本発明は、抗CD30抗体およびその使用方法を対象とするものである。特定の態様では、抗CD30抗体は、変異体のFc領域を含む。他の実施形態では、抗体がヒト化されている。本発明はさらに、抗CD30抗体をさまざまな疾患の兆候に使用する方法も対象とするものである。
本発明をなお一層完全に理解できるようにするために、下記にいくつかの定義をしておく。このような定義には、文法的に等価な語句を包含することを意図している。
「ADCC」または「抗体依存性細胞媒介性細胞毒性」を本願明細書で使用する場合、FcγRを発現する非特異的細胞毒性細胞が標的細胞の結合抗体を認識し、次いで標的細胞の溶解を引き起こす、細胞による反応を意味する。
「ADCP」または抗体依存性細胞による貪食を本願明細書で使用する場合、FcγRを発現する非特異的細胞毒性細胞が標的細胞の結合抗体を認識し、次いで標的細胞の貪食を引き起こす、細胞による反応を意味する。
本願明細書における「アミノ酸修飾」は、ポリペプチド配列におけるアミノ酸置換、挿入および/または欠失を意味する。本願明細書において好ましいアミノ酸修飾は置換である。本願明細書における「アミノ酸置換」または「置換」は、ポリペプチドの親配列の特定の位置においてアミノ酸が他のアミノ酸と交換されることを意味する。たとえば、置換I332Eは、332位のイソロイシンがグルタミン酸と交換された、この場合はFc変異体である変異体ポリペプチドを示す。
「アミノ酸」および「アミノ酸アイデンティティ(identity)」を本願明細書で使用する場合、天然に存在する20種類のアミノ酸あるいは、特定の決まった位置に存在し得る非天然の任意の類似体のうちの1つを意味する。本願明細書における「タンパク質」は、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチドをはじめとする、少なくとも2つの共有結合的に結合されたアミノ酸を意味する。このタンパク質は、天然に存在するアミノ酸とペプチド結合とで構成されていてもよいし、特にLCペプチドを患者に投与するような場合はペプトイド(Simonら、1992、Proc Natl Acad Sci USA 89(20):9367(その全体を援用する)を参照のこと)などの合成のペプチド模倣構造すなわち「類似体」であってもよい。よって、本願明細書で使用する場合の「アミノ酸」または「ペプチド残基」は、天然に存在するアミノ酸と合成アミノ酸の両方を意味する。たとえば、ホモフェニルアラニン、シトルリンおよびノレロイシン(noreleucine)が本発明の目的で考慮されるアミノ酸である。また、「アミノ酸」には、プロリンおよびヒドロキシプロリンなどのイミノ酸残基も含む。側鎖は(R)配置であっても(S)配置であってもよい。好ましい実施形態では、アミノ酸は(S)またはL配置である。非天然型の側鎖を用いる場合、非アミノ酸置換基を利用して、たとえばin vivoでの分解を妨害または遅らせてもよい。
「エフェクター機能」を本願明細書で使用する場合、抗体Fc領域とFcレセプターまたはリガンドとの相互作用に起因する生化学的イベントを意味する。エフェクター機能には、ADCC、ADCP、CDCを含むがこれに限定されるものではない。「エフェクター細胞」を本願明細書で使用する場合、1つ以上のFcレセプターを発現し、1つ以上のエフェクター機能を媒介する免疫系の細胞を意味する。エフェクター細胞は、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、肥満細胞、血小板、B細胞、大顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、γγT細胞を含むがこれに限定されるものではなく、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、サルを含むがこれに限定されるものではない、どのような生物体由来のものであっても構わない。本願明細書における「ライブラリ」は、精製された形または未精製の形の、核酸またはアミノ酸配列の一覧、可変位置での核酸またはアミノ酸置換、ライブラリ配列をコードする核酸を含む物理的なライブラリまたはFc変異体タンパク質を含む物理的なライブラリを含むが、これに限定されるものではない、あらゆる形態のFc変異体を意味する。
「Fc」または「Fc領域」を本願明細書で使用する場合、最初の定常領域免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域を含むポリペプチドを意味する。よって、Fcは、IgA、IgDおよびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、IgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、これらのドメインに対する可撓性ヒンジのN末端を示す。IgAおよびIgMの場合、FcにはJ鎖が含まれることがある。IgGの場合、Fcは免疫グロブリンドメインCガンマ2およびCガンマ3(Cγ2およびCγ3)と、Cガンマ1(Cγ1)とCガンマ2(Cγ2)との間のヒンジを含む。Fc領域の境界は変わることがあるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、カルボキシル末端に残基C226またはP230を含むものと定義される(番号付けはKabatの分類によるEU指標に基づく)。Fcはこの領域を単独で示すこともあるし、後述するようにFcポリペプチドとの関連でこの領域を示すこともある。「Fcポリペプチド」を本願明細書で使用する場合、Fc領域全体またはその一部を含むポリペプチドを意味する。Fcポリペプチドは、抗体、Fc融合物、単離Fc、Fcフラグメントを含む。
「Fcガンマレセプター」または「FcγR」を本願明細書で使用する場合、IgG抗体のFc領域を結合し、FcγR遺伝子によって実質的にコードされるタンパク質のファミリのメンバを意味する。ヒトでは、このファミリは、アイソフォームFcγRIa、FcγRIbおよびFcγRIcをはじめとするFcγRI(CD64);アイソフォームFcγRIIa(アロタイプH131およびR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb−1およびFcγRIIb−2を含む)およびFcγRIIcをはじめとするFcγRII(CD32);アイソフォームFcγRIIIa(アロタイプV158およびF158を含む)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIIb−NA1およびFcγRIIIb−NA2を含む)をはじめとするFcγRIII(CD16)(Jefferisら、2002、Immunol Lett 82:57〜65、その全体を援用する)ならびに、未発見のあらゆるヒトFcγRまたはFcγRアイソフォームまたはアロタイプを含むがこれに限定されるものではない。FcγRは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、サルを含むがこれに限定されるものではない、どのような生物体由来のものであっても構わない。マウスFcγRは、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)およびFcγRIII−2(CD16〜2)ならびに、未発見のあらゆるマウスFcγRまたはFcγRアイソフォームまたはアロタイプを含むがこれに限定されるものではない。
「Fcリガンド」を本願明細書で使用する場合、抗体のFc領域に結合してFcリガンド錯体を形成する、任意の生物体由来の分子、好ましくはポリペプチドを意味する。Fcリガンドは、FcγR、FcγR、FcγR、FcRn、C1q、C3、マンナン結合レクチン、マンノースレセプター、ブドウ球菌タンパク質A、連鎖球菌タンパク質G、ウイルスFcγRを含むがこれに限定されるものではない。また、Fcリガンドは、FcγRと相同的であるFcレセプターのファミリであるFcレセプター相同体(FcRH)も含む(Davisら、2002、Immunological Reviews 190:123〜136)。Fcリガンドには、Fcを結合する未発見の分子も含み得る。
「IgG」を本願明細書で使用する場合、認識された免疫グロブリンガンマ遺伝子によって実質的にコードされる抗体のクラスに属するポリペプチドを意味する。ヒトでは、このクラスには、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4が含まれる。マウスでは、このクラスには、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3が含まれる。本願明細書における「免疫グロブリン(Ig)」は、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1つ以上のポリペプチドからなるタンパク質を意味する。免疫グロブリンは、抗体を含むがこれに限定されるものではない。また、免疫グロブリンは、全長抗体、抗体フラグメント、個々の免疫グロブリンドメインを含むがこれに限定されるものではない、多数の構造形態を有することがある。本願明細書における「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」は、タンパク質構造の当業者によって解明されたような独特な構造的実体として存在する免疫グロブリンの領域を意味する。Igドメインは一般に、特徴的なβサンドイッチ構造のフォールディングトポロジーを有する。抗体のIgGクラスの周知のIgドメインは、VH、Cγ1、Cγ2、Cγ3、VL、CLである。
「親ポリペプチド」または「前駆体ポリペプチド」(Fcの親または前駆体を含む)を本願明細書で使用する場合、後から修飾されて変異体を生成するポリペプチドを意味する。前記親ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドであってもよいし、天然に存在するポリペプチドの変異体または改変されたものであってもよい。親ポリペプチドは、ポリペプチド自体、親ポリペプチドを含む組成物、あるいはこれをコードするアミノ酸配列を示すこともある。したがって、「親のFcポリペプチド」を本願明細書で使用する場合、修飾されて変異体を生成するFcポリペプチドを意味し、「親抗体」を本願明細書で使用する場合、修飾されて変異体抗体を生成する抗体を意味する。
上記にて概説したように、Fc分子の特定の位置を変化させることが可能である。「位置」を本願明細書で使用する場合、タンパク質配列中の場所を意味する。位置には連番を付してもよいし、Kabatの分類によるEU指標などの確立された形式で番号を付しても構わない。たとえば、位置297はヒト抗体IgG1の一位置である。対応する位置については、一般に他の親配列と整列させることで上記にて概説したようにして判断する。
「残基」を本願明細書で使用する場合、タンパク質およびその関連するアミノ酸アイデンティティにおける位置を意味する。たとえば、アスパラギン297(Asn297とも呼ばれ、N297とも呼ばれる)はヒト抗体IgG1の残基である。
「標的抗原」を本願明細書で使用する場合、特定の抗体の可変領域に特異的に結合される分子を意味する。標的抗原は、タンパク質、炭水化物、脂質または他の化合物であってもよい。
「標的細胞」を本願明細書で使用する場合、標的抗原を発現する細胞を意味する。
「可変領域」を本願明細書で使用する場合、それぞれ、カッパ、λ、重鎖免疫グロブリン遺伝子の遺伝子座を構成するVκ、Vλおよび/またはVH遺伝子のうちのいずれかで実質的にコードされる1つ以上のIgドメインを含む免疫グロブリンの領域を意味する。
「変異体タンパク質」、「タンパク質変異体」、「変異体ポリペプチド」または「ポリペプチド変異体」を本願明細書で使用する場合、少なくとも1つのアミノ酸修飾が理由で親ポリペプチド配列のものとは異なるポリペプチド配列を意味する。変異体ポリペプチドは、ポリペプチド自体、ポリペプチドを含む組成物またはこれをコードするアミノ配列を示すこともある。好ましくは、変異体ポリペプチドは、親ポリペプチドとの比較で約1から約10のアミノ酸修飾などの少なくとも1つのアミノ酸修飾を有し、好ましくは親との比較で約1から約5つのアミノ酸修飾を有する。本願明細書の変異体ポリペプチド配列は、親ポリペプチド配列に対して好ましくは少なくとも約80%相同性であり、最も好ましくは少なくとも約90%相同性、より一層好ましくは少なくとも約95%相同性である。したがって、「変異体Fc」または「Fc変異体」を本願明細書で使用する場合、少なくとも1つのアミノ酸修飾が理由で親のFc配列のものとは異なるFc配列を意味する。Fc変異体は、Fc領域を包含するだけでもよいし、抗体との関連で、Fc融合物またはFcで実質的にコードされる他のポリペプチドが存在してもよい。Fc変異体は、Fcポリペプチド自体、Fc変異体ポリペプチドを含む組成物またはこれをコードするアミノ酸配列を示すこともある。したがって、「変異体抗CD30抗体」または「抗CD30抗体変異体」を本願明細書で使用する場合、少なくとも1つのアミノ酸修飾が理由で親の抗CD30抗体配列のものとは配列の異なる上記にて定義したような抗CD30抗体を意味する。変異体抗CD30抗体は、タンパク質自体、タンパク質を含む組成物またはこれをコードするアミノ酸配列を示すこともある。
本発明において述べるすべての免疫グロブリン重鎖定常領域位置について、番号付けはKabatの分類によるEU指標に基づくものである(Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、United States Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda)。「Kabatの分類によるEU指標」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基の番号付けを示す。
抗CD30抗体
抗CD30抗体は、CD30に結合する抗体である。抗CD30抗体は、CD30のどのようなエピトープまたは領域でも結合でき、CD30のフラグメント、スプライスフォームまたは異常(aberrent)型に対して特異的なことがある。本件特許出願は、抗CD−30抗体を対象とするものである。さまざまな抗CD30抗体が、発明の名称「Methods of Generating Variant Proteins with Increased Host String Content and Compositions Thereof」で2004年12月3日に出願された米国特許出願第11/004,590号明細書;発明の名称「Anti−CD30 Antibodies」で2005年10月6日に出願された米国仮特許出願第60/724,624号明細書;発明の名称「Anti−CD30 Antibodies」で2005年11月18日に出願された同第60/737,998号明細書;発明の名称「Anti−CD30 Antibodies」で2005年12月15日に出願された同第60/750,697号明細書;発明の名称「Anti−CD30 Antibodies」で2006年2月24日に出願された同第60/776,598号明細書(各々その内容を全体として援用する)に開示されている。抗CD30抗体は、たとえば、従来の抗体、抗体フラグメント、二重特異性抗体または他の免疫グロブリン形式または抗体融合物であればよい。抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体または完全ヒト抗体であってもよい。また、本願明細書で説明するように、抗体には標識された抗体または共有結合的に修飾された抗体も含む。
抗体
抗体とは、特定の抗原を結合する免疫タンパク質である。ヒトやマウスを含むほとんどの哺乳動物では、抗体は一対の重ポリペプチド鎖と軽ポリペプチド鎖で構成される。軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、抗体間で有意な配列多様性を示し、標的抗原の結合を担っている。各々の鎖は、個々の免疫グロブリン(Ig)ドメインで構成されるため、そのようなタンパク質に対して総称としての免疫グロブリンを用いる。
特定の実施形態では、抗体はモノクローナルであってもポリクローナルであってもよい。抗体は、アンタゴニスト抗体、アゴニスト抗体、中和抗体、抑制抗体または刺激抗体であっても構わない。
従来の抗体構造単位は一般に、四量体を含む。各四量体は一般に、同一の2対のポリペプチド鎖で構成され、各対が1つの「軽」鎖(一般に分子量約25kDa)と1つの「重」鎖(一般に分子量約50〜70kDa)とを有する。ヒトの軽鎖は、カッパおよびλ軽鎖として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファまたはエプシロンとして分類され、この抗体のアイソタイプをそれぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、IgEと規定する。IgGには、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4を含むがこれに限定されるものではない、いくつかのサブクラスがある。IgMには、IgM1およびIgM2を含むがこれに限定されるものではない、サブクラスがある。IgAには、IgA1およびIgA2を含むがこれに限定されるものではない、いくつかのサブクラスがある。よって、「アイソタイプ」を本願明細書で使用する場合、その定常領域の化学的および抗原的な特徴によって定義される免疫グロブリンの任意のサブクラスを意味する。周知のヒト免疫グロブリンアイソタイプには、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM1、IgM2、IgD、IgEがある。
軽鎖および重鎖は各々、可変領域および定常領域と呼ばれる2つの別々の領域で構成される。IgG重鎖は、それぞれ重鎖可変ドメイン、重鎖定常ドメイン1、重鎖定常ドメイン2、重鎖定常ドメイン3を示す、VH−CH1−CH2−CH3の順でN末端からC末端にリンクした4つの免疫グロブリンドメインで構成される(それぞれ、重鎖可変ドメイン、定常ガンマ1ドメイン、定常ガンマ2ドメイン、定常ガンマ3ドメインを示す、VH−Cγ1−Cγ2−Cγ3とも呼ばれる)。IgG軽鎖は、それぞれ、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを示す、VL−CLの順でN末端からC末端にリンクした2つの免疫グロブリンドメインで構成される。定常領域は、配列多様性が少なく、重要な生化学的イベントを引き出す多数の天然タンパク質の結合を担っている。これらの抗体クラス間の際だった特長は、その定常領域であるが、V領域にこれよりも微妙な差異が存在する場合もある。
抗体の可変領域は、分子の抗原結合決定基を含有するため、抗体の標的抗原に対する特異性を左右する。可変領域は、同じクラス内で他の抗体とは配列が最も異なるため、このように呼ばれる。各鎖のアミノ末端部分には、主に抗原認識を担う約100から110個またはこれより多いアミノ酸からなる可変領域が含まれる。可変領域では、重鎖および軽鎖のVドメイン各々に3つのループが集まって抗原結合部位を形成している。このループは各々、相補性決定領域と呼ばれ(本願明細書では、以下「CDR」と呼ぶ)、そこではアミノ酸配列のばらつきが最も顕著である。重鎖と軽鎖それぞれに3つずつ、合計で6つのCDRがあるが、これをVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3とする。CDRの外の可変領域をフレームワーク(FR)領域と呼ぶ。CDRほどの多様性はないが、FR領域でも異なる抗体間で配列の違いが生じる。全体で、この抗体の特徴的なアーキテクチャがゆえに、免疫系によってかなりの抗原結合多様性(CDR)を探索し、多岐にわたる抗原に対する特異性を得ることが可能な安定した足場(FR領域)を得られる。異なる生物体由来のさまざまな可変領域フラグメントについて多数の高分解能構造を利用でき、未結合のものもあれば抗原との複合体を形成しているものもある。抗体可変領域の配列および構造的な特長については、たとえば、Moreaら、1997、Biophys Chem 68:9〜16;Moreaら、2000、Methods 20:267〜279、(ここにその全体を援用する)に開示されており、また、抗体の保存された特長については、たとえば、Maynardら、2000、Annu Rev Biomed Eng 2:339〜376(ここにその全体を援用する)に開示されている。
各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域を定義する。Kabatらは、重鎖および軽鎖の可変領域の多数の一次配列を収集した。配列の保存度合いに応じて、彼らは個々の一次配列をCDRとフレームワークとに分類し、その一覧を作成した(SEQUENCES OF IMMUNOLOGICAL INTEREST、第5版、NIH publication、No.91−3242、E.A.Kabatらを参照のこと)。
免疫グロブリンのIgGサブクラスでは、重鎖にいくつかの免疫グロブリンドメインがある。本願明細書における「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」は、別々の三次構造を有する免疫グロブリンの領域を意味する。本発明において興味深いのは、定常重(CH)ドメインおよびヒンジドメインをはじめとする重鎖ドメインである。IgG抗体との関連で、IgGアイソタイプは各々3つのCH領域を有する。したがって、IgGとの関連で、「CH」ドメインは以下のとおりである。「CH1」はKabatの分類によるEU指標に基づく位置118〜220を示し、「CH2」はKabatの分類によるEU指標に基づく位置237〜340を示し、「CH3」はKabatの分類によるEU指標に基づく位置341〜447を示す。
重鎖の他のタイプのIgドメインのひとつがヒンジ領域である。本願明細書における「ヒンジ」または「ヒンジ領域」または「抗体ヒンジ領域」または「免疫グロブリンヒンジ領域」は、抗体の第1の定常ドメインと第2の定常ドメインとの間にアミノ酸を含む可撓性ポリペプチドを意味する。構造的には、IgGのCH1ドメインはEU位置220で終端し、IgGのCH2ドメインが残基EU位置237で開始される。よって、IgGの場合、本願明細書では抗体ヒンジを位置221(IgG1のD221)から236(IgG1のG236)を含むものと定義し、この場合の番号付けはKabatの分類によるEU指標に基づくものである。いくつかの実施形態では、たとえば、Fc領域との関連で、下側の(lower)ヒンジが含まれるが、この「下側のヒンジ」とは一般に、位置226または230を示す。「抗体」の定義に具体的に含まれるのは、Fc変異体部分を含有する全長抗体である。本願明細書における「全長抗体」は、可変領域および定常領域を含む、抗体の天然の生物学的形状をなす構造を意味する。たとえば、ヒトやマウスをはじめとするほとんどの哺乳動物では、IgGクラスの全長抗体は四量体であり、2つの免疫グロブリン鎖の同一の2対からなり、各対が1つの軽鎖と1つの重鎖とを有し、各軽鎖が免疫グロブリンドメインVLおよびCLを含み、各重鎖が免疫グロブリンドメインVH、Cγ1、Cγ2,およびCγ3を含む。たとえばラクダやラマなどの何種類かの哺乳動物では、IgG抗体が2つの重鎖のみからなり、各重鎖がFc領域に結合した可変ドメインを含む場合もある。「IgG」を本願明細書で使用する場合、認識された免疫グロブリンガンマ遺伝子で実質的にコードされる抗体のクラスに属するポリペプチドを意味する。ヒトでは、このクラスは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4を含む。マウスでは、このクラスは、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3を含む。
従来技術において周知のように、ヒトの個体群には免疫グロブリン多型が存在する。Gm型の多型は、ヒトのマーカーであるIgG1分子、IgG2分子、IgG3分子に対してG1m、G2m、G3mアロタイプと呼ばれるアロタイプ抗原決定基をコードするアレルを有するIGHG1遺伝子、IGHG2遺伝子、IGHG3遺伝子によって判断される(ガンマ4鎖にはGmアロタイプが見つかっていない)。マーカーについては、「アロタイプ」と「イソアロタイプ」とに分類してもよい。これらは、アイソタイプ間の強い配列相同性に応じた異なる血清学的根拠に基づいて区別される。アロタイプとは、Ig遺伝子のアレル型によって特定される抗原決定基である。アロタイプでは、異なる個体の重鎖または軽鎖のアミノ酸配列にわずかな差異が認められる。1つのアミノ酸の違いだけでもアロタイプ決定基が生じる可能性があるが、多くの場合はいくつかのアミノ酸置換が発生している。アロタイプは、サブクラスのアレル間の配列の差であり、これによって抗血清はアレルの違いだけを認識する。イソアロタイプは、1つ以上の他のアイソタイプの非多型相同領域と共通のエピトープを産生するひとつのアイソタイプにおけるアレルであり、これがゆえに、抗血清が関連のアロタイプと関連の相同的アイソタイプの両方と反応する(Clark、1997、IgG effector mechanisms、Chem Immunol. 65:88〜110;Gorman & Clark、1990、Semin Immunol 2(6):457〜66(両方ともその内容を全体としてここに援用する))。
ヒト免疫グロブリンのアレル型は十分にキャラクタライズされている(WHO Review of the notation for the allotypic and related markers of human immunoglobulins.J Immunogen 1976、3:357〜362;WHO Review of the notation for the allotypic and related markers of human immunoglobulins.1976、Eur.J.Immunol.6、599〜601;Loghem E van、1986、Allotypic markers、Monogr Allergy 19:40〜51、いずれもその全体を援用する)。加えて、他の多型もキャラクタライズされている(Kimら、2001、J.Mol.Evol.54:1〜9、その内容を全体としてここに援用する)。現時点では、G1m(1、2、3、17)またはG1m(a、x、f、z)、G2m(23)またはG2m(n)、G3m(5、6、10、11、13、14、15、16、21、24、26、27、28)またはG3m(b1、c3、b5、b0、b3、b4、s、t、g1、c5、u、v、g5)という18種類のGmアロタイプが知られている(Lefrancら、The human IgG subclasses:molecular analysis of structure,function and regulation.Pergamon、Oxford、第43〜78ページ(1990);Lefranc、G.ら、1979、Hum.Genet.:50、199〜211、両方ともその全体をここに援用する)。決まった組み合わせで受け継がれるアロタイプがGmハプロタイプと呼ばれる。位置と関連のアミノ酸置換を示す図3に、ヒトIgG1(図3a)およびIgG2(図3b)のガンマ鎖の一般的なハプロタイプを示す。本発明のFc変異体は、どのような免疫グロブリン遺伝子のどのようなアロタイプ、イソアロタイプまたはハプロタイプで実質的にコードされてもよい。
あるいは、この抗体には、抗体フラグメント、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ミニボディ(minibody)、ドメイン抗体、合成抗体(本願明細書では「抗体模倣物」と呼ぶ場合もある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合物(「抗体コンジュゲート」)、それぞれのフラグメントを含むがこれに限定されるものではない、さまざまな構造のものが可能である。
抗体フラグメント、二重特異性抗体および他の免疫グロブリン形式
一実施形態では、抗体は抗体フラグメントである。特に興味深いのは、Fc領域、Fc融合物および重鎖の定常領域(CH1−ヒンジ−CH2−CH3)を含む抗体であり、ここでも定常重領域融合物が含まれる。
具体的な抗体フラグメントとしては、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFabフラグメント、(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(iv)単一の可変からなるdAbフラグメント(Wardら、1989、Nature 341:544〜546)、(v)単離CDR領域、(vi)F(ab’)2フラグメントすなわち、リンクしたFabフラグメント2つを含む二価のフラグメント、(vii)単鎖Fv分子(scFv)、この場合、2つのドメインを関連させて抗原結合部位の形成を可能にするペプチドリンカーによってVHドメインとVLドメインとがリンクしている(Birdら、1988、Science 242:423〜426、Hustonら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:5879〜5883)、(viii)二重特異性単鎖Fv二量体(PCT/US92/09965)、(ix)遺伝子融合物で構成される「ダイアボディ」または「トライアボディ」、多価または多選択性フラグメント(Tomlinsonら、2000、Methods Enzymol.326:461〜479;国際公開第94/13804号パンフレット;Holligerら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6444〜6448)を含むがこれに限定されるものではない。また、抗体フラグメントを修飾してもよい。たとえば、VHドメインとVLドメインとをリンクしているジスルフィドブリッジを取り入れることで、分子を安定化させることができる(Reiterら、1996、Nature Biotech.14:1239〜1245)。
一実施形態では、本発明の抗体は多選択性抗体、とりわけ二重特異性抗体、「ダイアボディ」と呼ばれることもある。これらは、2つ(またはそれよりも多く)の異なる抗原と結合する抗体である。ダイアボディは、化学的に調製またはハイブリッドハイブリドーマから調製するなど、従来技術において周知のさまざまな方法で製造可能なものである(HolligerおよびWinter、1993、Current Opinion Biotechnol.4:446〜449)。一実施形態では、抗体はミニボディである。ミニボディは、CH3ドメインに連結されたscFvを含む最小化抗体様タンパク質である。Huら、1996、Cancer Res.56:3055〜3061。場合によっては、scFvはFc領域に連結可能であり、ヒンジ領域の一部または全部がこれに含まれることもある。
キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体
いくつかの実施形態では、異なる種からの混合物を足場成分とすることが可能である。それ自体では、抗体が抗体である場合、このような抗体はキメラ抗体および/またはヒト化抗体であってもよい。一般に、「キメラ抗体」および「ヒト化抗体」はいずれも、2つ以上の種からの領域を組み合わせた抗体を示す。たとえば、「キメラ抗体」は従来、マウス(または場合によってはラット)由来の可変領域とヒト由来の定常領域とを含む。「ヒト化抗体」は一般に、可変ドメインフレームワーク領域をヒト抗体にみられる配列と入れ換えた非ヒト抗体を示す。通常、ヒト化抗体では、CDRを除く抗体全体がヒト由来のポリヌクレオチドでコードされるか、CDR内以外はそのような抗体と同一である。非ヒト生物体に由来する核酸で一部または全部がコードされるCDRを、ヒト抗体の可変領域のベータシートフレームワークに移植して抗体を作製するが、その特異性に関しては移植されたCDRによって判断する。このような抗体の作製については、たとえば、国際公開第92/11018号パンフレット、Jones、1986、Nature 321:522〜525、Verhoeyenら、1988、Science 239:1534〜1536に記載されている。最初の移植コンストラクトで失われた親和性を回復するには選択されたアクセプターフレームワーク残基の対応するドナー残基への「逆変異」が必要になることが多い(米国特許第5530101号明細書;米国特許第5585089号明細書;米国特許第5693761号明細書;米国特許第5693762号明細書;米国特許第6180370号明細書;米国特許第5859205号明細書;米国特許第5821337号明細書;米国特許第6054297号明細書;米国特許第6407213号明細書)。ヒト化抗体は、一般にヒト免疫グロブリンの定常領域である免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含むものであると最適であり、よって、一般にヒトFc領域を含む。また、遺伝子改変した免疫系を持つマウスを用いてヒト化抗体を生成することも可能である。Roqueら、2004、Biotechnol.Prog.20:639〜654。非ヒト抗体をヒト化して再形成するためのさまざまな手法および方法が従来技術において周知である(Tsurushita&Vasquez、2004、Humanization of Monoclonal Antibodies、Molecular Biology of B Cells、533〜545、Elsevier Science(USA)ならびにそこに引用されている参考文献を参照のこと)。ヒト化方法には、Jonesら、1986、Nature 321:522〜525;Riechmannら、1988;Nature 332:323〜329;Verhoeyenら、1988、Science、239:1534〜1536;Queenら、1989、Proc Natl Acad Sci、USA 86:10029〜33;Heら、1998、J.Immunol.160:1029〜1035;Carterら、1992、Proc Natl Acad Sci USA 89:4285〜9、Prestaら、1997、Cancer Res.57(20):4593〜9;Gormanら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 88:4181〜4185;O’Connorら、1998、Protein Eng 11:321〜8に記載されている方法を含むがこれに限定されるものではない。ヒト化または非ヒト抗体の可変領域の免疫原性を減らすための他の方法には、たとえばRoguskaら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:969〜973に記載されているような表面再処理方法を含んでもよい。一実施形態では、親抗体は、従来技術において周知のように親和性成熟されている。ヒト化および親和性成熟には、たとえば米国特許出願第11/004,590号明細書に記載されているような構造ベースの方法を利用してもよい。Wuら、1999、J.Mol.Biol.294:151〜162;Bacaら、1997、J.Biol.Chem.272(16):10678〜10684;Rosokら、1996、J.Biol.Chem.271(37):22611〜22618;Raderら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:8910〜8915;Kraussら、2003、Protein Engineering 16(10):753〜759に記載されている方法を含むがこれに限定されるものではない選択ベースの方法を利用して、抗体の可変領域をヒト化および/または親和性成熟させてもよい。また、米国特許出願第09/810,502号明細書;Tanら、2002、J.Immunol.169:1119〜1125;De Pascalisら、2002、J.Immunol.169:3076〜3084に記載されている方法を含むがこれに限定されるものではない他のヒト化方法では、CDRの一部のみを移植する必要がある。
一実施形態では、抗体が、本願明細書にて概説するような少なくとも1つの修飾を有する完全ヒト抗体である。「完全ヒト抗体」または「完全なヒト抗体」は、本願明細書にて概説する修飾がなされたヒト染色体由来の抗体の遺伝子配列を有するヒト抗体である。完全ヒト抗体を得るには、たとえば、トランスジェニックマウス(Bruggemannら、1997、Curr Opin Biotechnol 8:455〜458)または選択方法との組み合わせでのヒト抗体ライブラリ(Griffithsら、1998、Curr Opin Biotechnol 9:102〜108)を利用すればよい。
抗体融合物
