本発明において用いられる感光体は、クリーニングブレードのビビリや捲れを防止するため、その表面に凹部を有している。図1(a)〜(g)は、本発明に用いる感光体表面にある凹部の開口の具体的な形状の例を示している。また、図2(a)〜(e)は、凹部深さ方向の断面形状の例を示している。開口の形状としては、図1(a)〜(g)に示したように、円、楕円、正方形、長方形、三角形、六角形などの種々の形状が形成可能である。本発明は、特に凹部の開口の形状によらず、効果を発揮し得る。
前記凹部の深さ方向の断面形状としては、図2(a)〜(e)に表すように様々な形状が形成され得る。その中でも、例えば、図2(a)、(d)、(e)に示すような形状が好ましい。すなわち、任意の断面においてその開口形状を初期の開口形状から維持できる深さ(Rdv’)が凹部の深さ(Rdv)の60%以上(Rdv’/Rdv≧0.6)である形状が好ましい。ここで、「その開口形状を初期の開口形状から維持できる」とは、任意の断面において感光体表面と凹部深さ方向の斜面とが成す角θ及びθ’が、80°以上100°以下であることをいう(図2(f)参照)。また、凹部の深さは0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。このような断面形状である凹部は、凹部の立体的形状が円柱状または多角形柱である。従って、感光体が長期の耐久によって削れていった場合でも、その開口形状が初期の状態から変化しないためクリーニングブレードのビビリや捲れによるクリーニング不良を防止できる。
感光体の表面において形成される複数の凹部は、すべての形状、大きさ、深さが揃っていることが好ましいが、異なる形状、大きさ、深さのものが混在していても本発明の効果を発揮し得る。
図1(a)〜(g)に示したように、各凹部の開口を水平方向に投影して得られた直線のうち、最小となる直線の長さを短軸径(Lpc)と定義し、最大となる直線の長さを長軸径(Rpc)と定義する。例えば、円の場合は直径、楕円の場合は短径、長方形の場合は辺のうち短い方を短軸径として採用する。また、例えば、円の場合は直径、楕円の場合は長径、四角形の場合は対角線のうち長い方を長軸径として採用する。
長軸径の測定は、対象となる感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれに、一辺100μmの正方形の領域を設け、その正方形の中に含まれる凹部について行う。このようにして得られた単位面積当たりの凹部の各々の長軸径を統計処理し、その平均値を平均長軸径と定義する。
本発明において、良好なクリーニング性のために、感光体の表面の凹部が100μm四方あたり40個以上40000個以下であり、該凹部の開口の平均長軸径が0.5μm以上15.0μm以下であることが好ましい。感光体表面の凹部がこのような条件を満たすことで、トナーの感光体からの離型性が向上し良好な転写性が得られる。このため感光体上の残留トナーが少なくなり、クリーニング性が向上する。また残留トナーが減少したことによる感光体とクリーニングブレードの摩擦力の増大は、上記形状による感光体とクリーニングブレードの接触面積の減少により抑えられ、クリーニングブレードの捲れやビビリの発生を防ぐことができる。
感光体の表面の凹部が100μm四方あたり40個未満の場合、感光体とクリーニングブレードの接触面積が小さくならず、クリーニングブレードの捲れやビビリの発生を防ぐことができず好ましくない。また感光体の表面の凹部が100μm四方あたり40000個を越える場合、トナーの感光体からの離型性が小さくなり転写性が悪化するため好ましくない。
感光体の表面の凹部の開口の平均長軸径が0.5μm未満の場合、感光体とクリーニングブレードの接触面積が小さくならず、クリーニングブレードの捲れやビビリの発生を防ぐことができず好ましくない。また感光体の表面の凹部の開口の平均長軸径が15μmを越える場合、凹部にトナーが溜り、融着となって画像欠陥(白ポチ)を起こすため好ましくない。
本発明において、電子写真感光体表面の凹部の測定は、市販のレーザー顕微鏡により可能である。例えば、(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−8550、VK−8700、(株)菱化システム製の表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機、オリンパス(株)製の走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000、レーザーテック(株)製のリアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130が利用可能である。これらのレーザー顕微鏡を用いて、所定の倍率によりある視野における凹部の開口の短軸径Lpc、凹部の開口の長軸径Rpcまたは最長径Epc(後述)、および凹部の深さRdvおよび断面積Sdvを計測することができる。さらには、単位面積あたりの凹部の開口の面積率を計算により求めることができる。
