JP5115722B2 - 熱転写シート - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱滑性層にシリコーン化合物を用いた熱転写シートに関し、特に、転写時の走行性及び染料の保存安定性に優れた熱転写シートに関するものである。
昇華染料を用いた熱転写方式は、極めて短時間の加熱によって多数の色ドットを被転写材に転写させ、多色の色ドットによりフルカラー画像を再現するものである。
この熱転写方式では、熱転写シートとして、ポリエステルフィルム等の基材シートの一方の面に、昇華性染料とバインダとからなる染料層を設けた,いわゆる昇華型熱転写シートが用いられる。
熱転写方式では、サーマルヘッドにより画像情報に応じて、熱転写シートを背後から加熱し、染料層に含まれる染料を被転写材(印画紙)に転写させて画像を形成する。
このとき、熱転写シートでは、サーマルヘッドと接触する側の面が、低濃度印画から高濃度印画まで安定して低摩擦であることが要求される。一般に、熱転写シートには、サーマルヘッドと融着することを防止し、スムーズな走行性を付与するために、染料層が形成される面とは反対側の面に耐熱滑性層が設けられている。
ところで、熱転写シートにより印画紙に印画する際には、サーマルヘッドから耐熱滑性層に熱を加え、反対面の染料層中の染料を印画紙に転写させる。その発色濃度は、熱量に比例し、これに応じてサーマルヘッドの表面温度は、数百度単位で変化する。そのため、熱転写シートは、サーマルヘッド上を移動する際、温度変化によって、サーマルヘッド−耐熱滑性層間の摩擦係数が変化しやすくなる。熱転写シートは、サーマルヘッド−耐熱滑性層間の摩擦係数が変化すると、一定の速度で移動し難くなり、鮮明な画像を得ることができない。
例えば、摩擦係数が大きいときには、熱転写シートの移動が一時的に遅くなり、その部分だけ濃度が高くなる,いわゆるスティッキング(線状の印画ムラ)が発生する。
このスティッキングを防止するためには、特に高温での摩擦係数を低減させる必要がある。従来、この高温下の摩擦係数を低減させるための潤滑剤として、燐酸エステルや脂肪酸エステルが用いられ、耐熱滑性層中に燐酸エステルや脂肪酸エステルを含有させている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、燐酸エステルや脂肪酸エステルは、サーマルヘッドからの熱により、揮発または分解してサーマルヘッドを汚染する。この汚染されたサーマルヘッドで更に繰り返し印画すると、サーマルヘッド表面に付着物が焼き付き、その結果印画時の印画ムラ等が発生する。
更に、熱転写シートを巻回状態で保存した場合では、染料層と耐熱滑性層との接触が生じるため、特に高温の保存状態において、融点が低くかつ溶解力の高い燐酸エステルや脂肪酸エステルが染料層から一部染料を溶解してしまう。これにより、印画時に濃度の低下や印画ムラ等が発生する。
また、摩擦係数を低減させるための潤滑剤としては、シリコーンオイルが用いられる(例えば、特許文献2参照。)。
シリコーンオイルを用いた熱転写シートにおいても、シリコーンオイルが常温で液体であるため、熱転写シートを巻回状態で保存した場合、染料層と耐熱滑性層との接触が生じ、染料層から一部染料を溶解してしまう。これにより、印画時に濃度の低下や印画ムラ等が発生する。
また、下記の特許文献3において、トナー用内添離型剤ではあるが、室温で固体状であるアミド基含有シリコーン化合物を用いることが記載されている。しかしながら、このアミド基含有シリコーン化合物は、用途が熱転写シートではなく、トナー用内添剤に適用したものであるため、トナーの低温定着性を保ちながら、耐オフセット性及び耐巻き付き性を改善するものである。
特開平10−35122号公報 特開平04−329193号公報 特許第2983833号公報
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、加熱手段による加熱温度範囲において、安定な低摩擦係数を実現することができ、しかも加熱手段を汚染することなく、熱転写染料層に悪影響を及ぼすことなく保存安定性に優れた熱転写シートを提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明に係る熱転写シートは、基材シートの一方の面に、染料を含有する熱転写染料層を有するとともに、他方の面に耐熱滑性層を有し、耐熱滑性層は、下記の化学式1、化学式2で示される化合物を少なくとも1種類含有し、含有量が10〜20質量%である。
