JP5323593B2 - ポリエステル繊維用難燃加工剤、それを用いた難燃性ポリエステル繊維製品の製造方法、およびそれにより得られた難燃性ポリエステル繊維製品 - Google Patents

ポリエステル繊維用難燃加工剤、それを用いた難燃性ポリエステル繊維製品の製造方法、およびそれにより得られた難燃性ポリエステル繊維製品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル繊維用難燃加工剤に関し、より詳しくは、臭素含有難燃剤であるトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを含有する難燃加工剤に関する。また、本発明は、このようなポリエステル繊維用難燃加工剤を用いた難燃性ポリエステル繊維製品の製造方法およびそれにより得られた難燃性ポリエステル繊維製品に関する。
従来、ポリエステル繊維の耐久難燃加工は、ヘキサブロモシクロドデカン(以下、「HBCD」と略す)に代表される脂環式ハロゲン化合物を高温吸尽法またはサーモゾル法などにより繊維の内部に浸透させて定着させる加工方法によるものが主流であった。しかし、HBCDは難分解性且つ高蓄積性の物質であることから、2004年9月に第一種監視化学物質に指定された。このため、繊維業界でも期限付きで全廃の方針を打ち出している。
このようなHBCDに代わる難燃成分として、近年、様々なリン系難燃性化合物が検討されている。例えば、特開2000−328445号公報(特許文献1)には、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)を界面活性剤の存在下に水中に乳化分散させて乳化組成物を調製し、これを染色と同時にポリエステル系繊維に吸着させるポリエステル系繊維の難燃加工方法が開示されており、これにより耐光堅牢度の低下が少なく、耐久性のある優れた難燃性ポリエステル系繊維を安定して供給できることも開示されている。
また、特開2002−88368号公報(特許文献2)には、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)を特定の非イオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤を用いて水中に乳化分散させた難燃加工薬剤が開示されており、これによりポリエステル繊維に染浴同浴処理により、良好かつ安全に難燃性を付与でき、優れた耐久難燃性が付与されることも開示されている。
さらに、特開2006−299486号公報(特許文献3)には、リン化合物および特定のポリエステル樹脂を含むポリエステル繊維用難燃加工剤、およびこれを用いた難燃性ポリエステル繊維の製造方法が開示されており、これによりポリエステル繊維に耐久性に優れた難燃性が付与されることも開示されている。
しかしながら、これらのリン系難燃性化合物はポリエステル繊維への吸尽率が低いためにHBCDと同等の難燃効果を得ることは困難であり、さらに多量のリン系難燃性化合物が排液とともに環境中に排出される。このため、リン系難燃性化合物の検討とともに、ハロゲン系難燃性化合物についての検討も引き続き進められている。
例えば、特開2005−68576号公報(特許文献4)には、ポリエステルと臭素含有難燃剤と、相溶化剤、滑剤およびブリード防止剤のうちの1種以上の添加剤とを溶融混練して得た組成物から形成した難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維が開示されており、これにより通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度を維持して難燃性が付与されることも開示されている。
しかしながら、特許文献4に記載の難燃性ポリエステル系繊維は、予めポリエステルと臭素含有難燃剤とを溶融混練した組成物を繊維状に成形したものであり、予め成形されたポリエステル繊維に難燃加工を施す方法については未だ検討の余地があった。
特開2000−328445号公報 特開2002−88368号公報 特開2006−299486号公報 特開2005−68576号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ポリエステル繊維に耐久性に優れた難燃性を付与することができ、しかも、ポリエステル繊維製品の風合い硬化を抑制できるポリエステル繊維用難燃加工剤を提供することを目的とする。また、本発明は、風合い硬化がなく、耐久性に優れた難燃性を有するポリエステル繊維製品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、先ず、臭素系難燃加工剤であるトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートがポリエステル繊維への吸尽性に優れ、ポリエステル繊維に耐久性に優れた難燃性を付与でき、環境負荷も低減できることを見出した。
しかしながら、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを吸尽させて難燃性を付与したポリエステル繊維製品は風合い硬化が発生しやすい傾向にあることが見出された。そこで、本発明者らは、さらに鋭意研究を重ねた結果、特定のポリエステル樹脂の存在下で、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを用いてポリエステル繊維を処理することによって、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートのポリエステル繊維への吸尽率が増大してポリエステル繊維の難燃性が向上するとともに、得られた難燃性ポリエステル繊維製品の風合い硬化を抑制することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリエステル繊維用難燃加工剤は、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートおよび、下記式(1):
Figure 0005323593
〔式(1)中、RはHO−基またはHO(RO)−基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、aは1〜200の整数であり、aが2以上の場合にはROは同一であっても異なっていてもよく、ROが2種以上の場合にはランダム付加であってもブロック付加であってもよく、bは2〜100整数であり、一分子中に複数存在するRはそれぞれ独立に水素原子または−SOX基(Xは水素原子、アルカリ金属またはアミンを表す)を表し、一分子中に複数存在するaは同一であっても異なっていてもよく、Rは水素原子または下記式(2):
Figure 0005323593
(式(2)中のRは前記式(1)中のRと同義である)
で表される基を表す〕
で表され、且つ、芳香族ジカルボン酸全体に対してスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸を4モル%以上用いて調製した、重量平均分子量が5,000〜200,000のポリエステル樹脂を含有することを特徴とするものである。
このようなポリエステル繊維用難燃加工剤においては、前記トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートが乳化分散された状態で存在し、且つ前記ポリエステル樹脂が自己乳化分散性ポリエステル樹脂であることが好ましい。また、前記ポリエステル樹脂としては、前記式(1)および(2)中のRが−SOX基であり、前記Xがアルカリ金属であるものが好ましい。
