JP4428564B2 - 発色剤を塗布して発色させる描画材料 - Google Patents

発色剤を塗布して発色させる描画材料 Download PDF

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Description

この発明は、絵の具や塗料の中でも陰顕インク(見えないインク)と呼ばれ、描画したときは発色時の色を想像することができない無色や別の色をしているが、発色剤の塗布などにより意図した色を顕在化させる描画材料に関するものである。
この発明は、金属塩と有色錯体などを作り呈色する化合物を利用して、金属塩などの検出を行う分析化学の手法を背景技術としたものである。また、pHにより色が変化するpH指示薬を利用して水質などの分析を行う分析化学の測定手法を背景技術とするものであり、これらの呈色反応あるいは変色反応を応用して、描画に用いた陰顕インクを発色させる染料、顔料、塗料などの画材(絵の具)を背景技術分野とするものである。
従来の陰顕インクと呼ばれる描画材料では、青または赤が発色する黄血ソーダなどのヘキサシアノ鉄(II)酸塩またはチオシアン酸ナトリウムと、塩化鉄(III)などの三価の鉄塩との反応を利用したものがあるが、赤の発色が褐色に近く鮮やかさに欠け、塩化鉄を塗った跡が褐色になり、見た目がきれいでないという欠点があった。
また、紅や黄色に発色する材料がないため、いろいろな色が作り出せないという欠点があり、紅や黄色に発色し、絵の具や発色剤を塗った跡が目立った変色をしないという特徴を持った陰顕インクの性質を持った描画材料を作ることが課題であった。
さらに、極微量で強い呈色反応する材料を用いる、または安価で強い呈色反応する材料を用い、安価な材料費で製作することのできる陰顕インクの性質を持った描画材料を作ることが課題である。
また、従来のpH変化によるpH指示薬の変色を利用した陰顕インクの分野の画材では、比較的高いpHで発色するフェノールフタレイン(pH9以上で紅色に発色)やチモールフタレイン(pH10以上で青色に発色)が使われているため、発色させた後、紙に含まれるpH緩衝成分や空気中の炭酸ガス(二酸化炭素)の影響で徐々にpHが下がり、発色が消えてしまうという欠点があった。また、発色させるために、水酸化ナトリウムなどpHの高いアルカリ性物質を扱う必要があり、高いアルカリ性の物質が皮膚に付着したときには肌を荒らすという欠点があった。このため、比較的中性に近い、低いpHで変色が起こり、発色を保つことのできる陰顕インクの性質を持った描画材料を作ることが課題であった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、[請求項1]では、描画材料(絵の具と発色剤)の発色基本材料として、次の(1)から(6)の6種類の発色反応の全てまたは一部を用いることを記載している。
(1)ヨウ化カリウムなどのヨウ化物と、発色剤に含ませた硝酸ビスマス、硫酸ビスマス、塩化ビスマスなどの三価のビスマス塩とのBiI4−イオン生成による黄色呈色反応。(2)黄血ソーダ、黄血カリウムなどのヘキサシアノ鉄(II)酸塩と、発色剤に含ませた硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)などの三価の鉄塩とのヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)(プルシアンブルー)生成による青色呈色反応。
(3)ジメチルグリオキシムと、発色剤に含ませた硝酸ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)などの二価のニッケル塩との間で発生する紅色錯体生成による紅色呈色反応。
(4)サリチル酸やサリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウムなどのサリチル酸塩と、発色剤に含ませた硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)などの三価の鉄塩との橙色の呈色反応。本反応は水溶液中では赤紫の呈色反応を与えるが、紙に塗布した状態では橙色の呈色反応を与える。
(5)アルミノンと、発色剤に含ませた硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)などの三価の鉄塩との紅色の呈色反応。本反応は水溶液中では紫の呈色反応を与えるが、紙に塗布した状態では紅色の非常に強い呈色反応を与える。なお、アルミノンは三価のアルミニウム塩との紅色の呈色反応が分析化学の分野で広く利用されているが、呈色反応としては三価の鉄塩との反応がずっと強い反応を示し、本用途では三価の鉄塩との反応を利用する。
(6)タンニン酸またはタンニン酸塩と、発色剤に含ませた硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)などの三価の鉄塩との灰色または近黒色の呈色反応。本反応は水溶液中では青紫の強い呈色反応を与えるが、紙に塗布した状態では灰色または近黒色の呈色反応を与える。
なお、ヨウ化物、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩、ジメチルグリオキシム、サリチル酸、サリチル酸塩、アルミノン、タンニン酸、タンニン酸塩はお互いに混合しても発色反応を起こさないため、それぞれを塗布しているときに混じっても発色せず、混合してこれらの中間色を出すこともできる。
