JP4636660B2 - リニア位置決め装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速かつ高精度で直線上の位置決めを行うリニア位置決め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
直線上の位置決め手段としては、ボールスクリュー駆動やリニアモータを用いたものが広く知られている。しかしながら、これらの従来技術では、位置決め精度が精々±0.数μm程度が限界であった。他方、圧電式等の微動アクチュエータを用いた位置決め手段の場合は、±0.0数μm程度の高精度が得られるものの、長い距離の位置決めに適さなかった。そこで、前記リニアモータを粗動位置決め手段として用い、その可動子上に圧電式等の微動アクチュエータからなる微動位置決め手段を搭載して、粗動位置決め手段と微動位置決め手段とを組合わせた形の複動リニア位置決め装置も考えられている。
【0003】
ところで、リニアモータの可動子上に圧電式等の微動アクチュエータからなる微動位置決め手段を搭載した従来方式の複動リニア位置決め装置は、微動アクチュエータの移動範囲による制約を受けるため、その移動範囲を少しでも超える場合にはリニアモータの可動子の移動による粗動が必要であった。したがって、その都度、リニアモータの駆動制御を伴うため手間がかかり高速化が難しく、またその時々のリニアモータの可動子の位置変動を吸収するための処理も必要であった。また、その粗動の最小移動距離も、リニアモータの最小送り分、すなわち可動子の位置決め精度によって制約を受けることから、結局のところリニアモータの最小送り分を微動アクチュエータの移動範囲と同程度に構成しないと、全体としての位置決め分解能が低下するため、高精度のより高価なリニアモータが必要とされた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来の技術的事情の鑑みて開発したもので、従来方式の微動アクチュエータの移動範囲による制約を解消し、リニアモータの可動子としての粗動を伴うことなく、微動アクチュエータによる微動の繰返しによって広い範囲で可動子の位置に関する微調整が可能な使い勝手のよいリニア位置決め装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、固定子に対して移動自在に可動子が設けられたリニアモータからなる粗動送り手段と、前記可動子に対して慣性体を備えた微動アクチュエータを設置し、その微動アクチュエータによる慣性体の作動時の反作用によって前記可動子を微少移動させる微動送り手段とを備えるとともに、前記可動子を制動可能な制動手段を設けるという技術手段を採用した。また、前記制動手段を、前記固定子に沿って配設された磁性体からなる固定制動壁と、前記可動子側に設置された磁歪素子を有する制動パッドとを主要素として構成し、磁界の変化によって生じる前記磁歪素子の変形により、前記制動パッドを前記固定制動壁に圧接して制動するという技術手段を採用した。そして、前記可動子を微少移動させる際には、前記制動パッドを前記固定制動壁に圧接した制動状態において前記慣性体を作動させることにより、その慣性体の反作用が制動作用に打勝って前記可動子を微少移動させることを特徴とするものである。本発明によれば、前記微動アクチュエータの動作時の慣性体の運動エネルギによって可動子に対して付加される反作用を活用して、前記制動手段による制動作用との相対的な関係から、可動子自体を微少移動させて位置決めすることが可能になる。したがって、従来方式の微動アクチュエータの移動範囲による制約から解放される。また、磁歪素子が印加される磁界により伸長あるいは縮小する変形を利用して、制動パッドを前記固定制動壁に圧接することによって制動するように構成することができる。因みに、磁界の印加により縮小変形する磁歪素子を用いる場合には、磁界の印加時には磁歪素子が縮小変形して制動パッドを固定制動壁から離間し、磁界の印加を中止して元の長さに復帰させた場合に制動作用を奏するように構成することができる。なお、前記微動アクチュエータとしては、電歪素子や磁歪素子が好適である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、高速かつ高精度で直線上の位置決めを行うリニア位置決め手段として広く適用が可能である。例えば、ボンダやステッパなどの半導体製造装置における位置決め手段として好適である。リニアモータを構成する前記可動子に対しては、磁歪素子、電歪素子等からなる微動アクチュエータが設置され、その微動アクチュエータの端部に慣性体が設けられる。慣性体の大きさは、可動子の質量の大きさや前記制動作用との関係から、所期の微少移動の確保に適した反作用が得られるように適宜設定する。他方、可動子に配設される制動手段は、可動子に作用する慣性体からの反作用との関係から、所期の微少移動の確保に適した制動作用が得られるように構成する。因みに、前記微動アクチュエータの動作速度に応じて可動子に作用する反作用が制動手段の静摩擦の範囲内におさまるか、静摩擦を超えて動摩擦に至るかにより、可動子自体が微少移動を起すか否かが左右されることになる。さらに、その制動力を微調整することにより可動子の微少移動距離を調整し得るように構成することも可能である。
