JP4674423B2 - 層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法に関し、特に高嵩密度を有し、リチウム二次電池の正極活物質として用いるに好適な層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、リチウム二次電池は、高エネルギー密度及び高出力密度等に優れ、小型化・軽量化できることから、ノート型パソコン、携帯電話、ハンディビデオカメラ等の携帯機器の電源として急激な伸びを示しており、そのリチウム二次電池の正極活物質としては、リチウムと、コバルト、ニッケル、マンガン等の遷移金属との複合酸化物、例えば、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物等が、高性能の電池特性が得られることから注目され、一部実用化に到っている。
【0003】
更に、複合酸化物としての安定化や、電池としての高容量化或いは高温での電池特性の改良等を目的とし、経済性等も勘案して、それらの遷移金属原子の一部を他の金属原子で置換した各種の複合酸化物の研究も進められており、その中で、LiNi1-x Mnx O2 (0<x<1)で表される層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物が注目され、例えば、Solid State Ionics 311-318(1992)、J. Mater. Chem. 1149-1155(1996) 、J. Power Sources 629-633(1997)、J. Power Sources 46-53(1998)等には、0≦x≦0.5の層状複合酸化物の単一相の合成例が報告され、又、第41回電池討論会2D20(2000)では、x=0.5、即ちNi/Mn=1の単一相の合成例が報告されている。
【0004】
一方、これらの複合酸化物の製造方法としては、例えば、リチウム源化合物と前記の如き遷移金属源化合物等を、粉砕及び混合した後、焼成する等の乾式法、又は、リチウム源化合物と前記の如き遷移金属源化合物等とを水等の媒体に分散させ粉砕及び混合したスラリーを、或いは、リチウム源化合物と前記の如き遷移金属源化合物等を粉砕した後、水等の媒体に分散させ混合したスラリーを、噴霧乾燥等により乾燥させた後、焼成する等の湿式法等の方法があるが、得られる複合酸化物粉体を球状に形成でき、高嵩密度の粉体が得られ易いことから、後者湿式法の方が優れる方法とされている。
【0005】
しかしながら、本発明者等の検討によると、従来知られている層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物は、前記湿式法によって製造される複合酸化物であっても、スピネル型複合酸化物等に比して、粉体嵩密度が低く、そのため、正極活物質として正極に用いたときに、一定のエネルギー容量を確保するためには電池を大型化せざるを得ず、又、電池を小型化すると低エネルギー容量しか得られない等の問題を内在するものであることが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術としての層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体における前記問題を解決すべくなされたものであって、従って、本発明は、高嵩密度を有し、リチウム二次電池の正極活物質として用いるに好適な層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体に特定応力を加える後処理を施すことによって前記目的を達成できることを見出し本発明に到達したもので、従って、本発明は、ニッケル原子〔Ni〕とマンガン原子〔Mn〕とのモル比〔Ni/Mn〕が0.7〜9.0の範囲にある層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体に、圧縮剪断応力を加える処理を施す層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法、を要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、後述する後処理に供する層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体としては、少なくともリチウム源化合物とニッケル源化合物とマンガン源化合物とを、粉砕及び混合した後、焼成する乾式法により製造されたものであってもよいが、粉砕及び混合された少なくともリチウム源化合物とニッケル源化合物とマンガン源化合物とを含有するスラリーを、噴霧乾燥により乾燥させ、焼成する湿式法により製造されたものであるのが好ましい。
【0009】
ここで、リチウム源化合物、ニッケル源化合物、及びマンガン源化合物としては、リチウム、ニッケル、及びマンガンの各酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、アルキル化物、ハロゲン化物等が挙げられ、これらの中から、スラリー化における媒体への分散或いは溶解性、複合酸化物への反応性、及び、焼成時におけるNOx 、SOx 等の非発生性等を考慮して選択される。
