JP5142360B2 - セルフバイアス制御装置およびプラズマ処理装置 - Google Patents

セルフバイアス制御装置およびプラズマ処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、セルフバイアス制御装置およびプラズマ処理装置に関する。
プラズマを利用したドライプロセスは、半導体製造装置、金属部品の表面硬化、プラスチック部品の表面活性化、無薬剤殺菌など、幅広い技術分野において活用されている。例えば、半導体装置や液晶表示装置などの製造に際しては、アッシング、ドライエッチング、成膜(薄膜堆積)あるいは表面改質などの各種のプロセスでプラズマ処理が用いられている。プラズマを利用したドライプロセスは、低コストで、高速であり、薬剤を用いないために環境汚染を低減できる点でも有利である。
また、プラズマ処理を実施可能なものとして、チャンバ内に一対の電極を平行に配設し、一方の電極に高周波電源を接続したプラズマ処理装置や、チャンバ内に一個の電極を配設し、電極に高周波電源を接続すると伴にチャンバを接地して一対の電極を構成させたプラズマ処理装置などが知られている。
このようなプラズマ処理装置においては、一方の電極(例えば、エッチング装置の場合にあっては、被処理物が載置される側の電極)が負にセルフバイアスされる。このセルフバイアスは、プラズマ中の電子とイオン(プラスイオン)の質量差に基づいて発生する。すなわち、電子は質量が小さいので高周波電界の変化に追従してプラズマ中を運動することができるが、イオンは質量が大きいので高周波電界の変化に追従できずほとんど動くことができない。そして、一方の電極に到達した電子は、ブロッキングコンデンサにより移動が阻止されるので電極が負に帯電することになる。
そして、一方の電極が負に帯電するとプラズマ中のイオンが引きつけられるので、そのイオンを電極の上面に設けられた被処理物やターゲットなどに衝突させることでプラズマ処理を行うようにしている。
ここで、セルフバイアスを制御して生産性を向上させる技術が提案されている(特許文献1、2を参照)。
特許文献1や2に開示された技術は、セルフバイアスを独立して制御するものであり、チャンバ内に分割電極を設けたり、ブロッキングコンデンサの電子を消費させる分岐回路を設けたりするものである。しかしながら、特許文献1、2に開示された技術でセルフバイアスを制御するものとすれば、プラズマ密度が影響を受けるおそれがあった。また、特許文献1、2に開示された技術では、処理の面内均一性に関しての考慮がされておらず、処理の面内均一性を向上させることができなかった。
特開平6−275222号公報 特開2003−45849号公報
本発明は、プラズマ密度に影響を与えることなくセルフバイアスの制御をすることができるセルフバイアス制御装置およびプラズマ処理装置を提供する。
本発明の一態様によれば、セルフバイアスが発生する側の電極の上面に設けられ内部に空間を有する領域を複数有する誘電率制御手段と、誘電率の制御を行うための流動性を有する物質を収納する収納手段と、前記収納手段に収納された前記物質を前記空間に供給する供給手段と、前記空間に供給された前記物質を前記収納手段に回収する回収手段と、を備え、前記供給手段は、前記複数の領域がそれぞれ有する空間と前記収納手段とをそれぞれ連通する複数の第1の管路と、前記複数の第1の管路のそれぞれに設けられ当該管路を開閉する第1の開閉弁と、を有し、前記供給手段により前記複数の領域がそれぞれ有する空間にある前記物質の量を前記複数の領域ごとに制御することを特徴とするセルフバイアス制御装置が提供される。