一実施形態では、本発明の抗体が抗体融合タンパク質(本願明細書では「抗体コンジュゲート」と呼ぶこともある)である。抗体融合物のひとつのタイプがFc融合物であり、これはFc領域をコンジュゲートパートナーと連結する。「Fc融合物」を本願明細書で使用する場合、1つ以上のポリペプチドがFc領域に作動的に結合されたタンパク質を意味する。Fc融合物は、本願明細書では、従来技術において用いられているように、用語「イムノアドヘシン」、「Ig融合物」、「Igキメラ」および「レセプターグロブリン」(ダッシュがある場合もある)の同義語を意味する(Chamowら、1996、Trends Biotechnol 14:52〜60;Ashkenaziら、1997、Curr Opin Immunol 9:195〜200)。Fc融合物は、免疫グロブリンのFc領域と融合パートナーとの組み合わせであり、一般にどのようなタンパク質または小分子でも可能である。事実上どのようなタンパク質または小分子でもFcにリンクさせてFc融合物を生成することができる。タンパク質融合パートナーには、あらゆる抗体の可変領域、レセプターの標的結合領域、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、炎症性細胞遊走因子または他のいくつかのタンパク質またはタンパク質ドメインを含み得るが、これに限定されるものではない。小分子融合パートナーには、Fc融合物を治療標的とするあらゆる治療薬を含み得る。このような標的は、疾患に関与するどのような分子であってもよく、好ましくは細胞外レセプターであればよい。
抗体に加えて、研究および治療において拡大しつつある役割を担う抗体様タンパク質に、Fc融合物がある(Chamowら、1996、Trends Biotechnol 14:52〜60;Ashkenaziら、1997、Curr Opin Immunol 9:195〜200、両方ともここにその全体を援用する)。Fc融合物は、1つ以上のポリペプチドがFcに作動的に結合されたタンパク質である。Fc融合物は、抗体のFc領域、よって、その有益なエフェクター機能および薬物動態と、レセプター、リガンドまたは他のいくつかのタンパク質またはタンパク質ドメインの標的結合領域とを組み合わせたものである。後者の役割は、標的認識を媒介することであり、よって、これは機能的には抗体可変領域と類似である。Fc融合物は抗体と構造的および機能的にオーバーラップするため、本発明での抗体に関する説明はFc融合物にも適用される。
Fc融合物に加え、抗体融合物は、重鎖の定常領域と1つ以上の融合パートナー(ここでもあらゆる抗体の可変領域を含む)との融合物を含むのに対し、他の抗体融合物は融合パートナーとの実質的または完全な全長抗体である。一実施形態では、融合パートナーの役割のひとつに標的結合の媒介があり、よって、これは機能的には抗体の可変領域と類似である(事実、あり得る)。実質的にどのようなタンパク質または小分子でもFcにリンクしてFc融合物(または抗体融合物)を生成できる。タンパク質融合パートナーには、レセプターの標的結合領域、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、炎症性細胞遊走因子または他のいくつかのタンパク質またはタンパク質ドメインを含み得るが、これに限定されるものではない。小分子融合パートナーには、Fc融合物を治療標的とするあらゆる治療薬を含み得る。このような標的は、疾患に関与するどのような分子であってもよく、好ましくは細胞外レセプターであればよい。
コンジュゲートパートナーは、タンパク質性であっても非タンパク質性であっても構わない。後者の場合は一般に、抗体およびコンジュゲートパートナーの官能基を用いて生成される。たとえば、リンカーが従来技術において周知であり、たとえば、ホモ−またはヘテロ−二官能性リンカーは周知である(1994 Pierce Chemical Company catalog、架橋剤に関する技術セクション、第155〜200ページ(本願明細書に援用する)を参照のこと)。
好適なコンジュゲートとしては、後述するような標識、薬剤ならびに、細胞毒性薬剤(化学療法薬など)または毒素またはこのような毒素の活性フラグメントを含むがこれに限定されるものではない細胞毒剤があげられるが、これに限定されるものではない。好適な毒素ならびにその対応するフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、クルシン、クロタン、フェノマイシン、エノマイシンなどがあげられる。また、細胞毒剤には、抗体にラジオアイソトープをコンジュゲートするか、あるいは共有結合的に抗体と結合したキレート剤に放射性核種を結合させて生成される放射化学物質も含まれる。別の実施形態では、カリケアマイシン、アウリスタチン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、デュオカルマイシンおよび類似体を利用している;後者の場合、米国特許出願公開第2003/0050331号明細書(その内容を全体としてここに援用する)を参照のこと。
抗体の共有結合修飾
抗体の共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれるものであり、翻訳後に行われるのが一般的であるが常にそうだというわけではない。たとえば、抗体の特定のアミノ酸残基と、選択された側鎖またはNまたはC末端残基と反応できる有機誘導体化剤とを反応させることで、抗体のいくつかのタイプの共有結合修飾を分子に導入する。
システイニル残基は、最も一般的にはクロロ酢酸またはクロロアセトアミドなどのα−ハロアセテート(ならびに対応するアミン)と反応し、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を生成する。また、システイニル残基は、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロマーキュリーベンゾエート、2−クロロマーキュリー−4−ニトロフェノールまたはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって誘導体化される。
ヒスチジル残基は、pH5.5〜7.0でのジエチルピロカルボネートとの反応によって誘導体化される。これは、この薬剤が比較的ヒスチジル側鎖に特異的であるためである。パラ−ブロモフェナシルブロミドも有用である。この反応は、好ましくはpH6.0の0.1Mカコジル酸ナトリウム中にて行われる。
リシニルおよびアミノ末端残基を無水コハク酸または他のカルボン酸無水物と反応させる。これらの薬剤での誘導体化には、リシニル残基の電荷を逆にする作用がある。アルファ−アミノ含有残基の誘導体化のための他の好適な試薬としては、メチルピコリンイミデートなどのイミドエステル;リン酸ピリドキサール;ピリドキサール;クロロボロハイドライド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイソ尿素;2,4−ペンタンジオン;グリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応物があげられる。
アルギニル残基は1または数種類の従来の試薬、なかでもフェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、ニンヒドリンとの反応により修飾される。グアニジン官能基のpKaが高いがゆえに、アルギニン残基の誘導体化にはアルカリ条件下で反応を行う必要がある。さらに、これらの試薬をリシンの基ならびにアルギニンイプシロン−アミノ基と反応させることもできる。
チロシル残基の特異的修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によりスペクトル標識をチロシル残基に導入することに特に関心を払って行うことのできるものである。最も一般的には、N−アセチルイミジゾール(N−acetylimidizole)およびテトラニトロメタンを用いて、それぞれO−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体を生成する。125Iまたは131Iを用いてチロシル残基をヨウ素化し、ラジオイムノアッセイに用いる標識タンパク質を調製するが、上述したクロラミンT法が適している。
カルボキシル側基(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R’−N=C=N−R’)との反応によって選択的に修飾される(式中、RおよびR’は任意に異なるアルキル基(1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドなど)である)。さらに、アスパルチル残基およびグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によりアスパラギニル残基およびグルタミニル残基に変換される。
後述する方法以外にもさまざまな方法で用いられる水不溶性支持体マトリクスまたは表面に抗体を架橋させるには、二官能性薬剤での誘導体化が有用である。一般に用いられる架橋剤としては、たとえば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、たとえば、4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)などのジスクシンイミジルエステルをはじめとするホモ二官能性イミドエステル、さらには、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなどの二官能性マレイミドがあげられる。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートなどの誘導体化剤を用いると、光の存在下で架橋を形成できる光で活性化可能な中間体が得られる。あるいは、米国特許第3,969,287号明細書;同第3,691,016号明細書;同第4,195,128号明細書;同第4,247,642号明細書;同第4,229,537号明細書;同第4,330,440号明細書に記載されている臭化シアン活性化炭水化物などの反応性水不溶性マトリクスおよび反応性基質をタンパク質の固定化に利用する。
グルタミニル残基およびアスパラギニル残基は、脱アミノ化してそれぞれ対応するグルタミル残基およびアスパルチル残基になることが多い。あるいは、穏やかな酸性条件下でこれらの残基を脱アミノ化する。どちらの形態の残基も本発明の範囲に包含される。
他の修飾としては、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、ヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton、Proteins:Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman&Co.、San Francisco、第79〜86ページ(1983))、N末端アミンのアセチル化、C末端カルボキシル基のアミド化があげられる。
抗体に対する他のタイプの共有結合修飾として、米国特許第4,640,835号明細書;同第4,496,689号明細書;同第4,301,144号明細書;同第4,670,417号明細書;同第4,791,192号明細書または同第4,179,337号明細書に記載されているような方法で、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンなどのさまざまなポリオールを含むがこれに限定されるものではないさまざまな非タンパク質性ポリマーに、抗体をリンクさせることがある。また、従来技術において周知のように、抗体内のさまざまな位置でアミノ酸置換を生成して、PEGなどのポリマーの添加を容易にすることができる。たとえば、米国特許出願公開第2005/0114037号明細書(全体として本願明細書に援用する)を参照のこと。
標識抗体
いくつかの実施形態では、本発明の抗体の共有結合修飾には1つ以上の標識を付加することが含まれる。場合によっては、これらも抗体融合物とみなされる。
「標識基」という用語は、検出可能なあらゆる標識を意味する。いくつかの実施形態では、さまざまな長さのスペーサーアームを介して標識基を抗体に連結させ、潜在的な立体障害を低減する。さまざまなタンパク質標識方法が従来技術において周知であり、本発明を実施するにあたって利用できる。
一般に標識には、a)放射活性または重アイソトープであってもよいアイソトープ標識;b)磁気標識(磁性粒子など);c)酸化還元活性種;d)光学色素;酵素基(enzymatic group)(ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼなど);e)ビオチニル化基;f)二次レポーター(ロイシンジッパーペア配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグなど)によって認識されるあらかじめ定められたポリペプチドエピトープなど、これらの標識が検出されるアッセイに応じてさまざまなクラスがある。いくつかの実施形態では、さまざまな長さのスペーサーアームを介して標識基を抗体に連結させ、潜在的な立体障害を低減する。さまざまなタンパク質標識方法が従来技術において周知であり、本発明を実施するにあたって利用できる。
具体的な標識としては、発色団、蛍光体およびフルオロフォアを含むがこれに限定されるものではない光学色素があげられ、後者が多くの場合の具体例である。フルオロフォアは「小分子」フルオレ(fluore)であってもよいし、タンパク質性フルオレであっても構わない。
「蛍光標識」とは、固有の蛍光特性によって検出可能なあらゆる分子を意味する。好適な蛍光標識としては、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル−クマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルーJ、テキサスレッド、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、LC Red 640、Cy5、Cy5.5、LC Red 705、オレゴングリーン、Alexa−Fluor染料(Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680)、カスケードブルー、カスケードイエロー、R−フィコエリスリン(PE)(Molecular Probes、Eugene、OR)、FITC、Rhodamine、Texas Red(Pierce、Rockford、IL)、Cy5、Cy5.5、Cy7(Amersham Life Science、Pittsburgh、PA))があげられるが、これに限定されるものではない。フルオロフォアをはじめとする好適な光学色素が、Molecular Probes Handbook by Richard P.Haugland(ここに明示的に援用する)に記載されている。
好適なタンパク質性蛍光標識には、GFPのRenilla、PtilosarcusまたはAequorea種を含む緑色蛍光タンパク質(Chalfieら、1994、Science 263:802〜805)、EGFP(Clontech Laboratories,Inc.、Genbank Accession Number U55762)、青色蛍光タンパク質(BFP、Quantum Biotechnologies,Inc.1801 de Maisonneuve Blvd.West,8th Floor,Montreal,Quebec,Canada H3H 1J9;Stauber,1998,Biotechniques 24:462〜471;Heimら、1996、Curr.Biol.6:178〜182)、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP、Clontech Laboratories,Inc.)、ルシフェラーゼ(Ichikiら、1993、J.Immunol.150:5408〜5417)、βガラクトシダーゼ(Nolanら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2603〜2607)およびRenilla(国際公開第92/15673号パンフレット、国際公開第95/07463号パンフレット、国際公開第98/14605号パンフレット、国際公開第98/26277号パンフレット、国際公開第99/49019号パンフレット、米国特許第5292658号明細書、同第5418155号明細書、同第5683888号明細書、同第5741668号明細書、同第5777079号明細書、同第5804387号明細書、同第5874304号明細書、同第5876995号明細書、同第5925558号明細書)も含まれるが、これに限定されるものではない。上記にて引用した参考文献をすべて明示的に本願明細書に援用する。
周知または未発見のあらゆる抗CD30抗体の可変領域を本発明において利用できる。CD30を標的する多数の有用な抗体が発見されている。
本発明の抗CD30抗体にはFcフラグメントを含むことができる。本発明のFcフラグメントには、1〜90%のFc領域を含むことができ、10〜90%が好ましく、30〜90%が最も好ましい。よって、たとえば、本発明のFcフラグメントには、IgG1のCγ2ドメイン、IgG1のCγ2ドメインおよびヒンジ領域、IgG1のCγ3ドメイン等を含むことができる。一実施形態では、本発明のFcフラグメントにはさらに、融合パートナーを含むようにして、これを効果的にFcフラグメント融合物にすることができる。Fcフラグメントは、他にもポリペプチド配列を含有するものであっても含有しなくても構わない。
本発明の抗CD30抗体は、ヒト、マウスおよびラットを含むがこれに限定されるものではない齧歯類、ウサギおよびノウサギを含むがこれに限定されるものではないウサギ目、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダを含むがこれに限定されるものではないラクダ科、原猿亜目(Prosimians)、広鼻下目(Platyrrhini)(新世界ザル)、オナガザル類(Cercopithecoidea)(旧世界ザル)を含むがこれに限定されるものではない非ヒト霊長類、テナガザル科(Gibbons)、小型類人猿(Lesser Apes)および大型類人猿(Great Apes)をはじめとするヒト上科(Hominoidea)を含むがこれに限定されるものではない、好ましくは哺乳動物である、どのような生物体由来の遺伝子でも実質的にコードできるものである。最も好ましい実施形態では、本発明の抗CD30抗体は実質的にヒトである。本発明の抗CD30抗体は、抗体クラスのうちのどこに属する免疫グロブリン遺伝子でも実質的にコードできるものである。最も好ましい実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、ヒトサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、IgG4をはじめとする抗体のIgGクラスに属する配列を含む。別の実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、抗体のIgA(ヒトサブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgGまたはIgMクラスに属する配列を含む。本発明の抗CD30抗体は、2以上のタンパク質鎖を含むものであってもよい。すなわち、本発明は、ホモ−またはヘテロ−オリゴマーを含むモノマーまたはオリゴマーである抗CD30抗体において利用できるものである。
2006年10月3日に出願され、全体として本願明細書に援用する米国特許出願第_号明細書に参照されるように、位置235、236、237、238、239、265、266、267、268、269、270、295、296、298、299、325、326、327、328、329、330および332での特定の組み合わせのアミノ酸修飾によって、FcγR結合特性、エフェクター機能、さらには潜在的に抗体およびFc融合物を含むFcポリペプチドの臨床特性を修飾することができる。特に、FcγRIIbと比して1つ以上のヒト活性化レセプターに対する結合を選択的に改善する、あるいは、1つ以上の活性化レセプターに比してFcγRIIbに対する結合を選択的に改善するFc変異体には、本願明細書にて説明するように、234G、234I、235D、235E、235I、235Y、236A、236S、239D、267D、267E、267Q、268D、268E、293R、295E、324G、324I、327H、328A、328F、328I、330I、330L、330Y、332D、332Eからなる群から選択される置換を含み得る。
組み合わせることのできる別の置換例として、298A、298T、326A、326D、326E、326W、326Y、333A、333S、334L、334Aを含むがこれに限定されるものではない、FcγRの親和性と補体価とを調節する他の置換があげられる(米国特許第6,737,056号明細書;Shieldsら、Journal of Biological Chemistry、2001、276(9):6591〜6604;米国特許第6,528,624号明細書;Idusogieら、2001、J.Immunology 166:2571〜2572)。本発明の変異体と組み合わせるのに特に有用となり得る好ましい変異体としては、置換298A、326A、333A、334Aを含む変異体があげられる。これらの置換を含むFc変異体の、ヒト活性化レセプターV158およびF158 FcγRIIIaおよび抑制レセプターFcγRIIbに対する結合を測定するAlphaScreenデータ。本発明のFcγR選択的変異体と組み合わせてもよい別の置換としては247L、255L、270E、392T、396Lおよび421K(米国特許出願第10/754,922号明細書;米国特許出願第10/902,588号明細書)および280H、280Qおよび280Y(米国特許出願第10/370,749号明細書)が挙げられ、いずれも本願明細書に明示的に援用する。
他の実施形態では、本発明のFc変異体をFcRn結合を変化させるFc変異体と組み合わせてもよい。特に、FcRnへのFc結合を高める変異体として、250E、250Q、428L、428F、250Q/428L(Hintonら、2004、J.Biol.Chem.279(8):6213〜6216、Hintonら、2006 Journal of Immunology 176:346〜356、米国特許出願第11/102621号明細書、PCT/US2003/033037、PCT/US2004/011213、米国特許出願第10/822300号明細書、米国特許出願第10/687118号明細書、PCT/US2004/034440、米国特許出願第10/966673号明細書(各々その内容を全体として援用する)、256A、272A、286A、305A、307A、311A、312A、376A、378Q、380A、382A、434A(Shieldsら、Journal of Biological Chemistry、2001、276(9):6591〜6604、米国特許出願第10/982470号明細書、米国特許第6737056号明細書、米国特許出願第11/429793号明細書、米国特許出願第11/429786号明細書、PCT/US2005/029511、米国特許出願第11/208422号明細書、各々その内容を全体として援用する)、252F、252T、252Y、252W、254T、256S、256R、256Q、256E、256D、256T、309P、311S、433R、433S、433I、433P、433Q、434H、434F、434Y、252Y/254T/256E、433K/434F/436H、308T/309P/311S(Dall Acquaら、Journal of Immunology、2002、169:5171〜5180、米国特許第7083784号明細書、PCT/US97/03321、米国特許第6821505号明細書、PCT/US01/48432、米国特許出願第11/397328号明細書、各々その内容を全体として援用する)、257C、257M、257L、257N、257Y、279E、279Q、279Y、281の後のSerの挿入、283F、284E、306Y、307V、308F、308Y 311V、385H、385N、(PCT/US2005/041220、米国特許出願第11/274065号明細書、米国特許出願第11/436,266号明細書、各々その内容を全体として援用する)204D、284E、285E、286Dおよび290E(PCT/US2004/037929、これを全体として援用する)を含むがこれに限定されるものではない。
Fc領域の鍵となる特長のひとつに、N297で発生する保存N−連結グリコシル化がある。ときにはオリゴ糖とも呼ばれるこの炭水化物が、抗体の構造および機能の点で重要な役割を果たし、哺乳動物の発現系を使って抗体を産生しなければならない主な理由のひとつとなっている。FcγRおよびC1qへの効率的なFc結合には、この修飾が必要であり、N297炭水化物の組成の違いやその除去が、これらのタンパク質に対する結合に影響する(Umanaら、1999、Nat Biotechnol 17:176〜180;Daviesら、2001、Biotechnol Bioeng 74:288〜294;Mimuraら、2001、J Biol Chem 276:45539〜45547.;Radaevら、2001、J Biol Chem 276:16478〜16483;Shieldsら、2001、J Biol Chem 276:6591〜6604;Shieldsら、2002、J Biol Chem 277:26733〜26740;Simmonsら、2002、J Immunol Methods 263:133〜147、各々その内容を全体として援用する)。
本発明のFc変異体は、ヒト、マウスおよびラットを含むがこれに限定されるものではない齧歯類、ウサギおよびノウサギを含むがこれに限定されるものではないウサギ目、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダを含むがこれに限定されるものではないラクダ科、原猿亜目(Prosimians)、広鼻下目(Platyrrhini)(新世界ザル)、オナガザル類(Cercopithecoidea)(旧世界ザル)を含むがこれに限定されるものではない非ヒト霊長類、テナガザル科(Gibbons)、小型類人猿(Lesser Apes)および大型類人猿(Great Apes)をはじめとするヒト上科(Hominoidea)を含むがこれに限定されるものではない、好ましくは哺乳動物である、どのような生物体由来の遺伝子でも実質的にコードできるものである。特定の実施形態では、本発明のFc変異体は実質的にヒトである。
最も好ましい実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、ヒトIgG配列をベースにしているため、ヒトIgG配列を「基本」配列として利用し、これを基準にして、たとえば齧歯類や霊長類の配列などの他の生物体由来の配列ならびに、IgA、IgE、IgGD、IgGMなどの他の免疫グロブリンクラスの配列を含むがこれに限定されるものではない他の配列を比較する。本発明の抗CD30抗体は1つの親の抗CD30抗体との関連で改変されるが、他の第2の親の抗CD30抗体の背景状況(context)に変異体を改変または「導入」してもよいことを企図している。これは、一般に2つの抗CD30抗体配列間での配列または構造上の相同性に基づいて、第1および第2の抗CD30抗体間の「等価な」または「対応する」残基と置換を判断することによってなされる。相同性を確認するために、本願明細書にて概説する第1の抗CD30抗体のアミノ酸配列を第2の抗CD30抗体の配列と直接比較する。配列を整列した後、従来技術において周知の1つ以上の相同性アライメントプログラムを用いて(たとえば種のうちどれを取るかと言われれば保存残基を用いる)、アライメントを維持するために必要な挿入および欠失を考慮して(すなわち、任意の欠失および挿入による保存残基の除去を回避して)、第1の抗CD30抗体の一次配列の特定のアミノ酸と等価な残基を定義する。保存残基のアライメントは、好ましくは、そのような残基を100%保存するものとすべきである。しかしながら、保存残基の75%を超えるアライメントまたは50%と少ないアライメントも等価な残基を定義するのには適している。また、構造がすでに分かっている抗CD30抗体に対する三次構造のレベルである第1の抗CD30抗体と第2の抗CD30抗体との間の構造的な相同性を判断して等価な残基を定義してもよい。この場合、等価な残基は、親または前駆体の特定のアミノ酸残基の2以上の主鎖原子の原子座標(N on N、CA on CA、C on CおよびO on O)がアライメント後に0.13nm以内、好ましくは0.1nm以内になるものとしてとして定義される。アライメントは、最良のモデルが正しい向きで位置決めされ、タンパク質の非水素タンパク質原子の原子座標のオーバーラップが最大になった後に達成される。等価な残基または対応する残基をどのように判断するかとは関係なく、かつ、抗CD30抗体が作られる親の抗CD30抗体のアイデンティティとも関係なく、伝達対象となることを意味しているのは、本発明で発見された抗CD30抗体を改変して、有意な配列または前記抗CD30抗体との構造相同性を有する任意の第2の親の抗CD30抗体にしてもよい点である。よって、たとえば、等価な残基を判断するための上述した方法または他の方法を利用して、親の抗CD30抗体がヒトIgG1である変異体抗CD30抗体を生成すると、前記変異体抗CD30抗体を、ヒトIgG2親の抗CD30抗体、ヒトIgA親の抗CD30抗体、マウスIgG2aまたはIgG2b親の抗CD30抗体などで改変できる。繰り返すが、上述したように、親の抗CD30抗体の背景状況は、本発明の抗CD30抗体を他の親の抗CD30抗体に導入する性能には影響しない。たとえば、1つのCD30エピトープを標的するヒトIgG1抗体において改変された変異体抗CD30抗体を、異なるCD30エピトープを標的するヒトIgG2抗体に導入できるといった具合である。
本発明の抗CD30抗体は、CD30を結合する事実上どのような抗体であってもよい。本発明の抗CD30抗体は、CD30か他のRTKなどの他の標的かに対する選択性あるいは、CD30標的の特定の形態か他の形態かに対する選択性を示すことがある。一例としては、全長かスプライスバリアントか、細胞表面か可溶性の形態か、さまざまな多型変異体に対する選択性、あるいは標的の特定のコンホメーション形に対する選択性があげられる。本発明の抗CD30抗体は、CD30のどのようなエピトープまたは領域でも結合でき、CD30のフラグメント、バリアントフォーム、スプライスフォームまたは異常型に対して特異的なことがある。
本発明の抗CD30抗体は、広範囲にわたる製品において利用できるものである。一実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、治療用、診断用または研究調査用の試薬であり、好ましくは治療薬である。あるいは、本発明の抗CD30抗体を農業または工業用途に用いてもよい。本発明の抗CD30抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルである抗体組成物において利用できるものである。本発明の抗CD30抗体は、アゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、中和抗体、抑制抗体または刺激抗体であっても構わない。好ましい実施形態では、本発明の抗CD30抗体を利用して、CD30標的抗原、たとえば癌細胞を持つ標的細胞を殺す。別の実施形態では、本発明の抗CD30抗体を利用して、CD30標的抗原をブロック、アンタゴナイズ、アゴナイズする。別の好ましい実施形態では、本発明の抗CD30抗体を利用して、標的抗原をブロック、アンタゴナイズまたはアゴナイズし、標的抗原を持つ標的細胞を殺す。
修飾
本発明は、多数の治療的に関連する特性に合わせて最適化された変異体抗CD30抗体を提供するものである。変異体抗CD30抗体は、親の抗CD30抗体に関連した1つ以上のアミノ酸修飾を含み、ここで、前記アミノ酸修飾(単数または複数)は、1つ以上の最適化された特性を提供するものである。よって、本発明の抗CD30抗体は、変異体抗CD30抗体である。本発明の抗CD30抗体は、少なくとも1つのアミノ酸修飾が理由で、アミノ酸配列の点でその親の抗CD30抗体とは異なっている。よって、本発明の変異体抗CD30抗体は、親と比較して少なくとも1つのアミノ酸修飾を有する。あるいは、本発明の変異体抗CD30抗体は、親と比較してたとえば約1から50のアミノ酸修飾、好ましくは約1から10のアミノ酸修飾、最も好ましくは約1から約5のアミノ酸修飾など、親と比較して2以上のアミノ酸修飾を有していてもよい。よって、変異体抗CD30抗体の配列と親の抗CD30抗体の配列は実質的に相同である。たとえば、本願明細書にて記載の変異体抗CD30抗体配列は、親の抗CD30抗体配列に対して約80%相同であり、好ましくは少なくとも約90%相同、最も好ましくは少なくとも約95%相同である。
最も好ましい実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、親よりも最適化されたエフェクター機能特性の得られるアミノ酸修飾を含む。最も好ましい置換ならびに最適化されたエフェクター機能特性が、米国特許出願第10/672,280号明細書、PCT US03/30249、米国特許出願第10/822,231号明細書、2004年11月12日に発明の名称「Optimized Fc Variants」で出願された米国特許出願第60/627,774号明細書に記載されている。最適化できる特性には、FcγRに対して亢進された親和性または低減された親和性を含むがこれに限定されるものではない。好ましい実施形態では、ヒト活性化FcγR、好ましくはFcγRI、FcγRIIa、FcγRIIc、FcγRIIIaおよびFcγRIIIb、最も好ましくはFcγRIIIaに対する親和性が亢進されるように本発明の抗CD30抗体を最適化する。別の好ましい実施形態では、ヒト抑制レセプターFcγRIIbに対する親和性が低減されるように抗CD30抗体を最適化する。これらの好ましい実施形態では、ヒトにおける治療特性が亢進された、たとえばエフェクター機能が亢進され、かつ抗癌力価の高められた抗CD30抗体を得ることを見込んでいる。別の実施形態では、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIc、FcγRIIIaおよびFcγRIIIbを含むがこれに限定されるものではないヒトFcγRに対する親和性が低減または除去されるように本発明の抗CD30抗体を最適化する。これらの実施形態では、ヒトにおける治療特性が亢進された、たとえばエフェクター機能が低減され、かつ毒性が低減された抗CD30抗体を得ることを見込んでいる。他の実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、1つ以上のFcγRに対する親和性が亢進されるが、1つ以上の他のFcγRに対する親和性は低減される。たとえば、本発明の抗CD30抗体は、FcγRIIIaに対する結合が亢進されるが、FcγRIIbへの結合は低減されるものであってもよい。あるいは、本発明の抗CD30抗体は、FcγRIIaおよびFcγRIに対する結合が亢進されるが、FcγRIIbへの結合は低減されるものであってもよい。さらに他の実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、FcγRIIbに対する親和性が亢進されるが、1つ以上の活性化FcγRへの親和性は低減されるものであってもよい。
好ましい実施形態は、ヒトFcγRへのFc結合の最適化を含むが、別の実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、齧歯類および非ヒト霊長類を含むがこれに限定されるものではない非ヒト生物体からのFcγRに対する親和性が亢進または低減される。非ヒトFcγRへの結合が最適化された抗CD30抗体は、実験において利用できる。たとえば、特定の薬剤候補の効力、毒性、薬物動態などの特性の試験を可能にする、さまざまな疾患についてのマウスモデルが得られる。従来技術において周知のように、癌細胞をマウスに移植または注射して、ヒトの癌を模倣することができる(異種移植と呼ばれるプロセス)。1つ以上のマウスFcγRに合わせて最適化された抗CD30抗体を含む抗CD30抗体の試験を行うことで、タンパク質の効力、その作用機序などに関する貴重な情報を得られることがある。また、本発明の抗CD30抗体を、グリコシル化フォームにおいて亢進された官能性および/または溶液特性に合わせて最適化してもよい。好ましい実施形態では、グリコシル化された本発明の抗CD30抗体は、親の抗CD30抗体のグリコシル化フォームよりも高い親和性でFcリガンドを結合する。前記Fcリガンドは、FcγR、C1q、FcRnおよびタンパク質AおよびGを含むがこれに限定されるものではなく、ヒト、マウス、ラット、ウサギまたはサル、好ましくはヒトを含むがこれに限定されるものではない、どのような起源に由来するものであってもよい。別の好ましい実施形態では、親の抗CD30抗体のグリコシル化フォームよりも一層安定および/または一層可溶性になるように抗CD30抗体を最適化する。
本発明のCD30標的タンパク質は、相補体タンパク質、FcRn、Fcレセプター相同体(FcRH)を含むがこれに限定されるものではない、FcγR以外のFcリガンドとの相互作用を調節する修飾を含むものであってもよい。FcRHは、FcRH1、FcRH2、FcRH3、FcRH4、FcRH5、FcRH6を含むがこれに限定されるものではない(Davisら、2002、Immunol.Reviews 190:123〜136)。
