流供給源と、この電流供給源により駆動され回転磁界を発生する磁気発生機構部と、回転自在の良導体で良軟磁性材の回転体を有する回転機構部とを備え、磁気発生機構部と回転機構部とが互いに分離可能に組み立てられ、両者が磁気的空隙を隔て対向配置され、磁気発生機構部から発生する回転磁界を回転体に作用させて該回転体を回転駆動する電気エネルギ変換器であって、
回転機構部の回転体を、回転以外の機能を持つ部材の表面に取り外し自在に装装着されたものとし、
磁気発生機構部を、磁気空隙を隔てて回転体に対向して配置されているものとすることができる。
【0043】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、所定の周波数の電流を出力する電流供給源と、この電流供給源により駆動され回転磁界を発生する磁気発生機構部と、回転自在の良導体で良軟磁性材の回転体を有する回転機構部とを備え、磁気発生機構部と回転機構部とが互いに分離可能に組み立てられ、両者が磁気的空隙を隔て対向配置され、磁気発生機構部から発生する回転磁界を回転体に作用させて該回転体を回転駆動する電気エネルギ変換器であって、
複数の回転体を備えた回転機構部とし、
電流供給源を、回転磁界と誘導加熱用の高周波交番磁界を同時に発生させ得る手段を備え、複数の回転体に対向して配置された複数の磁気発生機構部から、独立に回転磁界および高周波交番磁界を同時または選択的に発生させるものとすることができる。
【0044】
ここで「独立に回転磁界および高周波交番磁界を同時または選択的に発生させる」および「選択的に発生させる」とは、上述と同じ意味である。
【0045】
また、本発明による電気エネルギ変換器は、所定の周波数の電流を出力する電流供給源と、この電流供給源により駆動され回転磁界を発生する磁気発生機構部と、回転自在の良導体で良軟磁性材の回転体を有する回転機構部とを備え、磁気発生機構部と回転機構部とが互いに分離可能に組み立てられ、両者が磁気的空隙を隔て対向配置され、磁気発生機構部から発生する回転磁界を回転体に作用させて該回転体を回転駆動する電気エネルギ変換器であって、
回転機構部を、固定した筐体に植立された固定軸と、該固定軸周りに回転自在に軸支された回転体と、該回転体の一部に同軸に一体的に形成された歯車と、該歯車と噛合する遊星歯車を有して成る減速機構と、該減速機構の出力部と一体的に形成された、固定軸に回転自在に軸支された出力軸とを備えたものとすることができる。
【0046】
なお、軸支された出力軸側には、該出力軸の回転力を取り出すための開口部を有する、固定軸の他端を強固に筐体に保持すべき、鶴の首的支持部材や三脚的支持部材を設けるのが好ましい。
【0047】
【発明の効果】
本発明による電気エネルギ変換器によれば、駆動コイルを径の異なる円周上に配置する、すなわち多重配置するようにしたので、小型の磁気発生機構部にでき、ひいては同じ発生トルク量のものを小型の装置で実現することができるようになる。これにより、例えば出力パワー約500W以下の分離型電気エネルギ変換器のサイズを、人が両手で簡単に扱い得る商品のサイズ(立方体の一辺がそれぞれ最大約30cm程度)に収めることが可能となり、サイズマッチング性に優れた機器を提供することが可能となる。
【0048】
また各駆動コイル列に対応する各発生トルクが、互いに他の駆動コイル列による発生トルクの谷間を補うように、駆動コイルを駆動すれば、平均的発生トルクを増大したりトルクムラを低減することができ、特に最小発生トルクの改善に大きく寄与することができる。
【0049】
また駆動コイル列の夫々を多相駆動の各相に対応させて駆動し、回転体に全体として1組の発生トルクを生ぜしめるようにすれば、従来の1重配置の電流供給源をそのまま利用して駆動コイルを多重配置することができる。
【0050】
また、独立リング対のトルク発生機構や変形リング対のトルク発生機構を複数有するようにしたり、これらを混在させたりすることにより、簡単に高トルク化を一層図ることができる。また独立リング対と変形リング対の相互間の変更は回転板と駆動コイルの結線態様の変更で済み容易であるから、必要とする機械出力特性に応じて、トルク発生機構を自由に組み合わせることができる。
【0051】
また、夫々が独立の出力軸を有する回転体を、固定軸に独立回転可能に支持すれば、小型で複数軸出力構成の電気エネルギ変換器にすることができる(このような構成を「多軸出力機構」という)。
【0052】
この場合、固定軸の他端側には、回転力を取り出すための開口部を有する支持部材であって、固定軸の他端を支持する支持部材を設けるようにすれば、回転体の回転につれて、固定軸の他端が振動したり倒れたりする虞れもない。
【0053】
また、回転体の回転数を検出し、常に回転数を一定に保つように制御すれば、負荷変動に影響されることなく、常に一定回転で回転させることができる(このような構成を「回転数一定制御機構」という)。
【0054】
また、磁気発生機構部の両側に、固有の出力軸を持つ回転体を夫々独立に配置したものとすれば、それぞれの回転体の負荷に応じて自己調整設定された回転動力を各出力軸から独立に取り出すことができ、例えば回転体を2つとした双回転子(TWIN ROTOR)構成のものとすることにより、回転板自体がディスクブレーキをも兼ねる電動3輪自転車などを実現することができる。
【0055】
この際、電力整合をとるようにしたり、小型で十分な駆動能力を有する装置(例えば電動3輪自転車)を構成することができる。
【0056】
また、複数の磁気発生機構部を、回転機構部の回転体に対して、分離対面、または一体的対面と分離対面との混在の内の何れかの状態で設けられているものとすれば、例えば、2つの回転体の1ターンコイル鎖列を有する軟磁性金属板同志を貼り合わせて、見かけ上1つの回転体を有する回転機構部とし、この回転体の両側に、2つの磁気発生機構部を配する双固定子構成とすることもできる。これにより、例えば隠れた戸などに配された回転機構部に錠の機能を持たせ、分離された磁気発生機構部(固定子)に鍵の機能を持たせることができる。
【0057】
また、動的釣り合いが保たれた状態で、複数の切欠部を回転体に設け、回転機構部搭載時この切欠部を同時に検出しないような位置に複数のセンサを設け、センサの全ての出力が切欠部であることを示すときには駆動コイルの駆動を停止するようにすれば、回転機構部非搭載時に駆動コイルを駆動することによる装置破壊を防止することができる(このような構成を「非搭載保護機構」という)。センサとして磁気センサを使用すれば、金属物である回転板を有する回転機構部の搭載の有無を非接触でも確実に検知することができる。また、このセンサを、回転数検出手段を兼ねるものとすれば、回転数検出手段を別途設ける必要がない。
【0058】
また、回転体を、回転以外の機能を持つ部材の表面に装着し、磁気発生機構部を、磁気空隙を隔てて回転体に対向して配置すれば、例えば、円盤状なり、帯状なりの1ターンコイル鎖列を、鍋,皿,漏斗などの底面,斜面,側面などに挟め込み、それに対向するように駆動コイルを多面分割配置することができ、部材の多機能化を図ることが可能となる(このような構成を「装着機構」という)。具体的には、漏斗に回転板を填め込み、これを水中で一体的に回転させると、水流ポンプとして作用させることができるなどである。なお、鍋などが非磁性部材のときは、磁性金属板付き1ターンコイル鎖列を用いる。
【0059】
また、磁気発生機構部の主磁気回路を、Mn−Zn,Ni−Znなどの軟磁性フェライト部材で形成して高周波駆動が可能なようにすれば、本発明による電気エネルギ変換器をミリサイズのマシンに適用することが可能となる。
【0060】
また、電流供給源を、回転磁界と誘導加熱用の高周波交番磁界とを切り換えて発生するものとすれば、回転体自体が回転駆動されたり誘導加熱されたりと、切り換えて使用することがでができるので、例えば、回転調理器具をそのまま加熱調理器具として使用することができる。特に加熱特性の優れた部材で複合化を図った回転体とすることにより、より加熱効果を高めることもできる。
【0061】
また、複数の回転体を備えた回転機構部とするとともに、回転磁界と高周波交番磁界を同時に発生させ得る磁気発生機構部とし、独立に回転磁界や高周波交番磁界を同時または選択的に発生させるようにすれば、夫々の回転体が誘導回転作用と誘導加熱作用を独立に行うことができるようになり、電気エネルギ変換器の応用範囲を拡大することができ、特に主として回転主体構成のものや、主として加熱主体構成のものなど専用化もできる(このような構成を「独立回転体機構」という)。例えば、一方の回転体に対して回転磁界を作用させ、他方の回転体に対して交番磁界を作用させると、熱研磨やバリ取り研磨などに活用することができる。
【0062】
また、固定した筐体に固定軸を植立して、この固定軸周りに回転体を回転自在に軸支すると共に、この回転体の一部に同軸に一体的に歯車を形成し、この歯車に遊星歯車を噛合させて減速するようにし、その出力部と一体的に形成された出力軸を、固定軸周りに回転自在に軸支するようにすれば、高トルク化を一層進めることができ、力の極めて強い電気エネルギ変換器にすることができる(このような構成を「減速機構」という)。
【0063】
例えば、回転機構部筐体にその両端を強固に支持された回転軸の出力側に多段減速された出力歯車を支持部材の開口部を経て、高トルク・低回転の回転出力を取り出すことにより、身体障害者入浴用水中補助椅子の動力源などに利用することが可能となる。
【0064】
また、上述の「多軸出力機構」と組み合わせることも可能であり、そうすれば、電気エネルギ変換器の応用範囲を一層拡大することができる。
【0065】
