JP4894193B2 - 蒸着装置、および表示装置の製造システム - Google Patents

蒸着装置、および表示装置の製造システム Download PDF

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Description

本発明は、有機発光素子の製造などに用いられる蒸着装置、およびこの蒸着装置を複数備えた、表示装置の製造システムに関する。
近年、液晶ディスプレイに代わる表示装置として、有機発光素子を用いた有機ELディスプレイが注目されている。有機ELディスプレイは、自発光型であるので視野角が広く、消費電力が低いという特性を有し、また、高精細度の高速ビデオ信号に対しても十分な応答性を有するものと考えられており、実用化に向けて開発が進められている。
有機発光素子は、陽極と陰極との間に発光層を含む3層ないし5層程度の有機層を備えた構成を有している。有機層を構成する有機材料は耐水性が低く、ウェットプロセスに適しないので、有機層は、一般的に、真空薄膜成膜技術を利用した真空蒸着により形成される。
従来の蒸着装置は、例えば、ライン状の蒸着源と、マスクを取り付けた基板とを対向配置し、蒸着源あるいは基板を移動することにより基板を走査しながら蒸着を行っている。図11は、このような従来の蒸着源の一例を表している。蒸着源210の上面に、噴出孔212が設けられている。蒸着源210に収容された蒸着材料200は、熱源220により加熱され、蒸気200Aとなって噴出孔212から噴き出される。蒸着源210の上方には、金属などの防熱板230が配置されており、これにより蒸着源210からの放射熱によるマスク(図示せず)の熱膨張を抑え、マスク開孔の位置ずれによる蒸着位置精度の低下を抑制しようとしている。
更に、図12に示したように、蒸着源210の上面に突出部211を設け、この突出部211に噴出孔212を形成すると共に、防熱板230を突出部211の周囲に配置した構成も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−214185号公報
しかしながら、このような従来の蒸着源210では、防熱板230として均一な厚みの板を用いていたので、十分な温度上昇抑制効果を得るためには防熱板230の厚みをかなり厚くする必要があった。防熱板230の厚みを増やすと、それに合わせて突出部211を長くすることになり、突出部211の温度が下がって蒸着材料200が噴出孔212に詰まってしまうおそれがあった。
また、蒸着源210の重要な特性の一つとして、温度制御性がある。加熱速度を上げるには熱源220のパワーを強くすればよいが、温度を下げる場合には、図13に示したように、蒸着源210の側方や下方に、水冷配管241を内蔵した水冷板240を設けて強制的に冷却することが必要になる。しかし、水冷板240を蒸着源210の上方に配設すると蒸着源210と基板との距離が大きくなりすぎるので、水冷板240を蒸着源210の上方に配設できず、蒸着源210の上方の温度が他の部分に比べて高くなって、蒸着特性の不均一や蒸着材料200の偏りが生じやすかった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、温度上昇を十分に抑制することができ、蒸着位置精度を向上させることができる蒸着装置、およびこの蒸着装置を備えた、表示装置の製造システムを提供することにある。
本発明による蒸着装置は、蒸着材料を収容する坩堝が内部に設置されたケースを有し、ケースの上面に、先端に噴出孔を有する凸部が設けられ、ケースの上面の凸部の周囲の領域は凸部の下端がケースの側部の上端よりも高い位置にあるように形成された蒸着源と、凸部に隣接して配置され、凸部に近い端部の厚みよりも凸部から遠い端部の厚みのほうが大きい防熱部材とを備えたものである。なお、ここで「高い位置にある」とは、ケースの底面からの高さがより高いことをいう。
本発明による表示装置の製造システムは、上記本発明による蒸着装置を複数備え、蒸着装置の各々がそれぞれ異なる色成分に対応した有機発光素子を形成するように構成されたものである。
本発明による蒸着装置では、防熱部材の凸部に近い端部の厚みよりも凸部から遠い端部の厚みのほうが大きいので、防熱部材の厚みが増し、輻射熱を遮る能力が高くなる。よって、温度上昇が十分に抑制される。
また、本発明による蒸着装置では、ケースの上面の凸部の周囲の領域は、凸部の下端がケースの側部の上端よりも高い位置にあるように形成されているので、ケースの上面近傍に空間ができ、この空間に防熱部材を配置することが可能となる。
本発明による表示装置の製造システムでは、それぞれ、上記本発明による蒸着装置を複数備えており、蒸着装置の各々により、それぞれ異なる色成分に対応した有機発光素子が形成される。