好ましくは、本発明の抗CD30抗体のFcリガンド特異性によって、その治療面での有用性が決まることになる。特定の抗CD30抗体の治療目的での有用性は、エピトープまたはCD30標的抗原の形ならびに処置対象となる疾患または兆候に左右されることになる。標的と兆候によっては、亢進されたFcγRによるエフェクター機能が好ましいこともある。これは、抗癌抗CD30抗体の場合に特に有益となり得る。よって、活性化FcγRに対する親和性が亢進および/または抑制FcγRに対する親和性が低減される抗CD30抗体を含む抗CD30抗体を利用することができる。標的と兆候によっては、異なる活性化FcγRに対して異なる選択性の得られる抗CD30抗体を利用すると、さらに有益なこともある。たとえば、場合によっては、FcγRIIaおよびFcγRIIIaへの結合は亢進されるがFcγRIに対してはそうではないと望ましいこともあれば、他の場合には、FcγRIIaのみに対して結合の亢進が好ましいこともある。特定の標的および兆候では、FcγR−媒介および相補体−媒介エフェクター機能の両方を亢進する抗CD30抗体を利用すると好ましいこともあれば、他の場合には、FcγR−媒介または相補体−媒介エフェクター機能のいずれかを亢進する抗CD30抗体を利用すると都合がよいこともある。CD30標的または癌兆候によっては、たとえば、C1q、1つ以上のFcγR’、FcRnまたは1つ以上の他のFcリガンドへの結合をノックアウトすることで、1つ以上のエフェクター機能を低減または除去すると都合がよいこともある。他の標的および兆候では、抑制FcγRIIbに対する結合は亢進されるが、WTレベル、活性化FcγRへの結合が低減または除去される抗CD30抗体を利用すると好ましいことがある。これは、たとえば、抗CD30抗体の目的が、炎症または自己免疫疾患の抑制あるいは免疫系を何らかの方法で調節することである場合に特に有用となり得る。
特定の疾患を処置するための特定の抗CD30抗体の最も有益な選択性を判断する上で明らかに重要なパラメータのひとつに、抗CD30抗体の背景状況すなわち、どのようなタイプの抗CD30抗体を利用するのかということがある。よって、特定の抗CD30抗体のFcリガンド選択性または特異性がゆえに、融合物またはコンジュゲートパートナーが連結された抗体または抗CD30抗体を構成するか否か次第で異なる特性が得られる。たとえば、毒素、ラジオヌクレオチドまたは他のコンジュゲートのほうが、これを含む抗CD30抗体の1つ以上のFcリガンドに対する結合が低減または除去されると、正常な細胞よりも毒性が低くなることがある。もうひとつの例として、炎症または自己免疫疾患を抑制するために、活性化FcγRに対する親和性が亢進された(これらのFcγRを結合してその活性化を妨害するなど)抗CD30抗体を利用すると好ましいことがある。反対に、FcγRIIb親和性が亢進された2以上のFc領域を含む抗CD30抗体が、免疫細胞表面でこのレセプターを共エンゲージすると、これらの細胞の増殖が抑制されることもある。一方、場合によっては、抗CD30抗体が、ある細胞タイプでその標的抗原をエンゲージするが、標的抗原からの別の細胞ではFcγRをエンゲージすることもあれば、他の場合には、標的抗原と同じ細胞の表面でFcγRをエンゲージすると都合がよいこともある。たとえば、1つ以上のFcγRを発現する細胞上の抗原を抗体が標的する場合、その細胞の表面でのFcγRへの結合を亢進または低減させる抗CD30抗体を利用すると有益なことがある。これは、たとえば、抗CD30抗体を抗癌剤として利用し、同じ細胞表面での標的抗原とFcγRの共エンゲージによって、成長阻害、アポトーシスまたは他の抗増殖作用につながるシグナル伝達イベントがその細胞内で促進されるような場合であろう。あるいは、免疫系を何らかの方法で調節するのに抗CD30抗体を利用する場合に、同じ細胞での抗原およびFcγRの共エンゲージが都合がよいこともある(この場合、標的抗原とFcγRの共エンゲージによって何らかの増殖作用または抗増殖作用が得られる)。同様に、2以上のFc領域を含む抗CD30抗体が、FcγR選択性または特異性を調節して同じ細胞の表面でFcγRを共エンゲージする抗CD30抗体から恩恵をうけることもある。
本発明の抗CD30抗体のFcリガンド特異性を調節して、特定のCD30エピトープ、兆候または患者個体群に適することがある異なるエフェクター機能プロファイルを生成することが可能である。表1に、さまざまなレセプターとの結合の改善、結合の低減または結合に対する影響なし(このような変化が特定の状況において有益になり得る)を含むレセプター結合プロファイルのいくつかの好ましい実施形態を示す。以下の表に示すレセプター結合プロファイルは、ここに明記したレセプターに対して増減可能なものである。加えて、ここに明記した結合の変化は、たとえば、相補体活性化を遮断するためにC1qに対する結合を除去することと組み合わせることで、あるいは、相補体活性化を増すためにC1qへの結合を亢進させることと組み合わせることで、C1qまたはFcRnなどの他のレセプターに対する他の結合の変化と関連するものとなり得る。他のレセプター結合プロファイルを持つ他の実施形態が可能であり、ここに列挙したレセプター結合プロファイルは一例である。
FcγRに異なる多型形態が存在することで、本発明の抗CD30抗体の治療的な有用性に影響するさらに他のパラメータが得られる。異なるクラスのFcγRに対する特定の抗CD30抗体の特異性および選択性は、特定の疾患を処置するための特定の抗原を標的する抗CD30抗体の能力に大きく影響するのに対し、これらのレセプターの異なる多型形態に対する抗CD30抗体の特異性または選択性を利用すれば、どの研究調査前または前臨床実験が試験に適しているか、つまり最終的にはどの患者個体群が処置に応答するのかしないのかを、ある程度まで判断できる。よって、FcγR、C1q、FcRnおよびFcRH多型を含むがこれに限定されるものではないFcリガンド多型に対する本発明の抗CD30抗体の特異性または選択性を利用して、有効な研究調査および前臨床実験、臨床試験設計、患者の選択、用量依存性および/または臨床試験に関する他の態様の選択肢を導き出すことができる。
本発明の抗CD30抗体を、FcγR、C1q、FcRn、FcR相同体および/または現時点では未発見のFcリガンドを含むがこれに限定されるものではない1つ以上のFcリガンドとの間の相互作用を変化または最適化させるFc領域の他のアミノ酸修飾と組み合わせてもよい。追加の修飾によって、Fcリガンドに対する親和性および/または特異性を変化または最適化させてもよい。また、追加の修飾によって、ADCC、ADCP、CDCおよび/または血清半減期を含むがこれに限定されるものではないエフェクター機能を変化または最適化させてもよい。このような組み合わせによって、抗体に、付加的、相乗的または新規な特性が得られることがある。一実施形態では、本発明の抗CD30抗体を、周知のFc変異体(Duncanら、1988、Nature 332:563〜564;Lundら、1991、J Immunol 147:2657〜2662;Lundら、1992、Mol Immunol 29:53〜59;Alegreら、1994、Transplantation 57:1537〜1543;Hutchinsら、1995、Proc Natl Acad Sci U S A 92:11980〜11984;Jefferisら、1995、Immunol Lett 44:111〜117;Lundら、1995、Faseb J 9:115〜119;Jefferisら、1996、Immunol Lett 54:101〜104;Lundら、1996、J Immunol 157:4963〜4969;Armourら、1999、Eur J Immunol 29:2613〜2624;Idusogieら、2000、J Immunol 164:4178〜4184;Reddyら、2000、J Immunol 164:1925〜1933;Xuら、2000、Cell Immunol 200:16〜26;Idusogieら、2001、J Immunol 166:2571〜2575;Shieldsら、2001、J Biol Chem 276:6591〜6604;Jefferisら、2002、Immunol Lett 82:57〜65;Prestaら、2002、Biochem Soc Trans 30:487〜490;Hintonら、2004、J Biol Chem 279:6213〜6216)(米国特許第5,624,821号明細書;米国特許第5,885,573号明細書;米国特許第6,194,551号明細書;PCT国際公開第00/42072号パンフレット;PCT国際公開第99/58572号パンフレット;米国特許出願公開第2004/0002587A1)号明細書、米国特許第6,737,056号明細書、PCT US2004/000643、米国特許出願第10/370,749号明細書,およびPCT/US2004/005112)と組み合わせることができる。たとえば、米国特許第6,737,056号明細書、PCT US2004/000643、米国特許出願第10/370,749号明細書およびPCT/US2004/005112に記載されているように、置換S298A、S298D、K326E、K326D、E333A、K334AおよびP396LによってFcγR結合の最適化および/またはADCCの亢進が得られる。さらに、Idusogieら、2001、J.Immunology 166:2571〜2572に開示されているように、置換K326W、K326YおよびE333Sによって、相補体タンパク質C1qに対する結合が亢進され、CDCも亢進される。最後に、Hintonら、2004、J.Biol. Chem.279(8):6213〜6216に記載されているように、置換T250Q、T250E、M428LおよびM428Fによって、FcRnへの結合が亢進され、薬物動態が改善される。上記の参考文献については、いずれもその全体を援用する。
FcγR、C1qおよびFcRnの結合部位はFc領域にあるため、Fc領域のIgGの差がFcγR−およびC1q−媒介エフェクター機能の差を担っている可能性が高い。また、たとえば、抗体のFabおよびヒンジ領域などの抗CD30抗体の他の非Fc領域で修飾を行うことができる可能性がある。たとえば、米国仮特許出願第60/614,944号明細書、米国仮特許出願第60/619,409号明細書、米国特許出願第11/090,981号明細書(各々その内容を全体として援用する)に開示されているように、抗体のFabおよびヒンジ領域が、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)、抗体依存性細胞による貪食(ADCP)、相補体依存性細胞毒性(CDC)などのエフェクター機能に影響することがある。よって、本発明の抗CD30抗体のFc領域の外での修飾も企図される。たとえば、本発明の抗CD30抗体は、抗体のVL、CL、VH、CH1および/またはヒンジ領域に1つ以上のアミノ酸修飾を含み得る。
他の修飾によって、たとえば、2003年12月22日に出願された米国特許出願第60/531,752号明細書(その全体を援用する)に記載されているように、たとえば別のまたは新規なFcレセプター結合部位など、抗CD30抗体への別の結合決定基または新規な結合決定基を得られることもある。一実施形態では、一抗体アイソタイプの抗CD30抗体を、異なるアイソタイプのFcレセプターに結合するように改変してもよい。これは、それぞれのFcレセプターに対するFc結合部位が大きくオーバーラップしないようなときに特に適用可能である。たとえば、FcγRIに対するIgA結合の構造決定基をIgG抗CD30抗体に改変してもよい。
本発明の抗CD30抗体は、抗CD30抗体のin vivo薬物動態特性を調節する修飾を含み得る。これには、新生児のFcレセプターFcRnに対する親和性を亢進する修飾(米国特許出願第10/020354号明細書;国際公開第2001US0048432号パンフレット;EP2001000997063;米国特許第6277375号明細書;米国特許出願第09/933497号明細書;国際公開第1997US0003321号パンフレット;米国特許第6737056号明細書;国際公開第2000US0000973号パンフレット;Shieldsら、J.Biol.Chem.、276(9)、6591〜6604(2001);Zhouら、J.Mol.Biol.、332、901〜913(2003)、各々その内容を全体として援用する)を含むがこれに限定されるものではない。これにはまた、FcRn親和性をpH特異的に修飾する修飾も含む。in vivo半減期の増大(enhance)が望ましいいくつかの実施形態では、高めのpH(7〜8)に対して低めのpH(5.5〜6)でFcRn親和性を特異的に亢進させる修飾が好ましい(Hintonら、J.Biol.Chem.279(8)、6213〜6216(2004);Dall’Acquaら、J.Immuno.169、5171〜5180(2002);Ghetieら、Nat.Biotechnol.、15(7)、637〜640(1997);国際公開第2003US0033037号パンフレット;国際公開第2004US0011213号パンフレット、各々その内容を全体として援用する)。たとえば、Hintonら、2004、「Engineered Human IgG Antibodies with Longer Serum Half−lives in Primates」、J.Biol.Chem.279(8):6213〜6216に記載されているように、置換T250Q、T250E、M428LおよびM428Fによって、FcRnへの結合が亢進され、薬物動態が改善される。加えて、好ましい修飾は、高めのpHに対して低めのpHで野生型Fcの改善された結合を維持する修飾である。急速なin vivoクリアランスが望ましい別の実施形態では、FcRnに対する親和性を低減する修飾が好ましい(米国特許第6165745号明細書;国際公開第1993US0003895号パンフレット;EP1993000910800;国際公開第1997US0021437号パンフレット;Medesanら、J.Immunol.、158(5)、2211〜2217(1997);GhetieおよびWard、Annu.Rev.Immunol.、18、739〜766(2000);Martinら、Molecular Cell、7、867〜877(2001);Kimら、Eur.J.Immunol.29、2819〜2825(1999)、各々その内容を全体として援用する)。
本発明のCD30標的タンパク質は、エフェクター機能それ自体には特異的に関連していない特性を最適化する1つ以上の修飾を含むものであってもよい。前記修飾は、アミノ酸修飾であってもよいし、酵素的または化学的になされる修飾であってもよい。このような修飾によって、たとえば、その安定性の亢進、溶解性、機能または臨床用途などの点で、抗CD30抗体がいくらか改善される可能性が高い。本発明は、本発明の抗CD30抗体と追加の修飾とを組み合わせることでなされ得るさまざまな改善を企図したものである。
好ましい一実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、ヒトにおける免疫原性を低減するための修飾を含むものであってもよい。最も好ましい実施形態では、2004年10月14日に出願された米国仮特許出願第60/619,483号明細書ならびに、発明の名称「Methods of Generating Variant Proteins with Increased Host String Content and Compositions Thereof」の米国特許出願第11/004,590号明細書(その全体を援用する)に記載の方法を用いて、本発明の抗CD30抗体の免疫原性を低減させる。別の実施形態では、本発明の抗体をヒト化する(Clark、2000、Immunol Today 21:397〜402、その全体を援用する)。「ヒト化」抗体を本願明細書で使用する場合、非ヒト(通常はマウスまたはラット)抗体からのヒトフレームワーク領域(FR)と1つ以上の相補性決定領域(CDR)とを含む抗体を意味する。CDRを提供している非ヒト抗体を「ドナー」と呼び、フレームワークを提供しているヒト免疫グロブリンを「アクセプター」と呼ぶ。ヒト化は主に、ドナーCDRをアクセプター(ヒト)のVLおよびVHフレームワークに移植してなされる(Winterの米国特許第5225539号明細書、その全体を援用する)。このストラテジーを「CDR移植」と呼ぶ。最初に移植したコンストラクトで失われた親和性を回復するには、選択されたアクセプターフレームワーク残基の対応するドナー残基への「逆変異」が必要になることが多い(米国特許第5530101号明細書;米国特許第5585089号明細書;米国特許第5693761号明細書;米国特許第5693762号明細書;米国特許第6180370号明細書;米国特許第5859205号明細書;米国特許第5821337号明細書;米国特許第6054297号明細書;米国特許第6407213号明細書、各々その内容を全体として援用する)。また、ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部、一般にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を含み、よって、一般にヒトFc領域を含むことになる。非ヒト抗体をヒト化して再形成するためのさまざまな手法および方法が従来技術において周知である(Tsurushita&Vasquez、2004、Humanization of Monoclonal Antibodies、Molecular Biology of B Cells、533〜545、Elsevier Science(USA)ならびにそこに引用されている参考文献(各々その内容を全体として援用する)を参照のこと)。ヒト化方法には、Jonesら、1986、Nature 321:522〜525;Riechmannら、1988;Nature 332:323〜329;Verhoeyenら、1988、Science、239:1534〜1536;Queenら、1989、Proc Natl Acad Sci、USA 86:10029〜33;Heら、1998、J.Immunol. 160: 1029〜1035;Carterら、1992、Proc Natl Acad Sci USA 89:4285〜9、Prestaら、1997、Cancer Res.57(20):4593〜9;Gormanら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4181〜4185;O’Connorら、1998、Protein Eng 11:321〜8(各々その内容を全体として援用する)に記載されている方法を含むがこれに限定されるものではない。ヒト化または非ヒト抗体の可変領域の免疫原性を減らすための他の方法には、たとえばRoguskaら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:969〜973(その全体を援用する)に記載されているような表面再処理方法を含んでもよい。一実施形態では、Wuら、1999、J.Mol.Biol.294:151〜162;Bacaら、1997、J.Biol.Chem.272(16):10678〜10684;Rosokら、1996、J.Biol.Chem.271(37):22611〜22618;Raderら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 95:8910〜8915;Kraussら、2003、Protein Engineering 16(10):753〜759(各々その内容を全体として援用する)に記載されている方法を含むがこれに限定されるものではない選択ベースの方法を利用して、抗体の可変領域をヒト化および/または親和性成熟させてもよい。また、米国特許出願第09/810,502号明細書;Tanら、2002、J.Immunol.169:1119〜1125;De Pascalisら、2002、J.Immunol.169:3076〜3084(その全体を援用する)に記載されている方法を含むがこれに限定されるものではない他のヒト化方法では、CDRの一部のみを移植する必要がある。ヒト化および親和性成熟には、たとえば米国特許出願第10/153,159号明細書および関連の出願(各々その内容を全体として援用する)に記載されているような構造ベースの方法を利用してもよい。
実施例2で一層完全に説明するような特定の変形例では、2004年10月14日に出願された米国仮特許出願第60/619,483号明細書ならびに、発明の名称「Methods of Generating Variant Proteins with Increased Host String Content and Compositions Thereof」で2004年12月3日に出願された米国特許出願第11/004,590号明細書(両方ともその全体を援用する)に記載されている方法で、抗体の免疫原性を低減させている。別の実施形態では、本発明の抗体は完全ヒトすなわち、抗体の配列が完全にまたは実質的にヒトであってもよい。トランスジェニックマウス(Bruggemannら、1997、Curr Opin Biotechnol 8:455〜458(全体として本願明細書に援用する))または選択方法との組み合わせでのヒト抗体ライブラリ(Griffithsら、1998、Curr Opin Biotechnol 9:102〜108、全体として本願明細書に援用する)を利用することをはじめとして、完全ヒト抗体を生成するための多数の方法が従来技術において周知である。
免疫原性を低減させるための修飾には、親の配列由来の処理済(processed)ペプチドのMHCタンパク質に対する結合を低減させる修飾を含んでもよい。たとえば、高親和性で、あらゆる一般的なMHCアレルに結合すると予想されるエピトープが全く存在しないか最小限の数で存在するように、アミノ酸修飾が改変される。タンパク質配列におけるMHC−結合エピトープを同定するいくつかの方法が従来技術において周知であり、これを利用して本発明の抗CD30抗体のエピトープをスコアすることができる。たとえば、国際公開第98/52976号パンフレット;国際公開第02/079232号パンフレット;国際公開第00/3317号パンフレット;米国特許出願第09/903,378号明細書;米国特許出願第10/039,170号明細書;米国仮特許出願第60/222,697号明細書;米国特許出願第10/339788号明細書;PCT国際公開第01/21823号パンフレット;PCT国際公開第02/00165号パンフレット;Mallios、1999、Bioinformatics 15:432〜439;Mallios、2001、Bioinformatics 17:942〜948;Sturnioloら、1999、Nature Biotech.17:555〜561;国際公開第98/59244号パンフレット;国際公開第02/069232号パンフレット;国際公開第02/77187号パンフレット;Marshallら、1995、J.Immunol.154:5927〜5933;Hammerら、1994、J.Exp.Med.180:2353〜2358(各々その内容を全体として援用する)を参照のこと。配列ベースの情報を利用して、特定のペプチド−MHC相互作用の結合スコアを判断することが可能である(たとえば、Mallios、1999、Bioinformatics 15: 432〜439;Mallios、2001、Bioinformatics 17:第942〜948ページ;Sturnioloら、1999、Nature Biotech.17:555〜561(各々その内容を全体として援用する)を参照のこと)。特定のペプチドをコンピュータ的に特定のMHC分子のペプチド−結合グルーブに入れ、相互作用エネルギを求める、構造ベースの方法を用いることができる(たとえば、国際公開第98/59244号パンフレットおよび国際公開第02/069232号パンフレット(両方ともその全体を援用する)を参照のこと)。このような方法は、「スレッディング」法と呼ばれることがある。あるいは、純粋に実験的な方法を用いることも可能である。たとえば、該当するタンパク質由来の一組のオーバーラップペプチドを、T細胞活性化および/または他の免疫応答態様を誘導する能力について実験的に試験することができる(たとえば、国際公開第02/77187号パンフレット(その全体を援用する)を参照のこと)。好ましい一実施形態では、マトリクス法を利用して、タンパク質配列に沿って9−残基フレーム各々についてMHC結合プロペンシティスコアを計算する(Sturnioloら、上掲;Marshallら、1995、J.Immunol.154:5927〜5933、Hammerら、1994、J.Exp.Med.180:2353〜2358(各々その内容を全体として援用する)を参照のこと)。また、これらの残基のサブセットについてのみスコアを考慮することもできるし、該当する9−残基フレーム前後のペプチド残基のアイデンティティをも考慮の対象にすることもできる。このマトリクスは、異なるヒトクラスIIのMHC分子のペプチド結合ポケットと相互作用する特異アミノ酸についての結合スコアを含む。最も好ましい実施形態では、実験的なペプチド結合研究でマトリクスのスコアを得る。別の好ましい実施形態では、そのポケットにライニングしている同一または類似の残基を含む別のアレルに対して実験的にキャラクタライズしたアレルから特定のポケットに対する特定のアミノ酸結合のスコアを外挿する。外挿によって得られるマトリクスを「仮想マトリクス」と呼ぶ。別の実施形態では、別のアミノ酸修飾を改変し、無傷の分子がB細胞レセプターおよび循環抗体と相互作用するプロペンシティを低減させてもよい。
本発明の抗CD30抗体は、たとえば抗体Fab領域など、Fc領域外の1つ以上の領域に、最適な特性の得られるアミノ酸修飾を含むものであってもよい。一実施形態では、本発明の抗体の可変領域を親和性成熟させる、すなわち、抗体のVHおよび/またはVLドメインでアミノ酸修飾をしておき、標的抗原に対する抗体の結合を亢進することができる。このようなタイプの修飾によって、標的抗原への結合の会合および/または解離キネティクスが改善されることがある。他の修飾には、標的抗原vs.別の標的に対する選択性を改善する修飾がある。これには、標的vs.非標的細胞で発現される抗原に対する選択性を改善する修飾がある。追加の修飾を加えることで、標的認識特性を他の形で改善できることもある。このような特性としては、特異的動態特性(すなわち会合および解離キネティクス)、特定の標的か別の標的かの選択性、特定の形態の標的か他の形態かの選択性があげられるが、これに限定されるものではない。一例としては、全長かスプライスバリアントか、細胞表面か可溶性の形態か、さまざまな多型変異体に対する選択性、あるいはCD30標的の特定のコンホメーション形に対する選択性があげられる。
本発明のCD30標的タンパク質は、抗CD30抗体の内部移行を低減または亢進させる1つ以上の修飾を含むものであってもよい。一実施形態では、1つ以上のFcリガンドとの相互作用によって生じる抗CD30抗体の細胞内部移行を低減させるために、本発明の抗CD30抗体を利用するか、あるいは追加の修飾と組み合わせることが可能である。この特性は、エフェクター機能を亢進させ、本発明の抗CD30抗体の免疫原性を潜在的に低減するのではないかと想定される。あるいは、1つ以上のFcリガンドとの相互作用によって生じる抗CD30抗体の細胞内部移行を亢進させるために、本発明の本抗CD30抗体の抗CD30抗体を直接に利用するか、または追加の修飾と組み合わせることが可能である。たとえば、好ましい実施形態では、FcγRIに対する結合を亢進させる抗CD30抗体を利用するが、これは樹状細胞で発現され、免疫応答の早い段階で活性になる。抗CD30抗体内または、MCH分子によるFcペプチドフラグメントの認識および提示を促進する、結合された融合物またはコンジュゲートパートナーで、追加の修飾と組み合わせることによって、このストラテジーをさらに強める(enhance)ことができよう。これらのストラテジーでは、ヒト免疫系による一層大きな標的細胞傷害(greater target cell killing)ならびに適応免疫応答を促進しつつ、標的抗原プロセシングが亢進されることで、標的抗原の抗原性が改善されると思われる(BonnerotおよびAmigorena、1999、Immunol Rev.172:279〜84、その全体を援用する)。これらのストラテジーは、標的された抗原が細胞表面から脱落する場合に、特に都合がよいことがある。また、これらのコンセプトの別の用途が、患者のリンパ腫細胞によって産生されたクローン特異的抗体を利用して患者にワクチン接種をするイデオタイプワクチン免疫療法にみられる。
好ましい一実施形態では、修飾を行って、安定性、溶解性およびオリゴマー状態を含むがこれに限定されるものではない本発明の抗CD30抗体の生物物理的な特性を改善する。修飾には、たとえば、安定性が高まるなど、抗CD30抗体で一層有益な分子内相互作用が得られる置換あるいは、露出した非極性アミノ酸を、これよりも溶解性の高い極性アミノ酸に入れ換える置換を含み得る。最適化の多数の目的および方法が、米国特許出願第10/379,392号明細書(その全体を援用する)に記載されており、追加の修飾を改変して本発明の抗CD30抗体をさらに最適化する際にこれを利用することができる。また、必要に応じて腫瘍の侵入を亢進させる、あるいはin vivoでのクリアランス率を高めるように、オリゴマーの状態またはサイズを低減する追加の修飾と本発明の抗CD30抗体とを組み合わせることも可能である。
本発明の抗CD30抗体に対する他の修飾には、ホモ二量体分子またはホモ多量体分子の特異的生成を可能にする修飾がある。このような修飾には、改変されたジスルフィドならびに、共有結合のホモ二量体またはホモ多量体を生成するための機序が得られる化学修飾または凝集法を含むがこれに限定されるものではない。たとえば、改変方法およびそのような分子の組成が、Kanら、2001、J.Immunol.、2001、166:1320〜1326;Stevensonら、2002、Recent Results Cancer Res.159:104〜12;米国特許第5,681,566号明細書;Caronら、1992、J.Exp.Med.176:1191〜1195およびShopes、1992、J.Immunol.148(9):2918〜22(各々その内容を全体として援用する)に記載されている。本発明の変異体に対する追加の修飾には、ヘテロ二量体分子、ヘテロ多量体分子、二官能性分子および/または多官能性分子の特異的生成を可能にする修飾がある。このような修飾は、CH3ドメインでの1つ以上のアミノ酸置換を含むがこれに限定されるものではなく、この置換によってホモ二量体の形式量が減少してヘテロ二量体の形式量が増える。たとえば、改変方法およびそのような分子の組成が、Atwellら、1997、J.Mol.Biol.270(1):26〜35およびCarterら、2001、J.Immunol.Methods 248:7〜15(両方ともその全体を援用する)に記載されている。追加の修飾に、修飾によって二量体形成のプロペンシティが低減される、ヒンジおよびCH3ドメインでの修飾がある。
さらに別の実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、タンパク質分解部位を除去する修飾を含む。これには、たとえば、産生収率(production yields)を低減するプロテアーゼ部位ならびに、投与したタンパク質をin vivoで分解するプロテアーゼ部位が含まれることもある。好ましい一実施形態では、追加の修飾を行って、アミド分解(すなわちグルタミニルおよびアスパラギニル残基の対応するグルタミルおよびアスパルチル残基へのアミド分解)、酸化、タンパク質分解部位などの共有結合分解部位を除去する。除去するのに特に有用なアミド分解部位は、グリシンが続くアスパラギニル残基およびグルタミル残基(NGモチーフおよびQGモチーフ)を含むが、これに限定されるものではない、アミド分解のプロペンシティが亢進された部位である。このような場合、いずれかの残基の置換によって、アミド分解の傾向を大幅に低減することが可能である。一般的な酸化部位には、メチオニンおよびシステイン残基がある。導入可能であるか、あるいは除去可能な他の共有結合修飾には、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、ヒスチジン側鎖の”−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton、Proteins:Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman&Co.、San Francisco、第79〜86ページ(1983)、その全体を援用する)、N末端アミンのアセチル化、C末端カルボキシル基のアミド化がある。また、追加の修飾には、N−リンクまたはO−リンクグリコシル化およびリン酸化などの翻訳後修飾を含み得るがこれに限定されるものではない。
修飾には、一般に生物製剤の製造に用いられる宿主または宿主細胞からの発現および/または精製収率を改善する修飾を含み得る。これには、さまざまな哺乳動物細胞系(CHOなど)、イースト細胞系、細菌細胞株および植物を含むがこれに限定されるものではない。追加の修飾には、重鎖が鎖間ジスルフィドリンケージを形成する能力を除去または低減する修飾がある。追加の修飾には、重鎖が鎖内ジスルフィドリンケージを形成する能力を除去または低減する修飾がある。
本発明の抗CD30抗体は、たとえば、Cropp&Shultz、2004、Trends Genet.20(12):625〜30、Andersonら、2004、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101(2):7566〜71、Zhangら、2003、303(5656):371〜3およびChinら、2003、Science 301(5635):964〜7(各々その内容を全体として援用する)に記載されている方法を含むがこれに限定されるものではない、Schultzおよび同僚らによって開発された技術を用いて取り込まれた非天然アミノ酸の使用を含む修飾を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、これらの修飾によって、機能的、生物物理的、免疫学的または製造上の上述したさまざまな特性を操作することが可能になる。別の実施形態では、これらの修飾によって、他の目的での追加の化学修飾が可能になる。他の修飾も本願明細書にて企図される。たとえば、抗CD30抗体を、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、あるいはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーなどのさまざまな非タンパク質性ポリマーのうちのひとつとリンクさせることができる。追加のアミノ酸修飾を行って、抗CD30抗体の特異的または非特異的な化学修飾または翻訳後修飾を可能なようにしてもよい。このような修飾には、PEG化およびグリコシル化を含むがこれに限定されるものではない。PEG化を可能にする目的で利用可能な特異的置換には、効率的かつ特異的なカップリング化学を利用してPEGまたはそれ以外のポリマー部分を結合できる新規なシステイン残基または非天然アミノ酸の導入を含むがこれに限定されるものではない。特異的グリコシル化部位の導入については、新規なN−X−T/S配列を本発明の抗CD30抗体に導入して達成可能である。
糖型修飾
抗体をはじめとする多くのポリペプチドに、オリゴ糖でのグリコシル化などの炭水化物部分を必要とするさまざまな翻訳後修飾がなされる。グリコシル化に影響し得る要因にはいくつかある。種、組織および細胞タイプはいずれも、グリコシル化が起こるという点で重要であることが分かっている。加えて、血清濃度などの変化した培養条件で、細胞外環境がグリコシル化に直接的な影響を持つ場合もある。(Lifelyら、1995、Glycobiology 5(8):813〜822)。
すべての抗体が、重鎖の定常領域の保存された位置に炭水化物を含有している。各々の抗体アイソタイプには、別々の多様なN−リンク炭水化物構造がある。重鎖に結合した炭水化物を除けば、ヒトIgGの最大30%がグリコシル化されたFab領域を有する。IgGには、CH2ドメインのAsn297に単一のN−リンク二分岐炭水化物がある。血清由来あるいは、ハイブリドーマまたは改変された細胞でex vivoにて産生されたIgGの場合、IgGは、Asn297リンク炭水化物にとっては異質である。Jefferisら、1998、Immunol.Rev.163:59〜76;Wrightら、1997、Trends Biotech 15:26〜32。ヒトIgGでは、コアオリゴ糖が通常、外側の残基の数の異なるGlcNAc2Man3GlcNAcからなる。
本発明の炭水化物部分について、オリゴ糖の説明に一般に用いられている命名法を用いて説明する。この命名法を用いた炭水化物化学の概要が、Hubbardら、1981、Ann.Rev.Biochem.50:555〜583に見られる。この命名法は、たとえば、マンノースを示すMan、2−N−アセチルグルコサミンを示すGlcNAc、ガラクトースを示すGal、フコースのFuc、ブドウ糖を示すGlcを含む。シアル酸を5−N−アセチルノイラミン酸の場合に簡単な表記法NeuNAcで記述し、5−グリコイルノイラミンの場合にNeuNGcで記述する。
