JP4624201B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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本発明は、冷凍機、空調機に用いられるスクロール圧縮機に関し、特に、過圧縮を防止するスクロール圧縮機に関するものである。
従来の過圧縮を防止するスクロール圧縮機には、次のものがある。
スクロール圧縮機の圧縮室側と吐出側とを連通するバイパス通路を設けると共に、バイパス通路にスクロール圧縮機の圧縮室側から吐出室側への冷媒ガスの流通を許す逆止弁を設け、バイパス通路を、スクロール圧縮機の圧縮室の圧力比が設定圧力比の0.5〜0.75となる位置に接続した(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−195960号公報(第4頁、第5頁、図9)
特許文献1のスクロール圧縮機においては、固定スクロール背面に設けられ、固定スクロール背面の吐出空間と圧縮室をバイパスするバイパス通路の通路断面積と、圧縮室が吐出ポートと連通した後の流路断面積の大きさの関係が明らかでなく、場合によっては圧縮室の圧力が吐出圧力よりも大きくなる可能性があった。また、バイパス通路が圧縮室と連通するときの圧縮室の圧縮比を、設定圧縮比の0.5〜0.75となる位置にバイパス通路を設けているため、低圧縮比運転での過圧縮を防止しようとすると設定圧縮比を小さくする必要があり、このとき高圧縮比運転では不足圧縮ロスが生じる。また、高圧縮比運転での不足圧縮を防止しようとすると設定圧縮比を高くする必要があり、このとき低圧縮比運転時に過圧縮ロスを生じることがある。このように全運転範囲に亘り高効率なスクロール圧縮機を得ることができないといった問題点があった。また、高流量でなおかつ低圧縮比運転時などはバイパス通路の通路断面積が足りず、過圧縮が発生してしまい、効率的な運転ができないといった問題点があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、圧縮室が吐出ポートと連通した後も圧縮室の圧力が過剰に上昇することのない高効率なスクロール圧縮機を得ることである。
また、第2の目的は、設定圧縮比を高くすることにより高圧縮比運転時の不足圧縮ロスを低減させる場合にも、低圧縮比運転時の過圧縮ロスが発生しない高効率なスクロール圧縮機を得ることである。
また、第3の目的は、圧縮途中の圧縮ガスを導入し、この圧力を揺動スクロール又は固定スクロールの主軸方向の移動に利用する場合に、低圧縮比運転時においても圧力が過大になることのないスクロール圧縮機を得ることである。
本発明のスクロール圧縮機は、密閉容器内に収容した固定スクロール及び揺動スクロールを噛合わせ、固定スクロールに対して揺動スクロールを公転運動させることにより、両スクロールの板状渦巻歯で形成される圧縮室で圧縮された圧縮ガスを、固定スクロールの中心部に設けた吐出ポートから吐出空間に吐出するスクロール圧縮機において、一端が圧縮室側に開口し、また、他端が吐出空間側に開口し、圧縮室側の圧力が吐出空間側の圧力より大きいとき開となり、また、小さいとき閉となる開閉手段を有する一対の第1バイパス路と、一端が圧縮室側に開口し、また、他端が吐出空間側に開口し、圧縮室側の圧力が吐出空間側の圧力より大きいとき開となり、また、小さいとき閉となる開閉手段を有する一対の第2バイパス路とを設け、第1バイパス路は、揺動スクロールの公転により、両スクロールの板状渦巻歯で側面連通隙間が形成され、圧縮室が吐出ポートに連通するとき、側面連通隙間の圧縮ガスの流通面積がバイパス路の流通面積より大きくなるまで、第1バイパス路の圧縮室側の開口が、吐出ポートに連通した圧縮室に連通するように配置され、第2バイパス路は、第2バイパス路と第1バイパス路とが同一空間となる圧縮室に連通する位置に配置され、かつ、当該圧縮室に第1バイパス路が連通を始める前に当該圧縮室に連通を開始し、当該圧縮室が吐出ポートに連通を始める前に当該圧縮室への連通を終了するように配置されているものである。
