JP4416902B2 - カメラ用シャッタの羽根 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影に際して、2枚の羽根が相対的に往復作動して露光開口を開閉することにより、撮像素子の撮像面やフィルムを露光させるようにした、カメラ用シャッタの羽根に関する。
【0002】
【従来の技術】
2枚の羽根が地板に枢着されていて、駆動手段の往復回転に連動して、それらの羽根が露光開口を相対的に開閉作動するようになっているタイプのシャッタは、撮像素子を使用するデジタルカメラにも、フィルムを使用するカメラにも用いられている。そして、デジタルカメラに用いられた場合には、撮影に際して、2枚の羽根は、駆動手段により露光開口を閉鎖してから開放位置へ復帰させるようにしたものが知られている。
【0003】
そのような一例として、特開平10─221740号公報に示されているものがある。この従来例では、シャッタ羽根4,5(羽根)は、露出開口APの側方位置において、上地板1のピン1a,1bに対して各々揺動自在に軸支されている。また、出力ピン6f(駆動ピン)は、上地板1及び中地板2を貫通して、シャッタ羽根4,5に形成された長孔4a,5aと係合している。そして、初期状態から、ムービングマグネット6のコイル6cに正のパルス電流を供給すると、マグネット6eが反時計廻りに回転して、出力ピン6fを強磁性体のピン1dに当接させると共に磁着して停止する。このように出力ピン6fが反時計廻りに回転すると、露出開口AP(露光開口)の側方位置で軸支された2枚のシャッタ羽根4,5は、遮蔽状態(閉鎖状態)から開口状態(開放状態)に作動された後、保持されることになるので、液晶ファインダに対する表示を可能としている。
【0004】
その後、レリーズスイッチ14がオンされると、CCD12の放電動作が完了した時点から、所定の露出秒時経過後、コイル6cに負のパルス電流を供給することによりマグネット6eは、時計廻りに回転して出力ピン6fを、強磁性体のピン1cに当接させると共に磁着して停止する。そのため、出力ピン6fの時計廻りの回転に伴って、シャッタ羽根4,5は、露出開口APを遮蔽して保持されるようになっている。この様にして一回の撮影動作が完了した後、再度、コイル6cに正のパルス電流を供給すると、出力ピン6fによりシャッタ羽根4,5は露出開口APを開口し、液晶モニタ等に対する表示を可能にしながら、次にレリーズスイッチ14がオンされるまで待機するようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、撮像素子の画素数の増加傾向は著しいが、一般的に画素密度を大きくさせるのでなければ、撮像素子の撮像面積は増大することになる。そして、カメラの低コスト化等の理由から、撮像面積の増大した撮像素子を使用した場合には、撮像面積の増大に伴って露光開口の口径が大径化するため、羽根の作動量が増えることになる。その結果、羽根の作動速度を高速化しなければならないといった問題があった。特に、シャッタ機能を有しない撮像素子を使用したデジタルカメラ用シャッタの場合には、閉鎖作動時のシャッタ速度が露光量に影響することになるので、シャッタ速度の高速化が重要な問題となっていた。また、露光開口が大径化してもカメラ自体の小型化は依然として強く要求されているため、シャッタの小型化を維持しつつシャッタ速度の高速化を図らなければならないといった問題もあった。
【0006】
そこで、このような問題を解決する一つの方法として、羽根の駆動源として用られているモータへの供給電流を増加して、モータの駆動力を大きくすることによりシャッタ速度を高速化させる方法も考えられる。しかし、デジタルカメラは上記したように液晶モニタの表示や画像記憶等にも電力を消費するので、電源の消耗を極力抑制したいという要求がある。そのため、シャッタ速度の高速化を、モータへの供給電流を増やすことで対応するような方法は採用できない。
【0007】
また、何らかの方法でモータの駆動力を大きくしたとしても、上記した公報に示されているように、シャッタ羽根4,5の露出開口APを開閉する側の縁部が(開口形成縁部)、枢着部近傍から先端部にかけて直線状に形成されていると、シャッタ羽根4,5が露出開口APを開閉する時、出力ピン6fの回転角度に対する、これらの縁部が交差することによって形成される交差角度の変化率が、一定になってしまうことになる。そのため、このような形状のシャッタ羽根4,5では、シャッタ速度の高速化には自ずと限界があり、高速化には適していないといった問題があった。
