JP5201780B2 - 光検出器および光検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光検出器および光検出装置に関する。
近年、物体の温度を非接触で測定することができる赤外線検出器の需要が高まっている。それに伴い、安価で高性能な熱型赤外線検出器の開発が望まれている。従来の赤外線検知器としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
図6は、特許文献1に記載された赤外線検知器の斜視図および断面図である。
この赤外線検知器は、赤外線反射層603と空間を挟んで対向する梁606を持ち、梁606に赤外線吸収層608を有する赤外線検出器において、信号によって梁606と赤外線反射層間603の距離を変化させ吸収波長帯を変えている。そして、赤外線反射層603側に配置した第1の導電層と梁606側に配置した第2の導電層との間の印加電圧609により距離を変化させ、吸収させる赤外線波長に応じて変化させているものである。またその駆動方法において、両者の間に印加する電圧を変化させ、梁の面と構造物の面を一時的に接触させている。
特開平8−201177号公報
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
第一に、特許文献1に記載された赤外線検知器のように、細い足部610により支えられている梁(ダイヤフラム)606中に受光部611が設けられている検出器では、信号の読み出しのために赤外線吸収層608にパルスバイアスを印加するときに、半導体基板601−赤外線吸収層608間に電位差が生じ、両者間の静電引力が変化するために梁606が振動する場合がある。このとき、赤外線吸収層608の寄生容量に変化が生じるためにノイズが発生する場合がある。このため、赤外線を安定して検出する上ではさらなる改善の余地がある。
第二に、特許文献1に記載された赤外線検知器のように、細い足部610により支えられている梁(ダイヤフラム)606中に受光部611が設けられている検出器では、小さな外力でも容易に空洞605の高さdが変化する。この構造は、可変波長の赤外線を検出する上では有利である。しかし、細い足部610の強度(張力)が充分ではないため、梁606の振動量(振幅)や振動収束までの時間が大きくなってしまい、比較的大きなノイズが発生する場合があり、赤外線を安定して検出する上ではさらなる改善の余地がある。
第三に、特許文献1に記載された赤外線検知器においては、赤外線反射層603側に配置した第1の導電層と梁606側に配置した第2の導電層との間に空洞605の高さdを変化させるために印加電圧609をかけているため、この印加電圧が電圧発生源のノイズ等により揺らいだ場合には、梁606の振動に伴うノイズが発生する。よって、赤外線の検出安定性の面ではさらなる改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光の検出安定性に優れる光検出器を提供することにある。
本発明によれば、基板と、基板の上面近傍に設けられている第一の導電部材と、基板の上部に空隙を隔てて設けられており、熱電変換膜を有する受光部と、熱電変換膜と第一の導電部材とを接続し、熱電変換膜と第一の導電部材とを同電位となるように導通する第二の導電部材と、を備える光検出器が提供される。
この構成によれば、受光部中の熱電変換膜と基板上面近傍にある第一の導電部材とを同電位にするため、基板と受光部との間にかかる静電引力による振動を抑制することによりノイズの発生が抑えられる。このため、光の検出安定性に優れる光検出器が得られる。
また、本発明によれば、基板と、基板の上面近傍に設けられている第一の導電部材と、基板の上部に空隙を隔てて設けられており、熱電変換膜を有する受光部と、受光部の下面近傍に設けられている受光部下面導電部材と、第一の導電部材と受光部下面導電部材とを接続し、第一の導電部材と受光部下面導電部材とを同電位となるように接続する第二の導電部材と、を備える光検出器が提供される。