一例として、Surface Explorer SX−520DR型機による解析プログラムを利用した測定例について説明する。測定対象の電子写真感光体をワーク置き台に設置し、チルト調整して水平を合わせ、ウエーブモードで電子写真感光体の周面の3次元形状データを取り込む。これによって、感光体表面の凹部の断面形状を知ることができる。測定の際、対物レンズの倍率を50倍とし、100μm×100μm(10000μm2)の視野観察としてもよい。この方法で、測定対象の感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定する。
次に、データ解析ソフト中の粒子解析プログラムを用いて電子写真感光体の表面の等高線データを表示する。
凹部の形状、長軸径、深さおよび開口面積のような凹部の孔解析パラメーターは、形成された凹部によって各々最適化することができる。例えば、長軸径10μm程度の凹部の観察および測定を行う場合、長軸径の上限を15μm、長軸径の下限を1μm、深さ下限を0.1μm、体積下限を1μm3とした。そして、解析画面上で判別できる凹部の個数をカウントし、これを凹部の個数とした。
なお、開口の長軸径が1μm程度以下の凹部については、レーザー顕微鏡および光学顕微鏡による観察が可能である。より測定精度を高める場合には、(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−9500、VK−9500GII、VK−9700、(株)島津製作所製のナノサーチ顕微鏡SFT−3500の如きバイオレットレーザー顕微鏡、あるいは(株)キーエンス製のリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−7800、VE−8800、VE−9800、日本電子(株)製のキャリースコープJCM−5100の如き電子顕微鏡による観察および測定を行うことが好ましい。
本発明に用いるトナーは、少なくとも着色剤と結着樹脂とを有するトナー粒子と、無機微粉体Aとを少なくとも有するトナーであって、該無機微粉体Aは、
(1)一次粒子の個数平均粒径が80nm以上200nm以下であり、
(2)真密度が2.4g/cm3以上3.0g/cm3以下であり、
粉体流動性分析装置を用いて測定した、圧縮後7回測定時の
(3)トータルエネルギーTEが2000mJ以上3200mJ以下であり、
(4)流速指標FRIが0.8以上1.8以下である
ことを特徴とする。
前記の感光体においては、長期の使用により表面の凹部にトナーの外添剤が蓄積することが確認されている。背景技術で述べた、フィルム状研磨材を用いて表面層を粗面化する技術、ブラスト処理により感光体の表面を粗面化する技術、あるいは図2(b)、(c)で示したような凹部形状の場合は、比較的凹部に入った外添剤がクリーニングブレードの摺擦で掻き出され易い。これは凹部の断面形状がテーパー形状であるためと考えられる。しかし、上述したような好ましい凹部断面形状の場合、クリーニングブレードで摺擦された際、外添剤の逃げ道がなく、外添剤が圧縮されて凹部に蓄積する傾向にある。従来、感光体表面凹部への外添剤蓄積は、良好なクリーニング性に寄与すると考えられていたが、外添剤の凹部への蓄積が顕著になると、ベタ画像に微小な白抜け(白ポチ)が発生する場合があることが判明した。これは外添剤が感光体表面凹部に蓄積し、潜像を形成するための露光を遮断することにより、本来の潜像ドットを形成できず、必要なトナー量の一部が現像できないため起きると考えられる。このように、感光体表面凹部への外添剤の過度の蓄積を防止する必要がある。
本発明者は鋭意検討の結果、トナーの外添剤として、上記(1)から(4)の条件を満たす無機微粉体Aを用いることで、外添剤の過度の蓄積を防ぐことができることを見出した。
本発明に用いる無機微粉体Aは、一次粒子の個数平均粒径が80nm以上200nm以下であることが好ましい。一次粒子の個数平均粒径が80nm未満の場合、感光体表面凹部へ蓄積しやすいため好ましくない。また、一次粒子の個数平均粒径が200nmを超える場合、外添剤の重要な役割の一つであるトナーへの流動性付与能に劣り、転写性を悪化させるため好ましくない。