【0007】
なお、前記微動アクチュエータとして、磁歪素子を採用する場合には、印加される磁界の方向に伸縮し、伸縮量も大きく、例えば200mmの長さのもので140μm伸縮させることも可能である。また、電歪素子を採用する場合には、電圧の方向に伸縮し、磁歪素子に比べて動作速度が速いが、伸縮量は1μm程度ときわめて小さい。したがって、制動手段用のアクチュエータとしては、磁歪素子の方が適している。さらに、前記可動子に配設する制動手段を作動する手段として磁歪素子を用いる場合には、磁界の印加により伸長する磁歪素子を用いる形態と、磁界の印加により縮小する磁歪素子を用いる形態があり得る。前者の形態の場合には、磁界を印加しない状態で制動パッドが固定制動壁から離間し、磁界の印加による伸長変形時に制動パッドが固定制動壁に圧接して制動作用を奏するように設定する。他方、後者の形態の場合には、逆に磁界を印加した状態で制動パッドが固定制動壁から離間し、磁界の印加の中止による元の長さへの復帰時に制動パッドが固定制動壁に圧接して制動作用を奏するように設定する。
【0008】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明の実施例に関して説明する。図1は本発明の一実施例の要部を示した平面図である。図2〜図4は図1の拡大断面図であり、それぞれ図2はA−A断面図、図3はB−B断面図、図4はC−C断面図である。図中1は固定子であり、例えば移動磁界を形成して可動子2を所定位置に移動し得るように構成されており、それらの固定子1及び可動子2を主要素としてリニアモータを構成している。図2及び図3に示したように、固定子1は案内レール3の凹部内に設置されるとともに、その案内レール3に対して可動子2が外側から係合して移動するように構成されている。案内レール3は、さらに磁性体からなるU字状フレーム4の凹部内に設置され、そのU字状フレーム4の立上がり壁部が固定制動壁5,6として構成されている。
【0009】
図示のように、本実施例では、可動子2に対して磁歪素子からなる微動アクチュエータ7が設置され、その微動アクチュエータ7の他端部に慣性体8が設けられている。また、可動子2の反対側には、磁気の影響を遮断するように非磁性体からなる保持部材9,10を介して、鉄心11を備えたソレノイドコイル12が設置されており、そのソレノイドコイル12に通電することより磁歪素子を用いた制動パッド13,14の部分に磁界を印加して伸長させ、それらの制動パッド13,14を前記固定制動壁5,6に圧接することによって制動し得るように構成している。因みに、図4に示したように、ソレノイドコイル12をオンして励磁が開始されると、鉄心11と固定制動壁5,6を備えたU字状フレーム4とによって磁気回路Mが形成され、制動パッド13,14の部分に磁界が印加されることになる。
【0010】
次に、本発明に係るリニア位置決め装置の作動に関して説明する。前記可動子2を目標位置へ送るには、先ず、従来のリニアモータの場合と同様、採用したリニアモータの駆動方式により、例えば固定子1に所定の移動磁界を形成して可動子2を目標位置の近傍まで粗動送りする。なお、その場合の位置認識手段としては、可動子2に設けたレゾルバや外部に設けたリニアスケール、レーザ測長器などの高精度の計測器が使用される。次に、前記ソレノイドコイル12に通電して励磁を開始し、鉄心11と固定制動壁5,6を備えたU字状フレーム4に磁気回路Mを形成する。これにより、制動パッド13,14の部分に磁界が印加される結果、制動パッド13,14に組込まれた磁歪素子が伸長し、それらの制動パッド13,14が固定制動壁5,6に圧接して制動作用を奏する。なお、以上の制動動作とともに可動子2の駆動がオフされ、次の微動送り動作に移行する。
【0011】
前記可動子2の微動送り動作においては、その可動子2に対して設置された、本実施例では磁歪素子からなる微動アクチュエータ7を駆動して、該微動アクチュエータ7の動作に伴って作動する慣性体8の反作用によって可動子2を微少移動させることになる。すなわち、微動アクチュエータ7により慣性体8を作動させた際に生じる可動子2に対する反作用が、前記制動パッド13,14と固定制動壁5,6との圧接による制動作用に打勝つように設定することにより、可動子2をナノメートルオーダーで微少移動させることが可能である。したがって、微動アクチュエータ7の間欠駆動の繰返しにより、可動子2をナノメートルピッチで目標位置まで順次微少移動させることが可能である。なお、目標位置に移動した可動子が外力によって動かないように、電流を大きくして制動力をアップさせるようにしてもよい。
【0012】