この構成によれば、受光部の下面近傍にある受光部下面導電部材と基板上面近傍にある第一の導電部材とを同電位にするため、基板と受光部との間にかかる静電引力による振動を抑制することによりノイズの発生が抑えられる。このため、光の検出安定性に優れる光検出器が得られる。
また、本発明によれば、複数の上記の光検出器と、光検出器の走査回路と、光検出器の読出回路と、走査回路と接続する複数の走査線と、読出回路と接続する複数の信号線と、
を備える光検出装置が提供される。
この構成によれば、複数の上記の光検出器を用いるため、光を安定して検出できる。また、複数の光検出器からそれぞれ信号を読み出すことにより、光の照射分布を安定して測定することができる。
以上、本発明の構成について説明したが、これらの構成を任意に組み合わせたものも本発明の態様として有効である。また、本発明の表現を他のカテゴリーに変換したものもまた本発明の態様として有効である。
例えば、上記の光検出装置は、複数の上記の光検出器を、平面上にマトリックス状に配置してもよいが、特にこの配置に限定するわけではなく、任意の平面上または任意の空間中に任意の配置が可能である。例えば、曲面上にマトリックス状に配置してもよく、あるいは平面上に線状または放射状に配置してもよい。
本発明によれば、受光部の振動を抑制する構成を備えるため、光の検出安定性に優れる光検出器が得られる。
以下、本発明を図面を用いてさらに詳細に説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、後述の実施例1に係る赤外線検出器の構造を模式的に示した断面図である。
赤外線検出器100は、シリコン基板1と、シリコン基板1の上面近傍に設けられている第一の導電部材である赤外線反射膜15と、シリコン基板1の上部にエアギャップ2を隔てて設けられており、熱電変換膜であるボロメータ材料薄膜6を有する受光部であるダイアフラム4と、ボロメータ材料薄膜6と赤外線反射膜15とを、電圧印加装置を介さずに常に同電位となるように接続する第二の導電部材である信号線18などと、を備える。
この構成によれば、ダイアフラム4中のボロメータ材料薄膜6とシリコン基板1上面近傍にある赤外線反射膜15とを常に同電位にするため、シリコン基板1とダイアフラム4との間にかかる静電引力による振動を抑制することによりノイズの発生が抑えられる。このため、赤外線の検出安定性に優れる赤外線検出器100が得られる。
図2は、後述の実施例2に係る赤外線検出器の構造を模式的に示した断面図である。
赤外線検出器200は、シリコン基板1と、シリコン基板1の上面近傍に設けられている第一の導電部材である赤外線反射膜15と、シリコン基板1の上部にエアギャップ2を隔てて設けられており、熱電変換膜であるボロメータ材料薄膜6を有する受光部であるダイアフラム4と、ダイアフラム4の下面近傍に設けられている受光部下面導電部材である導電性膜21と、ボロメータ材料薄膜6と赤外線反射膜15とを電圧印加装置を介さずに常に同電位となるように接続する第二の導電部材である信号線18などと、を備える。
この構成によれば、ダイアフラム4の下面近傍にある導電性膜21とシリコン基板1上面近傍にある赤外線反射膜15とを常に同電位にするため、シリコン基板1とダイアフラム4との間にかかる静電引力による振動を抑制することによりノイズの発生が抑えられる。このため、赤外線の検出安定性に優れる赤外線検出器200が得られる。
上述のいずれの実施形態においても、上記の第一の導電部材は、赤外線反射膜15とする構成を採用している。
この構成によれば、入射赤外線は、ダイアフラム4の上方から入射し、ボロメータ材料薄膜6で一部吸収された後、赤外線反射膜15で反射される。ここで、空洞の間隙の高さをdとすると、入射赤外線の波長λに対してλ/(4n)(空洞の場合nはほぼ1)に設定することができる。このような高さの間隙を有する場合、反射した赤外線は空洞内に定在波を作り、電磁気学的効果により受光部中のボロメータ材料薄膜6に吸収される。このため、赤外線検出器の検出感度を向上することができる。
また、上述のいずれの実施形態においても、上記第二の導電部材は、シリコン基板1内に設けられている信号線18などの一部を含む構成を採用している。
この構成によれば、シリコン基板1内に信号線18などの各種配線を形成するプロセスにおいて、第二の導電部材を形成し得るため、赤外線検出器の製造プロセスを簡略化することができる。
