JP4982836B2 - ラミネート装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、ポスターや駅で掲示する時刻表、広告等の印刷物、インクジェット・プリンターによる出力物(以下、メディアという)の表面にアクリル系またはウレタン系のエマルジョン液を塗布し、乾燥・硬化させることにより、メディアの表面に耐候性のある塗膜を形成するラミネート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
メディアの表面に耐候性のある塗膜を形成する従来のラミネート装置は、図11の側面図に示すように、台枠101の左右両側に固定された平行な側板111を備え、この側板111の間には、搬送用フィルムCの原反を保持する軸112と、搬送用フィルムCの上に被処理メディアMを重ねるアイドル・ローラ114およびテーブル113と、搬送される被処理メディアMの表面にアクリル系、ウレタン系等のエマルジョン液を塗布するエマルジョン液塗布装置170と、塗布されたエマルジョン液を乾燥・硬化させる加熱装置160と、モータによって駆動され、処理済みのメディアMを搬送用フィルムCとともに巻芯に巻き取る巻取装置115とを備えている。
【0003】
搬送用フィルムCの原反を保持する軸112には、搬送用フィルムCにテンションを付与するためにブレーキが設けられており、処理済みメディアMおよび搬送用フィルムCを巻き取る巻取装置115の軸には、過剰なトルクが作用しないようにクラッチが設けられている。
【0004】
巻芯に巻かれた被処理メディアMを転動自在に保持するために、間隔をあけて平行に配置された2本のローラを有する受台118が使用される。
【0005】
従来のラミネート装置におけるエマルジョン液塗布装置170は、図12の斜視図および図13の側面図に示すように、搬送用フィルムCおよびメディアMの上面と接触するように配置され、メディアMの進行方向と直交する方向に配置された1組の棒部材171、172と、メディアMの進行方向と平行な方向に配置されて、1組の棒部材171、172を支持する1組の仕切部材173で構成され、後の棒部材172は、前の棒部材171よりも高い位置に配置されている。高い棒部材172の表面には、塗布すべきエマルジョン液の量を規制する約0.2mmピッチのスプラインが形成されている。
【0006】
そして、低い棒部材171と1組の仕切部材173で囲まれた空間により、メディアMの表面上においてエマルジョン液を貯留する貯留部を形成している。エマルジョン液は、高い位置に設けられたエマルジョン液タンク174からパイプおよび供給バルブ175を経て貯留部に供給される。
【0007】
メディアMの表面に塗布されたエマルジョン液を乾燥・硬化させる加熱装置160は、複数本の管状ヒータ161を平行に配置したものであって、テーブル143上を搬送されるメディアMの表面に輻射熱を照射する。
【0008】
作業者が、軸112に搬送用フィルムCの原反をセットして、アイドル・ローラ114およびテーブル113の上、エマルジョン液塗布装置170の下、加熱装置160のテーブル143の上を経て、巻取装置115の軸に保持された巻芯に巻き付ける。そして、印刷面を内側にして巻き取られた被処理メディアMを受台118に載せて引き出し、その先端部を粘着テープなどにより搬送用フィルムCに固定する。
【0009】
加熱装置160の管状ヒータ161に通電して、低い棒部材171と1組の仕切部材173で囲まれ、搬送用フィルムCおよびメディアMを底部とする貯留部にエマルジョン液を注入してモータを回転させて運転を開始すると、メディアMは搬送用フィルムCとともに進行する。
【0010】
搬送用フィルムCとともに進行するメディアMが、エマルジョン液塗布装置170の下を通過するときに、メディアMの表面にエマルジョン液が付着するが、スプラインを形成した高い棒部材172により過剰なエマルジョン液を掻き落として均す。
【0011】