【0010】
そのリチウム源化合物としては、具体的には、例えば、Li2 O、LiOH、LiOH・H2 O、Li2 CO3 、LiNO3 、LiOCOCH3 、Li3 (OCOC)3 H4 OH(クエン酸リチウム)、LiCH3 、LiC2 H5 、LiCl、LiI等が挙げられ、中で、LiOH・H2 O、Li2 CO3 、LiNO3 、LiCH3 CO2 が好ましく、LiOH・H2 Oが特に好ましい。
【0011】
又、ニッケル源化合物としては、具体的には、例えば、NiO、Ni(OH)2 、NiOOH、NiCO3 ・2Ni(OH)2 ・4H2 O、Ni(NO3 )2 ・6H2 O、NiSO4 、NiSO4 ・6H2 O、Ni(OCO)2 ・2H2 O、 Ni(OCOCH3 )2 、NiCl2 等が挙げられ、中で、NiO、Ni(OH)2 、NiOOH、NiCO3 ・2Ni(OH)2 ・4H2 O、NiC2 O4 ・2H2 Oが好ましく、NiO、Ni(OH)2 、NiOOHが特に好ましい。
【0012】
又、マンガン源としては、具体的には、例えば、MnO2 、Mn2 O3 、Mn3 O4 、MnOOH、MnCO3 、Mn(NO3 )2 、MnSO4 、Mn(OCOCH3 )2 、Mn(OCOCH3 )3 、MnCl2 、MnCi3 等が挙げられ、中で、MnO2 、Mn2 O3 、Mn3 O4 、MnOOHが好ましく、MnO2 、Mn2 O3 、Mn3 O4 が特に好ましい。
【0013】
尚、前記リチウム源、ニッケル源、及びマンガン源の各化合物としては、好ましいとする前記湿式法において、化合物の状態でスラリー媒体中に存在する場合の外、スラリー媒体中でカチオンとアニオンとに解離し、リチウムカチオン、ニッケルカチオン、或いはマンガンカチオンとして存在する場合も含むものとする。
【0014】
又、本発明における層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物の複合酸化物源としては、前記リチウム源化合物、ニッケル源化合物、及びマンガン源化合物の他に、マグネシウム源化合物、アルミニウム源化合物、カルシウム源化合物、鉄源化合物、及びコバルト源化合物からなる群から選択されるいずれかの化合物が更に用いられていてもよい。
【0015】
ここで、マグネシウム源化合物、アルミニウム源化合物、カルシウム源化合物、鉄源化合物、及びコバルト源化合物としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉄、及びコバルトの各酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、タングステン酸塩、カルボン酸塩、アルキル化物、ハロゲン化、炭化物等が挙げられるが、これらの中から、スラリー化における媒体への分散或いは溶解性、複合酸化物への反応性、及び、焼成時におけるNOx 、SOx 等の非発生性等を考慮して選択される。
【0016】
そのマグネシウム源化合物としては、具体的には、例えば、MgO、Mg(OH)2 、Mg(NO3 )2 ・6H2 O、MgSO4 、Mg(OCO)2 ・2H2 O、Mg(OCOCH3 )2 ・4H2 O、MgCl2 等が挙げられ、中で、MgO、Mg(OH)2 が好ましく、Mg(OH)2 が特に好ましい。
【0017】
又、アルミニウム源化合物としては、具体的には、例えば、Al2 O3 、Al(OH)3 、AlOOH、Al(NO3 )3 ・9H2 O、Ai2 (SO4 )3 、AlCl3 等が挙げられ、中で、Al2 O3 、Al(OH)3 、AlOOHが好ましく、AlOOHが特に好ましい。
【0018】
又、カルシウム源化合物としては、具体的には、例えば、CaO、Ca(OH)2 、CaCO3 、Ca(NO3 )2 ・4H2 O、CaSO4 ・2H2 O、Ca(OCO)2 ・H2 O、CaWO4 、Ca(OCOCH3 )2 ・H2 O、CaCl2 、CaC2 等が挙げられ、中で、CaO、Ca(OH)2 、CaCO3 が好ましく、Ca(OH)2 が特に好ましい。
【0019】
又、鉄源化合物としては、具体的には、例えば、Fe2 O3 、Fe3 O4 、FeOOH、Fe(NO3 )3 ・9H2 O、FeSO4 ・7H2 O、Fe2 (SO4 )3 ・nH2 O、Fe(OCO)2 ・2H2 O、FeCl2 、FeCl3 等が挙げられ、中で、Fe2 O3 、Fe3 O4 、FeOOHが好ましく、Fe2 O3 、FeOOHが特に好ましい。
【0020】
又、コバルト源化合物としては、具体的には、例えば、CoO、Co2 O3 、Co3 O4 、Co(OH)2 、Co(NO3 )2 ・6H2 O、Co(SO4 )2 ・7H2 0、Co(OCOCH3 )2 ・4H2 O、CoCl2 等が挙げられ、中で、CoO、Co2 O3 、Co3 O4 、Co(OH)2 が好ましく、Co(OH)2 が特に好ましい。
【0021】
尚、前記マグネシウム源化合物、アルミニウム源化合物、カルシウム源化合物、鉄源化合物、及びコバルト源化合物の中で、マグネシウム源化合物、アルミニウム源化合物、コバルト源化合物が好ましく、アルミニウム源化合物、コバルト源化合物が特に好ましい。又、これらの各化合物としても、好ましいとする前記湿式法において、化合物の状態でスラリー媒体中に存在する場合の外、スラリー媒体中でカチオンとアニオンとに解離し、マグネシウムカチオン、アルミニウムカチオン、カルシウムカチオン、鉄カチオン、或いはコバルトカチオンとして存在する場合も含むものとする。