また、本発明の他の一様態によれば、セルフバイアスが発生する側の電極の上面に設けられ内部に空間を有する領域を複数有する誘電率制御手段と、誘電率の制御を行うための流動性を有する物質を収納する収納手段と、前記収納手段に収納された前記物質を前記空間に供給する供給手段と、前記空間に供給された前記物質を前記収納手段に回収する回収手段と、を備え、前記回収手段は、前記複数の領域がそれぞれ有する空間と前記回収手段とをそれぞれ連通する複数の第2の管路と、前記複数の第2の管路のそれぞれに設けられ当該管路を開閉する第2の開閉弁と、を有し、前記回収手段により前記複数の領域がそれぞれ有する空間にある前記物質の量を前記複数の領域ごとに制御することを特徴とするセルフバイアス制御装置が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、大気よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、前記チャンバ内に反応性ガスを導入するガス導入手段と、前記チャンバ内を排気する排気手段と、前記チャンバ内に対向するようにして設けられた一対の電極と、前記一対の電極のうちのセルフバイアスが発生する側の電極に設けられた上記のセルフバイアス制御装置と、を備えることを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
本発明によれば、プラズマ密度に影響を与えることなくセルフバイアスの制御をすることができるセルフバイアス制御装置およびプラズマ処理装置が提供される。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。
尚、説明の便宜上、本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置として、プラズマエッチング装置を例にとり説明をする。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るプラズマ処理装置(プラズマエッチング装置)1は、減圧雰囲気を維持可能なチャンバ2を備えている。チャンバ2内のプラズマPの発生部の下方には、被処理物W(例えば、ウェーハなど)を載置保持するための載置台10が配設されている。
載置台10にはチャンバ2と絶縁されている下部電極3が備えられ、また、下部電極3には被処理物Wを保持するための図示しない静電チャックが内蔵されている。そして、下部電極3には、ブロッキングコンデンサ6を介して高周波電源7が接続されており、チャンバ2は接地されている。そのため、チャンバ2の上部と下部電極3とで一対の電極を構成し、チャンバ2の上部と下部電極3との間でプラズマPを発生させることができるようになっている。また、下部電極3、誘電率制御手段9の外周は、絶縁性リング8で覆われている。
チャンバ2側壁の上部には、プラズマPの発生部に反応性ガス(エッチングガス)Gを導入するためのガス導入口4が設けられ、チャンバ2の底部にはチャンバ2内を排気Eするためのガス排気口5が設けられている。また、ガス導入口4には図示しないガス導入手段が接続され、ガス排気口5には真空ポンプのような図示しない排気手段が接続されている。
下部電極3の上面には誘電率制御手段9が設けられており、誘電率制御手段9の上面が被処理物Wの載置面となっている。誘電率制御手段9は同心状に分割され、図1に例示をするものでは、下部電極3の外周側に設けられた誘電率制御手段9a、下部電極3の中央側に設けられた誘電率制御手段9c、誘電率制御手段9aと誘電率制御手段9cとの間に設けられた誘電率制御手段9bを備えている。そして、誘電率制御手段9a、誘電率制御手段9b、誘電率制御手段9cを個別に制御可能な制御手段11が設けられている。
次に、誘電率制御手段9について詳述する。
プラズマPの中で発生したイオン(プラスイオン)と電子のうち、質量の軽い電子は動きが速く、下部電極3とチャンバ2の壁面にすぐに到達する。下部電極3に到達した電子は、ブロッキングコンデンサ6により移動を阻止され下部電極3を負に帯電させる。下部電極3の帯電圧は400V〜1000V程度に達するが、これを「陰極降下」という。
一方、チャンバ2は接地されているため、到達した電子は移動が阻止されず、チャンバ2はほとんど帯電しない。
そして、この陰極降下により発生する垂直な電界に沿ってイオンが下部電極3、被処理物Wの方向に移動し、被処理物W上に入射することで物理的なエッチング処理が行われる。尚、プラズマPの中で発生した中性活性種は、主に重力により下降して被処理物W上に到達し、化学的なエッチング処理が行われる。