また、本発明のポリエステル繊維製品の製造方法は、本発明のポリエステル繊維用難燃加工剤を用いてポリエステル繊維を処理することを特徴とする方法であり、本発明のポリエステル繊維製品はこのような方法によって製造することができる。
本発明によれば、ポリエステル繊維に耐久性に優れた難燃性を付与することができ、しかも、ポリエステル繊維製品の風合い硬化を抑制できるポリエステル繊維用難燃加工剤の提供が可能となる。また、本発明のポリエステル繊維用難燃加工剤によれば、風合い硬化がなく、耐久性に優れた難燃性を有するポリエステル繊維製品を得ることが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
<ポリエステル繊維用難燃加工剤>
先ず、本発明のポリエステル繊維用難燃加工剤について説明する。本発明のポリエステル繊維用難燃加工剤(以下、単に「難燃加工剤」という)は、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートおよび、後述する式(1)で表され、且つ、重量平均分子量が5,000〜200,000のポリエステル樹脂を含有することを特徴とするものである。このような難燃加工剤においては、通常、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートおよび前記ポリエステル樹脂が水中に乳化分散した状態で安定に存在している。
このような難燃加工剤は、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートがポリエステル繊維の内部に浸透してポリエステル繊維に耐久性に優れた難燃性を付与することが可能となる。特に、前記ポリエステル樹脂の存在下においては、難燃加工処理温度で溶融状態にあるトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートが安定な乳化状態を保持できるため、ポリエステル繊維の内部に浸透し易くなり、吸尽率が増大する傾向にある。その結果、より優れた難燃性を付与することが可能となる。また、得られたポリエステル繊維製品には風合い硬化が発生しない。さらに、難燃加工処理のバッチ間またはポリエステル繊維製品の部位間における難燃性のバラツキを少なくすることも可能となる。
(トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート)
本発明に用いられるトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(以下、「TDBPIC」と略す)としては特に制限はなく、日本化成(株)製「TAIC−6B」、(株)鈴裕化学製「ファイアカットP−660CN」などの市販のTDBPICを使用することができる。
本発明においては、このようなTDBPICを水に乳化分散させた状態で使用する。TDBPICを乳化分散させる場合、前記ポリエステル樹脂を使用することによってTDBPICの凝集を防止し、安定な乳化分散状態を形成することができるが、界面活性剤を使用して乳化分散させてもよい。このような界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、特に制限はなく、例えば、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキル多価アルコールエーテルが挙げられる。また、アニオン系界面活性剤も特に制限はなく、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸塩の硫酸塩類、ポリオキシアルキレンエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキル多価アルコールエーテルリン酸エステル、アルコールリン酸エステルなどのリン酸エステルおよびそれらの塩が挙げられる。塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アミン塩が挙げられ、アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩が挙げられる。また、アミン塩としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミンなどの1級アミンの塩;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアリルアミンなどの2級アミンの塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの3級アミンの塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンの塩が挙げられる。これらの塩のうち、後述するポリエステル樹脂(好ましくは自己乳化分散性ポリエステル樹脂)と併用した場合に、ポリエステル樹脂の乳化分散安定性を向上させるという観点から、アルカリ金属塩が好ましい。
このような非イオン界面活性剤およびアニオン界面活性剤は、1種のものを単独で用いても、2種以上のものを混合して用いてもよい。また、非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を併用することもできる。これらの界面活性剤のうち、特に疎水基として芳香族系の官能基を有する界面活性剤を使用すると、優れた乳化物、分散物が得られることから、スチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物からなる非イオン界面活性剤、スチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物のエステル化反応物からなるアニオン界面活性剤が好ましい。
(ポリエステル樹脂)
本発明に用いられる前記ポリエステル樹脂は、下記式(1):
Figure 0005323593
で表される化合物である。
前記(1)において、RはHO−基またはHO(RO)−基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。前記炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ブチレンが挙げられるが、水に対する溶解度や分散性の観点から、特にエチレン基が好ましい。
aは1〜200の整数であり、1〜150がより好ましい。aが前記上限を超えると、ポリエステル樹脂の粘度が高くなり過ぎて取り扱いが困難となる。aが2以上の場合にはROは同一であっても異なっていてもよく、ROが2種以上の場合にはランダム付加であってもブロック付加であってもよい。
bは2〜100の整数であり、2〜30の整数が好ましい。bが前記下限未満であると、安定した難燃効果が得られにくくなる。他方、前記上限を超えると、ポリエステル樹脂の粘度が高くなり過ぎて取り扱いが困難となる。また、一分子中に複数存在するaは同一であっても異なっていてもよく、一分子中に複数存在するRはそれぞれ独立に水素原子または−SOX基を表し、Xは水素原子、アルカリ金属またはアミンを表す。前記アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウムが挙げられる。また、アミンとしては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミンなどの1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアリルアミンなどの2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの3級アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンが挙げられる。
