JP5320207B2 - 半同軸共振器及びフィルタ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、移動体電話基地局装置のフィルタ装置等で使用される半軸共振器及びフィルタ装置に関する。
近年、携帯電話システムでは、高感度の送受信性能、良質の通話性能を確保することが必須となっており、このため同システムの基地局装置や端末装置で使用されるフィルタ装置においては、信号成分を殆ど劣化させない高いQ値(quality factor)特性、過酷な温度条件下でも安定した通過特性を確保することが要求される。更に加えて低価格化の要求が極めて厳しい。
前記基地局装置のフィルタ装置で使用される共振器には、誘電体共振器が多く使われている。この共振器の共振素子(共振体)は、セラミックス製でありセラミックス共振体は、製造のために、適性な材料の調達、精巧な金型の作成、焼成における温度制御等、困難な製造工程を経るため高価なものになっていた。このため価格競争の激しい昨今においては使用が躊躇される状況にある。
そこで、誘電体を共振体とする共振器に代って金属製の共振体を内導体、それを設置するための金属製の筐体を外導体とする半軸共振器が見直されている。
軸共振器は、アルミニウム等の金属でできている筐体(外導体)内に、黄銅等の金属でできていて頂部が平らな円柱状の共振体(内導体)を設置し、共振体の頂部(開放端)と筐体の体壁との間に容量(先頭容量)を形成し、内導体によるリアクタンス成分と先頭容量により共振を起こさせる共振器である。すべて金属製のため安価で加工が容易であるという長所を有する反面、温度変化による内導体の延び縮みにより共振周波数が変動し易いという短所を持ち合わせている。
従来、この種の共振器として、内導体をなす共振体を線膨張係数の異なる2種類の部品により構成し、これら2種類の部品の長さの比率を変えることにより、見かけ上の内導体の線膨張係数による長さ変化を相殺し、温度変化に基く共振周波数の変動を補償する半同軸共振器(以下、従来技術1という)が知られている(特許文献1参照)。
従来技術1によれば、温度変化に基く共振体の線膨張係数の変化による共振周波数の変動は補償できるが、そのために線膨張係数の異なる2種類の部品を、精密な機械的調整機構によって組み合わせ、それらの長さの比率を変えることができるようにしなければならない。そのため、構造が複雑になり製造コストがかかるという問題がある。
また、共振体が筐体壁に直角に取り付けられているので、共振体の表皮電流が共振体が筐体壁から立ち上がる角部に集中しQ値が下がるという問題がある。また共振器の小型化のために共振体と筐体壁との間隙長が狭まると先頭容量が増大するので所定の共振周波数を維持するために共振体の長さを短縮しなければならず、そのために共振器としてのQ値が下がるという問題もある。
特開平11−298213号公報
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、簡単な構造、安価な製造コストで温度変化による共振周波数の変動を抑制できるようにすることであり、第2の目的は、このとき共振器のQ値を下げないようにすることである。また第3の目的は、小型化ができるようにすることである。
(1)本発明は、閉空間を構成する金属製の筐体と、該筐体内に設置され、基部から先頭部近傍にかけて断面がテーパ形を構成するよう直径が漸減し、先頭部近傍から先頭部にかけて断面が曲線を構成するよう直径を変化させた金属製の円柱状の共振体と、を備えたことを特徴とする半軸共振器である。
(2)本発明は、前記(1)の半軸共振器において、前記筐体は筐体内面から筐体と一体で曲線状に立ち上がる共振体の取付け台座を備えたことを特徴とする半軸共振器である。
(3)本発明は、前記(1)又は(2)の半軸共振器において、前記筐体の線膨張係数を共振体の線膨張係数より大きくしたことを特徴とする半軸共振器である。