本発明の蒸着装置によれば、防熱部材の凸部に近い端部の厚みよりも凸部から遠い端部の厚みのほうを大きくするようにしたので、防熱部材の厚みを増やし、輻射熱を遮る能力を高めることができる。よって、温度上昇を十分に抑制することができ、蒸着位置精度を向上させることができる。とりわけ、マスク開孔の位置ずれに対する余裕度の小さい高精細マスクを使用する場合に極めて好適である。
また、本発明の蒸着装置によれば、ケースの上面の凸部の周囲の領域を、凸部の下端がケースの側部の上端よりも高い位置にあるように形成したので、ケースの上面近傍に空間をつくり、この空間に防熱部材を配置することが可能となる。
本発明の表示装置の製造システムによれば、それぞれ、上記本発明による蒸着装置を複数備えるようにしたので、高い蒸着位置精度で有機発光素子を形成することができ、滲みやシミ,色ずれ,明るさの低下などを低減し、高画質・高精細な表示装置を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る蒸着装置、およびこれを用いた表示装置の製造システムによって製造される表示装置の概略構造の一例を表すものである。この表示装置は、極薄型のカラーディスプレイ装置などとして用いられるものであり、例えば、駆動パネル10と封止パネル20とが対向配置され、接着層30により全面が貼り合わされている。駆動パネル10は、ガラスなどの絶縁材料よりなる基板11の上に、赤色の光を発生する有機発光素子10Rと、緑色の光を発生する有機発光素子10Gと、青色の光を発生する有機発光素子10Bとが、順に全体としてマトリクス状に設けられている。
この有機発光素子10R,10G,10Bは、例えば、基板11に有機層12を備えている。基板11と有機層12との間には陽極としての第1電極13が形成され、有機層12の上には陰極としての第2電極14が形成されている。
有機層12は、有機発光素子の発光色によって構成が異なっている。有機発光素子10Rは、正孔注入層12A,正孔輸送層12B,発光層12Cおよび電子輸送層12Dが第1電極12の側からこの順に積層された構造を有しており、有機発光素子10G,10Bは、正孔輸送層12B,発光層12Cおよび電子輸送層12Dが第1電極12の側からこの順に積層された構造を有している。正孔注入層12Aおよび正孔輸送層12Bは、発光層12Cへの正孔注入効率を高めるためのものである。発光層12Cは、電流の注入により正孔と電子とが再結合し、光を発生するものである。電子輸送層12Dは、発光層12Cへの電子注入効率を高めるためのものである。
有機発光素子10Rの正孔注入層12Aの構成材料としては、例えば、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)が挙げられ、有機発光素子10Rの正孔輸送層12Bの構成材料としては、例えば、ビス[(N−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン(α−NPD)が挙げられ、有機発光素子10Rの発光層12Cの構成材料としては、例えば、8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3 )に2,6−ビス[4−[N−(4−メトキシフェニル)−N−フェニル]アミノスチリル]ナフタレン−1,5−ジカルボニトリル(BSN−BCN)を40体積%混合したものが挙げられ、有機発光素子10Rの電子輸送層12Cの構成材料としては、例えば、8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3 )が挙げられる。
有機発光素子10Bの正孔輸送層12Bの構成材料としては、例えば、α−NPDが挙げられ、有機発光素子10Bの発光層12Cの構成材料としては、例えば、スピロ6Φ(spiro6Φ)が挙げられ、有機発光素子10Bの電子輸送層12Dの構成材料としては、例えば、Alq3 が挙げられる。
有機発光素子10Gの正孔輸送層12Bの構成材料としては、例えば、α−NPDが挙げられ、有機発光素子10Gの発光層12Cの構成材料としては、例えば、Alq3 にクマリン6(C6;Coumarin6)を3体積%混合したものが挙げられ、有機発光素子10Gの電子輸送層12Dの構成材料としては、例えば、Alq3 が挙げられる。
第1電極13は、反射層としての機能も兼ねており、例えば、白金(Pt),金(Au),クロム(Cr)またはタングステン(W)などの金属または合金により構成されている。
第2電極14は、半透過性電極により構成されており、発光層12Bで発生した光は第2電極14の側から取り出されるようになっている。第2電極14は、例えば、銀(Ag),アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ナトリウム(Na)などの金属または合金により構成されている。