あるいは、上記第二の導電部材は、シリコン基板1内に設けられている信号線18などとは独立して設けてもよい。この構成によれば、信号線18などの寄生容量を低減し得るため、赤外線検出器の検出感度の安定性を向上することができる。
また、上記エアギャップ2の高さは、固定されていてもよい。具体的には、ダイアフラム4は、シリコン基板1上に固定された梁状の構造の一部として設けることができる。
この構成によれば、信号の読み出しのためにボロメータ材料薄膜6にパルスバイアスを印加するときに、シリコン基板1−ボロメータ材料薄膜6間に電位差が生じ、両者間の静電引力が変化する場合にも、ダイアフラム4の振動が抑制される。よって、ボロメータ材料薄膜6の寄生容量の変化が生じにくいためにノイズの発生が抑制される。このため、赤外線を安定して検出することができる。
図3は、後述の実施例3に係る読み出し回路の構造を模式的に示した回路図である。
この赤外線検出装置は、上記の赤外線検出器と、赤外線検出器の読出回路と、を備えるため、赤外線を安定して検出できる。また、複数の赤外線検出器からそれぞれ信号を読み出すことにより、物体の温度分布などによる赤外線照射分布を安定して測定することができる。
より具体的には、この赤外線検出装置は、複数の上記の赤外線検出器と、走査回路と、積分回路と、走査回路と接続する複数の走査線と、積分回路と接続する複数の信号線と、赤外線検出器に備わるボロメータ材料薄膜6の一端とグラウンド(GND)との間にソース20およびドレイン17によりそれぞれ接続され、ゲート19が走査線とそれぞれ接続された、複数の画素トランジスタ1と、赤外線検出器に備わるボロメータ材料薄膜6の他端と信号線との間にソース20およびドレイン17によりそれぞれ接続され、ゲート19が走査線とそれぞれ接続された、複数の画素トランジスタ2と、を備える。
この構成によれば、読み出すボロメータ材料薄膜6のみに電圧を印加することが可能であるため、それ以外のボロメータ材料薄膜6−シリコン基板1間の静電引力変動が抑制される。このため、ダイアフラム4が振動する赤外線検出器の数が低減され、信号線に流れる電流のノイズが減少する。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図1は、実施例1に係る赤外線検出器の構造を模式的に示した断面図である。
図1に示すように、スルーホールに設けられた導電プラグ22を通じて赤外線反射膜15と信号線18を接続することにより、赤外線反射膜15がボロメータ材料薄膜6にかかる電圧に対して常に同電位にすることができる。
信号線18を通じてボロメータ材料薄膜6に電圧印加される時、同時にシリコン基板1表面の赤外線反射膜15にも同電圧が印加される。このときボロメータ材料薄膜6−シリコン基板1間の静電引力はほとんど変動しないため、ダイアフラム4の振動の発生は抑制される。
ボロメータ材料薄膜6−シリコン基板1間の静電引力が生じると、ダイアフラム4の振動が引き起こされやすくなる。このため、ボロメータ材料薄膜6とシリコン基板1上面にある赤外線反射膜15とを常に同電位にすることで、ボロメータ材料薄膜6−シリコン基板1間の静電引力の発生が抑制される。このためボロメータ材料薄膜6の電荷変動は生じにくく、ノイズの原因となる信号線18の変位電流が減少する。
一方、従来の赤外線検出器の構造においては、信号線を通じて周期的にボロメータへの電圧印加ON/OFFを繰り返すと、基板−ボロメータ間の電位差が変動する場合がある。その際にクーロンの法則により両者間の静電引力が変化するためダイアフラムが振動しやすい。
このとき、基板−ボロメータ間の距離の変動量をΔdとすると、ΔQ=εAV/Δd (ε:誘電率、A:ボロメータの面積、V:基板−ボロメータ間の電位差)で表されるボロメータの電荷変動ΔQが生じる。信号線には複数のボロメータが接続されており、走査回路で読み出しているボロメータだけでなく並列接続されている全てのボロメータに電圧が印加される。
このとき、前述のボロメータの電荷変動が加算されるため、信号線を通じて大きな変位電流が流れ、ノイズとなる場合がある。以上のメカニズムにおいて、さらに基板−ボロメータ間の電位差やダイアフラムを支える梁の強度等が信号線毎に差がある場合には、ラインパターン性のノイズとなりやすい。