本発明のスクロール圧縮機においては、第1バイパス路は、揺動スクロールの公転により、両スクロールの板状渦巻歯で側面連通隙間が形成され、圧縮室が吐出ポートに連通するとき、側面連通隙間の圧縮ガスの流通面積がバイパス路の流通面積より大きくなるまで、第1バイパス路の圧縮室側の開口が、吐出ポートに連通した圧縮室に連通するように配置されているので、圧縮室が吐出ポートと連通した後の側面連通隙間の流通面積が小さい時もバイパス路により流通面積が確保でき、過圧縮を発生させない高効率な運転をすることができる。
また、本発明のスクロール圧縮機においては、第2バイパス路は、第2バイパス路と第1バイパス路とが同一空間となる圧縮室に連通する位置に配置され、かつ、当該圧縮室に第1バイパス路が連通を始める前に当該圧縮室に連通を開始し、当該圧縮室が吐出ポートに連通を始める前に当該圧縮室への連通を終了するように配置されているので、低圧縮比運転においても、過圧縮を防止することができる。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態のスクロール圧縮機の縦断面図である。密閉容器10に収容された固定スクロール1の外周部は、ガイドフレーム15にボルト(図示せず)によって締結されている。固定スクロール1の台板部1aの一方の面(図において下側)には板状渦巻歯1bが形成され、また、外周部には2個1対のオルダム案内溝1cがほぼ一直線上に形成されている。このオルダム案内溝1cにはオルダム機構9の2個1対の固定側キー9cが往復摺動自在に係合されている。
密閉容器10に収容された揺動スクロール2の台板部2aの一方の面(図において上側)には固定スクロール1の板状渦巻歯1bと実質的に同一形状の渦巻歯2bが形成されており、固定スクロール渦巻歯1bと揺動スクロール渦巻歯2bを噛み合わせることにより圧縮室20を形成する。また、台板部2aの板状渦巻歯2bと反対側の面(図において下側)の中心部には中空円筒状のボス部2fが形成されており、そのボス部2fの内側面には揺動軸受2cが形成されている。ボス部2fと同じ側の面の外周部には、コンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aと圧接摺動可能なスラスト面2dが形成されている。
揺動スクロール2の台板部2aの外周部には、前記固定スクロールのオルダム案内溝1cとほぼ90度の位相差を持つ2個1対のオルダム案内溝2eがほぼ一直線上に形成されており、このオルダム案内溝2eにはオルダム機構9の2個1対の揺動側キー9aが往復摺動自在に係合されている。
また、台板部2aには、固定スクロール1側の面(図1において上側の面)と、コンプライアントフレーム3側の面(図1において下側の面)とを連通する細い穴である抽気孔2jが形成されている。そして、この抽気孔2jの、コンプライアントフレーム側の面の開口部、即ち、下開口部2kは、通常運転時にはその円軌跡がコンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの内部に常時収まるように位置されている。
固定スクロール台板1aのほぼ中心部には上部の吐出空間10dに開口する吐出ポート1dが台板1aを貫通して設けられている。また、固定スクロール台板1aには、上部の吐出空間10dに開口する渦巻歯1bの板厚にほぼ等しい内径のバイパス路であるリリーフポート30が、台板1aを貫通して複数個設けられている。台板1aの吐出空間10dに面する端面には開閉手段である板状の逆止弁17とこの弁の開度を制限するストッパ18とがボルト19によって固定スクロール1に締結されている。この逆止弁17は、圧縮室20の圧力よりも上部の吐出空間10dの圧力が大きければリリーフポート30を閉鎖し、圧縮室20の圧力が吐出空間10dの圧力より大きければリリーフポート30を開放し、圧縮室20より吐出空間10dへ圧縮ガスが流れるバイパス路を開閉する。
コンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの外側には、オルダム機構環状部が往復摺動運動する面3xが形成されている。コンプライアントフレーム3の中心部には、電動機によって回転駆動される主軸4を半径方向に支持する主軸受3c及び補助主軸受3hが形成されている。また、コンプライアントフレーム3には、前記揺動スクロール下開口部2kと対峙する位置にスラスト軸受3aからフレーム空間15fに連通する連通穴3sが形成されている。コンプライアントフレーム3のオルダム機構環状部の往復摺動運動する面3xには、台板外周部空間2iとフレーム空間15fを連通する連通穴3nが形成されている。また、コンプライアントフレーム3には、ボス部外径空間2hの圧力を調整する弁3t、弁押え3l、バネ3mを収納するための中間圧調整弁空間3pが設けられている。そして中間圧調整スプリング3mは自然長より縮められて収納されている。
図1に示すように、ガイドフレーム15の内側面の固定スクロール側(図1において上側)には、上嵌合円筒面15aが形成されており、コンプライアントフレーム3の外周面に形成された上嵌合面3dと係合されている。他方ガイドフレーム15の内側面の電動機側(図1において下側)には、下嵌合円筒面15bが形成されており、コンプライアントフレーム3の外周面に形成された下嵌合円筒面3eと係合されている。
ガイドフレーム15の内側面とコンプライアントフレーム3の外側面とによって形成されるフレーム空間15fは、その上下をリング状のシール材16a、16bで仕切られている。ここでは、ガイドフレーム内周面にシール材16a、16bを収納するリング状のシール溝が2ヶ所に形成されているが、このシール溝はコンプライアントフレーム3の外周面に形成されていてもよい。また、上下を揺動スクロール2の台板部2aとコンプライアントフレーム3で囲われたスラスト軸受3aの外周側の空間、すなわち台板外周部空間2iは吸入ガス雰囲気(吸入圧)の低圧空間となっている。
主軸4の揺動スクロール側(図1において上側)端部には、揺動スクロール2の揺動軸受2cと回転自在に係合する揺動軸部4bが形成されており、その下側にはコンプライアントフレーム3の主軸受3cおよび補助主軸受3hと回転自在に係合する主軸部4cが形成されている。また主軸の他端部には、サブフレーム6の副軸受6aと回転自在に係合する副軸部4dが形成されており、この副軸部4dと前述した主軸部4cとの間に電動機回転子8が焼嵌られている。さらに主軸4の下端面にはオイルパイプ4fが圧入されており、密閉容器10の底部に溜まった冷凍機油10eを吸い上げる。
次に、本スクロール圧縮機の動作について説明する。
定常運転時には、密閉容器10に設置された吸入管10fから低圧の吸入ガスが吸入され、圧縮室20で圧縮された後、高圧ガスとして吐出ポート1dから密閉容器10内の吐出空間10dに吐出され、密閉容器10に設置された吐出管10gから圧縮機外に出される。
密閉容器10内の空間が吐出ガス雰囲気の高圧の吐出空間10dとなるので、密閉容器10の底部の冷凍機油10eは、オイルパイプ4fから主軸4に軸方向に貫通して設けられた高圧油給油穴4gを図1において上方向に向かって流れる。そして、ボス部空間2gに導かれた高圧油は揺動軸受2cで減圧されて吸入圧より高く、吐出圧以下の中間圧となり、ボス部外側空間2hに流れる。他方、もう一つの径路として、高圧油給油穴4gの高圧油は、主軸4に設けられた横穴から主軸受3cの高圧側端面に導かれ、この主軸受3cで減圧されて中間圧となり、同じくボス部外側空間2hに流れる。ボス部外側空間2hの中間圧となった冷凍機油(冷凍機油に溶解していた冷媒の発泡で、一般にはガス冷媒と冷凍機油の2相流になっている)は、中間圧調整弁収納空間3pを通る際に中間圧調整スプリング3mによって負荷される力に打ち勝って中間圧調整弁3tを押し上げてフレーム空間15hに流れ、その後調整弁後流路3nを通ってオルダム機構環状部9bの内側に排出される。他方、もう1つの径路として、揺動スクロールのスラスト面2dとコンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの摺動部に給油したあと、オルダム機構環状部の内側に排出される。そして、これらから排出された油はオルダム機構環状部の摺動面及びキー摺動面に給油した後、台板外周部空間2iに開放される。