上述の本発明による効果は、いずれも駆動コイルを多重配置したものを基本とする電気エネルギ変換器に適用したものに関するが、該多重配置に適用した種々の改良態様は、多重配置構成の電気エネルギ変換器にのみ限定されるものではない。特に、上述の「多軸出力機構」、「回転数一定制御機構」、「双回転子構成」、「双固定子構成」、「非搭載保護機構」、「装着機構」、「独立回転体機構」および「減速機構」は、分離型の電気エネルギ変換器であればどのような態様のものにでも適用することができ、上述した効果を同様に発揮できる。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0067】
本発明による分離型の電気エネルギ変換器は、磁気発生機構部が、径の異なる円周上に夫々配された複数個の駆動コイルから成る駆動コイル列を有するようにしたものであり、端的に言えば、駆動コイルを多重配置したことを特徴とする。最初に、sin/cosの2相駆動用であって、駆動コイルを2重に配置した、基本的な構成例について説明する。
【0068】
図1〜図5は、本発明の実施の形態による電気エネルギ変換器の一態様である誘導電動機に使用される、磁気発生機構部の駆動コイルの平面配置図(A)、これに対応する回転機構部の回転体としての回転板の平面図(B)、および駆動コイルの電気的接続図(C)である。
【0069】
図1は、駆動コイル総数が8個で、1相当たりの1機械角に対する電気角数すなわち磁極の対数pが2である態様を示す。同様に図2は駆動コイル総数8個,1電気角の態様を示し、図3は駆動コイル総数12個,3電気角の態様を示し、図4は駆動コイル総数16個,4電気角の態様を示し、図5は駆動コイル総数16個,2電気角の態様を示す。
【0070】
以下、これらに共通した基本となる事項について説明する。なお、図1〜図5中、同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は纏めて行う。
【0071】
磁気発生機構部100には、磁芯104を有し、ボビンに巻かれた駆動コイル103を、磁気発生機構部筐体の底面に埋設された磁気台座101上に、同心円状に2つの駆動コイル列を成すように均等配置する。図中細線で示す、内外に形成されるサークルを夫々サークルR1,R2という。
【0072】
具体的には、内側サークルR1に、コイル総数のうちの半分の駆動コイル103を均等配置する。また、外側サークルR2には、内側サークルR1に配置された駆動コイル103の並び谷間、即ち中心から隣接する各駆動コイル103の間(本例においては略中間)を通過する図中放射線状に示した鎖線上で、且つ内側サークルR1上の駆動コイル103に近接するように、駆動コイル103を夫々配置する。この外側サークルR2に配置する駆動コイル103や磁芯104の直径は、同一の発生トルクを得るために、内側サークルR1に配置するものと同じか、やや小さいのが好ましい。両サークルに配置された各駆動コイル103を内外交互に且つ連続的に結んで形成される1つの駆動コイル列を変形サークルR0と称する(図1,3,4参照)。なお図に示す駆動コイル103には、変形サークルR0上を反時計方向に、aを起点とする小文字のローマ字で示すコイル番号を付している。
【0073】
このように本発明によれば、内側サークルR1と外側サークルR2とに分けて駆動コイル103を配置するようにしたので、従来のように全ての駆動コイルを同一円周上に並べるのに比べて、必要とする径を小さくすることができるので、磁気発生機構部を小型にすることができ、電気エネルギ変換器全体の小型化を図ることができる。
【0074】
これにより、人が両手で簡単に扱い得る商品のサイズ(立方体の一辺がそれぞれ最大約30cm程度)と、分離による必要な空隙長から与えられる分離型電気エネルギ変換器の制約されたサイズ(実現可能なサイズであり、φ100mm〜φ300mm程度)とが、都合良く、程良い一致を見せることとなり、結果的に良い整合性(サイズマッチング)を与えることができ、マンマシンインターフェース性に適した機器を提供することが可能となる。
【0075】
なお、本例では、内側サークルR1と外側サークルR2に、同数の駆動コイルが、夫々の谷間に互いに近接するように配置している。
【0076】
このように、両サークルR1,R2上に配置された駆動コイル103、それに対応して磁気結合するように配置される回転板111の構造、および駆動コイル103の接続態様により、以下の2通りの組合わせによるトルク発生作用を得ることができる。すなわち、内外の各駆動コイル列が共同して1つの作用を成し、全体として1組のトルクを発生させる干渉型(図1,3,4の場合)と、内外の各駆動コイル列は互いに干渉せずに独立して回転板111に作用し、夫々によって生ぜしめられた発生トルクを回転機構部の軸出力において加算する非干渉型(図2,5の場合)である。以下、夫々について説明する。
【0077】
図1,3,4に示す干渉型の場合、内側に配置された各駆動コイル103から発せられる磁束の列(内側磁束鎖列)と外側に配置された各駆動コイル103から発せられる磁束の列(外側磁束鎖列)とでは、その半径が異なる。これを、以下「両磁束鎖列は配置位置差を有する」という(図2,5の場合も同様)。
【0078】
回転板111には駆動コイル103から発せられる磁束が鎖交する1ターンコイルを各駆動コイルに対応して配置する。1ターンコイルは、一般的には回転板111に穴部または孔部を設けることにより形成する。この回転板111に形成された穴部112は、内側サークルR1の駆動コイル103が対応したときも、そのコイルと隣接する、外側サークルR2の一方の駆動コイル103が対応したときも、その都度、夫々の駆動コイル103からの発生磁束と、もれなく鎖交して1つの誘導磁極が形成されるように、その穴空き内面積が決められる。そして、総合的には磁束鎖列の配置位置差を吸収するように、1つの変形サークルR0に対応する1つの1ターンコイルの列(1ターンコイル鎖列)が形成される。1ターンコイルの総数は駆動コイル103の総数と同じである(図1,3,4の各(B)参照)。
【0079】
このように干渉型の場合には、変形サークルR0上の内外の駆動コイル列が成す両磁束鎖列と、この両磁束鎖列の配置位置差を吸収する1ターンコイル鎖列とが、軸方向(偏平型誘導電動機の場合)に磁気的空隙を隔てて配置され、両鎖列が干渉し合って、上下2つの鎖列で1対を成す、変形した1つのリング対(変形1リング対)が形成される。
【0080】
変形1リング対の場合、内側の駆動コイル103を、その発生する磁束の向きが交互に逆となるように直列接続し、同様に外側の駆動コイルも、その発生する磁束の向きが交互に逆となるように直列接続する。この直列接続された各駆動コイル列を夫々2相駆動の1相分とし、一方をsin側、他方をcos側に夫々接続し、インバータ回路120により2相駆動する(図1,3,4の各(C)参照)。
【0081】
この2相駆動により、磁気発生機構部100と回転機構部との間の磁気空隙内には回転磁界が生成される。この回転磁界は、磁束鎖列の配置位置差と同じように半径方向に変動成分を有するが、対向する回転板111の1ターンコイル鎖列が磁束鎖列の配置位置差を吸収するので、1ターンコイルに形成される誘導磁極には、回転磁界の変動成分に起因する変動は生じない。
【0082】
この干渉型の場合には、駆動コイルの接続態様は、同一円周上に全ての駆動コイルを配置する従来のものと同じであり、発生するトルクも略同じである。したがって、この干渉型によれば、使用する駆動コイルの総数が同じ場合には、装置形状を小型にしながら発生トルクを同じにすることができる。換言すれば、装置サイズが同じ場合には、駆動コイル数を多くすること(多極化)により、発生トルクを大きくすることができる、つまり高トルク化を図ることができる。
【0083】
一方、図2,5に示す非干渉型の場合、上述のように磁気発生機構部の内外の各駆動コイル列は互いに干渉せずに独立して作用するものであり、駆動コイル列(サークルR1,R2)が内外に2つ形成される。
【0084】
回転板111には、駆動コイル103から発せられる磁束が各駆動コイル103毎に鎖交する1ターンコイルを配置する。この際、内外2つの駆動コイル列に対応する独立した1ターンコイルの列(1ターンコイル鎖列)が、径方向に2重に形成されるようにするのが好ましい。例えば、内外2重に回転板111a,111bを配置した複合回転板111とする(図2,5の各(B)参照)。1ターンコイルの内外2重の総数は、駆動コイル103の総数と同じであるのは勿論である。
【0085】
駆動コイル103は、各サークル毎に、駆動コイル103を1つおきに使用して、その発生する磁束の向きが交互に逆となるように直列接続する。これにより内外夫々において駆動コイルの直列接続が2つ形成される。起点は順次隣接する駆動コイルとなるようにする(本例での起点は、a,b,c,dとしている)。内側の直列接続された2つの駆動コイル列を、夫々2相駆動の1相分とし、一方をsin側に、他方をcos側に夫々接続し、同様に外側の直列接続された2つの駆動コイル列も、夫々2相駆動の1相分とし、一方をsin側に、他方をcos側に夫々接続する。つまり、各駆動コイル列がそれぞれ発生する回転磁界の回転方向が同じになるように、内外のsin側同士およびcos側同士で並列接続する(図2,5の各(C)参照)。したがって、各駆動コイル列が独立に2相駆動され、電気角は上記干渉型の1/2になる。
【0086】