【0008】
さらに、そのように開口形成縁部を直線状に形成した羽根の場合、遮蔽位置で完全に停止する前にバウンドし、シャッタ羽根4,5の先端部付近の露出開口APを、一時的に開放してしまうといった問題もあった。
【0009】
また、フィルムを使用するカメラにおいては、所謂大判カメラ等のシャッタのように露光開口の口径が大きいシャッタの場合には、上記したデジタルカメラの場合と同様に、モータを駆動力源として羽根の開閉作動を行うようにすると、モータへの供給電流を増加して駆動力を大きくすることが難しい上に、羽根の縁部の形状の問題とからシャッタ速度の高速化には限界があるといった問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、シャッタの小型化と電力消費量とを維持しながらシャッタ速度の高速化を得られるようにした、カメラ用シャッタの羽根を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用シャッタの羽根は、開口部を有している地板と、開口部の側方位置で一方端側が回動可能に枢着されていて互いの開口形成縁部が枢着側から先端側にむけて順次交差するよう閉鎖作動する二枚の羽根と、羽根を駆動するモータとを備えているカメラ用シャッタにおいて、二枚の羽根の開口形成縁部の各々は、少なくとも一つの屈曲点を有していてこの屈曲点から羽根の先端側に向けて閉鎖作動方向に互いに近づくように形成されており、閉鎖作動時には開口形成縁部によって形成される交差角度の変化率が屈曲点を通過した直後から小さくなるようになっていて、最先端側の屈曲点から羽根の先端部に向けて直線状の縁部が形成されているようにする。これによりシャッタ高速化が可能となる。
【0012】
また、本発明のカメラ用シャッタの羽根においては、開口部は円形であって、最先端側の屈曲点は、羽根の各々の回転中心を通る開口部の接線の接点に一致させるようにすると、羽根の開口形成縁部の形状が最適化されるので、シャッタの小型化に影響を与えることなく維持できるようになる。
【0013】
また、上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用シャッタにおいては、開口部を有している地板と、開口部の側方位置で一方端側が回動可能に枢着されていて互いの開口形成縁部が枢着側から先端側にむけて順次交差するよう閉鎖作動する二枚の羽根と、羽根を駆動するモータとを備えているカメラ用シャッタにおいて、二枚の羽根の開口形成縁部の各々は、少なくとも一つの屈曲点を有していてこの屈曲点から羽根の先端側に向けて閉鎖作動方向に互いに近づくように形成されており、開口部は円形であって、最先端側の屈曲点は、羽根の各々の回転中心を通る前記開口部の接線の接点に一致させるようにする。これにより羽根の開口形成縁部の形状が最適化されるので、シャッタの小型化に影響を与えることなく維持できるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図示した二つの実施例によって説明する。図面は、図1から図7が第1実施例を示し、図8が第2実施例を示している。
【0015】
[第1実施例]
第1実施例を、図1から図7を用いて説明する。図1は、被写体側から視た初期状態を示した平面図であって、羽根の開放状態を示している。図2は、主要な部材の重なり関係を示した断面図である。図3は、閉鎖作動中における羽根室内の平面図であって、羽根の縁部が露光開口縁に達した時の状態を示している。図4は、図3の状態よりも閉鎖作動が進んだ初期段階の状態を示した羽根室内の平面図である。図5は、図4の状態の後、さらに閉鎖作動が進んだ終了段階の状態を示した羽根室内の平面図である。図6は、閉鎖作動終了直後の状態を示した平面図である。図7は、露光特性を示したタイミングチャートである。尚、従来技術と本発明とにおける羽根の相違点を明確にするために、図3から図5においては、それらの羽根を重ね合わせて示しており、更に図7においては、本発明と従来技術との両方の露光特性を示している。