このように表面にエマルジョン液が塗布されたメディアMを、加熱装置160を通過させることにより、表面のエマルジョン液を乾燥・硬化させたのち、巻取装置115において巻芯に巻き取っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来のラミネート装置においては、エマルジョン液塗布装置170が低い棒部材171と1組の仕切部材173で構成されているので、搬送用フィルムCのテンションの相違によって、メディアMの表面に形成される塗布膜の厚みが変化し、テンションが不足したり、メディアBの表面に凹凸があると、貯留しているエマルジョン液が漏れ出すことがあった。エマルジョン液は、空気に触れると硬化するので、エマルジョン液塗布装置170に貯留されているエマルジョン液を常に手入れしなければならない。
【0013】
また、メディアMの印刷に使用されたインクの種類、メディアの材質(加工紙、プラスチックフィルム等)によっては、エマルジョン液の濡れ性が悪く、エマルジョン液が均一に塗布されず、はじかれて、乾燥・硬化させると塗布膜に多数の小さな気泡が現れることがあった。
【0014】
従来のラミネート装置においては、塗布膜の厚みは、高い棒部材172のスプラインのピッチと深さで決まるので、塗布膜の厚みを変える場合には、棒部材172を交換しなければならなかった。したがって、メディアの搬送途中において塗布状態を見ながら塗布量を調節することはできなかった。
【0015】
メディアMの仕上がり表面を使用目的に応じて「光沢」にしたり、「つや消し」にしたい場合がある。従来のラミネート装置においては、仕上がり状態を変える場合には、エマルジョン液の種類を変更していた。エマルジョン液を交換する際には、搬送フィルムCの取り換えやエマルジョン液塗布装置170の洗浄等の作業が必要となり、この作業は、労力と時間を要し、エマルジョン液の無駄を生じるものであった。
【0016】
また、周囲温度によって、メディアMの表面に塗布されたエマルジョン液の乾燥・硬化状態が変化し、棒部材172のスプラインの痕跡が残ることがあり、表面の仕上がり状態が一定化しないなどの問題があった。そこで、この発明は、このような問題点を解決するために考えられたものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明のラミネート装置は、被処理メディアを載せた搬送用フィルムを引き出す引出装置と、搬送される上記メディアと同じ方向にほぼ同じ速度で前進し、反対方向に速く後退して待機する枠体と、該枠体の前進中に枠体上をメディアの搬送方向と交差する方向に移動しながら上記メディアの表面に塗布液を塗布する塗布装置と、上記メディアの表面に塗布された塗布液を乾燥・硬化させる加熱装置とを具備するラミネート装置において、上記塗布液を塗布する塗布装置は、タンク内の塗布液を加圧してその圧力により霧化噴霧するエアレス・スプレー・ガンと、該エアレス・スプレー・ガンの進行方向両側に設け、搬送用フィルムに載せた被処理メディアの存在を光学的に検知するセンサとを具備し、該センサの出力により上記エアレス・スプレー・ガンの開閉バルブを制御するものである。
【0018】
また、この発明のラミネート装置は、被処理メディアを載せた搬送用フィルムを引き出す引出装置と、搬送される上記メディアを跨ぐように設けられ、かつ、上記メディアの前進速度と塗布装置の移動速度とを合成した速度勾配に対応する角度に調整できる枠体と、該枠体上をメディアの搬送方向と交差する方向に移動しながら上記メディアの表面に塗布液を塗布する上記塗布装置と、上記メディアの表面に塗布された塗布液を乾燥・硬化させる加熱装置とを具備するラミネート装置において、上記塗布液を塗布する塗布装置は、タンク内の塗布液を加圧してその圧力により霧化噴霧するエアレス・スプレー・ガンと、該エアレス・スプレー・ガンの進行方向両側に設け、搬送用フィルムに載せた被処理メディアの存在を光学的に検知するセンサとを具備し、該センサの出力により上記エアレス・スプレー・ガンの開閉バルブを制御するものとすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