前記(1)において、Rは水素原子または下記式(2):
Figure 0005323593
で表される基を表す。ここで、前記式(2)中のRは前記式(1)のRと同義である。
このようなポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と、下記式(3):
HO−(RO)−H (3)
で表されるアルキレングリコールとから公知の方法により製造することができる。ここで、前記式(3)中のRおよびaは前記式(1)中のRおよびaと同義である。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、あるいは、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸、スルホフタル酸などのスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸のアルカリ金属塩またはアミン塩などが挙げられ、その誘導体としては、例えば、これらの芳香族ジカルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステルなどの炭素数1〜4のアルキルエステル、これらの芳香族ジカルボン酸のクロライド、無水フタル酸が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸またはその誘導体は、1種を単独で使用することができ、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
また、前記式(3)で表されるアルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、両末端に共に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体またはブロック共重合体が挙げられる。これらのアルキレングリコールは、1種を単独で使用することができ、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
前記式(1)において複数存在するaの値が全て同じポリエステル樹脂は、例えば、Rがエチレンの場合には、前記芳香族ジカルボン酸と一定の分子量のポリエチレングリコールとの脱水を伴うエステル交換反応を行なったり、前記芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルと一定の分子量のポリエチレングリコールとの脱メタノールを伴うエステル交換反応を行なったりすることによって製造することができる。また、前記式(1)中のaが1である繰り返し単位とaが2以上である繰り返し単位とを有するポリエステル樹脂は、前記芳香族ジカルボン酸のジヒドロキシエチルエステルと一定の分子量のポリアルキレングリコールとの脱エチレングリコールを伴うエステル交換反応を行うことによって製造することができる。
本発明に用いられる前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5,000〜200,000であり、10,000〜50,000であることが好ましい。ポリエステル樹脂の重量平均分子量が前記下限未満になると、難燃加工浴中でのTDBPICの乳化分散状態が安定化しにくくなるため、ポリエステル繊維へのTDBPICの斑付き、またはスカムが生じるおそれがあるだけでなく、TDBPICによる風合い硬化を抑制できないおそれがある。他方、前記上限を超えると、ポリエステル樹脂の粘度が高くなり過ぎて取り扱いが困難となる。なお、ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、分子量既知の単分散のポリエチレングリコールを測定標準物質として、ゲル浸透クロマトグラフィーにより求めることができる。
本発明においてポリエステル樹脂はTDBPICの吸尽によるポリエステル繊維の硬化防止・抑制作用を有し、ポリエステル樹脂が乳化分散時に界面活性剤を必要とするものであっても、ポリエステル繊維の風合い硬化の防止には支障はなく、TDBPICの吸尽により難燃性は付与される。しかしながら、界面活性剤にはTDBPICのポリエステル繊維への吸尽率を低下させる傾向があるため、界面活性剤の使用量を抑えるために自己乳化分散性を有するポリエステル樹脂を使用することが好ましく、これによりTDBPICの吸尽による風合い硬化を防止できることに加えて、TDBPICの吸尽率を向上させ、難燃効果を高めることが可能となる。
自己乳化分散性ポリエステル樹脂の乳化分散性は、ポリエステル樹脂中の親水基により得られる。このような自己乳化分散性ポリエステル樹脂は、前記式(1)中に複数存在するRの少なくとも一部が−SOX基となるようにポリエステル樹脂を合成する方法、前記式(1)中に複数存在するRに占めるエチレン基の割合、重合度aおよびbを調整し、適度な親水性を有するポリエステル樹脂を合成する方法などにより得ることができる。親水基としてオキシエチレン基(前記式(1)中のRがエチレン基)を有する自己乳化分散性ポリエステル樹脂は、TDBPICの吸尽率を向上させ、ポリエステル繊維の硬化を抑制するという効果に優れているが、乳化分散状態がより安定化するという観点から、さらにスルホン酸基も有するポリエステル樹脂が好ましい。このようなポリエステル樹脂は、前記ポリエステル樹脂を合成する際に使用する芳香族ジカルボン酸の4モル%以上(より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは50モル%以上)に、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸またはスルホフタル酸などのスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸を使用して調製した前記式(1)中に複数存在するRの少なくとも一部が−SOX基であるポリエステル樹脂である。このようなオキシエチレン基とスルホン酸基をともに有する自己乳化分散性の強いポリエステル樹脂は、TDBPICの乳化分散状態を安定化し、吸尽率を高める作用に特に優れており、風合い硬化が少ないポリエステル繊維製品を得ることが可能となる。なお、前記−SOX基のカウンターカチオンXとしては特に制限はないが、乳化分散状態の安定性が向上するという観点からアルカリ金属が好ましい。
本発明においては、前記ポリエステル樹脂を水中で乳化分散させるために、必要に応じて非イオン界面活性剤またはアニオン界面活性剤を使用することができる。このような非イオン系界面活性剤としては、特に制限はなく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテルが挙げられる。また、アニオン界面活性剤も特に制限はなく、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸エステルおよびその塩が挙げられる。
本発明の難燃加工剤において、前記ポリエステル樹脂の含有量としては特に制限はないが、難燃加工剤の0.1〜20質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。前記ポリエステル樹脂の含有量が前記下限未満になると、難燃加工浴中でのTDBPICの乳化分散状態が安定化しにくくなり、さらにポリエステル繊維製品の風合い硬化を十分に防止できないおそれがあり、他方、前記上限を超えると、ポリエステル樹脂が水を取り込み、増粘してゲル状になるため、取り扱いが困難となるおそれがある。