【0022】
そして、本発明においては、後述する後処理に供する層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体は、ニッケル原子〔Ni〕とマンガン原子〔Mn〕とのモル比〔Ni/Mn〕が0.7〜9.0の範囲にあることが必要であり、Ni/Mnとして0.8〜1.2の範囲にあるのが好ましく、0.9〜1.1の範囲にあるのが更に好ましく、0.95〜1.05の範囲にあるのが特に好ましい。Ni/Mnの値が前記範囲未満では、層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物を単一相で合成することが困難となり、一方、前記範囲超過では、経済性の面で不利となる。
【0023】
又、好ましいとする前記湿式法において、少なくとも前記リチウム源化合物とニッケル源化合物とマンガン源化合物とを含有し、必要に応じて、前記マグネシウム源化合物、アルミニウム源化合物、カルシウム源化合物、鉄源化合物、及びコバルト源化合物からなる群から選択されるいずれかの化合物を含有するスラリーとしては、水等の媒体中にこれらの化合物を加え、媒体攪拌式粉砕機等の湿式粉砕機を用いて粉砕及び混合するか、或いは、これらの化合物をハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機を用いて粉砕した後、水等の媒体中に加え混合する等の方法により調製されるが、水等の媒体中で粉砕及び混合する前者方法が、均一なスラリーが得られる上で好ましい。
【0024】
又、好ましいとする前記湿式法において、スラリー中における化合物全体による固形分濃度としては、後述する噴霧乾燥により形成される粉体粒子径を最適な範囲に確保する上で、通常10重量%以上、好ましくは12.5重量%以上とし、又、均一なスラリーを確保する上で、通常50重量%以下、好ましくは35重量%以下とする。
【0025】
又、スラリー中における各化合物の平均粒子径は、前述の粉砕混合方法及びその条件により制御することができるが、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定した値として、後述する焼成における反応性、及び高嵩密度を確保する上で、通常2μm以下、好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下とし、又、経済性の面から、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上とする。
【0026】
又、スラリーの粘度としては、BM型粘度計により測定した値として、後述する噴霧乾燥により形成される粉体粒子径を最適な範囲に確保する上で、通常50mPa・秒以上、好ましくは100mPa・秒以上、更に好ましくは200mPa・秒以上とし、又、スラリーの取扱性を確保する上で、通常3000mPa・秒以下、好ましくは2000mPa・秒以下、更に好ましくは1600mPa・秒以下とする。
【0027】
又、好ましいとする前記湿式法においては、粉砕及び混合された少なくとも前記リチウム源化合物とニッケル源化合物とマンガン源化合物とを含有する前記スラリーを、噴霧乾燥により乾燥させ、焼成することにより層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体が製造される。
【0028】
ここで、噴霧乾燥とは、前記スラリーを液滴化して加熱された気体流中へ噴霧飛散させ、該気体流で搬送しながら急速に乾燥させて粉体を得る公知の乾燥法であり、その装置としては、例えば、ロータリーアトマイザー、二流体ノズル型或いは四流体ノズル型スプレードライヤー等が挙げられる。又、液滴化する際の加圧気体としては、空気、窒素等が用いられ、そのガス線速としては、通常100m/秒以上、好ましくは200m/秒以上、更に好ましくは300m/秒以上とし、通常1000m/秒以下とする。又、加熱された気体流としては、通常50℃以上、好ましくは70℃以上とし、通常120℃以下、好ましくは100℃以下の温度とする。
【0029】
この噴霧乾燥により、前記各化合物の粉砕混合物としての球形状の粉体が得られる。その粉体の平均粒子径は、前述の噴霧方法、ノズル形状、加圧気体噴射速度、スラリー供給速度、加熱気体流温度等によって制御することができるが、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定した値として、好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下とし、通常4μm以上、好ましくは5μm以上とする。
【0030】
前記噴霧乾燥により得られた粉体は、例えば、箱型炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等の装置内で、空気等の酸素含有ガス或いは酸素ガス雰囲気下、又は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、好ましくは酸素含有ガス或いは酸素ガス雰囲気下、加熱処理し焼成される。