なお、一次粒子の個数平均粒径については、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真から100個の粒子についての粒径を測定して、その平均を求めた。各粒子の粒径は、一次粒子の最長辺をa、最短辺をbとしたとき、(a+b)/2として求めた。
また本発明に用いる無機微粉体Aは、真密度が2.4g/cm3以上3.0g/cm3以下であることが好ましい。本発明において、感光体表面凹部の開口平均長軸径は0.5μm(500nm)以上であり、無機微粉体Aの一次粒子の個数平均粒径が200nm以下であるため、外添剤は感光体表面凹部に入り込む。入り込んだ無機微粉体がそのまま感光体表面凹部に蓄積する程度は、無機微粉体の真密度のみで決まるものではない。しかしながら、真密度を2.4g/cm3以上3.0g/cm3以下であれば、クリーニングブレードの摺擦等で再び感光体表面凹部から掻き出されやすいため好ましい。真密度が2.4g/cm3未満では感光体表面凹部内で浮遊しやすく、真比重が3.0g/cm3を越えると感光体表面凹部の底面に堆積しやすく、いずれの場合も感光体表面凹部から掻き出されにくいため好ましくない。
なお本発明の無機微粉体の真密度の測定は、ヘリウムによるガス置換式の測定法を用いる。測定器はアキュピック1330(島津製作所社製)を用い測定を行った。測定法は、ステンレス製の内径18.5mm,長さ39.5mm,容量10cm3のセルに、精秤した測定サンプルを入れる。次いで、試料セル中の無機微粉体Aの容積をヘリウムの圧力変化によって測定し、求められた容積とサンプルの重さから真密度を求めた。
さらに本発明に用いる無機微粉体Aは、粉体流動性分析装置を用いて測定した、圧縮後7回目測定時のトータルエネルギーTEが2000mJ以上3200mJ以下であり、流速指標FRIが0.8以上1.8以下であることが好ましい。
ここで粉体流動性分析装置を用いた測定に関して説明する。
(A)トータルエネルギーTEの測定
本発明におけるトータルエネルギーTE及び流速指標FRIは、「粉体流動性分析装置パウダーレオメーターFT4」(Freeman Technology社製、以下、FT4と省略する場合がある。)を用いることによって測定する。
具体的には、以下の操作により測定を行う。
全ての操作において、プロペラ型ブレードはFT4専用の48mm径ブレード(図3参照。型番:C210、材質:SUS、以下、ブレードと省略する場合がある。)を用いる。このプロペラ型ブレードは、48mm×10mmのブレード板の中心に法線方向に回転軸が存在し、ブレード板は両最外縁部分(回転軸から24mm部分)が70°、回転軸から12mmの部分が35°というように、反時計回りになめらかにねじられたものである。
測定容器は、FT4専用の円筒状のスプリット容器(型番:C203、材質:ガラス、直径50mm、容積160ml、底面からスプリット部分までの高さ82mm、以下、容器と省略する場合がある。)を用いる。
また無機微粉体の圧縮については、圧縮試験用ピストン(直径48mm、高さ20mm、下部メッシュ張り)を上記プロペラ型ブレードの代わりに用いる。
尚、測定に際して無機微粉体は、温度23℃、湿度60%RHの環境下に3日以上放置したものを使用する。
(1)圧縮操作
(a)予備実験:本体に圧縮試験用ピストンを装着する。測定容器におよそ50mlの無機微粉体(あらかじめ重量を測定)を入れ、ピストンを0.5mm/sで下降させて無機微粉体を圧縮する。ピストンへの負荷が20Nになったら下降を停止しそのまま20秒ホールドする。圧縮された無機微粉体の体積を容器の目盛りから読む。
(b)予備実験より算出される、圧縮された無機微粉体の体積が180mlに相当する量の1/4の無機微粉体(予備実験で用いたものは使用せず、未使用の無機微粉体を使用する)を測定容器に入れ、予備実験と同様の操作をする。
(c)上記(b)の操作をさらに3回(合計4回)行う(無機微粉体を追加していく)。
(d)測定容器のスプリット部分で圧縮された無機微粉体層をすり切り、粉体層上部を取り除く。
(2)トータルエネルギーTE測定操作