(4)本発明は、閉空間を構成する金属製の筐体と、筺体を隔壁で複数の共振室に区画した各共振室と、前記各共振室に設置した前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の前記共振体と、を備え、各共振体の頂部に対向する箇所に周波数調整用トリマを、また各各壁の頂部に対向する位置に結合用調整トリマを備えたことを特徴とするフィルタ装置である。
(5)本発明は、前記(4)のフィルタ装置において、前記周波数調整用トリマ及び結合用調整トリマは、いずれ前記筺体に挿抜自在であることを特徴とするフィルタ装置である。
本発明によれば、簡単な構造かつ安価な製造コストで温度変化による共振周波数の変動を抑制可能にすることができる。このとき共振器のQ値が下がることはなくまた小型化が可能になる。
本発明の実施形態に係る半軸共振器の中央部分の側面断面図である。 共振体3の詳細構成の説明図である。 本発明の他の実施形態に係る半軸共振器の中央部分の側面断面図である。 共振体3を設置するための台座9aの説明図である。 本発明の実施形態に係る5段型帯域通過フィルタの構成図である。
(実施形態1)本発明の実施形態に係る半軸共振器について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る半軸共振器の中央部分の側面断面図である。図1において、半軸共振器10は、断面がコの字形でアルミニウム、銅等の金属で構成された筐体1、同じく金属で構成され筐体1の底面にねじ2により設置された共振体3、筐体1の側面に設置された入力コネクタ4、入力コネクタ4の芯線部と筐体1の底面間に設置された入力電波を共振体3に結合させるための結合板5、筐体1の入力コネクタ4が設置される側面と対向する側面に設置された出力コネクタ6、出力コネクタ6の芯線部と筐体1の底面間に設置され、共振体3で励振した電波を結合して出力させるための結合板7、そして筐体1の開放部を閉鎖する蓋体8を備えている。
図2は、共振体3の詳細構成の説明図である。図2において、dは蓋体8と共振体3とのギャップ長、hは共振体3の高さ方向の寸法(長さ)、cは蓋体8と共振体3とにより構成される容量(先頭容量)を示す。そして共振体3は、筐体1の底面に接触する基部から蓋体8に対向する先頭部に向かって直径が漸減する断面がテーパ形の円柱形状をしており、且つ先頭部はその角部断面が所定の半径Rの円形状をなすように直径を減らしている。また高さhは、共振体3を半同軸線路として考えたとき、半同軸線路に生じる定在波の波長λの4分の1と同じかそれより若干短い寸法にする。この寸法にすることにより、この寸法に基くリアクタンス成分と先頭部に形成される容量(先頭容量)cとにより所定の中心周波数で共振する共振器を構成することができる。
図1及び図2において、いま蓋体8により筐体1が閉鎖された状態で、入力コネクタ4から高周波信号が入力されると、この高周波信号は結合板5により共振体3と結合する。この結合により共振体3は所定の共振周波数の高周波信号を励振し、励振した高周波信号は結合板7から出力コネクタ6を介して出力される。
前記高周波信号の励振の原理を同軸線路で説明すると、片側を接地しもう一方の側を開放した長さλ/4の同軸線路に結合ループ等を介して高周波信号が結合すると、この信号は開放端側で同位相反射、接地端側で逆位相の反射を起こし同軸線路の伝送損失により僅かに減衰しながら両端を往復して定在波となる。電流と電圧の位相が90度ずれたまま接地側の電圧がゼロに固定されるため電流は接地側で、電圧は開放側でそれぞれ最大となる。一度励振した信号エネルギーはなかなか減衰しないで両端を往復するので高周波信号の励振が起こる、つまり共振器として機能する。
同様の原理に基づく共振体3は、筐体1の底面に接触する基部から蓋体8に対向する先頭部に向かって直径が漸減する断面がテーパ形の円柱形状をしているので、円周まわりの表皮を流れる電流経路の断面積が先頭部に向かう程小さくなる。このため共振体3周りの表皮電流は、基部から先頭部にわたり均一に分布し、これによりQ値のよい共振が得られる。図2の右側には、共振体3の高さ方向にわたって分布する電流の状態を示す。