前述のような電子の移動により、プラズマPと下部電極3との間には電位差が生じる。プラズマP中の電子は、下部電極3、チャンバ2の壁面側に移動するのでプラズマPの電位Vpはプラス電位となる。一方、チャンバ2は接地されているためその電位Vaはゼロ(0)となる。また、下部電極3では前述のように陰極降下が起こり、その電位(セルフバイアス電圧)Vcはマイナス電位となる。この電位Vcは、電子とイオンとの質量差(移動の差)に基づいて自然に発生するため、下部電極3にセルフバイアスが発生することになる。
このようにプラズマPと下部電極3との間に電位差があると、プラズマP中のイオンが引き寄せられ、イオンがたくさん集まった状態ができる。これが「イオンシース」と呼ばれるものである。そして、前述したように、プラズマPから引き寄せられたイオンは加速されて被処理物Wと衝突し、プラズマ処理がなされることになる。尚、イオンが入射しても、電子は動きが速いのですぐに別の電子が下部電極3に到達して、陰極降下の電位Vcは一定に保たれることになる。
本発明者は検討の結果、プラズマPと下部電極3との間の誘電率を制御することができれば、セルフバイアスすなわち下部電極3の電位Vcを制御することができ、また、被処理物Wの面内を分割するようにして当該制御を行えばプラズマ処理の面内均一性を向上させることができるとの知見を得た。
例えば、プラズマPと下部電極3との間の誘電率を高くすれば、下部電極3の電位Vcを高くすることができる。その結果、引き寄せられるイオンの量を増加させることができるのでエッチングレートを上昇させることができる。そして、誘電率の制御を被処理物Wの面内を分割するようにして行えば、各分割部分におけるエッチングレートを制御することができるので、プラズマ処理の面内均一性を向上させることができる。
図2は、誘電率制御手段を例示するための模式断面図である。
図2に示すように、誘電率制御手段9は下部電極3の上面に設けられ、その外周面は上部電極3の外周面とともに絶縁性リング8で覆われている。また、誘電率制御手段9の上面が被処理物Wの載置面となる。尚、誘電率制御手段9の上面を保護するための図示しない保護板などを設けるようにすることもできる。
このように本実施の形態においては、下部電極3の上面に誘電率制御手段9を設けることで、プラズマPと下部電極3との間の誘電率を制御するようにしている。
誘電率制御手段9は同心状に分割され、図2に例示をするものでは、下部電極3の外周側に設けられた誘電率制御手段9a、下部電極3の中央側に設けられた誘電率制御手段9c、誘電率制御手段9aと誘電率制御手段9cとの間に設けられた誘電率制御手段9bを備えている。そして、誘電率制御手段9a、9b、9cの内部にはそれぞれ空間12a、12b、12cが設けられている。誘電率制御手段9a、9b、9cは、絶縁性材料からなるものとすることが好ましい。ただし、金属などの表面を絶縁材料で覆うようにしたものとすることもできる。
また、誘電率の制御を行うための物質を空間12a、12b、12cに供給することで誘電率の制御を行う制御手段11が設けられている。制御手段11には、誘電率の制御を行うための物質を収納する例えばタンクのような収納手段13と、収納手段13に収納された誘電率の制御を行うための物質を空間12a、12b、12cに供給する供給手段14と、空間12a、12b、12cに供給された誘電率の制御を行うための物質を回収して収納手段13に戻す回収手段15などが設けられている。尚、図中の矢印は誘電率の制御を行うための物質の流れ方向を示している。
供給手段14には、収納手段13と空間12a、12b、12cとを連通する絶縁体からなる配管16が設けられており、配管16の収納手段13側には収納手段13に収納された誘電率の制御を行うための物質を汲み上げて空間12a、12b、12cに供給をする例えばポンプのような供給器17が設けられている。また、供給器17の下流側(空間12a、12b、12c側)においては、配管16が各空間毎に分岐されており、分岐された配管16aにはそれぞれ管路を開閉するための開閉弁18が設けられている。尚、供給器17として誘電率の制御を行うための物質を汲み上げるものを例示したが、例えば、収納手段13の内圧を上げて誘電率の制御を行うための物質を押し出すようなものとすることもできる。また、誘電率の制御を行うための物質が加圧状態にある場合(例えば、収納手段13がガスなどの高圧タンクのような場合)には、供給器17を設けないようにすることもできる。