封止パネル20は、駆動パネル10の第2電極14の側に位置しており、接着層30と共に有機発光素子10R,10G,10Bを封止する封止用基板21を有している。封止用基板21は、有機発光素子10R,10G,10Bで発生した光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。なお、封止用基板21には、例えば、図示しないカラーフィルターを設け、これにより外光反射を低減し、コントラストを改善するようにしてもよい。
図2は、このような表示装置を製造するための製造システムの全体構成を表したものである。この製造システム40は、3原色に対応した3つの蒸着装置41R,41G,41Bを備えている。蒸着装置41R,41G,41Bは、装置自体としてはいずれも同じものであるが、後述する蒸着源の坩堝にそれぞれ異なる有機材料を収容することにより、蒸着装置41Rは有機発光素子10Rの有機層12を形成し、蒸着装置41Gは有機発光素子10Gの有機層12を形成し、蒸着装置41Bは有機発光素子10Bの有機層12を形成するように構成されている。
また、この製造システム40は、外部から基板11が供給される基板供給部42と、基板11に対してクリーニングあるいは活性化等の前処理が行われる前処理部43とを備えている。
更に、蒸着装置41Rの前段階として、有機発光素子10Rの有機層12を形成するために基板11と後述するメタルマスクとの位置合わせ(精密アライメント)および固定を行うアライメント部44Rが設けられている。同様に、蒸着装置41Gの前段階として、有機発光素子10Gの有機層12を形成するために基板11とメタルマスクとの位置合わせおよび固定を行うアライメント部44Gが設けられ、蒸着装置41Bの前段階として、有機発光素子10Bの有機層12を形成するために基板11とメタルマスクとの位置合わせおよび固定を行うアライメント部44Bが設けられている。アライメント部44R,44G,44Bにおける位置合わせは、例えば、予め付されたアライメントマークを画像処理等によって検出および認識することなどによって行うことが可能である。また、アライメント調整および固定については、例えば、周知のハンドリングロボットなどを用いて行うことができる。
加えて、この製造システム40は、基板11とメタルマスクとの分離等の後処理を行う後処理部45と、有機発光素子10R,10G,10Bの有機層12が形成された後の基板11を排出する基板排出部46とを備えている。
図3は、この製造システム40の各部の間で基板11を移動させるための一体型の搬送治具の一例を表すものである。この搬送治具50は、例えば、基板11の有機層12が形成される側のメタルマスク51と、基板11の反対側の電磁石52とを有している。メタルマスク51は、金属よりなる薄板状部材に張力をかけて枠に取り付けたものであり、電磁石52が発生する磁力により、基板11の表面に密着した状態で固定されるようになっている。メタルマスク51の構成材料は、加工性および熱膨張係数を考慮して選択されることが好ましく、具体的にはステンレス鋼(SUS)またはそれに近い材料が好ましい。また、メタルマスク51には、有機層12が形成される予定の位置に、複数の開孔51Aが設けられており、所定のパターンで有機層12を形成することができるようになっている。なお、メタルマスク51を複数種類用意すれば異なるパターンの多層成膜が可能となることは言うまでもない。このような搬送治具50が取り付けられた基板11の移動、移載などは、例えば、周知の搬送コンベアなどを用いて行うことができる。
図2に示した製造システム40においては、後処理部45において基板11から分離された搬送治具50をR色アライメント部44Rへと供給するリターン部47を設け、閉ループ構造48を形成することが好ましい。これにより、図3に示した搬送治具50が、蒸着装置41R,41G,41Bおよびリターン部46からなる閉ループ構造48内を循環することになり、有機層12を形成するための一連の工程を完全自動化することが可能となるからである。この閉ループ構造48内には、例えば、図2に示したように、蒸着装置41R,41G,41Bおよびリターン部46を、アライメント部44R,44G,44Bおよび後処理部45を頂点とする方形状に配置することができる。ただし、閉ループ構造48は、必ずしも方形状である必要はないことは言うまでもない。例えば、直線状に配された蒸着装置41R,41G,41Bに沿うようにしてリターン部46を配設するようにしてもよい。