2相駆動により、磁気発生機構部100と回転機構部との間の磁気空隙内には回転磁界が生成されるが、内側駆動コイル列の発生する磁束は内側の1ターンコイル鎖列とのみ鎖交し、外側駆動コイル列の発生する磁束は外側の1ターンコイル鎖列とのみ鎖交する誘導電磁路を設けることにより、互いに全く干渉しない誘導磁極が形成される。すなわち、内外の駆動コイル列が成す各磁束鎖列と、内外の1ターンコイル鎖列が軸方向(偏平型誘導電動機の場合)に磁気的空隙を隔てて配置され、上下2つの鎖列が夫々独立に1対を成す、2つの独立リング対が形成される(纏めて「独立2リング対」という)。この結果、2組の電気角の位相が180°ずれて、お互いに角度方向に、その発生トルクの谷間を補い合うトルク発生機構が形成され、夫々によって生ぜしめられた発生トルクが軸出力において加算される。また、これは平均的発生トルクの増大とトルクムラの低減、特に最小発生トルクの改善に大きく寄与する。
【0087】
したがって、この干渉型によれば、装置を小型にしながら、発生トルクの増大とトルクムラの低減を同時に実現することができる。換言すると、装置サイズが同じ場合には、高トルク化とトルクムラの低減を同時に図ることができる。
【0088】
上述の回転板111は、材質的には鉄系など従来の回転板に使用されているものであれば、何れのものも使用することができる。なお、電磁誘導による渦電流を低抵抗で発熱を抑えながら誘起させて2次磁極を発生させるために、特にアルミを使用したアルミ穴空き板とするのが好ましい。また、夫々をアルマイト処理などの絶縁処理して複数枚を積層し数ターンコイルを成すようにしてもよい。そうすれば発生トルクを向上させることができる。なお、この場合、数ターンコイルを直列化する手段として、切欠部を有する1ターンコイルが積層時上下接続される。
【0089】
なお、非干渉型の構成をより確実に動作させるためには、2つのリング対が磁気的に結合しないようにすることが大切である。そのためには、空隙と材料の磁気異方性を積極的に活用するなどして、各リング対が独立の閉磁路構成となるようにするとよい。
【0090】
具体的には、回転板111の1ターンコイルに入り、鎖交した磁気発生機構部100の発生する駆動コイル103(例えばN極)の磁束を効果的にその駆動コイル103の対極(前例の場合にはS極)となる駆動コイル103に誘導し、閉磁気回路を構成するようにする軟磁性金属板を回転板111に積層した複合板とすればよい。
【0091】
この軟磁性金属板は、回転板111の穴部112を完全に覆うものであれば、その形状は問わず、例えば多角形的な形状であってもよい。また、その材質は良軟磁性かつ良導体のSPC材や珪素鋼板などが好適である。
【0092】
また、回転板111と軟磁性金属板とを積層して閉磁路構成をとるに際しては、求められる機械出力特性、並びに駆動周波数と回転板111の渦電流抵抗との関連で、その駆動周波数において最大の回転数が得られるように両者の材質や形状などを選定するのが望ましい。具体的には、その駆動周波数が実用可能な周波数領域となるように、表皮効果の時間変化、運動による磁気レイノルズ数、およびその複合状態などを考慮して回転板111の材質,穴空きかご形状および中空面積を選定するのが望ましい。さらに駆動周波数に対して磁気抵抗や電気抵抗を調整するため、軟磁性金属板の最適化が行われる。例えば、ケイ素鋼や軟磁性フェライトおよびそれらの複合材を使用したり、パンチング加工などするとよい。また、出縁付Mn−Znフェライト円柱を磁芯104に使用した駆動コイル103とすれば、より容易且つ効果的に閉磁路を構成することができる。
【0093】
なお、このように閉磁路構成とする手法は、非干渉型のものに限らず、干渉型のものに適用してもよい。
【0094】
上記説明は、駆動コイル列を2重にした2相駆動対応のものについて説明したものであるが、これに限らず、3相などの多相駆動対応のものにすることも可能である。2重ではなく、さらに多重化できるのも勿論である。これら変更に対応する方法について簡単に説明する。
【0095】
変形リング構成については、次のようにする。電気角数n、駆動相数mとしたとき、各列をなす駆動コイル数kは2nとなる。多重化の数、すなわちコイル列数は、駆動相数mと等しい。各列毎に、駆動コイルの発生する磁束の向きが交互に逆となるように駆動コイルを直列接続する。そして、この直列接続された駆動コイルを夫々1相分として、インバータ回路の各相の出力端子に夫々接続する。回転板の構成は上述の例による。これにより、m相駆動、n電気角、変形1リング対構成とすることができる。
【0096】
独立リング対については、次のようにする。電気角数j、駆動相数mとしたとき、各列をなす駆動コイル数kは2jmとなる。多重化の数、すなわちコイル列数は、駆動相数mと等しい。各列毎に、駆動コイルを(m−1)個おきに使用して、その発生する磁束の向きが交互に逆となるように直列接続する。そして、この直列接続された駆動コイルを夫々1相分として、インバータ回路の各相の出力端子に夫々接続する。これを他の列についても同様に行う。回転板の構成は上述の例による。これにより、m相駆動、j電気角、純正独立mリング対構成とすることができる。
【0097】
ここで、「純正」と称したのは、独立mリング対構成の場合には、上述したように、各列に対応する回転板を一体的に形成したときには、各列が成すトルク発生機構夫々によって生ぜしめられた発生トルクが軸出力において加算され、結果として1つのトルク発生機構を成すものであることを考慮したからである。
【0098】
したがって、各列に対応する回転板を一体的に形成せずに、回転板毎に出力軸を独立に設ければ、各列が成すトルク発生機構夫々によって生ぜしめられた発生トルクによる回転出力を独立に取り出すこともできる。また、各列に対応する一部の回転板を組み合わせて、複合化することもできる。さらに、インバータ回路との接続を逆にすれば回転方向を逆にすることもできる。
【0099】
例えば、3相駆動の場合には、純正独立3リング対を1つ構成するのではなく、独立1リング系を3つ、或いは独立1リング系と独立2リング系を各1つずつ構成することもできる。上述した2相駆動の場合に、独立1リング系を2つ構成できるのは勿論である。また、4相駆動の場合には、独立2リング系を2つ構成することもできる。
【0100】
さらに、上記説明は各列を同じ数の電気角や相数で駆動するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、各列毎に、駆動相数や電気角数が異なるものであってもよい。
【0101】
このように、駆動コイル総数を増やすという多極化に際して、駆動コイルを多重に配置すること、さらには、交互に位置角度的に補完し合う高密度駆動コイル配置とすることは、駆動コイルを容易に面展開できるということにつながり、これは、「偏平」な電気エネルギ変換器を構成するのに非常に好都合である。そして、大幅なコスト増を招くことなく駆動コイルの多極化を行うことができ、また要求される機械出力特性に応じて、トルク発生機構を任意に選択することもできる。
【0102】
なお、今日のデジタルインバータ技術を使用すれば、単相から多相を生成することは難しくないが、多相にすればするほど、インバータ回路と電動機が共に複雑になり、コストが上がる。一方、本発明による分離型の電気エネルギ変換においては、分離していることに起因する制約があるけれども、大幅なコスト増を招くことなく、例えば多軸出力化や減速機構の付与(後述する)など多様な対応を実現できるという利点があり、また、産業用より、むしろ民生分野に安価に価値複合化(後述する)を提供し、また特殊な分野にも重ねて応用すること(後述する)などを考慮すると、2相駆動を基に多極化する構成を採用するのが好ましい。
【0103】
ここで、干渉型或いは非干渉型などという駆動コイルを多重配置した構成において大切なことは、従来の1重の駆動コイル列とそれに対応する回転板とからなるトルク発生機構部に対して、本発明は駆動コイルの総数を同じとしながら、例えば変形1リング対或いは独立2リング対という単純な構成のトルク発生機構部を形成することにより、何れの構成においても、装置サイズが同じであれば、高トルク化を図ることができるということである。但し、駆動コイルを並列接続して多極化を図ると、インバータ回路の出力端子と多数の駆動コイルの端子とを接続しなければならず、端子処理が繁雑となるので、端子処理を考慮すれば、駆動コイルを直列接続して多極化を図る方が好ましい。
【0104】
また、この単純な構成のトルク発生機構部を夫々1変換ユニットとして扱うことができるということも、本発明の特徴である。さらに、この変換ユニットを専用或いは混在させて、同一面上に或いは多面的に増設するということも簡単にできるから、大幅なコスト増を招かずに、より高トルク化を図ることもできる。また、分離型であるから、その取替え交換も極めて容易である。ここで「専用」とは、変形1リング対のみを複数、或いは独立リング対のみを複数という意味である。「混在」とは、変形1リング対と独立リング対とを組み合わせるという意味である。
【0105】
このような変換ユニット化は、分離機能を有する電気エネルギ変換器の1つの大きな特徴を利用した、回転機構部そのものが部材の型を成す場合に有用な考え方であり、その部材の表面(例えば、底面以外側面(斜面を含む)や天井面)に変換ユニットを増設してゆく場合に、極めて効果的である。
【0106】
また、変形1リング対と独立リング対の違いは、駆動コイルの接続方法と、回転板の1ターンコイルを成す穴部の形状であり、相互間の変更は、接続方法および回転板の変更という極めて簡単な処理で済む。したがって、高回転向きとか高トルク向きなど、必要とする機械出力特性に応じて、最適で高効率な回転機構部に組み替えること、例えば変形1リング対を独立リング対にして倍速化を目的としたり、逆に独立リング対を変形1リング対にして高トルク化を目的とするなど、機械出力特性の変更が容易であるという、従来のトルク発生機構部が有しない特徴的な効果を有する点で、本発明が果たす役割は非常に大きい。ここで「倍速化」とは、変形1リング対の場合の回転速度に対して2倍の回転速度にするという意味である。