また、ジメチルグリオキシムと発色剤に含ませた硝酸ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)などの二価のニッケル塩による錯体、またはアルミノンと発色剤に含ませた硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)などの三価の鉄塩との錯体は同じ紅色を与えるため、紅色の発色にアルミノンを用い、ジメチルグリオキシムを用いない場合には、発色剤側の二価のニッケル塩を省略することができる。
これら(1)から(6)の呈色反応は、それぞれ非常に少ない化合物量で強い発色を得るもので、使用する絵の具や発色剤の使い方から考えて、化合物濃度が低い状態で使いたい本用途に適した組み合わせである。また材料を製作する際の経済性も考慮して、少ない材料または安価な材料で発色を行わせることができ、その結果安価な画材を得ることができる。
[0005]の(1)で示したヨウ化物と、三価のビスマス塩とのBiI4−イオン生成による黄色呈色反応は、酸性で顕著な呈色を示し、アルカリ性では呈色が非常に薄くなる。そこで本発明の発色剤はリン酸や希硫酸などの薄い酸を加えて、塗布時に酸性側になるように工夫している。しかし紙の材料によっては、紙内部のアルカリ性物質によって呈色が悪くなりやすく、この発色の劣化を抑えるため、[請求項2]で示したようにチオ尿素またはジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムやジエチルジチオカルバミン酸カリウムなどのジエチルジチオカルバミン酸塩を添加し、チオ尿素と三価のビスマス塩との間で発生する黄色の呈色反応、ジエチルジチオカルバミン酸塩と三価の鉄塩との間で起こる黄色の呈色反応を黄色発色の補助反応として利用する。
[0005]の(2)で示したヘキサシアノ鉄(II)酸塩は、長期保管により黄変しやすく、黄変したものを紙に塗布したときには黄色の跡を残す。そこで[請求項3]ではこの黄変を防止するための措置として、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩水溶液に亜硫酸塩と、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジエチルジチオカルバミン酸塩の両方またはいずれかを添加する方法を示した。なお、黄変防止には褐色ビンなどの遮光容器に保存することも有効であることは言うまでもない。
ジエチルジチオカルバミン酸塩の黄変防止効果は顕著で、一旦黄変したヘキサシアノ鉄(II)酸塩水溶液も、これを加えると無色透明な溶液に戻る。しかし加えすぎるとヘキサシアノ鉄(II)酸塩と三価の鉄塩との間で起こる青色の反応を妨害し、黄色の呈色反応によりくすんだ青となるので、使用は少量に留めるか黄変した溶液を無色に戻すために少量用いる。
赤色は紅色と黄色を混合して作成するが、これだけでは深みのある赤が出ない。そこで[請求項4]に示したとおり、黄血ソーダなどのヘキサシアノ鉄(II)酸塩の青色の発色を補助し、鉄(III)塩と反応して深みのある青を強く発色させる効果を持ったタイロンを少量添加し、ジメチルグリオキシム−ニッケル塩の紅色と、ヨウ化物−ビスマス塩との黄色にこの深みのある青を加えることで深みのある赤色を発色させる。
また、藍色は青に少量の紅を加えることで作成することもできるが、これだけでは深みのある藍が出ない。そこで[請求項4]に示したとおり、黄血ソーダなどのヘキサシアノ鉄(II)酸塩の青色の発色を補助し、鉄(III)塩と反応して深みのある青を強く発色させる効果を持ったタイロンを少量添加し、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩−鉄(III)塩の青色にこの深みのある青を加えることで藍を発色させる。
[0005]の(3)で示したジメチルグリオキシムと、二価のニッケル塩との紅色錯体生成による紅色呈色反応は、ジメチルグリオキシムが中性または中性より酸性側では水に非常に難溶性であることが原因で、若干でもアルカリ性側でないと良い発色を示さない。そこで、[請求項5]で示したように、発色剤に含まれるニッケル塩との錯体生成反応を確実に起こさせるための補助材料として、炭酸カリウムなどの水溶性炭酸塩または水酸化ナトリウムなどの水溶性水酸化物、炭酸カルシウムなどの水に難溶性の炭酸塩の全てまたはいずれかをジメチルグリオキシムに添加する。発色剤はリン酸や希硫酸などの薄い無機酸が含まれており酸性であるが、これを塗布したときに絵の具としてのジメチルグリオキシムに混合した水溶性炭酸塩や水酸化物や水に難溶性の炭酸塩が酸と反応し、微弱アルカリ性に保ち、ジメチルグリオキシムが水に不溶性結晶として析出するのを防止し、ニッケル塩と紅色の錯体を生成するのを助ける。なお、炭酸カルシウムなどの水に難溶性の炭酸塩を用いているのは、ジメチルグリオキシムとヘキサシアノ鉄(II)酸塩を混合して紫色を発色させるとき、アルカリ性が強くなりすぎると青の発色が悪くなり、紫が出ず紅色になってしまう現象を防止するためである。また、紅色と黄色を混合して生じさせる赤色も、アルカリ性に傾くと[0006]で記載したとおり、黄色の発色が悪くなり紅色になってしまうため、この現象も防止する目的が含まれる。
また、[0005]の(6)で示したタンニン酸またはタンニン酸塩と、三価の鉄塩との灰色または近黒色化合物生成による灰色呈色反応は、中性か弱アルカリ性でないと良い発色を示さない。そこで、[請求項5]で示したように、発色剤に含まれる三価の鉄塩との灰色化合物生成反応を確実に起こさせるための補助材料として、炭酸カリウムなどの水溶性炭酸塩または水酸化ナトリウムなどの水溶性水酸化物、炭酸カルシウムなどの水に難溶性の炭酸塩の全てまたはいずれかをタンニン酸またはタンニン酸塩に添加する。
