JP5357733B2 - 赤外線式ガス検知器 - Google Patents

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Description

本発明は、赤外線式ガス検知器に関するものである。
従来より、赤外線を放射する赤外光源と、当該赤外光源から放射される赤外線のうちで検出対象ガスが吸収する波長の赤外線のみを通過させる赤外線光学フィルタを介して赤外線を受光して、当該受光した赤外線量に対応したレベルの検出信号を出力する受光素子とを備えたガスセンサ装置がある(例えば、特許文献1,2参照)。
赤外光源は、半導体基板の一面に保持層を形成し、保持層に発熱体(フィラメント)を積層することで構成されており、発熱体に所定間隔でパルス電圧を印加して間欠通電させることによって、発熱した発熱体から赤外線が間欠的に放射される。
また、受光素子には焦電素子が用いられており、焦電素子は、赤外光線から受光した赤外線を光エネルギとして吸収し、その結果生じる電荷量の変化(焦電効果)を検出するいわゆる微分型の検出素子であり、受光した赤外線量の変化に応じた電流を出力する。
特開平9−79980号公報 特開2005−207891号公報
近年、赤外光源の駆動電力の低減のために、発熱体に印加するパルス電圧のパルス幅を短くすることが提案されているが、検知出力におけるS/N比が低下するという課題が生じていた。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、赤外光源の駆動電力の低減、検知出力のS/N比の向上を両立させることを可能とした赤外線式ガス検知器を提供することにある。
請求項1の発明は、半導体基板、前記半導体基板の一面に形成された薄膜状の保持層、前記半導体基板および前記保持層の一面によって囲まれた空間からなる気体層、前記保持層の他面に形成され通電されることによる発熱によって赤外線を放射する発熱体を具備する赤外光源と、前記発熱体を間欠に通電させる駆動回路と、前記赤外光源から所定空間内に放射された赤外線のうち、検出対象ガスに応じた所望の波長の赤外線を選択的に透過させる赤外線光学フィルタと、前記赤外線光学フィルタを介して受光した赤外線量の時間変化に応じた電気量を発生する微分型の受光素子と、前記受光素子が発生した電気量を所定空間内における前記検出対象ガスの量に応じた検出信号に変換する信号処理回路とを備え、前記赤外光源への通電がオフされてから次に通電が開始されるまでの非通電時において前記赤外光源が放射する赤外線量は低周波で減少し、この非通電時において前記赤外光源が放射する赤外線量の時間変化の周波数成分に対する前記信号処理回路のゲインは、当該周波数成分より高い周波数領域に対する前記信号処理回路のゲインより大きいことを特徴とする。
この発明によれば、発熱体の短パルス駆動によって、赤外光源の駆動電力の低減が可能となる。さらに赤外光源に気体層を設けることで、発熱体の昇温時における断熱性が向上するので、短パルス駆動でも、通電後の非通電時に放射される赤外線量を充分に確保でき、低周波で減少する赤外線を利用した低周波応答が可能となる。さらに、信号処理回路は、受光素子が発生する低周波の電気量に対して変換インピーダンス(ゲイン)の高い領域で動作し、検知出力は高いS/N比を得ることができる。すなわち、赤外光源の駆動電力の低減、検知出力のS/N比の向上を両立させることができる。
請求項2の発明は、請求項1において、前記受光素子は、前記赤外線光学フィルタを介して受光した赤外線量の時間変化に応じた電流を発生し、前記信号処理回路は、受光素子が発生した電流を容量性素子に充電することによって電圧に変換する電流電圧変換手段と、電流電圧変換手段の出力電圧を増幅する増幅手段とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、電流電圧変換手段は、受光素子が出力する低周波の電流信号に対して変換インピーダンス(ゲイン)の高い領域で動作し、出力電圧は高いS/N比を得ることができる。
請求項3の発明は、請求項2において、前記容量性素子の充電電荷を放電させるリセット手段を備えることを特徴とする。
この発明によれば、電流電圧変換手段は連続動作が可能となる。