【0107】
上述の考えに基づき、2つのトルク発生機構部を設けた構成例を図6に示す。この例は、同心円状に4つの駆動コイル列(形成されるサークルを夫々内側からサークルR1,R2,R3,R4という)を成すように、夫々8個の駆動コイルを磁気発生機構部100の磁気台座101上に均等配置したものであり、夫々が16個の駆動コイル103を有して成る、駆動コイル列R1,R2および駆動コイル列R3,R4の2つのトルク発生機構部を組み合わせたものである。各トルク発生機構部は、変形1リング対と独立2リング対何れの構成のものであってもよい。
【0108】
2つのトルク発生機構部を設けるに際しては、隣接サークル上の各隣接駆動コイル103の間(本例においては略中間)に、他方のサークル上の駆動コイル103が配置されるようにする。また駆動コイル103が高密度で配置されるように、サークルR2に配置する駆動コイル103の直径はサークルR1に配置するものより小さく、またサークルR3に配置するものはサークルR1に配置するものより大きく且つサークルR4に配置するものはサークルR3に配置するものより小さくするのが好ましい。
【0109】
回転機構部(不図示)には、磁気発生機構部のサークルR1,R2上に配置された駆動コイルと磁気結合するように内側回転板を配置し、またサークルR3,R4上に配置された駆動コイルと磁気結合するように外側回転板を配置する。これら2つの回転板は、上述の変形1リング対および独立2リング対何れの構成用のものであってもよい。
【0110】
サークルR1,R2上に配置された駆動コイルは内側回転板に対応するように、またサークルR3,R4上に配置された駆動コイルは外側回転板に対応するように、夫々上述の図1(C)または図2(C)のように直列接続する。つまり、内側回転板および外側回転板を何れも変形1リング対用のものとしたときには、図1(C)に準じて直列接続する。これにより、全体としては、変形2リング対、4電気角のものとすることができる。また、内側回転板および外側回転板を何れも独立2リング対用のものとしたときには、図2(C)に準じて直列接続する。これにより、全体としては、独立4リング対、2電気角のものとすることができる。さらに、一方の回転板を変形1リング対用のものとし図1(C)に準じて直列接続するとともに、他方の回転板を独立2リング対用のものとし図2(C)に準じて直列接続し、変形1リング対と独立2リング対を混在させた構成としてもよい。
【0111】
次に、上記思想に基づく磁気発生機構部,回転機構部および電流供給源を使用し、さらに減速機構、回転数制御、回転機構部から磁気発生機構部へ回生利得(帰還)を付与する構成などを備えるようにした、分離型誘導電動機のより具体的な態様について説明する。
【0112】
図7は総駆動コイル数16,2相駆動,独立2リング対,2電気角用の磁気発生機構部200(φ232mm×h43mm)を示す図であり、夫々駆動コイルの配置を示す平面図(A)、XY矢視方向の側断面図(B)である。なお側断面図(B)は、右側半分のみを示す。この磁気発生機構部200は、同一平面内,同一円周上に現実的に配置できる駆動コイルの総数は計20個程度であり、安価な電流駆動源を念頭にして、2相駆動且つ同一円周上に配置するコイル総数20個以下とし、効果的で高密度な駆動コイル配置として、高トルク化、トルクムラ削減を図ることを考慮して設計されたものである。また、長い磁気空隙長下のもと、同相内の極間ピッチ長は十分保つことが必要であるので、磁気空隙長6mmとした場合、自由空間での磁気発生機構部200の駆動コイルの最短極間ピッチが5cm以上となることを設計目標値として設計したものである。
【0113】
図7(A)から明らかなように、磁気発生機構部200における駆動コイル203(内側配置を203a、外側配置を203bとする)の配置は上述の図5に示したものと同じである。すなわち、内側に全周均等に配された内側駆動コイル列R1(コイル記号b,d,f,h,j,l,n,pの8個)とその外側で図示のように、内側駆動コイル列R1の相隣合う駆動コイルの谷間に、外側駆動コイル列R2(コイル記号a,c,e,g,i,k,m,oの8個)を、半径の増大を抑えるように近接させて配置する。
【0114】
各駆動コイル203を、上述の図5(C)に示すように、各列毎に、1つおきに接続する。すなわち、内側駆動コイル列R1の駆動コイル203a−1(b,f,j,n)を、それぞれの駆動コイル203a−1が発生する磁束の向きが交互に逆となるように直列接続する。同様に駆動コイル203a−2(d,h,l,p)を、それぞれの駆動コイル203a−2が発生する磁束の向きが交互に逆となるように直列接続する。また、外側駆動コイル列R2についても、内側駆動コイル列R1と同様に、駆動コイル203b−1(a,e,i,m)並びに駆動コイル203b−2(c,g,k,o)を夫々直列接続する。
【0115】
内側駆動コイル列R1の駆動コイル203a−1と外側駆動コイル列R2の駆動コイル203b−1を同じ相(sin相)に接続する。同様に駆動コイル203a−2と駆動コイル203b−2を同じ相(cos相)に接続する。これにより、内外の駆動コイル列を成す各駆動コイル203が、お互い全く独立し、夫々2電気角でもって2相駆動される。
【0116】
これら駆動コイル列R1,R2は磁気発生機構部200の底面に埋設された2組の独立した磁気台座円盤206(内側206a,外側206b)の上面に配される。磁気台座206は0.3mm厚のケイ素鋼板をスパイラル状に巻いたリング形状である。なお、磁気台座円盤206は、円形に限らず多角形でもよい。
【0117】
この磁気発生機構部200は成形樹脂などで構成され、その上面を構成する天板207としては耐熱,耐衝撃で非吸水性のフッ素樹脂コンパウンド材などが適する。尚、この筐体の底面,側面には放熱用の空気穴(不図示)が設けられる。
【0118】
図8は磁気発生機構部200に対応する回転機構部210(φ226mm、h1=35mm,h2=50mm)を示す図であり、回転機構部210に使用される回転板211に着目した平面図(A)および回転機構部210のXY矢視方向の側断面図(B)である。なお平面図(A)および側断面図(B)は、右側半分のみを示す。
【0119】
この回転機構部210は、軸固定方式の遊星歯車減速機構付のものであって、固定した筐体(本例では底板220)に植立された固定軸221と、この固定軸221周りに回転自在に軸支された回転板211と、回転板211の一部(本例では固定軸221近傍)に同軸に一体的に形成された歯車222と、この歯車222と噛合する、遊星歯車231を有して成る減速機構と、減速機構の出力部(本例では外輪歯車234)と一体的に形成された、固定軸221に回転自在に軸支された出力軸(出力歯車)240とを備えている。
【0120】
この減速機構は、トルクを発生する回転板211と一体的に形成された歯車222から、円周均等に配置された4個の遊星歯車231(図(A)で点線で示す4個の円参照)を経て、最外周に配設された外輪歯車234に減速伝達する1段の歯車減速機構を構成する。減速比は約1/3.8である。なお、遊星歯車231は、4個に限らず、例えば3個であってもよい。
【0121】
回転板211は、内外のコイル列に夫々独立に対応する、アルミ穴空きかご円盤212と軟磁性金属円盤213とが一体的に形成されたものである。
【0122】
アルミ穴空きかご円盤212は、磁気発生機構部200の内外2組の独立した駆動コイル列R1,R2に対応して、半径方向角度位置的に同位置に配された1ターンコイル鎖列を有する、2組の独立したかご円盤212a,212bから成る。このかご円盤212a,212bの、駆動コイルから見て反対側の面には、それぞれのアルミ穴空きかご部を完全に覆う形で、2組の独立した軟磁性金属円盤213a,213bが設けられる。なお、軟磁性金属円盤213a,213bは、円盤状のものに限らず、多角形状のものでもよい。
【0123】
この回転板211は、2組のアルミ穴空きかご円盤212と2組の軟磁性金属円盤213とが、独立して回転トルクを発生することができるように完全な分割を保ちながら一体的に形成された構成とする。
【0124】
回転機構部210の筐体210aの、出力歯車240の上面には、円周3等分された三脚を有すると共に約100°近い出力歯車240の開口部(不図示)を3口持つ三脚型支持板241が、固定軸221の上端面でネジ止めによって取り付けられ、筐体210aと固定軸221の上端部とを固定支持するように構成されている。なお、三脚型支持板241は、鶴の首の如く、一脚でもよい。
【0125】
この回転機構部210を、磁気発生機構部200の天板207に対して底板220が合わせ重なるように嵌合させ、各駆動コイル203を駆動すると回転板211が回転する。これにより発生する回転板211の回転力は、減速機構によって約1/3.8に減速されて、出力歯車240を経て機械出力(回転出力)される。
【0126】
尚、上記のような遊星歯車を使用した減速機構に限らず、内歯と外歯の歯数が1ずれた減速機構(例えばハーモニックドライブ社の減速機構)を使用することも可能である。この場合には、内歯そのものを回転板として兼用した構成とすることも可能である。
【0127】
図9は総駆動コイル数16,2相駆動,変形1リング対,4電気角用の磁気発生機構部250(φ232mm×h43mm)を示す図であり、夫々駆動コイルの配置を示す平面図(A)、XY矢視方向の側断面図(B)である。なお側断面図(B)は、左側半分のみを示す。