【0016】
先ず、主に図1及び図2を用いて本実施例の構成を説明する。地板1と補助地板2は、共に合成樹脂製であって、中央部には光軸を中心とした円形の開口部1a,2aが形成されている。そして、これらの開口部1a,2aのうち直径の小さい方が露光開口の大きさを規制することになるが、本実施例においては、これらの開口部1a,2aは、同心円となるように配置された同じ直径の開口部とするので、露光開口は、開口部1a及び開口部2aということになり、更に、これらの円周部が露光開口縁になっている。また、地板1と補助地板2は、図示していないがビス等で相互に取り付けられていて、これらの間には羽根室が形成されいる。さらに、これらの地板1,2には、図示していない取付部が設けられていて、カメラには、地板1が被写体側となり、補助地板2が撮像素子の撮像面側またはフィルム面側となるようにして取り付けられる。そのため、以下の説明に際しては、被写体側を表面側と称し、撮像素子の撮像面側またはフィルム面側を裏面側とすることにする。
【0017】
また、図1において、地板1の表面側には、ムービングマグネット型モータと称されている電流制御方式のモータ3が取り付けられている。このムービングマグネット型モータは、固定子のコイルに対して正方向に通電すると正方向へ、逆方向に通電すると逆方向へ、いずれも所定の角度だけ回転するタイプのものである。そのため、回転子4は、径方向に着磁された2極の永久磁石製であり、その2極の境界線は、図1および図6に一点鎖線で示されているように、その回転軸4aと駆動ピン4bとを通る線となっている。また、回転子4には、駆動ピン4bが、回転軸4aの径方向位置において、回転軸4aと平行に延伸するようにして、回転軸4aと共に合成樹脂のアウトサート加工によって回転子4と一体成形されている。尚、この種のモータの回転子としては、回転軸4aや駆動ピン4bをも永久磁石製としたものが知られているが、本発明においては、回転子をそのようにして形成することを妨げるものではない。
【0018】
また、本実施例の固定子枠は、合成樹脂製の上枠5と下枠6とで構成されており、これらによって回転軸4aを軸受けし、上枠5の複数のフック部5a(図2に一つだけ図示)によって相互に取り付けられている。また、下枠6には円弧状の長孔6aが形成されていて、そこに上記の駆動ピン4bが貫通されている。更に、地板1と補助地板2にも、略同形の長孔1bと長溝2bが形成されていて、駆動ピン4bは、長孔1bを貫通し先端部を長溝2bに挿入させている。従って、駆動ピン4bは、回転子4の回転によって、長孔1b,6a、長溝2bの何れかの中で、所定の角度だけ作動し得るようになっているが、本実施例においては、長溝2bによって作動角度範囲が規制されるようになっている。そして、上枠5と下枠6の軸受け部を覆うようにしてコイル12が巻回されている。
【0019】
また、上枠5は筒状に形成されていて、この外周部に円筒形をしたヨーク7が嵌合されている。更に、図1に示されているように、4本の鉄ピン8,9,10,11(以下、総称して保持手段という)が、上枠5に形成された溝孔に圧入されて、回転子4の周面に対向するようにされている。鉄ピン8,9と鉄ピン10,11とは、図1において、回転軸4aを通りコイル12の巻き列と略直交する水平な線に対し、線対称となる位置に配置されている。そして、このように構成されたモータ3は、二つのビス13,13によって地板1に取り付けられている。
【0020】
次に羽根室内の構成について説明する。地板1には、開口部1aの側方位置に、二つの軸1f,1gが、地板1と一体成形によって形成されている。そして、これらの先端は、何れも補助地板2に形成された孔に、各々、嵌合させている。また、羽根14,15は、相対的に作動する2枚構成の羽根であって、これらの羽根14,15は、各々、軸1f,1gに回転可能に軸支されていて、更に、羽根14,15に形成されている長孔14a,15aには、上記した駆動ピン4bが連結されている。従って、図1において、回転子4が反時計方向へ回転すると、駆動ピン4bによって羽根14,15は、開口部1a,2aの閉鎖作動を行い、その後、回転子4が時計方向へ回転すると、羽根14,15が開口部1a,2aの開放作動を行うようになっている。尚、上記とは逆に、何れか一方の地板に孔を設け、そして羽根14,15に軸を設けるようにしても差し支えない。