Figure 0005115722
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なお、化学式1及び化学式2中、R1は、アルキル基またはアルキレン基またはフェニル基を含み、エーテル、エステル結合を含有してもよい。R2は、炭素数1〜50であるアルキル基、アルキレン基からなる。また、n、mは1以上200以下の整数である。
本発明では、耐熱滑性層中に、化学式1、化学式2で示されるシリコーン化合物を少なくとも1種類含有し、含有量が10〜20質量%であることによって、優れた潤滑性が得られ、高温下においても低摩擦係数を達成することができる。また、本発明では、耐熱滑性層に含有されている化学式1、化学式2で示されるシリコーン化合物が、室温でオイル状であるシリコーンオイルとは異なり、高い融点を有し、低揮発性かつ難分解性であるため、加熱手段や染料層に悪影響を及ぼすこともなく、保存安定性に優れている。
以下、本発明を適用した熱転写シートについて、図面を参照して詳細に説明する。
熱転写シート1は、図1に示すように、基材シート2の一方の面2aに、染料を含有する熱転写染料層3が形成されるとともに、これとは反対側の他方の面2bに、走行性を良好にする耐熱滑性層4が形成されている。
この熱転写シート1は、最終製品の形態がロール状に巻回された状態であり、基材シート2が重なり合っている。即ち、熱転写シート1では、ロール状に巻回すると、基材シート2の一方の面2aに形成された熱転写染料層3と、他方の面2bに形成された耐熱滑性層4とが重なるようになる。このように、熱転写シート1では、熱転写染料層3と耐熱滑性層4とが重なり合った状態で最終製品として保存される。
ロール状に巻回された熱転写シート1は、加熱手段として例えばサーマルヘッドを備える熱転写プリンタ装置に取り付けられ、耐熱滑性層4側からサーマルヘッドによって、熱転写染料層3が加熱され、熱転写プリンタ装置内に搬送された被転写材、例えば印画紙に対して、染料を熱転写して、画像を形成する。
具体的に、基材シート2には、従来公知の各種基材を用いることができ、例えば、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム等を使用することができる。この基材シート2の厚さは、任意であるが、例えば1〜30μm、好ましくは2〜10μmである。
この基材シート2の一方の面2a、即ち印画紙と対向する側の面には、少なくとも熱転写染料層3が形成され、この熱転写染料層3の他に、必要に応じて、図2及び図3に示すように、位置を検出するための検知マーク5、図4に示すように、形成された画像を保護する画像保護層6、図5に示すように、染料を受容する染料受容層7を設けてもよい。
熱転写染料層3は、単色の場合、図1に示すように、基材シート2上に複数設けるようにしてもよく、又は基材シート2の全面に連続層として形成してもよい。また、熱転写染料層3は、フルカラー画像に対応させるため、図2に示すように、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のイエロー色熱転写染料層3Y、マゼンタ色熱転写染料層3M、シアン色熱転写染料層3Cを分離して順次形成してもよい。
イエロー色熱転写染料層3Y、マゼンタ色熱転写染料層3M、シアン色熱転写染料層3Cは、少なくともバインダと各色の染料とから構成されている。バインダとしては、従来公知のものを使用することができる。例えば、セルロース系、アクリル酸系、デンプン系等の水溶性樹脂、アクリル樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、アセチルセルロース等の有機溶剤あるいは水に可溶性の樹脂等が挙げられる。記録感度及び転写体の保存安定性の点から言えば、熱変形温度が70〜150℃のものが優れている。このようなバインダとしては、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、メタクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が好ましい。