【0128】
図9(A)から明らかなように、磁気発生機構部250における駆動コイル253の配置は、図7(A)に示した磁気発生機構部200における配置と同じである。
【0129】
各駆動コイル253を、上述の図4(C)に示すように、接続する。すなわち、内側駆動コイル列R1の各駆動コイル253a(b,d,f,h,j,l,n,p)を、それぞれの駆動コイル253aが発生する磁束の向きが交互に逆となるように直列接続する。また、外側駆動コイル列R2についても、内側駆動コイル列R1と同様に、駆動コイル253b(a,c,e,g,i,k,m,o)を直列接続する。内側駆動コイル列R1をcos相に接続し、外側駆動コイル列R2をsin相に接続する。これにより、内外の駆動コイル列が1つの変形コイル列をなし、4電気角でもって駆動される。
【0130】
この内外の駆動コイル列は、磁気発生機構部250の底面に埋設された磁気台座円盤256の上面に配設される。なお、磁気台座円盤256は、円形に限らず多角形でもよい。
【0131】
図10は磁気発生機構部250に対応する回転機構部260(φ226mm、h1=57mm,h2=72mm,h3=110mm)を示す図であり、回転機構部260に使用される回転板261に着目した平面図(A)および回転機構部260のXY矢視方向の側断面図(B)である。なお平面図(A)および側断面図(B)は、左側半分のみを示す。
【0132】
この回転機構部260は、上述の回転機構部210に対して、もう1段遊星歯車減速機構を付加した軸固定方式の2段遊星歯車減速機構付のものである。また軸受距離を十分保つために磁気発生機構部250の底面まで固定軸271を延ばしている点が異なる。これにより、回転機構部260の固定軸271が磁気発生機構部250の底面まで入り込む嵌合形式となり、軸受間距離が十分保たれ、耐荷重能力が向上している。
【0133】
この回転機構部260は、その1段目が上述の回転機構部210の歯車減速機構と同じ構成をなし(各構成部材には上記と同じ引用番号を付す)、その2段目が、1段目の出力歯車240をその内輪歯車とし、以下1段目と同じ構成を成す歯車減速機構(遊星歯車281,外輪歯車284)を構成し、歯車222の回転動力が出力歯車290を経て機械出力(回転出力)されるようになっている。減速比は1段当たり約1/3.8であり、全体で約1/14である。
【0134】
このように、本発明によれば、回転機構部を軸固定方式とすることにより、多極化によることなく、ユニット化された遊星歯車減速機構を1段,2段(更に多段にすることも可能)と積み重ねることにより高トルク化を図ることができるようになり、トルクアップの手法の選択範囲を拡大し、電気エネルギ変換器の応用範囲を拡大することができる。
【0135】
回転板261は、磁気発生機構部250の、全体として、1つの回転磁界を発生している駆動コイル列(変形リング)に対応する、アルミ穴空きかご円盤262と軟磁性金属円盤263とが一体的に形成されたものである。
【0136】
アルミ穴空きかご円盤262は、内外2つの駆動コイル列の、その半径方向の配置位置差を吸収包含するような形で配された1ターンコイル鎖列を有する。このアルミ穴空きかご円盤262の、駆動コイルから見て反対側の面には、それぞれのアルミ穴空きかご部を完全に覆う形で、軟磁性金属円盤263(多角形でもよい)が設けられる。
【0137】
これら変形して配された駆動コイル列R1,R2とアルミ穴空きかご円盤262が磁気空隙を隔て、上下2つのリングで1対をなし、1機械角(1回転角)内に4つの極対を有する、即ち、変形1リング対4電気角の駆動となる。
【0138】
1段構成のものと同様に、回転機構部260の筐体260aの、出力歯車290の上面には、円周3等分された三脚を有し、約100°近い出力歯車290の開口部(不図示)を3口持つ三脚型支持板291が取り付けられている。なお、鶴の首の如く、一脚でもよい。
【0139】
この回転機構部260を、磁気発生機構部250の天板257に対して底板270が合わせ重なるように嵌合させ、各駆動コイル253を駆動すると回転板261が回転する。これにより発生する回転板261の回転力は、2段の減速機構によって約1/14に減速されて、出力歯車290を経て機械出力(回転出力)される。
【0140】
このように、減速機構を備えるようにすれば、力の極めて強い電気エネルギ変換器にすることができ、例えば浴室での取り外し自由な身体障害者入浴用補助椅子の水中動力源として応用することができるようになる。
【0141】
なお、何れの回転機構部にも、発熱分を外部に導くための対流穴(不図示)が筐体周辺に設けられている。回転機構部の回転板に伝達されたエネルギは動力分と発熱分とに分けられるが、負荷トルク状況に応じてその比率が異なる。この誘導電動機は、分離型であるという特徴を生かし、例えば回転機構部を湯内に配置して攪拌作用を成すと共に、この回転機構部の発熱分を対流穴を介して湯に伝達して、保温に利用することができる。なお、この場合、軸受部には磁性流体による防水処理などが施される(図示せず)。
【0142】
次に磁気発生機構部200,250を駆動する電流供給源について説明する。本例の電流供給源300は、上述の総駆動コイル数16の誘導電動機の動作状態を維持,監視しながら磁気発生機構部を駆動するものであり、基本構成としてインバータ方式を採用している。この電流供給源300のブロック図を図11に示す。以下、この電流供給源300を「インバータ回路300」という。なお、このインバータ回路300は、上述の総駆動コイル数16の誘導電動機に限らず、本発明による他の態様の電気エネルギ変換器に使用することができるのは勿論である。
【0143】
このインバータ回路300は、単相100V,50/60Hzの商用電圧が入力され、倍電圧整流された2系統のDC電圧V1,V2を出力する電源部310と、後述する各種制御を行うデジタル信号処理部(DSP)320と、所定周波数のsin信号,cos信号を磁気発生機構部200,250に出力する出力部340と、駆動停止手段350の一部を成すスイッチ351とから成り、入力された単相信号を相変換および周波数変換し、低電圧大電流の正弦波信号を出力する、ACからDC,DCからACへのコンバータ即ちAC−ACインバータである。
【0144】
電源部310は、倍電圧整流回路311および力率改善回路312から成る。電源部310には、商用電圧AC100Vおよび起動信号S1が入力される。倍電圧整流回路311が、商用電圧AC100Vを倍電圧整流してDC電圧V1,V2を出力する。力率改善回路312が、商用電源に高調波ノイズがのらないように高調波を抑制するとともに、力率を改善する。
【0145】
DSP部320は、プロセッサ(CPU)321,駆動周波数可変発振器322,F/V変換器323,出力比較回路324,三角波発振回路325,π/2移相回路326,パルス幅変調回路327,328および逆転制動回路329を有して成り、駆動周波数可変発振器322から出力された所定周波数の正弦波信号を2相信号(sin信号,cos信号)に変換し、この2相信号の夫々を高周波の三角波でパルス幅変調してPWM波を出力部340に出力する。
【0146】
DSP部320には、回転機構部が磁気発生機構部に搭載されているか否かを判定する、駆動停止手段350の一部を成す判定回路352が設けられている。
【0147】
出力部340は、ハーフブリッジ型出力回路341,342およびPWM搬送波を除去するフィルタ回路343,344から成り、倍電圧整流されたDC電圧V1,V2を入力された2相のPWM波でスイッチングして駆動出力を得、この駆動出力に含まれるPWM搬送波を除去して、90°位相差の2相信号を磁気発生機構部200,250の各駆動コイルに供給する。
【0148】
インバータ回路300の出力インピーダンスZOUT の実効部分Real(ZO UT )(実効抵抗)は、駆動周波数1kHz以下では、ハーフブリッジ型出力回路341,342の出力用電流制御トランジスタ(不図示)のON抵抗が支配的であり、一般には1Ω〜3Ω程度である。
【0149】
このインバータ回路300には、磁気発生機構部200,250の各駆動コイルおよび回転機構部210,260の回転板111,261を主要部とする磁気回路が負荷回路として接続される。
【0150】
ところで、動力や発熱などの有効となる電力(有効電力)は、回転機構部210,260の回転板211,261(以下、これら回転板を一般的な表現として「回転体」という)の抵抗成分のみで消費される電力である。その他の電力は、大きな磁気空隙を隔て、この有効電力を損なうことなく回転体に伝送する、いわゆる磁束キャリアとして機能するものである。換言すると、この磁束キャリアは、無効となる電力(無効電力または皮相電力という)から成り立っており、この無効電力はインバータ回路300の電源と負荷回路との間を往復し、回転体に有効電力を搬送する、負荷回路には消費されない磁束搬送波の役割を果たしていると解釈することが出来る。この無効電力は、動力や発熱として利用されない、真の消費がないものではあるが、その値は、有効電力と比較すると大きい。
【0151】
インバータ回路300は、有効電力以外に、この大きな無効電力をも負荷回路に供給する必要がある。特に回転機構部が搭載されていないときには、その値は約2kVAとなるので、インバータ回路300が扱う耐圧,耐電流には留意する必要がある。
【0152】
次に、インバータ回路300が供給する電力を回転機構部210,260に効率よく伝達するための条件について考える。
【0153】