「グリコシル化」という用語は、オリゴ糖(2から約12個の単糖がリンクしているなど、2以上の単糖がリンクした炭水化物)の糖タンパク質への結合を意味する。オリゴ糖側鎖は一般に、N−リンケージまたはO−リンケージのいずれかを介して糖タンパク質のバックボーンにリンクしている。本発明のオリゴ糖は、一般に発生するN−リンクオリゴ糖としてFc領域のCH2ドメインに結合した。「N−リンクグリコシル化」は、炭水化物部分が糖タンパク質鎖のアスパラギン残基に結合することを示す。たとえば、マウスIgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3ならびにヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgDCH2ドメインの各々について、アミノ酸残基297にN−リンクグリコシル化のための単一部位がある(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、1991)ことは、当業者であれば分かるであろう。
本願明細書での目的で、「成熟コア炭水化物構造」は、一般に二分岐のオリゴ糖に典型的な以下の炭水化物構造GlcNAc(フコース)−GlcNAc−Man−(Man−GlcNAc)2からなるFc領域に結合された、処理されたコア炭水化物構造を示す。成熟コア炭水化物構造は、一般にFc領域のCH2ドメインのAsn297へのN−リンケージを介して糖タンパク質のFc領域に結合される。成熟コア炭水化物構造のβ1,4マンノースに結合されたGlcNAc残基が、「バイセクティングGlcNAc」である。バイセクティングGlcNAcは、β(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII酵素(GnTIII)によって酵素的に成熟コア炭水化物構造に結合させることが可能なものである。CHO細胞は、通常はGnTIIIを発現しない(Stanleyら、1984、J.Biol.Chem.261:13370〜13378)が、そのように改変できるものである(Umanaら、1999、Nature Biotech.17:176〜180)。
本発明は、修飾された糖型または改変された糖型を含むFc変異体を企図している。「修飾された糖型」または「改変された糖型」を本願明細書で使用する場合、IgGに共有結合的に結合された炭水化物組成物を意味し、前記炭水化物組成物は、親のIgGの炭化水素組成物とは化学的に異なる。改変された糖型は、FcγRによるエフェクター機能の亢進または低減を含むがこれに限定されるものではない、さまざまな目的で有用なことがある。好ましい一実施形態では、本発明のFc変異体を改変し、Fc領域に共有結合的に結合されたフコシル化および/またはバイセクティングオリゴ糖のレベルを制御する。修飾された糖型の生成には、さまざまな方法が従来技術において周知である(Uman aら、1999、Nat Biotechnol 17:176〜180;Daviesら、2001、Biotechnol Bioeng 74:288〜294;Shieldsら、2002、J Biol Chem 277:26733〜26740;Shinkawaら、2003、J Biol Chem 278:3466〜3473);(米国特許第6,602,684号明細書;米国特許出願第10/277,370号明細書;米国特許出願第10/113,929号明細書;PCT国際公開第00/61739A1号パンフレット;PCT国際公開第01/29246A1号パンフレット;PCT国際公開第02/31140A1号パンフレット;PCT国際公開第02/30954A1号パンフレット);(Potelligent(商標)テクノロジー[Biowa,Inc.、Princeton、NJ];GlycoMAb(商標)グリコシル化改変テクノロジー[GLYCART biotechnology AG、Zuerich、Switzerland];すべて明示的に援用する)。これらの手法では、たとえば、改変されているかそうでないさまざまな生物体または細胞系(たとえばLec−13 CHO細胞またはラットハイブリドーマYB2/0細胞)でIgGを発現させたり、グリコシル化経路に関与する酵素(たとえばFUT8[α1,6−フコシルトランセラーゼ(fucosyltranserase)]および/またはβ1−4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII[GnTIII])を調節したり、あるいは、IgGの発現後に炭水化物を修飾したりすることによって、Fc領域に共有結合的に結合されたフコシル化および/またはバイセクティングオリゴ糖のレベルを制御する。修飾された糖型を生成する特定のモードの使用、たとえば、Lec−13細胞系を本研究に用いることは、本発明をその特定の実施形態に制約することを意味しない。むしろ、本発明は、どのように産生されたかとは関係なく修飾された糖型を持つFc変異体を企図している。改変された糖型は一般に、異なる炭水化物またはオリゴ糖を示す。よって、抗CD30抗体、たとえば抗CD30抗体は、改変された糖型を含むものであってもよい。あるいは、改変された糖型は、異なる炭水化物またはオリゴ糖を含む抗CD30抗体を示すものであってもよい。
改変された糖型は一般に、異なる炭水化物またはオリゴ糖を示す。よって、IgG変異体、たとえば抗体またはFc融合物は、改変された糖型を含み得る。あるいは、改変された糖型は、異なる炭水化物またはオリゴ糖を含むIgG変異体を示すものであってもよい。本願明細書の目的で、フコースが成熟コア炭水化物構造に結合されていること以外、本発明の改変された糖型と同一のアミノ酸配列および成熟コア炭水化物構造を有するグリコシル化されたFcポリペプチドが、「親のFcポリペプチド」である。たとえば、親の糖タンパク質を含む組成物では、親の糖タンパク質の約50〜100%または約70〜100%が、フコースが結合された成熟コア炭水化物構造を含む。
本発明は、Fc領域を有するグリコシル化されたFcポリペプチドを含む組成物であって、組成物のグリコシル化されたFcポリペプチドの約51〜100%が、FcポリペプチドのFc領域に結合された、フコースのない成熟コア炭水化物構造を含む、組成物を提供するものである。一層好ましくは、組成物のFcポリペプチドの約80〜100%が、フコースのない成熟コア炭水化物構造を含み、最も好ましくは、組成物のFcポリペプチドの約90〜99%が、成熟コア炭水化物構造に結合されたフコースを欠く。最も好ましい実施形態では、組成物のFcポリペプチドがいずれも、フコースのない成熟コア炭水化物構造を含み、さらにFc領域に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。最も好ましい実施形態では、改変された糖型とアミノ酸修飾とを組み合わせることで、Fcポリペプチドに対する最適なFcレセプター結合特性が得られる。本発明の抗CD30抗体を、1つ以上の他の分子またはポリペプチドに融合またはコンジュゲートしてもよい。コンジュゲートおよび融合パートナーは、小分子化合物およびポリペプチドをはじめとして、どのような分子であっても構わない。たとえば、さまざまな抗体コンジュゲートおよび方法が、Trailら、1999、Curr.Opin.Immunol.11:584〜588(その全体を援用する)に記載されている。可能なコンジュゲートパートナーには、サイトカイン、細胞毒剤、毒素、ラジオアイソトープ、化学治療薬、抗血管形成剤、チロシンキナーゼ阻害剤、他の治療的活性薬剤を含むがこれに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、コンジュゲートパートナーは、どちらかというとペイロードすなわち、コンジュゲートの目的が、抗CD30抗体による、たとえば癌細胞または免疫細胞などの標的細胞へのコンジュゲートパートナーの標的送達であるといえる。よって、たとえば、抗CD30抗体への毒素のコンジュゲーションでは、CD30抗原を発現している細胞への前記毒素の送達を標的としている。当業者であれば明らかなように、実際には、融合物およびコンジュゲートの概念と定義は重複している。抗CD30抗体を融合物またはコンジュゲートと称することは、本発明の特定の実施形態に制約することを意味するものではない。むしろ、これらの用語は、本発明の抗CD30抗体を、遺伝的、化学的またはそれ以外の方法で、1つ以上のポリペプチドまたは分子にリンクさせて、望ましいいくつかの特性を得られるという広い概念を伝えるために、大まかに用いているものである。
一実施形態では、本発明の抗CD30抗体をサイトカインに融合またはコンジュゲートする。「サイトカイン」を本願明細書で使用する場合、細胞間メディエータとして他の細胞に作用するひとつの細胞個体群によって放出されるタンパク質の総称を意味する。たとえば、Penichetら、2001、J.Immunol.Methods 248:91〜101(その全体を援用する)に記載されているように、サイトカインを抗体に融合させ、多くの望ましい特性を得ることができる。このようなサイトカインの例として、リンフォカイン、モノカイン、従来のポリペプチドホルモンがある。サイトカインに含まれるのは、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−アルファおよび−ベータ;ミュラー管抑制性物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮細胞増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−ベータなどの神経成長因子;血小板成長因子;TGF−アルファおよびTGF−ベータなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様成長因子−Iおよび−II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン−アルファ、ベータおよび−ガンマなどのインターフェロン;マクロファージ−CSF(M−CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF);顆粒球−CSF(G−CSF);IL−1、IL−1アルファ、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12などのインターロイキン(IL);IL−15、TNF−アルファまたはTNF−ベータなどの瘍壊死因子;C5a;LIFおよびkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子である。本願明細書で使用する場合、サイトカインという用語は、天然起源または組換え細胞培養物由来のタンパク質ならびに、ネイティブ配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。
別の実施形態では、本発明の抗CD30抗体を、細菌、真菌、植物または動物由来(そのフラグメントおよび/または変異体を含む)の酵素的に活性のある毒素および小分子毒素を含むがこれに限定されるものではない毒素に融合させ、コンジュゲートし、または作動的に結合させる。たとえば、さまざまな免疫毒素および免疫毒素方法が、Thrushら、1996、Ann.Rev.Immunol.14:49〜71(その全体を援用する)に記載されている。小分子毒素には、カリケアマイシン、メイタンシン(米国特許第5,208,020号明細書、その全体を援用する)、トリコセン(trichothene)およびCC1065を含むがこれに限定されるものではない。本発明の一実施形態では、抗CD30抗体を1つ以上のメイタンシン分子(抗体分子1つあたり約1から約10個のメイタンシン分子など)にコンジュゲートさせる。メイタンシンについては、たとえば、May−SS−Meに変換し、これをMay−SH3に還元(reduce)して修飾抗体と反応させ(Chariら、1992、Cancer Research 52:127〜131、その全体を援用する)、メイタンシノイド−抗体コンジュゲートを生成することができる。興味の対象となる他のコンジュゲートは、1以上のカリケアマイシン分子にコンジュゲートさせた抗CD30抗体を含む。抗生物質のカリケアマイシンファミリは、二本鎖DNAの切断をサブピコモル濃度で生成する機能を有する。使用できるカリケアマイシンの構造類似体には、γ11、α21、α3、N−アセチル−γ11、PSA、GおよびΘ11(Hinmanら、1993、Cancer Research 53:3336〜3342;Lodeら、1998、Cancer Research 58:2925〜2928)(米国特許第5,714,586号明細書;米国特許第5,712,374号明細書;米国特許第5,264,586号明細書;米国特許第5,773,001号明細書、各々その内容を全体として援用する)。アウリスタチンE(AE)およびモノメチルアウリスタチンE(MMAE)などのドラスタチン10類似体に、本発明の抗CD30抗体向けのコンジュゲートとしての用途がある場合がある(Doroninaら、2003、Nat Biotechnol 21(7):778〜84;Franciscoら、2003 Blood 102(4):1458〜65、両方ともその全体を援用する)。酵素的に活性のある有用な毒素には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンシン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン、クロタン、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンを含むがこれに限定されるものではない。たとえば、PCT国際公開第93/21232号パンフレット(その全体を援用する)を参照のこと。本発明はさらに、本発明の抗CD30抗体と、たとえばリボヌクレアーゼまたはDNAエンドヌクレアーゼ(デオキシリボヌクレアーゼ(Dnase)など)などの核酸分解活性のある化合物とのコンジュゲートを企図するものである。
別の実施形態では、本発明の抗CD30抗体を、ラジオアイソトープに融合、コンジュゲートまたは作動的に結合させ、ラジオコンジュゲートを形成することができる。ラジオコンジュゲート抗体の作製には、さまざまな放射活性アイソトープを利用できる。一例として、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32およびLuの放射活性アイソトープがあげられるが、これに限定されるものではない。たとえば、参考文献を参照のこと。
さらに他の実施形態では、本発明の抗CD30抗体を、腫瘍の事前標的に利用するための「レセプター」(このようなストレプトアビジン)にコンジュゲートさせることができ、この場合、抗CD30抗体−レセプターコンジュゲートを患者に投与した後、洗浄剤(clearing agent)を使って未結合のコンジュゲートを循環から除去し、続いて、細胞毒剤(ラジオヌクレオチドなど)にコンジュゲートされた「リガンド」(アビジンなど)を投与する。別の実施形態では、抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ療法(ADEPT)を利用するために、抗CD30抗体を、酵素にコンジュゲートまたは作動的に結合させる。抗CD30抗体をプロドラッグ(ペプチジル化学治療薬など。PCT国際公開第81/01145号パンフレット(その全体を援用する)を参照のこと)を活性抗癌薬剤に変換するプロドラッグ活性化酵素にコンジュゲートまたは作動的に結合させることで、ADEPTを利用することができる。たとえば、PCT国際公開第88/07378号パンフレットおよび米国特許第4,975,278号明細書(両方ともその全体を援用する)を参照のこと。ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分としては、プロドラッグで、これを一層活性のある細胞毒性の形態に変換できるような方法で作用できるあらゆる酵素があげられる。本発明の方法で有用な酵素には、ホスフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;スルフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性5−フルオロシトシンを抗癌薬剤である5−フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用な、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、スブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(カテプシンBおよびLなど)などのプロテアーゼ;D−アミノ酸置換基を含有するプロドラッグを変換するのに有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化されたプロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用な、β−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼなどの炭水化物切断酵素;α−ラクタムで誘導体化された薬剤を遊離薬物に変換するのに有用なベータ−ラクタマーゼ;そのアミン窒素の部分で、フェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基で誘導体化された薬剤を遊離薬物に変換するのに有用な、それぞれペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼを含むがこれに限定されるものではない。あるいは、従来技術において「アブザイム」として周知でもある酵素活性のある抗体を利用して、本発明のプロドラッグを活性のある遊離薬物に変換することが可能である(たとえば、Massey、1987、Nature 328:457〜458(その全体を援用する)を参照のこと)。抗CD30抗体−アブザイムコンジュゲートについては、アブザイムを腫瘍細胞個体群に送達する用途で調製可能である。本発明の抗CD30抗体ではさまざまな別のコンジュゲートが企図される。抗CD30抗体コンジュゲートとしての用途があり得るさまざまな化学治療薬、抗血管形成剤、チロシンキナーゼ阻害剤および他の治療薬については、後述する。
また、同様に融合物およびコンジュゲートパートナーとして企図されるのが、Fcポリペプチドである。よって、抗CD30抗体は、2つ以上のFc領域を含む多量体Fcポリペプチドであってもよい。このような分子の利点のひとつに、1つのタンパク質分子でFcレセプター用に複数の結合部位を得られるということがある。一実施形態では、化学的な改変手法を用いてFc領域をリンクさせることができる。たとえば、ヒンジのシステイン残基から開始されるチオエーテル結合によってFab’およびFc’をリンクさせ、FabFc2などの分子を生成することができる(Kanら、2001、J.Immunol.、2001、166:1320〜1326;Stevensonら、2002、Recent Results Cancer Res.159:104〜12;米国特許第5,681,566号明細書、各々その内容を全体として援用する)。Fc領域については、たとえば、Caronら、1992、J.Exp.Med. 176:1191〜1195およびShopes、1992、J.Immunol. 148(9):2918〜22に記載されているように、ジスルフィド改変および/または化学的架橋を用いてリンクさせてもよい。好ましい一実施形態では、Fc領域を遺伝的にリンクさせてもよい。たとえば、複数のCγ2ドメインを抗体のFab領域とFc領域との間に融合させてある(Whiteら、2001、Protein Expression and Purification 21:446〜455、その全体を援用する)。好ましい一実施形態では、2003年12月22日に出願された、発明の名称「Fc polypeptides with novel Fc receptor binding sites」の米国特許出願第60/531,752号明細書(その全体を援用する)に記載されているように、抗CD30抗体のFc領域を、生成された(generated)タンデムリンクしたFc領域に遺伝的にリンクさせる。タンデムにリンクされたFcポリペプチドは、2以上のFc領域、好ましくは1から3、最も好ましくは2つのFc領域を含むものであってもよい。構造特性と化学的特性が最も有益なホモ型またはヘテロ型のタンデムにリンクされた抗CD30抗体を得るために、多数のエンジニアリング(engineering)コンストラクトを探索すると都合がよいことがある。タンデムにリンクされた抗CD30抗体は、ホモ型のタンデムにリンクされた抗CD30抗体すなわち、同じアイソタイプの他の抗CD30抗体に遺伝的に融合されたひとつのイソI型の抗CD30抗体であってもよい。タンデムにリンクされたFcポリペプチドには複数のFcγR、C1q、および/またはFcRn結合部位があるため、エフェクター機能および/または薬物動態を亢進できることを見込んでいる。別の実施形態では、異なるアイソタイプからの抗CD30抗体がタンデムにリンクされたものであってもよい(これをヘテロ型のタンデムにリンクされた抗CD30抗体と呼ぶ)。たとえば、FcγRおよびFcαRIレセプターを標的する能力がゆえに、FcγRおよびFcαRIの両方に結合する抗CD30抗体を用いて臨床面で有意な改善を行うことができる。
融合物およびコンジュゲートパートナーについては、N末端またはC末端または末端間の何らかの残基を含む本発明の抗CD30抗体のどの領域にリンクさせてもよい。好ましい一実施形態では、融合物またはコンジュゲートパートナーを、抗CD30抗体のN末端またはC末端で、最も好ましくはN末端でリンクさせる。抗CD30抗体を融合物またはコンジュゲートパートナーに共有結合的にリンクさせるのに、さまざまなリンカーを本発明で利用できる。「リンカー」、「リンカー配列」、「スペーサ」、「鎖繋(tethering)配列」またはこれと文法的に等価な語句は、本願明細書では、2つの分子を連結し、2つの分子を好ましいコンフィギュレーションにする機能を果たすことも多い分子または分子群(モノマーまたはポリマーなど)を意味する。分子同士を共有結合的にリンクさせるには、多数のストラテジーを利用することができる。それには、タンパク質またはタンパク質ドメインのN末端とC末端との間のポリペプチドリンケージ、ジスルフィド結合によるリンケージ、化学的架橋試薬によるリンケージがあげられるが、これに限定されるものではない。この実施形態の一態様では、リンカーは、組換え手法またはペプチド合成によって生成されるペプチド結合である。2つのポリペプチド鎖が連結される場である好適なリンカーの具体的な事例ごとの選択肢は、2つのポリペプチド鎖の性質(これらが自然にオリゴマー化するか否かなど)、連結されるN末端とC末端との間の距離が分かる場合は距離および/またはタンパク質分解および酸化に対するリンカーの安定性を含むがこれに限定されるものではない、さまざまなパラメータに左右される。さらに、リンカーは、可撓性を与えるアミノ酸残基を含むものであってもよい。よって、リンカーペプチドは、アミノ酸残基:Gly、Ser、AlaまたはThrを優先的に含むものであってもよい。リンカーペプチドは、2つの分子が所望の活性を保つよう、これらの分子が互いに正しいコンホメーションになるような方法で2つの分子をリンクできる適切な長さでなければならない。この目的で好適な長さとしては、少なくとも1アミノ酸残基から50アミノ酸残基以下がある。好ましくは、リンカーは約1から30アミノ酸長であり、1から20アミノ酸長のリンカーが最も好ましい。加えて、リンカーペプチドに入れるために選択されるアミノ酸残基は、ポリペプチドの活性に大きく干渉しない特性を呈するものでなければならない。よって、リンカーペプチドを全体でみると、ポリペプチドの活性と矛盾する電荷を呈したり、あるいは内部の畳み込みに干渉したり、レセプターモノマードメインの結合を甚だしく邪魔する、1つ以上のモノマーでのアミノ酸残基との結合または他の相互作用を形成することのないものでなければならない。有用なリンカーとしては、当業者であれば明らかなように、グリシン−セリンポリマー(たとえば、(GS)n、(GSGGS)n、(GGGGS)nおよび(GGGS)n(式中、nは少なくとも1の整数である)を含む)、グリシン−アラニンポリマー、アラニン−セリンポリマーならびに、Shaker型カリウムチャネル用の繋鎖などの他の可撓性リンカー、さらには多種多様な他の可撓性リンカーがあげられる。2つのアミノ酸がいずれも比較的非構造的であって、成分間の中立の繋鎖として機能できる可能性があるため、グリシン−セリンポリマーが好ましい。第2に、セリンは親水性であり、球状グリシン鎖の可能性があるものを可溶化できる。第3に、単鎖抗体などの組換えタンパク質のサブユニットの連結に、同様の鎖が有効であることが明らかになっている。また、2つのポリペプチド鎖間のギャップをブリッジできる、天然に存在するモチーフについての周知の三次元構造のデータベースをスクリーニングすることで、好適なリンカーを同定できることもある。好ましい一実施形態では、リンカーは、ヒト患者に投与したときに免疫原性ではない。よって、免疫原性が低いまたは免疫原性が低いと思われるリンカーを選択すればよい。たとえば、ヒトに天然に存在するリンカーを選択すればよい。最も好ましい実施形態では、リンカーは抗体のヒンジ領域の配列すなわち、抗体FabとFc領域をリンクする配列を有する。あるいは、リンカーは、ヒンジ領域の一部を有する配列、あるいは実質的に抗体のヒンジ領域と類似の配列を有する。好適なリンカーを得るための他の方法のひとつに、単純なリンカー、たとえば(Gly4Ser)nなどを、ランダム突然変異誘発によって最適化することがある。あるいは、好適なポリペプチドリンカーを同定したら、別のリンカーポリペプチドを作製して、リンク対象となるドメインと一層最適に相互作用するアミノ酸を選択することが可能である。本発明で使用できる他のタイプのリンカーとしては、人工ポリペプチドリンカーおよびインテリンがあげられる。もうひとつの実施形態では、2つの分子間をリンクするようにジスルフィド結合を設計する。もうひとつの実施形態では、リンカーが化学的架橋剤である。たとえば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベラートなど)、アルデヒド(グルタルエルデヒド(glutareldehyde)など)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアナート(トリエン2,6−ジイソシアナートなど)、ビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)を含むがこれに限定されるものではない、さまざまな二官能性タンパク質カップリング剤を利用できる。たとえば、Vitettaら、1971、Science 238:1098(その全体を援用する)に記載されているようにして、リシン免疫毒素を調製することが可能である。化学的リンカーは、アイソトープのキレート化を行うことができる場合がある。たとえば、炭素−14−標識した1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)が、抗体に対するラジオヌクレオチドのコンジュゲーション用のキレート剤の一例である(PCT国際公開第94/11026号パンフレット(その全体を援用する)を参照のこと)。リンカーは、細胞中の細胞毒性の薬剤の放出を容易にする、切断可能なものであってもよい。たとえば、酸解離性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chariら、1992、Cancer Research 52:127〜131(その全体を援用する)など)を利用してもよい。あるいは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンまたはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーを含むがこれに限定されるものではない、さまざまな非タンパク質性ポリマーを、リンカーとして利用できることがある、すなわち、本発明の抗CD30抗体を融合物またはコンジュゲートパートナーと結合させるか、本発明の抗CD30抗体をコンジュゲートに結合させるのに利用できることがある。
抗CD30抗体の実験的な作製
本発明は、抗CD30抗体を作製して実験的に試験するための方法を提供するものである。ここに記載の方法は、特定の用途または動作理論を制約することを意味するものではない。むしろ、ここで得られる方法では、1つ以上の抗CD30抗体を作製して実験的に試験し、変異体抗CD30抗体を得られることを大枠で示すことを意図している。抗体分子生物学、発現、精製およびスクリーニングの基本方法については、Antibody Engineering(Duebel&Kontermann編)、Springer−Verlag、Heidelberg、2001;Hayhurst&Georgiou、2001、Curr Opin Chem Biol 5:683〜689;Maynard & Georgiou、2000、Annu Rev Biomed Eng 2:339〜76;Antibodies: A Laboratory Manual by Harlow & Lane、New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988(各々その内容を全体として援用する)に記載されている。
本発明の一実施形態では、抗CD30抗体をコードし、なおかつ必要に応じて宿主細胞へのクローニング、発現、アッセイを行える核酸を作製する。よって、各タンパク質配列をコードする核酸、特にDNAを作製できる。これらのプラクティスについては、周知の手法を用いて実施する。たとえば、本発明において利用できるさまざまな方法が、Molecular Cloning − A Laboratory Manual、第3版(Maniatis、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、2001)およびCurrent Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons)(両方ともその全体を援用する)に記載されている。当業者であれば明らかなように、多数の配列を含むライブラリで厳密な配列を生成するには、かなりの費用と時間を要する可能性がある。したがって、本発明のライブラリを効率的に生成するのに利用できるさまざまな手法がある。本発明において利用できるこのような方法が、米国特許第6,403,312号明細書;米国特許出願第09/782,004号明細書;米国特許出願第09/927,790号明細書;米国特許出願第10/218,102号明細書;PCT国際公開第01/40091号パンフレット;PCT国際公開第02/25588号パンフレット(各々その内容を全体として援用する)に記載されているか、あるいは引用されている。このような方法には、遺伝子アセンブリ法、PCRベースの方法、PCRのバリエーションを用いる方法、リガーゼ連鎖反応ベースの方法、合成シャッフリングで用いられているものなどのプールされたオリゴ法(pooled oligo method)、変異性増幅方法、ランダム変異のあるオリゴを用いる方法、伝統的な部位特異的突然変異誘発方法、カセット突然変異誘発、他の増幅および遺伝子合成法を含むがこれに限定されるものではない。従来技術において周知のように、遺伝子アセンブリ、突然変異誘発、ベクターサブクローニングなどには、さまざまな商業入手可能なキットおよび方法があり、本発明では抗CD30抗体をコードする核酸の生成にこのような商業入手可能な製品を利用する。
本発明の抗CD30抗体については、タンパク質の発現を誘導または引き起こす適切な条件下で、核酸を培養、好ましくは抗CD30抗体をコードする核酸を含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞を培養して作製できる。発現に適した条件は、発現ベクターと宿主細胞に何を用いるかによって変わってくるものであり、型どおりの実験をすることで当業者が容易に特定できるものである。哺乳動物細胞、細菌、昆虫細胞およびイーストを含むがこれに限定されるものではない、多種多様な適切な宿主細胞を利用できる。たとえば、本発明において利用できるさまざまな細胞系が、American Type Culture Collectionから入手可能なATCC(登録商標)細胞系カタログに記載されている。
好ましい一実施形態では、レトロウイルスまたはアデノウイルスなどのウイルスを用いて発現コンストラクトが哺乳動物細胞に導入される系を含む哺乳動物発現系で、抗CD30抗体を発現させる。どのような哺乳動物細胞でも利用できるが、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、霊長類の細胞が特に好ましい。また、好適な細胞としては、Jurkat T細胞、NIH3T3、CHO、BHK、COS、HEK293、PER C.6、HeLa、Sp2/0、NS0細胞およびその変異体を含むがこれに限定されるものではない、周知の研究調査用細胞もあげられる。別の好ましい実施形態では、細菌細胞でライブラリタンパク質を発現させる。細菌発現系は従来技術において周知であり、Escherichia coli(E.coli)、Bacillus subtilis、Streptococcus cremorisおよびStreptococcus lividansがあげられる。別の実施形態では、昆虫細胞(Sf21/Sf9、Trichoplusia ni Bti−Tn5b1−4など)またはイースト細胞(S.cerevisiae、Pichiaなど)で抗CD30抗体を作製する。別の実施形態では、無細胞翻訳系を用いてin vitroにて抗CD30抗体を発現させる。原核生物(E.coliなど)と真核生物(コムギ胚芽、ウサギ網状赤血球など)の両方の細胞から得たin vitro翻訳系を利用でき、該当するタンパク質の発現レベルと機能的特性とに応じて選択することができる。たとえば、当業者であれば明らかなように、たとえばリボソームディスプレイなどのディスプレイ技術によってはin vitro翻訳が必要である。また、化学合成方法によって抗CD30抗体を作製することもできる。さらに、トランスジェニック発現系両方の動物(雌ウシ、ヒツジまたはヤギ乳、有胚のメンドリ卵、全昆虫(whole insect)の幼虫など)と植物(トウモロコシ、タバコ、ウキクサなど)。
タンパク質を発現させるために、発明の抗CD30抗体をコードする核酸を発現ベクターに取り込んでもよい。タンパク質の発現には、さまざまな発現ベクターを利用できる。発現ベクターは、自己複製染色体外ベクターあるいは、宿主ゲノムに組み込まれるベクターを含むものであってもよい。発現ベクターは、宿主細胞のタイプと両立して構築される。よって、本発明において使用できる発現ベクターには、哺乳動物細胞、細菌、昆虫細胞、イースト、in vitro系でタンパク質発現が可能なベクターを含むがこれに限定されるものではない。従来技術において周知のように、抗CD30抗体を発現させるために本発明において利用できる商業入手可能またはそれ以外のさまざまな発現ベクターを用いることができる。
発現ベクターは一般に、制御(control)配列または制御(regulatory)配列と作動的に結合されたタンパク質、選択可能なマーカー、任意の融合パートナーおよび/または別の要素を含む。本願明細書における「作動的に結合された」は、核酸が他の核酸配列との間で機能的な関係におかれていることを意味する。通常、これらの発現ベクターは、抗CD30抗体をコードする核酸に作動的に結合された転写および翻訳調節核酸を含み、一般に、タンパク質の発現に用いられる宿主細胞に適している。一般に、転写および翻訳制御配列は、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳終結配列、エンハンサーまたはアクチベーター配列を含むものであってもよい。また、従来技術において周知のように、発現ベクターは一般に、発現ベクターを含有する形質転換宿主細胞の選択が可能になるように、選択遺伝子またはマーカーを含有する。選択遺伝子は従来技術において周知であり、使用する宿主細胞によって変わってくる。