橙色は紅色と黄色を混合して生じさせることができるが、[0009]で記載したとおり、紅と黄色は相反するpH域で良い発色を示すため、pHむらにより紙面上で黄色の強い橙が発色する部分と紅の強い橙が発色する部分とが発生しがちであり、色むらの原因となる。特に、橙は混合比が微妙で、少し紅が強いと赤に、少し黄が強いと黄色になってしまうため、混合ではなく確実に橙を発色させる材料を用いたほうが安定した発色が期待できる。
[0005]の(4)で示したサリチル酸塩と三価の鉄塩との橙色の呈色反応はこの目的で用いるもので、混合せず単独で用いて橙色を与えるために使用する。なお、前述のとおり本反応は水溶液中では赤紫の呈色反応であるが、紙に塗布した状態では橙色の呈色となる。
発色剤は[0005]で示した6つの反応、すなわちヨウ化物と三価のビスマス塩とのBiI4−イオン生成による黄色呈色反応、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩と三価の鉄塩とのヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)(プルシアンブルー)生成による青色呈色反応、ジメチルグリオキシムと二価のニッケル塩との間で発生する紅色錯体生成反応、サリチル酸塩と三価の鉄塩との橙色の呈色反応、アルミノンと三価の鉄塩との紅色錯体生成反応、タンニン酸またはタンニン酸塩と三価の鉄塩との灰色ないし近黒色の呈色反応を起こさせるため、三価のビスマス塩、三価の鉄塩、二価のニッケル塩が含まれた溶液とする。但し、紅色の発色にアルミノンと三価の鉄塩の反応のみを使用し、ジメチルグリオキシムを用いない場合、発色剤中の二価のニッケル塩を省略することができる。
ここで単純にこれらを水に溶解させた溶液とすると、塩基性ビスマス塩が沈殿し、また紙に塗布したときには鉄(III)塩から水酸化鉄などの褐色物が析出し、汚い紙面になってしまう。
そこで[請求項6]では鉄(III)塩から褐色の生成物が発生しないようにリン酸を加えることを定義している。硫酸根や硝酸根が紙の塩類と反応して余剰となった鉄(III)塩は、このリン酸と強固に結合して無色のリン酸鉄となり、紙面を褐色に汚すことがない。
また、[請求項7]ではビスマス塩が塩基性ビスマス塩として白色沈殿を生じやすいことを防止する方策として、希硫酸などの無機酸を加えることを記述している。酸性にすることでビスマス塩は無色の溶液として溶解し、沈殿を生じない。白色の沈殿となった塩基性ビスマス塩は、ヨウ化物との黄色イオン生成には寄与しないため、ビスマス塩を沈殿させないようにする必要がある。
希硫酸などの無機酸は、硝酸、塩酸、リン酸でも可能であるが、硝酸は皮膚などのタンパク質と反応して茶色に変色させる作用があり、危険性も大きいので避けた方がよい。また、塩酸は塩素イオンを含んでおり、これが鉄(III)塩と反応した塩化鉄(III)は硫酸鉄(III)より黄色が強いため、紙に塗ったときの色を減らす意味では避けたほうがよい。リン酸は多用するとヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)(プルシアンブルー)生成を妨害して青の発色が弱くなるため避けたほうが良い。従ってビスマス塩の沈殿防止に加える酸としては、希硫酸が最も適しているといえる。希硫酸濃度は例として後述するが、2%程度の濃度で十分ビスマス塩の沈殿防止効果が期待できる。
なお、[請求項7]に示したビスマス塩の沈殿防止方法をもってしても、長期保管した場合少量の白色析出物が発生し、発色作用としては問題のないものであるが、溶液の外観が悪くなる。そこで、ビスマスはグリセリンに溶解させておき、使用する直前でリン酸、希硫酸などの酸、鉄(III)塩、ニッケル(II)塩と混合すれば析出物のない状態で使用できる。この手法は[請求項8]で記載した。
[0005]の(5)で示したアルミノンと、三価の鉄塩との紅色錯体生成による紅色呈色反応は、中性または中性に近い弱酸性または中性に近い弱アルカリ性でないと良い発色を示さない。そこで、[請求項9]で示したように、補助材料として炭酸水素カリウムなどの水溶性炭酸水素塩または炭酸ナトリウムなどの水溶性炭酸塩、炭酸カルシウムなどの水に難溶性の炭酸塩の全てまたはいずれかをアルミノンに添加する。発色剤はリン酸や希硫酸などの薄い無機酸が含まれており酸性であるが、これを塗布したときに絵の具としてのアルミノンに混合した水溶性炭酸水素塩や水溶性炭酸塩や水に難溶性の炭酸塩が酸と反応し、弱アルカリ性に保ち、アルミノンが三価の鉄塩と紅色の錯体を生成するのを助ける。なお、炭酸水素塩、炭酸塩や炭酸カルシウムなどの水に難溶性の炭酸塩を用いているのは、アルミノンとヘキサシアノ鉄(II)酸塩を混合して紫色を発色させるとき、アルカリ性が強くなりすぎると青の発色が悪くなり、紫が出ず紅色になってしまう現象を防止するためである。特に炭酸水素塩は濃度を上げてもpHは8.5程度までしか上昇せず、本用途には適した材料である。
アルミノンは水溶液としたとき赤色をしているが、濃度の低い状態で紙に塗布すると色は目立たなくなり、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩と混合するとさらに色は薄くなる。
なお、炭酸水素塩の例としては、前記に記載した炭酸水素カリウムの他に、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどが、水溶性炭酸塩の例としては前記に記載した炭酸ナトリウムの他に、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムなどが、水に難溶性の炭酸塩の例としては前記に記載した炭酸カルシウムの他に炭酸マグネシウムなどが適用できる。