(a)本体にプロペラ型ブレードを装着する。プロペラ型ブレードを、ブレードの最外縁部の周速が10mm/secとなるように、粉体層表面に対して反時計回り(ブレードの回転により粉体層が押し込まれる方向)に回転する。このブレードを、なす角が5°となる進入速度で、粉体層表面から、粉体層の底面から10mmの位置まで垂直方向に進入させる。その後、ブレードの最外縁部の周速が60mm/secとなるように、粉体層表面に対して時計回りに回転し、粉体層への垂直方向の進入速度をなす角が2°となる進入速度で、粉体層の底面から1mmの位置まで進入させる。さらに、なす角が5°の速度で、粉体層の底面から100mmの位置までブレードを移動させ、抜き取りを行う。抜き取りが完了したら、ブレードを時計回り、反時計回りに交互に小さく回転させることでブレードに付着した無機微粉体を払い落とす。
(b)(2)−(a)の操作をさらに6回繰り返し(合計7回)、最終回における、粉体層の底面から100mmの位置から10mmの位置までブレードを進入させた時に得られる回転トルクと垂直荷重の総和をトータルエネルギーTEとする。
上記の様にして測定されるトータルエネルギーTEは、無機微粉体が感光体表面凹部に入り込み、圧縮されたのち解れるのに要するエネルギーの指標と考えられる。
本測定において、測定する粉体の空気の含み方が異なるとトータルエネルギーTEの値も異なって測定される。測定の再現性を向上させるため、本測定においては前記の圧縮操作を行う。しかしながら、圧縮操作後、1回目の(2)−(a)の操作から測定されるトータルエネルギーTEの値は所望のエネルギー指標にはならなかった。これは前記圧縮操作が実際に無機微粉体が感光体表面凹部に入り込み、圧縮された状態を表していないためと考えられる。画像形成時に無機微粉体が感光体表面凹部に入り込み、圧縮される場合は、前記圧縮操作のようにピストンによる加圧が行なわれるわけではない。検討の結果、本測定において、前記圧縮操作の後、(2)−(a)の操作を行なってからトータルエネルギーTEの値を測定することで所望のエネルギー指標となることを見出した。
なお、(2)−(a)の操作を合計7回行う理由は、試行回数が少ないと測定結果にバラつきが生じてしまうので、データを安定させるために7回ほど繰り返す必要があるからである。
本発明において、無機微粉体のトータルエネルギーTEを2000mJ以上3200mJ以下とすることで、感光体表面凹部への無機微粉体蓄積を良好に抑えている。トータルエネルギーTEが3200mJを越える場合、感光体表面凹部に入り込み圧縮された無機微粉体は解れ難いため、凹部から排出されることが難しい。一方、上記の理由から考えると、トータルエネルギーTEが小さいほど感光体表面凹部への無機微粉体蓄積を良好に抑えられると考えられる。しかし、検討の結果、トータルエネルギーTEが2000mJ未満の場合は、感光体凹部からの排出性が逆に悪化することが解った。これは無機微粉体が感光体表面凹部から排出されるときは、ある程度凝集した状態の方が排出されやすいためと考えているが詳細な理由については不明である。
(B)流速指標FRI測定操作
(a)上記(2)−(a)でブレードの最外縁部の周速を100mm/secに変更する以外は、(A)トータルエネルギーTEの測定と同様にしてトータルエネルギーTE(100)を求める。
(b)((A)で求めたトータルエネルギーTE)/(上記トータルエネルギーTE(100))で流速指標FRIを求める
流速指標FRIは、圧縮された無機微粉体への負荷の大小に対する解れやすさの変化を示しており、1.0に近いほど負荷の大小に因らず一定のレベルで解れることを示している。圧縮された無機微粉体への負荷とは、感光体表面凹部に蓄積した無機微粉体を解して感光体表面凹部外へ排出させるための負荷のことで、例えばクリーニングブレードでの摺擦、トナーや外添剤の突入による衝撃などである。実際の画像形成時、これらの負荷は一定とは限らない。負荷が小さい場合は、感光体表面凹部に入り込み圧縮された無機微粉体は解れ難く、負荷が大きい場合、その負荷によってさらに無機微粉体が感光体表面凹部で圧縮される傾向にある。流速指標FRIが0.8以上1.8以下であれば、圧縮凝集された無機微粉体にかかる負荷の大小に因らず同様に解れるため、感光体表面凹部に蓄積した無機微粉体を安定して感光体表面凹部外へ排出することができる。流速指標FRIが0.8未満又は1.8を越える場合、安定した負荷が得られないと、感光体表面凹部に無機微粉体が蓄積してしまうため好ましくない。
本発明で用いられる無機微粉体Aは、上記の特性を満たすならば特に制限はないが、炭酸塩、ケイ酸塩、が好ましく、金属炭酸塩がより好ましく、さらに炭酸カルシウムが特に好ましい。