請求項4の発明は、請求項2において、前記電流電圧変換手段は、反転入力端子に前記受光素子が接続され非反転入力端子に基準電圧源が接続された演算増幅器と、演算増幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続した容量性素子と、演算増幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続した直流帰還回路と抵抗との直列回路とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、電流電圧変換手段は、帰還回路時定数に応じた時間を要して動作点に戻り、連続動作が可能となる。
請求項5の発明は、請求項4において、前記直流帰還回路と抵抗との直列回路は、前記通電後の非通電時に赤外光源が放射する赤外線量の時間変化の周波数成分が低いほど大きい抵抗値を有することを特徴とする。
この発明によれば、赤外光源から通電後の非通電時に放射されて低周波で減少する赤外線に対して、電流電圧変換手段の出力電圧はより高いS/N比を得ることができる。
請求項6の発明は、請求項5において、前記抵抗は、スイッチトキャパシタで構成されることを特徴とする。
この発明によれば、抵抗値のばらつき、温度変化を小さくし、さらには熱雑音を抑制できて、電流電圧変換手段の出力電圧はS/N比がさらに向上する。
請求項7の発明は、請求項4乃至6いずれかにおいて、前記演算増幅器の非反転入力端子に接続された基準電圧源は、受光素子の基準電圧源を兼用することを特徴とする。
この発明によれば、基準電圧源によるノイズを相殺でき、電流電圧変換手段の出力電圧はS/N比がさらに向上する。
請求項8の発明は、請求項4乃至7いずれかにおいて、前記抵抗に並列接続して、抵抗両端の電位差を制限するリミッタ回路を備えることを特徴とする。
この発明によれば、電源投入から回路動作が安定するまでの間(回路安定時間)や、回路動作中に大きな外来ノイズが印加された場合等に動作点が飽和してしまうことを防止し、ガス検知動作を行うことができない不感状態の発生を防止できる。
請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、前記駆動回路は、前記発熱体を間欠に通電させるパルス幅を、前記赤外光源の熱時定数と略同一に設定することを特徴とする。
この発明によれば、低消費電力とS/N比の向上を両立させることができる。
請求項10の発明は、請求項9において、前記駆動回路は、前記発熱体を間欠に通電させるパルス幅を、前記発熱体の温度を所定値まで上昇させる期間と、発熱体の温度を所定値に維持する期間とで構成することを特徴とする。
この発明によれば、低消費電力とS/N比の向上をさらに両立させることができる。
請求項11の発明は、請求項1乃至10いずれかにおいて、前記駆動回路は、前記発熱体の1回の通電時に、複数回のバースト信号で発熱体を駆動することを特徴とする。
この発明によれば、高S/N比を実現することができる。
以上説明したように、本発明では、赤外光源の駆動電力の低減、検知出力のS/N比の向上を両立させることができるという効果がある。
実施形態1の赤外線式ガス検知器の構成を示す図である。 (a)(b)同上のパルス電圧の波形、赤外線量の波形を各々示す図である。 同上の信号処理回路の回路構成を示す図である。 同上の変換インピーダンスの周波数特性を示す図である。 (a)(b)同上の受光素子の電流信号波形、増幅回路の電圧信号波形を各々示す図である。 同上の信号処理回路の別の回路構成を示す図である。 (a)(b)同上の受光素子の電流信号波形、増幅回路の電圧信号波形を各々示す図である。 実施形態2の信号処理回路の回路構成を示す図である。 同上の変換インピーダンスの周波数特性を示す図である。 (a)(b)同上の受光素子の電流信号波形、増幅回路の電圧信号波形を各々示す図である。 (a)(b)同上のスイッチトキャパシタの構成を示す図である。 同上の信号処理回路の別の回路構成を示す図である。 実施形態3の信号処理回路の回路構成を示す図である。 同上のリミッタ回路の回路構成を示す図である。 (a)〜(d)実施形態4の短パルス駆動を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の赤外線式ガス検知器は、図1に示すように、図示しないガス封入ケース内等の所定空間Zへ赤外線を放射する赤外光源1と、所定空間Zを透過した赤外線を受光する赤外線受光ユニット2と、赤外光源1から所定空間Zへ放射された赤外線が赤外線受光ユニット2で受光されるように赤外線を反射する2つの反射鏡3と、赤外光源1の赤外線出力(放射量、放射時間など)を制御する駆動部4とを備えており、検知対象ガスの分子構造から決定する吸収波長の赤外線の吸光度を計測することにより、所定空間Zにおける検知対象ガスの濃度を計測するものである。