また、本発明の難燃加工剤において、TDBPICと前記ポリエステル樹脂との配合割合は、TDBPIC100質量部に対して前記ポリエステル樹脂が0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜30質量部であることがより好ましい。前記ポリエステル樹脂の配合量が前記下限未満になると、難燃加工浴中でのTDBPICの乳化分散状態が安定化しにくくなり、ポリエステル繊維へのTDBPICの吸尽率が低下し、さらにポリエステル繊維製品の風合い硬化を十分に防止できない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、難燃加工浴中でのTDBPICの乳化分散状態が安定化しすぎてポリエステル繊維へのTDBPICの吸尽率が低下する傾向にある。
(難燃加工剤の製造方法)
次に、本発明の難燃加工剤の製造方法について説明する。本発明の難燃加工剤の製造方法としては、(i)予め別々に調製したTDBPICの乳化分散物と前記ポリエステル樹脂の乳化分散物とを混合する方法、(ii)予め調製したTDBPICの乳化分散物に前記ポリエステル樹脂を混合する方法、および(iii)予め調製した前記ポリエステル樹脂の乳化分散物中でTDBPICを乳化分散させる方法などが挙げられる。
本発明において、乳化分散状態にあるTDBPICおよび前記ポリエステル樹脂の平均粒径(メジアン径)としては、1.0μm以下が好ましく、0.6μm以下がより好ましい。乳化分散状態にあるTDBPICおよび前記ポリエステル樹脂の平均粒径が前記上限を超えると前記乳化分散物中および前記混合物中におけるTDBPICおよび前記ポリエステル樹脂の乳化分散安定性が低下する傾向にある。また、TDBPICおよび前記ポリエステル樹脂の平均粒径(メジアン径)に加え、これらの90%粒径が1.0μm以下(好ましくは0.8μm以下)になると、さらに安定な乳化分散状態の難燃加工剤をえることができる。
TDBPICまたは前記ポリエステル樹脂の乳化分散方法としては特に制限はないが、前記平均粒径でTDBPICまたは前記ポリエステル樹脂を乳化分散させる場合にはホモミキサーを用いて転相乳化させる方法またはビーズミルを用いて湿式分散させる方法などを適用することが好ましい。ただし、前記ポリエステル樹脂が自己乳化分散性ポリエステル樹脂の場合には、ホモミキサーまたはビーズミルを用いた乳化分散処理を施さなくてもよい。
前記(i)および(ii)の製造方法においては、先ず、TDBPICの乳化分散物を調製する。このとき、前記界面活性剤を用いてTDBPICを水に乳化分散させる。界面活性剤の使用量としては、100質量部のTDBPICに対して0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。界面活性剤の使用量が前記下限未満になると、TDBPICを安定して乳化分散させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、難燃加工処理の際のポリエステル繊維へのTDBPICの吸尽率が低下し、ポリエステル繊維に十分な難燃性を付与できない傾向にある。また、前記(ii)の製造方法において、前記ポリエステル樹脂として自己乳化分散性ポリエステル樹脂を使用するとTDBPICの吸尽率を高めることができる。
前記(i)および(iii)の製造方法においては、先ず、前記ポリエステル樹脂の乳化分散物を調製する。前記ポリエステル樹脂は、TDBPICの吸尽によるポリエステル繊維の硬化を抑制するという効果を有するものであり、必要に応じて前記非イオン界面活性剤または前記アニオン界面活性剤を使用して乳化分散させることができる。このような界面活性剤の使用量としては、前記ポリエステル樹脂100質量部に対して10質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。界面活性剤の使用量が前記上限を超えると、難燃加工処理の際のポリエステル繊維へのTDBPICの吸尽率が低下し、ポリエステル繊維に十分な難燃性を付与できない傾向にある。なお、界面活性剤の使用はTDBPICの吸尽率を低下させる傾向にあることから、前記界面活性剤の使用量はできる限り少ないことが好ましい。また、前記ポリエステル樹脂が自己乳化分散性ポリエステル樹脂の場合には、微量の界面活性剤で、または界面活性剤を使用せずにポリエステル樹脂の乳化分散物を調製することができるため、TDBPICの吸尽率を高めることができる。自己乳化分散性ポリエステル樹脂としては、親水基としてオキシエチレン基を有するものが好ましく、さらにスルホン酸基も有するものが特に好ましい。
また、前記(iii)の製造方法は、前記ポリエステル樹脂の乳化分散物中でTDBPICを乳化分散させる方法であるが、自己乳化分散性ポリエステル樹脂はTDBPICの乳化分散安定性を向上させる機能を有するため、TDBPICの乳化分散を自己乳化分散性ポリエステル樹脂の乳化分散物中で行うことにより、TDBPICを乳化分散させる際に使用する界面活性剤の量を、前記(i)の製造方法においてTDBPICを水に乳化分散させる際に使用する界面活性剤の量の0.5〜0.75倍程度まで低減することができる。すなわち、前記自己乳化分散性ポリエステル樹脂の存在下でTDBPICを乳化分散させる場合には、界面活性剤の使用量を、100質量部のTDBPICに対して、好ましくは0.05〜22.5質量部、より好ましくは0.25〜7.5質量部まで低減することが可能となる。このように、自己乳化分散性ポリエステル樹脂のTDBPICに対する安定化効果を利用し、TDBPICの乳化分散物を自己乳化分散性ポリエステル樹脂の乳化分散物中で得る方法によれば、TDBPIC吸尽の阻害要因となる界面活性剤の使用量を低減することができるため、TDBPICの吸尽率が高いポリエステル繊維を得ることが可能となる。自己乳化分散性ポリエステル樹脂としては、親水基としてオキシエチレン基を有するものが好ましく、さらにスルホン酸基も有するものが特に好ましい。
本発明の難燃加工剤においては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、澱粉などの保護コロイド剤を添加することができる。これにより、難燃加工剤中の各成分の分離、沈降を抑制し、難燃加工剤の乳化分散状態を安定に保つことが可能となる。
<難燃性ポリエステル繊維製品>
本発明の難燃性ポリエステル繊維製品は、本発明の難燃加工剤を用いてポリエステル繊維を処理することによって製造することができる。このように、ポリエステル繊維を本発明の難燃加工剤を用いて処理することによってポリエステル繊維にTDBPICおよび前記ポリエステル樹脂が吸着および/または吸収され、ポリエステル繊維に耐久性に優れた難燃性を付与することができ、しかもポリエステル繊維製品の風合い硬化を抑制することが可能となる。
本発明に用いられるポリエステル繊維としては特に制限はなく、例えば、レギュラーポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、再生ポリエステル繊維、またはこれら2種以上からなるポリエステル繊維との糸、トウ、トップ、カセ、織物、編み物、不織布、ロープが挙げられる。さらに、これらのポリエステル繊維と綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維;レーヨン、アセテートなども半合成繊維;ナイロン、アクリル、ポリアミドなどの合成繊維;炭素、ガラス、セラミックス、アスベスト、金属などの無機繊維;またはこれらの混紡により得られる糸、トウ、トップ、カセ、織物、編み物、不織布、ロープなどが挙げられる。
本発明の難燃性ポリエステル繊維製品において、TDBPICの付着量(吸尽量)は特に制限されないが、ポリエステル繊維に対して0.1〜20%o.w.f.(繊維質量に対する質量%)であることが好ましく、0.2〜15%o.w.f.であることがより好ましく、0.3〜10%o.w.f.であることが特に好ましい。TDBPICの付着量(吸尽量)が前記下限未満になると、十分な難燃効果を得ることができないおそれがある。一方、TDBPICの付着量が多くなるにつれて難燃効果は強くなるが、前記上限を超えると、風合が著しく硬化したり、発粉を引き起こしたりする傾向にある。