染料は、任意のものを使用でき、例えばイエロー染料としては、アゾ系、ジシアゾ系、メチン系、ピリドンアゾ系等及びこれらの混合系を使用できる。マゼンタ染料としては、アゾ系、アントラキノン系、スチリル系、複素環系アゾ色素及びこれらの混合系を使用できる。シアン染料としては、インドアニリン系、アントラキノン系、ナフトキノン系、複素環系アゾ色素及びこれらの混合系を使用できる。
なお、熱転写染料層3は、イエロー色熱転写染料層3Y、マゼンタ色熱転写染料層3M、シアン色熱転写染料層3Cの順序で形成することに限定されず、適宜、順序を変え、また繰り返し形成してもよい。また、熱転写染料層3としては、イエロー色熱転写染料層3Y、マゼンタ色熱転写染料層3M、シアン色熱転写染料層3Cの他に、更にブラック色熱転写染料層を加えて、これらを繰り返し形成してもよい。
位置検出のための検知マーク5は、図2に示すように、イエロー色熱転写染料層3Y、マゼンタ色熱転写染料層3M、シアン色熱転写染料層3Cを1組とし、この組を繰り返し設けた場合、この1組を検出できるように、イエロー色熱転写染料層3Yとシアン色熱転写染料層3Cの間に設けるようにする。また、図3に示すように、検知マーク5は、イエロー色熱転写染料層3Yとマゼンタ色熱転写染料層3Mとの間、マゼンタ色熱転写染料層3Mとシアン色熱転写染料層3Cとの間、イエロー色熱転写染料層3Yとシアン色熱転写染料層3Cとの間に設け、各色の熱転写染料層3Y、3M、3Cを検知するようにしてもよい。
また、図4に示すように、熱転写染料層3又はイエロー色熱転写染料層3Y、マゼンタ色熱転写染料層3M、シアン色熱転写染料層3C(以下、熱転写染料層3(3Y、3M、3C)ともいう。)の後に、印画後の印画面に転写して、印画面を保護する透明な転写保護層6を設けてもよい。
また、図5に示すように、熱転写染料層3又はイエロー色熱転写染料層3Y、マゼンタ色熱転写染料層3M、シアン色熱転写染料層3Cの前に、印画紙として普通紙を用いた場合に、普通紙に転写するための転写型受容層7を設けておき、熱転写染料層3又はイエロー色熱転写染料層3Y、マゼンタ色熱転写染料層3M、シアン色熱転写染料層3Cの転写に先だって普通紙表面に染料を受容する転写型受容層7を形成するようにしてもよい。
このような基材シート2の他方の面2bには、図1に示すように、熱転写シート1がサーマルヘッドと接触走行するため、走行性を良好にするために耐熱滑性層4が形成されている。
この耐熱滑性層4は、バインダを主体とし、少なくとも潤滑剤としてシリコーン化合物が含有されている。
バインダとしては、従来公知のものがいずれも使用でき、例えば酢酸セルロースや、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂等が使用可能である。また、バインダは、耐熱安定性等を考慮して、ポリイソシアネート化合物により架橋されていてもよい。
使用するポリイソシアネート化合物としては、分子中に少なくとも2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物がいずれも使用できる。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、トリメチル・ヘキサメチレンジイソシアネート等や、ジイソシアネートとポリオールを部分的に付加反応させたアダクト体(ポリイソシアネートプレポリマー)、例えばトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとを反応させたアダクト体等を使用することができる。
シリコーン化合物としては、下記の化学式1、化学式2に示すシリコーン化合物を挙げることができる。耐熱滑性層4には、この化学式1、化学式2に示すシリコーン化合物のうち、少なくとも1種含有させる。
Figure 0005115722
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化学式1、化学式2中、R1は、アルキル基またはアルキレン基またはフェニル基を含み、エーテル、エステル結合を含有してもよい。R2は、炭素数1〜50であるアルキル基、アルキレン基からなる。また、n、mは1以上200以下の整数である。R2の炭素数を1〜50とすることによって、耐熱滑性層4に適度な潤滑性を付与することができる。n、mを200以下とすることによって、塗工性がよく、耐熱滑性層4が層分離することを防止できる。