またフィルタ装置の温度変化に基く共振周波数の変動の抑制、及び小型化の要請により、少しでも共振器の縦、横、高さの寸法、特に高さつまりギャップ長dをできる限り縮めることがある。このとき、従来技術1に示される完全な円柱状であって先頭部が平らな共振体では、ギャップ長dが縮まると先頭容量cは大きくなるので、同じ共振周波数を維持しようとすると共振体自身の長さを短縮しなければならなくなる。このためQ値が著しく低下した共振器とならざるを得ない。本実施形態による共振体3によれば、先頭部はその角部断面が所定の半径Rの円形状をなすように直径を減らしているので、ギャップ長dを縮めても、先頭容量cが従来技術1に示される共振体のように増大することはない。よって共振体3の長さを短縮する必要はなく共振器のQ値が低下することはなくなる。また先頭部に角部がないので、衛星通信装置の送信装置などに使用されるとき高電力の高周波信号が入力される場合でも、ギャップ長dが狭くても放電現象が発生するおそれがない。
(実施形態2)次に、本発明の他の実施形態に係る半軸共振器について説明する。図3は、本発明の他の実施形態に係る半軸共振器の中央部分の側面断面図である。図3において、共振器20は、断面がコの字形でアルミニウム、銅等の金属で構成された筐体9が、その底面に図1で述べた共振体3を設置するための筐体9と一体形成された台座9aを備えることを特徴とする。なお、図中、図1と同じ構成部については同じ参照番号を付し説明を省略する。
図4は、共振体3を設置するための台座9aの説明図であり、図中、台座9aは、筐体9の底面から断面形状でみたとき緩やかな半径rで立ち上がる曲線状をなし、筐体9と一体形成により構成されている。そして台座9a上に共振体3がねじ2によって設置される。なお、共振体3は台座9aとの接合底面が円周周りに取付けリブ部3aを構成するように切削加工されている。
実施形態1の説明で述べたように、共振体3を、筐体の底面に接触する基部から蓋体に対向する先頭部に向かって直径が漸減する断面がテーパ形の円柱形状とし、且つ先頭部はその角部が所定の半径Rの円形状とすることにより、Q値のよい共振器を得ることができる。しかし共振体3の筐体1底面からの立ち上がり部が急峻になることにより、この部分に表皮電流が集中する傾向は避けられないので、この電流がQ値を下げる要因になっていた。そこで、筐体9の底面から筐体9と一体で断面形状で緩やかな半径rで立ち上がる台座9a上に共振体3を設置することにより、設置部において表皮電流が集中することがなくなるのでQ値の低下の要因はなくなる。
また取付けリブ部3aによる台座9aとの接触により、台座9aの取付け面が完全な水平面に加工されていない場合でも、接合部分に隙間が生じないので、表皮電流の分布を乱すことはない。図4の右側は、共振体3の高さ方向の電流分布が共振体3の頂部から基部まで一様であることを示している。
(実施形態3)続いて、実施形態1,2に係る半軸共振器の温度変化に伴う共振周波数のずれの抑制について説明する。本実施形態に係る半軸共振器は、実施形態1,2に係る半軸共振器において、筐体1,9及び蓋体8を構成する材料を共振体3の線膨張係数より大きい線膨張係数のものを使用することを特徴とする。
共振体3のサイズと共振周波数との関係は、
ω・・・角周波数
c・・・先頭容量
・・共振体の特性インピーダンス
θ・・・共振体の長さ(電気長・位相角 但しθ<90゜)
d・・・ギャップ長
S・・・共振体頂部の平面部の面積
ε・・・誘電率
とすると、
ω=d/(εSZTanθ)
=1/(cZTanθ)
である。従って、先頭容量cが小さくなれば、また共振体の長さθが短くなれば共振周波数は高くなる。
例えば、筐体1や蓋体8にアルミニウムが使用されると、アルミニウムの線膨張係数は23ppm/℃程度であり、室温で共振周波数1000MHzで共振していたとすると、共振器の内部温度が50℃上昇した場合、共振周波数は1.15MHz下がり、998.5MHzとなる。このように一般的には温度上昇により共振周波数は下がる傾向にある。