赤外光源1は、上面に凹部1hを設けた半導体基板1aと、半導体基板1aの凹部1hの開口に形成された薄膜状の保持層1bと、半導体基板1aの凹部1hおよび保持層1bの下面によって囲まれた空間からなる気体層1cと、保持層1bの上面に積層され、通電による発熱によって赤外線を放射する発熱体1dと、上記各部を収納するパッケージ1eと、発熱体1d上に形成される通電用の一対の電極(図示無し)からパッケージ1e外に突出した一対の端子ピン1f,1fと、パッケージ1eの発熱体1dに対向する箇所に設けられて、発熱体1dが放射する赤外線をパッケージ1e外に透過させるシリコンレンズ1gとを備えている。
半導体基板1aは、単結晶のシリコン基板が用いられており、その上面の所定の領域をフッ化水素水溶液中で陽極酸化することにより多孔度が70%の多孔質シリコン層(ポーラスシリコン層)からなる略矩形状の保持層1bが形成されている。発熱体1dは、TaNまたはTiNで形成されるが、他の窒化金属や炭化金属で形成してもよい。
そして、赤外光源1は、一対の端子ピン1fを介して発熱体1dに電圧が印加されると、発熱体1dが昇温し、発熱体1dの温度が上昇するにつれて発熱体1aから放射される赤外線の量も増加する。次に、発熱体1aの印加電圧がオフされると、発熱体1dが降温し、発熱体1dの温度が低下するにつれて発熱体1aから放射される赤外線の量も減少し、赤外線の放射を停止する。本実施形態では、駆動部4が一対の端子ピン1fにパルス電圧を一定の時間間隔で出力することで、発熱体1dにパルス電圧を周期的に印加して通電している。すなわち、発熱体1dは、赤外線の放射と停止とを周期的に繰り返している。
さらに、本実施形態では、半導体基板1aの凹部および保持層1bの下面によって囲まれた気体層1cが形成されており、気体層1cは、発熱体1aにパルス電圧が印加されて、発熱体1dが昇温している期間には断熱性を有する空間として機能し、発熱体1aの印加電圧がオフされて、発熱体1dが降温している期間には放熱性を有する空間として機能する。つまり、気体層1cを設けることで、発熱体1dへの印加電圧のオン・オフ(通電・非通電)による赤外線放射の応答性を高めることが可能になり、パルス電圧の印加周期の高周波化を図ることができる。
上記構成を有する赤外光源1から放射された赤外線は、赤外光源1および赤外線受光ユニット2の各々に対向して配置された反射板3,3を反射する多重反射の後、赤外線受光ユニット2に入射する。なお、赤外光源1と赤外線受光ユニット2とを互いに対向して配置し、反射板を用いずに、赤外光源1と赤外線受光ユニット2との間で赤外線の授受を直接行ってもよい。
次に赤外線受光ユニット2は、2つの焦電素子21,22を基板23上に実装した受光素子2aと、受光素子2aが発生した電気量を所定空間Z内における検出対象ガスの量に応じた検出信号に変換する信号処理を行う信号処理回路24を基板25上に実装した回路ブロック2bと、上記各部を収納するパッケージ2cと、パッケージ2cの受光素子2aに対向する箇所に設けられて、赤外線をパッケージ2c内に透過させる赤外線光学フィルタ2dと、信号処理回路24からパッケージ2c外に突出した給電用ピン、信号出力用ピン、グランド用ピンの3本の端子ピン2eとを備えている。
まず、赤外線光学フィルタ2dは、狭帯域透過フィルタ26,27、広帯域遮断フィルタ28、フィルタ形成用基板29とで構成されている。フィルタ形成用基板29は、赤外線透過材料からなり、狭帯域透過フィルタ26,27はフィルタ形成用基板29の一面に形成されており、焦電素子21,22にそれぞれ対向して互いに異なる所望の選択波長の赤外線を選択的に透過させる。具体的に、狭帯域透過フィルタ26は、検出対象ガスの赤外線吸収波長帯の赤外線(検出光)を透過させ、狭帯域透過フィルタ27は、検出対象ガスの赤外線吸収波長帯以外の赤外線(参照光)を透過させる。受光素子2aは、2つ1組の焦電素子21,22を逆直列に接続して、検出光と参照光との差分を電流出力するので、検出対象ガスと吸収帯(吸収波長領域)が部分的に重なる雑ガスや赤外光源1の出力パワーのばらつきに起因した誤差を補正でき、さらには組をなす2つの焦電素子21,22の出力電流の直流バイアス成分を相殺することができる(つまり、検出対象ガスの濃度が零の場合には、受光素子2aの出力電流も零となる)。