この発明のラミネート装置は、図1の側面図に示すように、台枠1の左右両側に固定された平行な側板11を備え、この1対の側板11の間には、搬送用フィルムCの原反を保持する軸12と、搬送用フィルムCの上に被処理メディアMを重ねて搬送するアイドル・ローラー14、テーブル13(図2参照)、アイドル・ローラー15、16と、搬送されるメディアMの表面にアクリル系、ウレタン系等のエマルジョン液や、溶剤系二液混合タイプのコーティング液を塗布する塗布装置2と、塗布された液を乾燥・硬化させる加熱装置6と、モータ55によって駆動され、メディアMを保持した搬送用フィルムCを引き出す引出ローラ5と、モータ55によって駆動され、引き出された使用済みの搬送用フィルムCを巻き取る巻取装置53と、引き出されたメディアMを搬送用フィルムCから剥がして巻芯に巻き取る巻取装置54とを備えている。
【0020】
アイドル・ローラ14、15、16は、搬送用フィルムCが、テーブル13の上、塗布装置2および加熱装置6を通過するときに、メディアMに水平な姿勢を維持させるために設けられている。
【0021】
さらに、搬送用フィルムCを引出ローラ5に押し付ける加圧ローラ51を備えており、この加圧ローラ51は、ハンドル操作により引出ローラ5から引き離し得るよう構成されている。
【0022】
搬送されるメディアMの速度を検出するために、図2に示すように、ロータリー・エンコーダ3が設けられている。このロータリー・エンコーダ3は、メディアMまたは搬送フィルムCの表面を転動するローラの軸に取り付けるか、引き出しローラー5の軸やアイドル・ローラ14の軸に取付けることができる。
【0023】
搬送用フィルムCの原反を保持する軸12には、搬送用フィルムCにテンションを付与するためにブレーキが設けられており、処理済みメディアMおよび搬送用フィルムCにテンションを付与するために、巻取装置53、54の巻取速度が引出ローラ5の引出速度より速くなるように速度比が設定され、巻取装置53、54の軸には、過剰なトルクが作用しなようにクラッチが設けられている。また、巻き取りが不要な際には、巻取装置53、54が取り外せるように着脱自在に構成されてもいる。
【0024】
塗布装置2は、図2の斜視図に示すように、搬送用フィルムCに重ねられたメディアMが移動するテーブル13の上を跨るように設けられるものであって、両端部の支持部材41a、41bおよびレール42を有する枠体4と、このレール42の上を走行する走行体29に垂下されたエアレス・スプレー・ガン20とにより構成されている。
【0025】
枠体4の両端部の支持部材41a、41bには、それぞれナット部材43a、43bが固定されており、これらのナット部材43a、43bには、テーブル13に固定された軸受44a、44bに軸支された螺子棒45a、45bがそれぞれ挿通されている。
【0026】
一方の螺子棒45bは、パルス・モータ40aが結合されて正逆両方向に駆動され、両螺子棒45a、45bは、プーリ46a、46bおよびタイミング・ベルト47を介して同期回転させられる。そして、枠体4は、ナット部材43a、43bを介して、搬送用フィルムCの搬送方向と同じ方向に往復運動させられる。
【0027】
レール42の上を走行する走行体29は、レール42の両端部に設けられたプーリ48a、48b、48c、48dの間に掛け渡されたタイミング・ベルト49を介して、モータ40bにより搬送用フィルムCの搬送方向と直交する方向に駆動される。なお、レール42にチャンネル部材を用いて、プーリ48a、48b、48c、48dおよびタイミング・ベルト49をチャンネル部材の溝に収めると、枠体4をコンパクトにまとめることができる。
【0028】
この走行体29には、図3の斜視図(a)に示すように、エアレス・スプレー・ガン20が垂下されている。
【0029】
エアレス・スプレー・ガン20は、チューブと開閉バルブを介してエマルジョン液等の塗布液タンクと連通している。塗布液タンクは圧縮空気によって加圧されており、エアレス・スプレー・ガン20のバルブを開くことによって加圧された塗布液がエアレス・スプレー・ガン20から噴出する。
【0030】