【0031】
その際の焼成温度としては、反応性を確保する上で、通常700℃以上、好ましくは750℃以上、更に好ましくは800℃以上とし、又、欠陥のない層状複合酸化物を形成する上で、通常1050℃以下、好ましくは1000℃以下、更に好ましくは950℃以下とする、尚、その際の加熱時間としては、0.5〜50時間程度とし、加熱処理後、5℃/分以下の速度で徐冷するのが好ましい。
【0032】
本発明の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法は、以上の如くして製造された層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体に圧縮剪断応力を加える後処理を施すことを必須とする。
【0033】
ここで、圧縮剪断応力を加える後処理とは、複合酸化物粉体粒子に圧縮及び剪断応力を負荷して粉体粒子を圧縮すると共に、その負荷応力により粉体粒子の表面の一部が削られることにより発生する微粉を粒子表面に再融着させる作用を伴う、所謂、メカノフュージョンを発現させる処理を言い、具体的には、例えば、円筒回転ドラムと、このドラム内の中心軸に固定され、先端にドラムの内周面に接する半球形状の押圧剪断ヘッドを備えた第1アームと、回転ドラムの回転前方に所定角度を隔てて中心軸に固定され、先端にドラムの内周面に接する鋭角状の爪を備えた第2アームとで構成された処理装置を用いて処理がなされる。
【0034】
本発明において、この処理に用いられる処理装置としては、例えば、ホソカワケミカル社より市販されている「AM−15F」、「AF−20FS」、「AM−35F」、「AM−60F」、「AM−80F」、「AM−110F」等が挙げられる。
【0035】
本発明の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法における層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物は、下記一般式(I)で表される複合酸化物であるのが好ましい。
【0036】
【化2】
Lix Niy Mnz Q(1-Y-Z) O2 (I)
【0037】
〔式(I)中、xは、0<x≦1.2の数であり、y及びzはそれぞれ、0.7≦y/z≦9.0、及び、0≦1−y−z≦0.5の関係を満たす数であり、Qは、Mg、Al、Ca、Fe、及びCoからなる群から選択されるいずれかの金属原子を示す。〕
【0038】
前記式(I)において、0<x≦1.1であるのが好ましく、xが前記範囲超過では、層状複合酸化物として結晶構造が不安定となり、電池に用いたときに電池容量の低下を引き起こす傾向となる。又、0.8≦y/z≦1.2であるのが好ましく、0.9≦y/z≦1.1であるのが更に好ましく、0.95≦y/z≦1.05であるのが特に好ましい。y/zが前記範囲未満では、層状複合酸化物を単一相で得ることが困難な傾向となり、一方、前記範囲超過では、経済性の面で不利となる。又、0≦1−y−z≦0.35であるのが好ましく、0≦1−y−z≦0.25であるのが更に好ましい。1−y−zが前記範囲超過では、電池に用いたときに電池容量の低下を引き起こす傾向となる。
【0039】
又、本発明の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法による層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定した値として、平均一次粒子径が、通常0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常30μm以下、好ましくは5μm以下、更に好ましくは25μm以下のものである。又、平均二次粒子径が、通常1μm以上、好ましくは4μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは40μm以下のもでである。又、BET法による比表面積が、通常0.1m2 /g以上、好ましくは4.0m2 /g以上であり、通常10.0m2 /g以下、好ましくは8.0m2 /g以下のものである。
【0040】
又、本発明の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法による層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体は、粉体充填密度としての200回タップ後のタップ密度が、好ましくは0.8g/mL以上、更に好ましくは1.0g/mL以上であり、好ましくは3.0g/mL以下、更に好ましくは2.5g/mL以下のものである。そして、そのタップ密度の圧縮剪断処理前のタップ密度に対する比が、好ましくは1.10以上、更に好ましくは1.15以上となって、嵩密度における顕著な改良効果を示すものとなる。尚、この比が大きい程、改良効果が顕著となるが、実用的には10以下、特には5以下である。
【0041】
本発明の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法による層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体は、高嵩密度を有することから、リチウム二次電池の正極活物質として用いるに好適である。