広帯域遮断フィルタ28は、フィルタ形成用基板29の他面に形成されており、各狭帯域透過フィルタ26,27により設定される赤外線の反射帯域よりも長波長の赤外線を吸収する。つまり、広帯域遮断フィルタ28は、各狭帯域透過フィルタ26,27の選択波長よりも長波長の所定波長を超える赤外線を吸収する。したがって、広帯域遮断フィルタ28において赤外線を吸収することにより発生した熱がパッケージ2cを介して放熱することにより、狭帯域透過フィルタ26,27の温度上昇や温度分布を抑制でき、低コストで高感度化が可能となる。また、本実施形態の赤外線式ガス検知器では、パッケージ2c内に信号処理回路24等の回路部品を含む回路ブロック2bを収納してあるが、回路部品の温度上昇により回路部品から放射されてパッケージ2cの内壁面で反射される赤外線を広帯域遮断フィルタ28により吸収することができ、S/N比の向上による高感度化を図ることができる。
以下、上記構成を備える赤外線式ガス検知器の動作について詳述する。
まず、駆動部4は、赤外光源1の一対の端子ピン1fにパルス電圧を一定の時間間隔で出力することで、発熱体1dを周期的に通電してパルス電圧を印加している。このパルス電圧のパルス幅は、消費電力の低減を目的として短時間に設定されており、本実施形態では、焦電素子21,22の応答性に比べて短い時間に設定される。すなわち、焦電素子21,22が受光した赤外線量の時間変化に応じて電流を出力する応答時間に比べて短いパルス幅に設定され、駆動部4は、発熱体1dを短パルス駆動する。
図2(a)は、発熱体1dに印加されるパルス電圧の波形、図2(b)は、発熱体1dが放射する赤外線量の波形を示しており、発熱体1dは、パルス電圧の印加期間W1(パルス幅)では赤外線量が曲線的に増加し、パルス電圧がオフして、次のパルス電圧が印加されるまでの非印加期間W2では、赤外線量がなだらかに減少する。非印加期間W2に放射される赤外線量は、気体層1cを有する赤外光源1の構造的な熱時定数によって、赤外線量の時間変化の周波数成分が決定され、この周波数成分は低周波数となる。
本実施形態は、赤外光源1に気体層1cを設けることで、発熱体1dの昇温時における断熱性が向上するので、駆動部4による短パルス駆動でも、非印加期間W2に放射される赤外線量を充分に確保できる。したがって、非印加期間W2に低周波で減少する赤外線を利用した低周波応答が可能となる。
そして、赤外線光学フィルタ2dを介して赤外線を受光した受光素子2aは、検出光と参照光との差分の電流信号を回路ブロック2bへ出力する。回路ブロック2bの信号処理回路24は、図3に示すように、受光素子2aが出力する電流信号を電流−電圧変換する電流電圧変換回路24a(電流電圧変換手段)と、電流電圧変換回路24aの出力電圧を増幅する増幅回路24b(増幅手段)とで構成されており、以下、信号処理回路24について詳述する。
電流電圧変換回路24aは、受光素子2aが基準電圧源E1を介して一端を接地し、他端は演算増幅器OP1の反転入力端子に接続しており、演算増幅器OP1の出力端子と反転入力端子との間には、帰還容量を形成するコンデンサCf(容量性素子)を接続している。演算増幅器OP1の非反転入力端子には動作点を所定レベルに設定するための基準電圧源E2が接続され、出力端子は増幅回路24bに接続される。
このような電流電圧変換回路24aは、容量性素子のインピーダンスを用いて電流−電圧変換を行い、図3の回路において、受光素子2aからみたインピーダンスZ(変換インピーダンスZ)は、周波数fとすると、
Z=1/(2・π・f・Cf)
で表される。また、図4はこの変換インピーダンスZの周波数特性を示しており(図4の縦軸はlog表示)、コンデンサCfが帰還容量を形成していることから、周波数fが低くなるにつれて変換インピーダンスZは線形に増加している。
したがって、赤外光源1から非印加期間W2に放射される赤外線量の時間変化の周波数成分は、低周波数であることから、電流電圧変換回路24aは、受光素子2aが出力する低周波の電流信号(図5(a)参照)に対して変換インピーダンスZ(ゲイン)の高い領域で動作し、出力電圧は高いS/N比を得ることができる。したがって、電流電圧変換回路24aの出力を増幅する増幅回路24bの出力電圧も高いS/N比を得ることができる。
而して、本実施形態の赤外線式ガス検知器は、赤外光源1の駆動電力の低減、検知出力のS/N比の向上を両立させることが可能となる。
しかし、図3に示す電流電圧変換回路24aでは、コンデンサCfの放電経路がないために、電流電圧変換回路24aの出力電圧は時間経過とともに飽和する。したがって、図5(a)に示す受光素子2aが出力する電流信号波形に対して増幅回路24bが出力する電圧信号波形も、図5(b)に示すように時間経過とともに飽和する。