そこで本実施形態では、実施形態1,2に係る半軸共振器において、筐体1,9及び蓋体8を構成する材料として、共振体3の線膨張係数より大きい線膨張係数の材料を使用する。このような材料を使用することによって、共振体3と蓋体8の間のギャップ長dを小さくすることのできる共振器10,20においては、温度上昇によりギャップ長dが大きくなり、延いては先頭容量cが小さくなるので、温度変化に伴う共振周波数のずれを抑制することができる。
(実施形態4)更に続いて、実施形態1,2,3に係る半軸共振器を用いた多段型帯域通過フィルタについて説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る5段型帯域通過フィルタの構成を示す図である。図中、筐体90は、複数、例えば5つの共振室21,22,23,24,25を構成するように筐体90と一体形成された隔壁90b(4箇所)を備える。隔壁90bの高さは筐体90の高さより低く、例えばその半分程度である。蓋体80の基本構成は蓋体8と同じであるが、本実施形態では、各共振室21〜25の共振体3の頂部に対向する箇所に挿抜自在な周波数調整用トリマ11(5箇所)、各隔壁90bの頂部に対向する箇所に挿抜自在な結合用調整トリマ12(4箇所)を備えている。なお、図1、図4と同じ構成部には同じ参照番号を付し説明を省略する。
蓋体80により筐体90が閉鎖され、入力コネクタ4から共振室21に高周波信号が入力されると、この高周波信号は結合板5により共振体3と結合し当該共振周波数で励振する。このとき周波数調整用トリマ11により当該共振周波数となるよう調整する。この励振した高周波信号は共振室22に送られ、共振室22の共振体3と結合し当該共振周波数近傍の周波数で励振する。このときまた周波数調整用トリマ11により当該共振周波数となるよう調整する。更に結合調整トリマ12で共振室21,22の高周波信号の結合位置関係が調整され、この調整の結果、励振する高周波信号は2つの共振周波数のピークを有する周波数レスポンスとなる。
同様の周波数調整と結合調整を共振室23,24,25において行うことにより、5つのピークを有する周波数レスポンスとなり、結合板7及び出力コネクタ6を経て出力されるので、広帯域の通過フィルタを構成することができる。各共振室の共振体3のQ値が高いので良質の広帯域通過フィルタとすることができる。実機テストによれば、中心周波数を2GHzとしたとき、帯域幅は20MHzであった。
1・・・筐体、2・・・ねじ、3・・・共振体、4・・・入力コネクタ、5・・・結合板、6・・・出力コネクタ、7・・・結合板、8・・・蓋体、10・・・半軸共振器。

Claims (5)

  1. 閉空間を構成する金属製の筐体と、該筐体内に設置され、基部から先頭部近傍にかけて断面がテーパ形を構成するよう直径が漸減し、先頭部近傍から先頭部にかけて断面が曲線を構成するよう直径を変化させた金属製の円柱状の共振体と、を備えたことを特徴とする半軸共振器。
  2. 請求項1記載の半軸共振器において、
    前記筐体は筐体内面から筐体と一体で曲線状に立ち上がる共振体の取付け台座を備えたことを特徴とする半軸共振器。
  3. 請求項1又は2記載の半軸共振器において、
    前記筐体の線膨張係数を共振体の線膨張係数より大きくしたことを特徴とする半軸共振器。
  4. 閉空間を構成する金属製の筐体と、筺体を隔壁で複数の共振室に区画した各共振室と、前記各共振室に設置した請求項1乃至3のいずれかに記載の前記共振体と、を備え、各共振体の頂部に対向する箇所に周波数調整用トリマを、また各各壁の頂部に対向する位置に結合用調整トリマを備えたことを特徴とするフィルタ装置。
  5. 請求項4に記載のフィルタ装置において、
    前記周波数調整用トリマ及び結合用調整トリマは、いずれも前記筺体に挿抜自在であることを特徴とするフィルタ装置。

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