【0042】
本発明の製造方法により得られる層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体のリチウム二次電池の正極活物質としての使用法は、従来公知の方法による。即ち、正極活物質としての本発明の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体を、結着剤と共に、必要に応じて導電剤を加え、溶媒に分散させた塗布液となし、該塗布液を集電体表面に塗布し、乾燥させた後、好ましくは一軸プレスやロールプレス等により圧密化処理を行うことにより、集電体表面に正極活物質含有層を形成し、正極とされる。
【0043】
ここで、用いられる結着剤としては、例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン等の樹脂、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、弗素ゴム等のゴム、その他、ポリ酢酸ビニル、セルロース等の高分子物質が、又、導電剤としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質微粒子が、それぞれ挙げられ、又、溶媒としては、例えば、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル系溶媒、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
【0044】
又、集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の、厚みが、通常1〜1000μm、好ましくは5〜500μmの箔が挙げられ、正極の集電体としてはアルミニウム箔が好ましい。尚、正極活物質含有層の厚みは、通常1〜1000μm、好ましくは10〜200μmとされる。
【0045】
又、正極活物質含有層における正極活物質の含有割合は、電池容量等の電池特性を確保する上で、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上とし、電極としての機械的強度等を確保する上で、通常99.9重量%以下、好ましくは99重量%以下、更に好ましくは95重量%以下とする。又、結着剤の含有割合は、電極としての機械的強度等を確保する上で、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは5重量%以上とし、電池容量や導電性等の電池特性を確保する上で、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下とする。又、導電剤の含有割合は、導電性等の電池特性を確保する上で、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上とし、電池容量等の電池特性を確保する上で、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下とする。
【0046】
又、負極は、負極活物質を、結着剤と共に溶媒に分散させた塗布液となし、該塗布液を集電体表面に塗布し、乾燥させた後、好ましくは一軸プレスやロールプレス等により圧密化処理を行うことにより、集電体表面に負極活物質含有層を形成し、負極とされる。
【0047】
ここで、用いられる負極活物質としては、例えば、リチウム、リチウムアルミニウム合金、黒鉛、石炭系や石油系コークスの炭化物、石炭系や石油系ピッチの炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂や結晶セルロース等の炭化物、ファーネスブラックやアセチレンブラック等のカーボンブラック、及び、SnO、SnO2 、Sn1-x Mx O(MはHg、P、B、Si、Ge、又はSbであり、xは0≦x<1である。)、Sn3 O2 (OH)2 、Sn3-x Mx O2 (OH)2 (MはMg、P、B、Si、Ge、Sb、又はMnであり、xは0≦x<3である。)、LiSiO2 、SiO2 、LiSnO2 等が挙げられ、又、結着剤、溶媒等は前記正極の形成におけると同様のものが挙げられる。又、集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の箔が挙げられ、負極の集電体としては銅箔が好ましい。
【0048】
そして、集電体表面に正極活物質含有層を有する正極と、集電体表面に負極活物質含有層を有する負極と、電解質層と、必要に応じて正極と負極の間に介在させるセパレータとから、リチウム二次電池が構成される。
【0049】
ここで、電解質層としては、例えば、電解質を溶媒に溶解させた有機電解液、又は、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等が用いられ、中で、有機電解液が好ましい。
【0050】