また、前記ポリエステル樹脂の使用量は特に制限されないが、ポリエステル繊維に対して1〜10%o.w.f.であることが好ましく、2〜8%o.w.f.であることがより好ましい。前記ポリエステル樹脂の使用量が前記下限未満になると、ポリエステル繊維製品の風合い硬化が十分に防止できないおそれがある。一方、前記ポリエステル樹脂の使用量が多くなるにつれて風合い硬化の防止効果は強くなるが、前記上限を超えると、風合が柔らかくなり過ぎたり、発粉を引き起こしたりする傾向にある。
本発明の難燃加工剤を用いてポリエステル繊維に難燃加工処理を施す方法としては特に制限はないが、例えば、高圧吸尽法や、パディング法、スプレー法、コーティング法、プリント法などのサーモゾル法が挙げられる。
高圧吸尽法により難燃加工処理を施す場合には、本発明の難燃加工剤を含有する難燃加工処理液にポリエステル繊維を通常110〜150℃で、好ましくは120〜140℃で20〜60分程度浸漬して、難燃加工剤をポリエステル繊維に吸着および/または吸収させればよい。難燃加工処理温度が前記下限未満になると、TDBPICが溶融しにくくなり、難燃加工剤が十分にポリエステル繊維に吸着および/または吸収されず、ポリエステル繊維に難燃性を十分に付与できない傾向にある。他方、前記上限を超えると、ポリエステル繊維の変色や脆化が発生する傾向にある。また、本発明の難燃加工剤と分散染料や蛍光染料を含有する処理液を調製して、難燃加工処理と染色処理とを同時に実施することもできる。高圧吸尽法に使用する設備としては、液流染色機、ビーム染色機、チーズ染色機などが挙げられる。
サーモゾル法により難燃加工処理を施す場合には、ポリエステル繊維にパディング、スプレー、コーティングまたはプリントにより本発明の難燃加工剤を付着させた後、乾熱処理や、飽和常圧スチーム処理、加熱スチーム処理、高圧スチーム処理などの蒸熱処理を施すことにより、難燃加工剤をポリエステル繊維に吸着および/または吸収させることができる。乾熱処理および蒸熱処理の温度は、通常110〜210℃であり、好ましくは160〜210℃である。乾熱処理および蒸熱処理の温度が前記下限未満になると、TDBPICが溶融しにくくなり、難燃加工剤が十分にポリエステル繊維に吸着および/または吸収されず、ポリエステル繊維に難燃性を十分に付与できない傾向にある。他方、前記上限を超えると、ポリエステル繊維の変色や脆化が発生する傾向にある。
スプレー法において使用するスプレーとしては、例えば、圧搾空気により難燃加工処理液を霧状にして吹き付けるエアースプレー、液圧霧化方式のエアースプレーが挙げられる。コーティング法において使用するコーターとしては、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、カーテンコーター、カレンダーコーターが挙げられる。プリント法において使用する捺染機としては、例えば、ローラー捺染機、フラットスクリーン捺染機、ロータリースクリーン捺染機が挙げられる。
また、コーティング法により難燃加工処理を施す場合には、本発明の難燃加工剤を含有する難燃加工処理液にアニオン界面活性剤または非イオン界面活性剤からなる起泡剤を添加して泡状の処理液を調製してポリエステル繊維に付着させる泡加工コーティング法、本発明の難燃加工剤を含有する難燃加工処理液に粘度調整剤を添加して加工に適した粘度に調整した処理液を使用するコーティング法などを適用することができる。
なお、泡加工コーティング法によれば、難燃加工剤の必要量をポリエステル繊維に付着させることができ、難燃加工処理液を全量無駄なく使用することができため、乾燥に要するエネルギーおよび時間を大幅に短縮できるが、起泡剤の作用により難燃加工剤の吸尽率が低下するおそれがあるため、起泡剤の使用量を必要最低限に抑えることが重要である。 前記粘度調整剤としては特に制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、プロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ザンタンガム、デンプン糊が挙げられる。
また、本発明の難燃性ポリエステル繊維製品の製造方法においては、難燃加工処理を施した後に、通常の公知の方法によってポリエステル繊維のソーピング処理を行い、ポリエステル繊維に浸透または固着せずに表面に付着しているだけのTDBPICを除去することが好ましい。このようなソーピング処理に用いられる洗浄剤としては、通常のアニオン系、非イオン系、両性系の界面活性剤およびこれらが配合された洗剤が挙げられる。
さらに、本発明の難燃性ポリエステル繊維製品の製造方法においては、従来から用いられている他の繊維用加工剤を、難燃性および風合い硬化の防止効果を損なわない程度に難燃加工剤と併用することもできる。このような繊維用加工剤としては、例えば、帯電防止剤、撥水撥油剤、防汚剤、硬仕上剤、風合調整剤、柔軟剤、抗菌剤、吸水剤、スリップ防止剤、耐光堅牢度向上剤が挙げられる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、ポリエステル樹脂の重量平均分子量の測定、ポリエステル繊維製品の難燃性、風合い、摩擦堅牢度、耐光堅牢度の評価、難燃成分の吸尽率、難燃加工剤の平均粒径および90%粒径の測定、および乳化分散状態の難燃加工剤の外観観察については以下の方法により実施した。
(1)重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製の高速GPC「HLC−8120型」、測定標準物質:ポリエチレングリコール)を用いて測定した。
(2)難燃性
水洗い洗濯前の試料として、得られた難燃性ポリエステル繊維製品をそのまま用いた。また、水洗い洗濯後の試料として、JIS L 1091:1999に記載された方法に従い、得られた難燃性ポリエステル繊維製品を5回水洗い洗濯したもの用いた。さらに、ドライクリーニング後の試料として、JIS L 1018:1999に記載された方法に従って、得られた難燃性ポリエステル繊維製品を5回ドライクリーニングしたものを用いた。これらの試料を用いて、以下の方法によりポリエステル繊維の難燃性を評価した。
(i)45゜ミクロバーナー法
JIS L 1091:1999に記載されているA−1法を用いて、残炎時間と燃焼面積を測定した。なお、残炎時間が3秒以内且つ燃焼面積が30cm以下である場合を合格と判定し、それ以外の場合を不合格と判定した。
(ii)コイル法(接炎試験)
JIS L 1091:1999に記載されているD法を用いて、接炎回数を測定した。なお、接炎回数が3回以上である場合を合格と判定し、それ以外の場合を不合格と判定した。
(3)風合い
実施例および比較例で使用したポリエステル未加工布の風合いを10(柔軟)、実施例および比較例で得られた難燃性ポリエステル繊維製品のうち、最も硬い風合いを1(強硬)として、各難燃性ポリエステル繊維製品の風合いを10段階で評価した。
(4)摩擦堅牢度
JIS L 0849:2004に記載されている摩擦に対する染色堅牢度試験方法に準じて、これに規定されている摩擦試験機II形(学振形)に準拠した装置を用い、荷重200gにて100回擦り、級数を判定した。
(5)耐光堅牢度
カーボンフェード・オ・メータを用いて63℃、40時間で処理し、級数を判定した。
(6)難燃成分の吸尽率