化学式1、化学式2に示すシリコーン化合物は、耐熱滑性層4に潤滑性を付与し、融点が高いため、熱転写シート1を巻回して、熱転写染料層3と耐熱滑性層4とを重なり合った状態で保存しても、熱転写染料層3(3Y、3M、3C)から染料を溶解させることがない。また、化学式2に示すシリコーン化合物は、フェニル基を有するため、バインダにフェニル基を有する樹脂を用いた場合に、バインダとの相溶性が良好となる。
以下に、化学式1及び化学式2の示すシリコーン化合物を具体的に示す。
Figure 0005115722
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なお、上記化5〜化31において、R1は、Cとなっているが、これに限定されるものではない。
化学式1、化学式2に示すシリコーン化合物の添加量は、耐熱滑性層4に対して、10〜20質量%の範囲内であることが好ましい。この添加量が10質量%以上とすることによって、十分な効果が得られ、摩擦低減効果が十分となる。また、20質量%以下とすることによって、耐熱滑性層4中のバインダの含有量が少なくなり過ぎず、塗膜物性を維持することができ、また染料保存性に悪影響を及ぼすこともない。
また、化学式1、化学式2に示すシリコーン化合物は、融点が59℃以上であり、低揮発性かつ難分解性である。含有させる化学式1、化学式2に示すシリコーン化合物の融点が50℃付近の場合、巻回して高温環境下で保存した際、熱転写染料層3(3Y、3M、3C)中の染料を溶解し、染料が耐熱滑性層4に移行してしまう。化学式1、化学式2に示すシリコーン化合物の融点が59℃以上であり、低揮発性かつ難分解性であることによって、巻回して高温環境下で保存しても、染料が耐熱滑性層4に移行せず、印画時に濃度が低下したり、印画ムラ等が発生することを防止でき、サーマルヘッドを汚染することも防止できる。
耐熱滑性層4には、上記シリコーン化合物に加えて、他の各種潤滑剤を混合してもよい。他の潤滑剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、燐酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪酸アマイド等を挙げることができる。
他の潤滑剤を混合する際の添加量は、潤滑剤全体(シリコーン化合物と他の潤滑剤の合計量)の添加量が50%以下となるようにすることが好ましい。シリコーン化合物以外の潤滑剤の占める割合が50%を越えると、相対的にシリコーン化合物の割合が減少し、高温側の摩擦係数が上昇する。
また、耐熱滑性層4には、バインダ、化学式1、化学式2に示すシリコーン化合物の他、必要に応じて例えば充填剤を含有させてもよい。
耐熱滑性層4に使用可能な充填剤としては、シリカ、タルク、クレー、ゼオライト、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボン等の無機充填剤や、シリコーン樹脂、テフロン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等からなる有機充填剤が使用可能である。ここで、充填剤としてのシリコーン樹脂は、巻回して保存した際に、熱転写染料層3と耐熱滑性層4との接触面が少なくなるように、凹凸を形成するとともに、滑りを良くする。
ただし、これらの添加量が多すぎると、耐熱滑性層4の成膜時に乾燥不良を起こしたり、巻き取り状態においてブロッキングの原因になりやすいため、適宜、添加量を調整する。
以上のような構成からなる熱転写シート1では、耐熱滑性層4中に、化学式1、化学式2に示すシリコーン化合物が少なくとも1種含有されていることによって、耐熱滑性層4に潤滑性が付与され、高温環境下であっても、サーマルヘッドとの間の摩擦係数を低くし、摩擦係数を安定にすることができる。また、この熱転写シート1では、耐熱滑性層4中に含有されている化学式1、化学式2に示す化合物の融点が高く、低揮発性かつ難分解性であるため、熱により溶解せず、印画時にサーマルヘッドを汚染することなく、また、保存時に、高温環境下で巻回し保存しても、熱転写染料層3(3Y、3M、3C)中の染料を溶解せず、熱転写染料層3(3Y、3M、3C)に悪影響を及ぼすことなく、保存安定性に優れている。したがって、この熱転写シート1を用いて印画した場合には、走行速度が一定となり、サーマルヘッドが汚染されないため、熱が適切に熱転写染料層3(3Y、3M、3C)に伝わり、また、保存時の染料の溶解を防止できるため、印画濃度の低下や印画ムラ等が発生せず、高品位な画像を形成することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果をもとに詳細に説明する。先ず、シリコーン化合物について説明する。
