JP4624932B2 - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は二軸配向積層ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、強磁性金属薄膜型磁気記録テープなどのベースフィルムに優れた平坦性と接着性とが求められる用途に用いることができ、しかもフィルムの製造工程で生じるエッジ屑などを回収して原料としてそのまま再度用いる、すなわち自己循環回収可能なコストメリットに優れた二軸配向積層ポリエステルフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表される二軸配向ポリエステルフィルムは、その優れた物理的、化学的特性の故に広い用途、特に磁気記録媒体のベースフィルムとして用いられている。
近年、磁気記録媒体においては、高密度化、高容量化が進められており、それに伴ってベースフィルムの平坦性、および厚みの薄膜化が要望され、一方で滑り性が不足し、例えばロール状に巻き上げる場合にシワが入ったり、ブロッキングを起こし、フィルムロールの表面が凹凸になって製品の歩留りを下げたり、巻き上げるときの張力、接圧、速度の適正範囲が狭くなり、巻き上げることが非常に難しくなるとの問題を解消するために、巻き取り性の向上も望まれている。そして、これらの巻取り性の改良と電磁変換特性の向上という相反する特性を両立させる手段として、積層フィルムにすることによって、磁性層を塗布する面は平坦にして電磁変換特性を改善し、反対面は粗面化して滑り性を向上させる手段が広く知られている。具体的には、積層ポリエステルフィルムの磁性層側が形成される側の表面(以下、平坦層と称する。)には、粒径の小さい滑剤を用いたり、またその添加量を減らし、他方磁性層を形成しない側の表面(以下、走行面と称する。)には、粒径の大きな滑剤を用いたり、また添加量を増やすなどしている。
したがって、平坦面と走行面とでは、使用する滑剤の特性、例えば、滑剤種、粒径、添加量などが大きく異なり、積層フィルム自身の回収チップを用いようとすると、その滑剤組成が粗面層および平坦層の滑剤組成とも異なるため、積層フィルムの製造に再投入すると、再投入した層の滑剤組成が変わり、フィルム特性に支障をきたす。
そこで、特開平11−34262号公報(特許文献1)では、自己回収ポリマー中の不活性粒子の濃度を希釈して、平坦面に使用することが、また、特開2000−246857号公報(特許文献2)では、自己回収ポリマー中の不活性粒子の濃度を高くして、走行面側に使用することが提案されている。
しかしながら、近年の高密度化への要求はますます厳しくなっており、自己回収性と例えば金属薄膜型磁気記録媒体などのベースフィルムの分野で要求される高度の平坦性とを具備する積層フィルムは提供されていなかったのが実情である。しかも、金属薄膜型磁気記録媒体などのベースフィルムでは、磁性層である金属薄膜層とベースフィルムとの接着性を向上させるために、しばしば易接着層として皮膜層がベースフィルムの表面に形成されるが、この皮膜層が自己回収ポリマー中に含まれると、さらに自己回収ポリマーを用いたフィルム層の中で異物となり、平坦性が損なわれるといった問題もあった。
特開平11−34262号公報 特開2000−246857号公報
本発明の目的は、強磁性金属薄膜型磁気記録テープなどのベースフィルムに優れた平坦性と接着性とが求められる用途に用いることができ、しかもフィルムの製造工程で生じるエッジ屑などを回収して原料としてそのまま再度用いる、すなわち自己循環回収可能なコストメリットに優れた二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成すべく鋭意研究した結果、粗面層と平坦層を有する積層フィルムにおいて、該粗面層の厚みを平坦層より厚くし、かつ該粗面層の厚みと粗面層に含まれる滑剤の平均粒径との比を特定の範囲とし、さらに平坦層には実質的に不活性粒子を含有させずに、その表面に極めて平均粒径の小さい不活性粒子を含有する薄さ10nm程度の皮膜層を設けるとき、回収ポリマーを自身のフィルムの製造に自己循環させても、高密度磁気記録媒体用ベースフィルムとして要求されるような平坦性と易接着性とを具備するベースフィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、フィルム層Aと、フィルム層Aの一方の表面に積層されたフィルム層Bと、フィルム層Aの他方の表面に積層された皮膜層Cとからなり、フィルム層Aは不活性粒子を含まず、厚さが0.5〜5μmの範囲にあること、フィルム層Bは、厚さがフィルム層Aよりも厚く9.5μm以下であり、かつフィルム層Bの厚さ(tB)に対して、平均粒径が0.01〜0.1倍の不活性粒子Bを含有すること、皮膜層Cは、平均粒径が5〜50nmの不活性粒子Cとバインダー樹脂とからなり、厚さが1〜20nmの範囲にあること、そして
フィルム層Bが皮膜層C中に含まれる不活性粒子Cを含有し、フィルム層Bを構成するポリエステルの一部に、二軸配向積層ポリエステルフィルムを製造する工程で生じた自己回収ポリマーが用いられており、磁性層が強磁性金属薄膜層である磁気記録テープのベースフィルムに用いられる二軸配向積層ポリエステルフィルムが提供される。
本発明によれば、強磁性金属薄膜型磁気記録テープなどのベースフィルムに優れた平坦性と接着性とが求められる用途に用いることができ、しかもフィルムの製造工程で生じるエッジ屑などを回収して原料としてそのまま再度用いる、すなわち自己循環回収可能なコストメリットに優れた二軸配向積層ポリエステルフィルムが提供される。
本発明の積層二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルム層Aの一方の表面にフィルム層B、他方の表面に皮膜層Cが積層されたものである。フィルム層Aのみの単層フィルムやフィルム層Aの両表面にフィルム層Bが積層されたような3層フィルムでは、本発明の効果を発現しがたい。