先ず、TDBPICの6質量%分散液を調製し、これをパディングにより目付220g/mの横糸原着レギュラーポリエステル100質量%未染色布に載せ、ピックアップ率60%で絞り、前記未染色布にTDBPICを3.6%o.w.f.の割合で塗布した。これを130℃で2分間乾燥し、さらに170℃で1分間のキュアを施した。このパディング処理によりポリエステル繊維製品に吸尽されたTDBPIC中のBrに起因する蛍光X線強度Iを、蛍光X線分析装置(SPECTRO Analytical instrument社製)を用いて測定した。
次に、実施例および比較例で得られた難燃性ポリエステル繊維製品についてBrに起因する蛍光X線強度Iを前記蛍光X線分析装置を用いて測定し、前記難燃性ポリエステル繊維製品に吸尽された難燃成分量MFR(単位:%o.w.f.)を下記式(i):
FR=3.6×I/I (i)
により求め、さらに、難燃加工処理液(難燃・染色加工処理液)中の難燃成分が100%吸尽された場合の量を理論吸尽量MFR0(単位:%o.w.f.)として、難燃成分の吸尽率を下記式(ii):
難燃成分の吸尽率(%)=MFR/MFR0×100 (ii)
により求めた。
ただし、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)はBrを含有しないため、比較例においては、難燃性ポリエステル繊維製品に吸尽された難燃成分量MFR(単位:%o.w.f.)を下記式(iii):
FR=[(WR1−WR0)/WR0−(W−W)/W]×100 (ii)
(式中、WR1は難燃・染色加工処理液による処理後の繊維製品の質量を表し、WR0は難燃・染色加工処理液による処理前の繊維製品の質量を表し、Wは難燃加工剤を含まない染色加工処理液による処理後の繊維製品の質量を表し、Wは難燃加工剤を含まない染色加工処理液による処理前の繊維製品の質量を表す)
により求め、前記式(ii)により難燃成分の吸尽率を求めた。
(7)平均粒径、90%粒径および外観
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製「LA−920」)を用いて難燃加工剤の積算体積粒度分布を測定し、積算体積が小粒径側から50%となる粒子径および90%となる粒子径を求め、それぞれ平均粒径(d50)および90%粒径(d90)とした。また、乳化分散状態の難燃加工剤の外観を目視により観察した。
(調製例1)
攪拌機、温度計、メタノール流出管、精留管を備えた反応容器に、テレフタル酸ジメチル77.6g(0.4モル)、イソフタル酸ジメチル19.4g(0.1モル)、ポリエチレングリコール(平均分子量:3100)387.5g(0.125モル)、モノエチレングリコール68.2g(1.1モル)および三酸化アンチモン0.1g、酢酸亜鉛0.1gを仕込み、Nガスを通入した。次に、この混合物を130℃に加熱した後、130℃から180℃まで2時間かけてゆっくり昇温してエステル交換反応を行った。メタノールの流出は140℃より始まった。さらに、180℃から250℃まで2時間かけてゆっくり昇温した後、Nガスの通入を停止した。その後、減圧して0.7kPaの圧力下、250〜260℃で2時間反応させた後、さらに減圧して0.3kPaの圧力下、260℃で30分間反応させてエステル交換反応を行い、ポリエステル樹脂500gを得た。このポリエステル樹脂の重量平均分子量は、36,000であった。次に、このポリエステル樹脂100gを、N,N−ジメチルホルムアミド50gに溶解した後、熱水850gを加えて乳化させて、自己乳化分散性ポリエステル樹脂液A(ポリエステル樹脂濃度:10質量%)を得た。
(調製例2)
攪拌機、温度計、メタノール流出管、精留管を備えた反応容器に、テレフタル酸ジメチル87.3g(0.45モル)、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩14.8g(0.05モル)、ポリエチレングリコール(平均分子量:3100)310g(0.1モル)、モノエチレングリコール68.2g(1.1モル)および三酸化アンチモン0.1g、酢酸亜鉛0.1gを仕込み、Nガスを通入した。その後、調製例1と同様にしてエステル交換反応を行い、ポリエステル樹脂425gを得た。このポリエステル樹脂の重量平均分子量は、15,000であった。次に、このポリエステル樹脂100gを、N,N−ジメチルホルムアミド50gに溶解した後、熱水850gを加えて乳化させて、自己乳化分散性ポリエステル樹脂液B(ポリエステル樹脂濃度:10質量%)を得た。
(調製例3)
攪拌機、温度計、メタノール流出管、精留管を備えた反応容器に、テレフタル酸ジメチル67.9g(0.35モル)、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩118.4g(0.4モル)、イソフタル酸ジメチル29.1g(0.15モル)、ポリエチレングリコール(平均分子量:1000)200g(0.2モル)、モノエチレングリコール136.4g(2.2モル)および三酸化アンチモン0.1g、酢酸亜鉛0.1gを仕込み、N2ガスを通入した。その後、調製例1と同様にしてエステル交換反応を行い、ポリエステル樹脂900gを得た。このポリエステル樹脂の重量平均分子量は、24,000であった。次に、このポリエステル樹脂100gを、N,N−ジメチルホルムアミド50gに溶解した後、熱水850gを加えて乳化させて、自己乳化分散性ポリエステル樹脂液C(ポリエステル樹脂濃度:10質量%)を得た。
(調製例4)
テレフタル酸ジメチル97gの仕込み量を(0.5モル)、イソフタル酸ジメチルの仕込み量を97g(0.5モル)、ポリエチレングリコール(平均分子量:1000)の仕込み量を100g(0.1モル)に変更した以外は調製例1と同様にしてポリエステル樹脂400gを得た。このポリエステル樹脂の重量平均分子量は、2,500であった。次に、このポリエステル樹脂100gを、N,N−ジメチルホルムアミド50gに溶解した後、熱水850gを加えて乳化させて、比較用の自己乳化分散性ポリエステル樹脂液D(ポリエステル樹脂濃度:10質量%)を得た。
比較例1
TDBPIC(40質量部)を、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド20モル付加物(3質量部)、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルアンモニウム塩の50質量%水溶液(2質量部)、水(35質量部)と混合し、マイルダーを用いて予備分散させた後、ビーズミルを用いて乳化分散処理を施してTDBPICの乳化分散液を得た。これに、調製例1で得た自己乳化分散性ポリエステル樹脂液A(20質量部)を添加して難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤の配合比を表1に示す。
次に、前記難燃加工剤を12%o.w.f.の割合で、および分散染料(C.I.Disperse Blue 56)を1%o.w.f.の割合で、分散均染剤(日華化学(株)製「ニッカサンソルトRM−340E」)を0.5g/Lで、80質量%酢酸を0.3mL/Lで含有する難燃・染色加工処理液を調製した。
次に、目付220g/mの横糸原着レギュラーポリエステル100質量%未染色布に、ミニカラー染色機((株)テクサム技研製)を使用して、前記難燃・染色加工処理液を仕込んだ染色浴で、浴比1:15、温度130℃の条件で30分間難燃・染色加工処理を施した。この難燃処理後のポリエステル布に、ソーピング剤(日華化学(株)製「エスクードFRN」)2g/L、苛性ソーダ1g/Lを含有する水溶液を用いて、80℃で20分間ソーピング処理を施し、170℃で1分間乾燥して難燃性ポリエステル繊維製品を得た。
この難燃性ポリエステル繊維製品の難燃性の評価結果を表2に、難燃加工剤の平均粒径および90%粒径の測定結果、外観観察結果、難燃成分の吸尽率の測定結果、ならびに難燃性ポリエステル繊維製品の風合い、摩擦堅牢度および耐光堅牢度の評価結果を表3に示す。