【0021】
また、図3から図5においては、上記公報に示されているような従来技術の羽根16,17と、本発明の羽根14,15とを、説明のために重ねて示していて、これらの相違している部位は一点鎖線で示されている。そのため、羽根16,17は、軸1f,1gに回転可能に軸支されていて、さらに羽根16,17に形成されている長孔16a,17aには、上記した駆動ピン4bが連結されていることになる。また、羽根16,17の開口形成縁部は、一点鎖線と実線で示されているように、軸1f,1gに軸支されている側から先端側にかけて、軸1f,1gの中心を各々通り、露光開口縁である開口部2aの接線として形成された直線状の第1縁部16b,17bが、少なくとも開口部2aを開閉する範囲内に、各々形成されている。尚、図3には、軸1f,1gの中心を各々通る開口部2aの接線の一部と、後述する第1屈曲点14d,15dの作動軌跡とが二点鎖線で示されていて、さらに開口部2aの中心には光軸が『+』によって示されている。
【0022】
これに対して、本発明の羽根14,15の開口形成縁部は、軸1f,1gに軸支されている側に、軸1f,1gの中心を各々通り露光開口縁である開口部2aの接線として形成された、直線状の第1縁部14b,15bが、各々、形成されている点では上記の羽根16,17と同じである。しかし、第1縁部14b,15bに加えて、先端側には、羽根14,15が開口部2aを閉鎖する方向に互いに近づくようにした、直線状の第2縁部14c,15cが、各々形成されていて、これらの第1縁部14b,15bと第2縁部14c,15cとは、第1屈曲点14d,15dによって、各々、連続させらるようになっている点で異なるものである。
【0023】
尚、開口部2aは、羽根14,15の第1縁部14b,15bと第2縁部14c,15cとが、軸1f,1gに軸支されている側から先端側に向かって、順次、交差することによって閉鎖されるようになっているので、第1屈曲点14d,15dは、羽根14の縁部14b,14cと羽根15の縁部15b,15cとが、開口部2aを開閉する範囲内に各々設けるようにすればよいことになる。そのため、本実施例の場合には、第1屈曲点14d,15dは、軸1f,1gの中心を各々通る開口部2aの接線が、露光開口縁である開口部2aの円周部と接する点に一致させるようにして、各々、設けられているので、羽根14,15の形状が最適化されることにより、シャッタの小型化に影響を与えることなく維持できるようになっている。更に、本実施例におけるモータ3と従来技術におけるムービングマグネット6とは、これらの構成は実質的に同じであり、また作動負荷についても同じなので、電力の消費量にも影響を与えることなく維持できるようになっている。
【0024】
尚、羽根14,15(羽根16,17)は、夫々、軸1f,1gに回転可能に軸支された回転中心を形成する孔と、駆動ピン4bが連結している長孔と、開口形成縁部とが、光軸と長孔の中心を通る直線に対して線対称となるように配置されている。そのため、本実施例においては、羽根14,15(羽根16,17)は、各々、同じ形状をしており、一方のシャッタ羽根は、他方の羽根を裏返して配置されていることになる。しかし、それは、一対の羽根が共通部品となるように製作されているからであって、上記した、孔と長孔と開口形成縁部以外の部位については、各々、異なる形状に形成するようにしても差し支えない。
【0025】
次に本実施例の作動の説明をするが、本発明は、撮像素子を使用したデジタルカメラにも、フィルムを使用したカメラにも採用することが可能であるが、以下の作動の説明はデジタルカメラに採用した場合について行う。デジタルカメラ用シャッタには、一般にノーマルオープン方式と称されているものと、ノーマルクローズ方式と称されているものがあり、これらの方式は、カメラの不使用時に、羽根が閉鎖しているか否かが主な相違点である。そして、何れの方式のシャッタの場合にも、カメラのレリーズボタンが押されてレリーズスイッチがオンになると、シャッタ羽根は開いた状態のままで、表示モードから撮影モードに切り換えられ、撮像素子に対して撮影開始信号が与えられる。
【0026】