さらに、走行体29には、搬送用フィルムCに重ねられたメディアMの存在を光学的に検知するために、エアレス・スプレー・ガン20の進行方向の両側にセンサ27a、27bが設けられている。このセンサは、搬送用フィルムCに向けて光線を照射し、搬送用フィルムCとメディアMとの反射率の相違に基づく反射光の変化を検出して、メディアMの存在を光学的に検知するものである。
【0031】
なお、このセンサ27a、27bは、反射光式のセンサに限ることなく、透過光式のセンサを使用することができる。例えば、テーブル13を透明な樹脂板とするか、テーブル13の一部に透明な樹脂をはめ込んだスリットを形成して光線を透過させ、この透過光をメディアMが遮断する状態を検出してメディアMの存在を光学的に検知することができる。このセンサ27a、27bによって、走行体29は、メディアの幅だけを往復し、さらにはメディア幅の分だけ開閉バルブを開いて塗布液を噴出させることができる。これによって幅の異なったメディアを連続してセットしても、設定を変更することなく塗布が可能となる。
【0032】
メディアMの表面に塗布されたエマルジョン液等の塗布液を乾燥・硬化させる加熱装置6は、図1の側面図に示すように、メディアMの搬送路に沿って設けられ、必要に応じて複数設置しておく。加熱装置6は、1本、あるいは複数の管状ヒータ61を平行に配置したものであり、管状ヒータ61の後側には輻射された熱をメディアMに向けて反射させる反射板62が設けられており、管状ヒータ61の前側は、誤ってメディアMがヒータ61と接触しないように保護ネット63で覆われている。
【0033】
次に、このように構成された第1の実施形態のラミネート装置の動作を説明する。
【0034】
作業者が、ハンドル操作により加圧ローラ51を引出ローラ5から引き離して隙間を形成し、軸12に搬送用フィルムCの原反をセットして、アイドル・ローラ14、15、16に掛け渡しながら、テーブル13と液塗布装置2の間、加熱装置6、引出ローラ5と加圧ローラ51との間を経て、巻取装置53の軸に保持された巻芯に巻き付ける。
【0035】
そして、巻芯に巻かれている処理前のメディアMの巻芯を掛け、図2に示すように、印刷面を表側にしてメディアMの先端部を粘着テープなどにより搬送用フィルムCに固定する。なお、この搬送用フィルムCとして、弱粘着性を有するフィルムを使用すると、メディアMを容易に保持させ、かつ容易に取り外すことができる。
【0036】
パルス・モータ40aにより両螺子棒45a、45bを逆方向に回転させて、枠体4を搬送用フィルムCの搬送方向と反対方向(図2において右斜め下側)の端部まで移動させる。そして、パルス・モータ40bにより走行体29に垂下されたエアレス・スプレー・ガン20を一端(左端)まで移動させておく。
【0037】
加熱装置6の管状ヒータ61に通電して、乾燥・硬化ラインの温度を必要温度まで上昇させる。エアーコンプレッサー動作させて、塗布液のタンクを加圧する。そして、ハンドル操作により加圧ローラ51を引出ローラ5に押し付け、モータ55により引出ローラ5の回転を開始すると、メディアMは搬送用フィルムCとともに引き出されて連続的に進行する。このメディアMの速度は、ロータリー・エンコーダ3(図2参照)によって検出することができる。
【0038】
そこで、ロータリー・エンコーダ3から出力されるメディアMの速度信号に基づいて、枠体4を移動させるパルス・モータ40aの速度を制御して、枠体4をメディアMの移動方向と同じ方向に同じ速度で移動させる。
【0039】
枠体4の移動中に、モータ40bによりタイミング・ベルト49を介して、走行体29に垂下されたエアレス・スプレー・ガン20をメディアMと直交する右方向に移動させる。この移動中に、走行体29に設けられた前側のセンサ27aがメディアMの左端を検知し、さらにセンサ27aとエアレス・スプレー・ガン20の塗布パターンとの間隔分の距離を進行すると、バルブを開いてエアレス・スプレー・ガン20から塗布液を噴射して塗膜層を形成する。
【0040】
この塗膜層の厚みは、エアレス・スプレー・ガン20の移動速度や噴射のための圧力を変えることにより調整することができる。
【0041】
このようにしてエアレス・スプレー・ガン20の移動中に、図4に示すように、塗布幅W(例えば60mm)でメディアMの表面に、メディアMの移動方向とほぼ直角方向に塗布液を帯状に塗布することができる。