本発明において、フィルム層Aは不活性粒子を含まないことが必要である。ここでいう不活性粒子を含まないとは、表面に突起を形成するために、積極的に不活性粒子を添加したり、触媒残渣を析出させたりしていないことを意味する。具体的には、粒径が100nm以上の不活性粒子の含有量が、フィルム層Aの重量を基準として、0.03wt%以下、好ましくは0.01wt%以下、特に好ましくは0.005wt%以下であることを意味する。フィルム層Aに不活性粒子が存在すると、フィルム層Bに自己回収ポリマーを用いたときの影響を十分に緩和しがたく、また皮膜層Cの表面の平坦性が損なわれる。また、フィルム層Aの厚さは、0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜4.0μm、さらに好ましくは1.5〜3.5μmの範囲にあることが必要である。フィルム層Aの厚みが上記範囲内にあることで、フィルム層Bに自己回収ポリマーを用いたときの影響を十分に緩和でき、皮膜層Cの表面の平坦性を高度に維持することができる。なお、自己回収ポリマーの使用方法としては、図2に示す方法が挙げられる。図2は自己循環方式の模式図であり、図2中の符号21〜27は、それぞれ21は未使用ポリマーI、22は未使用ポリマーII、23は回収ポリマー、24はA層、25はB層、26は製品化された積層フィルムおよび27は回収された積層フィルムである。まず積層フィルムは未使用ポリマーIと未使用ポリマーIIとをそれぞれ溶融押し出しして積層し、積層フィルムとされる。このとき問題のない部分は製品化された積層フィルム26となるが、エッジなど製品として使用できない部分(回収された積層フィルム27)がどうしても発生してしまう。この回収された積層フィルム27を、再度回収ポリマー23として溶融押出に供するのである。
本発明において、フィルム層Bは、厚さがフィルム層Aよりも厚く、9.5μm以下、好ましくは1〜8μm、さらに好ましくは2〜6μmの範囲であることが必要である。フィルム層Bの厚みが上記範囲にあることで、フィルム層Bに実用的なレベルで自己回収ポリマーを用いることができながらも、高密度磁気記録テープのベースフィルムとして要求される容量を確保できる。また、フィルム層Bの厚さ(t)に対して、平均粒径が0.01〜0.1倍、好ましくは0.02〜0.09倍、さらに好ましくは0.03〜0.08倍の不活性粒子Bを含有することが必要である。不活性粒子の平均粒径が上記範囲にあることで、得られる二軸配向積層ポリエステルフィルムに、平坦性と巻き取り性や走行性などの取り扱い性を具備させることができ、さらに自己回収ポリマーをフィルム層Bに用いたときに、例えば皮膜層に含有される不活性粒子Cやバインダー樹脂による平坦性の悪化を緩和できる。
本発明において、皮膜層Cは、平均粒径が5〜50nmの不活性粒子Cとバインダー樹脂とからなる。皮膜層Cがバインダー樹脂のみもしくは上記下限未満の平均粒径しか有さない不活性粒子とバインダー樹脂とからなる場合、得られる二軸配向積層ポリエステルフィルムを金属薄膜型磁気記録媒体などのベースフィルムとして用いたとき、磁性層である金属薄膜層に走行性を具備させることができない。一方、平均粒径が上記上限を越える場合、自己回収ポリマーをフィルム層Bに用いたときに、不活性粒子Cが大きな粗大突起を形成し、平坦性が損なわれる。好ましい不活性粒子Cの平均粒径は、7〜40nm、さらに10〜30nmの範囲である。また皮膜層Cの厚さが1〜20nm、好ましくは2〜15nm、さらに好ましくは3〜10nmの範囲にあることが必要である。皮膜層の厚さが下限未満では皮膜層Cから不活性粒子Cが脱落しやすくなる。他方、皮膜層の厚さが上限を越えると、自己回収ポリマーをフィルム層Bに用いたときに皮膜層Cによって大きな粗大突起が形成され平坦性が損なわれる。
このように本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、粗面層と平坦層を有する積層フィルムにおいて、該粗面層の厚みを平坦層より厚くし、かつ該粗面層の厚みと粗面層に含まれる滑剤の平均粒径との比を特定の範囲とし、さらに平坦層には実質的に不活性粒子を含有させずに、その表面に極めて平均粒径の小さい不活性粒子を含有する薄さ20nmの皮膜層を設けるとき、回収ポリマーを自身のフィルムの製造に自己循環させても、高密度磁気記録媒体用ベースフィルムとして要求されるような平坦性と易接着性とを具備させることができたものである。
さらに本発明の好ましい態様について、以下で詳述する。
本発明において、フィルム層Aおよびフィルム層Bを構成するポリエステルは、フィルム層Bに自己回収ポリマーを用いることを考えれば同じものであることが好ましい。本発明におけるポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とする芳香族ポリエステルが挙げられ、実質的に線状であり、そしてフィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有することが必要である。具体的な芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールなどの如き炭素数2〜10のポリメチレングリコールあるいはシクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げることができる。これらの中でも、アルキレンテレフタレートまたはアルキレンナフタレートを主たる構成成分とするものが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレートが好ましい。もちろん、本発明の目的を損なわない範囲で、例えばそれ自体公知の共重合成分を共重合してもよい。