回収手段15には、収納手段13と空間12a、12b、12cとを連通する絶縁体からなる配管19が設けられている。また、配管19の上流側(空間12a、12b、12c側)では、配管19が各空間毎に分岐されており、分岐された配管19aにはそれぞれ管路を開閉するための開閉弁20が設けられている。また、開閉弁20の下流の配管19にはフィルタ21が設けられ、フィルタ21によりゴミなどが除かれた後に収納手段13に回収されるようになっている。尚、フィルタ21は必ずしも必要ではなく、省くこともできる。
また、図2に例示をしたものでは、供給手段14により新たに供給された誘電率の制御を行うための物質により押し出されるようにして回収が行われるが、回収手段15の配管19にもポンプなどを設けて誘電率の制御を行うための物質を積極的に回収するようにすることもできる。
また、各空間毎に開閉弁18、開閉弁20が設けられているので、それぞれの空間に満たされる誘電率の制御を行うための物質の量、すなわち誘電率を個別に制御することができる。
尚、図2に例示をしたものでは、誘電率制御手段9を3分割しているが、これに限定されるわけではなく、分割数は適宜変更することができる。
また、被処理物Wの大きさが小さいなどのためにプラズマ処理の面内均一性を調整する必要性が少ないなどの場合には、誘電率制御手段9を分割しないようにすることもできる。
また、図2に例示をしたものでは、誘電率制御手段9を同心状に分割しているが、これに限定されるわけではなく、分割の形態は適宜変更することができる。例えば、放射状に分割することもできるし、賽の目状に分割することもできる。ただし、被処理物Wの面内均一性における制御性を考慮すれば、同心状などとして、誘電率制御手段9(被処理物W)の中心からの距離に応じた範囲毎に分割することが好ましい。
尚、分割面間に隙間を有するものとすることもできるが、プラズマ処理の面内均一性を向上させるためには、少なくとも分割面が当接する程度に近接していることが好ましい。
この制御手段11により、誘電率の制御を行うための物質が空間12a、12b、12cに供給されるので、それぞれの空間に満たされる物質の量や、物質の有する固有の誘電率などにより誘電率制御手段9の誘電率が制御されることになる。そして、誘電率制御手段9の誘電率が制御されることで、セルフバイアスすなわち下部電極3の電位Vcを制御することができ、また、被処理物Wの面内を分割するようにして当該制御を行うことができるのでプラズマ処理の面内均一性を向上させることができる。
ここで、誘電率の制御を行うための物質は、誘電率の制御が可能であれば特に限定されるものではない。ただし、供給や回収の容易さの観点からは、流動性を有する物質であることが好ましい。そのようなものとしては、例えば、ヘリウムなどの気体、液体、半流動体、液体や気体に固体粒子が添加されたものなどを例示することができる。
また、誘電率の制御性の観点からは、ある程度の誘電率をも有していることが好ましい。そのようなものとしては、例えば、フッ化炭素系の液体(例えば、フロリナート(登録商標)やガルデンなど)、絶縁油、絶縁性流動体である超純水、エチレングリコール、グリセリン、高分子材料を溶媒に溶解させたものなどのような液体、液体や気体に高分子材料や無機材料の微粒子を添加したもの、シリコングリースのような半流動体などを例示することができる。ただし、これらのものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
また、誘電率の制御を行うための物質の絶縁性が低い場合には、この物質を伝わり高周波電力が外部に漏れるおそれがある。そのため、絶縁性が低い物質を用いる場合には、例えば、絶縁性を有する開閉弁18、開閉弁20を用い、開閉弁18、開閉弁20を閉じて各空間に絶縁性が低い物質を閉じ込めてから高周波電力を供給するようにすることが好ましい。尚、誘電率の制御を行うための物質の絶縁性が高い場合には、この物質が配管内を流れているときであっても高周波電力を供給することができる。
また、誘電率制御手段9a、9b、9cに設けられた空間12a、12b、12cに同一の誘電率を有する物質(例えば、同じ種類の液体)などを供給することとしているが、各空間毎に異なる誘電率を有する物質(例えば、種類を変えたり、添加するものの割合を変えるようにしたもの)などを供給するようにすることもできる。