CD30標的タンパク質を融合パートナーに作動的に結合し、発現されたタンパク質、精製、スクリーニング、ディスプレイなどを標的可能なようにしてもよい。融合パートナーについては、リンカー配列を介して抗CD30抗体配列にリンクさせることができる。リンカー配列は通常、一般に10未満と少数のアミノ酸を含むが、これよりも長いリンカーも利用できる。一般に、リンカー配列は、可撓性かつ分解に耐えられるように選択される。当業者であれば明らかなように、多種多様な配列のうちのどれをリンカーとして利用してもよい。たとえば、一般的なリンカー配列は、アミノ酸配列GGGGSを含む。融合パートナーが、抗CD30抗体および関連する任意の融合パートナーを所望の細胞部位または細胞外メディアに指向する標的配列またはシグナル配列であってもよい。従来技術において周知のように、特定のシグナル配列は、増殖培地あるいは、細胞の内膜と外膜との間に存在するペリプラズム間隙に分泌されるように、タンパク質を標的することができる。また、融合パートナーは、精製および/またはスクリーニングを可能にするペプチドまたはタンパク質をコードする配列であってもよい。このような融合パートナーには、ポリヒスチジンタグ(His−タグ)(たとえばH6およびH10またはImmobilized Metal Affinity Chromatography(IMAC)系で用いられる他のタグ(Ni+2親和性カラムなど))、GST融合物、MBP融合物、Strep−タグ、細菌酵素BirAのBSPビオチン化標的配列、抗体に標的されるエピトープタグ(たとえばc−mycタグ、flag−タグなど)を含むがこれに限定されるものではない。当業者であれば明らかなように、このようなタグは、精製、スクリーニングまたはその両方で有用なことがある。たとえば、His−タグを使って、これをNi+2親和性カラムに固定化することで抗CD30抗体を精製することができ、精製後には、同じHis−タグを利用して抗体をNi+2コートしたプレートに固定化し、ELISAまたは他の結合アッセイ(後述)を行うことができる。融合パートナーを用いることで、抗CD30抗体をスクリーニングするための選択方法を利用できるようになることがある(下記参照)。さまざまな選択方法を可能にする融合パートナーが従来技術において周知であり、いずれも本発明において利用できるものである。たとえば、抗CD30抗体ライブラリのメンバを遺伝子IIIタンパク質に融合させることで、ファージディスプレイを利用することが可能である(Kayら、Phage display of peptides and proteins:a laboratory manual、Academic Press、San Diego、CA、1996;Lowmanら、1991、Biochemistry 30:10832〜10838;Smith、1985、Science 228:1315〜1317、その全体を援用する)。融合パートナーは抗CD30抗体の標識も可能にする。あるいは、融合パートナーは、発現ベクターの特異的配列に結合して、融合パートナーおよび関連の抗CD30抗体を、共有結合的にまたは非共有結合的に、これをコードする核酸にリンクできるようにすることができる。たとえば、米国特許出願第09/642,574号明細書;米国特許出願第10/080,376号明細書;米国特許出願第09/792,630号明細書;米国特許出願第10/023,208号明細書;米国特許出願第09/792,626号明細書;米国特許出願第10/082,671号明細書;米国特許出願第09/953,351号明細書;米国特許出願第10/097,100号明細書;米国特許出願第60/366,658号明細書;PCT国際公開第00/22906号パンフレット;PCT国際公開第01/49058号パンフレット;PCT国際公開第02/04852号パンフレット;PCT国際公開第02/04853号パンフレット;PCT国際公開第02/08023号パンフレット;PCT国際公開第01/28702号パンフレット;およびPCT国際公開第02/07466号パンフレット(各々その内容を全体として援用する)に、このような融合パートナーならびに本発明において利用できる手法が記載されている。
外来性の核酸を宿主細胞に導入する方法は従来技術において周知であり、使用する宿主細胞によって変わってくる。手法には、デキストランによるトランスフェクション、リン酸カルシウム沈降、塩化カルシウム処理、ポリブレンによるトランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔、ウイルス感染またはファージ感染、ポリヌクレオチド(単数または複数)のリポソームへの封入、核へのDNAの直接的なマイクロインジェクションを含むがこれに限定されるものではない。哺乳動物細胞の場合は、トランスフェクションは一過性であっても安定したものであってもよい。
好ましい一実施形態では、発現後に抗CD30抗体を精製または単離する。タンパク質については、当業者に周知のさまざまな方法で単離または精製することができる。標準的な精製方法としては、FPLCおよびHPLCなどの系を用いて大気圧または高圧で行われる、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、サイジングまたはゲル濾過クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィをはじめとするクロマトグラフ法があげられる。また、精製方法には、電気泳動法、免疫学的方法、沈降法、透析、クロマト分画法もある。タンパク質濃度とともに、限外濾過および膜分離法も有用である。従来技術において周知のように、さまざまな天然タンパク質がFcおよび抗体を結合し、これらのタンパク質は、抗CD30抗体の精製目的で本発明において利用可能である。たとえば、細菌タンパク質AおよびGはFc領域に結合する。同様に、細菌タンパク質Lは、もちろん抗体の標的抗原として、いくつかの抗体のFab領域に結合する。精製に関しては、特定の融合パートナーによって可能になることが多い。たとえば、GST融合物を利用するのであればグルタチオン樹脂を用いて、His−タグを利用するのであればNi+2親和性クロマトグラフィを用いて、flag−タグを利用するのであれば、固定化した抗flag抗体を用いて、抗CD30抗体を精製できる。好適な精製手法の概要については、たとえば、その全体を援用する、Protein Purification:Principles and Practice、第3版、Scopes、Springer−Verlag、NY、1994(その全体を援用する)を参照のこと。必要な精製の度合いは、スクリーンまたは抗CD30抗体の用途によって変わってくる。場合によっては、精製は必要ない。たとえば、一実施形態では、抗CD30抗体が分泌される場合、培地から直接スクリーニングを行ってもよい。従来技術において周知のように、選択方法の中にはタンパク質の精製を必要としないものもある。よって、たとえば、抗CD30抗体のライブラリをファージディスプレイライブラリにするのであれば、タンパク質精製を行わないこともある。
抗CD30抗体の実験的試験
アッセイ
CD30標的タンパク質のスクリーニングには、in vitroアッセイ、in vivoおよび細胞ベースのアッセイ、選択技術を用いる方法を含むがこれに限定されるものではない、さまざまな方法を用いることができる。スクリーニング法に自動で高スループットのスクリーニング技術を利用してもよい。スクリーニングでは、融合パートナーまたは標識を使用することを採用しても構わない。融合パートナーを使うことについては上述してある。本願明細書における「標識された」は、本発明の抗CD30抗体に、スクリーニング時に検出が可能なように1つ以上の要素、アイソトープまたは化合物が結合されていることを意味する。一般に、標識は次の3つのクラスに分けられる。a)抗体に認識される融合パートナーとして取り込まれるエピトープであってもよい免疫標識、b)放射活性または重アイソトープであってもよいアイソトープ標識、c)蛍光染料および比色染料あるいは、ビオチンなどの他の標識方法を可能にする分子を含むものであってもよい小分子標識。標識は、どの位置で化合物に取り込まれてもよく、タンパク質発現の際にin vitroで取り込まれてもよいしin vivoで取り込まれてもよい。
好ましい一実施形態では、抗CD30抗体の機能的および/または生物物理的な特性をin vitroアッセイでスクリーニングする。in vitroアッセイを用いると、関心のあるスクリーニング特性について広いダイナミックレンジが可能になることがある。スクリーニングできる抗CD30抗体の特性には、安定性、溶解性ならびに、たとえばFcγRなどのFcリガンドに対する親和性を含むがこれに限定されるものではない。複数の特性を同時にスクリーニングしてもよいし、個々にスクリーニングしてもよい。タンパク質は、アッセイの要件に応じて精製したものであっても未精製であってもよい。一実施形態では、スクリーンは、抗CD30抗体に結合することが知られているか、結合するのではないかと考えられているタンパク質または非タンパク質分子に対する抗CD30抗体の結合についての定性的または定量的結合アッセイである。好ましい一実施形態では、スクリーンは、CD30標的抗原への結合を測定するための結合アッセイである。別の好ましい実施形態では、スクリーンは、FcγRのファミリ、新生児のレセプターFcRn、相補体タンパク質C1q、細菌タンパク質AおよびGを含むがこれに限定されるものではない、Fcリガンドに対する抗CD30抗体の結合についてのアッセイである。前記Fcリガンドは、どのような生物体由来のものであってもよいが、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、サルが好ましい。結合アッセイは、FRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)およびBRET(Bioluminescence Resonance Energy Transfer)ベースのアッセイ、AlphaScreen(商標)(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)、Scintillation Proximity Assay、ELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)、SPR(BIACORE(登録商標)としても知られるSurface Plasmon Resonance)、等温滴定熱量測定、示差走査熱量測定、ゲル電気泳動、ゲル濾過をはじめとするクロマトグラフィを含むがこれに限定されるものではない、従来技術において周知のさまざまな方法を用いて実施可能なものである。これらの方法および他の方法では、抗CD30抗体のいくつかの標識または融合パートナーを活用することができる。アッセイでは、発色性、蛍光、ルミネッセントまたはアイソトープ標識を含むがこれに限定されるものではないさまざまな検出方法を採用できる。
たとえば安定性および溶解性など、抗CD30抗体の生物物理的な特性をスクリーニングするには、従来技術において周知のさまざまな方法を用いることができる。フォールドな状態とアンフォールドな状態との熱力学的平衡を測定すれば、タンパク質安定性を判断することができる。たとえば、化学的変性剤、熱またはpHを用いて本発明の抗CD30抗体をアンフォールドすることができ、円偏光二色性分光法、蛍光分光法、吸光度分光法、NMR分光法、熱量測定,およびタンパク質分解を含むがこれに限定されるものではない方法で、この遷移を監視することができる。当業者であれば明らかなように、これらの手法および他の手法を用いて、フォールドとアンフォールドとの遷移の動態パラメータを監視してもよい。抗CD30抗体の溶解性および全体としての構造的完全性については、従来技術において周知の広範囲にわたる方法を用いて定量的または定性的に判断することができる。抗CD30抗体の生物物理的な特性のキャラクタライズに本発明において利用できる方法としては、ゲル電気泳動、等電点電気泳動、細管部電気泳動、さらには、サイズ排除クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィおよび逆相高速クロマトグラフィなどのクロマトグラフィ、ペプチドマッピング、オリゴ糖マッピング、質量分析、紫外線吸光度分光法、蛍光分光法、円偏光二色性分光法、等温滴定熱量測定、示差走査熱量測定、分析超遠心分離、動的光散乱、タンパク質分解および架橋、濁度測定、フィルタ遅延(filter retardation)アッセイ、免疫学的アッセイ、蛍光染料結合アッセイ、タンパク質染色アッセイ、マイクロコピー、さらにはELISAまたは他の結合アッセイでの凝集体の検出があげられる。X線結晶学的手法およびNMR分光法を採用した構造解析も利用できる。一実施形態では、規定された時間経過後にタンパク質溶液の量を判断して、安定性および/または溶解性を測定することができる。このアッセイでは、たとえば高温、低pHまたは変性剤の存在などの極限条件にタンパク質を曝露しても曝露しなくてもよい。機能(function)には一般に、安定して可溶および/または十分にフォールドされた/構造化されたタンパク質が必要であるため、上述した機能的および結合アッセイによってこのような測定を行うための方法も得られる。たとえば、抗CD30抗体を含む溶液を、その標的抗原を結合する能力についてアッセイした後、規定された1つ以上の時間にわたって高温に曝露し、続いて抗原結合について再度アッセイすることが可能である。アンフォールド状態かつ凝集されたタンパク質は抗原を結合できることは想定されていないため、残っている活性の量が抗CD30抗体の安定性および溶解性を示す指標となる。
好ましい一実施形態では、細胞ベースのアッセイまたはin vitroアッセイを1つ以上用いて、ライブラリをスクリーニングする。このようなアッセイでは、細胞がライブラリに属する個体変異体または変異体群に曝露されるように、精製後または未精製の抗CD30抗体を、一般には外から加える。これらのアッセイは一般に、CD30に結合することならびに、たとえば細胞溶解のようなエフェクター機能などのいくつかの生化学的イベントを媒介する、抗CD30抗体の持つ能力のバイオロジー、貪食、リガンド/レセプター結合抑制、成長および/または増殖の抑制、アポトーシスなどに基づくものであるが、常にそうというわけではない。このようなアッセイでは、たとえば細胞生存、細胞死、細胞貪食、細胞溶解、細胞形態の変化あるいは、天然遺伝子またはレポーター遺伝子の細胞発現などの転写活性化など、抗CD30抗体に対する細胞の応答の監視が必要になることが多い。たとえば、このようなアッセイでは、抗CD30抗体がADCC、ADCPまたはCDCを引き出す能力を測定することができる。アッセイによっては、別の細胞または成分すなわち標的細胞以外に、たとえば血清相補体あるいは、末梢血単球(PBMC)、NK細胞、マクロファージなどのエフェクター細胞を加える必要があることもある。このような別の細胞は、どのような生物体に由来するものであってもよいが、好ましくはヒト、マウス、ラット、ウサギ、サル由来である。架橋抗体またはモノマー抗体によって、抗体の標的抗原を発現する特定の細胞系のアポトーシスが生じることがあり、あるいは、アッセイに加えられた免疫細胞による標的細胞への攻撃が媒介されることもある。細胞死または生存度を監視するための方法は従来技術において周知であり、染料、フルオロフォア、免疫化学、細胞化学および放射活性試薬を用いることがあげられる。たとえば、カスパーゼアッセイまたはアネキシン−小麦粉コンジュゲート(flourconjugate)を用いることで、アポトーシスを測定できるようになることがあり、放射活性基質(クロム−51放出アッセイ)の取り込みまたは放出あるいは、alamar blueなどの蛍光染料の代謝還元を用いると、細胞成長、増殖または活性化を監視できるようになることがある。好ましい一実施形態では、DELFIA(登録商標) EuTDAベースの細胞毒性アッセイ(Perkin Elmer、MA)を用いる。あるいは、たとえば乳酸脱水素酵素などの1つ以上の天然細胞内タンパク質の放出を測定して、死んだ標的細胞または損傷した標的細胞を監視してもよい。転写活性化も細胞ベースのアッセイで機能をアッセイするための方法のひとつとして役立つことがある。この場合、上方制御または下方制御されていてもよい天然の遺伝子またはタンパク質のアッセイによって応答を監視すればよく、たとえば、特定のインターロイキンの放出を測定することができるし、あるいは、ルシフェラーゼまたはGFP−レポーターコンストラクトを介して読み取るようにしてもよい。また、細胞ベースのアッセイでは、抗CD30抗体の存在に対する応答として細胞の形態学的変化を測定する必要があることもある。このようなアッセイでの細胞タイプは、原核生物細胞であっても真核生物細胞であってもよく、従来技術において周知のさまざまな細胞系を利用できる。あるいは、抗CD30抗体をコードする核酸で形質転換またはトランスフェクトしておいた細胞を用いて、細胞ベースのスクリーンを実施する。
in vitroでのアッセイには、結合アッセイ、ADCC、CDC、細胞毒性、増殖、ペルオキシド/オゾン放出、エフェクター細胞の化学走性、低減されたエフェクター機能抗体によるこのようなアッセイの阻害;>100×改善または>100×低減などの活性の範囲、レセプター活性化と、このようなレセプタープロファイルで想定されるアッセイ成果とのブレンド混合を含むがこれに限定されるものではない。
動物モデル
本発明の抗CD30抗体の生物学的特性については、細胞、組織および生物体そのものを利用した実験でキャラクタライズできる。従来技術において周知のように、疾患または疾患モデルに対する処置での薬剤の効力を測定したり、あるいは薬剤の薬物動態、毒性,および他の特性を測定するために、薬剤を、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、サルを含むがこれに限定されるものではない動物で試験することが多い。前記動物は疾患モデルとも呼べる。本発明の抗CD30抗体に関しては、動物モデルを使用して候補ポリペプチドの人体内での効力の潜在性を評価するにあたって、特に取り組むべき課題が出てきている。これは、少なくともある程度は、ヒトFcレセプターに対する親和性に特異的な作用を持つ抗CD30抗体が、オルソロガスな動物レセプターで同様の親和作用を持つわけではないためである。これらの問題は、真のオルソログを正しく割り振ることに関連した不可避な曖昧さと、オルソログによっては単に動物には存在しない(ヒトはFcγRIIaを持つのに対し、マウスは持たないなど)ことがゆえに、さらに悪くなる可能性がある(Mechetinaら、Immunogenetics、2002、54:463〜468、その全体を援用する)。治療薬については、ヌードマウス、SCIDマウス、異種移植マウスおよびトランスジェニックマウス(ノックインおよびノックアウトを含む)を含むがこれに限定されるものではないマウスで試験することが多い。たとえば、抗癌治療剤として想定されている本発明の抗CD30抗体を、たとえば異種移植片マウスなどのマウス癌モデルで試験することができる。この方法では、腫瘍または腫瘍細胞系をマウスに移植または注射し、続いてこのマウスを治療剤で処置して抗CD30抗体が癌の増殖と転移を低減または抑制する能力を判断する。別の方法のひとつに、SCIDマウスモデルを用いることがある。この場合は、ヒトFcRの適切なアレイを用いて、免疫欠損マウスにヒトPBLを注射し、注射したヒト腫瘍細胞を標的する抗体またはFc−ポリペプチドを注射しておいたマウスに半機能的なヒト免疫系を与える。このようなモデルでは、所望の抗原(SkOV3卵巣癌細胞上のher2/neuなど)を標的するFc−ポリペプチドがマウス体内でヒトPBLと相互作用し、殺腫瘍性エフェクター機能とエンゲージする。このような実験では、前記抗CD30抗体を治療剤として用いる潜在的な可能性を判断するための意味のあるデータが得られることがある。好ましくは哺乳動物であるどのような生物体を利用して試験を行ってもよい。たとえば、ヒトと遺伝的に類似していることから、サルが好適な治療モデルになることがあるため、本発明の抗CD30抗体の効力、毒性、薬物動態または他の特性の試験にサルを用いるようにしてもよい。最終的には、薬剤としての承認を得るには本発明の抗CD30抗体をヒトで試験する必要があるため、もちろん、これらの実験も企図される。よって、本発明の抗CD30抗体をヒトで試験して、その治療的な効力、毒性、薬物動態および/または他の臨床特性を判断してもよい。
本発明の抗CD30抗体は、動物モデルまたはヒトでのFc含有治療薬に優れた性能を与えることができる。このような抗CD30抗体のレセプター結合プロファイルを、本件明細書で説明するように、たとえば、細胞毒性の薬剤の力価を高める、あるいは、特異的エフェクター機能またはエフェクター細胞を標的する目的で選択し、薬剤作用の選択性を改善するようにしてもよい。さらに、一部またはすべてのエフェクター機能を低減することで、このようなFc含有薬剤の副作用または毒性を低減できるレセプター結合プロファイルを選択することも可能である。たとえば、FcγRIIIa、FcγRIおよびFcγRIIaへの結合が低減された抗CD30抗体を選択して、細胞によるほとんどのエフェクター機能を除去することが可能であり、あるいは、C1qへの結合が低減された抗CD30抗体を選択して、相補体によるエフェクター機能を制限してもよい。状況によっては、このようなエフェクター機能は潜在的な毒性作用を有することが知られているため、これを除去するとFcのある薬剤の安全性を高められる場合があり、このような改善後の安全性を動物モデルでキャラクタライズしてもよい。状況によっては、このようなエフェクター機能は所望の治療活性を媒介することが知られているため、これを亢進するとFcのある薬剤の活性または力価を高められることがあり、このような改善後の活性または力価を動物モデルでキャラクタライズしてもよい。
さまざまな同所腫瘍モデルで最適な抗CD30抗体を試験することが可能である。これらの臨床的に関連した動物モデルは、病態生理の研究や、膵臓癌、前立腺癌、乳癌などの攻撃的な癌の治療法において重要である。ドナー患者のヒト腫瘍細胞またはフラグメントを臓器内(膵臓、前立腺または乳腺など)注射した部位からの腫瘍の局所性および全身の蔓延のスコアリングに、胸腺欠損ヌードマウスまたはSCIDマウスを含むがこれに限定されるものではない、免疫欠損マウスが用いられることが多い。
好ましい実施形態では、さまざまなヒト疾患の臨床的に関連した動物モデルで、本発明の抗CD30抗体の効力を見極めることができる。多くの場合、関連モデルには、特異的腫瘍抗原のさまざまなトランスジェニック動物が含まれる。
ヒトFcレセプター(ガンマ鎖、FcγR1、RIIa/bなどを含むCD16など)を発現するモデルなどの関連のトランスジェニックモデルを利用して、抗CD30抗体およびFc−融合物の効力を評価および試験することが可能である。腫瘍毒性または自己免疫疾患およびRAなどの他の疾患での効力を生理学的研究を可能にし得るマウスまたは他の齧歯類に、エフェクター機能を直接または間接的に媒介するヒト遺伝子を導入することによる抗CD30抗体の評価。FcγRIIIaなどのヒトFcレセプターは、齧歯類へのヒト多型の特異的および組み合わせ(specific and combinations)の導入を可能にする位置158VまたはFの多型などの多型を有することがある。多型特異的FcRに関するさまざまな研究は本セクションの内容に限定されず、本件特許出願全体に明記されているようなFcRに関する一般的な説明および用途をすべて包含する。本発明の抗CD30抗体を用いると、このようなトランスジェニックモデルでFc含有薬剤に優れた活性を与えることができ、特に、ヒトFcγRIIIaによる活性に合わせて結合プロファイルを最適化した変異体は、トランスジェニックCD16マウスで優れた活性を示すことがある。他のヒトFcレセプター(FcγRIIa、FcγRIなど)用のマウストランスジェニックでの効力の点での同様の改善が、それぞれのレセプターに合わせて結合プロファイルを最適化した抗CD30抗体でも観察されることがある。また、たとえば表1に概要を示したように、複数のヒトレセプター用のマウストランスジェニックで、対応する複数のレセプターに合わせて結合プロファイルを最適化した抗CD30抗体の活性が改善される。
候補となる治療用抗体のヒト患者における潜在的な効力を動物モデルでキャラクタライズすることは困難かつ曖昧であるがゆえに、本発明の変異体ポリペプチドによっては、人体内での潜在的な効力を見極めるための代理(proxy)としての用途があるものがある。このような代理分子は、動物の系において、対応する候補ヒト抗CD30抗体のFcRおよび/または相補体の生物学(biology)を好ましくは模倣する。この模倣は、特異的抗CD30抗体および動物vs.ヒトレセプターの相対会合親和性(relative association affinity)によって現れる可能性が最も高い。たとえば、ヒトFcγRIIIaへの親和性が亢進された抗CD30抗体の人体内での潜在的な効力を、マウスモデルを用いて見極める場合、適切な代理変異体はマウスFcγRIII−2(マウスCD16−2)への親和性が亢進されたものとなろう。あるいは、抑制ヒトFcγRIIbへの親和性が低減された抗CD30抗体の人体内での潜在的な効力を、マウスモデルを用いて見極める場合、適切な代理変異体はマウスFcγRIIへの親和性が低減されたものとなろう。また、ヒト抗CD30抗体、動物抗CD30抗体またはその両方との関連で代理の抗CD30抗体を作製できる点にも注意されたい。
好ましい一実施形態では、抗CD30抗体の試験は、霊長類(カニクイザルモデル)で効力の試験を行って、CD30抗原を持つ特異的標的細胞の枯渇の評価を容易にすることを含むものであってもよい。別の霊長類モデルには、アカゲザルのモデルならびに、自己免疫性、移植および癌の治療研究におけるFcポリペプチドを含むがこれに限定されるものではない。
標準的な薬理学プロファイルでは評価できないか、薬剤を繰り返し投与した後にのみ起こる、抗体またはFc−融合物に関連した作用を判断するために、毒性研究を行う。ほとんどの毒性試験は、新たな治療実体を人間に導入する前に想定外の副作用を見落とさないよう、齧歯類と非齧歯類の2つの種で行われる。一般に、これらのモデルを用いると、遺伝毒性、慢性毒性、免疫原性、生殖/発達毒性および発癌性をはじめとするさまざまな毒性を測定できる。上述したパラメータに含まれるのは、摂食量、体重、抗体形式、臨床化学、標準臓器/組織の肉眼および顕微鏡での検査(心毒性)の標準測定値である。別の測定パラメータに、注射部位の外傷ならびに、中和抗体が存在する場合はその測定値がある。従来、正常な組織との交差反応性、免疫原性/抗体生成、コンジュゲートまたはリンカー毒性、放射線標識した種の「バイスタンダー」毒性について、裸またはコンジュゲートされたモノクローナル抗体治療薬を評価している。それにもかかわらず、具体的な懸案事項に対処し、ICHS6(上述したバイオテクノロジー製品の安全性の研究)によって定められたガイダンスに従うために、個々のケースにこのような研究を合わせなければならないことがある。それ自体、原則は、製品が十分にキャラクタライズされ、それに対する不純物/混入物質が除去されており、なおかつ試験物質が、開発全体およびGLPコンプライアンスをとおして矛盾しないことである。
本発明の抗CD30抗体の薬物動態(PK)については、さまざまな動物系で研究することが可能であるが、最も関連しているのはカニクイザル、アカゲザルなどの非ヒト霊長類である。血漿濃度とクリアランスを用いて、用量範囲6000倍(0.05〜300mg/kg)での静脈注射/皮下注射の単回または繰り返し投与を、半減期(数日から数週間)について評価することが可能であり、定常状態での分配量と体内吸収レベルを測定することが可能である。このような測定パラメータの例には一般に、観察された最大血漿濃度(Cmax)、Cmaxに達するまでの時間(Tmax)、時刻0から無限大までの血漿濃度−時間曲線下の面積[AUC(0−inf]および見かけ上の除去半減期(T1/2)が含まれる。測定される別のパラメータには、静脈注射での投与後に得られる濃度−時間データのコンパートメント解析結果およびバイオアベイラビリティを含み得る。カニクイザルを用いた薬理学的/毒物学的研究の例が、RituxanおよびZevalinについて構築されているが、そこではCD20に対するモノクローナル抗体が交差反応性である。生体内分布、線量測定(放射線標識した抗体用)およびPK研究も齧歯類モデルで行うことが可能である。このような研究では、投与するすべての用量での寛容、局所組織への毒性、齧歯類異種移植動物モデルの優先局在化、標的細胞の枯渇(CD20陽性細胞など)を評価できよう。
本発明の抗CD30抗体は、動物系またはヒトでのFc含有治療薬に優れた薬物動態を与えることのできるものである。たとえば、FcRnとの結合が増すことで、Fc含有薬剤の半減期と曝露量を増やせる場合がある。あるいは、FcRnとの結合が減ることで、このような薬剤に副作用がある場合など、曝露量を減らすことが有益な場合に、Fc含有薬剤の半減期と曝露量を減らせる場合がある。
Fcレセプターのアレイはさまざまな免疫細胞タイプならびに異なる組織で差次的に発現されることが、従来技術において周知である。Fcレセプターの組織分布の差異が、最終的には本発明の抗CD30抗体の薬力学的(PD)および薬物動態(PK)特性に影響する場合がある。提示の抗CD30抗体は、Fcレセプターのアレイごとに親和性が異なり、ポリペプチドをPDおよび/またはPK特性についてさらにスクリーニングすることが、各候補ポリペプチドによって得られるPD、PK、治療効力の最適なバランスを定める上で極めて有用な場合がある。
薬理学的研究には、特異的腫瘍細胞の標的またはシグナル伝達機序のブロック、標的抗原発現細胞またはシグナルの枯渇の測定などを含むことができるがこれに限定されるものではない。本発明の抗CD30抗体は、特定のエフェクター細胞個体群を標的でき、よって、力価を改善または特に有益な生理学的コンパートメントへの浸透を増すための特定の活動を漸加するFc含有薬剤を指向することができる。たとえば、FcγRIIIbを優先的に標的する抗CD30抗体により、好中球の活性および局在化を標的することが可能である。このような薬力学的作用を動物モデルまたはヒトで示すことができる。
抗CD30抗体の臨床利用
本発明の抗CD30抗体を、さまざまな治療目的に利用することができる。当業者であれば明らかなように、本発明の抗CD30抗体を、その抗体などを利用できる治療目的で利用することができる。好ましい一実施形態では、患者に抗CD30抗体を投与して、自己免疫性疾患および炎症性疾患、感染性疾患および癌を含むがこれに限定されるものではない機能障害を処置する。
本発明の目的での「患者」は、ヒトと他の動物の両方を含み、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。よって、本発明の抗CD30抗体は、人間での治療と動物用の両方である。本発明での「処置する」または「処置」という用語は、疾患または機能障害に対する治療ならびに、予防的または抑制性の対応策を含むことを意図している。よって、たとえば、疾患発症前に抗CD30抗体の投与に成功すると、疾患を処置したことになる。もうひとつの例として、疾患の症状と戦うための疾患の臨床所見後に最適化した抗CD30抗体の投与に成功すると、その疾患を処置したことになる。また、「処置する」および「処置」には、疾患を完全に取り除くために疾患の出現後に最適化された抗CD30抗体を投与することも包含される。発症後かつ臨床症状が出てきた後に、考え得る臨床症状の軽減と、おそらくは疾患の寛解を伴う薬剤投与の成功も、その疾患を処置したことになる。「処置が必要」な対象には、疾患または機能障害がすでにある哺乳動物ならびに、疾患または機能障害を防止することになる哺乳動物をはじめとして、疾患または機能障害にかかりやすい哺乳動物が含まれる。
兆候
一実施形態では、本発明の抗CD30抗体を、タンパク質または他の分子の不適切な発現を伴う疾患を持つ患者に投与する。本発明の範囲内で、これは、たとえばタンパク質の存在量の変動、タンパク質の局在化、翻訳後修飾、コンホメーション状態、変異体または病原体タンパク質の存在などが原因で生じる異常なタンパク質を特徴とする疾患および機能障害を含むことを意図している。同様に、疾患または機能障害は、多糖およびガングリオシドを含むがこれに限定されるものではない変動分子(alterations molecules)を特徴とするものであってもよい。過剰については、正常に比して分子レベルでの過発現、作用部位での遷延または蓄積された出現またはタンパク質の活性増大を含むがこれに限定されるものではない、どのような原因によるものであってもよい。この定義に含まれるのは、タンパク質の減少を特徴とする疾患および機能障害である。この減少は、正常に比べて分子レベルでの発現の減少、作用部位での短縮または減少された出現、タンパク質のバリアントフォームまたはタンパク質の活性低下を含むがこれに限定されるものではない、どのような原因によるものであってもよい。このようなタンパク質の過剰または減少については、正常な発現、出現またはタンパク質の活性との比較で測定可能であり、前記測定は、本発明の抗CD30抗体の開発および/または臨床試験で重要な役割を果たすことがある。
本願明細書にて「癌」および「癌性」は、一般に細胞の増殖が無秩序になることを特徴とする哺乳動物での生理学的症状を示すまたは説明するものである。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫(脂肪肉腫を含む)、神経内分泌腫瘍、中皮腫、神経鞘腫、髄膜腫、腺癌、黒色腫および白血病またはリンパ球悪性腫瘍を含むがこれに限定されるものではない。
特に、このような癌の例としては、ホジキンリンパ腫などの造血器腫瘍;非ホジキンリンパ腫(バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ種/慢性リンパ性白血病、菌状息肉腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、毛様細胞白血病およびリンパ形質細胞性白血病)、B細胞急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫およびT細胞急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫をはじめとするリンパ球前駆細胞の腫瘍、胸腺腫、末梢T細胞白血病、成人T細胞白血病/T細胞リンパ腫および大顆粒リンパ性白血病をはじめとする成熟T細胞およびNK細胞の腫瘍、ランゲルハンス細胞組織球増多症、成熟AML、分化のないAML、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病および急性単球性白血病をはじめとする急性骨髄性白血病などの骨髄腫瘍、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病を含む慢性骨髄増殖性疾患;神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、星状膠細胞、髄芽細胞腫、上衣腫および網膜芽細胞腫などの中枢神経系の腫瘍;頭部および頸部(上咽頭癌、唾液腺癌および食道癌など)、肺(小細胞肺癌、非小細胞性肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫など)、消化器系(消化器癌をはじめとする胃(gastric)癌または胃(stomach)癌、胆管または胆道の癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、肛門癌など)、生殖系(精巣癌、陰茎癌または前立腺癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、子宮頚癌、卵巣癌および子宮内膜癌など)、皮膚(黒色腫、基底細胞癌腫、扁平上皮細胞癌、日光角化症など)、肝臓(肝臓癌、肝癌、肝細胞癌および肝細胞腫など)、骨(骨巨細胞腫および溶骨性骨癌など)、別の組織および臓器(膵臓癌、膀胱癌、腎臓癌または腎癌、甲状腺癌、乳癌、腹膜の癌、カポジ肉腫)の固形腫瘍、脈管系の腫瘍(血管肉腫および血管周囲細胞腫など)があげられる。
本願明細書の「自己免疫疾患」には、同種間膵島移植拒絶、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性心筋炎、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性蕁麻疹、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、キャッスルマン症候群、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、第VIII因子欠乏症、線維筋痛−線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主病(GVHD)、橋本甲状腺炎、血友病A、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、IgM多発ニューロパチー、免疫性の血小板減少、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、紅斑性狼瘡、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、I型糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎および皮膚筋炎、primary agammaglobinulinemia、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー(Reynauld)現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン(Sjorgen)症候群、実質臓器移植拒絶、全身硬直症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎(temporal arteristis)/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、疱疹状皮膚炎脈管炎(dermatitis herpetiformis vasculitis)などの血管炎、白斑およびウェゲナー(Wegner)肉芽腫症がある。