以上に説明したように、ボス部外側空間2hの中間圧力Pm1は、中間圧調整スプリング3mのバネ力と中間圧調整弁3tの中間圧露出面積とによってほぼ決定される所定の圧力αによって、
Pm1=Ps+α(Psは吸入雰囲気圧力すなわち低圧)
で制御されている。
他方、揺動スクロール2の台板部2aに設けられた抽気孔2jの下開口部2kはコンプライアントフレーム3に設けられた連通穴3sのスラスト軸受開口部即ち、上開口部3u(図1において上側の開口部)と、常時もしくは間欠的に連通する。このため、固定スクロール1と揺動スクロール2とで形成される圧縮室20からの圧縮途上の吸入圧より高く、吐出圧力以下の中間圧の冷媒ガスが、揺動スクロール2の抽気孔2j及びコンプライアントフレーム3の連通穴3sを介してフレーム空間15fに導かれる。但し、導かれるといってもフレーム空間15fは上シール材16aと下シール材16bとで密閉された閉空間なので、定常運転時には圧縮室20の圧力変動に呼応して圧縮室20とフレーム空間15fとは双方向に微少な流れを有する、いわば呼吸している状態となる。以上に説明したように、フレーム空間15fの中間圧Pm2は、連通する圧縮室20の位置でほぼ決定される所定の倍率βによって、
Pm2=Ps×β(Psは吸入雰囲気圧力すなわち低圧)
で制御される。
さて、コンプライアントフレーム3には、ボス部外側空間2hの中間圧Pm1に起因する力及びスラスト軸受3aを介しての揺動スクロール2からの押し付け力の合計が下向きの力として作用するものの、フレーム空間15fの中間圧Pm2に起因する力及び下端面の高圧雰囲気に露出している部分に作用する高圧に起因する力の合計が上向きの力として作用し、そして定常運転時にはこの上向きの力が下向きの力より大きくなるように設定されている。このためコンプライアントフレーム3は、上嵌合円筒面3dをガイドフレーム15の上嵌合円筒面15aに、下嵌合円筒面3eをガイドフレーム15の下嵌合円筒面15bに案内され、即ち、コンプライアントフレーム3はガイドフレーム15に対して軸方向に摺動可能となっており、固定スクロール側(図1において上方)に浮き上がっている。そして、スラスト軸受3aを介してコンプライアントフレーム3に押し付けられている揺動スクロール2も、同じく上方に浮き上がり、その結果揺動スクロール2の歯先と歯底は、固定スクロール1のそれぞれ歯底と歯先に接触し、摺動する。また、圧縮機の起動時等の過度期や、圧縮室20の内圧が異常に上昇したとき等には、ガイドフレーム15側へ押し付けられることにより、固定スクロール1と揺動スクロール2の歯底と歯先が離間し、圧縮室20内圧が過度に上昇することを防止する。
次に、本スクロール圧縮機の圧縮過程を説明する。
図2は、揺動スクロール2の公転による公転角の進行による圧縮室20、リリーフポート30、吐出ポート1dの関係を示したものである。ここで、揺動スクロール2は、固定スクロール1に対して、自転することなく反時計回りに公転している状態を示しており、揺動スクロール2の位置は固定スクロール1に対する公転角で表される。
図2(a)は、固定スクロール1と揺動スクロール2の両渦巻歯1b、2bにより圧縮室20が初めて形成された状態であり、この時の公転角を0°とする。圧縮室20は固定スクロール渦巻歯1bの内周側と揺動スクロール渦巻歯2bの外周側によって形成される揺動スクロール外周側圧縮室20aと、固定スクロール渦巻歯1bの外周側と揺動スクロール渦巻歯2bの内周側によって形成される固定スクロール外周側圧縮室20bの2つが形成される。
図2(b)は、外側のリリーフポート30である一対の第2リリーフポート30aがそれぞれ圧縮室20a、20bと連通した状態である。さらに、図2(c)は、一対の第2リリーフポート30aに加えて、内側のリリーフポート30である一対の第1リリーフポート30bがそれぞれ圧縮室20a、20bと連通した状態である。このように、第1リリーフポート30bが圧縮室20a、20bと連通する前に、第2リリーフポート30aは圧縮室20a、20bと連通している。