図4は、蒸着装置41Rの構成を模式的に表したものである。この蒸着装置41Rは、真空チャンバ61内に、有機発光素子10Rの有機層12を構成する有機材料である蒸着材料を収容する四つの蒸着源62A,62B,62C,62Dを備えている。真空チャンバ61には、図示しないが、搬送治具50および基板11の搬入口および排出口が設けられている。蒸着源62Aには、有機発光素子10Rの正孔注入層12Aの構成材料が収容されている。蒸着源62Bには、有機発光素子10Rの正孔輸送層12Bの構成材料が収容されている。蒸着源62Cには、有機発光素子10Rの発光層12Cの構成材料が収容されている。蒸着源62Dには、有機発光素子10Rの電子輸送層12Dの構成材料が収容されている。なお、蒸着源の数は、必ずしも四つに限られないことは言うまでもない。また、蒸着装置41Rには、予備の蒸着源を設置するための空間を設けておくようにしてもよい。
蒸着装置41G,41Bについては、蒸着源62A,62B,62C,62Dに収容される蒸着材料が異なることを除き、蒸着装置41Rと同様に形成されている。すなわち、例えば、蒸着装置41Gの蒸着源62Aには何も収容されておらず、蒸着装置41Gの蒸着源62Bには、有機発光素子10Gの正孔輸送層12Bの構成材料が収容されている。蒸着装置41Gの蒸着源62Cには、有機発光素子10Gの発光層12Cの構成材料が収容されている。蒸着装置41Gの蒸着源62Dには、有機発光素子10Gの電子輸送層12Dの構成材料が収容されている。また、例えば、蒸着装置41Bの蒸着源62Aには、何も収容されておらず、蒸着装置41Bの蒸着源62Bには、有機発光素子10Bの正孔輸送層12Bの構成材料が収容されている。蒸着装置41Bの蒸着源62Cには、有機発光素子10Bの発光層12Cの構成材料が収容されている。蒸着装置41Bの蒸着源62Dには、有機発光素子10Bの電子輸送層12Dの構成材料が収容されている。これ以降は、蒸着装置41Rについてのみ説明し、蒸着装置41G,41Bについては省略する。
蒸着装置41Rは、基板11が蒸着源62A,62B,62C,62Dを順に通過するように基板11と蒸着源62A,62B,62C,62Dとの相対位置を可変させる搬送部63を備えている。搬送部63は、搬送治具50の移動を真空中で行う必要があること、および蒸着によるゴミの問題などを考慮して、例えば、搬送治具50を取り付けた基板11を搭載した台車を閉じたワイヤに接続し、そのワイヤを外部からサーボモータ等により定速駆動して引っ張る、というような簡素な方式を採用することが可能である。ただし、脱ガスの対策などがなされていれば、周知技術であるボールネジあるいはベルトコンベア等による搬送方式を用いてもよい。
蒸着源62A,62B,62C,62Dは、例えば、図5に模式的に示したように、ライン状に延びる構成とされ、搬送部63は、基板11を蒸着源62A,62B,62C,62Dの長手方向と直交する方向Aに移動可能であることが好ましい。蒸着源62A,62B,62C,62Dの長さは、基板11の移動方向Aに直交する辺の長さに合わせて設定されていることが好ましい。これにより、基板11の全面にわたって有機層12を均一な膜厚で形成することができる。なお、図5においては搬送治具50および搬送部63を省略している。
図6は、蒸着源62Aの断面構成を表している。なお、蒸着源62B,62C,62Dは、収容する蒸着材料の違いを除けば、蒸着源62Aと同様に構成されているので、以下では蒸着源62Aについてのみ説明する。蒸着源62Aは、蒸着材料100を収容可能なケース110を有し、このケース110の周囲に、蒸着材料100を加熱するヒータ等の熱源120が設けられている。また、ケース110は、上面に凸部111を有し、この凸部111に隣接して防熱部材130が配置されている。なお、熱源120の更に外側には、水冷配管141を内蔵した水冷板140が設置されている。
蒸着材料100は、例えば、ケース110内に着脱可能に設置された坩堝110Aに収容されている。坩堝110Aは、耐熱性,機械的強度および蒸着材料との反応性などを考慮し、例えば石英ガラス,グラファイトあるいはセラミックにより構成されていることが好ましい。また、この坩堝110Aと、ケース110の坩堝110Aを覆う部分とは、断面角型であることが好ましい。容量を大きくすることができると共に、無駄なスペースをなくして熱伝導を向上させることができるからである。
ケース110は、例えばグラファイトにより構成されていることが好ましい。機械強度および加工性に優れており、所望の形状を得やすく、また熱膨張率が小さいので高温下でも形状変化が少ないからである。凸部111の先端には、蒸着材料100の蒸気100Aを噴出させる噴出孔112が設けられている。なお、ケース110の底面から凸部111の先端までの高さは、坩堝110Aの容量を考慮して適切に設定されることが望ましい。
防熱部材130は、ケース110などからの輻射熱を遮るためのものであり、ケース110とは間隔をおいて配設されている。防熱部材130の構成材料としては、例えば銅(Cu)またはアルミニウム(Al)が好ましく、特に銅(Cu)が好ましい。銅(Cu)は熱伝導性が良好であり、熱を吸収することができるからである。また、防熱部材130は、輻射熱を反射させるため全面にわたり鏡面加工されていることが好ましい。