本願明細書の「炎症性疾患」は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性化膿性関節炎、アジュバント関節炎(Prakkenら、Springer Semin Immunopathol.、2003年8月;25(1):47〜63、その全体を援用する)、若年性特発性関節炎(de Kleerら、Arthritis Rheum.2003年7月;47(7):2001〜10、その全体を援用する)、アレルギー性脳脊髄炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性血管炎、アレルギー、喘息、アテローム性動脈硬化症、慢性細菌感染またはウイルス感染による慢性炎症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、冠動脈疾患、脳炎、炎症性腸疾患、炎症性骨溶解、急性および遅延型過敏反応に関連した炎症、腫瘍に関連した炎症、末梢神経損傷または脱髄疾患、火傷および虚血などの組織外傷に関連した炎症、髄膜炎による炎症、多臓器損傷症候群、肺線維症、敗血症および敗血症ショック、スティーブンス・ジョンソン症候群、未分化関節化膿症(arthropy)および未分化脊椎関節症を含む。
本願明細書の「感染性疾患」は、ウイルス、細菌、真菌、原虫および寄生虫などの病原体によって引き起こされる疾患を含む。感染性疾患は、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、デング熱、エプスタイン・バー、ハンタ、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、単純ヘルペスI型、単純ヘルペスII型、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザ、麻疹、流行性耳下腺炎、パポバウイルス、ポリオ、呼吸器多核体ウイルス、牛疫、ライノウイルス、ロタウイルス、風疹、SARSウイルス、天然痘、ウイルス性髄膜炎などをはじめとするウイルスによって引き起こされることがある。また、感染疾患(infections diseases)は、Bacillus antracis、Borrelia burgdorferi、Campylobacter jejuni、Chlamydia trachomatis、Clostridium botulinum、Clostridium tetani、Diptheria、E.coli、Legionella、Helicobacter pylori、Mycobacterium rickettsia、Mycoplasma nesisseria、Pertussis、Pseudomonas aeruginosa、S.pneumonia、Streptococcus、Staphylococcus、Vibria cholerae、Yersinia pestisなどをはじめとする細菌によって引き起こされることもある。また、感染性疾患は、Aspergillus fumigatus、Blastomyces dermatitidis、Candida albicans、Coccidioides immitis、Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Penicillium marneffeiなどの真菌によって引き起こされることもある。さらに、感染性疾患は、クラミジア、kokzidioa、リーシュマニア、マラリア、リケッチア、トリパノソーマなどの原虫および寄生虫によって引き起こされることもある。
さらに、本発明の抗体を利用して、鬱血性心不全(CHF)、心筋炎および心筋の他の症状などの心臓病;酒さ(rosecea)、ざ瘡および湿疹などの皮膚症状;骨量減少、骨粗鬆症、パジェット病、ランゲルハンス細胞性組織球症、歯周病、廃用性骨減少症、骨軟化症、単骨性線維性骨異形成症、多骨性線維性骨異形成症、骨転移、骨痛管理、体液性悪性高カルシウム血症、歯周組織再生、脊髄損傷および骨折などの骨および歯の症状;ゴーシェ病などの代謝症状;クッシング症候群などの内分泌症状;神経症状を含むがこれに限定されるものではない、別の症状を防止または処置することができる。
製剤
本発明の抗CD30抗体と1つ以上の治療的活性薬剤とを配合した医薬品組成物が企図される。本発明の抗CD30抗体の製剤は、純度が所望の程度の前記抗CD30抗体と、薬学的に許容される最適なキャリア、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences第16版、Osol,A.編、1980)とを、凍結乾燥製剤または水溶液の形で混合することで、貯蔵用に調製される。許容可能なキャリア、賦形剤または安定剤は、使用する薬用量と濃度でレシピエントにとって非毒性のものであり、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンをはじめとする酸化防止剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノールアルコール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;m−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンをはじめとする単糖類および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖類;甘味料および他の香味料;微結晶セルロース、ラクトース、コーンスターチおよび他のスターチなどのフィラー;結合剤;添加剤;着色料;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(Zn−タンパク質錯体など);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤を含む。好ましい一実施形態では、本発明の抗CD30抗体を含む医薬品組成物は、酸と塩基の両方の付加塩を含むことを意図した薬学的に許容される塩として存在するなど、水溶性の形態でもよい。「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性を保持し、かつ、生物学的またはそれ以外の観点で望ましくないものではなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸ならびに、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸との間で形成される塩を示す。「薬学的に許容される塩基付加塩」には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などの無機塩基由来のものが含まれる。特に好ましいのが、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩である。薬学的に許容される非毒性有機塩基由来の塩としては、第1級、第2級および第3級アミンの塩、天然に存在する置換アミンをはじめとする置換アミン、環状アミン、さらには、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミンなどの塩基性イオン交換樹脂がある。in vivoでの投与に使用される製剤は、好ましくは滅菌されたものである。これは、滅菌濾過膜で濾過するか、それ以外の方法などで容易に実現できるものである。
また、本願明細書にて開示する抗CD30抗体を、免疫リポソームとして配合することもできる。リポソームは、治療薬を哺乳動物に送達するのに有用なさまざまなタイプの脂質、リン脂質および/または界面活性剤を含む小さなベシクルである。抗CD30抗体を含有するリポソームは、Epsteinら、1985、Proc Natl Acad Sci USA、82:3688;Hwangら、1980、Proc Natl Acad Sci USA、77:4030;米国特許第4,485,045号明細書;米国特許第4,544,545号明細書;PCT国際公開第97/38731号パンフレット(各々その内容を全体として援用する)に記載されているものなどの従来技術において周知の方法で調製される。循環時間を増したリポソームが、米国特許第5,013,556号明細書に開示されている。リポソームの成分は一般に、生物学的膜の脂質構造と同様の二重膜形式で作られる。ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物での逆相蒸発法を用いると、特に有用なリポソームを生成することが可能である。規定の孔サイズのフィルタを使ってリポソームを押し出し、所望の直径のリポソームを得る。リポソームに、化学治療薬または他の治療的活性薬剤を任意に含有させる(Gabizonら、1989、J National Cancer Inst 81:1484、その全体を援用する)。
また、抗CD30抗体および他の治療的活性薬剤を、コアセルベーション法、界面重合(たとえばヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルまたはポリ−(メチルメタシレート(methylmethacylate))マイクロカプセルを利用)、コロイド薬剤送達系(たとえば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)およびマクロエマルジョンを含むがこれに限定されるものではない方法で調製されたマイクロカプセルに封入してもよい。このような手法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences第16版、Osol,A編、1980(その全体を援用する)に開示されている。徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適な例としては、固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスがあげられるが、この場合のマトリクスは、フィルムまたはマイクロカプセルなどの造形品の形である。徐放性マトリクスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(たとえば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号明細書、その全体を援用する)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタミン酸塩とのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、Lupron Depot(登録商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドで構成される注射可能なミクロスフェア)などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、ポリ−DL−ラクチド−コ−グリコリド(PLG)のマトリクスに取り込まれた所望の生物活性分子で構成されたミクロスフェアベースの送達系である、ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸およびProLease(登録商標)(Alkermesから商業入手可能)があげられる。
投与
好ましくは滅菌水溶液の形で本発明の抗CD30抗体を含む医薬品組成物の投与については、経口的、皮下、静脈内、鼻腔内、intraotically、経皮的、局所的(ゲル、軟膏、ローション、クリームなど)、腹腔内、筋肉内、肺内、経膣的、非経口的、経直腸的または眼内への投与を含むがこれに限定されるものではない、さまざまな方法で行うことができる。たとえば創傷や炎症などの処置など場合によっては、抗CD30抗体を溶液またはスプレーとして直接塗布してもよい。従来技術において周知のように、導入方法に応じて医薬品組成物を配合してもよい。
状況によっては、患者が医薬品組成物を自己投与できるがゆえに皮下投与が好ましいことがある。多くのタンパク質治療薬は、治療的に有効な用量の製剤を皮下投与に許容可能な最大容量で投与できるほどの効き目はない。アルギニン−HCl、ヒスチジンおよびポリソルベートを含むタンパク質製剤を用いることで、この問題にある程度は対処できる(国際公開第04091658号明細書(その全体を援用する)を参照のこと)。本発明の抗CD30抗体は、たとえば、力価が増し、血清半減期が改善され、あるいは溶解性が亢進されることから、皮下投与に合わせやすくなることがある。
従来技術において周知のように、タンパク質治療薬は、IV注入またはボーラス投与で送達されることが多い。また、本発明の抗CD30抗体は、このような方法を用いて送達されることもある。たとえば、投与は、注入ビヒクルとして0.9%塩化ナトリウムを用いて、点滴静注による静脈へのものであってもよい。
また、吸入器またはネブライザと、エアロゾル化剤を含む製剤とを用いて、肺送達を実現してもよい。たとえば、Aradigmから商業入手可能なAERx(登録商標)吸入可能(inhalable)技術あるいは、Nektar Therapeuticsから商業入手可能なInhance(商標)肺送達系を利用することができる。本発明の抗CD30抗体は、肺内送達に合わせやすくなることがある。FcRnが肺内に存在し、肺から血流への搬送を促進できることがある(Syntonix国際公開第04004798号パンフレット、Bitontiら(2004)Proc.Nat.Acad.Sci.101:9763〜8、両方ともその全体を援用する)。したがって、肺内でFcRnを一層効果的に結合する、あるいは、血流中に一層効果的に放出される抗CD30抗体では、肺内への投与後にバイオアベイラビリティが改善されることがある。本発明の抗CD30抗体は、たとえば溶解性が改善される、あるいは等電点が変化することで、肺内への投与に合わせやすくなることもある。
さらに、本発明の抗CD30抗体は、たとえば、胃のpHでの安定性が改善され、タンパク質分解に対する耐性が増すことで、経口送達に合わせやすくなることもある。さらに、FcRnは、成人の腸上皮で発現されるようにみえる(Dickinsonら(1999)、J.Clin.Invest.104:903〜11、その全体を援用する)ため、FcRn相互作用プロファイルが改善された本発明の抗CD30抗体を経口投与後に、そのバイオアベイラビリティが亢進されることがある。抗CD30抗体のFcRnによる搬送は、胃腸管、気道、生殖器における膜など他の粘膜で起こる場合もある(Yoshidaら(2004)Immunity 20:769〜83、その全体を援用する)。
加えて、多数の送達系のうちのいずれも従来技術において周知であり、本発明の抗CD30抗体の投与に利用できるものである。例としては、リポソーム、微粒子、ミクロスフェア(PLA/PGAミクロスフェアなど)への封止などがあげられるが、これに限定されるものではない。あるいは、膜や線維をはじめとする、多孔性、非多孔性またはゼラチン質の物質の植え込みを利用してもよい。徐放性の系は、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド、L−グルタミン酸とエチル−L−グルタミン酸塩とのコポリマー、エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(登録商標)などの乳酸−グリコール酸コポリマー、ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸などのポリマー材料またはマトリクスを含むものであってもよい。また、本発明の抗CD30抗体をコードする核酸を、たとえばレトロウイルス感染、直接注射あるいは、脂質、細胞表面レセプターまたは他のトランスフェクションエージェント(transfection agent)でのコーティングによって投与することも可能である。いずれの場合も、徐放(controlled release)系を利用して、抗CD30抗体を所望の作用部分またはその近くに放出すればよい。
用量
投薬量および投与頻度は、好ましい実施形態では、治療的または予防的に効果的なように選択される。従来技術において周知のように、タンパク質分解、全身送達なのか局所送達なのか、新たなプロテアーゼの合成率ならびに、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時刻、薬剤相互作用、症状の重篤度の調整が必要な場合があり、当業者であればこれを日常の実験で特定することができよう。
製剤中の治療的に活性な抗CD30抗体の濃度は、約0.1から100重量%で可変である。好ましい一実施形態では、抗CD30抗体の濃度は0.003から1.0モルの範囲である。患者を処置するには、治療的に有効な用量の本発明の抗CD30抗体を投与すればよい。本願明細書における「治療的に有効な用量」は、投与の目的である効果が得られる用量を意味する。厳密な用量は、処置の目的によって異なり、周知の手法を用いて当業者が特定できるものである。薬用量は、体重1kgあたり0.0001から100mg以上の範囲であればよく、たとえば体重1kgあたり0.1、1、10または50mgで、1から10mg/kgが好ましい。
いくつかの実施形態では、単回用量の抗CD30抗体のみを用いる。他の実施形態では、複数用量の抗CD30抗体を投与する。投与から次の投与までの経過時間は、1時間未満、約1時間、約1〜2時間、約2〜3時間、約3〜4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約2〜4日間、約4〜6日間、約1週間、約2週間または2週間を超える時間であればよい。
他の実施形態では、本発明の抗CD30抗体を、持続点滴または頻回投与のいずれかで、休薬期間を延ばさない、メトロノームのような投薬レジメンで投与する。こうしたメトロノームのような投与では、休薬期間をとらずに一定間隔での投薬が必要になることがある。一般に、このようなレジメンには、たとえば1〜2日間、1〜2週間、1〜2ヶ月間、あるいは最大6ヶ月間またはそれを超える長期にわたる慢性的な低用量点滴または持続点滴が包含される。用量を減らして用いると、副作用と休薬期間の必要性を最小限に抑えられることがある。
特定の実施形態では、本発明の抗CD30抗体と1つ以上の他の予防薬または治療薬を、周期的に患者に投与する。サイクリング療法では、第1の薬剤をある時点で投与し、第2の薬剤を別の時点で投与し、任意にさらに別の薬剤を別の時点で投与して、任意に休薬期間をとった後、この投与シーケンスを1回以上繰り返すことになる。サイクル数は一般に、2〜10である。サイクリング療法を用いると、1つ以上の薬剤に対する耐性の発達を低減することができ、副作用を最小限に抑えることができ、あるいは、処置効力を改善することができる。
併用療法
本発明の抗CD30抗体を、1つ以上の他の治療レジメンまたは治療剤と併用して投与してもよい。別の治療レジメンまたは治療剤を利用すると、抗CD30抗体の効力または安全性を改善できることがある。また、別の治療レジメンまたは治療剤を用いて、抗CD30抗体の作用を変化させるのではなく同じ疾患または併存症を処置してもよい。たとえば、本発明の抗CD30抗体を、化学療法、放射線療法との併用あるいは、化学療法と放射線療法の両方との併用で患者に投与することができる。本発明の抗CD30抗体は、細胞毒剤、化学治療薬、サイトカイン、成長阻害剤、抗ホルモン剤、キナーゼインヒビター、抗血管形成剤、心血管保護薬、免疫賦活剤、免疫抑制剤、さらには、血液細胞、血管形成インヒビター、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)インヒビター、別の抗CD30抗体、FcγRIIbまたは他のFcレセプターインヒビターの増殖を促進する薬剤または他の治療薬を含むがこれに限定されるものではない、1つ以上の他の予防薬または治療薬との組み合わせで投与できるものである。
「組み合わせで」および「同時投与」という表現は、前記予防薬または治療薬を厳密に同時に投与することに限定されるものではない。そうではなく、本発明の抗CD30抗体および他の薬剤(単数または複数)を、これらが一緒に作用して、本発明の抗CD30抗体または他の薬剤(単数または複数)のいずれかだけを用いて処置した場合よりも大きな利点が得られるように、一定時間内に順に投与することを意味する。抗CD30抗体と他の薬剤(単数または複数)とが相加的に作用すると好ましく、相乗的に作用すると特に好ましい。このような分子は、意図した目的で有効な量で適宜組み合わせられて存在する。熟練した医師であれば、経験的にあるいは薬剤の薬物動態と作用モードとを考慮して、各治療薬の適切な用量(単数または複数)ならびに適切な投与タイミングと投与方法を判断することが可能である。
一実施形態では、本発明の抗CD30抗体を、抗体またはFcを含む1つ以上の別の分子と一緒に投与する。本発明の抗CD30抗体は、同じ疾患または別の併用症の処置にあたって効力のある1つ以上の他の抗体と同時投与できるものである;たとえば、特定のタイプの癌で過発現される2種類の抗原、あるいは、自己免疫疾患または感染性疾患の発病を媒介する2種類の抗原を認識する2種類の抗体を投与してもよい。
同時投与できる抗癌抗体の例として、Panorex(商標)(エドレコロマブ)などの抗17−IA細胞表面抗原抗体;抗4〜1BB抗体;抗4Dc抗体;A33およびCDP−833などの抗A33抗体;ナタリズマブなどの抗α4β1インテグリン抗体;LDP−02などの抗α4β7インテグリン抗体;F−200、M−200およびSJ−749などの抗αVβ1インテグリン抗体;アブシキシマブ、CNTO−95、Mab−17E6およびVitaxin(商標)などの抗αVβ3インテグリン抗体;5G1.1などの抗補体因子5(C5)抗体;OvaRex(登録商標)(オレゴボマブ)などの抗CA125抗体;Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)およびRexomabなどの抗CD3抗体;IDEC−151、MDX−CD4、OKT4Aなどの抗CD4抗体;Oncolysin BおよびOncolysin CD6などの抗CD6抗体;HB2などの抗CD7抗体;B43、MT−103およびOncolysin Bなどの抗CD19抗体;2H7、2H7.v16、2H7.v114、2H7.v115、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)およびZevalin(登録商標)(イブリツモマブ・チウキセタン)などの抗CD20抗体;Lymphocide(商標)(エピラツズマブ)などの抗CD22抗体;IDEC−152などの抗CD23抗体;バシリキシマブおよびZenapax(登録商標)(ダクリズマブ)などの抗CD25抗体;AC10、MDX−060およびSGN−30などの抗CD30抗体;Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブ・オゾガマイシン)、Oncolysin MおよびSmart M195などの抗CD33抗体;抗CD38抗体;SGN−40およびトラリズマブなどの抗CD40抗体;5c8、Antova(商標)およびIDEC−131などの抗CD40L抗体;ビバツズマブ(bivatuzumab)などの抗CD44抗体;抗CD46抗体;Campath(登録商標)(アレムツズマブ)などの抗CD52抗体;SC−1などの抗CD55抗体;huN901−DM1などの抗CD56抗体;MDX−33などの抗CD64抗体;XR−303などの抗CD66e抗体;IMMU−110などの抗CD74抗体;ガリキシマブおよびIDEC−114などの抗CD80抗体;MDX−214などの抗CD89抗体;抗CD123抗体;B−B4−DM1などの抗CD138抗体;AA−98などの抗CD146抗体;抗CD148抗体;cT84.66、ラベツズマブ(labetuzumab)およびPentacea(商標)などの抗CEA抗体;MDX−101などの抗CTLA−4抗体;抗CXCR4抗体;ABX−EGF、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ)、IMC−C225およびMerck Mab425などの抗EGFR抗体;Crucell’の抗EpCAM、ING−1およびIS−IL−2などの抗EpCAM抗体;抗エフリンB2/EphB4抗体;Herceptin(登録商標)、MDX−210などの抗Her2抗体;シブロツズマブ(sibrotuzumab)などの抗FAP(線維芽細胞活性化タンパク質)抗体;NXT−211などの抗フェリチン抗体;抗FGF−1抗体;抗FGF−3抗体;抗FGF−8抗体;抗FGFR抗体、抗フィブリン抗体;WX−G250およびRencarex(登録商標)などの抗G250抗体;EMD−273063およびTriGemなどの抗GD2ガングリオシド抗体;BEC2、KW−2871およびミツモマブなどの抗GD3ガングリオシド抗体;ReoProなどの抗gpIIb/IIIa抗体;抗ヘパリナーゼ抗体;Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、MDX−210およびペルツズマブなどの抗Her2/ErbB2抗体;Oncolym(登録商標)、Smart1D10などの抗HLA抗体;抗HM1.24抗体;ICM3などの抗ICAM抗体;抗IgAレセプター抗体;CP−751871およびEM−164などの抗IGF−1抗体;IMC−A12などの抗IGF−1R抗体;CNTO−328およびエルシリモマブ(elsilimomab)などの抗IL−6抗体;HuMax(商標)−IL15などの抗IL−15抗体;抗KDR抗体;抗ラミニン5抗体;Hu3S193およびIGN−311などの抗ルイスY抗原抗体;抗MCAM抗体;BravaRexおよびTriAbなどの抗Muc1抗体;ERIC−1およびICRTなどの抗NCAM抗体;TheragynおよびTherexなどの抗PEM抗原抗体;抗PSA抗体;IG8などの抗PSCA抗体;抗Ptk抗体;抗PTN抗体;AMG−162などの抗RANKL抗体;抗RLIP76抗体;Monopharm Cなどの抗SK−1抗原抗体;抗STEAP抗体;CC49−SCAおよびMDX−220などの抗TAG72抗体;CAT−152などの抗TGF−β抗体;CDP571、CDP870、D2E7、Humira(登録商標)(アダリムマブ)およびRemicade(登録商標)(インフリキシマブ)などの抗TNF−α抗体;抗TRAIL−R1およびTRAIL−R2抗体;抗VE−カドヘリン−2抗体;Antegren(商標)などの抗VLA−4抗体があげられるが、これに限定されるものではない。さらに、GD3エピトープ抗体BEC2およびgp72エピトープ抗体105AD7を含むがこれに限定されるものではない抗イディオタイプ抗体を利用してもよい。加えて、抗CD3/CD20抗体Bi20を含むがこれに限定されるものではない二重特異性抗体を利用してもよい。
自己免疫疾患または炎症性疾患、移植片拒絶、GVHDなどの処置のために同時投与できる抗体の例としては、LDP−02などの抗α4β7インテグリン抗体、LDP−01などの抗ベータ2インテグリン抗体、5G1.1などの抗補体(C5)抗体、BTI−322、MEDI−507などの抗CD2抗体、OKT3などの抗CD3抗体、SMART抗CD3、IDEC−151、MDX−CD4、OKT4Aなどの抗CD4抗体、抗CD11a抗体、IC14などの抗CD14抗体、抗CD18抗体、IDEC152などの抗CD23抗体、Zenapaxなどの抗CD25抗体、5c8、Antova、IDEC−131などの抗CD40L抗体、MDX−33などの抗CD64抗体、IDEC−114などの抗CD80抗体、ABX−CBLなどの抗CD147抗体、CDP850などの抗E−セレクチン抗体、ReoPro/Abciximaなどの抗gpIIb/IIIa抗体、ICM3などの抗ICAM−3抗体、VX−740などの抗ICE抗体、MDX−33などの抗FcγR1抗体、rhuMab−E25などの抗IgE抗体、SB−240683などの抗IL−4抗体、SB−240563、SCH55700などの抗IL−5抗体、ABX−IL8などの抗IL−8抗体、抗インターフェロンガンマ抗体、CDP571、CDP870、D2E7、Infliximab、MAK−195Fなどの抗TNFa抗体、Antegrenなどの抗VLA−4抗体があげられるが、これに限定されるものではない。自己免疫疾患または炎症性疾患、移植片拒絶、GVHDなどの処置のために同時投与できる他のFc含有分子の例としては、p75TNFレセプター/Fc融合Enbrel(登録商標)(エタネルセプト)およびRegeneron社のIL−1trapがあげられるが、これに限定されるものではない。
感染性疾患の処置のために同時投与できる抗体の例としては、ABthraxなどの抗炭疽抗体、CytoGamおよびセビルマブ(sevirumab)などの抗CMV抗体、CryptoGAM、Sporidin−Gなどの抗クリプトスポリジウム抗体、Pyloranなどの抗ヘリコバクター抗体、HepeX−B、Nabi−HBなどの抗B型肝炎抗体、HRG−214などの抗HIV抗体、フェルビズマブ(felvizumab)、HNK−20、パリビズマブ、RespiGamなどの抗RSV抗体、Aurexis、Aurograb、BSYX−A110およびSE−Mabなどの抗ブドウ球菌抗体があげられるが、これに限定されるものではない。
あるいは、本発明の抗CD30抗体を、同時投与あるいは、1つ以上のFcレセプターへの結合と競合する1つ以上の他の分子と一緒に投与してもよい。たとえば、抑制性レセプターであるFcγRIIbのインヒビターを同時投与することで、エフェクター機能が増す場合がある。同様に、FcγRIIIaなどの活性化レセプターのインヒビターを同時投与することで、不要なエフェクター機能を最小限に抑えられる場合がある。Fcレセプターインヒビターとしては、FcγRIIb、FcγRIIIaまたは他のFcレセプターに対する結合の競合的阻害剤として作用するように改変されたFc分子ならびに他の免疫グロブリンおよび具体的にはIVIg(静脈内免疫グロブリン)と呼ばれる処置(treatment)があげられるが、これに限定されるものではない。一実施形態では、抗CD30抗体の投与前にインヒビターを投与して作用させる。逐次投薬の効果を発揮するための別の方法として、Fcレセプターインヒビターの即時型剤形を提供した後、本発明の抗CD30抗体の徐放性製剤を提供することがある。この即時型製剤と徐放性(controlled release)製剤については、別々に投与することも可能であるし、組み合わせてひとつの単位剤形にすることも可能である。また、FcγRIIbインヒビターの投与を利用して、たとえば血友病患者への第VIII因子投与後の抗第VIII因子抗体応答などの不要な免疫応答を制限することもできる。
一実施形態では、本発明の抗CD30抗体を化学治療薬と一緒に投与する。「化学治療薬」を本願明細書で使用する場合、癌の処置に有用な化合物を意味する。化学治療薬の例としては、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN(商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、イソプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホネート;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎;フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロライドおよびゴセレリンなどの抗アンドロゲン;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルチノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;たとえば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ抑制性4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストンおよびトレミフェン(Fareston)をはじめとする抗エストロゲン;メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスファオラミド(triethylenethiophosphaoramide)およびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)をはじめとするエチレンイミンおよびメチルメラミン;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充薬;クロランブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロ尿素;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;アルギニンデイミナーゼおよびアスパラギナーゼなどのタンパク質;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FUなどのピリミジン類似体;たとえば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhne−Poulenc Rorer、Antony、France);トポイソメラーゼインヒビターRFS2000などのタキサン;チミジル酸合成酵素インヒビター(Tomudexなど);アセグラトンをはじめとする別の化学治療薬;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジクォン;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);エルフォルニチン(elformithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクォン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン(urethan);ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビンを含むがこれに限定されるものではない。上記のうち任意の物質の薬学的に許容される塩、酸または誘導体も利用できる。
化学療法剤または他の細胞毒剤をプロドラッグとして投与してもよい。「プロドラッグ」を本願明細書で使用する場合、親の薬剤よりも腫瘍細胞に対する細胞毒性が低く、酵素的に付活または活性の高い親の形態に変換可能な、薬学的に活性な物質の前駆体または誘導体の形態を意味する。たとえば、Wilman、1986、Biochemical Society Transactions、615th Meeting Belfast、14:375〜382;Stellaら、「Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」Directed Drug Delivery;およびBorchardtら(編):247〜267、Humana Press、1985(各々その内容を全体として援用する)を参照のこと。本発明で利用できるプロドラッグには、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、ベータ−ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグ(一層活性が高い細胞毒性の遊離薬物に変換可能)を含むがこれに限定されるものではない。本発明の抗CD30抗体とともに用いるプロドラッグ形態への誘導体化可能な細胞毒性薬剤の例としては、上述した化学治療薬のいずれをも含むがこれに限定されるものではない。