【0042】
メディアMの表面に塗布液を塗布中に、エアレス・スプレー・ガン20がメディアMの右端を通過して、センサ27aがメディアMの存在を検知しなくなって、さらにセンサ27aとエアレス・スプレー・ガン20の塗布パターンとの間隔分の距離を進行すると、バルブを閉じてエアレス・スプレー・ガン20からの塗布液の噴射を停止させて、エアレス・スプレー・ガン20の移動を停止させるとともに、パルス・モータ40aを逆回転させて、枠体4をメディアMと反対方向に速い速度で、枠体4の前進時の送り量だけ後退させて、原点位置に待機させる。
【0043】
図4(a)に示すように、メディアMが、塗布開始位置から距離W−w(例えば30mm)だけ移動したとき、モータ40bにより走行体29に垂下されたエアレス・スプレー・ガン20をメディアMと直交する左方向に移動させる。この移動により走行体29に設けられたセンサ27bがメディアMの右端を検知すると、塗布幅W(例えば60mm)の広がりを持った噴霧パターンでメディアMの表面に塗布液を帯状に塗布して塗膜層を形成する。
【0044】
塗布後に充分に速い速度で、塗布時に前進した量だけ枠体4を後退させ、重畳部分の幅w(例えば30mm)になるまでエアレス・スプレー・ガン20と枠体4を待機させ、メディアMが重畳部分の幅wになるまで前進するとエアレス・スプレー・ガン20を前回とは逆方向に移動させてメディアMに一定の幅wで塗布液を塗布する動作を繰り返す。
【0045】
このように、メディアMの連続的な進行中に、枠体4をメディアMの進行方向に1ピッチづつ往復させながら、枠体4の前進中にエアレス・スプレー・ガン20をメディアMの進行方向と直交する方向に移動させて塗布液を帯状に塗布する際に、枠体4が後退して原点位置に待機している時間を変化させると、1ピッチの間隔が変化して重畳部分の幅wを調整することができる。
【0046】
この実施形態においては、エアレス・スプレー・ガン20を使用している。エアレス・スプレー・ガン20は、塗布液を加圧して噴射することにより霧化して塗布パターン20aの形成を行うものであるから、塗布液の噴射速度がエアスプレー・ガンに比して速く、霧体積に占める塗布液量の割合が高いのでふんわりとした霧ではなく、ジェットのような噴射流となる。すなわち、塗布パターンの境界がぼやけず明確になる傾向がある。
【0047】
そして、エアレス・スプレー・ガン20においては、使用する塗布液の粘度により塗膜層の厚みパターンが変化する傾向がある。すなわち、図3の(b)に示すように、エアレス・スプレー・ガンを使用して楕円形の塗布パターン20aを形成する際に、塗布液が低粘度の場合には、塗布膜20bの中央部が厚く周辺部で薄くなり、塗布液が高粘度の場合には、塗膜層20cの厚みが周辺部で厚く中央部で薄くなって、塗膜層の厚みが均一化されない傾向がある。
【0048】
この現象は、同一圧力で噴霧した場合に、塗布液の粘度が大きいとノズル接触部における抵抗が増加して、中央部に比して周囲部の流速が低下し霧化し難くなるために発生する現象である。
【0049】
この現象は、図3の(c)に示すように、円形の塗布パターン20aを形成する際にも同様に現れる。
【0050】
このように、エアレス・スプレー・ガン20を使用した場合には、塗布液の粘度が大きくなるのに応じて塗膜層の厚みが不均一になる傾向があので、エアレス・スプレー・ガン20をメディアMの進行方向に対して直交方向に移動させて塗布する際に、塗布パターン20aの幅の半分を1ピッチとして、枠体4をメディアMの進行方向に往復させながら塗布すると、図4(b)に示すように、塗布量が少ない部分に次の塗布量の多い部分を重ねるように重畳させることができる。
【0051】
このように、粘度の高い塗布液を使用して、塗布量の少ない部分に塗布量の多い部分を重ねて均一な塗膜を形成させるためには、エンコーダ3の出力に基づいて枠体4を駆動するモータ40bを制御しなければならないが、低粘度の塗布液を塗布する場合には、厳密な重畳制御が不要である。
【0052】