また、撮影の終了に際しては、撮像素子に対して撮影終了信号を与えることによって終了させるのではなく、撮影終了信号によってシャッタ羽根に閉鎖作動を行わせ、露光開口を完全に閉鎖した段階で終了させるようにするのが一般的になっている。その後、羽根が閉鎖された状態において、記憶装置への撮像情報の転送が完了すると、羽根は、再び開放状態に作動されると共に、撮影モードから表示モードになって次の撮影に備えるようになっている。本発明は、上記したノーマルオープン方式にも、ノーマルクローズ方式にも採用することが可能なシャッタではあるが、本実施例は、上記のノーマルオープン方式と称されているタイプのシャッタの場合について説明する。
【0027】
先ず、図1は、カメラ側の電源がオンになった段階である初期状態を示しており、図7のタイミングチャートにおいては、符号Aを付けた時点を示している。そして、この状態においては、羽根14,15が開口部1a,2aを開口状態にしているので、カメラ側の電源がオフになっている不使用時と全く同じ状態であり、そのためモータ3のコイル12は非通電状態となっている。しかし、このような状態にもかかわらず、回転子4は、自己の磁力の作用によって、余程のことがない限り、この状態を確実に維持されており、万が一、若干動かされるようなことがあったとしても、直ちにこの状態に復帰させられるようになっている。
【0028】
即ち、この状態においては、回転子4のS極と鉄ピン10との間に作用する磁気的吸引力の方が、S極と鉄ピン11との間に作用する磁気的吸引力よりも大きく、また、N極と鉄ピン8との間に作用する磁気的吸引力の方が、N極と鉄ピン9に作用する磁気的吸引力より大きくなる配置関係となっているため、回転子4には時計方向へ回転する力が付与されている。このため、駆動ピン4bがシャッタ羽根14,15を開放作動方向へ押しているが、駆動ピン4bが長溝2bの下方の端面に当接し、その作動を阻止されることになる。尚、本実施例においては、4つの鉄ピン8,9,10,11を配置させているが、このような鉄ピンの数は、回転子との間に作用する磁気的吸引力を大きくしたい場合であって、特に、4つに限定されるものではない。
【0029】
このような図1の状態の下では、液晶モニタ等の表示手段に対して、被写体像の表示が可能になっている。そして、撮影に際してレリーズスイッチがオンすると、撮像素子に撮影開始信号が与えられる。その後、所定の露光秒時が経過すると、モータ3のコイル12に対して正方向の通電が行われ、回転子4は、保持手段(鉄ピン)との間に作用する上記の磁気的吸引力に抗して、反時計方向へ回転を開始する。そのため、そのような回転子4の回転に伴って駆動ピン2bは、シャッタ羽根14,15を相対的に作動させて、開口部2aの閉鎖作動を開始する。その後、本発明の羽根14,15の第1縁部14b,15bと、従来技術の羽根16,17の第1縁部16b,17bとが、各々、開口部2aの露光開口縁に達した時の状態が図3に示されている。尚、閉鎖作動において、図3に示された状態の後、第1屈曲点14d,15dを境にして、羽根14,15が軸支されている側の縁部が交差している段階を初期段階と称し、先端側の縁部が交差している段階を終了段階と称することにする。
【0030】
このような図3に示された状態においては、羽根14,15の第1縁部14b,15b及び羽根16,17の第1縁部16b,17bとは、未だ開口部2aを覆ってはいないが、次の瞬間から、これらの縁部は、各々、開口部2aを急速に覆い始めることになる。このような閉鎖作動の初期段階の状態が図4に示されていて、この時、本発明の羽根14,15には、第1縁部14b,15bと第2縁部14c,15cとが形成されているので、羽根16,17と比較して第2縁部14c,15cの分だけ多く開口部2aを覆うことになる。即ち、駆動ピン4bの回転角度に対する、羽根14の第1縁部14b(羽根16の第1縁部16b)と羽根15の第1縁部15b(羽根17の第1縁部17b)とがなす交差角度の変化率をΔθ1 とすると、同じ変化率Δθ1 に対して羽根14,15の方が開口部2aの閉鎖量が大きくなるので、図7に示されているように、羽根14,15が開口部2aを閉鎖し始めた初期段階の露光特性が、従来技術の羽根16,17の場合よりも急峻になっている。
【0031】