その有機電解液における電解質としては、例えば、LiCl、LiBr、LiClO4 、LiAsF6 、LiPF6 、LiBF4 、LiB(C6 H5 )4 、LiCH3 SO3 、LiCF3 SO3 、LiN(SO2 CF3 )2 、LiN(SO2 C2 F5 )2 、LiN(SO3 CF3 )2 、LiC(SO2 CF3 )3 等が挙げられ、又、溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のエーテル類、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、メチルホルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート等のエステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、スルホラン、メチルスルホラン等のスルホラン系化合物類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ジエチルアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
【0051】
又、セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、セルロース、セルロースアセテート等の高分子の微多孔性フィルムが用いられる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
比較例1
リチウム源化合物としての水酸化リチウム一水塩〔LiOH・H2 O〕と、ニッケル源化合物としての水酸化ニッケル〔Ni(OH)2 〕と、マンガン源化合物としての三二酸化マンガン〔Mn2 O3 〕とを、最終的に得られる層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物における各原子のモル比で、リチウム原子〔Li〕:ニッケル原子〔Ni〕:マンガン原子〔Mn〕=1.05:0.50:0.50となる量を、純水に加えて固形分濃度12.5重量%のスラリーを調製し、このスラリーを、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミルKD−20B型」)を用いて混合すると共に、スラリー中の各化合物の平均粒子径が、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定した値として0.3μmになるまで、約6時間湿式粉砕した。このスラリーの粘度は、BM型粘度計により測定した値として290mPa・秒であった。
【0054】
次いで、得られたスラリーを、スプレードライヤー(藤崎電機社製「四流体ノズル型スプレードライヤー」)を用いて、23m3 /分の導入量でダウンフローさせた90℃の加熱空気流に対して直交方向に、加圧空気により300m/秒の線速でノズルから噴出させ、噴霧乾燥により乾燥させた後、得られた粉体粒子を空気中で900℃で10時間焼成することにより、モル比で、リチウム原子〔Li〕:ニッケル原子〔Ni〕:マンガン原子〔Mn〕=1.05:0.50:0.50の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体を製造した。
【0055】
得られた層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体は、ほゞ球形を有する粒子であり、粉末X線回折を測定したところ、菱面体晶の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物であることが確認された。又、全自動粉体比表面積測定装置(大倉理研製「AMS8000型」)を用いてBET法による比表面積を測定したところ、6.14m2/gであった。又、得られた複合酸化物粉体の約5gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、200回タップした後の粉体充填密度をタップ密度として測定したところ、1.12g/mLであった。
【0056】
実施例1
比較例1で得られた層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の約300gを採取し、ホソカワミクロン社製「AM−20FS」を用いて、インナーピースの回転数を2000rpmとして10分間、圧縮剪断応力を加えることにより後処理を施した。
【0057】
得られた層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体は、ほゞ球形を有する粒子であり、粉末X線回折を測定したところ、菱面体晶の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物であることが確認された。
【0058】
又、比較例1におけると同様の方法で比表面積を測定したところ、9.27m2/gであった。又、得られた複合酸化物粉体の約5gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、200回タップした後の粉体充填密度をタップ密度として測定したところ、1.49g/mLであり、比較例1における粉砕前のタップ密度に対する比は1.33であった。
【0059】
応用例