[0005]の(6)で示したタンニン酸と、三価の鉄塩との灰色または近黒色化合物生成による灰色呈色反応は、タンニン酸単独では若干青色を帯びているため、灰色または近黒色をより良く発色させるためには、黄色を示すヨウ化物をタンニン酸に混合すると良い。
[0005]から[0014]で発色の基本である黄、青、紅、橙の発色方法と、タイロンを使った赤、藍の発色方法について記述したが、緑色は[請求項1]及び[請求項2]で示した黄色の発色と[請求項1]及び[請求項3]で示した青色の発色を混合することで得ることができる。また、紫色は[請求項1]及び[請求項3]で示した青色の発色と[請求項1]及び[請求項5]または[請求項9]で示した紅色の発色を混合することで得ることができる。なお、[0009]で示したとおり、黄色は弱酸性で良く発色し、紅色は中性よりもアルカリ性側で良く発色し、青色はアルカリ性が強すぎると発色が悪くなるという、それぞれ相反する性質があるが、これを抑制して各色を効果的に出すために[請求項2]、[請求項5]及び[請求項9]の工夫を行っている。
[0005]から[0015]までは金属塩と有色錯体生成などの反応を起こす物質との反応を利用した発色方法について、本請求の範囲に関する部分の説明を記載したが、紙に塗ったときに多少黄色や赤色の発色をしても良いと考える場合には、弱アルカリ性に変色点を持ち、アルカリ性で黄、青、紅に発色するpH指示薬と弱アルカリ性を示す発色剤との組み合わせによる発色方法も適用できる。以下[0016]から[0018]では、こうした別の方法があるということについて特許請求項外の方法として記載しておく。
こうした方法による場合には、たとえば以下のpH8.5程度またはそれ以下の弱アルカリ性に変色点を持つ次の化合物を組み合わせて、塗布時には非常に薄い塩酸などを加えてpH7未満の酸性側として黄色または赤色に発色させ、弱アルカリ性の発色剤を塗布したときにpH7.5以上のアルカリ性になるようにし、それぞれ強い黄、青、紅色に発色し、これらを組み合わせて赤橙黄緑青藍紫紅などの各種の色を出現させることができる。(1)BTB : pH7.6以上で黄色/緑色から青色に変色。
(2)PR : pH7.5以上で黄色から赤色、 pH8.4以上で紅色に変色。
(3)NR : pH8.0以上で赤色から黄色に変色。
(4)p−NP: pH7.0以上で無色から黄色に変色。
(5)m−NP: pH8.5以上で無色から黄色に変色。
上記の略号の意味はBTB:ブロムチモールブルー、PR:フェノールレッド、NR:ニュートラルレッド、p−NP:p−ニトロフェノール、m−NP:m−ニトロフェノールである。
なお、塗布時にpH7未満の酸性とするために加える酸として、非常に薄い塩酸を例示したが、これは薄いリン酸でも、薄い硫酸でも、薄い硝酸、クエン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、蓚酸などでも適用できるが、乾いたときに酸の大部分が揮発して、絵の具が中性に近い状態となる塩酸が最も適していると考えられる。
[0016]のアルカリ性側の発色で、黄色と紅色を適切な割合で混合することにより赤色や橙色を発色させることができ、黄色と青色を混合することにより緑色や青緑色を、紅色と青色を混合することにより藍色や紫色を調整することができる。これらの混合は相互に反応したり影響を及ぼして発色が悪くなることはない。
[0016]、[0017]で示した絵の具を発色させる弱アルカリ性の発色剤としては、炭酸カリウムの水溶液が最も適している。炭酸カリウムは食品として使われる「かんすい」の成分として広く知られており、2%程度と多少濃い水溶液で使用しても、高いアルカリ性にはならず、安全性に問題がない。もちろん、目や鼻、耳、傷口などに入れたり、飲んだりすればアルカリの刺激性により、しみたり、痛みがあるのは当然で、そういった使い方はしてはならない。
炭酸カリウムの水溶液を、[0016]、[0017]で示した絵の具に塗布すると、pH8.5以上のアルカリ性となり、[0016]の(1)から(5)に示した化合物は全て変色点を過ぎてアルカリ性側の発色となる。時間が経つと、空気中の炭酸ガスの中和作用により、アルカリ性が下がってくるが、炭酸カリウムは炭酸ガスと反応して炭酸水素カリウムとなり、ここで吸湿性がなくなって炭酸ガスの吸収が停止する。このときのpHは約8.5で、十分アルカリ性側の発色を維持することができるpHである。従って経時変化による色あせが少ない。
なお、発色剤としては炭酸カリウム水溶液が最も適しているとしたが、炭酸ナトリウムも同様に適している。水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなども適用可能であるが、炭酸カリウムなどの炭酸塩に比べアルカリ性が強く、推奨できない。また炭酸アンモニウムも使用できるが、アンモニア臭があるため推奨できない。
[0016]に示した化合物に比して、仮に発色化合物としてフェノールフタレインやチモールフタレインを用いている場合には、これらは炭酸カリウムでは発色させることのできないpH域に変色点があり、水酸化ナトリウムなどのように、より高いpHを示す化合物を発色剤として使用せざるを得ないが、これは高いアルカリ性のため、より人体への危険性が高く、皮膚に付着した場合には強く肌を荒れさせる原因となる。また、空気中の炭酸ガスを吸収してpHが下がりやすく、高いpH域での変色点のためすぐに色が消えてしまう。