これに対して、本実施例に係る赤外線検出器100は、シリコン基板1と、シリコン基板1に支持されている受光部であるダイアフラム4と、を備える。そして、シリコン基板1とダイアフラム4との間にエアギャップ2が形成されている。また、ダイアフラム4は熱電変換材料で形成されるボロメータ材料薄膜6とその両側電極とを含む。
さらに、赤外線検出器100は、ボロメータ材料薄膜6にパルス電圧を印加する役割を果たす信号配線18と電気的に接続する導電性薄膜である赤外線反射膜15を、シリコン基板1上部に形成することによって、常にダイアフラム4とシリコン基板1上部が常に同電位になるような構造を持つ。
赤外線検出器100は、このようにボロメータ材料薄膜6とシリコン基板1上面にある赤外線反射膜15とを常に同電位にするので、ダイアフラム4にかかる静電引力による振動を抑える。その結果、赤外線検出器の振動が抑えられることにより、ライン状のパターン性ノイズが低減される。
また、赤外線検出器100は、梁状の構造からなるダイヤフラム4中に受光部が設けられており、梁状の構造はシリコン基板上にしっかりと固定されている。そのため、小さな外力によりエアギャップ2の高さdが変化することは抑制される。この構造は、エアギャップ2の高さdが変化しにくいため、最適な吸収波長も変化しにくい。その結果、特定波長の赤外線を安定して検出することができる。
また、赤外線検出器100は、ボロメータ材料薄膜6とシリコン基板1上面にある赤外線反射膜15との間に電圧印加装置などが設けられていないため、印加電圧の揺らぎも生じにくい。そのため、エアギャップ2の高さdが変化しにくく、ノイズが発生したり、最適な吸収波長が変化することも抑制される。よって、特定波長の赤外線の検出安定性が向上する。
<実施例2>
図2は、実施例2に係る赤外線検出器の構造を模式的に示した断面図である。
本実施例に係る赤外線検出器200は、基本的には、実施例1に係る赤外線検出器100と同様の構成を備える。そのため、基本的には、赤外線検出器100と同様に、ダイアフラム4の振動の発生が抑制されるという作用効果を奏する。
赤外線検出器200は、図2に示すように、赤外線反射膜15と電気的に接続した導電性膜21をダイアフラム4の下部に作成することにより、ダイアフラム4の下側が赤外線反射膜15に対して常に同電位にするという特有の構成を備える。また、赤外線反射膜15とボロメータ材料薄膜6とは電気的に接続していない点においても、赤外線検出器100と異なる。
より具体的には、赤外線検出器200は、シリコン基板1と、シリコン基板1に支持されている受光部であるダイアフラム4とを備える。また、シリコン基板1とダイアフラム4との間にエアギャップ2が形成され、ダイアフラム4は熱電変換材料で形成されるボロメータ材料薄膜6とその両側の電極とを含む。
そして、シリコン基板1に設けられた赤外線検出膜15と電気的に接続した導電性薄膜21をダイアフラム4下部に形成することによって、ダイアフラム4下部とシリコン基板1とが常に同電位になるような構造を持つという構造を有する。また、この導電性薄膜21は、信号配線18とは電気的に接続せず、独立して設けられている。
この構造により、信号線18を通じて、ボロメータ材料薄膜6にパルス電圧が印加される時も、ボロメータ材料薄膜6−シリコン基板1間は、赤外線反射膜15と接続する導電性膜21でシールドされる。このため、ボロメータ材料薄膜6−シリコン基板1間に静電引力がほとんど発生しなくなるため、ダイアフラム4の振動の発生が抑制される。その結果、ボロメータ材料薄膜6の電荷変動は抑制され、ノイズの原因となる信号線の変位電流が減少する。
また、導電性薄膜21は、信号配線18とは電気的に接続しておらず、独立して設けられている。このため、信号配線18の寄生容量が低減し、信号配線から読み出される信号のノイズが低減される特有の効果も奏する。
<実施例3>
図3は、実施例3に係る読み出し回路の構造を模式的に示した回路図である。