前記比較例1及び実施例1で得られた層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体、導電剤としてのアセチレンブラック、及び、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン粉体を、75重量%:20重量%:5重量%の割合となる量で混合し、直径9mmの円形に打ち抜いたときの重量が約8mgとなる厚さでシートに成形し、該シートから直径9mmの円形に打ち抜き、アルミニウム製エキスパンドメタルの片面に圧着することにより正極を作製した。この正極を試験極とし、リチウム金属を対極としてコインセルを組み、これに、電流密度0.2mA/cm2 の定電流充電、即ち正極からリチウムイオンを放出させる反応を上限4.3Vで行い、次いで、電流密度0.2mA/cm2 の定電流放電、即ち正極にリチウムイオンを吸蔵させる反応を下限3.0Vで行ったときの、正極活物質単位重量当たりの初期充電容量〔Qs(C)(mAh/g)〕、及び、初期放電容量〔Qs(D)(mAh/g)〕を測定した。その初期放電容量〔Qs(D)(mAh/g)〕を、電流密度11mA/cm2 で測定した放電容量〔Qa(D)(mAh/g)〕と共に、表1に示した。
【0060】
又、それらの初期放電容量〔Qs(D)(mAh/g)〕、及び放電容量〔Qa(D)(mAh/g)〕を、前記タップ密度から単位容積当たりに換算し、初期放電容量〔Qs’(D)(mAh/mL)〕、及び放電容量〔Qa’(D)(mAh/mL)〕として表1に併記した。
【0061】
【表1】
【0062】
以上の比較例1と実施例1の結果から、本発明の製造方法により得られる実施例1の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体は、比較例1の層状複合酸化物に対する嵩密度の改良効果が大きく、高嵩密度を有することが明らかであり、更に、応用例の結果から、本発明の製造方法により得られる実施例1の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体を正極活物質として用いたリチウム二次電池は、比較例1の層状複合酸化物を正極活物質として用いた場合に比して、単位重量当たりで同等の電池特性を有し、圧縮剪断処理による電池特性上の劣化等を生じてはいないことが明らかであり、従って、単位容積当たりの電池特性において優れることが明らかである。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、高嵩密度を有し、リチウム二次電池の正極活物質として用いるに好適な層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体を製造する方法を提供することができる。
Claims (5)
- ニッケル原子〔Ni〕とマンガン原子〔Mn〕とのモル比〔Ni/Mn〕が0.7〜9.0の範囲にある菱面体晶の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体に、圧縮剪断応力を加える後処理を施すことを特徴とする層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法。
- 層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体が、下記一般式(I)で表される複合酸化物である請求項1に記載の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法。
[化1]
LixNiyMnzQ(1−Y−Z)O2 (I)
〔式(I)中、xは、0<x≦1.2の数であり、y及びzはそれぞれ、0.7≦y/z≦9.0、及び、0≦1−y−z≦0.5の関係を満たす数であり、Qは、Mg、Al、Ca、Fe、及びCoからなる群から選択されるいずれかの金属原子を示す。〕 - 後処理後の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体が、BET法による比表面積0.1〜10.0m2/gのものである請求項1又は2のいずれかに記載の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法。
- 後処理後の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体が、複合酸化物粉体の5gを10mLのガラス製メスシリンダーに入れ、200回タップした後の粉体充填密度であるタップ密度0.8〜3.0g/mLのものである請求項1乃至3のいずれかに記載の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法。
- 後処理後の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体が、その上記タップ密度の後処理前のタップ密度に対する比が1.10以上のものである請求項1乃至4のいずれかに記載の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法。
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