なお、[請求項1]で示した描画材料(絵の具と発色剤)や、[0016]から[0018]で示した特許請求項外の方法としての描画材料(絵の具と発色剤)は、共に描画する対象の紙の材質としてpH7.0程度の中性を示すものが最も適している。また、にじまないように使用するためには一般にインクジェット紙あるいはフォトプリント紙と呼ばれている紙のように、吸水性が高く、一旦吸水した水分を再び外部に逃がさない働きを持った物が適している。
こうした本考案を適用するに適した紙を自製する場合の要点としては、多孔質で吸水性が高く過度の酸性にならないバッファ作用を持った炭酸カルシウムの粉末や、吸水性が高く、一旦吸収した本考案の絵の具を発色剤の塗布により外に逃がさない効果を持った、吸水ポリマーなどの材料を表面に含ませた紙が最も適している。
また、絵の具側の材料にも同じ考案を適用することができ、PVAなどの水溶性高分子材料を[請求項1]で示した描画材料(絵の具と発色剤)や、[0016]から[0018]で示した特許請求項外の方法としての描画材料(絵の具と発色剤)に溶解させておくと、絵の具が一旦乾いたとき、発色剤を塗ってもすぐには絵の具材料が流出せず、結果にじみにくいという効果を与える。
なお、NRはp−NPやm−NP及びPVA水溶液と混合した場合沈殿が生じやすく、これを確実に避けるためにはNRの溶媒として水やエチルアルコール水溶液の代わりにグリセリンまたはグリセリン水溶液を用いることが有効である。
また、[0016]から[0018]で示した特許請求項外の方法としての描画材料(絵の具と発色剤)は、水に溶かして色水とし、これを酸性またはアルカリ性にすることで色を変え、この変色を楽しむ玩具や手品の要素をもった教育用材料としての材料を提供することができる。これは先に出願した「pH指示薬を用いた玩具及びインテリア」(特願2004−061319)の管状の容器に入れるpHによって色の変わる指示薬水溶液として用いることもできる。安全な弱アルカリ性で3原色及びそこから派生する各種の色を表すことができるため、特願2004−061319の管状の容器に入れる指示薬水溶液の組成成分として適している。
この発明は、従来の陰顕インクと呼ばれる画材では、発色が鮮やかさに欠け、発色剤を塗った跡が褐色になり、見た目がきれいでないという欠点を克服するものである。
また、陰顕インクと呼ばれる画材に紅や黄色に発色する材料がなかったため、いろいろな色が作り出せないという欠点があり、紅や黄色に発色する材料を与え、3原色の混合によってさまざまな色を作り出すことができるようにするものである。
また、従来のpH変化によるpH指示薬の変色を利用した陰顕インクの分野の画材では、比較的高いpHで発色するフェノールフタレインやチモールフタレインが使われているため、発色させた後、紙に含まれるpH緩衝成分や空気中の炭酸ガス(二酸化炭素)の影響で徐々にpHが下がり、発色が消えてしまうという欠点があり、発色させるために、水酸化ナトリウムなどpHの高いアルカリ性物質を扱う必要があり、高いアルカリ性の物質が皮膚に付着したときには肌を荒らすという欠点があった。このため、比較的中性に近い低いpHで変色が起こり、発色剤が空気中の炭酸ガスを吸収しても弱アルカリ性を保ち、その弱アルカリでも十分アルカリ性側の発色を保つことのできる陰顕インクの性質を持った描画材料や絵の具や塗料を作ることができるようにするものである。
本発明を実施するに最良の形態は、紙に絵を描き発色剤で発色させる画材や、手品の性格を備えた描画材料や、子どもなどに科学を教育する教材として最適である。
[請求項1]から[請求項9]で示した絵の具と発色剤を用いた描画材料の実施例を以下に示す。
点眼器状の容器1に水10cc当たりヨウ化カリウム0.1g、チオ尿素0.025g、PVA0.2g、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.025gを溶解させ、黄色発色の絵の具原液1とする。
点眼器状の容器2に水10cc当たり黄血ソーダ0.1g、亜硫酸ナトリウム0.1g、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.01g、PVA0.2gを溶解させ、青色発色の絵の具原液2とする。保存は遮光容器内とする。
点眼器状の容器3に水10cc当たりジメチルグリオキシム0.07g、水酸化ナトリウム0.05g、炭酸カリウム0.18g、PVA0.2gを溶解させ、炭酸カルシウム微粉末0.2gをよく混合して紅色発色の絵の具原液3とする。ジメチルグリオキシムは予め3cc程度の水に上記の水酸化ナトリウムを溶かした溶液に溶かし、後で水に薄めるようにすると良く溶ける。
点眼器状の容器4に水5ccとエチルアルコール5ccを混合したエチルアルコール50%の液体を用意し、ここにサリチル酸0.2gを溶解させ、炭酸カルシウム微粉末2.0gを混合し、橙色発色の絵の具原液4とする。
点眼器状の容器5に水10cc当たりタイロン0.2gを溶解させ、タイロンの酸化防止のため0.2gの亜硫酸ナトリウムを溶解させ、赤色及び藍色発色のための絵の具発色補助原液5とする。保存は遮光容器内とする。
点眼器状の容器6に水10cc当たり炭酸カルシウム微粉末4.0gを混合し、赤色及び藍色発色のための絵の具発色補助原液6とする。
点眼器状の容器7に水100cc当たりリン酸0.26g、硫酸2.0g、硫酸鉄(III)0.66g、硝酸ニッケル(II)0.66gを溶解させ発色剤原液7とする。硫酸鉄(III)は溶けにくいが、少し暖めて十分攪拌していると完全に溶解する。