図2(d)は、圧縮室20a、20bが固定スクロール台板1aに設けられた吐出ポート1dに連通する直前の状態である。このとき一対の第2リリーフポート30aは圧縮室20a、20bと連通していないが、第1リリーフポート30bは圧縮室20a、20bと連通しており、このように、第2リリーフポート30aは第1リリーフポート30bよりも早く圧縮室20a、20bとの連通を終る。
図2(e)は、圧縮室20a、20bが吐出ポート1dと連通してガスを吐出しつつある状態である。
図3は、圧縮室20(20a、20b)が吐出ポート1dと連通した初期の拡大図である。この図において、δは固定スクロール渦巻歯1bの側面と揺動スクロール渦巻歯2bの側面との隙間で、側面連通隙間である。圧縮室20の圧縮された冷媒は圧縮室20が吐出ポート1dと連通した後、この側面連通隙間δを通って吐出ポート1dへと流入する。しかし圧縮室20が吐出ポート1dと連通した直後は、側面連通隙間δが小さく、よって冷媒が吐出ポート1dへ流れるための十分な流路が確保できない。本実施の形態では、側面連通隙間δの圧縮ガスの流通面積がリリーフポート30(第1リリーフポート30b)の流通面積よりも大きくなるまで、リリーフポート30(第1リリーフポート30b)が圧縮室20と連通しており、圧縮室20の過剰な圧力上昇をリリーフポート30(第1リリーフポート30b)から逃がすため、圧縮室20の圧力が過剰に上昇することはない。
さらに、リリーフポート30の作用、効果について説明する。
図4は、縦軸に圧縮室20の圧力、横軸に揺動スクロール2の公転角をとったものであり、公転角と圧縮室20の圧力との関係を示したものである。
ここで、板状渦巻歯1b、2bが初めて圧縮室20を形成したときの圧縮室20の圧力、即ち、図2(a)に示す吸入圧力と、圧縮室20が吐出ポート1dと連通する直前の圧縮室20の圧力、即ち、図2(d)に示す圧縮室20の圧力との比を設定圧縮比とし、吸入圧力と、吐出ポート1dの圧力、即ち、吐出空間10dの圧力との比を運転圧縮比とする。設定圧縮比は、圧縮室20と吐出ポート1dが連通する公転角を遅らせれば大きくなり、板状渦巻歯1b、2bの形状等で定まる圧縮機毎に定まるものである。また、運転圧縮比は、外気温や室内温度の設定などにより変化し、空調機等の運転状態(運転条件)により変化する。
図4(a)は、設定圧縮比よりも運転圧縮比が大きい場合の圧縮室20の圧力と公転角の関係を示したものである。θ*は圧縮室20が吐出ポート1dと連通する公転角である。この場合、図の斜線部が不足圧縮ロスとなる。このロスを防ぐためには設定圧縮比を高くしておく必要が有るが、設定圧縮比を高くすると、運転条件が低圧縮比になった場合に、図4(b)斜線部に示すように過圧縮ロスが発生する。この過圧縮ロスを防止するのがリリーフポート30である。
図4(c)は一対の第1リリーフポート30bを設けた場合の圧縮室20の圧力変化を示したものである。図に示すように圧縮室20が吐出ポート1dと連通した後も、渦巻側面の連通流路が十分確保できるまで、例えば、上記のように側面連通隙間δの流通面積がリリーフポート30の流通面積よりも大きくなるまで、第1リリーフポート30bは圧縮室20と連通しているので、過圧縮ロスの発生を防ぐことができる。
一方、図4(d)に示すように、運転圧縮比が極端な低圧縮比となった場合、一対の第1リリーフポート30bでは、斜線部の低圧縮比領域の過圧縮を防止することはできない。このため、前記第1リリーフポート30bが圧縮室20と連通するよりも早く圧縮室20と連通し、さらに第1リリーフポート30bが圧縮室20と連通した後に圧縮室20との連通が閉じる位置に第2のリリーフポート30aを設けることにより、図4(d)に示すような低圧縮比運転においても、過圧縮を防止することができる。