磁気発生機構部に回転機構部が搭載されていない場合における、磁気発生機構部側の1相分の2端子インピーダンスZS0の実効部分Real(ZS0)(実効抵抗)は、インバータ回路300の出力インピーダンスZout の実効抵抗Real(ZOUT )1Ω〜3Ωに比べて十分低い値とすることが重要である。
【0154】
駆動周波数f≦1kHzであれば、インバータ回路300は、磁気発生機構部と回転機構部との磁気的な結合を経て、無駄なく回転機構部に電力を供給することができる。即ち、インバータ回路300が供給する電力の一部は実効抵抗Real(ZS0)によって消費され、残りの電力が回転機構部に消費される。したがって、インバータ回路300が供給する電力を回転機構部に効率よく伝達するためには、実効抵抗Real(ZS0)の値が十分小さいこと、すなわち、駆動周波数における、磁気発生機構部の直流分抵抗を含む交流分抵抗を、実現可能な範囲で徹底的に小さくすることが望ましく、これにより、銅損による発熱を抑えることができ、また効率を向上させることもできる。
【0155】
ところで、本出願人は、本例の電動機のサイズと駆動周波数との関係は小型化になる程、分離化での効率は低下し、逆に一体化構成を必要とし、小型化と共に駆動周波数も高い方に移行することを確認している。
【0156】
この駆動周波数を高い方に移行する対応として、先ず駆動コイルの線材を、細線を数多く束ねた撚り線とすると共に、磁気発生機構部の主磁気回路を(さらに好ましくは回転機構部をも)、オーディオ磁気ヘッドとして周知のMn−ZnやNi−Zn軟磁性フェライト、さらにはこれらの複合材などにより形成して、その高周波の駆動周波数における交流分抵抗を低減するのが好ましい。なお、フェライト材の形状は、フェライト焼成能力に関与するので、焼成容易なブロック片を組み合わせた多角形などにするとよい。
【0157】
これにより、高周波駆動が可能になり、本発明による電気エネルギ変換を、ミリサイズマシーンなどに適用することができるようになる。
【0158】
また、この高周波駆動に対応して交流分抵抗を低減させる設計法は、後述する誘導加熱用の高周波交番磁界を発生させる場合にも適用できる。
【0159】
さらに、この設計法は、多重配置構成の電気エネルギ変換器に限らず、分離型の電気エネルギ変換器であれば、何れの構成のものにも適用することができる。
【0160】
本例におけるインバータ回路300においては、後述する近接センサ150,151(他の方法を使用してもよい)を回転数検出手段として利用し、図中点線で示すように、その出力をプロセッサ321に入力し、回転数が最大になるように駆動周波数を制御することができるようになっている。なお、この場合には、駆動周波数可変発振器322の出力は、出力比較回路324を経由することなく、sin相信号として、直接にパルス幅変調回路327と移相回路326とに入力される(図中点線)。移相回路326によりsin相信号を90°遅延させてcos相信号とし、パルス幅変調回路328に入力する。
【0161】
なお、本電動機の動的応答性は、高慣性モーメント,低回生利得により6〜8秒程度であり、換言すれば、遮断周波数は0.1Hz前後である。このような動的応答性を有する電動機に対して、上述の速度制御を行って遮断周波数を10Hz程度に改善するためには、100パルス/回転以上の回転情報を生成すること、すなわち制御情報密度を高めることが必要である。そのためには、前述のような近接センサ150,151を利用して、100パルス/回転以上の回転情報(回転数)を検出する専用の手段を設けるとよい。例えば、回転体の外縁近傍に100個の切欠部を設け、これを検出するなどである。
【0162】
なお、本発明による電気エネルギ変換器は分離型であることが大きな特徴であり、例えば電気コードレスで堅牢な回転機構部を、水中や海中,また光の通らない汚水中などの特殊環境下におくことができ、また回転機構部を交換容易な形態とすることができる。従って、回転情報検出手段を設けるに際しては、磁気発生機構部から回転機構部に、電気的或いは光学的な細工を何ら施すことなく、運転中の回転情報を、確実に検出することが求められる。これに鑑みれば、長い磁気空隙長下でも、回転体の金属の有無を検出することができる、例えば磁気センサ(後述する近接センサなど)を使用するのが好適である。この磁気センサは、金属の有無による、主としてインダクタンスの変化を検出するものである。
【0163】
例えば近接センサ150,151(他の方法を使用してもよい)を回転数検出手段として利用し、該近接センサ150,151の出力をF/V変換回路323に入力し、該F/V変換回路323の出力を設定電圧と比較して、V1,V2の電圧を制御する速度制御ループ(定速度制御ループ;不図示)を設けるとよい。これにより、数Hzまで応答性を高めることができる。
【0164】
また、モータの立上り特性を改善するために、始動時過電圧(定格電圧の約1.5倍位)を負荷によって設定された時間(この数値は最大3分を目安としてプログラムデータとして与えられている)経過後、定常電圧印加に戻して連続回転させる電気的強制キックスタート機能を設けるとよい。このキックスタート機能の付加により、回転体を短時間に所定回転数まで立ち上げることができる。なお、この際には、何らかの条件で回転体が拘束されている場合の駆動コイルの焼損を防ぐために、駆動コイルへの過電圧の印加時間を制約する方式(以下「強制短時間過電圧印加加速方式」という)を採用するとよい。また、この高速、高慣性モーメントの回転体を緊急停止させる手段の1つとして、駆動コイルを逆回転モードに切り換えると共に、この過電圧を印加する方式(以下「強制過電圧印加制動方式」という)を採用するとよい。この場合、回転数パルスが所定の設定パルス数以下になると過電圧の印加が遮断されるようにする。本例では、図11に示す回転制動回路329が、この強制過電圧印加制動方式の機能を成す。
【0165】
また、回転体の1ターンコイル鎖列のアルミ穴空きかご円盤を50〜300エルステット(Oe)程度の半硬質磁性材料、例えばアルニコ材などに変えると、上述した回転数を一定に維持する速度制御ループを構成しなくても、自己同期した、定回転数の同期電動機を簡易に構成することが出来る。
【0166】
但し、この場合には、起動時に着磁機能を備えるのが望ましい。このためには、インバータ回路のプロセッサ部に内蔵されたプログラムに、起動時に直流過電圧を駆動コイルに印加して回転体のアルニコを着磁せしめ、回転体の停止後、必要に応じて消磁する機能を持たせることにより実現することができる。本電動機は、磁気発生機構部の電流容量が大きく、20kHz程度まで低インピーダンスであるので、インバータ回路300に着磁消磁機能を容易に付加することができるという大きな特徴を有する。また、回転体の停止後、その回転体を拘束保持する必要のあるときは、その直流電圧を駆動コイルに印加して行うこともできる。
【0167】
インバータ回路300には、上述した駆動周波数制御や速度制御以外の機能も設けられている。以下、他の機能について説明する。
【0168】
上述したように、磁気発生機構部に回転機構部が搭載されていないときには、インバータ回路300が扱う耐圧,耐電流には留意する必要があり、本例ではそのための安全対策が講じられる。
【0169】
先ず、回転体の一部に、動的釣り合いが保たれた状態で、複数の切欠部を設ける。本例では、回転体の最外周で、その背面には閉磁路材の磁性金属板を有しない領域の、円周を3等分する位置に、小片の切欠部129を3個設けている(図8および図10参照)。
【0170】
次に、切欠部129の有無を検出する複数のセンサを磁気発生機構部に設ける。その配置位置は、夫々が同時に切欠部129であることを検出しないような位置とする。即ち、回転機構部が搭載時は少なくとも1つのセンサは非切欠部に位置するように配置する。本例では、切欠部129による金属有無を無接触で検出することができる磁気誘導式近接センサ150,151を、円周2等分して、回転体の切欠部129と対接する位置に夫々配置する(図7、図9参照)。
【0171】
インバータ回路300内に設けられた駆動停止手段350の判定回路352が、近接センサ150,151の出力状況に基づいて、全ての出力が切欠部129であることを示すときには、スイッチ351をオフにする。
【0172】
近接センサ150,151の出力が、何れも切欠部を示すときには、回転機構部が磁気発生機構部に搭載されていない状態(非搭載状態)であることを表すので、スイッチ351をオフにすることにより、この状態では電源が投入されないようにする、すなわち非搭載状態では駆動コイルの駆動を停止する、換言すれば、搭載されて始めて主電源投入が可能な、安全対策が採られた装置にできる。
【0173】
なお、上述したように、回転体が回転中は、近接センサ150,151の出力を回転数を示す信号として利用することができる。
【0174】
但し、近接センサ150,151は、天板207,257上に金属物(例えばスプーンなど)が載置されると回転機構部が搭載状態であると誤認することがある。これによる電源投入の誤動作を避けるためには、回転機構部が実際に搭載されることによって始めて押入される電気スイッチによる検出と、上述の近接センサ150,151による検出とを組み合わせて、すなわち機構的検出と磁気的検出という2重の検出機構を設けて、確実な安全対策(フェイルセーフシステム)を講じるのが好ましい。
【0175】
なお、このように、回転機構部非搭載時の安全対策を講じる手法は、多重配置構成の電気エネルギ変換器に限らず、他の構成による分離型の電気エネルギ変換器にも同様に適用することができる。
【0176】