また、本発明において、フィルム層Aおよびフィルム層Bを構成するポリエステルは、少なくともいずれかがスルホン酸4級ホスホニウム塩化合物を、ポリエステルの繰返し単位を基準として、0.02〜45mmol%、さらに0.1〜20mmol%含有していることが好ましい。この含有量が下限未満の時にはキャスティング速度の高速化効果が小さく、またキャスティングドラムとの密着性が低下し平坦性が損なわれやすくなる。一方、含有量が上限を超えると、フィルムを静電密着する際の放電電極の放電機能が経時的に低下することがある。これらの観点から、フィルム層Aおよびフィルム層Bを構成するポリエステルは、溶融フィルムの交流体積抵抗率が1×106Ω・cm〜9×108 Ω・cm、さらに3×106Ω・cm〜5×108 Ω・cmの範囲にあることが好ましい。この交流体積抵抗率が上限を超えるときには、キャスティング速度の高速化効果が小さく、一方下限未満のときにはキャスティング工程で静電密着の際にフィルムが絶縁破壊することがある。図1は交流体積抵抗率を測定するための装置を示しており、図1中の符号1〜11は、それぞれ1は測定するポリマー、2は下部電極、3は上部電極、4は加電装置、5は温度検出端、6は電流計、7は読取温度計、8は電源、9は標準抵抗、10はエレクトロンメーターおよび11は保温箱であり、このような装置を用いることで、ポリマーの交流体積抵抗率を測定することができる。
このような溶融フィルムの交流体積抵抗率は、前述のスルホン酸4級ホスホニウム塩などを含有させることで調整できる。具体的なスルホン酸4級ホスホニウム塩としては、下記式で表わされる化合物を挙げることができる。
Figure 0004624932
ここで、上記式中の、Aは芳香族基又は脂肪族基、X1 及びX2 はそれぞれ同一若しくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれアルキル基及びアリール基よりなる群から選ばれた同一又は異なる基、nは正の整数である。
上記スルホン酸4級ホスホニウム塩の好ましい具体例としては、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3―カルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジ(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、4―ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ビスフェノールA―3,3′―ジ(スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)、2,6―ジカルボキシナフタレン―4―スルホン酸テトラブチルホスホニウム等をあげることができ、これらは一種のみを単独で用いても二種以上併用してもよい。
本発明において、フィルム層Aおよびフィルム層Bのポリエステルは、触媒としてチタン化合物を使用されたものであることが表面の平坦性を高めるために好ましい。この観点から、フィルム層Aのポリエステルは、フィルム層Aのポリエステルの酸成分のモル数を基準として、チタン元素量(Ti)で2〜15mmol%、さらに4〜12mmol%の範囲であることが好ましい。チタン化合物の割合が上記範囲にあることで、触媒残渣や溶融時の熱劣化による劣化異物に基づく粗大突起を抑制でき、より平坦性を高度に発現させることができる。
また、フィルム層Bのポリエステルは、フィルム層Bのポリエステルの繰返し単位のモル数を基準としたときのチタン元素量(Ti)が、Tiに対して0.2〜0.8、さらに0.3〜0.7の範囲であることが好ましい。Ti/Tiを上記範囲にすることで、自己回収ポリマーをフィルム層Bに用いても、チタン触媒によるポリマーの熱劣化、さらにはその劣化物からなる異物の発生が抑制でき、優れた平坦性を付与することができる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルム層Aおよびフィルム層Bが安定剤としてリン化合物を含有することが好ましい。フィルム層Aが含有するリン化合物の含有量は、フィルム層Aのポリエステルの繰返し単位のモル数を基準としたとき、該リン化合物のリン元素量(P、mmol%)と前述のチタン元素量(Ti)の比(P/Ti)が0.1〜3、さらに0.3〜2.5の範囲にあることが、熱劣化による異物の発生を抑えつつ、触媒残渣などの析出も抑えることができることから好ましい。また、フィルム層Bは、フィルム層Bのポリエステルの繰返し単位のモル数を基準としたとき、該リン化合物のリン元素量(P、mmol%)と該チタン元素量(Ti)の比(P/Ti)が2〜20、さらに4〜16の範囲にあることが、自己回収ポリマーを用いても、熱劣化による異物の発生を抑えられ、しかも触媒残渣などの析出を平坦面の表面性に影響しない程度に抑えることができることから好ましい。また、上記のようにフィルム層B中のチタン化合物の量を、フィルム層A対比少なくするために、重合反応触媒として、チタン化合物に比べ、熱安定性に優れるアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒を含有するポリエステルをフィルム層Bのポリエステルとして用いることが好ましい。これらの中でも、特に熱安定性に優れることからアンチモン化合物が好ましい。なお、アンチモン化合物は、触媒残渣による析出物が発生しやすい問題があるが、触媒残渣の析出しにくいチタン化合物を触媒と併用することで、お互いに補完し合い、結果として粗大異物などを低減しやすくなる。
ところで、フィルム層Bを構成するポリエステルの固有粘度は、フィルム層Aを構成するポリエステルの固有粘度よりも、0.01〜0.1dl/g、さらに0.02〜0.08dl/g低いことが好ましい。上記範囲にあることで、フィルム層B中の不活性粒子や異物などによる皮膜層Cの表面の平坦性低下が、フィルム層Aによって緩和され、得られる二軸配向積層ポリエステルフィルムに、高度の平坦性を発現させやすくなる。フィルム層Bの固有粘度を上記範囲にする方法としては、フィルムB層に自己回収ポリマーを用いる方法などが挙げられる。