本実施の形態では、ケース110の上面の凸部111の周囲の領域は、凸部111の下端113Aが側面の上端113Bよりも高い位置にあるように形成されている一方、防熱部材130は、凸部111に近い端部の厚みD1よりも凸部111から遠い端部の厚みD2のほうが大きい。具体的には、ケース110は、上面の凸部111の周囲に、凸部111から離れるにつれて低くなる第1傾斜部113を有し、防熱部材130は、第1傾斜部113に対向する側に第1傾斜部113に沿った第2傾斜部131を有している。これにより、この蒸着装置41Rでは、防熱部材130の厚みを増やして輻射熱を遮る能力を高め、温度上昇を十分に抑制することができると共に、ケース110の上面近傍に空間をつくり、この空間に防熱部材130を配置することが可能となっている。
更に、凸部111近傍では防熱部材130の厚みが相対的に薄くなるので、凸部111近傍の温度が低下して噴出孔112が詰まってしまうおそれをなくすことができ、蒸着効率を高めることができると共に装置維持管理にも便利である。加えて、熱源120を第1傾斜部113に沿ってケース110の上面まで設置することができ、加熱効率をより高めることができると共に、凸部111近傍の温度低下を防止し蒸着材料100またはその蒸気100Aを適切な温度に維持することができる。
加えて、第1傾斜部113および第2傾斜部131を単純な傾斜面とすることにより、加工性が良いので製造コストを抑えることができる、熱源120の設置が容易になる、表面積が小さくなるので輻射熱を小さくすることができる等の利点を得られる。
第1傾斜部113の傾斜角度θは、ケース110の容量、蒸着材料100またはその蒸気100Aの温度維持などを考慮して設定され、例えば10°以上60°以下であることが好ましい。10°より小さいと防熱部材130の厚みを確保するのが難しく、60°より大きいと蒸着材料100の収容スペースを確保するためにケース110が大きく(高さが高くなるか、径が大きくなるか、あるいはその両方)なってしまうからである。更に、15°以上45°以下であればより好ましい。
防熱部材130の上面は、凸部111の先端と同じ高さまたは凸部111の先端よりも低い位置にある。このようにすることにより、噴出孔112から噴出した蒸気100Aが防熱部材130に当たって冷却され付着することを抑制し、防熱部材130の表面の鏡面加工を維持し、輻射熱を遮る能力が低下するのを防止することができる。
更に、防熱部材130には水冷配管132が内蔵されており、防熱部材130を積極的に冷却して防熱部材130の温度上昇を抑えることができるようになっている。更に、これにより、ケース110の上面と他の部分との温度差を低減し、蒸着特性の不均一や蒸着材料100の偏りを抑え、ケース110の上面の温度制御性を更に高めることができる。水冷配管132は、防熱部材130の相対的に厚い部分に設けられ、例えば銅(Cu)にニッケル(Ni)めっきがなされると共に鏡面仕上げされていることが好ましい。
水冷板140は、例えば銅(Cu)により構成されている。水冷配管141は、水冷配管132と同様に構成されている。
ケース110の第1傾斜部113と防熱部材130との間には、蒸着材料100が防熱部材130に付着するのを防止すると共に輻射熱を反射させるための防着板兼反射板150が設けられている。これにより、ケース110と防熱部材130との間で温度差をつけることができ、ケース110の上面の温度制御性を更に高めることができる。防着板兼反射板150は、例えばステンレス鋼により構成され、ケース110と防熱部材130との両方から間隔を保つようにネジ止めなどにより防熱部材130に固定されている。防着板兼反射板150は、防熱部材130と同様に、全面にわたり鏡面加工されていることが好ましい。
なお、蒸着源62Aには、図示しない温度コントローラが接続されている。この温度コントローラは、成膜の厚さを図示しない膜厚センサによりモニタすることにより蒸着レートを所望の値に制御するものである。また、温度コントローラは、他の蒸着源61B,61C,61Dの温度コントローラとは独立しており、各蒸着源61A,61B,61C,61Dは個別に蒸着レートが制御されるようになっている。ただし、蒸着レートの制御は、温度コントローラによる制御に限られるものではない。例えば、温度コントローラによる制御に代えて、あるいは温度コントローラによる制御に加えて、各蒸着源61A,61B,61C,61Dと基板11との距離を制御するための機構を、各蒸着源61A,61B,61C,61Dに個別に設けること、あるいは膜厚センサにより検知された膜厚データを基板11の搬送速度にフィードバックすることなどによっても可能である。