上述した駆動周波数制御や速度制御などの各種処理は、出力回路341,342とフィルタ回路343,344を除き、全てデジタル化された信号処理で行うことができ、特にテキサツ・インスツルメンツ(TI)社のモーター制御用DSPなどを有効に活用することにより、その処理プロセスを最適化するプログラム付インバータとすることができる。これらは家庭内コンピュータとも連携し、代理人的機能をも実行し得るものである。
【0177】
なお、出力500W以下の小型電動機の分野で、家庭内電源事情を加味した場合、電動機としての基本的制約は磁気発生機構部の発熱,温度上昇である点を考慮し、本例の電動機の磁気発生機構部は、全て60℃以内の温度上昇値となるように設計されている。
【0178】
また、磁気発生機構部のサイズをφ232mmとしており、これにより機器全体のサイズをφ300mm以下とすることができ、人が両手で簡単に扱いうる商品のサイズ(立方体の一辺がそれぞれ最大約30cm程度)と都合良く、程良い一致を見せており、結果的に良い整合性を与えることができた。
【0179】
次に、軸固定式であって、出力軸を夫々独立に設けた複数の回転板を有する、多軸出力構成の回転機構部について説明する。
【0180】
図12は、この多軸出力構成の回転機構部を示す図であり、その側断面図(A)およびXY矢視方向の断面図(B)である。対応する磁気発生機構部は上述の図6に示すものを使用する。なお、使用する回転板は、上述した独立リング対用或いは変形リング対用など多重配置構成の電気エネルギ変換器用のものにも限定されず、どのようなものであってもよい。それに対応する構成の磁気発生機構部と電流供給源を使用するのは勿論である。
【0181】
先ず、回転機構部400の固定した筐体(本例では底板401)に固定軸402を植立する。
【0182】
回転機構部400内には、対応する磁気発生機構部(図6参照)のサークルR1,R2上に配置された駆動コイルと磁気結合するように内側回転板410を配置し、またサークルR3,R4上に配置された駆動コイルと磁気結合するように外側回転板411を配置する。これら2つの回転板は、上述の変形1リング対および独立2リング対何れの構成用のものであってもよい。この2つの回転板夫々には、中心部に延在し、固定軸近傍で立ち上がる専用の出力軸420,421を夫々設ける。
【0183】
内側回転板410の出力軸(内側出力軸)420を、固定軸402に対して回転自在なように内側軸受部430によって支持する。外側回転板411の出力軸(外側出力軸)421を、内側出力軸420に対して回転自在なように外側軸受部431によって支持する。図中440は、三脚型固定軸支持板である。
【0184】
これにより、両回転板が夫々独立に回転するように回転磁界を独立に付与すれば、2つの出力軸から個別に回転出力を得たり、或いは差動化出力を得ることもできる。例えば、変形1リング対,4電気角の出力軸と、独立2リング対,2電気角の出力軸という2つの異なる目的の機械出力特性を有する回転機構部を構成することができる。
【0185】
また、この多軸出力構成と、上述の遊星歯車減速機構を多段に積み重ねた構成とを組み合わせることも可能であり、そうすれば、電気エネルギ変換器の応用範囲を一層拡大することができる。
【0186】
なお、このように多軸出力構成とする手法は、多重配置構成の電気エネルギ変換器に限らず、他の構成による分離型の電気エネルギ変換器にも同様に適用することができる。
【0187】
次に、磁気発生機構部の両側に、独立に回転可能な回転体を設けた回転機構部について説明する。なお、上述した、磁気発生機構部の片側に回転体を配置したものを、単回転子構成の回転機構部という。
【0188】
このような構成の回転機構部は、例えば2つの回転板を有する双回転子構成のものとして適用することができる。この双回転子構成の回転機構部とするには、例えば、磁気発生機構部に設けられる磁気台座を、回転自在な回転体に置き換えて回転機構部内に組み込み、1つの磁気発生機構部に対して、その両側に2つの回転体を有する構造とするとよい。
【0189】
このように、分離するために必要であった1つの大きな磁気空隙長を2つの磁気空隙長に分け持つように双回転子に振り分けて一体化構成とし、かつ回転子それぞれが固有の出力軸を有する2出力軸構成とすれば、それぞれの回転子の負荷に応じて自己調整設定された回転動力を各出力軸から独立に取り出すことができる。
【0190】
これにより、特に筐体が曲がるときなどには、内,外輪の回転数差を自動的に自己調整する誘導機本来の利点が生かされ、例えば回転体自体がディスクブレーキをも兼ねる電動3輪自転車などへ応用することができる。
【0191】
なお、この両側配置の回転機構部に使用される回転体は、上述した独立リング対用或いは変形リング対用など多重配置構成の電気エネルギ変換器用のものに限定されず、どのようなものであってもよい。それに対応する構成の磁気発生機構部と電流供給源を使用するのは勿論である。
【0192】
また、この構成を効果的に発揮させるためには、駆動周波数制御や速度制御を行うのが効果的であるのは勿論である。
【0193】
次に、複数の磁気発生機構部が、回転体に対して、分離対面、一体的対面およびその混在の内の何れかの状態で設けられているものについて説明する。
【0194】
このような構成のものとしては、例えば、2つの回転体の1ターンコイル鎖列を有する軟磁性金属板同志を貼り合わせて事実上1つの回転体とし、この回転体の両側に、回転機構部に対して、両方共が分離して、または一方が一体的で他方が分離して、2つの磁気発生機構部を配した双固定子構成のものとして適用することができる。
【0195】
この双固定子構成は、例えば、錠前に利用することができる。この場合、回転機構部と一方の磁気発生機構部とを分離してこの一方の磁気発生機構部をタバコサイズ程度の持ち運び自由な鍵と見なし、回転機構部と他方の磁気発生機構部を一体的に構成すると共に両者を非金属の戸や箱の内側に埋設配置することにより、鍵となる一方の磁気発生機構部を非金属戸などを通して回転機構部にほぼ嵌合して回転体を回して錠をはずし、また一体化されている他方の磁気発生機構部を作動させて、例えば就寝時居間にいながら一斉に各扉を自動的に施錠することができる。なお、分離されている回転機構部のみでも、回転体を非金属戸や箱の内側に配して、施錠や鍵開けを行う動力源に活用することもできることは言うまでもない。
【0196】
上述の説明は、磁気発生機構部が回転磁界を発生するものであって、該回転磁界を回転体に作用させて該回転体を誘導回転させる誘導電動機について説明したものであるが、本発明による電気エネルギ変換器は必ずしもこのような誘導電動機に限るものではなく、磁気発生機構部が交番磁界を発生するものとし、該交番磁界により誘導加熱を行うようにすることも可能である。この場合、磁気発生機構部は、回転磁界と交番磁界とを選択的に発生させる切換手段を備えたものとすることが望ましい。
【0197】
こうすれば、1つの磁気発生機構部を、回転磁界発生用と交番磁界発生用に兼用することができ、誘導回転と誘導加熱とを切り換えて使用できる電気エネルギ変換器、例えば電気コードレスの回転調理器具(例えばミキサやジューサなど)と他の金属調理鍋とを混在利用できる、新しい厨房用調理テーブルを提供することができる。
【0198】
また、この場合、磁気発生機構部が発生する交番磁界を回転機構部の回転体に作用させ、該回転体自体が誘導加熱されるようにしてもよいし、磁気発生機構部と回転機構部とが取り外し自在なものとし、磁気発生機構部の上に回転機構部の代わりに金属調理鍋を載置して、該調理鍋が誘導加熱されるようにしてもよい。
【0199】
また、この誘導加熱を行う場合、磁気発生機構部の駆動コイル列が半径方向に多重に配置されている分、加熱の局所集中が回避でき、発熱が分散均一化されて、料理などには好ましい。
【0200】
また、このように磁気発生機構部を誘導回転動力以外に誘導加熱にも兼用する場合は、誘導加熱用駆動周波数は、概して20〜30kHzの可聴周波数領域外の周波数が用いられ、この駆動周波数に対して十分低損失な磁気発生機構部であることが望ましく、上述した高周波駆動に対応した設計法を適用するとよい。すなわち、駆動コイルの線材は、細線を数多く束ねた撚り線を線材とすると共に、駆動コイルの磁芯や磁気台座は、その高周波の駆動周波数に対して十分低損失化が出来るMn−Zn系またはNi−Zn系の軟磁性フェライト材を用いるのが好ましい。
【0201】
さらに、複数の回転体を備えた回転機構部とするとともに、回転磁界と高周波交番磁界を同時に発生させ得る磁気発生機構部とし、独立に回転磁界や高周波交番磁界を同時または選択的に発生させるようにすることも可能である。そうすれば、例えば、一方の回転体に対して回転磁界を作用させ、他方の回転体に対して交番磁界を作用させると、熱研磨やバリ取り研磨などに活用することができる。また、各回転体を互いに反対方向に回転させたり、必要に応じて一方或いは両方で誘導加熱を行うことも可能となるなど、電気エネルギ変換器の利用範囲を一層拡大することができる。このような手法は、多重配置構成の電気エネルギ変換器に限らず、他の構成による分離型の電気エネルギ変換器にも同様に適用することができるのは勿論である。
【0202】
次に、本発明による電気エネルギ変換器の新機能付与、すなわち他の利用態様(応用展開)について説明する。この電気エネルギ変換器の新機能付与は、多重配置構成の電気エネルギ変換器に限らず、他の構成による分離型の電気エネルギ変換器にも同様に適用することができるのは勿論である。尚、この付与される新機能は主として回転機構部に付与されるが、磁気発生機構部にもそれを助ける機能が付与されることもある。そしてこの新機能は回転状態で付与されることもあり、また回転と新機能が交互に行われることもある。