本発明において、前述のフィルム層Bに含有される不活性粒子Bは、平均粒径(d)が0.05〜0.5μm、さらに0.1〜0.4μmであり、その含有量が、フィルム層Bの重量を基準として、0.03〜0.5wt%、さらに0.05〜0.4wt%であることが、平坦性と走行性を高度に具備させやすいことから好ましい。好ましい不活性粒子としては、分散性に優れることから、耐熱性高分子粒子や球状シリカ粒子が好ましい。また、耐熱性高分子粒子としては、例えば架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン―アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、架橋ポリスチレン樹脂粒子や架橋シリコーン樹脂粒子が好ましい。
本発明において、フィルム層Bに含まれる不活性粒子Bは単成分系でも多成分系でも良いが、好ましくは少なくとも平均粒径の異なる2種の不活性粒子を含有している多成分系が好ましい。さらに好ましくは電磁変換特性を悪化させない範囲で、平均粒径0.2〜0.5μm、さらに0.25〜0.45μmの不活性粒子B1を、フィルム層Bの重量を基準として、0.03〜0.3wt%、さらに0.05〜0.2wt%含有し、平均粒径0.05〜0.18μm、さらに0.08〜0.15μmの不活性粒子B2を、フィルム層Bの重量を基準として、0.05〜0.3wt%、さらに0.08〜0.2wt%含有するものが、十分なエアースクイズ性と電磁変換特性などを高度に具備させやすいことから好ましい。また、これらの粒子のほかに自己回収ポリマーをフィルム層Bに用いることを考えれば、フィルム層Bは不活性粒子Bのほかに、不活性粒子Cを含有していることが好ましい。
本発明において、皮膜層Cの表面には、金属薄膜型磁気記録媒体などのベースフィルムとして用いたときに、磁性層の表面に優れた走行性を付与しやすいことから、平均突起高さ3nm以上50nm以下の微細突起が3×106個/mm2以上、60×106 個/mm2以下の範囲で形成されていることが好ましい。突起の平均高さまたは頻度が下限未満であると、フィルムロールの状態などで保管したときにブロッキングやフィルム層Bの表面形状が皮膜層C側の表面に転写して平坦性が損なわれることがあったり、また皮膜層C側に形成される磁性層が平滑になりすぎて、例えばビデオテープになった後のデジタルビデオテープレコーダーで記録、再生を繰り返したときに、ビデオヘッドにより磁性層が磨耗し易い。一方、突起の平均高さまたは頻度が上限を超える場合は、突起が削り取られて脱落したり、磁気記録媒体にしたときに出力特性が低下することがある。
皮膜層Cに含有される不活性粒子Cとしては、特に限定されないが、例えば、架橋シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステル、全芳香族ポリエステルなどの有機粒子、二酸化ケイ素(シリカ)、炭酸カルシウムなどからなる粒子が好ましく挙げられる。なかでも、架橋シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリカ粒子、コアシェル型有機粒子(コア:架橋ポリスチレン、シェル:ポリメチルメタクリレートの粒子など)が特に好ましい。
また、皮膜層を形成するバインダー樹脂としては、例えば水性ポリエステル樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂などが好ましく挙げられ、特に水性ポリエステル樹脂が好ましい。皮膜層を形成する水性ポリエステル樹脂としては、酸成分が、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸カリウム、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびp−ヒドロキシ安息香酸などの多価カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種で、グリコール成分が、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジメチロールプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物などの多価ヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種であるポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
また、該水性ポリエステル樹脂は、ポリエステル鎖にアクリル重合体鎖を結合させたグラフトポリマーまたはブロックコポリマー、あるいは2種のポリマーがミクロな粒子内で特定の物理的構成(IPN(相互侵入高分子網目)型、コアシェル型など)を形成したアクリル変性ポリエステル樹脂であってもよい。この水性ポリエステル樹脂としては、水に溶解、乳化、微分散するタイプを自由に用いることができるが、水に乳化、微分散するタイプのものが好ましい。また、これらは親水性を付与するため、分子内に例えばスルホン酸塩基、カルボン酸塩基、ポリエーテル単位などが導入されていてもよい。
この皮膜層Cには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、所望により他の成分、例えば界面活性剤、安定剤、分散剤、UV吸収剤、増粘剤、離型剤などを含有させてもよい。
皮膜層を形成する時期は、特に制限されず、二軸配向積層ポリエステルフィルムに施してもよいが、縦一軸延伸ポリエステルフィルムに施すのが好ましい。水性塗液を塗布した一軸延伸ポリエステルフィルムは、乾燥され、横延伸、所望により再縦延伸、次いで熱固定処理等の工程に導かれる。例えば、水性塗液を塗布した縦一軸延伸ポリエステルフィルムは、ステンターに導かれて横延伸、所望により再縦延伸、及び熱固定される。この間塗布液は乾燥し、フィルム上に連続皮膜を形成する。乾燥は横延伸前或いは横延伸時や熱固定時に実施すると良い。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、皮膜層Cの表面の粗さが、WYKOによって測定したWRaで、0.5〜5.0nm、さらに0.8〜4.0nmの範囲にあることが、例えば強磁性金属薄膜型磁気記録媒体のベースフィルムとして用いたときに、優れた取り扱い性と平坦性とを高度に具備させやすいことから好ましい。同様な観点から、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルム層Bの表面の粗さが、WYKOによって測定したWRaで5nm以上、さらに5〜12nmの範囲にあることが好ましい。さらにまた、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルム全体の厚みが、2〜10μm、さらに3〜8μmの範囲にあることが、例えば強磁性金属薄膜型磁気記録媒体のベースフィルムとして用いる上で好ましい。