次に、このプラズマ処理装置1の動作について説明をする。
まず、後述する被処理物W(例えば、ウェーハなど)の搬入や図示しない排気手段の作動に先立って、誘電率制御手段9の誘電率が所定の値に設定される。
収納手段13に収納された、誘電率の制御を行うための物質を供給器17で汲み上げて空間12a、12b、12cに供給する。この際、開閉弁18、開閉弁20が開かれ、各空間に誘電率の制御を行うための物質が循環するようにして供給可能とされる。
次に、各配管19aを流れる物質の流量が開閉弁18が図示しない絞り手段で絞られたり、開閉弁20が閉じられるなどして空間12a、12b、12cに所定量の誘電率の制御を行うための物質が満たされる。この際、空間12a、12b、12c内の物質の量は、供給量と回収量との差を計測することで知ることもできるし、各空間に液面などを検知する手段を設けてその量を検知するようにすることもできる。
次に、開閉弁18、開閉弁20が閉じられ、所定量の誘電率の制御を行うための物質が空間12a、12b、12cに密閉されることで、誘電率制御手段9a、9b、9cの誘電率が設定される。すなわち、空間内に占める誘電率の制御を行うための物質の割合、物質固有の誘電率などで誘電率制御手段9a、9b、9cの誘電率が決定し設定されることになる。この際、絶縁性を有する開閉弁18、開閉弁20を用いるものとすれば、絶縁性が低い物質を用いたとしても、これを伝わり高周波電力が外部に漏れるおそれがない。
尚、絶縁性の高い物質を用いるものとすれば、これを伝わり高周波電力が外部に漏れるおそれがないので、開閉弁18、開閉弁20は絶縁性を有さないものであってもよい。また、開閉弁18、開閉弁20を閉じずに誘電率の制御を行うための物質を循環させて、空間12a、12b、12cに所定量の物質が満たされるようにすることもできる。この際、誘電率の制御を行うための物質を循環させるようにすれば、被処理物Wの温度制御をも行うことができる。
また、各配管16aに設けられた開閉弁18、各配管19aに設けられた開閉弁20などを個別に制御することで空間12a、12b、12c内の物質の量を個別に制御することができるので、誘電率制御手段9a、9b、9cの誘電率を個別に制御することができる。
そのため、セルフバイアスの分布すなわち下部電極3の電位Vcの分布を誘電率制御手段9a、9b、9c毎に制御することができるので、プラズマ処理の面内均一性を向上させることができる。
このようにして、誘電率制御手段9a、9b、9cの誘電率が設定された後に被処理物W(例えば、ウェーハなど)のエッチング処理が行われる、尚、誘電率制御手段9a、9b、9cの誘電率は被処理物Wの処理工程においても行うことができる。例えば、処理済みの被処理物Wの面内均一性に基づいて、誘電率制御手段9a、9b、9cの誘電率を個別的に調整するようにすることもできる。
まず、被処理物Wが図示しない搬送装置により、これも図示しないチャンバ2の側壁に設けられた搬入搬出口からチャンバ2内に搬入される。搬入された被処理物Wは、図示しない受け渡し装置により下部電極3に受け渡される。受け渡された被処理物Wは、下部電極3に内蔵された図示しない静電チャックにより保持される。図示しない搬送装置がチャンバ2の外に退避した後、図示しない搬入搬出口が閉じられ、チャンバ2が密閉される。
次に、図示しない排気手段を作動させ、チャンバ2内を所定の圧力まで減圧する。そして、所定量の反応性ガス(エッチングガス)Gをガス導入口4から、チャンバ2内のプラズマPが発生する空間に向けて導入する。ここで、反応性ガスGとしては、例えば、CF、O、Heやこれらの混合ガスなどを例示することができるが、これらに限定されるわけではなく、被処理物Wやプロセス条件に合わせて適宜変更することができる。そして、高周波電源7より100KHz〜100MHz程度の高周波電力を下部電極3に供給する。下部電極3とチャンバ2の上部が電極を構成するため、電極間に放電が起こりプラズマPが発生する。発生したプラズマPにより反応性ガスGが分解、活性化され中性活性種、イオン、電子などが生成される。この生成された中性活性種やイオンなどが被処理物Wの表面に作用することで、所望のエッチング処理が行われる。