本実施例に係る赤外線検出装置は、複数の上記の実施例に係る赤外線検出器と、走査回路と、積分回路(不図示)と、走査回路と接続する複数の走査線と、積分回路と接続する複数の信号線と、を備える。また、複数の赤外線検出器は、シリコン基板上にマトリックス状に配置されている。
さらに、この赤外線検出装置は、基本的には、後述する図5に示す比較例の読み出し回路と同様の構成を備える。すなわち、この赤外線検出装置は、図3に示すような、ゲート電極にて走査線とそれぞれ接続し、ソース電極にてグラウンドとそれぞれ接続し、ドレイン電極にて赤外線検出器のボロメータ薄膜(一種の抵抗素子として機能する)の一端とそれぞれ接続する、複数の画素トランジスタ1を備える。
一方、この赤外線検出装置は、ゲート電極にて走査線とそれぞれ接続し、ソース電極にて赤外線検出器に備わる熱電変換膜の他端とそれぞれ接続し、ドレイン電極にて信号線とそれぞれ接続する、複数の画素トランジスタ2を備える点においては、図5に示す比較例の読み出し回路と異なる特有の構造を有する。
すなわち、この赤外線検出装置は、シリコン基板と、シリコン基板に支持されている受光部とを備え、シリコン基板と受光部との間にエアギャップが形成され、この受光部は熱電変換材料で形成される薄膜と電極とから形成され、走査回路によって選択された熱電変換材料にのみ信号が印加されるような構造を持つ熱型赤外線検出装置である。
この赤外線検出装置は、上記の画素トランジスタ2を備える特有の構造を備えるため、読み出す赤外線検出器に備わるボロメータ薄膜のみに選択的に電圧を印加することができる。このため、それ以外の赤外線検出器に備わるボロメータ薄膜−シリコン基板間の静電引力変動がほとんど生じない。その結果、電荷が変動するボロメータ薄膜を備える赤外線検出器の数が制限され、ノイズの原因となる信号線の変位電流が小さくなる特有の作用効果が奏される。なお、上記の画素トランジスタ1は省略しても、同様の作用効果が得られる。
また、この赤外線検出装置は、このようなマトリックス状の配置の複数の赤外線検出器を備えるため、複数の赤外線検出器からそれぞれ信号を読み出すことにより、物体の温度分布などによる特定波長の赤外線照射分布を安定して測定することができる。
<比較例>
図4は、比較例に係る赤外線検出器400の1画素の断面図である。
赤外線検出器400は、2本の支持部材により基板上に支持されている梁状構造に含まれる受光部であるダイアフラム104と、Si基板101に設けられた画素トランジスタ116から成る。ダイアフラム104は、ボロメータ材料薄膜106と電極及びそれらを取り囲む保護膜105、107、108、109から形成されている。支持部材は、接続用配線材料薄膜111とそれを取り囲む保護膜105、109から構成されている。
また、赤外線検出器400の構造においては、ダイアフラム104が、画素トランジスタ付きのSi基板101上に、エアギャップ102を介して2本の支持部材で支持されている。ダイアフラム104に設けられたボロメータ材料薄膜106の両側の電極は、配線材料薄膜111、コンタクトパッド113、タングステンの配線プラグ114を介して、画素トランジスタのドレイン117と信号線118に電気的に接続されている。
また、画素トランジスタのゲート119は、走査回路に接続され、ソース120は画素トランジスタのセル116の大部分を占めるグラウンド配線GNDにつながっている。シリコン基板101の上面側には、赤外線反射膜115が成膜されている。赤外線反射膜115は、電気的にフローティングであり、画素サイズ37μm角の大部分を占め、保護膜105との距離は約1.5μmである。
各画素の受光部に入射した赤外線の一部は、ダイアフラム104で吸収される。更にダイアフラム104を透過した赤外線は、ダイアフラム104に向かう方向に赤外線反射膜115で反射され、ダイアフラム104で再度吸収される。吸収された赤外線は各画素のダイアフラム104の温度を上昇させ、ボロメータ材料薄膜106で電気信号に変換される。
本比較例に係る赤外線検出器400の構造によれば、実施例の場合に比べて、信号の読み出しのためにボロメータ材料薄膜106にパルスバイアスを印加するときに、基板101−ボロメータ材料薄膜106間に電位差が生じ、両者間の静電引力が変化するためにダイアフラム104が振動する場合がある。このとき、ボロメータ104の寄生容量に変化が生じるためにノイズが発生しやすい。