(実施例
TDBPIC(40質量部)を、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルアンモニウム塩の50質量%水溶液(8質量部)、水32質量部と混合し、マイルダーを用いて予備分散させた後、ビーズミルを用いて乳化分散処理を施してTDBPICの乳化分散液を得た。これに、調製例2で得た自己乳化分散性ポリエステル樹脂液B(20質量部)を添加して難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤の配合比を表1に示す。次に、この難燃加工剤を用いた以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(実施例
表1に示すように、自己乳化分散性ポリエステル樹脂液Bの代わりに調製例3で得た自己乳化分散性ポリエステル樹脂液C(20質量部)を用いた以外は実施例と同様にして難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤を用いた以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(実施例
TDBPIC(40質量部)を、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルアンモニウム塩の50質量%水溶液(8質量部)、調製例2で得た自己乳化分散性ポリエステル樹脂液B(20質量部)、水(32質量部)と混合し、マイルダーを用いて予備分散させた後、ビーズミルを用いて乳化分散処理を施して難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤の配合比を表1に示す。次に、この難燃加工剤を用いた以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(実施例
表1に示すように、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルアンモニウム塩の50質量%水溶液の量を5質量部、水の量を35質量部に変更した以外は実施例と同様にして難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤を用いた以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(実施例
表1に示すように、調製例2で得た自己乳化分散性ポリエステル樹脂液Bの量を50質量部、水の量を5質量部に変更した以外は実施例と同様にして難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤を用いた以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(実施例
表1に示すように、自己乳化分散性ポリエステル樹脂液Bの代わりに調製例3で得た自己乳化分散性ポリエステル樹脂液C(50質量部)用いた以外は実施例と同様にして難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤を用いた以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(比較例
表1に示すように、自己乳化分散性ポリエステル樹脂液Aの代わりに水(20質量部)を添加した以外は比較例1と同様にして難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤を用いた以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(比較例
表1に示すように、自己乳化分散性ポリエステル樹脂液Aの代わりに調製例4で得た比較用自己乳化分散性ポリエステル樹脂液D(20質量部)を用いた以外は比較例1と同様にして難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤を用いた以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(比較例
HBCD(40質量部)を、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルアンモニウム塩の50質量%水溶液(10質量部)、水(50質量部)と混合し、マイルダーを用いて予備分散させた後、ビーズミルを用いて乳化分散処理を施して難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤の配合比を表1に示す。次に、この難燃加工剤を用いた以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(比較例
レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)〔下記式(4):
Figure 0005323593
においてt=1とt=2の混合物〕(50質量部)を、ポリオキシエチレン(10モル付加)トリスチリルフェニルエーテルホスフェートアンモニア塩の50質量%水溶液(16質量部)、水(34質量部)と混合し、マイルダーを用いて予備分散させた後、ビーズミルを用いて乳化分散処理を施して難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤の配合比を表1に示す。次に、この難燃加工剤を用いた以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(比較例
TDBPIC(40質量部)を、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルアンモニウム塩の50質量%水溶液(30質量部)、水(30質量部)と混合し、マイルダーを用いて予備分散させた後、ビーズミルを用いて乳化分散処理を施して難燃加工剤を調製した。この難燃加工剤を15%o.w.f.の割合で使用した以外は比較例1と同様にして難燃性ポリエステル繊維製品を得た。この難燃性ポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
(比較例
難燃加工剤を使用しなかった以外は比較例1と同様にして染色加工処理のみを施したポリエステル繊維製品を得た。このポリエステル繊維製品について比較例1と同様にして測定および評価した結果を表2〜3に示す。
Figure 0005323593
Figure 0005323593
Figure 0005323593
表2に示した結果から明らかなように、TDBPICと自己乳化分散性ポリエステル樹脂を含有する本発明の難燃加工剤を、染料を含む染色浴と同一浴で処理せしめた難燃性ポリエステル繊維(実施例1〜6)は、難燃加工剤を用いなかった場合(比較例)および難燃加工剤としてリン化合物を用いた場合(比較例)に比べて、水洗い洗濯前、水洗い洗濯後およびドライクリーニング後のいずれにおいても良好な難燃効果が確認された。従って、本発明の難燃加工剤を用いてポリエステル繊維を処理することによって、ポリエステル繊維に耐久性に優れた難燃性を付与できることが確認された。特に、実施例2〜6で得た難燃性ポリエステル繊維は、難燃加工剤としてHBCDを用いた場合(比較例)に匹敵する難燃効果が得られることが確認された。
さらに、実施例1、2を比較すると、自己乳化分散性ポリエステル樹脂中のスルホン酸基の割合が多いほどポリエステル繊維の難燃性が向上することが確認された。また、実施例1、4を比較すると、界面活性剤の量が少ないほどポリエステル繊維の難燃性が向上することが確認された。