点眼器状の容器8にグリセリン100ccを準備し、硝酸ビスマス(III)4.0gを溶解させ、発色剤原液8とする。硝酸ビスマス(III)は溶けにくいが、少し暖めて十分攪拌していると完全に溶解する。
以下の割合で[0026]で作成した原液1から原液6を混合して、それぞれ1赤、2橙、3黄、4緑、5青、6藍、7紫、8紅の絵の具とする。原液6は混合して放置すると若干発色するため、塗布する直前で混合したほうが良い。
原液1 原液2 原液3 原液4 原液5 原液6 単位[cc]
1赤 1.1 1.1 0.55 0.55
2橙 3.3
3黄 3.3
4緑 2.6 0.7
5青 3.3
6藍 2.4 0.5 0.4
7紫 1.7 1.6
8紅 3.3
以下の割合で[0026]で作成した原液7から原液8を混合して、絵の具の発色剤9とする。
原液7 原液8 単位[cc]
発色剤9 3.0 1.0
市販のインクジェット紙など、吸水性が良く、一旦吸水したインクを再び外に流しにくい用紙に[0027]で作成した絵の具を塗る。1赤から8紅はお互いに混ぜ合わせて、違った色を出す工夫をしても良い。普通紙でも発色するが、発色のさえない紙などがあり、発色剤を塗る際ににじみやすいので、インクジェット紙が適している。
塗った絵の具が乾いたら、[0028]で作成した発色剤9を塗ると、各色が発色して当初意図した絵が現れる。発色剤9の塗布は、はけなどを使い、液は付けすぎず、少なすぎず、ゆっくりとしみ込ませながら塗ると良い発色を示す。
なお、インクジェット紙としては、発明者の経験では以下のメーカから出しているものが相性が良く、にじみが少なく、発色が鮮やかで、描画した後あるいは発色剤を塗布した跡の痕跡が薄く、良い特性を示した。
(1)コニカ社 インクジェット用紙 KIK100A4SHM
(2)コニカ社 インクジェット用紙 KIK100A4SH
(3)APICA社 インクジェット用紙 WP712
(4)エプソン社 インクジェット用紙 KA4250NSF
(5)コクヨ社 インクジェット用紙 KJ1210N
(6)サンワサプライ インクジェット用紙 JP−DF−120
(7)ビクターJVC インクジェット用紙 PF−F110A4F
(8)フジフィルム社 インクジェット用紙 HA450
(9)フジフィルム社 インクジェット用紙 SA4100
特に(1)のコニカ社のものが良い特性であった。他にも各社のフォトプリント紙や光沢紙は更に良い特性を示すが、紙の単価が高く、本絵の具の用途に用いるにはインクジェット紙程度の吸水性があれば十分目的を達する。
[請求項1]から[請求項9]で示した絵の具と発色剤を用いた描画材料に於いて、アルミノンを用いて発色剤から二価のニッケル塩を省略し、またタンニン酸またはタンニン酸塩を用いて灰色または近黒色を発色させた実施例を以下に示す。[実施例1]では紅色の発色にジメチルグリオキシムを用いたため、発色剤にニッケル塩を含有させる必要があったが、この場合にはニッケル塩は不要である。
点眼器状の容器1に水10cc当たりヨウ化カリウム0.1g、チオ尿素0.025g、PVA0.2g、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.025gを溶解させ、黄色発色の絵の具原液1とする。
点眼器状の容器2に水10cc当たり黄血ソーダ0.1g、亜硫酸ナトリウム0.1g、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.01g、PVA0.2gを溶解させ、青色発色の絵の具原液2とする。保存は遮光容器内とする。
点眼器状の容器3に水10cc当たりアルミノン0.2g、PVA0.2gを溶解させ紅色発色の絵の具原液3とする。
点眼器状の容器4に水5ccとエチルアルコール5ccを混合したエチルアルコール50%の液体を用意し、ここにサリチル酸0.2gを溶解させ、炭酸カルシウムの微粉末2.0gを混合し、橙色発色の絵の具原液4とする。
点眼器状の容器5に水10cc当たりタイロン0.2gを溶解させ、タイロンの酸化防止のため0.2gの亜硫酸ナトリウムを溶解させ、赤色及び藍色発色のための絵の具発色補助原液5とする。保存は遮光容器内とする。
点眼器状の容器6に水10cc当たり炭酸カルシウム1.7gを混合し、紅色発色のための絵の具発色補助原液6とする。
点眼器状の容器7に水100cc当たりリン酸0.35g、硫酸2.8g、硫酸鉄(III)1.1gを溶解させ発色剤原液7とする。硫酸鉄(III)は溶けにくいが、少し暖めて十分攪拌していると完全に溶解する。
点眼器状の容器8にグリセリン100ccを準備し、硝酸ビスマス(III)4.0gを溶解させ、発色剤原液8とする。硝酸ビスマス(III)は溶けにくいが、少し暖めて十分攪拌していると完全に溶解する。
以下の割合で[0027]で作成した原液1から原液6及び水を混合して、それぞれ1’赤、2’橙、3’黄、4’緑、5’青、6’藍、7’紫、8’紅の絵の具とする。
単位[cc]
原液1 原液2 原液3 原液4 原液5 原液6 水
1’赤 1.0 0.33 0.5 1.0 0.47
2’橙 3.3
3’黄 3.3
4’緑 2.6 0.7
5’青 3.3
6’藍 2.85 0.45
7’紫 1.3 0.5 1.0 0.5
8’紅 0.5 1.0 1.8
1’赤及び6’藍は塗布する直前で、炭酸カルシウム微粉末を2.0gを混合する。混合して放置すると若干発色するため、塗布する直前で混合したほうが良い。
また、0’黒を次の割合で試薬を混合して作成する。すなわち0’黒は水3.3ccにヨウ化カリウム0.0066g、タンニン酸0.04gを溶解させる。
以下の割合で[0030]で作成した原液7から原液8を混合して、絵の具の発色剤9’とする。