この蒸着装置41R,41G,41Bでは、ケース110内の蒸着材料100が熱源120により加熱され、蒸気100Aとなって噴出孔112から噴出される。噴出した蒸着材料100は、メタルマスク51の開孔51Aを通って基板11に到達し、有機層12が形成される。ここでは、防熱部材130が、ケース110の第1傾斜部113に沿った第2傾斜部131を有しているので、防熱部材130の厚みが増えて輻射熱を遮る能力が高くなり、基板11やメタルマスク51の温度上昇が十分に抑制される。
次に、このような蒸着装置41R,41G,41Bおよび製造システム40の処理動作例、すなわち蒸着装置41による有機発光素子10R,10G,10Bの製造および製造システム40による表示装置の製造について説明する。
まず、上述したようなガラスなどの絶縁材料よりなる基板11が、製造システム40の基板供給部42に投入される。基板11には、上述した材料よりなる第1電極13が所定のパターンで予め形成されている。この基板11に対して、前処理部43において、クリーニングあるいは活性化等の前処理が行われる。
前処理部43における前処理が行われた後、アライメント部44Rにおいて、搬送治具50のメタルマスク51と基板11とが、メタルマスク51の開孔51Aが有機発光素子10Rの形成される位置に対応するように位置合わせされ、電磁石52によってメタルマスク51が基板11が固定される。
続いて、蒸着装置41Rにおいて、搬送部63によって基板11が方向Aに移動され、基板11が蒸着源62A,62B,62C,62Dを順に通過するように基板11と蒸着源62A,62B,62C,62Dとの相対位置が可変される。これにより、基板11が蒸着源62Aを通過すると共に有機発光素子10Rの正孔注入層12Aが形成され、続いて蒸着源62Bを通過すると共に正孔注入層12Aの上に正孔輸送層12Bが形成され、更に蒸着源62Cを通過すると共に正孔注入層12Aおよび正孔輸送層12Bの上に発光層12Cが形成され、最後に蒸着源62Dを通過すると共に正孔注入層12A,正孔輸送層12Bおよび発光層12Cの上に電子輸送層12Dが形成される。こうして、基板11に、有機発光素子10Rの有機層12が形成される。
有機発光素子10Rの有機層12が形成された後、アライメント部44Gにおいて、搬送治具50のメタルマスク51と基板11とが、メタルマスク51の開孔51Aが有機発光素子10Gの形成される位置に対応するように位置合わせされ、電磁石52によってメタルマスク51が基板11に固定される。
続いて、蒸着装置41Gにおいて、蒸着装置41Rの場合と同様にして、基板11に、有機発光素子10Gの有機層12が形成される。
有機発光素子10Gの有機層12が形成された後、アライメント部44Bにおいて、搬送治具50のメタルマスク51と基板11とが、メタルマスク51の開孔51Aが有機発光素子10Bの形成される位置に対応するように位置合わせされ、電磁石52によってメタルマスク51が基板11に固定される。
続いて、蒸着装置41Bにおいて、蒸着装置41Rの場合と同様にして、基板11に、有機発光素子10Bの有機層12が形成される。
有機発光素子10R,10G,10Bの有機層12が形成された後、後処理部45において基板11と搬送治具50のメタルマスク51および電磁石52とが分離される。基板11は基板排出部46から排出される。搬送治具50のメタルマスク51および電磁石52は、リターン部47を介してアライメント部44Rへと供給され、別の基板11に取り付けられる。
排出された基板11においては、有機層12の上に第2電極14が形成され、これにより駆動パネル10が形成される。続いて、駆動パネル10の有機発光素子10R,10G,10Bが形成されている側に接着層30が形成され、この接着層30により駆動パネル10と封止パネル20とが貼り合わせられる。こうして、図1に示した表示装置が完成する。
なお、本実施の形態の蒸着装置および従来の蒸着装置を用いて、それぞれ実際に基板に対して蒸着を行い、基板およびメタルマスクの温度上昇を調べたところ、従来の蒸着装置では10℃〜15℃であったのに対して、本実施の形態の蒸着装置では3℃〜4℃と極めて小さくすることができた。温度変化によるメタルマスクの伸縮量は、10℃〜15℃の温度上昇では10μm程度であったが、3℃〜4℃の温度上昇では2μm〜3μmに削減され、蒸着位置精度の規格範囲である3μmまたはそれ以下となった。ちなみに、メタルマスクが10μm程度伸縮した場合、所定の蒸着位置精度が確保できず、本来光るべき部分が光らなかったり、光ってはならない部分が光ってしまったり、という不具合が発生し、その結果、滲み,シミ,色ずれ,明るさの低下などの問題が生じる。