そこで、図6に示すように、MOSスイッチ等で構成されるスイッチ素子SW1(リセット手段)をコンデンサCfに並列接続し、スイッチ素子SW1を一定時間毎(電流電圧変換回路24aの出力電圧が飽和しない時間毎)にオンすることで、コンデンサCfを定期的に放電させる。すなわち、図7(a)に示す受光素子2aの電流信号波形に対して、増幅回路24bの電圧信号波形は、図7(b)に示すようにスイッチ素子SW1のオンタイミングt1でリセットされ、電流電圧変換回路24aの動作が動作点に戻る。したがって、電流電圧変換回路24aは連続動作が可能となる。または、電流電圧変換回路24aの動作電源をオン・オフすることで、コンデンサCfを定期的に放電させる構成であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態の赤外線式ガス検知器は、図8に示す電流電圧変換回路24aを備えており、電流電圧変換回路24aは、演算増幅器OP1の出力端子と反転入力端子との間に、直流帰還回路Kdcと入力抵抗Riとの直列回路を接続して、直流帰還を行っている。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
直流帰還回路Kdcは、非反転入力端子に演算増幅器OP1の出力を接続した演算増幅器OP2と、演算増幅器OP2の出力端子−反転入力端子間に接続したコンデンサC1と、演算増幅器OP2の反転入力端子−基準電圧源E3間に接続した抵抗R1とからなる積分回路で構成され、演算増幅器OP2の出力が直流帰還回路Kdcの出力となって入力抵抗Riの一端に接続し、入力抵抗Riの他端は演算増幅器OP1の反転入力端子に接続している。
このような電流電圧変換回路24aは、バンドパスフィルタとして動作し、図8の回路において、受光素子2aからみたインピーダンスZ(変換インピーダンスZ)の周波数特性は図9に示されており(図9の縦軸はlog表示)、周波数fが低くなるにつれて変換インピーダンスZは線形に増加するが、直流帰還回路Kdcが働いているため、帰還回路(コンデンサCfによる交流帰還と、直流帰還回路Kdcおよび入力抵抗Riからなる直流帰還とで構成される)の時定数τdc[τdc=√(R1・C1・Ri・Cf)=1/ωdc]によって決まる周波数から下は逆に変換インピーダンスZは下降していく。つまり、変換インピーダンスZは、帰還回路時定数τdcによって定まる角速度ωdcでピークを持つようなカーブとなる。
そして、直流帰還回路Kdcおよび入力抵抗Riによる直流帰還により、図10(a)に示す受光素子2aの電流信号波形に対して、増幅回路24bの電圧信号波形は、図10(b)に示すように、帰還回路時定数τdcに応じた時間を要して動作点に戻り、電流電圧変換回路24aは連続動作が可能となる。
さらに、直流帰還回路Kdcおよび直流抵抗Riによるフィードバック抵抗が大きいほど(図9中の変換インピーダンス特性X1,X2,X3において、フィードバック抵抗の値はX1<X2<X3となり、ピークとなる角速度はωdc1>ωdc2>ωdc3となる)、変換インピーダンスZのピークが高くなり、電流電圧変換回路24aの出力電圧は高いS/N比を得ることができる。しかし、フィードバック抵抗が大きいほど、帰還回路時定数τdcが増大して、電流電圧変換回路24aの動作が動作点に戻るために要する時間が長くなり、赤外光源1の間欠駆動回数に影響を及ぼす。
そこで、直流帰還回路Kdcおよび直流抵抗Riによるフィードバック抵抗は、気体層1cを有する赤外光源1の構造的な熱時定数に基づいて設定される。すなわち、赤外光源1の構造的な熱時定数が大きい場合、フィードバック抵抗も大きい値に設定される。したがって、赤外光源1から非印加期間W2に放射されて低周波で減少する赤外線に対して、電流電圧変換回路24aの出力電圧はより高いS/N比を得ることができる。一方、赤外光源1の構造的な熱時定数が小さい場合、フィードバック抵抗も小さい値に設定され、帰還回路時定数τdcが減少して、電流電圧変換回路24aの出力電圧を高いS/N比に維持しながら、赤外光源1の間欠駆動回数を増加させることが可能となる。
また、図8に示す電流電圧変換回路24aの抵抗R1,Riを、スイッチトキャパシタで構成してもよい。スイッチトキャパシタは、一端を接地したコンデンサCsと、抵抗素子R(R1,Ri)の両端が接続されていた各電路H1,H2にコンデンサCsの他端を交互に接続するスイッチ素子SW2とで構成される(図11(a)(b)参照)。そして、クロック信号等を用いて、スイッチ素子SW2の接続先を電路H1,H2に交互に高速で切り換えることで、電路H1−H2間は擬似的に高抵抗となる。