<シリコーン化合物1の合成>
両末端アミノ変性シリコーンオイル(信越化学製、商品名X−22−161B)7.5gとステアリン酸クロリド(日本油脂製)3.6g、トリエチルアミン1.2gをメチルエチルケトン(MEK)100ml中で、24Hr還流反応した。その後、溶媒を除去し、トルエン−水混合溶媒で洗浄、分液し、有機溶媒を採取した。
次に、有機溶媒を除去、冷却して固形物を得た。この固形物をアセトンに溶解し、再結晶させ、濾過、乾燥して目的物のシリコーン化合物1を得た。このシリコーン化合物1の融点は、69℃である。なお、シリコーン化合物1は、上記化6に示すシリコーン化合物に近いものである。
<シリコーン化合物2の合成>
両末端アミノ変性シリコーンオイル(信越化学製、商品名KF−8012)11gとステアリン酸クロリド(日本油脂製)3.6g、トリエチルアミン1.2gをMEK100ml中で、24Hr還流反応した。その後、溶媒を除去し、トルエン−水混合溶媒で洗浄、分液し、有機溶媒を採取した。
次に、有機溶媒を除去、冷却して固形物を得た。この固形物をアセトンに溶解し、再結晶させ、濾過、乾燥して目的物のシリコーン化合物2を得た。このシリコーン化合物2の融点は、67℃である。なお、シリコーン化合物2は、上記化15に示すシリコーン化合物に近いものである。
<シリコーン化合物3の合成>
両末端アミノ変性シリコーンオイル(信越化学製、商品名KF−8008)28gとステアリン酸クロリド(日本油脂製)3.6g、トリエチルアミン1.2gをMEK100ml中で、24Hr還流反応した。その後、溶媒を除去し、トルエン−水混合溶媒で洗浄、分液し、有機溶媒を採取した。
次に、有機溶媒を除去、冷却して固形物を得た。この固形物をアセトンに溶解し、再結晶させ、濾過、乾燥して目的物のシリコーン化合物3を得た。このシリコーン化合物3の融点は、66℃である。なお、シリコーン化合物3は、上記化7に示すシリコーン化合物に近いものである。
<シリコーン化合物4の合成>
両末端アミノ変性シリコーンオイル(信越化学製、商品名X−22−1660B−3)11gとステアリン酸クロリド(日本油脂製)3.6g、トリエチルアミン1.2gをMEK100ml中で、24Hr還流反応した。その後、溶媒を除去し、トルエン−水混合溶媒で洗浄、分液し、有機溶媒を採取した。
次に、有機溶媒を除去、冷却して固形物を得た。この固形物をアセトンに溶解し、再結晶させ、濾過、乾燥して目的物のシリコーン化合物4を得た。このシリコーン化合物4の融点は、59℃である。なお、シリコーン化合物4は、上記化8に示すシリコーン化合物に近いものである。
これら合成したシリコーン化合物1〜4を用いて、以下の手法により熱転写シートを作成した。
先ず、厚さ6μmのポリエステルフィルム(東レ社製、商品名ルミラー)を基材シートとし、その一方の面に下記インク組成物を乾燥後厚さ1μmとなるように塗布、乾燥した。
<イエローインク>
フォロンイエロー(サンドス社製) 5.0質量部
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製、商品名BX−1) 5.0質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
<マゼンタインク>
フォロンレッド 2.5質量部
アントラキノン系染料(住友化学社製、商品名ESC451) 2.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製、商品名BX−1) 5.0質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
<シアンインク>
フォロンブルー(サンドス社製) 2.5質量部