さまざまな他の治療薬を本発明の抗CD30抗体の投与に利用できる。一実施形態では、抗CD30抗体を抗血管形成剤と一緒に投与する。「抗血管形成剤」を本願明細書で使用する場合、血管の形成をある程度ブロックまたは干渉する化合物を意味する。抗血管新生因子は、たとえば、小分子またはタンパク質、たとえば、血管形成の促進に関与する成長因子または成長因子受容体に結合する抗体、Fc融合物またはサイトカインであってもよい。本願明細書にて好ましい抗血管新生因子は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と結合する抗体である。たとえば、VEGFまたはVEGF−R発現のレベルを低減させるRNAベースの治療薬、VEGF−毒素融合物、Regeneron社のVEGF−trapなど、VEGFによるシグナル伝達を抑制する他の薬剤や、VEGF−Rを結合する抗体などを利用してもよい。別の実施形態では、抗CD30抗体を、CTLA−4を標的する抗体など、適応免疫応答を誘導または亢進させる治療薬と一緒に投与する。別の抗血管形成剤として、アンジオスタチン(プラスミノーゲンフラグメント)、抗トロンビンIII、angiozyme、ABT−627、Bay12〜9566、ベネフィン、ベバシズマブ、ビスホスホネート、BMS−275291、軟骨由来のインヒビター(CDI)、CAI、CD59相補フラグメント、CEP−7055、Col3、コンブレタスタチンA−4、エンドスタチン(コラーゲンXVIIIフラグメント)、ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、フィブロネクチンフラグメント、gro−beta、ハロフジノン、ヘパリナーゼ、ヘパリン六糖(heparin hexasaccharide)フラグメント、HMV833、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、IM−862、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターフェロン誘導性タンパク質10(IP−10)、インターロイキン−12、クリングル5(プラスミノーゲンフラグメント)、marimastat、メタロプロテイナーゼインヒビター(TIMPなど)、2−メソディエストラジオール(methodyestradiol)、MMI270(CGS27023A)、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(PAI)、血小板因子−4(PF4)、プリノマスタット、プロラクチン16kDaフラグメント、プロリフェリン慰安連タンパク質(PRP)、PTK787/ZK222594、レチノイド、solimastat、スクアラミン、SS3304、SU5416、SU6668、SU11248、テトラヒドロコルチゾール−S、テトラチオモリブデン酸塩、サリドマイド、トロンボスポンジン−1(TSP−1)、TNP−470、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)、バスキュロスタチン(vasculostatin)、バソスタチン(カルレティキュリンフラグメント)、ZS6126、ZD6474があげられるが、これに限定されるものではない。
好ましい一実施形態では、抗CD30抗体をチロシンキナーゼ阻害剤と一緒に投与する。「チロシンキナーゼ阻害剤」を本願明細書で使用する場合、チロシンキナーゼのチロシンキナーゼ活性をある程度阻害する分子を意味する。このような阻害剤には、PD153035、4−(3−クロロアニリノ)キナゾリンなどのキナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;CGP59326、CGP60261およびCGP62706などのピロロピリミジン;ピラゾロピリミジン、4−(フェニルアミノ)−7H−ピロロ(2,3−d)ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5−ビス(4−フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含有するチルホスチン;PD−0183805(Warner−Lambert);アンチセンス分子(ErbBコード核酸に結合するものなど);キノキサリン(米国特許第5,804,396号明細書);トリホスチン(米国特許第5,804,396号明細書);ZD6474(Astra Zeneca);PTK−787(Novartis/Schering AG);C1−1033(Pfizer)などのpan−ErbBインヒビター;Affinitac(ISIS3521;Isis/Lilly);メシル酸イマチニブ(STI571、Gleevec(登録商標);Novartis);PKI166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);C1−1033(Pfizer);EKB−569(Wyeth);Semaxinib(Sugen);ZD6474(AstraZeneca);PTK−787(Novartis/Schering AG);INC−1C11(Imclone);または以下の特許公報のいずれかに記載されているようなもの:米国特許第5,804,396号明細書;PCT国際公開第99/09016号パンフレット(American Cyanimid);PCT国際公開第98/43960号パンフレット(American Cyanamid);PCT国際公開第97/38983号パンフレット(Warner−Lambert);PCT国際公開第99/06378号パンフレット(Warner−Lambert);PCT国際公開第99/06396号パンフレット(Warner−Lambert);PCT国際公開第96/30347号パンフレット(Pfizer、Inc);PCT国際公開第96/33978号パンフレット(AstraZeneca);PCT国際公開第96/3397(AstraZeneca);PCT国際公開第96/33980号パンフレット(AstraZeneca)、ゲフィチニブ(IRESSA(商標)、ZD1839、AstraZeneca)およびOSI−774(Tarceva(商標)、OSI Pharmaceuticals/Genentech)を含むがこれに限定されるものではない。
もうひとつの実施形態では、抗CD30抗体を1つ以上の免疫調節剤と一緒に投与する。このような薬剤は、1つ以上のサイトカインの生成量を増加または減少させ、自己抗原提示を上方制御または下方制御し、MHC抗原をマスクし、あるいは、1つ以上のタイプの免疫細胞の増殖、分化、遊走または活性化状態を促進することができる。免疫調節剤としては、アスピリン、イブプロフェド(ibuprofed)、セレコキシブ、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、インドメタシン、ケトララック(ketoralac)、オキサプロジン、ナブメントン、スリンダク、トルメンチン(tolmentin)、ロフェコキシブ、ナプロキセン、ケトプロフェンおよびナブメトンなどの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);ステロイド(糖質コルチコイド、デキサメサゾン、コルチゾン、ヒドロキシコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、プロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエンなどのアズルフィジンイコサノイド(azulfidineicosanoid);ならびにアンスラリン、カルシポトリエン、クロベタゾールおよびタザロテンなどの局所用ステロイド);TGFb、IFNa、IFNb、IFNg、IL−2、IL−4、IL−10などのサイトカイン;BAFF、B7、CCR2、CCR5、CD2、CD3、CD4、CD6、CD7、CD8、CD11、CD14、CD15、CD17、CD18、CD20、CD23、CD28、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD52、CD64、CD80、CD86、CD147、CD152、補体因子(C5、D)CTLA4、エオタキシン、Fas、ICAM、ICOS、IFNα、IFNβ、IFNγ、IFNAR、IgE、IL−1、IL−2、IL−2R、IL−4、IL−5R、IL−6、IL−8、IL−9、IL−12、IL−13、IL−13R1、IL−15、IL−18R、IL−23、インテグリン、LFA−1、LFA−3、MHC、セレクチン、TGFβ、TNFα、TNFβ、TNF−R1、T細胞レセプター(Enbrel(登録商標)(エタネルセプト)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)およびRemicade(登録商標)(インフリキシマブ)を含む)に対する抗体、可溶性レセプターおよびレセプターFc融合物を含むサイトカイン、炎症性細胞遊走因子またはレセプターアンタゴニスト;異種抗リンパ球グロブリン;2−アミノ−6−アリール−5置換ピリミジン、MHC結合ペプチドおよびMHCフラグメントの抗イデオタイプ抗体、アザチオプリン、ブレキナール、ブロモクリプチン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、D−ペニシラミン、デオキシスパガリン、FK506、グルタルアルデヒド、金、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、マロノニトリロアミド(malononitriloamide)(レフルノミドなど)、メトトレキサート、ミノサイクリン、ミゾリビン、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシンおよびサルファササジン(sulfasasazine)などの他の免疫調節分子があげられるが、これに限定されるものではない。
別の実施形態では、本発明の抗CD30抗体をサイトカインと一緒に投与する。「サイトカイン」を本願明細書で使用する場合、細胞間メディエータとして特定の細胞に作用する、別の細胞個体群から放出されるタンパク質の総称を意味する。このようなサイトカインの例として、リンフォカイン、モノカイン、従来のポリペプチドホルモンがある。サイトカインに含まれるのは、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)および黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−アルファおよび−ベータ;ミュラー管抑制物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮細胞増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−ベータなどの神経成長因子;血小板成長因子;TGF−アルファおよびTGF−ベータなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様成長因子−Iおよび−II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン−アルファ、ベータおよび−ガンマなどのインターフェロン;マクロファージ−CSF(M−CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF);および顆粒球−CSF(G−CSF);IL−1、IL−1アルファ、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12;IL−15などのインターロイキン(IL)、TNF−アルファまたはTNF−ベータなどの腫瘍壊死因子;LIFおよびキットリガンド(KL)をはじめとする他のポリペプチド因子である。本願明細書で使用する場合、サイトカインという用語には、天然起源または組換え細胞培養物由来のタンパク質ならびに、ネイティブ配列サイトカインの生物学的に活性な等価物が含まれる。
好ましい一実施形態では、免疫系の細胞を刺激するサイトカインまたは他の薬剤を本発明の抗CD30抗体と同時投与する。このような処置モードによって、所望のエフェクター機能が亢進されることがある。たとえば、IL−2を含むがこれに限定されるものではないNK細胞を刺激する薬剤を同時投与することができる。もうひとつの実施形態では、C5a、N−ホルミル−メチオニル−ロイシル−フェニルアラニンなどのホルミルペプチド(Beigier−Bompadreら(2003)、Scand.J.Immunol. 57:221〜8、その全体を援用する)を含むがこれに限定されるものではないマクロファージを刺激する薬剤を同時投与することができる。また、G−CSF、GM−CSFなどを含むがこれに限定されるものではない好中球を刺激する薬剤を投与することもできる。さらに、このような免疫賦活性サイトカインの遊走を促進する薬剤を用いてもよい。また、インターフェロンガンマ、IL−3およびIL−7を含むがこれに限定されるものではない別の薬剤が、1つ以上のエフェクター機能を促進することもある。
別の実施形態では、エフェクター細胞機能を阻害するサイトカインまたは他の薬剤を本発明の抗CD30抗体と同時投与する。このような処置モードによって、不要なエフェクター機能が制限されることがある。
別の実施形態では、抗CD30抗体を、アミノグリコシド抗生物質(アプラマイシン、アルベカシン、バンベルマイシン、ブチロシン、ジベカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、スペクトリノマイシン(spectrinomycin)など)、アミノシクリトール(スペクチノマイシン(sprctinomycin)など)、アムフェニコール抗生物質(アジダムフェニコール、クロラムフェニコール、フロルフルニコール(florfrnicol)およびチアンフェニコール(thiamphemicol)など)、アンサマイシン抗生物質(リファミドおよびリファンピンなど)、カルバペネム(イミペネム、メロペネム、パニペネムなど);セファロスポリン(セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セファゼドン、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフプロジル、セフロキシン、セフィキシム、セファレキシン、セフラジンなど)、セファマイシン(セフブペラゾン、セフォキシチン、セフミノクス、セフメタゾールおよびセフォテタンなど);リンコスアミド(クリンダマイシン、リンコマイシンなど);マクロライド(アジスロマイシン、ブレフェルジンA、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トブラマイシンなど)、モノバクタム(アズトレオナム、カルモナムおよびチゲモナム(tigernonam)など);ムピロシン;オキサセフェム(フロモキセフ、ラタモキセフおよびモキサラクタムなど);ペニシリン(アムジノシリン、アムジノシリンピボキシル、アモキシシリン、バカンピシリン、ベンジルペニシリン酸、ベンジルペニシリンナトリウム、エピシリン、フェンベニシリン(fenbenicillin)、フロキサシリン、ペナメシリン、ペネタメートハイドリオダイド(penethamate hydriodide)、ペニシリンo−ベネタミン、ペニシリンO、ペニシリンV、ペニシリンVベンゾエート、ペニシリンVヒドラバミン、ペニメピサイクリンおよびフェンシヒシリン(phencihicillin)カリウムなど);ポリペプチド(バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、テイコプラニン、バンコマイシンなど);キノロン(アミフロキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、エンロフロキサシン、フェロキサシン(feroxacin)、フルメキン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、グレパフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジキシン酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキソリン酸、ペフロキサシン、ピペミド酸、ロソキサシン、ルフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、トロバフロキサシンなど);リファンピン;ストレプトグラミン(キヌプリスチン、ダルホプリスチンなど);スルホンアミド(スルファニルアミド、スルファメトキサゾール);テトラサイクレン(クロルテトラサイクリン、塩酸デメクロサイクリン、デメチルクロルテトラサイクリン、ドキシサイクリン、デュラマイシン、ミノサイクリン、ネオマイシン、オキシテトラサイクリン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、バンコマイシン)を含むがこれに限定されるものではない1つ以上の抗生物質と一緒に投与する。
アムホテリシンB、シクロピロクス、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ニコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、テルコナゾールおよびチオコナゾールなどの抗真菌剤も利用できる。
I型インターフェロン、ウイルス融合インヒビターおよびノイラミダーゼインヒビターをはじめとする、プロテアーゼインヒビター、逆転写酵素インヒビターなどの抗ウイルス薬も利用できる。抗ウイルス薬の例としては、アシクロビル、アデフォビル、アマンタジン、アンプレナビル、クレバジン(clevadine)、エンフビルチド、エンテカビル、ホスカルネット、ガングシクロビル、イドクスウリジン、インジナビル、ロピナビル、プレコナリル、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、サキナビル、トリフルリジン、ビダラビンおよびジドブジンがあげられるが、これに限定されるものではなく、利用できる。
本発明の抗CD30抗体については、他の治療レジメンと組み合わせることができる。たとえば、一実施形態では、本発明の抗CD30抗体での処置対象となる患者に、放射線療法も施してもよい。この放射線療法は、従来技術において一般に採用され、当業者らに周知のプロトコールに基づいて施すことが可能なものである。このような治療法は、セシウム、イリジウム、ヨウ素またはコバルト放射を含むがこれに限定されるものではない。放射線療法は、全身照射であってもよいし、肺、膀胱または前立腺などの体内または体表面の特定の部位または組織に局所的に向けられたものであってもよい。一般に、放射線療法は、約1から2週間の期間にわたって断続的に施される。しかしながら、これよりも長い期間にわたって放射線療法を施してもよい。たとえば、頭部および頚部の癌がある患者に約6から約7週間の放射線療法を施すことができる。任意に、単回線量または複数の逐次(sequential)線量で放射線療法を施すことができる。熟練した医師であれば、本願明細書にて有用な放射線療法の適切な線量(単数または複数)を経験的に判断することが可能である。本発明のもうひとつの実施形態によれば、本発明の抗CD30抗体および1つ以上の他の抗癌治療薬を用いて、癌細胞をex vivoで処置する。このようなex vivoでの処置は、骨髄移植、特に自家の骨髄移植で有用であろうと企図される。たとえば、癌細胞のある細胞または組織(単数または複数)を抗CD30抗体と上述したような1つ以上の他の抗癌治療薬とで処置して、レシピエント患者での移植前に癌細胞を激減または実質的に激減させることが可能である。
また、放射線療法には、抗体などの同位体的に標識した分子での処置も含むことができる。放射免疫療法の例としては、Zevalin(商標)(Y−90標識抗CD20)、LymphoCide(商標)(Y−90標識抗CD22)およびBexxar(商標)(I−131標識抗CD20)以外を含む(include but)。
もちろん、本発明の抗CD30抗体は、外科手術または光線療法などのさらに他の治療手法との組み合わせで、採用できることが企図される。
本発明の抗CD30抗体と相互作用できる多数のレセプターは、ヒト個体群において多型性である。特定の患者または患者個体群について、本発明の抗CD30抗体の効力が、タンパク質の特異的多型の有無に影響されることがある。たとえば、FcγRIIIAは位置158での多型であり、一般にはV(高親和性)またはF(低親和性)のいずれかである。V/Vホモ接合遺伝子型を持つ患者は、おそらくはこれらの患者がより強いNK応答を開始するがゆえに、抗CD20抗体であるRituxan(登録商標)(リツキシマブ)での処置に対してより良い臨床応答を示すことが観察されている(Dall’Ozzoら(2004)、Cancer Res.64:4664〜9、その全体を援用する)。別の多型としては、FcγRIIA R131またはH131があげられるがこれに限定されるものではなく、このような多型は、多型次第でFc結合とこれに続く生物活性を増すか低下させることが知られている。本発明の抗CD30抗体は、たとえばFcγRIIIA 158Vなどのレセプターの特定の多型形態と優先的に結合できるか、たとえばFcγRIIIAの158Vと158Fの両方の多型などレセプターの特定の位置で同じ親和性ですべての多型と結合することができる。好ましい一実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、多型に対して等価な結合を有することができ(may have)、多型の異なる患者に見られる効力の差をなくすための抗体で使用できる(may be used)。このような特性によって、治療応答に一層高い一貫性を得て、なおかつ応答しない患者個体群を減らすことができる。レセプター多型への結合が等しいこのような変異体Fcでは、関連のFcレセプターへの結合の調節によって、ADCC、CDCまたは循環半減期などの生物活性が増しているか減少している場合がある。好ましい一実施形態では、本発明の抗CD30抗体は、既存の結合の差を倍加させるか、この差をなくしつつ、レセプターの多型のうちのひとつと高めまたは低めの親和性で結合することができるものである。このような特性によって、特にこのような多型を有する患者個体群での効力に合わせた治療薬の生成が可能になることがある。たとえば、FcγRIIBなどの抑制レセプターへの親和性の高い多型を有する患者個体群に、レセプターのこのような多型形態への結合を抑えて抗CD30抗体を含有する薬剤を与えることで、一層有効な薬剤を生成することが可能である。
好ましい一実施形態では、本発明の抗CD30抗体の効力を予測するために、1つ以上の多型について患者をスクリーニングする。この情報を、たとえば、臨床試験に入れるまたは臨床試験から除外する患者の選択、あるいは承認後に、適切な薬用量および処置の選択肢に関して医者や患者にガイダンスを提供するのに用いることができる。たとえば、抗CD20mAbなどのFcγRIIIA 158F抗体薬剤に対してホモ接合またはヘテロ接合の患者では、Rituximabは有効性が最低限である(Carton 2002 Blood 99:754〜758;Weng 2003 J.Clin.Oncol.21:3940〜3947、両方ともその全体を援用する);このような患者は、本発明の抗体に対して一層良い臨床応答を示すことがある。一実施形態では、患者の遺伝子型から、1つ以上の現在用いられている抗体治療薬に比して本発明の抗体に対して一層良く応答するであろうことが示された場合に、これらの患者を本発明の抗体の臨床試験に含める対象として選択する。もうひとつの実施形態では、このような遺伝子型情報を用いて適切な薬用量および治療計画を求める。もうひとつの実施形態では、患者の多型遺伝子型に基づいて、臨床試験に含める対象として、あるいは、治療承認後(therapy post−approval)のレシピエントの対象として患者を選択するが、この場合、このような治療には、このような個体群に対して特異的に効果のあるように改変された抗CD30抗体を含むか、あるいは、このような治療に、多型の異なる形態に対して活性の差を示さない抗CD30抗体を含む。
本発明に含まれるのは、本発明の抗CD30抗体に対して有益な臨床応答を示すであろう患者、あるいは、1つ以上の現在用いられている抗体治療薬に比して本発明の抗CD30抗体で処置した場合に有意に一層良い応答を呈するであろう患者を特定するための診断テストである。従来技術において周知のヒトにおけるFcγR多型を求めるための多数の方法のうちのいずれを用いてもよい。
さらに、本発明は、血液および組織試料などの臨床試料に対して実施される予後判定検査を含む。このような検査では、ADCC、CDC、貪食およびオプソニン化を含むがこれに限定されるものではないエフェクター機能活性あるいは、機序とは関係なく、癌性またはそれ以外の病原体性細胞の死滅をアッセイすることができる。好ましい一実施形態では、上述したものなどのADCCアッセイを利用し、特定の患者について、特定の本発明の抗CD30抗体の効力を予測する。このような情報を用いて、臨床試験に入れるまたは臨床試験から除外する患者を特定したり、適切な薬用量および処置レジメンに関する決定事項を通知したりすることができる。また、このような情報を利用して、このようなアッセイで高めの活性を示す特定の抗CD30抗体を含有する薬剤を選択してもよい。
以下、本発明について例示するための実施例を説明する。これらの実施例は、特定の用途または動作理論のいずれをも制約することを意図したものではない。
免疫グロブリンの可変領域に言及するために、Kabatの番号付けスキームに基づいて位置に番号を振る。免疫グロブリンの定常領域に言及するために、Kabatの分類によるEU指標に基づいて位置に番号を振る(Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、United States Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda)。
実施例1.CD30を標的する抗体Fv領域
米国特許出願第11/004,590号明細書(本願明細書にてその全体を援用する)に記載されているように、ストリング最適化アルゴリズムを適用してヒトでの免疫原性を低減するために抗CD30抗体AC10の変異体(Bowenら、Journal of Immunology、1993、151:5896)(図1に示す配列)を生成した。このアルゴリズムは、多様なヒトVLκおよびVH生殖系列配列に存在する複数のアミノ酸変異を発見的にサンプリングし、宿主ストリングコンテント(host string content)(HSC)を計算するものである。変異体配列の構造的および機能的完全性についても、最近接構造ベースのスコアリング法(2003年12月8日に出願された、発明の名称Protein Engineering with Analogous Contact Environmentsの米国仮特許出願第60/528,229号明細書)を用いて評価した。実験的にキャラクタライズする目的で、一連の変異体重鎖(H1、H2、H3と呼ぶ)および軽鎖(L1、L2、L3と呼ぶ)AC10配列を選択した。
再帰的(recursive)PCRを用いてAC10のWT(L0およびH0)および変異体(L1、L2、L3、H1、H2、H3)の可変領域の遺伝子を作出し、全長軽カッパ(CLκ)および重鎖IgG1定常領域を含む哺乳動物の発現ベクターpcDNA3.1Zeo(Invitrogen)にサブクローニングした。すべての配列を配列決定して、配列の忠実度を確認した。重鎖遺伝子(VH−CH1−CH2−CH3)(野生型または変異体)を含有するプラスミドを、すべての組み合わせ(L0/H0、L0/H1、L0/H2、L0/H3、L1/H0、L1/H1、L1/H2、L1/H3、L2/H0、L2/H1、L2/H2、L2/H3、L3/H0、L3/H1、L3/H2、L3/H3)で、軽鎖遺伝子(VL−CLκ)を含有するプラスミドと一緒に293T細胞に同時トランスフェクトした。ここで、たとえば、L2/H3は、L2 AC10 VLとH3 AC10 VHとの対を示す。トランスフェクションの5日後に培地を回収し、タンパク質A親和性クロマトグラフィ(Pierce、Catalog #20334)を用いて上清から抗体を精製した。
WT抗体と変異体抗体がCD30抗原を結合する能力について、実験的に試験した。定量的かつ極めて感受性の高い方法であるAlphaScreen(商標)アッセイを用いて、AC10のWT抗体と変異体抗体が持つ、ヒトCD30に対する結合親和性を測定した。AlphaScreen(商標)アッセイは、ビーズを利用した非放射活性ルミネッセント近接アッセイである。ドナービーズのレーザー励起によって酸素が励起され、これがアクセプタービーズに十分に近づくと、化学ルミネッセントイベントのカスケードが生成されて、最終的には520〜620nmの蛍光が発光される。このAlphaScreen(商標)アッセイを、抗体スクリーニング用の競合アッセイとして適用した。ストレプトアビジンのドナービーズ(Perkin Elmer)への結合用の標準的な方法で、WTのAC10抗体をビオチン化した。抗DIGアクセプタービーズ(Perkin Elmer)への結合用として、業務用CD30をジゴキシゲニン(DIG)(Roche Diagnostics)にコンジュゲートさせた。競合するAC10変異体が存在しない状態で、WT抗体とCD30とが相互作用し、520〜620nmのシグナルが生成される。タグの付いていないAC10変異体を加えると、WT AC10/CD30相互作用に競合し、蛍光が定量的に減少するため相対的な結合親和性を判断できるようになる。図2aおよび図2bに、AlphaScreen(商標)アッセイを用いた場合のWT(H0L0)およびAC10変異体の抗体のCD30への結合を示す。このデータを、非線形回帰を用いてひとつの部位競合モデルにフィットさせた。これらのフィットを図では曲線で示す。これらのフィットから、抗体ごとの50%抑制濃度(IC50)(すなわち50%抑制に必要な濃度)が分かるため、WTに対する相対的な結合親和性を判断できるようになる。これらの結合曲線へのフィットについての、WTに対するIC50とFold IC50とを図3にあげておく。AC10変異体は、親和性がWTのAC10の親和性に匹敵するかこれよりも良い、CD30を結合する多数の変異体を含む、CD30結合親和性のアレイを示している。
表面プラズモン共鳴(SPR)(Biacore、Uppsala、Sweden)を用いて、AC10変異体の抗原親和性も測定した。SPRは、タンパク質−タンパク質相互作用の親和性と直接結合率を測定できるようにするものであるため、AlphaScreen(商標)アッセイを補う素晴らしい結合アッセイとなる。IgG1のFc領域に融合されたCD30(R&D系)をタンパク質AのSPRチップに固定化し、表面をFcでブロックし、WTおよび変異体のAC10抗体を一定の濃度範囲でチップの上に流した。このようにして得られるセンサーグラムを図4に示す。BiaEvaluation曲線フィッティングソフトウェアを用いて、その曲線についてのオンレート定数(ka)、オフレート定数(kd)、平衡結合定数(KD=kd/ka)として、一連の濃度(concentrations series)についてGlobal Langmuirフィットを実施した。SPRデータでのWTに対するKDおよびFold KDを図3にあげておく。
これらのデータならびに、配列および構造スコアに基づいて、以後の研究用の候補としてH3L3のAC10変異体を選択した。H3とL3のアミノ酸配列を図5にあげておく。
H3L3のAC10変異体配列は、構造的に重要な位置の置換が許されない(または阻止される)HSC増加法を用いて得られるものであるため、これらの位置の変化が二次解析で許容されるのであれば、HSCを別の形で最適化できる可能性が高い。ここで、残基マスクがゆえに、変異体の変異はCDRおよびVL/VH界面から離れた遠位で発生する点に注意されたい。たとえば、計算でマスクした残基および/またはCDRまたはVL/VH界面内またはこれの近くにある残基を突然変異させることで、以後の1つ以上の置換を探索して抗原親和性を高めるまたはHSCをさらに改善することができる。よって、H3/L3変異体を、以後の最適化用の一次変異体またはテンプレートと考えることが可能であり、H3/L3の変異体を二次変異体と考えることが可能である。CDR移植抗体での突然変異(backmutating)とは対照的に、本発明の変異体での二次置換は、宿主生殖系列に関して正変異または中立変異を含むことになるため、改善するのみまたは影響のないHSCが想定される。二次変異体を生成することのもうひとつの利点は、品質構造的(quality structural)およびストリングの多様性を探索することで、たとえば親和性、活性、特異性、溶解性、発現レベル、エフェクター機能などの他の特性を最適化可能なこともあり得ることである。
H3/L3配列のストリング解析を実施し、HSCに対して当たり障りのない影響、プラスの影響または最低限の影響を持つおよび/または抗原親和性および/またはエフェクター機能を最適化できる有意な潜在的可能性を持つ一組の二次置換を設計した。図6に、この70VL(図6a)と64VH(図6b)の単一変異の組を示す。H3の列にはWTのH3アミノ酸を、Subの列には設計した置換を示してある。位置にはKabatの番号付け形式で番号を振り、KabatのCDR位置を太字にしてある。参照ストリングappで規定される、得られるストリングによる影響は、ここではH3/L3である一次変異体配列と二次変異体配列とのHSCの差を説明している。
クイックチェンジ法による突然変異誘発を利用して二次H3/L3変異体を作製し、全長抗体を発現させ、上述したようにして精製した。H3変異体はL3VLとの組み合わせでH3変異体VH鎖(H3.1−H3.64)を含んでおり、L3変異体はH3VHとの組み合わせでL3変異体VL鎖(L3.1−L3.70)を含んでいた。AlphaScreen(商標)アッセイを利用し、ストレプトアビジンのドナービーズとタンパク質Aのアクセプタービーズに直接に結合されたビオチン化AC10を用いて(上述したような)H3/L3二次変異体のCD30およびFcγRIIIaへの結合ならびにタンパク質Aへの結合を測定した。選択AC10変異体のCD30への結合についてのAlphaScreen(商標)結合曲線を図7にあげておく。CD30、FcγRIIIaおよびタンパク質Aと結合させた場合のWTのH3/L3に対するFold IC50を図6に示す。多数のH3/L3二次変異体では、CD30抗原への結合がH3/L3の親と匹敵するか親よりも改善され、これらの置換の組み合わせを含む別の変異体を改変できるようになるが、それによってHSCおよび/または抗原親和性がさらに亢進されることもある。
抗原親和性、エフェクター機能、安定性、溶解性、発現などに関して有益な特性を示す二次置換を、以後の変異体で組み合わせて、一層最適化された治療候補を生成することができる。ここで説明した二次置換の組み合わせを含む、2つの新たなVLと3つの新たなVH変異体を設計した。これをL3.71、L3.72、H3.68、H3.69、H3.70と呼ぶ。これらの新たなAC10 VLおよびVH変異体の各々の配列を図8に示す。これらの変異体は、以下の番号すなわちL3.71−15、L3.72−15、H3.68−23、H3.69−27、H3.70−30の変異がWT(H0/L0)のAC10とは異なる。
これらの変異体を作製し、発現させ、精製した。ヒトCD30への結合を測定しているAlphaScreenデータを図9に示し、これらのデータに対するIC50の親和性およびFold親和性を図10に示す。
さらなるキャラクタリゼーションを行うために、H3.69/L3.71変異体を選択した。図6のデータに基づいて、H3.69/L3.71のAC10変異体で一組の変異体を作製した。これらの変異体を図11にあげておく。データを図12に示し、IC50の親和性およびFold親和性については図11に示す。また、H3.69_V2/L3.71 AC10変異体の配列を図13にあげておく。
実施例2.エフェクター機能を亢進するアミノ酸修飾を持つ抗CD30抗体
ここで提供するAC10変異体抗体は、抗癌治療法の臨床候補であるため、そのエフェクター機能を最適化すると好都合なことがある。上述したように、抗体の定常領域の置換を改変し、有益な臨床特性を得ることが可能である。エフェクター機能を変化させるFc修飾と本発明の変異体との組み合わせが、見込まれている。最も好ましい実施形態では、米国特許出願第10/672,280号明細書、PCT US03/30249および米国特許出願第10/822,231号明細書ならびに、2004年11月12日に発明の名称「Optimized Fc Variant」で出願された米国仮特許出願第60/627,774号明細書(各々その内容を全体として援用する)に記載されているFcγRへの結合を最適化および/またはエフェクター機能を亢進させる1つ以上のアミノ酸修飾を、本発明のAC10変異体と組み合わせる。最適な抗CD30臨床候補は、親の抗CD30抗体よりも免疫原性を低減させ、かつエフェクター機能を亢進させるアミノ酸修飾を含むものであってもよい。
クイックチェンジ法による突然変異誘発(Stratagene)を利用して、I332E、S239D、V264I/I332E、S239D/I332EおよびS239D/A330L/I332Eをはじめとする最適化された多数のFc変異体を、H0/L0およびH3/L0のAC10 IgG1抗体で作製した。上述したように抗体を発現させ、精製した。
AC10変異体がCD30発現細胞に対するエフェクター機能を媒介する能力を見極めるために、細胞ベースのADCCアッセイでAC10変異体を試験した。ヒト末梢血単球(PBMC)を軟膜から単離してエフェクター細胞として利用し、CD30陽性L540ホジキンリンパ腫細胞を標的細胞として利用した。L540標的細胞については、96ウェルのプレートに1ウェルあたり細胞20,000個で播種し、1μg/mlで開始して1/2logステップで希釈しながら、指定された抗体で3重に処置した。フィコール勾配を用いて単離し、FcγRIIIa 158 V/FとしてアロタイプしたPBMCをL540細胞の25倍過剰で加え、4時間かけて同時培養した後に細胞毒性検出キット(LDH、Roche Diagnostic Corporation、Indianapolis、IN)を製造業者の指示どおり用いてLDH活性を処理した。プレートの読み取りにはWallac 1420 Victor2(商標)を利用した。図14aおよび図14bに、最適化されたFc変異体との組み合わせで、WT(H0/L0)とH3/L3のAC10とを比較する形で、ADCCアッセイの結果を示す。これらのグラフから、それぞれの抗体は、そのEC50(その相対力価を反映している)だけでなく、飽和濃度で抗体によって達成可能なADCCの最大レベル(その相対効力を反映している)も異なっていることが分かる。力価と効力という2つの用語は、望ましい臨床特性を示す目的で曖昧に用いられることがある。しかしながら、現在の実験背景では、これらの語は比状態量を示すため、ここでは明確に定義している。現在の実験背景で「力価」を使用する場合、これは抗CD30抗体のEC50を意味する。現在の実験背景で「効力」を使用する場合、これは飽和レベルで得られると思われる抗体の最大限のエフェクター機能を意味する。Fc変異体抗体では、H0/L0およびH3/L3のAC10の場合に比して力価と効力のかなりの亢進が観察される。