その後、更に、回転子4が反時計方向に回転すると、今度は、図5に示されているような閉鎖作動の終了段階では、羽根14,15に形成された第2縁部14c,15cが交差するようになる。この場合には、上記した交差角度の変化率Δθ1 よりも、駆動ピン4bの回転角度に対する、羽根14の第2縁部14cと羽根15の第2縁部15cとがなす交差角度の変化率Δθ2 の方が小さくなるような関係(Δθ1 >Δθ2 )になっているので、上記した閉鎖作動の初期段階よりも、露光特性がさらに急峻になる。従って、本発明のシャッタ羽根14,15は、開口部2aを閉じ始めてから閉じ終わるまでの作動時間が短くなり、言い換えるとシャッタ速度の高速化が図れることになる。
【0032】
その後、回転子4はさらに反時計方向に回転し、補助地板2に形成された長溝2bの上方の端面に当接して停止することになるが、この時、羽根14,15には、第2縁部14c,15cが各々形成されているので先端側の重なり量が多くなることによって、完全に停止する前にバウンドしたとしても開口部2aを一時的に開放してしまう虞はなくなる。そして、その後、上記した保持手段によりその停止状態を保持されることになるが、このようにして停止状態を保持された閉鎖作動終了直後の状態が図6に示されている。
【0033】
次に、開口部2aが閉鎖された後、撮像情報が記憶装置に記憶されると、次の撮影に備えて、羽根14,15は、上記した閉鎖作動とは逆の作動をさせられて、駆動ピン4bによって相対的に開口部2aを開放していくことになる。そして、この場合には、上記した閉鎖作動の場合とは反対に、モータ3のコイル12に対して逆方向の通電が行われるので、回転子4は、上記した保持手段による、閉鎖位置での保持力に抗して時計方向へ回転させられることになる。
【0034】
そして、図5に示されているように、羽根14,15の第2縁部14c,15cから順次、開口部2aを開き始めることになるが、この時、上記したように交差角度の変化率Δθ1 よりも、変化率Δθ2 の方が小さくなるような関係(Δθ1 >Δθ2 )になっているので、羽根14,15は急速に開口部2aを開放していくことになる。そして、このような状態は、図7に示されているように、羽根16,17に比較して露光特性が急峻になっている。その後、さらに回転子4が時計方向へ回転すると、今度は、図4に示されているように、羽根14,15は、第1縁部14b,15bと第2縁部14c,15cとによって開口部2aを開いていくことになる。
【0035】
この場合にも、シャッタ羽根14,15には第2縁部14c,15cが形成されている分、上記した交差角度の変化率Δθ1 に対して羽根14,15の方が、開口部2aの開放量が大きくなるので、図7に示されているように羽根16,17に比較して露光特性が急峻になっている。従って、開口部2aを開き始めてから開き終わるまでの作動時間が短くなるので、開放作動時のシャッタ速度の高速化も図れるようになる。そして、このような羽根14,15の開放作動は、その後、駆動ピン4bが長溝2bの下端に当接することによって停止させられ、モータ3のコイル12に対する通電が断たれることによって、図1に示された初期状態に復帰する。
【0036】
尚、図7に示されているように、羽根14,15の開放作動は、羽根16,17の開放作動に比べて、開口部2aを開き始めるまで僅かに遅れるが、この遅れ時間は、開放作動前に行われる記憶装置への撮像情報の転送時間に比較して極めて短い時間であり、さらに開放作動は、次の撮影まで液晶モニタ等に対する表示を可能にするためのものなので、閉鎖作動のように露光量に影響するようなことはない。また、羽根14,15が完全に停止する前にバウンドしたとしても、上記した理由から露光量に影響するようなことはなく、また露光量に影響するようなバウンドがあったとしても、その場合には主に羽根14,15が軸支されている側の縁部が開口2aを覆うことになるので、少なくとも従来技術における羽根16,17と発生条件は同じである。従って、このような開放作動当初での遅れ時間や、開放作動終了時に発生するバウンドは、実用上、問題になるようなものではない。
【0037】
[第2実施例]