図5は、比較例に係る赤外線検出器の読出し回路の回路図である。上記の赤外線検出器を含む画素は、基板上に2次元状に複数配設されている。
画素の下に形成された信号線には、信号線方向の画素列が並列接続されている。さらにこの信号線1本もしくは複数本につき1個の積分回路に接続される。これらの信号線、積分回路を複数配設することにより2次元の読出し回路を形成する。
読出し動作については、信号線を通じて並列に電圧印加された画素のうち、画素トランジスタを制御する走査回路によって、走査線を介して選択された画素について、順次電気信号に変換され積分回路に読み出される。
本比較例に係る赤外線検出器の読出し回路によれば、実施例の場合に比べて、読み出すボロメータ薄膜のみに電圧を印加することが困難である。そのため、読み出し対象以外のボロメータ薄膜−シリコン基板間にも静電引力変動が生じる場合がある。その結果、電荷が変動するボロメータ薄膜の数が増加するので、ノイズの原因となる信号線の変位電流が大きくなる場合がある。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、上記実施例では、ボロメータ薄膜−シリコン基板間にエアギャップが設けられている構造を用いたが、ボロメータ薄膜−シリコン基板間に、シリコン酸化膜などの絶縁材料が充填されていてもよい。この場合、ボロメータ薄膜を含む受光部がシリコン酸化膜により支持されてさらに振動しにくくなるため、特定波長の赤外線をより安定して測定することができる。
また、上記実施例では、光検出器として、赤外線領域の波長を検出する赤外線検出器を例に挙げたが、特に限定する趣旨ではない。例えば、可視光領域の波長、紫外領域の波長を有する光を検出するための、光検出器であってもよい。
また、上記実施例では、画素トランジスタとしてMOSトランジスタを用いたが、特に限定する趣旨ではない。例えば、バイポーラトランジスタなども好適に用い得る。
実施例1に係る赤外線検出器の構造を模式的に示した断面図である。 実施例2に係る赤外線検出器の構造を模式的に示した断面図である。 実施例3に係る読み出し回路の構造を模式的に示した回路図である。 比較例に係る赤外線検出器の構造を模式的に示した断面図である。 比較例に係る読み出し回路の構造を模式的に示した回路図である。 従来の赤外線検出器の構造を模式的に示した斜視図および断面図である。
符号の説明
1 シリコン基板
2 エアギャップ
4 ダイアフラム
5 保護膜
6 ボロメータ材料薄膜
7 保護膜
8 保護膜
9 保護膜
11 接続用配線材料薄膜
14 配線プラグ
15 赤外線反射膜
16 画素トランジスタ
17 ドレイン
18 信号線
19 ゲート
20 ソース
21 導電性膜
22 導電プラグ
100 赤外線検出器
101 シリコン基板
102 エアギャップ
104 ダイアフラム
105 保護膜
106 ボロメータ材料薄膜
107 保護膜
108 保護膜
109 保護膜
111 接続用配線材料薄膜
114 配線プラグ
115 赤外線反射膜
116 画素トランジスタ
117 ドレイン
118 信号線
119 ゲート
120 ソース
200 赤外線検出器
400 赤外線検出器
601 半導体基板
602 走査回路
603 赤外線反射層
604 酸化膜
605 空洞
606 梁
607 入射赤外線
608 赤外線吸収層
609 印加電圧
610 足部
611 受光部
GND グラウンド

Claims (11)

  1. 基板と、
    前記基板の上面に設けられている第一の導電部材と、
    前記基板の上部に空隙を隔てて設けられており、熱電変換膜を有する受光部と、
    前記熱電変換膜と前記第一の導電部材とを同電位となるように導通する第二の導電部材と、
    を備え
    前記空隙の高さは、固定されていることを特徴とする光検出器。
  2. 請求項1に記載の光検出器において、
    前記第二の導電部材に接続している電圧源は、前記熱電変換膜のみであり、
    前記熱電変換膜は、電位を与える配線には接続されていない光検出器。
  3. 基板と、