表3に示した結果から明らかなように、本発明の難燃加工剤(実施例1〜6)は自己乳化分散性ポリエステル樹脂および界面活性剤の使用量にかかわらず、いずれも平均粒径が0.4〜0.5μmの白色液状の乳化分散物であり、これは同様の条件で乳化分散させた比較例のHBCDの平均粒径および外観と同等であった。また、本発明にかかるTDBPIC(実施例1〜6および比較例1〜3)は、HBCD(比較例)およびRDP(比較例)に比べてポリエステル繊維に対する吸尽性が高いことが確認された。また、自己乳化分散性ポリエステル樹脂の存在下でTDBPICを用いて難燃加工処理を施した場合(比較例1、3)には、自己乳化分散性ポリエステル樹脂を用いなかった場合(比較例)に比べて、TDBPICの吸尽率が増大し、さらに、所定の重量平均分子量を有する自己乳化分散性ポリエステル樹脂を用いた場合(比較例1)には、重量平均分子量が小さい自己乳化分散性ポリエステル樹脂を用いた場合(比較例)に比べて、TDBPICの吸尽率が増大することが確認された。このように、難燃成分の吸尽率を増大させることによって、優れた難燃効果をポリエステル繊維に付与することが可能となる。また、難燃加工処理終了時に浴中に残存するTDBPIC量が相対的に低下することから、排水とともに環境へ排出されるハロゲン量を低減することが可能となる。
また自己乳化分散性ポリエステル樹脂を使用せずにTDBPICを吸尽させた場合(比較例2、6)や低分子量の自己乳化分散性ポリエステル樹脂を用いてTDBPICを吸尽させた場合(比較例)には難燃性ポリエステル繊維製品の風合いは硬化したが、本発明にかかる自己乳化分散性ポリエステル樹脂を用いてTDBPICを吸尽させた場合(実施例1〜6)には風合い硬化が発生しにくい傾向にあった。すなわち、本発明の難燃加工剤を用いてポリエステル繊維を処理することによって、難燃性ポリエステル繊維製品の風合い硬化を抑制できることが確認された。なお、本発明にかかる自己乳化分散性ポリエステル樹脂を使用しても摩擦堅牢度、耐光堅牢度に影響しないことも確認された。
<難燃加工処理浴の安定性>
実施例1〜6および比較例1〜6で調製した難燃加工剤を15%o.w.f.の割合で、分散染料(BLACK BL−2001)を8%o.w.f.の割合で、分散均染剤(日華化学(株)製「ニッカサンソルトRM−340E」)を0.5g/Lで、80質量%酢酸を0.5mL/Lで含有する難燃・染色加工処理液を調製した。
この難燃・染色加工処理液をカラーペット(日本染色機械(株)製)のポットに仕込み、ホルダーにポリエステル加工糸ニットを巻きつけて両端を輪ゴムで止めたものを浸漬して、130℃まで急速に昇温し、直ちに冷却した。その後、ニットを水洗して乾燥した。
(A)難燃加工処理浴の安定性
得られたニットについて、染料の凝集および難燃成分の発粉により生成したケーシングスポットの量を測定し、下記の基準で難燃加工処理浴の安定性(分散性)を判定した。その結果を表4に示す。
1:多量のケーシングスポットあり。
2:中程度のケーシングスポットあり。
3:少量のケーシングスポットあり。
4:極微量のケーシングスポットあり。
5:ケーシングスポットなし。
(B)風合い
未加工のポリエステル加工糸ニットの風合いを10(柔軟)、得られたニットのうち、最も硬い風合いを1(強硬)として、各難燃性ポリエステル繊維製品の風合いを10段階で評価した。その結果を表4に示す。
Figure 0005323593
表4に示した結果から明らかなように、TDBPICと自己乳化分散性ポリエステル樹脂を含有する本発明の難燃加工剤を、染料を含む染色浴と同一浴で処理せしめた難燃性ポリエステル繊維(実施例1〜6)は、風合い硬化が十分に抑制されており、自己乳化分散性ポリエステル樹脂を使用しなかった場合(比較例)に比べて柔軟性があり、HBCDを用いた場合(比較例)に比べて遜色のない風合いを示した。
スルホン酸基が導入されていない自己乳化分散性ポリエステル樹脂を用いた場合(比較例1)の難燃加工処理浴の安定性は、自己乳化分散性ポリエステル樹脂を使用しなかった場合(比較例)と同等であった。一方、スルホン酸基を有する自己乳化分散性ポリエステル樹脂を用いた場合(実施例1〜6)には、比較例1および比較例に比べて、ケーシングスポットの発生が抑制され、難燃加工処理浴が安定していることが確認された。なお、自己乳化分散性ポリエステル樹脂を使用せずに界面活性剤の使用量を増加させた場合(比較例)には、難燃加工処理浴の安定性は向上したが、風合いはわずかに柔らかくなる程度であった。
以上説明したように、本発明によれば、難燃成分としてTDBPICを含有する難燃加工剤をポリエステル繊維に十分に吸尽されることができ、ポリエステル繊維に耐久性に優れた難燃性を付与することが可能となる。しかも、ポリエステル繊維製品の風合い硬化の抑制も可能となる。したがって、TDBPICと特定のポリエステル樹脂を含有する本発明の難燃加工剤は、従来の難燃加工剤であるHBCDに代わるものとして有用である。
また、本発明の難燃加工剤を用いて難燃性ポリエステル繊維を製造すると、TDBPICの吸尽性の向上により、難燃加工処理浴中のTDBPICの残存濃度が減少するため、排水として環境に流出するハロゲン量の低減が可能となる。したがって、本発明の難燃性ポリエステル繊維の製造方法は、環境保護やエコロジーに対応した製造方法として有用である。

Claims (5)

  1. トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートおよび、下記式(1):
    Figure 0005323593
    〔式(1)中、RはHO−基またはHO(RO)−基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、aは1〜200の整数であり、aが2以上の場合にはROは同一であっても異なっていてもよく、ROが2種以上の場合にはランダム付加であってもブロック付加であってもよく、bは2〜100整数であり、一分子中に複数存在するRはそれぞれ独立に水素原子または−SOX基(Xは水素原子、アルカリ金属またはアミンを表す)を表し、一分子中に複数存在するaは同一であっても異なっていてもよく、Rは水素原子または下記式(2):
    Figure 0005323593
    (式(2)中のRは前記式(1)中のRと同義である)
    で表される基を表す〕
    で表され、且つ、芳香族ジカルボン酸全体に対してスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸を4モル%以上用いて調製した、重量平均分子量が5,000〜200,000のポリエステル樹脂を含有することを特徴とするポリエステル繊維用難燃加工剤。
  2. 前記トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートが乳化分散された状態で存在し、且つ前記ポリエステル樹脂が自己乳化分散性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル繊維用難燃加工剤。
  3. 前記式(1)および(2)中のRが−SOX基であり、前記Xがアルカリ金属であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル繊維用難燃加工剤。
  4. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のポリエステル繊維用難燃加工剤を用いてポリエステル繊維を処理することを特徴とする難燃性ポリエステル繊維製品の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法により得られたものであることを特徴とする難燃性ポリエステル繊維製品。
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