ここで、赤外光源1から非印加期間W2に放射されて低周波で減少する赤外線に対応するには、高抵抗な抵抗R1,Riが必要であるが、このような高抵抗を実現可能な抵抗素子としてはノンドープポリシリコン抵抗がある。しかし、ノンドープポリシリコン抵抗は、抵抗値のばらつき、温度変化が大きく、さらには熱雑音が大きいという問題点がある。そこで、抵抗素子を用いることなく、上記のようなスイッチトキャパシタを用いることによって、抵抗値のばらつき、温度変化を小さくし、さらには熱雑音を抑制できて、電流電圧変換回路24aの出力電圧はS/N比がさらに向上する。
また図12に示すように、1つの基準電圧源E4が、図8の3つの基準電圧源E1〜E3を兼用することで、受光素子2a、演算増幅器OP1,OP2の基準電圧源によるノイズを相殺でき、電流電圧変換回路24aの出力電圧はS/N比がさらに向上する。
(実施形態3)
本実施形態の赤外線式ガス検知器は、図13に示す電流電圧変換回路24aを備えており、電流電圧変換回路24aは、リミッタ回路Ktを入力抵抗Riに並列接続して、入力抵抗Riの両端の電位差を制限している。なお、実施形態2と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
電流電圧変換回路24aの帰還回路時定数τdcは、遅い時定数であり、電源投入から回路動作が安定するまでの間(回路安定時間)や、回路動作中に大きな外来ノイズが印加された場合等に動作点が飽和してしまうと、元の正常な状態に復帰するのに長い時間を必要となり、ガス検知動作を行うことができない不感状態になるという問題があった。
そこで、本実施形態のリミッタ回路Ktは、入力抵抗Riの両端の電位差が所定電圧を超えた場合、入力抵抗Riの両端間を導通させることで、上記問題点を解決している。
リミッタ回路Ktの回路例として、図14に示すように、PMOSトランジスタTr1,Tr2が互いに逆並列接続して、入力抵抗Riに並列接続している。入力抵抗Riは一端を直流帰還回路Kdcの出力に接続し、他端を演算増幅器OP1の反転入力端子に接続しており、PMOSトランジスタTr1は、ソース端子を直流帰還回路Kdcの出力端子に接続し、ゲート端子、ドレイン端子を演算増幅器OP1の反転入力端子に接続し、PMOSトランジスタTr2は、ゲート端子、ドレイン端子を直流帰還回路Kdcの出力端子に接続し、ソース端子を演算増幅器OP1の反転入力端子に接続している。また、PMOSトランジスタTr1,Tr2の各基板端子は電源電位Vccに接続されている。
そして、電源投入時は演算増幅器OP1の出力端子の電位が正側に変動しており、電源投入直後、演算増幅器OP1の出力端子および直流帰還回路Kdcの出力端子の各電位が上昇しようとすると、直流帰還回路Kdcの出力端子に接続したPMOSトランジスタTr1のソース電位も同様に上昇する。そして、演算増幅器OP1の出力端子および直流帰還回路Kdcの出力端子の電位が2V付近まで上昇すると、PMOSトランジスタTr1のゲート−ソース間電圧がしきい値(負電圧)を超えて、PMOSトランジスタTr1がオンする。入力抵抗Riの両端がPMOSトランジスタTr1によって短絡されると、演算増幅器OP1の出力端子および直流帰還回路Kdcの出力端子の各電位はそれ以上上昇しなくなり、飽和することなく低下する。したがって、電源投入して1〜2秒後には入力信号に対して正常に応答している。この動作は電源投入時のみでなく、演算増幅器OP1の出力端子の電位が正側に変動するような外来ノイズが印加された場合も同様である。
さらに、演算増幅器OP1の反転入力端子に負の電荷を与える外来ノイズが印加された場合には、演算増幅器OP1の出力端子の電位が負側に変動する。そして、演算増幅器OP1の出力端子および直流帰還回路Kdcの出力端子の各電位が0Vまで下がろうとすると、直流帰還回路Kdcの出力端子に接続したPMOSトランジスタTr2のゲート電位も同様に下がる。そして、演算増幅器OP1の出力端子および直流帰還回路Kdcの出力端子の電位が1V付近まで下がると、PMOSトランジスタTr2のゲート−ソース間電圧がしきい値(負電圧)を超えて、PMOSトランジスタTr2がオンする。入力抵抗Riの両端がPMOSトランジスタTr2によって短絡されると、演算増幅器OP1の出力端子および直流帰還回路Kdcの出力端子の各電位はそれ以上下がらなくなり、飽和することなく上昇する。したがって、外来ノイズ印加後約1〜2秒後には入力信号に対して正常な応答を行う動作に復帰している。
なお、本実施形態ではP型のMOSトランジスタTr1,Tr2を用いて、各基板端子を電源電位Vccに接続しているが、N型のMOSトランジスタを用いる場合には、各基板端子をグランドに接続すれば同様に用いることができる。