【0203】
この新機能付与の考え方として、
1)Co−Generation(熱動併給)
2)Co−Function(多機能化)
3)Under Special−Environment(特殊環境下)
があり、それらの複合形態としての新規応用が誕生する。その数例を以下に示す。
【0204】
石油から発電し、その余熱を活用する基幹産業での「熱電併給」が実用化されている。家庭などでも電力から動力と、そして分離された回転機構部に発生する熱を捨てるのではなく、保温に利用することにより、本発明による電気エネルギ変換器を浴室周りに活用することができる。
【0205】
扁平・分離構成の特徴を生かす応用として以下の事例が考えられる。例えば、磁気発生機構部または回転機構部の内の何れか一方を必要なところに非金属の隔離壁を隔てて埋設設置し、必要なとき、非埋設のもう一方の機構部をその隔離壁を挟んで合体させて、1つの機能、ここでは実用となる回転動作を得ることができる。
【0206】
具体的な応用事例としては、美しく表飾された、木材、ガラス、陶器などの非金属製の壁や戸の内側に一方を埋設配置し、必要なとき、他方を合体させて、機能させ、目的を達することができるシステム、床下換気扇、暑い夏場にのみ使用される換気扇や錠前システムなどを構築することができる。
【0207】
2つの機能を1つで具現化する「多機能化」として以下の例を示す。回転体の形状は、上述した回転板のように円盤状のものに限らず、筒状,中空で外観が円錐状,球状などの幾何学形状から既存の商品例えば茶碗,皿,鍋や漏斗,釣り鐘などの商品の形状に合わせ込むなどして、任意の形状とすることが可能であり、部材の多機能化を図ることが可能となる。具体的には、漏斗に回転体を填め込み、これを浴槽内で一体的に回転させると、湯循環ポンプとして機能させたり、或いは小型生ゴミ処理機として機能させることができるなどである。
【0208】
また、コードレスで安全、堅牢で取り外し自由な回転機構部、そして保守点検、交換が容易にできる回転機構部の特徴を生かして、かつ回転動力以外、その回転体の発熱分まで有効活用することもできる。その事例の1つとして、屋外、特に風雪地方での雪かぶり防止機能付き「動く標識」「動く看板」がある。動く機能に回転動力を、雪かぶり防止に回転板発熱分を活用したり、誘導加熱を行ってもよい。また最近、家屋ガラス窓清掃具の1つとして、室内から手の届かない外気に接するガラス面を清掃する装置がある。この装置は、ガラス窓という磁気空隙を隔てて、内側(室内側)の電磁石または永久磁石により、外側(屋外側)に配置される軟磁性金属片を落下させないように十分な吸引力で吸着させながら、内側の永久磁石などを移動させ、外側に配置された軟磁性金属片に装着支持されたモップなどを永久磁石につれて摺動させることにより、ガラス窓を清掃するものである。本発明をこの装置に適用して、磁気発生機構部を室内側に配すると共に、ガラスを隔てて軟磁性金属片をその周囲に持つモップ付き回転板を磁気発生機構部と対向配置させることにより、回転板を回転摺動させてガラスを室内側より清掃する清掃モップにすることができる。また、交換可能なモップ付き回転板とすれば、ビルなどの床掃除に利用することもできる。特に、電気系との完全隔離が容易であるために、漏電事故を確実に防ぐこともできる。
【0209】
ここで非常に大切なことは、2つの機能をそれぞれのデバイスなどで行う場合、その単品としての変換効率は60〜80%前後であるが、2つの機能の総合では例えば30〜40%となる。本電動機の機械出力による効率は30%弱であるがその発熱分迄活用する複合化(valuemix)での効率は50%程度となり、遜色ない値であり、省スペース,省資源の流れに乗るものである。しかし、それぞれの機能の絶対値は低減する事は避けられず、それを充たす用途の開拓が大切である。
【0210】
さらに電気コードレスで安全,堅牢な回転機構部は、水中,海中,浴槽内,汚れ物内,毒薬物内やクリーンルーム内,クリーンベンチ内及び食品加工機内,熱化学研磨やバリ取り研磨及び自動車,自転車などの「特殊環境下」での回転動力の活用とともに、「熱動併給」,「多機能化」の諸機能をも併せ付与した価値複合化を推進することができる。
【0211】
回転機構部の軸受摩耗による寿命交換は切れた電球交換のように簡単に安価に行いうる点など安いランニングコストを提供することもできる。
【0212】
以上説明したように、本発明による電気エネルギ変換器は、分離型であるということに基づく出力制約があり、その適用分野は出力約500W以下の小型電動機であるものの、例えば200W用或いは500W用といったランク別の標準的な磁気発生機構部と、自由に交換可能なランク別の標準回転機構部との組合せや、上述した多機能化,複合価値の提供,また電力供給端末での熱動併給の提供などを通して、省資源で、良いコストパフォーマンスを示すことができ、特に民生分野に安価に複合化された価値を提供することができるようになった。
【0213】
また、本発明による電気エネルギ変換器によれば、家庭用住宅設備機器への応用展開から、水中活用や、特殊な殺菌処理、クリーンルーム内の動力源などの特殊分野への適用、特に機械出力特性に応じたトルク発生機構の選択、ユニット化された遊星歯車減速機構の組み込みや、複数出力軸対応などによって、安価なランニングコストと容易なリサイクル性を併せ持つ、現場適応性を容易に発揮する、電気エネルギ変換の新規なプラットフォームを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電気エネルギ変換器の磁気発生機構部の駆動コイルの平面配置図(A)、これに対応する回転機構部の回転板の平面図(B)、および駆動コイルの電気的接続図(C);駆動コイル総数8個、2電気角の変形1リングの場合
【図2】本発明による電気エネルギ変換器の磁気発生機構部の駆動コイルの平面配置図(A)、これに対応する回転機構部の回転板の平面図(B)、および駆動コイルの電気的接続図(C);駆動コイル総数8個、1電気角の独立2リングの場合
【図3】本発明による電気エネルギ変換器の磁気発生機構部の駆動コイルの平面配置図(A)、これに対応する回転機構部の回転板の平面図(B)、および駆動コイルの電気的接続図(C);駆動コイル総数12個、3電気角の変形1リングの場合
【図4】本発明による電気エネルギ変換器の磁気発生機構部の駆動コイルの平面配置図(A)、これに対応する回転機構部の回転板の平面図(B)、および駆動コイルの電気的接続図(C);駆動コイル総数16個、4電気角の変形1リングの場合
【図5】本発明による電気エネルギ変換器の磁気発生機構部の駆動コイルの平面配置図(A)、これに対応する回転機構部の回転板の平面図(B)、および駆動コイルの電気的接続図(C);駆動コイル総数16個、2電気角の独立2リングの場合
【図6】2つのトルク発生機構部を設けた構成例を示す図
【図7】総駆動コイル数16,2相駆動,独立2リング対,2電気角用の磁気発生機構部を示す図;駆動コイルの配置を示す平面図(A)、XY矢視方向の側断面図(B)
【図8】図7に示す磁気発生機構部に対応する回転機構部を示す図;回転板に着目した平面図(A)および1段歯車減速機構を有する回転機構部のXY矢視方向の側断面図(B)
【図9】総駆動コイル数16,2相駆動,変形1リング対,4電気角用の磁気発生機構部を示す図;駆動コイルの配置を示す平面図(A)、XY矢視方向の側断面図(B)
【図10】図9に示す磁気発生機構部に対応する回転機構部を示す図;回転板に着目した平面図(A)および2段歯車減速機構を有する回転機構部のXY矢視方向の側断面図(B)
【図11】磁気発生機構部を駆動するインバータ回路(電流供給源)のブロック図
【図12】軸固定式、多軸出力構成の回転機構部の側断面図(A)およびXY矢視方向の断面図(B)
【符号の説明】
100,200 磁気発生機構部
103,203 駆動コイル
110,210,400 回転機構部
111,211,410,411 回転板
120,300 インバータ回路(電流供給源)
129 切欠部
150,151 近接センサ(回転数検出手段)
321 CPU(回転数制御手段、駆動周波数制御手段として機能)
350 駆動停止手段
Claims (1)
- 所定の周波数の電流を出力する多相交流の電流供給源と、該電流供給源により駆動され回転磁界を発生する磁気発生機構部と、回転自在の1ターンコイル群の良導体と背面の良軟磁性材とによる回転体を有する回転機構部とを備え、前記磁気発生機構部と前記回転機構部とが互いに分離可能に組み立てられ、両者が磁気的空隙を隔て対向配置され、前記磁気発生機構部から発生する回転磁界を前記回転体に作用させて該回転体を回転駆動する電気エネルギ変換器であって、
前記磁気発生機構部が、径の異なる円周上に夫々配された空間的位相配置を持つ複数個の駆動コイルから成る駆動コイル列を有し、
前記電流供給源が、各駆動コイル列から発生される磁束により形成される前記回転磁界により、該駆動コイル列と直接的に対面する前記回転体内の1ターンコイル鎖列との間に生じる夫々の発生トルクが、互いに他の駆動コイル列による発生トルクを補うように、前記駆動コイルを駆動するか、前記駆動コイル列の夫々を多相駆動の各相に対応させて駆動することにより、前記回転体に全体として1組の発生トルクを生ぜしめるものであり、
前記回転機構部が、前記磁気発生機構部の両側に、固有の出力軸を持つ回転体を夫々独立に配置して成るものであることを特徴とする電気エネルギ変換器。
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