また、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、横方向(幅方向とも称することがある。)、すなわちフィルムの製膜方向(縦方向または長手方向と称することがある。)と厚み方向に直行する方向のヤング率が8GPa以上、さらに9GPa以上、特に10GPa以上であることが好ましい。このように横方向のヤング率を高くするには、フィルムの横方向の延伸倍率が高くすることが必要で、本発明者らの研究によれば、横方向の延伸倍率を高めることで、フィルム層B中の不活性粒子Bや異物による突上げを緩和でき、さらに優れた平坦性を皮膜層Cの表面に具備させやすくなる。ちなみに、横方向のヤング率の上限は特に制限はされないが、製膜工程を安定化でき、さらに平坦性向上効果も飽和されることから、20GPa以下、さらに16GPa以下であることが好ましい。また、縦方向のヤング率は、磁気記録媒体としたときに、必要とされる寸法安定性を具備させやすいことから4GPa以上、さらに5GPa以上であることが好ましく、前述の横方向のヤング率を高めやすいことから8GPa以下、さらに7GPa以下であることが好ましい。
本発明における二軸配向積層ポリエステルフィルムは、従来から知られている、あるいは当業界に蓄積されている方法に準じて製造することができる。例えば、先ず未配向積層フィルムを製造し、次いで該フィルムを二軸配向させ、その際に皮膜層用の塗液をフィルム層Aの表面に塗布することで製造できる。この未配向積層フィルムは、従来から蓄積された積層フィルムの製造法で製造することができる。例えば、粗面を形成するポリエステル層と、反対面(平坦面)を形成するポリエステル層とを、ポリエステルの溶融状態または冷却固化された状態で積層する方法を用いることができる。さらに具体的には、例えば共押し出し、エクストルージョンラミネート等の方法で製造できる。
上記の方法で得られる未配向積層フィルムは、さらに従来から蓄積された二軸配向フィルムの製造法に準じて、積層二軸配向フィルムとすることができる。例えば、融点(Tm:℃)乃至(Tm+70)℃の温度でポリエステルを溶融・共押出しして未延伸積層フィルムを得、該未延伸積層フィルムを一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向にTg〜(Tg+70)℃の温度で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸するのが好ましい。さらに必要に応じて縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。このようにして、全延伸倍率は、面積延伸倍率として9倍以上が好ましく、12〜35倍がさらに好ましく、15〜30倍が特に好ましい。さらにまた、二軸配向フィルムは(Tg+70)℃〜(Tm−10)℃の温度で熱固定することができ、例えば180〜250℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、高密度磁気記録媒体または高密度デジタル記録媒体(データカートリッジ、デジタル方式のビデオテープ等)用のベースフィルムとして好ましく用いられ、特に平坦性と接着性とが要求される金属薄膜型磁気記録媒体のベースフィルムとして好適である。
以下、本発明をさらに実施例によって詳述する。なお、本発明における種々の物性値および特性は、以下のとおり、測定および評価される。
(1)皮膜層中の不活性粒子の平均粒径
基材フィルムの皮膜層の表面に、白金スパッター装置により白金薄膜蒸着層を厚み2〜3nmで設け、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジース S−4700)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、それらの平均値を平均粒径とした。
(2)ポリエステルフィルム中の不活性粒子の平均粒径(DP)
フィルム表面からポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(例えばヤマト科学製P3−3型)で除去し、粒子を露出させる。処理条件はポリエステルは灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSRM(走査型電子顕微鏡)で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザーに結び付け、観察箇所を変えて粒子数5000個以上で次の数値処理を行い、下記式によって求めた数平均粒径dを平均粒径とする。
Figure 0004624932
ここで、diは粒子の円相当径(μm)、nは個数である。サンプルをポリエステルは溶解するが粒子は溶解しない溶媒を用いて溶解し、溶液から粒子を遠心分離し、粒子の全体量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
(3)フィルム厚み
基材フィルムを層間の空気を排除しながら10枚重ね、JIS規格のC2151に準拠し、(株)ミツトヨ製ダイヤルゲージMDC−25Sを用いて、10枚重ね法にて厚みを測定し、1枚当りのフィルム厚みを計算する。この測定を10回繰り返して、その平均値を1枚あたりのフィルム厚みとした。