次に、第2実施例を図8を用いて説明する。図8は、第1実施例の図4に対応して示した羽根室内における、閉鎖作動中の初期段階の状態を示したものである。尚、本実施例は、羽根14,15の開口形成縁部の形状が、第1実施例と異なるだけであって、その他の構成は同じである。そのため、第1実施例と同じ部材,部位については、同じ符号を付けると共に、それらについての説明は省略する。
【0038】
先ず、第1実施例と異なる構成について説明する。本実施例における羽根14,15は、第1屈曲点14d,15dから軸支部側に第2屈曲点14e,15eを設けたことによって、開口部2aを開閉する範囲内に第3縁部14f,15fを形成したものである。そして、第3縁部14f,15fは、開閉作動時において、駆動ピン4bの回転角度に対する、第3縁部14fと第3縁部15fとが交差することによって形成される交差角度の変化率Δθ3 の方が、第1縁部14b,15bが交差することによって形成される交差角度の変化率Δθ1 よりも大きくなるような関係(Δθ3 >Δθ1 )になるように形成されている。そのため、閉鎖作動時に開口部2aは、第3縁部14f,15fから第1縁部14b,15b、そしてその後、第2縁部14c,15cによって、順次交差するようにして閉鎖されていくようになっている。
【0039】
そのため、開口部2aは、第1屈曲点14d,15dが露光開口縁である開口部2aを通過した直後から、羽根14,15によって閉鎖されることになるが、その初期段階では、第1縁部14b,15bと第2縁部14c,15cに加えて、第3縁部14f,15fとによって閉鎖され、その後、閉鎖作動の終了段階では、第1実施例で説明したような関係Δθ1 >Δθ2 により、第2縁部14c,15cによって、急速に閉鎖されることになる。そして、本実施例の場合であっても、開口部2aを閉鎖し始めるタイミングは第1屈曲点14d,15dが開口部2aを通過した直後であって、且つ、Δθ1 >Δθ2 の関係は維持されているので、開口部2aを閉じ始めてから閉じ終わるまでの作動時間が短くなり、シャッタ速度が高速化されることになる。また、開放作動時には、羽根14,15は、上記した閉鎖作動とは逆の作動をすることになるが、その場合にも上記した第1実施例のようにシャッタ速度の高速化が可能となるものである。
【0040】
また、本実施例では、羽根14,15の第1屈曲点14d,15dから軸支部側の間に、第2屈曲点14e,15eを設けるようにしたが、そのような形状に限定されることなく、第1屈曲点14d,15dから軸支部側にかけて、屈曲点の数を増やすようにして開口形成縁部を形成しても差し支えない。そして、さらに屈曲点の数を増やしていった場合には、第1屈曲点14d,15dから軸支部側にかけての開口形成縁部の形状は、多数の屈曲点と、これらの間の多数の微小な縁部とから形成される略円弧状になるが、いずれの場合であってもシャッタ速度の高速化が図れることになる。
【0041】
以上、第1実施例と第2実施例とにおいて、閉鎖作動時に羽根14,15は、軸支側から先端側に向けて順次交差するようになっているので、第1縁部14b,15bと第2縁部14c,15cと第3縁部14f,15fは、各々、交差角度の変化率Δθ1 ,Δθ2 ,Δθ3 が『0』にはならないように形成されていることになる。このために一対の羽根間で衝突することがなく、高速で閉鎖作動が行われるようになっている。しかし、羽根14,15の平面度が高精度に得られるのであれば、変化率Δθ2 が『0』となるように第2縁部14c,15cを形成し、閉鎖作動の終了段階において、この第2縁部14c,15cを交差させるのではなく平行状態で開口部2aを閉鎖させるようにしても差し支えない。
【0042】
また、第1実施例と第2実施例において、モータ3のコイル12に対する通電を断つタイミングを、駆動ピン4bが長溝2bの端面に当接して、羽根の開閉作動が終了した直後に通電を断つようにしたが、羽根14,15のバウンドの発生状況によっては、開閉作動終了直後から暫くの間、コイル12に通電しておくようにしても差し支えないし、さらに、緩衝部材を設ける等、他の周知のバウンド防止対策を施すようにしても差し支えない。
【0043】
さらに、第1実施例と第2実施例において、羽根の駆動源としてムービングマグネット型モータを使用するようにしたが、この代わりにステッピングモータを用いるようにしても差し支えない。
【0044】
【発明の効果】