このように、エアレス・スプレー・ガン20を往復させて塗布液を帯状に塗布すると、塗布幅の側部が重畳w(例えば30mm)して塗布されることになる。この重畳wは、枠体4をメディアMの移動方向と同じ方向に同じ速度で移動させるタイミングを変化させることによって自由に調整できる。この調整を行うことによって、塗膜の不均一さが解消されて均一な塗膜の形成が可能になる。
【0053】
仮に、メディアMの移動速度が変化しても、エンコーダ3により速度を検出して、枠体4の進行速度をメディアMの移動速度に追従するようにフィードバックさせているので、速度遅れが生じることなく均一に塗布することができる。
【0054】
そして、表面に塗布液を塗布されたメディアMは、搬送用フィルムCとともに加熱装置6を通過させることにより、表面の塗布液を乾燥・硬化させる。引き出された使用済みの搬送用フィルムCは、巻取装置53の巻芯に巻き取られ、処理されたメディアMは、搬送用フィルムCから剥離して巻取装置54の巻芯に巻き取られる。もちろん、メディアMは巻芯に巻き取ることなく、例えば作業者が引き出してもよいのである。この場合には巻取装置54を取り外しておくことも可能である。
【0055】
搬送用フィルムCにメディアMが保持されて加熱装置6の前を通過しても、搬送用フィルムCとして、弱粘着性を有するフィルムを使用しておくと、乾燥装置内の熱風によって搬送用フィルムCからメディアMが剥離して管状ヒータ61と接触することはないのである。
【0056】
(第2の実施形態)
この発明のラミネート装置においては、メディアMに対して非接触的に塗布を行うので、メディアMの厚みが変化しても塗布装置3の機械的な変更は不要である。エアレス・スプレー・ガン20とメディアMとの間隔がある程度あれば、メディアMの厚みが変わっても塗布工程は全く同様に行うことができる。
【0057】
この特徴を活かして、パネル等の曲がらない板状の厚いメディアMにも塗膜の形成を行うことができる。図5に示すように、メディアMの投入口から加熱装置6を経て、パネル等のメディアMを取り出す取出口までを一直線上に配置し、取出口を開くように構成されている。これによって、パネル等の曲がらない板状の厚いメディアMに対しても塗膜の形成を行うことができる。
【0058】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、図6の斜視図に示すように、走行体29に複数のエアレス・スプレー・ガン70、71を垂下させたものである。ここではエアレス・スプレー・ガン70、71を含む塗布液の経路について図7に基づいて説明する。2組のエアレス・スプレー・ガン70、71は、それぞれ2つの塗布液タンク72、73に接続されている。コンプレッサー74によりタンク72、73を加圧し、制御用メインバルブ77をセンサー27a、27b等からの信号によって開閉することにより、エアレス・スプレー・ガン70、71のバルブを開閉させて、塗布液を噴出させるのである。
【0059】
各エアレス・スプレー・ガン70、71には、手動式のバルブ75a、75bが設けられており、メインバルブ77の開閉により送られる制御用エアーをエアレス・スプレー・ガン70、71の開閉バルブへ送るか否かを変更できる。2個のタンクに異種の塗布液を入れておき、これを切り換えて使用する場合は、バルブ75a、75bの一方を開、他方を閉にしておけば、開いた方のエアレス・スプレー・ガンの開閉バルブにエアーが送られ、バルブが開いて塗布液が噴出される。また、両方のタンクに同種の液を入れておけば、片方のタンクの液を補充する際にも、使用するエアレス・スプレー・ガンを切り換えることにより作業を止めることなく液の補充が可能になる。
【0060】
このように、エアレス・スプレー・ガンを使用することによりガンが小型化でき、走行体29に複数のエアレス・スプレー・ガンを取り付けることができるので、複数の塗布液の切り換えが容易なコーティング装置を提供することができる。さらに、多種類の塗布液を使用する場合には、走行体29に対してエアレス・スプレー・ガンを着脱できるように構成しておき、エアレス・スプレー・ガンと配管とをあわせて交換するように構成しておくと塗布液の変更を効率的にできる。
【0061】
(第4の実施形態)