本発明において、無機微粉体Aは、凝集を解す観点から上記したような特性を持つことが好ましいが、無機微粉体と感光体表面(凹部を含む)との付着性が小さいことも好ましい。そのため、本発明の無機微粉体Aは、感光体表面(凹部を含む)との付着性を抑えるために、下記一般式(1)で示される脂肪酸または下記一般式(2)で示される脂肪酸金属塩で表面処理されていることが好ましい。
(Rは炭素数12乃至28の炭化水素基、XはHまたは金属元素)
具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、およびそれらのアルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、等の金属塩が好ましく用いられる。
ここで、脂肪酸又は脂肪酸金属塩での処理量は、無機微粉体Aの0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。上記の範囲であれば、無機微粉体Aが凝集しにくいため、感光体表面凹部への蓄積を防ぐことが出来る。
さらに感光体表面(凹部を含む)との付着性を抑えるために、脂肪酸または脂肪酸金属塩は、前記一般式(1)で表される化合物のRが直鎖アルキル基であるものを70質量%以上含有することが好ましい。
本発明において無機微粉体の表面処理を行う方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。Arガス又はN2ガス雰囲気下、該無機微粉体のスラリーを脂肪酸ナトリウム水溶液中に入れ、撹拌しながら、所望の金属塩水溶液を滴下することで、表面に脂肪酸金属塩を析出、吸着させることができる。例えばステアリン酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウムを用いればステアリン酸アルミニウムを吸着させることができる。
しかしながら、前述した本発明において無機微粉体に要求される特性、
(3)トータルエネルギーTEが2000mJ以上3200mJ以下である
(4)流速指標FRIが0.8以上1.8以下である
を満たすためには、以下のような方法で表面処理を行うことが好ましい。
まず、密閉型高速撹拌機に無機微粉体を入れ撹拌する。さらに表面処理剤として用いる脂肪酸または脂肪酸金属塩をその融点以上、好ましくは沸点または分解点に達する以前で溶融粘度が低くなる温度で溶融させて撹拌機内に噴霧する。その際、密閉型高速撹拌機の温度も溶融させた表面処理剤の温度と同じにしておくことが安定した処理を行う上で好ましい。表面処理剤を噴霧した後、撹拌しながら撹拌機内温度を徐々に室温に戻し取り出した後、ピンミルで解砕処理をする。
感光体表面(凹部を含む)との付着性を抑えるために、無機微粉体Aはシランカップリング剤によって表面処理されていることも好ましい。シランカップリング剤の例としては、シランカップリング剤の例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメチルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−γ−プロピルイミダゾール、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノブチルジメチルメトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメチルメトキシシランがあげられる。
シランカップリング剤で表面処理をする方法としては、無機微粉体を水系に一次粒子となる様に分散し、シラン化合物を加水分解しながら処理をする方法、または、無機微粉体を機械的にあるいは気流で十分に攪拌しながら、シランカップリング剤を滴下または噴霧して処理をする方法がある。この際、反応機を窒素置換したり、50〜350℃に加熱することが好ましい。処理剤の粘度が高い場合には、アルコール、ケトン、炭化水素の如き溶剤を用いて希釈しても良い。さらに、無機微粉体を有機溶剤中に分散させ、処理剤により処理し、濾別または溶剤を溜去してその後乾燥する方法がある。凝集物を減らすために、この後ピンミル、ジェットミルで解砕処理をほどこすことも好ましい。乾燥工程は静置下でも、流動させながらでも良く、50〜350℃程度に加熱することが好ましく、減圧しても良い。有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、アイソパーの如き炭化水素系有機溶剤が好ましく用いられる。分散処理する方法としては、攪拌機、振とう機、粉砕機、混合機、分散機が用いられ、中でもセラミックス、メノウ、アルミナ、ジルコニアでできたボール、ビーズの如きメディアを用いた分散機が好ましく用いられる。