本実施の形態においては、制御手段11により、誘電率の制御を行うための物質(例えば、フッ化炭素系の液体や液体に高分子材料や無機材料の微粒子を添加したものなど)が空間12a、12b、12cに供給されるので、それぞれの空間に満たされる物質の量などにより誘電率制御手段9の誘電率が制御されることになる。そして、誘電率制御手段9の誘電率が制御されることで、セルフバイアスすなわち下部電極3の電位Vcを制御することができ、また、被処理物Wの面内を分割するようにして当該制御を行うことができるのでプラズマ処理の面内均一性を向上させることができる。
また、高周波電力や処理圧力などのようなプラズマパラメータを変更することなくセルフバイアスすなわち下部電極3の電位Vcを制御することができるので、プラズマ密度が影響を受けることがなく予期せぬ処理の変動が生じることもない。
本実施の形態においては、空間に満たされる物質の量などをプロセス条件などとともに設定することができ、また、プラズマ処理装置1の図示しない記憶手段などにレシピとして予め記憶させておくようにすることもできる。そのため、プロセス条件や被処理物Wの品種、サイズなどが変わった場合でも迅速、かつ、機動的に最適条件を設定することができる。その結果、生産性を向上させることもできる。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
尚、図3で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
本実施の形態に係るプラズマ処理装置30には、セルフバイアスすなわち下部電極3の電位Vcを測定するための電極31が設けられている。電極31の上面はプラズマが発生する空間に向けて露出されており、下端は下部電極3と電気的に接続されている。そして、電極31とブロッキングコンデンサ6との間にはセルフバイアス測定手段32が接続されている。
セルフバイアス測定手段32としては、例えば、電極31を介して流れる電流を測定し、その測定値に基づいてセルフバイアスすなわち下部電極3の電位Vcを知るものとすることができる。また、電極31に発生した電位を図示しないセルフバイアス測定用の電圧計で測定するものとすることもできる。
このようにして測定された電位などは下部電極3の電位Vcと同一ではないが、一定の相関関係が認められるので、予め実験などにより求められた補正値により補正をすることで下部電極3の電位Vcを知ることができる。
本実施の形態においては、このようにして測定された下部電極3の電位Vcに基づいて誘電率制御手段9の誘電率を調整することで、最適な条件でのプラズマ処理を行うことができるようになっている。この場合、調整は操作者の判断により行うこともできるし、予め実験などで求められたパラメータなどにより図示しない制御手段により自動的に行われるようにすることもできる。そして、例えば、プロセス条件の微調整や経時変化などでセルフバイアスに変動が発生した場合であっても、他のプラズマパラメータを変更することなく最適な条件でのプラズマ処理を行うことができる。
図4は、本発明の第3の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
尚、図1で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図4に示すプラズマ処理装置40は、ウェーハ上のレジストを除去するためのプラズマアッシング装置を例示するものである。
「アッシング」とは、例えば、ウェーハにパターンを加工するエッチング時や、イオン注入(ion implantation:以下「インプラ」という)時のマスクとして用いられたレジストを、酸素プラズマなどとの反応により分解除去するプロセスである。
ここで、インプラのマスクとしてレジストを用いた場合、当然のことながらレジスト自体にもイオンが注入されることになる。そのため、レジスト内部においては、レジスト表面のイオンが注入された変質層(硬化層)と、変質層の下のイオンが注入されていない未変質層(バルク層)とが存在することになる。また、このような変質層の形成は、インプラのドーズ量にも依存し、特に、1×1015原子/cmを超えるようなハイドーズの場合に顕著となる傾向がある。