また、運転圧縮比が低い場合、圧縮負荷は軽く、フレーム空間15fの抽気圧力はそれほど大きくなくてもよい。フレーム空間15fへ抽気する抽気ポート2jと圧縮室20が連通している範囲において、同時にリリーフポート30と圧縮室20が連通していることにより、圧縮室20の圧力が吐出ポート1dの圧力(吐出空間10dの圧力)より大きくなることはなく、揺動スクロール2は適正な背圧を得ることができ、圧縮ガスの漏れ防止及び板状渦巻歯1b、2bの歯先の摩耗が防止できる。
本スクロール圧縮機の初期吐出時の過圧縮防止機構、即ち、圧縮室20がバイパス路である吐出ポート1dに連通するとき、側面連通隙間δの圧縮ガスの流通面積がリリーフポート30の流通面積より大きくなるまで、圧縮室20側の圧力が吐出ポート1d側の圧力より大きいとき開となる逆止弁17を有するリリーフポート30が吐出ポート1dに連通した圧縮室20に連通している機構、及び第1リリーフポート30bの圧縮室20側の開口が圧縮室20に連通を始める連通開始時より前に圧縮室20に連通を開始し、また、連通開始時より後に連通を終了する第2リリーフポート30aを設けた低圧縮比運転時の過圧縮防止機構は、コンプライアントフレーム3を設け、揺動スクロール2を主軸4方向に上下動させるスクロール圧縮機に限らず、両スクロール1、2共に主軸4方向に位置を固定したスクロール圧縮機にも適用でき、同様の効果が得られる。
また、本スクロール圧縮機は、圧縮後の高圧ガスを吐出ポート1dから密閉容器10内に吐出し、この吐出空間10dから圧縮機外に出す所謂高圧シェルの例で説明したが、例えば吐出空間10dを密閉容器10内で区画し、圧縮後の高圧ガスを吐出ポート1dからその吐出空間に吐出し、その後、直接圧縮機外に出す等の所謂低圧シェルでもよく、同様の効果が得られる。この場合は、バイパス路の一端が圧縮室20側に開口し、他端がその吐出空間側に開口するようにする。
本スクロール圧縮機においては、バイパス路である第1リリーフポート30bの圧縮室20側の開口が圧縮室20に連通を始める連通開始時より前に圧縮室20に連通を開始し、また、連通開始時より後に連通を終了する別のバイパス路である第2リリーフポート30aを設けたので、設定圧縮比を高くすることにより高圧縮比運転時の不足圧縮ロスを低減させる場合にも、低圧縮比運転時の過圧縮ロスが発生しない高効率なスクロール圧縮機を得ることができる。
また、本スクロール圧縮機においては、一端が圧縮室20側に開口し、他端が吐出ポート1d側に開口し、圧縮室20側の圧力が吐出ポート1d側の圧力より大きいとき開となる開閉手段である逆止弁17を有するバイパス路が、固定スクロール1の台板部1aの貫通穴である、逆止弁17を有するリリーフポート30であり、このリリーフポート30の一端が圧縮室20側に開口し、他端が吐出ポート1dに連通する吐出空間10dであって、固定スクロール1の背面の吐出空間10dに開口するので、本スクロール圧縮機を高圧シェルとした場合に、バイパス路をリリーフポート30で形成することにより、過圧縮防止機構を容易に形成できる。
また、本スクロール圧縮機においては、スクロール圧縮機を、圧縮途中の圧縮ガスを導入し、この圧力を揺動スクロール2の主軸方向の移動に利用して、両スクロール1、2の板状渦巻歯1b、2bの歯先と相手側の台板部2a、1aとの主軸4方向の押圧力調整又は主軸4方向の隙間調整を行う機構を有するものとして、バイパス路またはリリーフポート30が連通している圧縮室20から圧縮ガスを導入するようにしたので、圧縮途中の圧縮ガスを導入し、この圧力を揺動スクロール2の主軸4方向の移動に利用する場合に、低圧縮比運転時においても圧力が過大になることのない適正な圧力で揺動スクロール2を押圧するスクロール圧縮機を得ることができる。
また、本スクロール圧縮機においては、バイパス路またはリリーフポート30の内径を板状渦巻歯1b、2bの歯厚とほぼ等しくしたので、圧縮室20a、20b間でバイパスしない範囲で流路抵抗が最小になっている。
また、本スクロール圧縮機においては、圧縮室側の圧力が吐出側の圧力より大きいとき開となり、小さいとき閉となる開閉手段を、圧縮室側から吐出ポート側へのみ圧縮ガスが流れるようにした逆止弁としたので、信頼性の高い開閉動作が得られる。
また、逆止弁をリード弁としたので、最も簡単で信頼性の高い逆止弁が得られている。
実施の形態2.