以上で説明した実施形態においては、メディアMの進行速度に同期させながら、メディアMの進行方向と直交する方向にエアレス・スプレー・ガン20を走行させて塗布するように構成されているが、メディアMが常に定速で送られており、かつ、メディアMの送り速度に比べて進行方向と直交する方向へ走行するエアレス・スプレー・ガンの速度が十分に速ければ、送り方向への同期送り機構をさらに簡略化した構造にすることができる。
【0062】
図8に示すように、走行体29を走行させるレール42の一端を水平方向に回動自在に軸支32し、レール42の他端を螺子棒81およびパルス・モーター82により移動させて、レール42をメディアMの進行方向に対して角度を調整できるように構成されている。なお、レール42の角度変化によって生じる距離の変化に追従できるように、レール42の両端の何れか一方の軸支部分に長穴をあけて摺動可能に構成されている。
【0063】
一定速度で進行するメディアMに対して、エアレス・スプレー・ガン20を直交する方向に走行させた場合、その塗膜は、メディアMの進行速度V1とエアレス・スプレー・ガン20の走行速度V2とにより決まる速度勾配Vの傾斜した軌跡を描く。そこで、図9(a)に示すように、予めメディアMの進行速度V1とエアレス・スプレー・ガン20の走行速度V2とにより決まる速度勾配Vに相当する角度θの方向にエアレス・スプレー・ガン20を走行させれば、その軌跡は、図9(b)に示すように、メディアMの進行方向に直交する方向になる。
【0064】
2つの速度V1、V2が決まれば、図9(c)(d)に示すように、パルス・モータ82を駆動してレール42を速度勾配Vに対応した角度θに設定して、その設定状態を保持する。このようにレール42の角度θを設定したのち、エアレス・スプレー・ガン20を走行させながら塗布液を塗布させればよいのである。速度勾配VはメディアMがある一定速度で移動している限り一度設定すればよいのである。また、メディアMの移動速度が一時的に変化しても塗布幅があるので、その一時的な速度変化を補償して均一な塗膜の形成が可能である。
【0065】
この実施形態においては、レール42の一端を基準として設置角度θが決まり、塗布方向が1方向に限られているが、レール42の両端に螺子棒をそれぞれ設置し、レール42を螺子棒に対し回動自在に支持し、螺子棒を互いに逆方向に回転させるように構成して、レール42の中心を基準にして角度θを交互に反転させれば、エアレス・スプレー・ガン20を双方向の走行させながら塗布することも可能である。
【0066】
(第5の実施形態)
低粘度の塗布液を薄く塗布する場合など、霧の密度が均一になり、重畳精度に対する制約が緩く、かつ、メディアMの進行速度に対してエアレス・スプレー・ガン20の走行速度が十分に速い場合には、メディアMの進行速度に同期させたレール42の送り機構を停止させておき、通常の左右走行のみで塗布することも可能である。
【0067】
エアレス・スプレー・ガン20は常に有効幅全幅にわたって定速で往復運動させておき、センサー27a、27bがメディアを検出した範囲内にのみにエアレス・スプレー・ガン20のバルブを開閉して塗布液を塗布する。この場合、図10に示すように、塗布の軌跡は勾配を持った軌跡をとるが、往復運動するエアレス・スプレー・ガン20が折り返す時に、タイミングを合わせさえすれば、勾配を持った軌跡をうまく重畳させることが可能になる。このタイミングは、エアレス・スプレー・ガン20の走行区間が常に規定されていれば、エンコーダ3から得られるメディアMの進行速度と、あらかじめ設定されたエアレス・スプレー・ガン20の走行速度から算出することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上の実施形態に基づく説明から明らかなように、この発明のラミネート装置によると、搬送用フィルムCおよびメディアMを一定速度で引き出しながら、エアレス・スプレー・ガンをメディアの搬送方向とほぼ直交する方向に移動させながら、エアレス・スプレー・ガンによって塗布液を塗布するので、幅広いメディアでも全幅にわたって均質な塗布膜を形成することができる。また、複数のエアレス・スプレー・ガンを設けることが可能で、洗浄性、メンテナンス性から塗布液の切り換えまで塗布作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のラミネート装置の第1の実施形態を一部断面で示した側面図、