上記のように、本発明によるカメラ用シャッタの羽根によれば、枢着側から先端側にむけて順次交差する二枚の羽根の各々の開口形成縁部に、少なくとも一つの屈曲点を設けて、この屈曲点から先端側にかけて閉鎖作動方向に互いに近づくようにした縁部を形成するようにしたので、簡単な構成によってシャッタの小型化と電力消費量を維持しつつシャッタ速度の高速化が可能となる。特に、シャッタ機能を持たない撮像素子を用いたデジタルカメラの場合には、露光開口が大径化した場合であっても、閉鎖作動時のシャッタ速度を高速化させることができると共に、シャッタ羽根のバウンドの影響をも抑えることもできるので、露光量を正確に制御する上で一層有利になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被写体側から視た初期状態を示した第1実施例の平面図であって、羽根の開放状態を示している。
【図2】主要な部材の重なり関係を示した第1実施例の断面図である。
【図3】従来技術と本発明との両方の羽根を説明のために示した、羽根室内における第1実施例の平面図であって、閉鎖作動中に羽根の縁部が露光開口縁に達した時の状態を示している。
【図4】図3と同様にして示した羽根室内における第1実施例の平面図であって、図3の状態よりも閉鎖作動が進んだ初期段階の状態を示している。
【図5】図3と同様にして示した羽根室内における第1実施例の平面図であって、図4の状態の後、さらに閉鎖作動が進んだ終了段階の状態を示している。
【図6】図1と同様にして示した第1実施例の平面図であって、閉鎖作動終了直後の状態を示している。
【図7】従来技術と本発明との両方の羽根による、露光特性を示した第1実施例のタイミングチャートである。
【図8】第1実施例の図4に対応して示した第2実施例の羽根室内における、閉鎖作動中の初期段階の状態を示したものである。
【符号の説明】
1 地板
2 補助地板
1a,2a 開口部
2b 長溝
3 モータ
4 回転子
4a 回転軸
4b 駆動ピン
5 上枠
6 下枠
1b,6a,14a,15a,16a,17a 長孔
7 ヨーク
8,9,10,11 鉄ピン(保持手段)
12 コイル
13,13 ネジ
14,15 羽根(本発明)
14b,15b 第1縁部(本発明)
14c,15c 第2縁部
14d,15d 第1屈曲点
14e,15e 第2屈曲点
14f,15f 第3縁部
16,17 羽根(従来技術)
16b,17b 第1縁部(従来技術)
Δθ1 ,Δθ2 ,Δθ3 交差角度の変化率
+ 光軸

Claims (3)

  1. 開口部を有している地板と、
    前記開口部の側方位置で一方端側が回動可能に枢着されていて互いの開口形成縁部が枢着側から先端側にむけて順次交差するよう閉鎖作動する二枚の羽根と、
    前記羽根を駆動するモータとを備えているカメラ用シャッタにおいて、
    前記二枚の羽根の開口形成縁部の各々は、少なくとも一つの屈曲点を有していて前記屈曲点から前記羽根の先端側に向けて閉鎖作動方向に互いに近づくように形成されており、閉鎖作動時には前記開口形成縁部によって形成される交差角度の変化率が前記屈曲点を通過した直後から小さくなるようになっていて、最先端側の前記屈曲点から前記羽根の先端部に向けて直線状の縁部が形成されていることを特徴とするカメラ用シャッタの羽根。
  2. 前記開口部は円形であって、前記最先端側の屈曲点は、前記羽根の各々の回転中心を通る前記開口部の接線の接点に一致させたことを特徴とする請求項1に記載のカメラ用シャッタの羽根。
  3. 開口部を有している地板と、
    前記開口部の側方位置で一方端側が回動可能に枢着されていて互いの開口形成縁部が枢着側から先端側にむけて順次交差するよう閉鎖作動する二枚の羽根と、
    前記羽根を駆動するモータとを備えているカメラ用シャッタにおいて、
    前記二枚の羽根の開口形成縁部の各々は、少なくとも一つの屈曲点を有していて前記屈曲点から前記羽根の先端側に向けて閉鎖作動方向に互いに近づくように形成されており、前記開口部は円形であって、前記最先端側の屈曲点は、前記羽根の各々の回転中心を通る前記開口部の接線の接点に一致させたことを特徴とするカメラ用シャッタの羽根。
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