例えば、サンドミル、グレンミル、バスケットミル、ボールミル、サンドグラインダー、ビスコミル、ペイントシェイカー、アトライター、ダイノミル、パールミルがある。特に好ましい処理法としては、被処理粒子を有機溶剤中に分散させペーストとしてから処理剤を添加して分散機にかける方法、処理剤を含む有機溶剤の被処理粒子ペーストを分散機にかける方法、有機溶剤に処理剤と被処理粒子を加えペーストとしたものを分散機にかける方法、ペーストを分散機にかけながら処理剤を添加する方法がある。有機溶剤中で処理する方法は被処理粒子を分散した状態で処理でき、処理後も合一が起こりにくく、凝集体が発生しづらいので好ましい方法である。数種の処理剤で処理する時はスラリー調製時に同時に添加しても良いし、順次添加しても良いし、分散機にかける時に追加添加しても良い。或いは、数回分散機にかける場合には、分散機にかける毎に、予めスラリー中で添加混合あるいは分散機にかけているときに順次添加しても良い。
また、シランカップリング剤による表面処理は、前記の脂肪酸又は脂肪酸の金属塩での表面処理と併用することも可能である。
本発明の無機微粉体Aはトナー粒子100質量部に対して0.05乃至2.00質量部添加されていることが好ましい。上記範囲内の添加量であれば十分な添加効果が得られる。
本発明において、さらに現像性を良好にするために、トナーはさらに一次粒子の個数平均粒径が3nm以上25nm以下、かつ真密度が0.5g/cm3以上4.5g/cm3以下の微粉体Bを有することが好ましい。また、該無機微粉体Aの添加量が該微粉体Bの添加量の0.3倍以上1.5倍以下(質量基準)であることがより好ましい。
本発明者は、無機微粉体Aとより細かい微粉体との併用について検討した結果、上記の微紛体を用いることにより、低温低湿下においても感光体表面凹部への外添剤蓄積を防ぎつつ、良好な現像性が得られることを見出した。
微粉体Bとしては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム等の金属塩、ポリアミド樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、ウレタン粒子、メラミン−ホルムアルデヒド粒子、アクリル粒子の如き樹脂粒子;ゴム、ワックス、脂肪酸系化合物又は樹脂と、金属、金属酸化物、カーボンブラックの無機粒子とからなる複合粒子;テフロン(登録商標)、ポリ弗化ビニリデンの如きフッ素樹脂;弗化カーボンの如きフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩;脂肪酸エステルの如き脂肪酸誘導体;硫化モリブデン、アミノ酸及びアミノ酸誘導体等の有機粒子や複合粒子を用いることができる。
長期耐久で安定した現像性を得るためには、スペーサー粒子と呼ばれる一次粒子の個数平均粒径が50nm前後の粒子をトナーに添加することが知られているが、該スペーサー粒子も感光体表面凹部への蓄積が認められた。
そこで本発明者は、該スペーサー粒子との併用を検討した結果、下記の条件において感光体表面凹部への外添剤蓄積を防ぎつつ、長期耐久時においてもより安定した現像性が得られることを見出した。すなわちスペーサー粒子である無機微粉体Cの一次粒子の個数平均粒径を25nm以上70nm以下、かつ真密度を1.5g/cm3以上2.3g/cm3以下とする。さらに、トナー中の含有量を無機微粉体Aの該トナー中の含有量の20質量%以上80質量%以下にすることで、トナーの長期耐久安定性と感光体表面凹部への外添剤蓄積をより良好に両立することができる。無機微粉体Cとしては、シリカが好適に用いられる。
前記微粉体B及び無機微粉体Cは、それ単独で用いると、感光体の凹部に蓄積して画像欠陥を生じる場合があるが、本発明の無機微紛体Aと組み合わせることで、画像欠陥を生じることなく、それぞれの効果を発揮することができる。これには以下のような理由が考えられる。無機微粉体Aは解れやすく、感光体表面にかかる負荷の大小によらず凹部から押し出されやすい性質を有する。従って、本発明で用いられるトナーにおいて微粉体Bや無機微粉体Cを使用すれば、無機微粉体Aと共に微粉体Bや無機微粉体Cが凹部から押し出されるため、凹部に無機微粉体が蓄積されにくいと考えられる。その結果、画像欠陥を生じることなく、微粉体Bや無機微粉体Cの外添剤としての効果を得ることが出来る。
本発明のトナー粒子の製造方法は特に限定されず、懸濁重合法、乳化重合法、会合重合法、混錬粉砕法が用いられる。