このように本実施の形態では、ケース110の上面の凸部111の周囲に、凸部111から離れるにつれて低くなる第1傾斜部113を設ける一方、防熱部材130の第1傾斜部113に対向する側に第1傾斜部113に沿った第2傾斜部131を設けるようにしたので、防熱部材130の厚みを増やして輻射熱を遮る能力を高めることができる。よって、温度上昇を十分に抑制することができ、蒸着位置精度を向上させることができる。とりわけ、マスク開孔の位置ずれに対する余裕度の小さい高精細マスクを使用する場合に極めて好適であり、高い蒸着位置精度で有機発光素子10R,10G,10Bを形成することができ、滲みやシミ,色ずれ,明るさの低下などを低減して高画質・高精細な表示装置を製造することができる。
また、ケース110の上面近傍に空間をつくり、この空間に防熱部材130を配置することが可能となる。
更に、凸部111近傍では防熱部材130の厚みが相対的に薄くなるので、凸部111近傍の温度が低下して噴出孔112が詰まってしまうおそれをなくすことができ、蒸着効率を高めることができると共に装置維持管理にも便利である。加えて、熱源120を第1傾斜部113に沿ってケース110の上面まで設置することができ、加熱効率をより高めることができると共に、凸部111近傍の温度低下を防止し蒸着材料100またはその蒸気100Aを適切な温度に維持することができる。
加えて、第1傾斜部113および第2傾斜部131を単純な傾斜面とすることにより、加工性が良いので製造コストを抑えることができる、熱源120の設置が容易になる、表面積が小さくなるので輻射熱を小さくすることができる等の利点を得られる。
特に、防熱部材130の上面を、凸部111の先端と同じ高さまたは凸部111の先端よりも低い位置にあるようにしたので、噴出孔112から噴出した蒸気100Aが防熱部材130に当たって冷却され付着することを抑制し、防熱部材130の表面の鏡面加工を維持し、輻射熱を遮る能力が低下するのを防止することができる。
また、特に、防熱部材130には水冷配管132を内蔵させるようにしたので、防熱部材130を積極的に冷却して防熱部材130の温度上昇を抑えることができる。更に、これにより、ケース110の上面と他の部分との温度差を低減し、蒸着特性の不均一や蒸着材料100の偏りを抑え、ケース110の上面の温度制御性を更に高めることができる。
加えて、特に、ケース110の第1傾斜部113と防熱部材130との間に、蒸着材料100が防熱部材130に付着するのを防止すると共に輻射熱を反射させるための防着板兼反射板150を設けるようにしたので、ケース110と防熱部材130との間で温度差をつけることができ、ケース110の上面の温度制御性を更に高めることができる。
なお、上記実施の形態では、ケース110は第1傾斜部113を有し、防熱部材130は第1傾斜部113に沿った第2傾斜部131を有している場合について説明したが、ケース110の上面の凸部111の周囲の領域およびそれに対向する防熱部材130の下面の断面形状は、上記実施の形態で説明した単なる傾斜面には限られない。
例えば図7に示したように、ケース110は、上面の凸部111の周囲に、凸部111の下端114Aが側面の上端114Bよりも高い位置にあるような第1階段部114を有し、一方、防熱部材130は、第1階段部114に対応して、凸部111に近い端部の厚みD1よりも凸部111から遠い端部の厚みD2のほうが大きいような第2階段部133を有していてもよい。なお、第1階段部114および第2階段部133の段数は特に限定されない。
また、例えば図8に示したように、ケース110は、上面の凸部111の周囲に、凸部111の下端115Aが側面の上端115Bよりも高い位置にあるような第1曲面部115を有し、一方、防熱部材130は、第1曲面部115に対応して、凸部111に近い端部の厚みD1よりも凸部111から遠い端部の厚みD2のほうが大きいような第2曲面部134を有していてもよい。
更に、上記実施の形態では、ケース110が第1傾斜部113を有する場合について説明したが、ケース110の上面の凸部111の周囲の領域を平坦面とし、防熱部材130の凸部111に近い端部の厚みD1よりも凸部111から遠い端部の厚みD2のほうを大きくしてもよい。例えば、防熱部材130の上面に、図9に示したような凸部111から離れるにつれて高くなる第3傾斜部135、あるいは、図10に示したような第3階段部136を設けるようにしてもよい。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、ケース80と坩堝80Aとを別個に構成するようにした場合について説明したが、坩堝とケースとを一体とすることも可能である。
また、上記実施の形態では、有機発光素子10Rの有機層12が四つの層からなることに鑑み、各蒸着装置41R,41G,41Bにそれぞれ四つの蒸着源62A,62B,62C,62Dを備え、蒸着装置41G,41Bでは蒸着源62Aに何も収容しないようにした場合について説明したが、蒸着源の数は、必ずしも蒸着装置41R,41G,41Bで同じである必要はなく、また、有機発光素子10R,10G,10Bの有機層12の数と同じである必要もない。