図5は微動アクチュエータ7による可動子2の微動送り動作を例示した概略動作説明図である。なお、本図では説明の便から変位量を拡大して示した。状態Aは、可動子2がリニアモータの駆動により目標位置の近傍まで粗動送りされた状態を示したものである。この状態Aから、状態Bに示したように微動アクチュエータ7を急速に伸長すると、その微動アクチュエータ7の伸長動作に伴って慣性体8が矢印方向に急速に作動し、その反作用によって可動子2が矢印のように反対方向に微動する。すなわち、この微動アクチュエータ7の急速な伸長動作においては、慣性体8による反作用も大きく、可動子2は、制動パッド13,14と固定制動壁5,6との制動面における静摩擦力に打勝って矢印方向に微動することになる。この場合の微動の量は、微動アクチュエータ7の加速度に基づく慣性体8からの反作用の大きさと制動パッド13,14と固定制動壁5,6との圧接による制動作用との相対的な関係によって決る。次に、状態Cで示したように、微動アクチュエータ7を矢印方向に縮小しながら、前記状態Aと同様の状態Dまでゆっくり復帰させる。この復帰動作においては、ゆっくり縮小動作させることにより、慣性体8による反作用の大きさを抑えて、制動パッド13,14と固定制動壁5,6との制動面における静摩擦力を超えないように設定する。したがって、この復帰動作の場合には、可動子2は停止したままで移動はしない。
【0013】
以上の状態Aから状態Dにおける微動アクチュエータ7の急速伸長動作と緩速縮小動作によって、微動送り手段の一サイクルの微動動作が完了する。そして、その一サイクルの微動動作により、状態Bに示したように、可動子2を矢印方向にナノメートルオーダーのピッチPで微少移動させることが可能である。したがって、以上の微動送り手段の動作を間欠的に必要回数、繰返すことにより、可動子2を目標位置に正確に移動することが可能である。なお、微動アクチュエータ7の動作パターンを変更して、縮小動作を逆に急速で行い、伸長動作をゆっくり行うようにすれば、可動子2の微少移動の方向を逆にすることも可能である。すなわち、状態Cにおける縮小動作を急速で実行し、その縮小動作に伴う慣性体8の反作用によって可動子2を逆方向に微少移動させるとともに、状態Bにおける伸長動作はゆっくり実行して、慣性体8による反作用力の大きさが制動パッド13,14と固定制動壁5,6との制動面における静摩擦力を超えないようにして停止状態を維持するように設定すれば、可動子2の微少移動の方向を逆転することが可能である。
【0014】
さらに、前述の状態Cから状態Dへの復帰動作において、微動アクチュエータ7の縮小動作の速度を、慣性体8による反作用力の大きさが制動パッド13,14と固定制動壁5,6との制動面における静摩擦力を超えない程度に一度上昇させ、しかる後、状態Dの復帰位置で急停止するように設定すれば、その急停止の際の慣性体8の可動子2に対する反作用を活用して、一サイクルの微動動作におけるピッチPを増やすことも可能である。同様に、状態Cから状態Dへの復帰動作の途中から状態Bの急速伸長動作に移行して、微動動作を繰返す動作パターンも可能である。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、磁歪素子ないし電歪素子等の微動アクチュエータに備えた慣性体の作動時の反作用に基づいて、リニアモータを構成する可動子自体を微少移動するように構成したので、微動アクチュエータの動作を繰返すことによって可動子自体の微少移動を任意に続行することが可能である。したがって、従来方式に伴う微動アクチュエータの移動範囲による制約から解放され、作業性の良好な使い勝手のよいリニア位置決め装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の要部を示した平面図である。
【図2】 図1のA−A拡大断面図である。
【図3】 図1のB−B拡大断面図である。
【図4】 図1のC−C拡大断面図である。
【図5】 微動アクチュエータによる可動子の微動送り動作を例示した概略動作説明図である。
【符号の説明】
1…固定子、2…可動子、3…案内レール、4…U字状フレーム、5,6…固定制動壁、7…微動アクチュエータ、8…慣性体、9,10…保持部材、11…鉄心、12…ソレノイドコイル、13,14…制動パッド
Claims (2)
- 固定子に対して移動自在に可動子が設けられたリニアモータからなる粗動送り手段と、前記可動子に対して慣性体を備えた微動アクチュエータを設置し、その微動アクチュエータによる慣性体の作動時の反作用によって前記可動子を微少移動させる微動送り手段と、前記可動子を制動可能な制動手段とを備え、
前記制動手段は、前記固定子に沿って配設された磁性体からなる固定制動壁と、前記可動子側に設置された磁歪素子を有する制動パッドとを主要素として構成され、磁界の変化によって生じる前記磁歪素子の変形により、前記制動パッドを前記固定制動壁に圧接して制動するように構成し、前記可動子を微少移動させる際には、前記制動パッドを前記固定制動壁に圧接した制動状態において前記慣性体を作動させることにより、その慣性体の反作用が制動作用に打勝って前記可動子を微少移動させることを特徴とするリニア位置決め装置。 - 前記微動アクチュエータとして、電歪素子又は磁歪素子を用いた請求項1に記載のリニア位置決め装置。
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