また、図14に示すリミッタ回路Ktの構成は一例であり、入力抵抗Riの両端の電位差が所定電圧を超えた場合、入力抵抗Riの両端間を導通させるものであれば、他の構成であってもよい。
(実施形態4)
本実施形態では、実施形態1乃至3において、駆動回路4が発熱体1dに印加するパルス電圧について説明する。
赤外光源1に気体層1cを設けることで、発熱体1dの昇温時における断熱性が向上するので、駆動部4が発熱体1dを短パルス駆動する場合でも、非印加期間W2に放射される赤外線量を充分に確保でき、非印加期間W2に低周波で減少する赤外線を利用した低周波応答が可能となる。しかし、駆動部4が発熱体1に印加するパルス電圧のパルス幅が短いほど、パルス電圧を高電圧とする必要があり、高昇圧回路が必要となって、高昇圧回路自体の消費電力、耐圧性能、部品点数の増加が問題となる。
そこで本実施形態では、発熱体1dに印加するパルス電圧のパルス幅が長いほど、パルス電圧を低くでき、発熱体1dに供給する電力が小さくなることに着目した。すなわち、駆動部4は、発熱体1dに印加するパルス電圧のパルス幅を、気体層1cを有する赤外光源1の構造的な熱時定数に略等しくなるまで長くすることで、パルス電圧の低電圧化、省電力化を図っている。なお、この場合も、焦電素子21,22が受光した赤外線量の時間変化に応じて電流を出力する応答時間に比べて短いパルス幅に設定される。
例えば、図15(a)(b)(c)は、駆動部4が発熱体1dに印加するパルス電圧のパルス幅をWa,Wb,Wcと次第に長くし、パルス電圧の振幅をVa,Vb,Vcと次第に低くした場合における、発熱体1dの温度Ta,Tb,Tcを各々示す。
図15(a)は、駆動部4が発熱体1dに印加するパルス電圧のパルス幅が最も短いWaであり、パルス電圧の振幅が最も高いVaであって、発熱体1dの温度Taは、目標温度である700Kに最も速く達し、パルス電圧がオフした後の降温速度も最も速い。図15(b)は、駆動部4が発熱体1dに印加するパルス電圧のパルス幅が二番目に短いWbであり、パルス電圧の振幅が二番目に高いVbであって、発熱体1dの温度Tbは、目標温度である700Kに二番目に速く達し、パルス電圧がオフした後の降温速度も二番目に速い。
一方、図15(c)は、駆動部4が発熱体1dに印加するパルス電圧のパルス幅が最も長いWcであり、このパルス幅Wcは、気体層1cを有する赤外光源1の構造的な熱時定数に略等しくなる。さらに、パルス電圧の振幅が最も低いVcであって、発熱体1dの温度Tcは、目標温度である700Kに最も遅く達し、パルス電圧がオフした後の降温速度も最も遅い。このように、発熱体1dをゆっくり熱変化させ、非印加期間W2に発熱体1dから放射される赤外線量をゆっくり変化させて、電流電圧変換回路24aのコンデンサCfに充電される電荷を増やしている。したがって、非印加期間W2に低周波で減少する赤外線を利用した低周波応答を効果的に活用でき、電流電圧変換回路24aの出力電圧はS/N比がさらに向上する。
また、パルス幅Wcを赤外光源1の構造的な熱時定数に略等しくした場合、パルス幅は長くなるが、パルス電圧を低くでき、発熱体1dに供給する電力としては低減するので、低消費電力とS/N比の向上を両立させることができる。
また、図15(d)に示すように、図15(c)において、発熱体1dの温度Tcが700Kに達した後、パルス電圧の振幅をVcからVdに低下させた状態をパルス幅Wd継続させることで、発熱体1dの温度を700Kに維持してもよい。このパルス電圧Vdは、気体層1cを有する赤外光源1の構造的な放熱エネルギーを補充するための電圧である。したがって、電流電圧変換回路24aのコンデンサCfに充電される電荷をより増やすことができ、電流電圧変換回路24aの出力電圧はS/N比がさらに向上する。
例えば、気体層1cの厚みを500μmとした場合、赤外光源1の構造的な熱時定数は25msとなり、パルス電圧Vc=3.2Vのパルス幅Wc=20ms、パルス電圧Vd=2.6Vのパルス幅Wd=10msとする。この場合、パルス幅Wcにおいて発熱体1dの温度を700Kまで上昇させるのに必要な電力は0.031Wとなり、パルス幅Wdにおいて発熱体1dの温度を700Kに維持するのに必要な電力は0.020Wとなる。
そして、駆動部4が、発熱体1dを20sに一回短パルス駆動した場合、
0.031W×20ms/20s+0.020W×10ms/20s=41μW
が、短パルス駆動1回当たりの消費電力となる。
また、駆動部4が、発熱体1dを30sに一回短パルス駆動した場合、