原液7 原液8 単位[cc]
発色剤9’ 3.0 1.0
市販のインクジェット紙など、吸水性が良く、一旦吸水したインクを再び外に流しにくい用紙に[0031]で作成した絵の具を塗る。1’赤から8’紅及び0’黒はお互いに混ぜ合わせて、違った色を出す工夫をしても良い。普通紙でも発色するが、発色のさえない紙などがあり、発色剤を塗る際ににじみやすいので、インクジェット紙が適している。
塗った絵の具が乾いたら、[0032]で作成した発色剤9’を塗ると、各色が発色して当初意図した絵が現れる。発色剤9の塗布は、はけなどを使い、液は付けすぎず、少なすぎず、ゆっくりとしみ込ませながら塗ると良い発色を示す。
なお、インクジェット紙としては、[0029]で示したものと同様のものが良い特性を示した。
なお、特許請求項外の方法としての描画材料として[0016]から[0018]で示した絵の具と発色剤を用いた描画材料の場合の実施例について、本特許請求との比較のため以下にその内容を[0034]から[0038]に示す。
点眼器状の容器Aに20%のエチルアルコール水溶液を10cc用意し、BTBを0.02g溶解させる。これを青色発色の絵の具原液Aとする。
点眼器状の容器Bに50%のエチルアルコール水溶液を10cc用意し、BTBを0.06g溶解させる。これを青色発色の絵の具原液Bとする。
点眼器状の容器Cに20%のエチルアルコール水溶液を10cc用意し、PRを0.02g溶解させる。これを紅色発色の絵の具原液Cとする。
点眼器状の容器Dに水を10cc用意し、NRを0.02g溶解させる。これを黄色発色の絵の具原液Dとする。
点眼器状の容器Eに水を10cc用意し、p−NPを0.05g溶解させる。これを黄色発色の絵の具原液Eとする。
点眼器状の容器Fに50%のエチルアルコール水溶液を10cc用意し、p−NPを0.2g溶解させる。これを黄色発色の絵の具原液Fとする。
点眼器状の容器Gに20%のエチルアルコール水溶液を10cc用意し、m−NPを0.05g溶解させる。これを黄色発色の絵の具原液Gとする。
点眼器状の容器Hに50%のエチルアルコール水溶液を10cc用意し、m−NPを0.2g溶解させる。これを黄色発色の絵の具原液Hとする。
点眼器状の容器Iに水を100cc用意し、PVAを4.0g、35%塩酸0.5ccを溶解させる。これを絵の具の薄め液原液Iとする。
点眼器状の容器Jにグリセリンを10cc用意し、これを絵の具の薄め液原液Jとする。
以下の割合で[0034]で作成した原液Aから原液Jを混合して、それぞれイ赤、ロ橙、ハ黄、ニ緑、ホ青、ヘ藍、ト紫、チ紅の絵の具とする。原液Cは10ccでは不足するが、同じものを用意するか割合を同じにして20cc作成しておく。
単位[cc]
原液A 原液B 原液C 原液D 原液E 原液F 原液I 原液J
イ赤 0.6 4.4 1.0 4.0
ロ橙 6.0 4.0
ハ黄 1.5 4.5 4.0
ニ緑 2.2 2.3 1.5 4.0
ホ青 5.5 0.5 4.0
ヘ藍 4.5 1.5 4.0
ト紫 1.4 0.6 4.0 4.0
チ紅 6.0 4.0
イ赤、ニ緑、ホ青、ヘ藍、ト紫、チ紅は上記の状態では、酸性の発色として黄色を、ロ橙、ハ黄は酸性の発色として赤色をしている。ロ橙、ハ黄を酸性で赤色の調合としたのは、発色前と発色後の色が同じ系統であるため、おもしろみに欠けると考え、黄色ではない系統の色になるように調整したためである。発色前には非常に薄い黄色で、発色後に橙または濃い黄色となるように調合したものが、次に記すロ’橙’、ハ’黄’の絵の具であるが、発明者の経験では前記ロ橙、ハ黄の調合の方が色変化がはっきりしており、おもしろみがあるように考える。
ロ’橙’、ハ’黄’の調合方法の一例としては、以下のように実施する。次の割合で[0034]で作成した原液C、G、H、Iを混合して、それぞれロ’橙’、ハ’黄’の絵の具とする。
原液C 原液G 原液H 原液I
ロ’橙’ 1.0 3.0 2.0 4.0
ハ’黄’ 4.0 2.0 4.0
水100ccに炭酸カリウム2.0gを溶解させた水溶液を用意し、これを絵の具の発色剤リとする。
市販のインクジェット紙など、吸水性が良く、一旦吸水したインクを再び外に流しにくい用紙に[0035]で作成した絵の具を塗る。イ赤からチ紅、ロ’橙’、ハ’黄’はお互いに混ぜ合わせて、違った色を出す工夫をしても良い。普通紙でも発色するが、発色のさえない紙などがあり、発色剤を塗る際ににじみやすいので、インクジェット紙が良い。
塗った絵の具が乾いたら、[0036]で作成した発色剤リを塗ると、各色が発色して当初意図した絵が現れる。発色剤リの塗布は、はけなどを使い、液は付けすぎず、少なすぎず、ゆっくりとしみ込ませながら塗ると良い発色を示す。
なお、インクジェット紙としては、(1)、(2)のコニカ社のものが塗ったときの色合い、発色したときの色の鮮やかさ、変色の差の違いがはっきりしていると感じたが、各メーカから出しているものに大きな差はなかった。
(1)コニカ社 インクジェット用紙 KIK100A4SHM
(2)コニカ社 インクジェット用紙 KIK100A4SH
なお、[0034]及び[0035]で示した指示薬の組み合わせは、弱アルカリ性でもアルカリ性側の鮮やかな発色を示すため、水に溶かして色水とし、このpHを変えることにより様々の色を出現させる手品の要素を持った玩具として使用することも可能である。また、例えば先に出願した「pH指示薬を用いた玩具及びインテリア」(特願2004−061319)の管状の容器に入れるpHによって色の変わる指示薬水溶液として用いることもできる。