一方、A層およびB層の厚みは、フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向および厚み方向に平行に切断する)を作成する。この超薄切片の試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察し、不活性粒子の多い方の層をB層、少ない方の層をA層とし、不活性粒子の存在量が変化する厚みの位置を、100箇所求め、それらの平均値からA層とB層の厚みを求めた。
(4)被膜層の厚み
フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向に平行に切断する)を作成し、この試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察し、層の境界線より層厚みを求めた。なお、この層厚みの測定は、粒子の存在しない部分にて行った。
(5)突起の高さ、頻度
Digital Instruments 社製の原子間力顕微鏡(商品名:NanoScopeIII)およびAFMのJスキャナーを使用し、以下の条件で2μm×2μmの範囲を10ケ所測定し、AFM像より高さが1nm以上の突起の数をカウントし、その平均値を面積換算により個/mm当たりの突起個数として算出する。またカウントした各々の突起の高さを測定し、その平均値をもって突起の平均高さとする。
深針:単結晶シリコンナイトライド
走査モード:タッピングモード
面素数:256×256 データポイント
スキャン速度:2.0Hz
測定環境:室温、大気中
(6)ヤング率
フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件でインストロンタイプの万能引張試験装置にて引っ張る。得られる荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
(7)ポリマー中の元素量:
A層またはB層中のチタン元素量、リン元素量、アンチモン元素量、ゲルマニウム元素量およびアルミニウム元素量はサンプルを加熱溶融して円形ディスクを作成し、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。なお、触媒としてではなく、不活性粒子として酸化チタン粒子やアルミナ粒子などが添加されている場合は、それらの割合は上記元素量からは除かれる。
(8)電磁変換特性およびドロップアウト
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの片面(A層側)に真空蒸着により厚み180nmのコバルト−酸素薄膜を形成した後、その上にスパッタリング法により、ダイヤモンド状カーボン保護膜を10nmの厚みで常法で形成させ、次いでフッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤を3nmの厚みで塗布した。続いて、B層側の表面に、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を400nmの厚みで設け、スリッターにより幅6.35mmにスリットしリールに巻取り磁気記録テープ(DVCビデオテープ)を作成した。
上記、磁気記録テープの特性評価は、市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーを改造したものを用いてビデオS/N比を求めた。S/N比の測定には、TV試験信号発生器から信号を供給し、ビデオノイズメーターを用い、市販のDVC−LPテープ(ソニー(株)製、商品名:DVM80R3)を0デシベル(dB)として比較測定し、次の基準で評価した。なお、走行条件は25℃、60%RHである。
◎:+1.0dB以上
○:−0.5dB以上、+1.0dB未満
△:−2.0dB以上、−0.5dB未満
×:−2.0dB未満
ここでいう、○は蒸着型の高密度記録磁気テープ用途として、優れたレベルであることをいい、△は使用可能であり、×は不十分なレベルであることをいう。
また、この磁気記録テープを、市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー(ソニー(株)製DCR−VX2100)のLPモードを用いて静かな室内で録画、再生し、ドロップアウト(DO)個数を求めることにで行った。DO個数の測定は、作成したDVCテープに市販のDVCカメラで録画し、1分間の再生をして画面にあらわれたブロック状のモザイク個数を数え、次の基準で評価した。なお、走行条件は25℃、60%RHである。
◎:発生なし
○:5個/分未満
×:5個/分以上
(9)表面粗さ(WRa)
Veeco社製、非接触式三次元粗さ計(WYKO NT−2000)を用いて、測定倍率25倍、測定面積247μm×188μm(0.046mm2 )の条件にて、測定数(n)10以上で測定を行い、該粗さ計に内蔵され表面解析ソフトにより、中心面平均粗さ(WRa)を求める。なお、中心面平均粗さ(WRa)は、下記式により計算され、アウトプットされた値である。
Figure 0004624932
ここで、ZjkはX軸方向(247μm)、それと直行するY軸方向(188μm)をそれぞれM分割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置に於けるX、Y平面における直行するZ軸方向の高さである。
(10)体積抵抗率の測定
溶融フィルムの体積抵抗率の測定は、図1に示す装置を用いて測定する。測定サンプル1は厚さ約150μmのフィルムを用いる。直径20cmの円柱状下部電極2の上面に、150μmの平行な隙間が保持できる直径5.6cm、厚さ0.2cmの上部電極3を配し、この間に測定サンプルが電極と密着するようにして挿入する。
下部電極2は加電装置4と温度検出端5を内蔵し、下部電極の表面温度の測定面におけるバラツキが1℃以内、検出端部分との温度差が昇温速度8℃/分において2℃以内となるように構成する。なお、検出温度は読取温度計7で測定する。電極の全体は保温箱11中に配置する。