実施の形態1のスクロール圧縮機では、コンプライアントフレーム3を用い、コンプライアントフレーム3とガイドフレーム15によって囲まれたフレーム空間15fに圧縮途中の圧縮室20からの圧縮ガスを導入し、この圧力を利用することにより、コンプライアントフレーム3と揺動スクロール2を軸方向で、固定スクロール1側に移動、押圧させていたが、固定スクロール1への揺動スクロール2の押圧機構として、コンプライアントフレーム3を用いることなく、揺動スクロール2の背面(圧縮室と反対側)に背圧空間を設け、この背面空間に圧縮途中の圧縮室20の圧力を導入し、これにより揺動スクロール2を軸方向に押圧、移動させ、両スクロールの板状渦巻歯の歯先と相手側の台板部との軸方向の押圧力調整又は軸方向の隙間調整を行う機構のスクロール圧縮機に、実施の形態1のスクロール圧縮機のリリーフポート30と同様の技術を適用してもよく、同様の効果が得られる。
また、揺動スクロール2を軸方向に移動させるのではなく、固定スクロール1の背面(圧縮室と反対側)に背圧空間を設け圧縮途中の圧縮室20の圧縮ガスを導入し、この圧力を利用して固定スクロール1を押圧、移動させる軸方向の押圧力調整又は軸方向の隙間調整を行う機構のスクロール圧縮機に、実施の形態1のスクロール圧縮機のリリーフポート30と同様の技術を適用してもよく、同様の効果が得られる。
なお、その他のスクロール圧縮機の構成等は、実施の形態1と同様である。
本発明の実施の形態1のスクロール圧縮機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態1のスクロール圧縮機の揺動スクロール2の公転による公転角の進行による圧縮室、リリーフポート、吐出ポートの関係を示した図である。 本発明の実施の形態1のスクロール圧縮機の圧縮室が吐出ポートと連通した連通初期の状態を示す要部拡大図である。 本発明の実施の形態1のスクロール圧縮機の揺動スクロールの公転角と圧縮室の圧力との関係を示す図である。
符号の説明
1 固定スクロール、1a 台板部、1b、2b 板状渦巻歯、1d 吐出ポート、2 揺動スクロール、10 密閉容器、10d 吐出空間、17 開閉手段(逆止弁、リード弁)、20 圧縮室、30 バイパス路(リリーフポート)、δ 側面連通隙間。

Claims (6)

  1. 密閉容器内に収容した固定スクロール及び揺動スクロールを噛合わせ、前記固定スクロールに対して前記揺動スクロールを公転運動させることにより、前記両スクロールの板状渦巻歯で形成される圧縮室で圧縮された圧縮ガスを、前記固定スクロールの中心部に設けた吐出ポートから吐出空間へ吐出するスクロール圧縮機において、
    一端が圧縮室側に開口し、また、他端が吐出空間側に開口し、圧縮室側の圧力が吐出空間側の圧力より大きいとき開となり、また、小さいとき閉となる開閉手段を有する一対の第1バイパス路と、
    一端が圧縮室側に開口し、また、他端が吐出空間側に開口し、圧縮室側の圧力が吐出空間側の圧力より大きいとき開となり、また、小さいとき閉となる開閉手段を有する一対の第2バイパス路と、
    を設け、
    前記第1バイパス路は、
    前記揺動スクロールの公転により、前記両スクロールの板状渦巻歯で側面連通隙間が形成され、前記圧縮室が前記吐出ポートに連通するとき、前記側面連通隙間の圧縮ガスの流通面積が前記第1バイパス路の流通面積より大きくなるまで、前記第1バイパス路の圧縮室側の開口が、前記吐出ポートに連通した前記圧縮室に連通するように配置され、
    前記第2バイパス路は、
    該第2バイパス路と前記第1バイパス路とが同一空間となる前記圧縮室に連通する位置に配置され、かつ、当該圧縮室に前記第1バイパス路が連通を始める前に当該圧縮室に連通を開始し、当該圧縮室が前記吐出ポートに連通を始める前に当該圧縮室への連通を終了するように配置されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記第1バイパス路及び前記第2バイパス路は
    前記固定スクロールの台板部の貫通穴であるリリーフポートであり、
    端が圧縮室側に開口し、他端が前記吐出ポートに連通する吐出空間であって、前記固定スクロール背面の吐出空間に開口することを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 圧縮途中の圧縮ガスを導入し、この圧力を前記揺動スクロール又は前記固定スクロールの軸方向の移動に利用して、前記両スクロールの板状渦巻歯の歯先と相手側の台板部との軸方向の押圧力調整又は軸方向の隙間調整を行う機構を有するスクロール圧縮機であって、
    前記第1バイパス路及び前記第2バイパス路のうちの少なくとも一方が連通している前記圧縮室から前記圧縮ガスを導入することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記第1バイパス路及び前記第2バイパス路の内径が前記板状渦巻歯の歯厚とほぼ等しいことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記圧縮室側の圧力が吐出側の圧力より大きいとき開となり、小さいとき閉となる前記開閉手段が、圧縮室側から吐出空間側へのみ圧縮ガスが流れるようにした逆止弁であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記逆止弁がリード弁であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの請求項に記載のスクロール圧縮機。
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