    前記基板の上面に設けられている第一の導電部材と、
    ダイヤフラム構造によって前記基板の上部に空隙を隔てて設けられており、熱電変換膜を有する受光部と、
    前記ダイヤフラム構造の下面のうち前記受光部の下に位置する領域に設けられている受光部下面導電部材と、
    前記第一の導電部材と前記受光部下面導電部材とを同電位となるように導通する第二の導電部材と、
    を備え
    前記空隙の高さは、固定されていることを特徴とする光検出器。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光検出器において、
    前記第一の導電部材は、光反射膜であることを特徴とする光検出器。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光検出器において、
    前記第二の導電部材は、前記基板内に設けられている配線の一部を含むことを特徴とする光検出器。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光検出器において、
    前記第二の導電部材は、前記基板内に設けられている配線とは独立して設けられていることを特徴とする光検出器。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光検出器において、
    前記受光部は、前記基板上に固定された梁状の構造の一部として設けられていることを特徴とする光検出器。
  8. 検出器と、
    前記光検出器の走査回路と、
    前記光検出器の読出回路と、
    前記走査回路と接続する複数の走査線と、
    前記読出回路と接続する複数の信号線と、
    を備え
    前記光検出器は、
    基板と、
    前記基板の上面に設けられている第一の導電部材と、
    前記基板の上部に空隙を隔てて設けられており、熱電変換膜を有する受光部と、
    前記熱電変換膜と前記第一の導電部材とを同電位となるように導通する第二の導電部材と、
    を有し、
    さらに、前記熱電変換膜の一端と前記信号線との間にそれぞれ接続され、制御電極が前記走査線とそれぞれ接続された複数のトランジスタを備えることを特徴とする光検出装置。
  9. 光検出器と、
    前記光検出器の走査回路と、
    前記光検出器の読出回路と、
    前記走査回路と接続する複数の走査線と、
    前記読出回路と接続する複数の信号線と、
    を備え、
    前記光検出器は、
    基板と、
    前記基板の上面に設けられている第一の導電部材と、
    ダイヤフラム構造によって前記基板の上部に空隙を隔てて設けられており、熱電変換膜を有する受光部と、
    前記ダイヤフラム構造の下面のうち前記受光部の下に位置する領域に設けられている受光部下面導電部材と、
    前記第一の導電部材と前記受光部下面導電部材とを同電位となるように導通する第二の導電部材と、
    を有し、
    さらに、前記熱電変換膜の一端と前記信号線との間にそれぞれ接続され、制御電極が前記走査線とそれぞれ接続された複数のトランジスタを備えることを特徴とする光検出装置。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の複数の光検出器と、
    前記光検出器の走査回路と、
    前記光検出器の読出回路と、
    前記走査回路と接続する複数の走査線と、
    前記読出回路と接続する複数の信号線と、
    を備えることを特徴とする光検出装置。
  11. 請求項10に記載の光検出装置において、
    前記光検出器に備わる熱電変換膜の一端とグラウンドとの間にそれぞれ接続され、制御電極が前記走査線とそれぞれ接続された、複数の第一のトランジスタと、
    前記光検出器に備わる熱電変換膜の他端と前記信号線との間にそれぞれ接続され、制御電極が前記走査線とそれぞれ接続された、複数の第二のトランジスタと、
    を備えることを特徴とする光検出装置。
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