電源8はその発生電圧を標準抵抗9を介して両電極間に印加するが、該電源はフィルムの直流体積抵抗率を測定する場合は100Vの直流を発生する電源であって、フィルムの交流体積抵抗率を測定する場合は100V、50Hzを発生する電源である。この回路に流れる電流は標準抵抗の両端に発生する電圧を、内部インピーダンスが100MΩ以上のエレトロンメーター10で読取る。
フィルム状ポリマーの交流体積抵抗率の測定は、上記装置により、下部電極の昇温測速度が8℃/分、該電極はポリマーのDSCによる融点+30℃の温度にて行い、交流体積抵抗率Zは、印加電圧E、電流I、電極面積S、電極間隔dより次式で求められる。
Figure 0004624932
(11)フィルムコスト
用いた樹脂だけで組成を変えることなく回収ポリマーを最も多く使用できる回収ポリマーの比率より、次のように判定した。
○:回収比率(R)が40%以上
△:回収比率(R)が20%以上〜40%未満
×:回収比率(R)が20%未満
[実施例1]
樹脂1の作成
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100部、エチレングリコール70部およびチタン化合物としてトリメリット酸チタンをチタン元素量で8mmol%となるように使用して、エステル交換反応させたのち、安定剤としてのリン化合物としてトリメチルホスフェートをリン元素量で13mmol%となるように添加し、エステル交換反応を終了させた。そして、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物として3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を2mmol%となるように添加した後、高真空下で重縮合反応を行い、実質的に不活性粒子を含有しない、固有粘度0.63dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
樹脂2の作成
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール70部とを、エステル交換触媒として酢酸マンガン・4水和物を30mmol%になるように使用してエステル交換反応させたのち、安定剤としてトリメチルホスフェートをリン元素量で40mmol%となるように添加してエステル交換反応を終了せしめ、その後、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物として3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を2mmol%となるように添加した後、重合触媒として三酸化アンチモンをアンチモン元素量で20mmol%となるように添加し、高真空下で重縮合反応を行い固有粘度0.63dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。なお、樹脂2には、エステル交換反応の段階で、平均粒径が300nmの球状シリカ粒子と平均粒径が130nmの球状シリカ粒子とを、それぞれ得られる樹脂の重量を基準として、0.19重量%および0.23重量%となるように添加した。
そして、平坦層(フィルム層A)用として樹脂1を、一方、粗面層(フィルム層B)用として、樹脂1と樹脂2とを重量比57:43の割合で混合したものを用意した。
これらフィルム層A用およびフィルム層B用のポリマーをそれぞれ、170℃で6時間乾燥させた。こうして、乾燥チップを表1に示した層厚み構成になるような比率にて、2台の押出機ホッパーに供給し、溶融温度280〜300℃で溶融し、マルチマニホールド型共押出ダイを用いてフィルム層Aの片側にフィルム層Bを積層させ、厚み88μmの積層未延伸フィルムを得た。
この積層未延伸フィルムの交流体積抵抗率は1×10Ω・cmであった。
このようにして得られた積層未延伸フィルムを120℃に予熱し、さらに低速、高速のロール間でフィルムを135℃に加熱して3.5倍に延伸し後、急冷し、縦延伸フィルムを得た。次いで縦延伸フィルムのフィルム層Aからなる表面上に、下記組成の水性塗液(全固形分濃度1.0%)を塗布した。
表面A側への塗布水溶液:
・バインダー アクリル―ポリエステル樹脂 79%
ポリエステル成分:イソフタル酸(95モル%)、5―ナトリウムスルホイソフタル酸(5モル%)/エチレングリコール(92モル%)、ジエチレングリコール(8モル%)
アクリル樹脂成分:メチルメタクリレート(90モル%)、グルシジルメタクリレート(10モル%)、
ポリエステル成分/アクリル樹脂成分の重量比=5/5
・不活性粒子(アクリルフィラー(平均粒径25nm、日本触媒株式会社製、商品名:エポスター))6%
・界面活性剤(三洋化成社製、商品名サンノニックSS70)15%
皮膜層厚み(乾燥後):6nm
続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に5.3倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを205℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み4.7μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。そのヤング率は縦方向(フィルムの製膜方向)5.6GPa、横方向(フィルムの幅方向)11.0GPaであった。
続いて、この二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造時に生じたエッジなどの屑を回収し、再度粉砕して回収ポリマーとした。そして、フィルム層Bのポリマーとして、樹脂1および樹脂2以外の樹脂を用いることなく、不活性粒子B1およびB2の組成を変更しない割合となる条件のもとで、最も回収ポリマーの使用割合が多くなる量(回収ポリマーと樹脂2とを重量比78:22)で用いた以外は、上述の回収ポリマーを使用しなかった二軸配向積層ポリエステルフィルムと同様な操作を繰り返して、回収ポリマーを用いた二軸配向積層ポリエステルフィルムを製造した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