更に、上記実施の形態では、各蒸着源62A,62B,62C,62Dに何もいれないか、あるいはそれぞれ異なる蒸着材料を収容するようにしたが、二つ以上の蒸着源に同じ材料を収容するようにしてもよい。
加えて、上記実施の形態では、搬送部63が、固定位置にある蒸着源61A,61B,61C,61Dに対して基板11を移動させるようにした場合について説明したが、搬送部63は、固定位置にある基板11に対して蒸着源61A,61B,61C,61Dを移動させるようにしてもよく、あるいは、基板11と蒸着源61A,61B,61C,61Dとの両方を移動させるようにしてもよい。
更にまた、例えば、上記実施の形態において説明した各部の構造あるいは材料などは限定されるものではなく、他の構造あるいは材料としてもよい。例えば、上記実施の形態では、表示装置の構造を具体的に例を挙げて説明したが、これに限られるものではない。
本発明の一実施の形態に係る蒸着装置およびこれを用いた表示装置の製造システムによって製造される表示装置の概略構成を表す断面図である。 図1に示した表示装置を製造するための製造システムの全体構成を表す平面図である。 図2に示した製造システムの各部の間で基板を移動させるための搬送治具の一例を表す断面図である。 図2に示した蒸着装置の構成を模式的に表す断面図である。 図2に示した蒸着装置の構成を模式的に表す斜視図である。 図4および図5に示した蒸着源の概略構成を表す断面図である。 図6に示した蒸着源の変形例を表す断面図である。 図6に示した蒸着源の他の変形例を表す断面図である。 図6に示した蒸着源の更に他の変形例を表す断面図である。 図6に示した蒸着源の更に他の変形例を表す断面図である。 従来の蒸着源の一例を表す断面図である。 従来の蒸着源の他の例を表す断面図である。 従来の蒸着源の更に他の例を表す断面図である。
符号の説明
10…駆動パネル、10R,10G,10B…有機発光素子、11…基板、12…有機層、12A…正孔注入層、12B…正孔輸送層、12C…発光層、12D…電子輸送層、13…第1電極、14…第2電極、20…封止パネル、21…封止用基板、30…接着層、40…製造システム、41R,41G,41B…蒸着装置,42…基板供給部、43…前処理部、44R,44G,44B…アライメント部、45…後処理部、46…基板排出部、47…リターン部、48…閉ループ構造、50…搬送治具、51…メタルマスク、51A…開孔、52…電磁石、61…真空チャンバ、62A,62B,62C,62D…蒸着源、63…搬送部、100…蒸着材料、100A…蒸気、110…ケース、110A…坩堝、111…凸部、112…噴出孔、113…第1傾斜部、120…熱源、130…防熱部材、131…第2傾斜部、132,141…水冷配管、140…水冷板、150…防着板兼反射板

Claims (6)

  1. 蒸着材料を収容する坩堝が内部に設置されたケースを有し、前記ケースの上面に、先端に噴出孔を有する凸部が設けられ、前記ケースの上面の前記凸部の周囲の領域は前記凸部の下端が前記ケースの側部の上端よりも高い位置にあるように形成された蒸着源と、
    前記凸部に隣接して配置され、前記凸部に近い端部の厚みよりも前記凸部から遠い端部の厚みのほうが大きい防熱部材と
    を備えた蒸着装置。
  2. 前記ケースは、前記上面の凸部の周囲に、前記凸部から離れるにつれて低くなる第1傾斜部を有し、
    前記防熱部材は、前記第1傾斜部に対向する側に前記第1傾斜部に沿った第2傾斜部を有す
    求項1記載の蒸着装置。
  3. 前記防熱部材の上面は、前記凸部の先端と同じ高さまたは前記凸部の先端よりも低い位置にあ
    求項1記載の蒸着装置。
  4. 前記防熱部材には水冷配管が内蔵されてい
    求項1記載の蒸着装置。
  5. 前記ケースの第1傾斜部と前記防熱部材との間に、蒸着材料が前記防熱部材に付着するのを防止すると共に輻射熱を反射させるための防着板兼反射板を備え
    求項1記載の蒸着装置。
  6. 基板に有機層を備えた有機発光素子を形成するための蒸着装置を複数備え、前記蒸着装置の各々がそれぞれ異なる色成分に対応した有機発光素子を形成するように構成された表示装置の製造システムであって、
    前記蒸着装置は、
    蒸着材料を収容する坩堝が内部に設置されたケースを有し、前記ケースの上面に、先端に噴出孔を有する凸部が設けられ、前記ケースの上面の前記凸部の周囲の領域は前記凸部の下端が前記ケースの側部の上端よりも高い位置にあるように形成された蒸着源と、
    前記凸部に隣接して配置され、前記凸部に近い端部の厚みよりも前記凸部から遠い端部の厚みのほうが大きい防熱部材と
    を備えた表示装置の製造システム。
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