インドアニリン染料(構造式を下記の化32に示す。) 2.5質量部
ポリビニラール樹脂(積水化学社製、商品名BX−1) 5.0質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
Figure 0005115722
次に、熱転写染料層が塗布された基材シートの反対側の面に、下記の組成よりなる耐熱滑性層を乾燥後厚さ1μmとなるように塗工し、実施例1〜実施例8の熱転写シートを得た。
(実施例1)〜(実施例8)
<耐熱滑性層組成>
ポリアセタール系樹脂 100質量部
(電気化学工業社製、商品名デンカブチラール#3000K)
ポリイソシアネート 20質量部
(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)
球状シリカ 3質量部
(東芝シリコーン社製、トスパールXC99)
有機溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1) 1900質量部
実施例1〜実施例8及び比較例1〜比較例6のシリコーン化合物、燐酸エステルの種類及び添加量については、以下の表1に示す
Figure 0005115722
なお、ここで用いたリン酸エステルは東邦化学工業社製、商品名PHOSPHANOLRL−210である。
(比較例1)〜(比較例6)
実施例1〜実施例8と同様に、熱転写染料層が塗布された基材シートの反対側の面に、下記の組成よりなる耐熱滑性層を乾燥後厚さ1μmとなるように塗工し、熱転写シートを得た。
<耐熱滑性層組成>
ポリアセタール系樹脂 100質量部
(電気化学工業社製、商品名デンカブチラール#3000K)
ポリイソシアネート 20質量部
(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)
球状シリカ 3質量部
(東芝シリコーン社製、トスパールXC99)
有機溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1) 1900質量部
比較例の潤滑剤には、ミリスチン酸(花王社製、ルナックMY−98)、ステアリン酸ブチル(日光ケミカル社製、NIKKOL BS)、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル(日光ケミカル社製、商品名NIKKOL HEXAGLYN−5S)、リン酸エステル(東邦化学工業社製、商品名PHOSPHANOL RL−210)、シリコーンオイル(信越化学製、商品名X−22−161B)を表1に示す割合で添加、混合し、実施例1〜実施例8と同様に熱転写シートを作成した。
これら実施例及び比較例として作成した熱転写シートについて、摩擦係数、走行性、スティッキング、染料保存性、サーマルヘッドの汚染性を測定した。なお、摩擦係数は、図6に示す摩擦測定機10を用いて測定した。この摩擦測定機10は、熱転写シート1及び印画紙Rをサーマルヘッド11及びプラテンロール12で挟み込み、テンションゲージ13で熱転写シート1及び印画紙Rを引き上げ、テンションを測定するものである。測定条件は下記の通りである。
<測定条件>
熱転写シート送りスピード:450mm/分
信号設定
印字パターン:2(Stair Step)
原稿:3(48/672ライン、14ステップ)
ストローブ分割:1
ストローブパルス幅:20.0m秒
印字スピード:22.0m秒/1ライン
クロック:3(4MHz)
ヘッド電圧:18.0V
また、走行性、スティッキング、サーマルヘッド汚染性は、以下に示す方法を用いて評価した。すなわち、得られた熱転写シートをソニー株式会社製フルカラープリンタ(商品名UP−D7000)に装着し、印画紙(ソニー株式会社製、商品名UPC7010)に階調印画(16階調)し、目視にて走行性(印画ムラ、しわ発生、印画ずれ)及びスティッキングを調べた。
走行性については、良好なものを◎、しわ等が発生したものを×とした。スティッキングは、発生しなかったものを◎、発生したものを×とした。
サーマルヘッド汚染性は、階調印画を5000回繰り返した後、光学顕微鏡にてサーマルヘッド表面を観察し、良好なものを◎、付着物が観察されて汚れていたものを×とした。