本発明は、見えないインク、陰顕インクと呼ばれる画材や塗料の分野において、各種の色を与え、空気中の炭酸ガスの作用によっても色あせしにくい材料を与えることで、家庭などで簡単かつ鮮やかな色彩で絵を発色させることができ、これを実演することで子供などに化学反応などへの興味を持たせ、これを教育することに役立てる教育素材としての適用が可能である。また、発色する画材そのものとしても豊富な色合いと色あせしにくい特性から有効に利用することができる。
また材料を製作する際の経済性も考慮しており、少ない材料または安価な材料で発色を行わせることができる呈色反応と材料を利用しており、その結果、本発明を適用することにより、安価な画材を得ることができる。

Claims (9)

  1. 紙等に塗布した時点で色の発色しない絵の具と、この絵の具を発色させるために後から塗布する発色剤からなる描画材料において、先に塗布する絵の具として、ヨウ化カリウムなどのヨウ化物、黄血ソーダなどのヘキサシアノ鉄(II)酸塩、ジメチルグリオキシム、サリチル酸やサリチル酸ナトリウムなどのサリチル酸塩、アウリントリカルボン酸トリアンモニウム塩(以下略称はアルミノン)などのアウリントリカルボン酸塩、タンニン酸またはタンニン酸塩の全てまたはいずれかを適切な割合で混合したものを用い、後から塗布する発色剤として硫酸鉄(III)などの三価の鉄塩、硝酸ニッケルなどの二価のニッケル塩、硝酸ビスマスなどの三価のビスマス塩の全てまたはいずれかを混合した水溶液を用い、絵の具と発色剤の化合物の間で起こる有色錯体などの生成により各種の色を出現させる描画材料。
  2. [請求項1]の描画材料において、紙等に塗布した時点で色の発色しない絵の具のうち、黄色を発色させるヨウ化カリウムなどのヨウ化物と、絵の具を発色させるために後から塗布する発色剤としてのビスマス塩との反応による発色を補助する材料として、当該絵の具中のヨウ化物にチオ尿素、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジエチルジチオカルバミン酸塩の両方またはいずれかを添加することを特徴とする描画材料。
  3. [請求項1]の描画材料において、紙等に塗布した時点で色の発色しない絵の具のうち、鉄(III)塩との反応により青色を発色させる黄血ソーダなどのヘキサシアノ鉄(II)酸塩の、保管時の黄変を防止する補助材料として、当該絵の具中のヘキサシアノ鉄(II)酸塩に亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩と、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジエチルジチオカルバミン酸塩の両方またはいずれかを添加することを特徴とする描画材料。
  4. [請求項1]の描画材料において、紙等に塗布した時点で色の発色しない絵の具のうち、青色を発色させる黄血ソーダなどのヘキサシアノ鉄(II)酸塩と鉄(III)塩との反応による発色を補助し、鉄(III)塩と反応して深い青色に発色させる効果を持った4・5−ジヒドロキシベンゼン−1・3−ジスルホン酸二ナトリウム(以下略称はタイロン)を当該絵の具中に添加することを特徴とする描画材料。
  5. [請求項1]の描画材料において、紙等に塗布した時点で色の発色しない絵の具のうち、二価のニッケル塩との間で錯体を形成して紅色を発色させるジメチルグリオキシムの水溶性を確保し、発色剤との反応を確実に起こさせるための補助材料として、また三価の鉄塩との間で化合物を形成して灰色または近黒色を発色させるタンニン酸またはタンニン酸塩の、紙に塗布し発色させたときの発色性を良好に保つための補助材料として、炭酸カリウムなどの水溶性炭酸塩または水酸化ナトリウムなどの水溶性水酸化物、炭酸カルシウムなどの水に難溶性の炭酸塩の全てまたはいずれかを、当該絵の具中のジメチルグリオキシムまたはタンニン酸またはタンニン酸塩に添加することを特徴とする描画材料。
  6. [請求項1]の描画材料において、紙等に塗布した時点で色の発色しない絵の具を発色させるために後から塗布する発色剤に、硫酸鉄(III)などの三価の鉄塩の紙等に塗布後の経時変化による茶褐色の変色を抑える効果をもったリン酸を添加することを特徴とする描画材料。
  7. [請求項1]のの描画材料において、紙等に塗布した時点で色の発色しない絵の具を発色させるために後から塗布する発色剤に、硝酸ビスマスなどの三価のビスマス塩から、水に難溶性の塩基性塩が発生することを抑える働きを持った希硫酸などの無機酸を添加することを特徴とする描画材料。
  8. [請求項1]の描画材料において、紙等に塗布した時点で色の発色しない絵の具を発色させるために後から塗布する発色剤の調合方法として、水に希硫酸、リン酸、硫酸鉄(III)などの三価の鉄塩、硝酸ニッケルなどの二価のニッケル塩の全てまたはいずれかを溶解させておき、グリセリンまたはグリセリン水溶液に溶解させた硝酸ビスマスなどの三価のビスマス塩を、当該発色剤を使用する直前で混合することで、ビスマスの難溶性塩発生を抑えることを特徴とする描画材料。
  9. [請求項1]の描画材料において、紙等に塗布した時点で色の発色しない絵の具のうち、三価の鉄塩との間で有色錯体を形成して紅色を発色させるアルミノンの、紙に塗布し発色させたときの発色性を良好に保つための補助材料として、炭酸水素カリウムなどの水溶性炭酸水素塩または炭酸ナトリウムなどの水溶性炭酸塩、炭酸カルシウムなどの水に難溶性の炭酸塩の全てまたはいずれかを、当該絵の具中のアルミノンに添加することを特徴とする描画材料。
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