ヒトIgG1は、治療用抗体で最も一般的に用いられる定常領域であるが、他の実施形態では他のIgG免疫グロブリン鎖の定常領域またはその変異体を利用してもよい。ADCC、ADCP、CDCおよび血清半減期などのエフェクター機能は、たとえば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgGおよびIgM(Michaelsenら、1992、Molecular Immunology、29(3):319〜326、その全体を援用する)をはじめとするクラスの異なる抗体間で大きく異なる。抗体間のエフェクター機能差の決定基を研究調査するために、多くの研究で、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4変異体を探索している。たとえば、Canfield&Morrison、1991、J.Exp.Med. 173:1483〜1491;Chappelら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88(20):9036〜9040;Chappelら、1993、Journal of Biological Chemistry 268:25124〜25131;Taoら、1991、J.Exp.Med.173:1025〜1028;Taoら、1993、J.Exp.Med.178:661〜667;Redpathら、1998、Human Immunology、59、720〜727(各々その内容を全体として援用する)を参照のこと。従来技術において周知の方法を用いて、タンパク質の互いに有意な配列相同性または構造相同性を有する対応の残基または等価な残基を判断することができる。同様に、このような方法を用いて、たとえば米国仮特許出願第60/621,387号明細書および同第60/629,068号明細書(両方ともその全体を援用する)に記載されているような他の免疫グロブリンクラスからの定常領域を含む抗体のアミノ酸修飾を改変し、最適な特性を得ることが可能である。一例として、鍵となるFcγR結合残基を、これよりもエフェクター機能の良いIgGの対応するアミノ酸(たとえばIgG1など)で置き換えることで、IgG2の比較的良くないエフェクター機能を改善できることがある。たとえば、FcγR結合に関しては、IgG2とIgG1との間の鍵となる残基の差には、P233、V234、A235、−236(IgG1に比してIgG2での欠失を指す)、G327が含まれることがある。よって、これらの残基のうちの1つ以上を対応するIgG1アミノ酸すなわちP233E、V234L、A235L、−236G(位置236でのグリシンの挿入を指す)、G327Aで置き換えた、親のIgG2における1つ以上のアミノ酸修飾によって、エフェクター機能が亢進されることがある。さらに、たとえばS239D、V264I、A330L、I332Eまたは上述したようなこれらの組み合わせなどの1つ以上の別のアミノ酸修飾によって、FcγR結合およびエフェクター機能が親のIgG2よりも亢進されることがある。
本発明の抗CD30抗体で使用できる定常領域のアミノ酸配列を、図15にあげておく。これには、定常軽鎖のカッパ領域、4つのIgGアイソタイプすなわちIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4、IgG2ELLGG定常領域、IgG(1/2)ELLGG定常領域が含まれる。これらの配列は、本発明をこれらの定常領域に制約することを想定したものではない。たとえば、現在の研究ではカッパ定常鎖(Cκ)が用いられていたが、ラムダ定常鎖(Cλ)を採用してもよい。上述したように、さらに修飾をするのであれば、これらの配列を親の分子として機能させてもよい。本発明の抗CD30抗体、具体的にはH3.69_V2/L3.71 AC10 IgG(1/2)ELLGG抗体のうちの1つの全長軽鎖および重鎖のアミノ酸配列を、図16にあげておく。
H3.69_V2/L3.71 IgG1およびIgG(1/2)ELLGG抗体のFc領域で一連のアミノ酸修飾を行い、FcγR親和性が亢進されることで、CD30を標的する抗体のエフェクター機能にどのような影響がおよぶのかを研究調査した。これらの変異体を図17にあげておく。上述したようにして、これらの変異体を作製し、発現させ、精製した。エフェクター機能を媒介する能力の差を探索するために、AlphaScreen(商標)アッセイを利用してFcγRIIIaに対するAC10変異体の親和性を測定した。Mammalian Gene Collection(MGC:22630)で得られたクローンから、PCRを用いてヒトV158 FcγRIIIaの細胞外領域を得て、レセプターにグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)を融合させて、スクリーニングが可能なようにした。タグを付けたFcγRIIIaを293T細胞でトランスフェクトし、分泌されたFcγRIIIaを含有する培地を収穫して精製した。AlphaScreen(商標)アッセイを、FcγRIIIaに対するAC10変異体の結合をスクリーニングするための競合アッセイとして適用した。ビオチン化したWT AC10抗体をストレプトアビジンのドナービーズ(Perkin Elmer)に結合させ、GST融合ヒトV158 FcγRIIIaを抗GSTアクセプタービーズ(Perkin Elmer)に結合させた。結合データを図18に示し、WTに対して得られるIC50およびFold IC50を図19にあげておく。
抗CD30抗体変異体について細胞ベースのADCCアッセイを実施し、そのエフェクター機能特性を研究調査した。ADCCの測定には、DELFIA(登録商標) EuTDAベースの細胞毒性アッセイ(Perkin Elmer)またはLDH細胞毒性検出キット(Roche Diagnostic Corporation、Indianapolis、IN)を用いた。フィコール勾配を利用して、ヒトのPBMCをロイコパックから精製した。ユーロピウムベースの検出では、まずは1×106細胞/mlで標的細胞にBATDAを導入し、4回洗浄した。ユーロピウムベースの検出とLDHベースの検出の両方で、CD30+ L540ホジキンリンパ腫標的細胞を96ウェルのプレートに1ウェルあたり細胞10,000個で播種し、指示された最終濃度でFc変異体またはWT抗体を用いてオプソニン化した。主としてトリトン×100およびPBMC単独を対照として用いた。エフェクター細胞をPBMCと標的細胞との比25:1で加え、プレートを37℃で4時間インキュベートした。Eu3+溶液またはLDH反応混合物のいずれかを用いて細胞をインキュベートし、相対蛍光単位を測定した。データを最大(トリトン)と最小(PBMC単独)溶解に正規化し、非線形回帰を用いてシグモイド用量−応答モデルにフィットさせた。これらのデータを図20にあげておく。これらの結果から、IgG変異体のFcγR結合特性が最適化されるとエフェクター機能が改善されることが分かる。
実施例3.エフェクター機能を亢進させる、修飾された炭水化物を含む抗CD30抗体
本願明細書にて説明した抗体に結合された炭水化物を、修飾してもよい。たとえば、Chowdhury & Wu、2005、Methods 36:11〜24(全体として本願明細書に援用する)に記載されているようにして抗体を修飾することができる。
糖改変。IgG分子には、その重鎖各々とFc部分の一部にAsn297と結合された2つのN−リンクグリカン鎖が含まれる。哺乳動物細胞ではIgGが糖型の異種個体群として産生されることは周知である。Fcグリコシル化は、Fcレセプターとの相互作用にとって重要である。この相互作用は、Fc領域のオリゴ糖構造の変化に対して敏感であることが知られている(Wright&Morrison、1998、J.Immunol.160:3393〜3402;Lundら、1996、J.Immunol.157:4963〜4969。通常ヒトIgGFcに結合されて見いだされるオリゴ糖コアは二分岐のタイプのものであり、Asn297にリンクしたGlcNAc(Fuc)−GlcNAc−Man−(Man−GlcNAc)2で構成される。個々のIgG分子は、末端GlcNAcおよび/または第3のGlcNAc(バイセクティングGlcNAc)の結合のうちの一方または両方で、末端ガラクトースまたはガラクトース−シアル酸の点で異なっている。また、これらの分子は、Asn297にリンクしたGlcNAcに結合されたフコース残基の有無の点でも異なっている。ADCCを改善するための糖改変では、バイセクティングGlcNAcおよびコアフコースとに焦点があてられている。
バイセクティングGlcNAc改変。CHO細胞は、誘導可能なプラスミドからβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIIIを産生するように改変されると、IgGのグリカン鎖を二分された二分岐タイプに改変し、得られるIgGのADCC活性が増すことが、Umanaらによる研究(Umanaら、1999、Nat.Biotechnol.17:176〜180、その全体を援用する)で明らかになった。しかしながら、本研究では、ADCCの増加につながる最適なレベルのβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII発現があることが見いだされた。この最適なレベル未満またはこれを上回るレベルで酵素が発現されると、産生されるIgGのADCC活性が低下する。バイセクティングGlc−NAcを加えると、N−リンクグリカン鎖のコアフコシル化が低減されることがあり、これがADCC活性増大の一因の可能性がある。
コアフコシル化。Shieldsら(Shieldsら、2002、J.Biol.Chem.277:26733〜26740、その全体を援用する)は、2種類の抗体すなわち抗HER2抗体であるHu4D5と抗IgE抗体であるHuE27とにおけるフコシル化の作用に目を向け、FcN−リンクグリカンのコアからフコース部分を除去すると、FcγRへの結合とADCC活性が大幅に改善されることを見いだした。この研究では、正常なCHO細胞から産生されるIgGの約98%がフコシル化されることが明らかになったが、一方、Lec13と呼ばれるCHO株の変異体から産生されるIgGのわずか10%にしかフコース残基がなかった。フコースの有無はADCC活性に大きく影響する。しかしながら、フコシル化(または脱フコシル化)は、FcγRI、C1qまたはFcRnへのIgG1の結合に影響するようにはみえなかった。Lec13細胞から得られた低フコシル化IgGの二量体形では、FcγRIIa(R131)およびFcγRIIbへの結合にわずかな増加が認められた。高フコシル化および低フコシル化IgG間の差は、FcγRIIIaへの結合に関してのほうが著しかった。この場合、低フコシル化IgG二量体では、高フコシル化IgG二量体と比較してFcγRIIIa(F158)アロタイプへの結合が少なくとも42倍になり、FcγRIIIa(V158)アロタイプへの結合が約19倍になった。ADCC活性に関して、低フコシル化IgGは、FcγRIIIa(V158/F158)およびFcγRIIIa(F158/F158)を持つ個体由来のPBMCを用いたときに、親の高フコシル化IgGと比較して活性の亢進が示された。したがって、これらのデータから、低フコシル化IgGによるFcγRIIIaへの結合の改善が、ADCC活性の改善という形で現れているのではないかと思われる。また、低減されたフコシル化についても、ラットのハイブリドーマ細胞系YB2/0(Shinkawaら、2003、J Biol Chem 278:3466〜3473;Niwaら、2004、Cancer Research 64:2127〜2133;Okazakiら、2004、J Mol Biol 336:1239〜1249(各々その内容を全体として援用する)を用いて研究調査されている。
「改変された糖型」を本願明細書で使用する場合、抗CD30抗体に共有結合的に結合された炭水化物組成物(ここで、前記炭水化物組成物は、親の抗CD30抗体のものとは化学的に異なる)を意味する。前記抗体を「糖改変された」と言う。改変された糖型は、エフェクター機能の亢進または低減を含むがこれに限定されるものではない、さまざまな目的で有用なことがある。改変された糖型は、従来技術において周知のさまざまな方法(Umanaら、1999、Nat Biotechnol 17:176〜180;Daviesら、2001、Biotechnol Bioeng 74:288〜294;Shieldsら、2002、J Biol Chem 277:26733〜26740;Shinkawaら、2003、J Biol Chem 278:3466〜3473);(米国特許第6,602,684号明細書;米国特許出願第10/277,370号明細書;米国特許出願第10/113,929号明細書;PCT国際公開第00/61739A1号パンフレット;PCT国際公開第01/29246A1号パンフレット;PCT国際公開第02/31140A1号パンフレット;PCT国際公開第02/30954A1号パンフレット);(Potelligent(商標)テクノロジー[Biowa,Inc.、Princeton、NJ];GlycoMAb(商標)グリコシル化改変テクノロジー[GLYCART biotechnology AG、Zuerich、Switzerland])(いずれも全体として本願明細書に援用する)で生成できるものである。
これらの手法の多くが、たとえば、抗CD30抗体の発現後に炭水化物(単数または複数)を改変あるいは、グリコシル化経路に関与する酵素(たとえばFUT8[α1,6−フコシルトランセラーゼ]および/またはβ1−4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII[GnTIII])を調節して、改変されたまたはそれ以外の(たとえばLec−13 CHO細胞またはラットのハイブリドーマYB2/0細胞)さまざまな生物体または細胞系で抗CD30抗体を発現させることによって、Fc領域に共有結合的に結合されたフコシル化および/またはバイセクティングオリゴ糖のレベルを制御することに基づいている。改変された糖型は一般に、異なる炭水化物またはオリゴ糖を示す。よって、抗CD30抗体、たとえば抗CD30抗体は、改変された糖型を含むものであってもよい。あるいは、改変された糖型は、異なる炭水化物またはオリゴ糖を含む抗CD30抗体を示すものであってもよい。
Lec13細胞系(Ripkaら、Arch.Biochem.Biophys.49:533〜545(1986))を利用して、フコース含有量を減らしたヒト抗体を発現させた。Lec13は、フコース代謝に欠陥があるため錯体炭水化物にフコースを付加する能力が衰えたレクチン耐性チャイニーズハムスター卵巣(CHO)変異体細胞系を示す。その細胞系は、Ripka&Stanley、1986、Somatic Cell&Molec.Gen.12(1):51〜62;およびRipkaら、1986、Arch.Biochem.Biophys.249(2):533〜545に記載されている。Lec13細胞には、フコース代謝の鍵になる酵素であるGDP−D−マンノース−4,6−デヒドラターゼへのトランスクリプトが欠けていると考えられている。Ohyamaら、1988、J.Biol.Chem.273(23):14582〜14587。GDP−D−マンノース−4,6−デヒドラターゼは、GDP−マンノースからGDP−マンノース−4−ケト−6−D−デオキシマンノースを生成し、これがFXタンパク質によってGDP−L−フコースに変換される。フコシル化オリゴ糖の発現は、GDP−L−フコースドナー基質およびフコシルトランスフェラーゼに左右される。Lec13 CHO細胞系は、フコースを付加する機能が不十分であるが、オリゴ糖を持つこと以外は正常なCHO細胞系において、また、ヒト血清から得られるものと類似しているIgGを提供するものである(Jefferis,R.ら、1990、Biochem.J.268、529〜537;Raju,S.ら、2000、Glycobiology 10、477〜486;Routier,F.H.ら、1997、Glycoconj.J.14、201〜207)。正常なCHOおよびHEK293細胞は、フコースを一般に80〜98%と高い度合いでIgGオリゴ糖に付加し、血清由来のIgGも高度にフコシル化される(Jefferis,R.ら、1990、Biochem.J.268、529〜537;Raju,S.ら、2000、Glycobiology 10、477〜486;Routier,F.H.ら、1997、Glycoconj.J.14、201〜207;Shieldsら、2002、J Biol Chem 277(90):26733〜26740)。トランスフェクトされたLec13細胞で発現される抗体は、一貫して約10%フコシル化された炭水化物を産生するということは十分に確立されている(Shieldsら、2002、J Biol Chem 277(90):26733〜26740)。
上述したようにして、WT抗体、G236A抗体、S239D/I332E変異体抗EpCAM抗体を各々、293TおよびLec13細胞で一過的に発現させ、精製した。上述したSPR実験を利用して、ヒトFcγRI、H131FcγRIIa、R131FcγRIIa、FcγRIIbおよびV158 FcγRIIIaに対する、Fc変異体抗EpCAM抗体の結合親和性を測定した。図19は、全レセプターについてSPRデータのフィットから得られた平衡定数ならびに、WTに対するfold KDの計算値とKDのマイナスlog(−log(KD)である。一組のヒトFcγRへの抗体の結合についてのKDのマイナスlogのプロットを図20にあげておく。これらのデータは、フコシル化が低減されても親和性が増すのはFcγRIIIaの場合だけで、他のFcγRではいずれも親和性が変わらないことを裏付けるものである。しかしながら、ここではG236AであるFcγRIIbの場合よりもFcγRIIaの場合にFcγR親和性を選択的に改善する置換と糖改変とを組み合わせることで、FcγRIIaおよびFcγRIIIaの場合に抑制レセプターFcγRIIbよりも選択的に改善された親和性の最適なFcγR親和性プロファイルが得られる。上記にてあげたマクロファージ貪食およびDC活性化データを用いて、この糖改変およびアミノ酸置換と選択的FcγR親和性プロファイルとの新規な組み合わせには、糖改変単独よりも有効な治療用抗体を製造できる潜在的な可能性がある。Lec13細胞系の使用は、フコース含有量を低減させるその特定のモードに本発明を限定することを意図したものではない。改変されているかそうでないさまざまな生物体または細胞系(たとえばLec−13 CHO細胞またはラットハイブリドーマYB2/0細胞)で発現させる、グリコシル化経路に関与する酵素(たとえばFUT8[α1,6−フコシルトランセラーゼ]および/またはβ1〜4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII[GnTIII])を調節する、IgGの発現後に修飾炭水化物(単数または複数)を修飾する(Umanaら、1999、Nat Biotechnol 17:176〜180;Daviesら、2001、Biotechnol Bioeng 74:288〜294;Shieldsら、2002、J Biol Chem 277:26733〜26740;Shinkawaら、2003、J Biol Chem 278:3466〜3473);(米国特許第6,602,684号明細書;米国特許出願第10/277,370号明細書;米国特許出願第10/113,929号明細書;PCT国際公開第00/61739A1号パンフレット;PCT国際公開第01/29246A1号パンフレット;PCT国際公開第02/31140A1号パンフレット;PCT国際公開第02/30954A1号パンフレット)ことをはじめとして、Fc領域に共有結合的に結合された、フコシル化および/またはバイセクティングオリゴ糖のレベルを制御するためのさまざまな他の方法が従来技術において周知である。
実施例4.抗CD30抗体のin vitro生物活性
H3.69_V2/L3.71のAC10 IgG(1/2)ELLGG抗体を以後の研究のために選択した。これをXmAb2513または単に2513と称する。図22は、本発明の抗CD30抗体の相対的発現および細胞系を表にしたものである。図23は、標的とエフェクター細胞との比を何通りかに変えた場合のCD30+細胞に対するXmAb2513の細胞毒性を示している。図24は、CD30+細胞系L540およびKMH2に対する細胞毒性を示している。図25は、ヒトおよびカニクイザル細胞系に対するH0L0 AC10およびXmAb2513の結合を示している。
in vitroでの抗増殖作用を観察するには、多くの抗体では通常は二次抗体によって実現される架橋が必要である。これらの抗体での対応するin vivo作用は、Fcレセプターによる架橋に左右されるのではないかということが言われている。XmAb2513は、Fcレセプターとの親和性が高いためこれに対応して高いin vivo抗増殖作用を持つことがある。FcγRIIIaによる抗体架橋を測定するために、架橋にヤギ抗GST抗体を用いて、BSAまたはFcγRIIIa−GSTの濃度を変えて、Karpas299細胞を100ng/mlの抗CD30と一緒に増殖させた。このアッセイを図26に示す。図27は、本発明の抗体のin vitroでの抗増殖作用を示している。図から明らかなように、エフェクター機能亢進抗CD30抗体のFcγR親和性が高まると、抗増殖作用も亢進される。
実施例5:製剤
プレフォーミュレーションキャラクタリゼーション研究のステージIにおいて、一例としての配列番号19および20を含む抗CD30抗体の安定性を12種類の製剤で検討した。目的は、抗体を最も安定させる条件を特定するための製剤パラメータについて研究することであった。
SEC−HPLCおよびSDS−PAGEおよびを用いて抗体の安定性を監視した。
温度保管下での回収についての略式の安定性プロットでは、pH6.0〜7.0にて、すべてのインキュベーション温度で塩化ナトリウム製剤の安定性がよいことが裏付けられたが、純度プロットでは、pH6.0にて、29〜37℃という高めのインキュベーション温度でソルビトール製剤の安定性がよいことが示された。有数の製剤間の回収プロットおよび純度プロットにおける矛盾は、ソルビトール製剤に不溶な凝集体を過小評価したことによる可能性がある。
最長8週間までの結果から、ソルビトールを含有する抗体製剤ではpH範囲4.0〜6.0でSEC−HPLCでの高めの純度が示されていたが、後にこれは、回収性のほうが対応して低下することから分かるように凝集体の不溶性によるものであることが明らかになった。通常、塩化ナトリウム製剤のほうが多くの凝集体を含むにもかかわらず、塩化ナトリウムは回収性がよいため優れた等張調整剤であるようにみえる。ソルビトールまたは塩化ナトリウムのいずれかを含むpH6〜7での製剤は、本研究の期間である8週間の保管期間のあいだ、4℃で有意な変化を示さなかった。
ポリソルベート20およびポリソルベート80などの界面活性剤が含まれていても、試験した製剤の温度安定性には何ら影響がおよばないようにみえた。しかしながら、攪拌および凍結−融解のストレス条件では、界面活性剤を含まない製剤では沈殿物が形成された。
等張調整剤は、攪拌研究では影響があるようにはみえなかったが、凍結−融解研究ではソルビトール製剤のほうが良かった。抗体については、等張調整剤とは無関係に、試験したすべての製剤でUV光線による凝集がわずかに認められた。
この研究の主な目的は、XENP2513の安定化に最適な条件を判断するための製剤パラメータを研究調査することであり、これには、鍵になるストレスおよび分解生成物の特定、信頼できる安定性指示アッセイの開発も含んでいた。
製剤パラメータ:
(1)pH:4.0、5.0、6.0、7.0、8.0;
(2)緩衝液:10mM濃度のナトリウムリン酸緩衝液(pH6.0〜8.0)と酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0〜5.0);
(3)等張調整剤:150mM濃度の塩化ナトリウム(NaCl)または5%ソルビトール;
(4)界面活性剤:なし、ポリソルベート20またはポリソルベート80;
(5)6.3mg/mLのXENP2513標準品を4℃で保管し、研究期間のあいだ分析用に1mg/mLまで希釈;
(6)XENP2513の濃度は、初期スクリーニング研究では1mg/mLとする。
目視観察
pH5.5以下のクエン酸緩衝液中で抗体を配合すると、この溶液が曇った。これは、クエン酸緩衝液、pHまたは等張調整剤による可能性がある。
抗体物質の要件を最小限に抑えるために、目視観察研究を行って低pH試料での曇りの存在と原因とを監視した。Integrity Biosolutionで6.3mg/mlの抗体0.25mlを以下の緩衝液に透析した。
(1)10mM酢酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH4.0
(2)10mM酢酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH5.0
(3)10mM酢酸ナトリウム、5%ソルビトール、pH4.0
(4)10mM酢酸ナトリウム、5%ソルビトール、pH5.0
透析後、試料バイアルの目視検査を行い、対応する緩衝液を用いて抗体濃度を1mg/mLまで希釈して、目視検査した。試料を29℃で24時間保管し、再度目視検査した。
pHが製剤の曇りの原因であれば、pH4.0〜5.0を安定性マトリクスから排除することになる。クエン酸緩衝液が原因であれば、安定性マトリクスをそのままにしておく。等張調整剤が曇りの原因であれば、このpHでの特定の等張調整剤を安定性マトリクスから除外することになる。
SEC−HPLC法:
SEC−HPLC:タンパク質凝集
カラム:TSK−GEL Super SW3000、0.46×30cm(ガードカラムなし)
移動相A:1×PBS、CaまたはMgなし
流量:0.35mL/分
勾配:アイソクラチック
実施時間:15分
カラム温度:周囲温度
cIEX−HPLC法
CEX−HPLC:タンパク質アミド分解およびその他
カラム:Dionex ProPac WCX−10(4mm×250mm)
移動相A:10mM酢酸ナトリウム、pH5.0
移動相B:10mM酢酸ナトリウム、1M塩化ナトリウム、pH5.0
流量:1.0mL/分
勾配
SDS−PAGE法:
SDS−PAGE:タンパク質凝集
ゲルのタイプ:NuPAGE Novex4〜12%ビストリスゲル、15ウェル
泳動緩衝液:1×MESSDS泳動緩衝液
染色試薬:SimplyBlue SafeStain、Invitrogen
ロード量:15μL
試料ロード:2.5μg
試料プレップ:10μL希釈試料、12.5水、7.54×LDS試料緩衝液を、15ウェルのゲルの各ウェルに加えた。試料を5分間70℃まで加熱した。次に、この試料を室温まで冷却し、軽くボルテックスした。Mark 12 MW標準10μL、標準品15μL、試料15μLを4〜12%のビストリスゲルに入れたものを、15ウェルにロードした。ゲルを用いたMini−Cell電気泳動装置を150Vで70分稼働させた。Mini−Cell装置からゲルカセットを取り除き、微粉砕i−Q水で5分間ずつ3回すすいだ。SimplyBlue Safestainを1時間ゲルに加えた。Safestainをデカントし、追加(add)微粉砕−Q水を加えて3時間脱染した。ゲルを乾燥させた。
透析後、塩化ナトリウムを含有する抗体製剤は曇っていたが、ソルビトールを含有する抗体製剤は透明のままであった。
続いて、曇った抗体塩化ナトリウム製剤を4℃でインキュベートし、透明な抗体ソルビトール製剤については29℃でインキュベートした。
抗体ソルビトール製剤は29℃で24時間のインキュベーション後も透明のままであり、4℃で24時間インキュベートした抗体塩化ナトリウム製剤も同様であった。しかしながら、塩化ナトリウム製剤では、低めの濃度での読み取り値に、凝集体が24時間のインキュベーション後に再溶解化されるのではなくガラスバイアルの底に沈んでいる兆候が見られた。
時刻0(透析直後)と24時間の時点で抗体濃度を測定した。24時間後、タンパク質濃度は抗体塩化ナトリウム製剤のほうが約1.5倍低かったのに対し、ソルビトール製剤/pHが高めの製剤では、顕著な損失はわずかに見られただけであった。
pH5.0のソルビトール製剤とpH7.0の対照ではタンパク質の損失は認められなかった。
pH4.0〜5.0の抗体塩化ナトリウム製剤はいずれも、24時間のインキュベーション後に濃度が約1.5倍低かった;そこで、以後は安定性マトリクスから排除した。pH4.0〜5.0のソルビトール製剤ではタンパク質の有意な損失は認められず、研究マトリクスに含めることになる。
温度保管時の安定性
SEC−HPLCの結果
時刻0および1週目では、すべての製剤で比較的同じような結果であった。概して、メインピーク純度に関してはpH4.0〜6.0でソルビトール製剤のほうが良く働くようにみえるが、37℃で1週間インキュベートしたソルビトールのpH5.0の試料だけは例外であった。また、界面活性剤が含まれる場合も含まれない場合も、製剤間に有意な差は観察されなかった。
2週目に、pH5.0〜6.0のソルビトール製剤は−20〜29℃で最高メインピーク純度約97%を維持し続けた。しかしながら、37℃では、pH5.0のソルビトール製剤でメインピーク純度が83.71%と最低になり、pH6.0のソルビトール製剤でメインピーク純度が97.24%と最高であった。しかしながら、後者には前の時点ならびに塩化ナトリウムの対応物と比較したときに、若干の回収ロスが認められた。
4週目に、pH5.0〜6.0のソルビトール製剤は−20℃および4℃で最も安定しているようにみえたが、pH5.0のソルビトール試料は最悪であり、pH6.0のソルビトール試料が29〜37℃で最適な製剤として浮上した。しかしながら、pH6.0のソルビトール試料では、1週目のデータならびに塩化ナトリウムの対応物と比較したときに、37℃での回収性が低下した。
8週目に、pH5.0〜6.0のソルビトール製剤は−20℃および4℃で最適な安定性を維持していたが、pH5.0のソルビトールは最悪であり、pH6.0のソルビトールが29〜37℃で最適な製剤であった。繰り返すが、pH6.0のソルビトール試料は37℃でその塩化ナトリウム対応物よりも回収性が低く、これは37℃の時点でさらに顕著になった。
抗体での簡単な不溶性研究を行って、ソルビトール製剤において凝集体の量を過小評価していたという判断に至った。よって、ソルビトール製剤の純度データが良かったのにもかかわらず、実際には塩化ナトリウムのほうが好ましい等張調整剤である。
2種類の機械で実行し、2つのグラフに分けた。
IEX−HPLCでの結果
1週目から開始してIEX−HPLC法を実施した。このデータは、分解ピークとメインピークとが一緒になっていたため解釈が困難であり、決して明確なピーク積分ではなかった。
また、すべての時点で、保持時間の微妙なシフトすなわちDionexカラムで普通に起こる現象があった。したがって、IEX−HPLCでの結果は、せいぜい、定性的なものとして利用すべきであり、タンパク質安定性の定量分析用にはならない。
1週目では、4℃の試料のデータが得られない。2週目を実施した。
1週目に、開始メインピーク純度は−20℃および29℃で約68%であった。−20℃および29℃という低めのインキュベーション温度では、すべての製剤が比較的同じような感じで安定していた。pH8.0の塩化ナトリウムおよびソルビトール製剤で、37℃のときに最も有意な(約36%)分解が認められた。
2週目に、−20℃および4℃の試料では、対応する1週目の試料と比較して有意な差は認められなかった。29℃において、pH8.0の製剤でメインピーク純度が平均約36%まで落ちたが、pH4.0〜5.0のソルビトール試料以外、ほとんどの製剤で37℃でのプレピーク分解が約50%の劇的な増加が見られた。
4週目に、結果は2週目の傾向をなぞっていた。全体としてのメインピーク純度は約67%であり、分解の変化は−20℃および4℃で最低であった。29℃では、pH8.0の製剤のメインピーク純度が平均約40%であった。37℃では、pH4.0のソルビトール試料以外、ほとんどの製剤で一方または両方のプレピークにわたって分解が増し、約58%のメインピーク純度が保たれた。
8週目に、製剤は−20℃および4℃で約68〜69%のメインピーク純度を維持した。29℃では、pH4.0のソルビトール試料以外、ほとんどの製剤でプレピーク分解の顕著な増加が観察され、約68%のメインピーク純度が保たれた。37℃でインキュベートした試料では、正確に積分できないほどピークが悪くなったため、データ積分を行わなかった。
SDS−PAGEでの結果
1週目のSEC−HPLCでの結果に一致して、還元ゲル中37℃で培養したpH8.0の製剤で高めの分子量のかすかなバンドが見られた。−20〜29℃で試料間の有意な差は観察されなかった。
2週目に、還元ゲル中で37℃でインキュベートしたpH7.0〜8.0の製剤で高めの分子量のかすかなバンドが観察され、pH8.0の試料のほうが強烈であった。−20〜29℃で試料間の有意な差は観察されなかった。
4週目に、pH8.0の製剤で−20℃で還元ゲル中、高めの分子量のバンドが観察された。pH8.0のソルビトール製剤で4℃で還元ゲル中、分解バンドが見られたが、これは外れ値の可能性もある。また、どちらの製剤でも37℃で還元ゲル中、pH7.0〜8.0で高めの分子量のかすかなバンドが観察されたが、pH8.0の試料のほうが強烈であった。
8週目に、すべての製剤において37℃で還元ゲル中、高めと低めの分子量のバンドが観察されたが、pH8.0の試料が最も激しかった。37℃で、pH6.0以上の製剤には第1のメインバンドのすぐ下にダブルバンドが含まれており、塩化ナトリウム製剤ではそれが一層顕著であった。pH6.0のソルビトール製剤は最小のバンドを示し、pH6.0の塩化ナトリウム製剤も同じであった。
攪拌、凍結−融解およびUV時の安定性
以下の条件下でXENP2513の安定性を試験した。
−VWR Mini Vortexerにて周囲温度かつ低設定(setting)で試料を4時間攪拌;
−試料を−20℃で凍結させ、25℃で融解を連続5サイクル;
−試料を周囲温度でUV光に24時間曝露;
−標準品を4℃で保管し、攪拌、凍結−融解またはUV光にはさらさなかった。
攪拌および凍結−融解後、ポリソルベートを含まない製剤に粒子が見られ、これを試料分析前に濾過した。
SEC−HPLCでの結果
攪拌後の試料は、ポリソルベートを含まない製剤以外ほぼ同じであったが、これは濾過後に実行(run)され、続いて凝集体が減っていた。
塩化ナトリウムを含有する凍結−融解試料では、プレピーク2の増加が認められた;濾過した試料では、濾過していない試料と比較して有意な違いは見られなかった。
UV暴露試料ではプレピーク2の顕著な増加が見られ、これはpHと共に増加したのに対し、ポストピークはすべての製剤で増加した。
IEX−HPLCでの結果
濾過した試料をはじめとして、攪拌および凍結−融解試料に有意な違いは認められなかった。しかしながら、UV試料はすべての試料で有意なプレピークを示し、これはpHと共に増加した。
SDS−PAGEでの結果
非還元ゲルと還元ゲルの両方で、ポリソルベートを含有しない攪拌試料でかすかなバンドが観察された。還元ゲルで凍結−融解試料の高めの分子量のバンドが観察された。UV暴露試料では、非還元ゲルおよび還元ゲルの両方について、高めの分子量のバンドが観察され、これはpHが高くなるにつれて強度が増した。
略式の安定性プロット
温度保管(−20℃、4℃、29℃、37℃)でのSEC−HPLC純度および回収性に基づく12種類の製剤すべての安定性プロットを以下のとおり提示する。
SEC−HPLC純度
pH5.0〜6.0のソルビトール製剤では、8週間のインキュベーション後に最大4℃までは最高の結果であった。しかしながら、37℃で、pH5.0のソルビトール試料が最悪になったのに対し、pH6.0のソルビトール試料は最適な製剤であった。後に、凝集体の不溶性がソルビトール製剤中の凝集体の過小評価の原因である旨が明らかになった点に注意されたい。
SEC−HPLC回収
pH6.0〜7.0の塩化ナトリウム製剤がすべての温度で8週間のインキュベーション後に、最高の回収性を維持した。
このプレフォーミュレーション研究での所見に基づいて、ソルビトールを等張調整剤として含有するpHが低めの製剤のほうがSEC−HPLCでの純度が高めであり、これは8週間の期間にわたる回収性の低下からも分かる凝集体の不溶性によるものであることが明らかになった。したがって、一実施形態では、pH6.0〜7.0で塩化ナトリウムを含有する製剤が、存在する凝集体の数が他より多いのにもかかわらず好ましい製剤条件である。
界面活性剤は、温度保管中はXENP2513製剤の安定性に有意に影響しなかったが、攪拌および凍結−融解研究の際に役立つことが明らかになった。