更に、染料保存性については、得られた2枚の熱転写シート(20cm×20cm)の熱転写染料層と耐熱滑性層を重ね合わせ、2枚のガラス板に挟み、上から5kgの重りで荷重をかけ、50℃のオーブンに入れて48時間保存した。保存前と保存後の熱転写シートについて、ソニー株式会社製フルカラープリンタ(商品名UP−D7000)に装着して印画紙(ソニー株式会社製、商品名UPC7010)に階調印画(16階調)し、各色の最高濃度をマクベス濃度計(商品名TR−924)による反射濃度測定により測定した。保存後最高濃度/保存前最高濃度×100(%)を算出し、染料保存性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0005115722
表2に示す結果から、シリコーン化合物1〜シリコーン化合物4の何れかが耐熱滑性層に含有されている実施例1〜実施例8では、いずれも走行性が良好で、摩擦増加に伴うスティッキングが確認されず、鮮明な画像が得られた。また、実施例1〜実施例8では、染料保存性についても、大部分で90%以上が達成され、実用上、問題のないものであった。さらには、実施例1〜実施例8では、サーマルヘッドを観察したところ、サーマルヘッド表面の汚染は発生せず、繰り返し印画に影響を与えず良好な画像が得られた。
一方、脂肪酸や脂肪酸エステルを使用した比較例1〜比較例3では、いずれもスティッキングが確認され、満足のいく結果が得られなかった。また、比較例1〜比較例3では、サーマルヘッドを観察すると、サーマルヘッド表面に付着物が発生し、ヘッド汚染が生じていた。
リン酸エステルを単独で用いた比較例4では、染料保存性において、保存後に濃度の大幅な低下が見られ、やはり満足のいく結果は得られなかった。また、比較例4では、摩擦係数の最大値が大きく、充分な潤滑性を得ることができなかった。
シリコーン化合物1とリン酸エステルを大量添加した比較例5では、染料保存性において、保存後に濃度の大幅な低下が見られ、満足のいく結果は得られなかった。また、比較例5では、サーマルヘッドを観察すると、サーマルヘッド表面に付着物が発生し、ヘッド汚染が生じていた。
シリコーンオイルを用いた比較例6では、摩擦係数の低いフィルムを得ることはできたが、やはり染料保存性において、保存後に濃度の大幅な低下が見られ、満足のいく結果は得られなかった。また、比較例6では、サーマルヘッドを観察すると、サーマルヘッド表面にオイル付着が発生し、サーマルヘッド汚染が生じていた。
以上より、熱転写シートにおいて、耐熱滑性層中に化学式1、化学式2に示すシリコーン化合物を含有させることによって、サーマルヘッドとの摩擦係数を低減でき、走行性が良好であり、スティッキングも防止でき、また、染料保存性も良く、サーマルヘッドの汚染も防止できるため、良好な画像が得られること分かる。
本発明を適用した熱転写シートの断面図である。 イエロー、マゼンタ、シアンの熱転写染料層及び検知マークを有する熱転写シートの平面図である。 イエロー、マゼンタ、シアンの熱転写染料層及び検知マークを有する熱転写シートの平面図である。 転写保護層を有する熱転写シートの平面図である。 転写型受容層を有する熱転写シートの平面図である。 摩擦測定機の概略図である。
符号の説明
1 熱転写シート、2 基材シート、3 熱転写染料層、3Y イエロー色熱転写染料層、3M マゼンタ色熱転写染料層、3C シアン色熱転写染料層、4 耐熱滑性層、5 検知マーク、6 転写保護層、7 転写型受容層

Claims (2)

  1. 基材シートの一方の面に、染料を含有する熱転写染料層を有するとともに、他方の面に耐熱滑性層を有し、
    上記耐熱滑性層は、下記の化学式1、化学式2で示されるシリコーン化合物を少なくとも1種類含有し、含有量が10〜20質量%である熱転写シート。
    Figure 0005115722
    Figure 0005115722
    (R1は、アルキル基またはアルキレン基またはフェニル基を含み、エーテル、エステル結合を含有してもよい。R2は、炭素数1〜50であるアルキル基、アルキレン基からなる。また、n、mは1以上200以下の整数である。)
  2. 上記化学式1、化学式2で示されるシリコーン化合物の融点が59℃以上である請求項1記載の熱転写シート。
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