0.031W×20ms/30s+0.020W×10ms/30s=27μW
が、短パルス駆動1回当たりの消費電力となる。
(実施形態5)
実施形態1乃至3において、駆動回路4は、発熱体1dに印加する1回のパルス電圧を、バースト波を複数回連続させて構成してもよい。この場合、バースト波の連続回数分、電力消費は増大するが、S/N比もバースト波の連続回数分向上するので、電流電圧変換回路24aの出力電圧は、より高S/N比を実現することができる。
1 赤外光源
1a 半導体基板
1b 保持層
1c 気体層
1d 発熱体
1h 凹部
2 赤外線受光ユニット
2a 受光素子
2d 赤外線光学フィルタ
21,22 焦電素子
24 信号処理回路
4 駆動部

Claims (11)

  1. 導体基板、前記半導体基板の一面に形成された薄膜状の保持層、前記半導体基板および前記保持層の一面によって囲まれた空間からなる気体層、前記保持層の他面に形成され通電されることによる発熱によって赤外線を放射する発熱体を具備する赤外光源と、
    前記発熱体を間欠に通電させる駆動回路と、
    前記赤外光源から所定空間内に放射された赤外線のうち、検出対象ガスに応じた所望の波長の赤外線を選択的に透過させる赤外線光学フィルタと、
    前記赤外線光学フィルタを介して受光した赤外線量の時間変化に応じた電気量を発生する微分型の受光素子と、
    前記受光素子が発生した電気量を所定空間内における前記検出対象ガスの量に応じた検出信号に変換する信号処理回路と
    を備え、
    前記赤外光源への通電がオフされてから次に通電が開始されるまでの非通電時において前記赤外光源が放射する赤外線量は低周波で減少し、この非通電時において前記赤外光源が放射する赤外線量の時間変化の周波数成分に対する前記信号処理回路のゲインは、当該周波数成分より高い周波数領域に対する前記信号処理回路のゲインより大きい
    ことを特徴とする赤外線式ガス検知器。
  2. 前記受光素子は、前記赤外線光学フィルタを介して受光した赤外線量の時間変化に応じた電流を発生し、
    前記信号処理回路は、受光素子が発生した電流を容量性素子に充電することによって電圧に変換する電流電圧変換手段と、電流電圧変換手段の出力電圧を増幅する増幅手段とを備える
    ことを特徴とする請求項1記載の赤外線式ガス検知器。
  3. 前記容量性素子の充電電荷を放電させるリセット手段を備えることを特徴とする請求項2記載の赤外線式ガス検知器。
  4. 前記電流電圧変換手段は、反転入力端子に前記受光素子が接続され非反転入力端子に基準電圧源が接続された演算増幅器と、演算増幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続した容量性素子と、演算増幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続した直流帰還回路と抵抗との直列回路とを備えることを特徴とする請求項2記載の赤外線式ガス検知器。
  5. 前記直流帰還回路と抵抗との直列回路は、前記通電後の非通電時に赤外光源が放射する赤外線量の時間変化の周波数成分が低いほど大きい抵抗値を有することを特徴とする請求項4記載の赤外線式ガス検知器。
  6. 前記抵抗は、スイッチトキャパシタで構成されることを特徴とする請求項5記載の赤外線式ガス検知器。
  7. 前記演算増幅器の非反転入力端子に接続された基準電圧源は、受光素子の基準電圧源を兼用することを特徴とする請求項4乃至6いずれか記載の赤外線式ガス検知器。
  8. 前記抵抗に並列接続して、抵抗両端の電位差を制限するリミッタ回路を備えることを特徴とする請求項4乃至7いずれか記載の赤外線式ガス検知器。
  9. 前記駆動回路は、前記発熱体を間欠に通電させるパルス幅を、前記赤外光源の熱時定数と略同一に設定することを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の赤外線式ガス検知器。
  10. 前記駆動回路は、前記発熱体を間欠に通電させるパルス幅を、前記発熱体の温度を所定値まで上昇させる期間と、発熱体の温度を所定値に維持する期間とで構成することを特徴とする請求項9記載の赤外線式ガス検知器。
  11. 前記駆動回路は、前記発熱体の1回の通電時に、複数回のバースト信号で発熱体を駆動することを特徴とする請求項1乃至10いずれか記載の赤外線式ガス検知器。
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