このような変質層は、通常のアッシングプロセスで用いられる酸素プラズマでは分解除去し難い。これは、インプラ時のイオン衝撃によってレジスト中の水素が離脱し、有機高分子が複雑にクロスリンクした構造となっているためである。
図5は、変質層を有するレジストをアッシングする様子を例示するための模式断面図である。
図5(a)に示すように、インプラのマスクとしてウェーハ42上に形成され、インプラがされることによりイオンが注入されたレジスト45には、レジスト45の表面に形成された変質層(硬化層)44と、変質層の下のイオンが注入されていない未変質層(バルク層)43とが存在することになる。
このようなレジスト45をプラズマアッシングで除去しようとする場合、セルフバイアスによりイオン41は下部電極3に対して垂直に入射しようとする。そのため、イオン41は、下部電極3の上面に載置されたウェーハ42の主面に対しても垂直に入射しようとする。
このようなイオン41の入射によりレジスト45を除去する場合、入射方向に対して垂直な方向のレジスト45は入射されるイオンに対向する面積が多いので除去しやすいが、入射方向に対して平行な方向のレジスト45は入射されるイオンに対向する面積が少ないので除去がしにくい。そのため、図5(b)に示すように、最も除去がし難いレジスト45の側壁(変質層44)の一部が残渣として残るおそれがある。
本発明者は検討の結果、ウェーハ42の主面に対して傾いた方向からイオンを入射させるようにすれば、入射されるイオンに対向する面積が増えるので除去しやすくなり残渣が残ることなくレジストを除去することができるとの知見を得た。そして、プラズマPと下部電極3との間の誘電率を制御することができれば、セルフバイアスすなわち下部電極3の電位Vcを制御することができるので、イオンの入射方向も制御できるとの知見を得た。
例えば、プラズマPと下部電極3との間の誘電率を高くすれば、下部電極3の電位Vcを高くすることができる。その結果、イオンを引き寄せる力を強くさせることができるので、イオンの入射方向を誘電率の高い方向へ向かせることができることになる。
図4に例示をした本実施の形態においては、被処理物Wの外周側の誘電率が高くなるような設定としている。すなわち、誘電率制御手段9aの誘電率を最も高くなるような設定としている。そのため、イオンは、矢印46の様に外周側に向けて曲げられるようにして被処理物Wの主面に入射されることになり、残渣が残ることなくレジストを除去することができる。この際、外周側に向けて誘電率が高くなるように、誘電率制御手段9cの誘電率を最も低く、誘電率制御手段9bの誘電率を誘電率制御手段9a、9cの誘電率の間の値とすることもできるし、誘電率制御手段9aの誘電率より低ければ、誘電率制御手段9b、9cの誘電率を略同一とすることもできる。
尚、誘電率の設定に関しては前述のものと同様のため、その説明は省略する。また、プラズマアッシング処理のプロセス条件なども既知の技術を適用させることができるのでその説明は省略する。
尚、本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置をプラズマエッチング装置、プラズマアッシング装置で説明をしたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば、プラズマCVD (Chemical Vapor Deposition)装置などのような他の形態のプラズマ処理装置にも適用させることができる。
この場合、プラズマCVD (Chemical Vapor Deposition)装置などのような他の形態のプラズマ処理装置に本発明を適用させる場合においては、誘電率制御手段9、制御手段11、電極31、セルフバイアス測定手段32などのもの以外は、それぞれのプラズマ処理装置の既知の技術を適用させることができるのでその説明は省略する。
例えば、プラズマCVD (Chemical Vapor Deposition)装置においては、ターゲット側の電極に誘電率制御手段9、制御手段11、電極31、セルフバイアス測定手段32などを設けるようにすればよい。そのようにすれば、ターゲットの面内を均一にスパッタすることができるようになる。