【図2】第1の実施形態における塗布装置を示す斜視図、
【図3】第1の実施形態で使用するエアレス・スプレー・ガンを示す斜視図(a)および塗布パターンおよび塗膜厚のパターンを示す図(b)(c)、
【図4】第1の実施形態による塗布状態を説明するために使用する説明図、
【図5】この発明のラミネート装置の第2の実施形態を一部断面で示した側面図、
【図6】この発明のラミネート装置の第3の実施形態におけるエアレス・スプレー・ガンを示す斜視図を示す斜視図、
【図7】第3の実施形態における塗布液の供給経路を示す図、
【図8】第4の実施形態における塗布装置を示す斜視図、
【図9】第4の実施形態における塗布状態を説明する図、
【図10】第5の実施形態における塗布状態を説明する図、
【図11】従来のラミネート装置を一例を示す側面図、
【図12】従来のラミネート装置において使用するエマルジョン液塗布装置を示す斜視図、
【図13】図12に示すエマルジョン液塗布装置の側面図である。
【符号の説明】
C 搬送用フィルム
M メディア
1 架台
2 塗布装置
4 枠体
5 引出ローラ
6 加熱装置
13 テーブル
20、70、71 塗布ヘッド
51 加圧ローラ
61 管状ヒータ
62 反射板
Claims (6)
- 被処理メディアを載せた搬送用フィルムを引き出す引出装置と、
搬送される上記メディアと同じ方向にほぼ同じ速度で前進し、反対方向に速く後退して待機する枠体と、
該枠体の前進中に枠体上をメディアの搬送方向と交差する方向に移動しながら上記メディアの表面に塗布液を塗布する塗布装置と、上記メディアの表面に塗布された塗布液を乾燥・硬化させる加熱装置とを具備するラミネート装置において、
上記塗布液を塗布する塗布装置は、タンク内の塗布液を加圧してその圧力により霧化噴霧するエアレス・スプレー・ガンと、該エアレス・スプレー・ガンの進行方向両側に設け、搬送用フィルムに載せた被処理メディアの存在を光学的に検知するセンサとを具備し、該センサの出力により上記エアレス・スプレー・ガンの開閉バルブを制御することを特徴とするラミネート装置。 - 枠体の待機時間を変えて塗布ピッチを調整し、塗布パターンの重畳幅を変化させて塗膜厚を調整することを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
- メディアがパネル等の屈曲しない厚物メディアに対応することを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
- 複数個のエアレス・スプレー・ガンを併設して、複数の性質の異なる塗布液の切り変えを容易ならしめたことを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
- 被処理メディアを載せた搬送用フィルムを引き出す引出装置と、
搬送される上記メディアを跨ぐように設けられ、かつ、上記メディアの前進速度と塗布装置の移動速度とを合成した速度勾配に対応する角度に調整できる枠体と、
該枠体上をメディアの搬送方向と交差する方向に移動しながら上記メディアの表面に塗布液を塗布する上記塗布装置と、
上記メディアの表面に塗布された塗布液を乾燥・硬化させる加熱装置とを具備するラミネート装置において、
上記塗布液を塗布する塗布装置は、タンク内の塗布液を加圧してその圧力により霧化噴霧するエアレス・スプレー・ガンと、該エアレス・スプレー・ガンの進行方向両側に設け、搬送用フィルムに載せた被処理メディアの存在を光学的に検知するセンサとを具備し、該センサの出力により上記エアレス・スプレー・ガンの開閉バルブを制御することを特徴とするラミネート装置。 - 枠体上を移動する塗布装置の移動方向により設置角度を反転させることを特徴とする請求項5に記載のラミネート装置。
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