フィルム層Aの樹脂を変更したのと、回収ポリマーの回収先をフィルム層Aにしたほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。なお、フィルム層Aには、平均粒径300nmの球状シリカ粒子が0.026重量%、平均粒径130nmの球状シリカ粒子が0.032重量%あった。
[実施例2および3]
皮膜層の厚みを変更した以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例4、5比較例2]
フィルム層Aとフィルム層Bの厚みを変更し、回収ポリマーの使用割合を変更した以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例3]
フィルム層Aからなる表面上に塗布する塗液を下記のように変更し、皮膜層の厚みを乾燥後で25nmとなるように変更した以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
・全固形分濃度:4.2%
・バインダー:アクリル―ポリエステル樹脂 83.6%
・・ポリエステル成分:イソフタル酸(95モル%)、5―ナトリウムスルホイソフタル酸(5モル%)/エチレングリコール(92モル%)、ジエチレングリコール(8モル%)
アクリル樹脂成分:メチルメタクリレート(90モル%)、グルシジルメタクリレート(10モル%)、
・・ポリエステル成分/アクリル樹脂成分の重量比=5/5
・不活性粒子(アクリルフィラー(平均粒径25nm、日本触媒株式会社製、商品名:エポスター)):1.4%
・界面活性剤(三洋化成社製、商品名サンノニックSS70):15%
Figure 0004624932
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、高密度磁気記録媒体としたときに優れた電磁変換特性を発現できるものでありながら、自己回収ポリマーを用いることもできるコストメリット的にも優れた特性を有しており、高密度磁気記録媒体用ベースフィルムとして、特にデジタル記録方式のビデオテープあるいはデータストレージ用テープとして有用である。
溶融ポリマーの体積抵抗率を測定する装置の模式図である。 回収ポリマーを使用するときの自己循環回収の方法を示す模式図である。
符号の説明
1:ポリマー
2:下部電極
3:上部電極
4:加電装置
5:温度検出端
6:電流計
7:読取温度計
8:電源
9:標準抵抗
10:エレクトロンメーター
11:保温箱
21:未使用ポリマーI
22:未使用ポリマーII
23:回収ポリマー
24:A層
25:B層
26:製品化された積層フィルム
27:回収された積層フィルム

Claims (9)

  1. フィルム層Aと、フィルム層Aの一方の表面に積層されたフィルム層Bと、フィルム層Aの他方の表面に積層された皮膜層Cとからなり、
    フィルム層Aは不活性粒子を含まず、厚さが0.5〜5μmの範囲にあること、
    フィルム層Bは、厚さがフィルム層Aよりも厚く9.5μm以下であり、かつフィルム層Bの厚さ(tB)に対して、平均粒径が0.01〜0.1倍の不活性粒子Bを含有すること、
    皮膜層Cは、平均粒径が5〜50nmの不活性粒子Cとバインダー樹脂とからなり、厚さが1〜20nmの範囲にあること、そして
    フィルム層Bが皮膜層C中に含まれる不活性粒子Cを含有し、フィルム層Bを構成するポリエステルの一部に、二軸配向積層ポリエステルフィルムを製造する工程で生じた自己回収ポリマーが用いられており、磁性層が強磁性金属薄膜層である磁気記録テープのベースフィルムに用いられることを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. 皮膜層Cは、その表面に平均突起高さ3nm以上50nm以下の微細突起を3×10個/mm以上、60×10個/mm以下の範囲で有する請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. 皮膜層Cの表面粗さ(WRa)が0.5〜5nmの範囲で、フィルム層Bの表面が表面Aよりも粗くかつ5nm以上で、両者の表面粗さの和が高々12nmである請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  4. フィルム全体の厚みが2〜10μmである請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. フィルム層Bは少なくとも平均粒径の異なる2種以上の不活性粒子を含有する請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. フィルム層Bを構成するポリエステルの固有粘度が、フィルム層Aを構成するポリエステルの固有粘度よりも0.01〜0.1dl/g低い請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  7. 二軸配向積層ポリエステルフィルムの横方向のヤング率が8GPa以上である請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  8. フィルム層Aおよびフィルム層Bのポリマーが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートであるである請求項1〜7いずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  9. フィルム層Aおよびフィルム層Bの少なくともいずれかを構成するポリエステルが、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物を0.02〜45mmol%含有する請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
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