また、本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置の用途に関しても半導体装置(ウェーハ)のエッチング、アッシング、成膜などに限定されるわけではなく、例えば、液晶表示装置、位相シフトマスク、太陽電池、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems) などのエッチング、アッシング、成膜などについても適用させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ処理装置1、プラズマ処理装置30などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。 誘電率制御手段を例示するための模式断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。 変質層を有するレジストをアッシングする様子を例示するための模式断面図である。
符号の説明
1 プラズマ処理装置、3 下部電極、9 誘電率制御手段、9a〜9c 誘電率制御手段、10 載置台、11 制御手段、12a〜12c 空間、13 収納手段、14 供給手段、15 回収手段、16 配管、16a 配管、17 供給器、18 開閉弁、19 配管、19a 配管、20 開閉弁、30 プラズマ処理装置、31 電極、32 セルフバイアス測定手段、40 プラズマ処理装置、P プラズマ、W 被処理物

Claims (5)

  1. セルフバイアスが発生する側の電極の上面に設けられ内部に空間を有する領域を複数有する誘電率制御手段と、
    誘電率の制御を行うための流動性を有する物質を収納する収納手段と、
    前記収納手段に収納された前記物質を前記空間に供給する供給手段と、
    前記空間に供給された前記物質を前記収納手段に回収する回収手段と、
    を備え、
    前記供給手段は、前記複数の領域がそれぞれ有する空間と前記収納手段とをそれぞれ連通する複数の第1の管路と、前記複数の第1の管路のそれぞれに設けられ当該管路を開閉する第1の開閉弁と、を有し、
    前記供給手段により前記複数の領域がそれぞれ有する空間にある前記物質の量を前記複数の領域ごとに制御することを特徴とするセルフバイアス制御装置。
  2. セルフバイアスが発生する側の電極の上面に設けられ内部に空間を有する領域を複数有する誘電率制御手段と、
    誘電率の制御を行うための流動性を有する物質を収納する収納手段と、
    前記収納手段に収納された前記物質を前記空間に供給する供給手段と、
    前記空間に供給された前記物質を前記収納手段に回収する回収手段と、
    を備え、
    前記回収手段は、前記複数の領域がそれぞれ有する空間と前記回収手段とをそれぞれ連通する複数の第2の管路と、前記複数の第2の管路のそれぞれに設けられ当該管路を開閉する第2の開閉弁と、を有し、
    前記回収手段により前記複数の領域がそれぞれ有する空間にある前記物質の量を前記複数の領域ごとに制御することを特徴とするセルフバイアス制御装置。
  3. 前記複数の領域は、同心状に設けられていること、を特徴とする請求項1または2に記載のセルフバイアス制御装置。
  4. 前記流動性を有する物質は、絶縁性を有する液体であること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のセルフバイアス制御装置。
  5. 大気よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、
    前記チャンバ内に反応性ガスを導入するガス導入手段と、
    前記チャンバ内を排気する排気手段と、
    前記チャンバ内に対向するようにして設けられた一対の電極と、
    前記一対の電極のうちのセルフバイアスが発生する側の電極に設けられた請求項1〜のいずれか一つに記載のセルフバイアス制御装置と、
    を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
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