以下、懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法について説明する。重合性単量体中に、着色剤、その他必要によりワックスの如き低軟化点物質、極性樹脂、荷電制御剤、重合開始剤を加える。そして、ホモジナイザー又は超音波分散機によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に攪拌機、ホモジナイザー又はホモミキサーにより分散せしめる。この際、好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように、攪拌速度や時間を調整し、造粒する。その後は、分散安定剤の作用により、単量体組成物の粒子状態が維持され、且つ単量体組成物の粒子の沈降が防止される程度の攪拌を行えばよい。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して行うのがよい。重合反応後半に昇温してもよく、更に、トナーの定着時の臭いの原因になる未反応重合性単量体や副生成物を除去するために、反応後半又は反応終了時に一部の水又は一部の水系媒体を留去してもよい。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄及び濾過により回収し乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体組成物100質量部に対して水300〜3,000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
トナー粒子の粒度分布制御や粒径の制御は、造粒時の水系媒体のpH調整、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散安定剤の種類や添加量を変える方法や、機械的装置のローターの周速、パス回数及び攪拌羽根形状、攪拌条件、容器形状又は水溶液中での固形分濃度を制御することにより行える。
懸濁重合に用いられる重合性単量体としては、スチレン;o−(m−、p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン誘導体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミドが挙げられる。
重合時に添加する極性樹脂としては、スチレンとアクリル酸又はメタクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
本発明で使用される重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチルニトリルの如きアゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロキシペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には重合性単量体に対して0.5〜20質量%(重合性単量体基準)の割合で用いられる。重合開始剤の種類は重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に単独又は混合し利用される。
懸濁重合の分散安定剤としては、無機系酸化物として、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、磁性体、フェライトが挙げられる。有機系化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンが挙げられる。これらの分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部の割合で使用するのが好ましい。
分散安定剤は市販のものをそのまま用いてもよいが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中にて高速攪拌下にて無機化合物を生成させて得ることもできる。例えば、リン酸カルシウムの場合は、高速攪拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合法に好ましい分散安定剤を得ることができる。
これらの分散安定剤の微細化のために、懸濁液100質量部に対して0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が使用できる。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが挙げられる。
次に、トナー粒子を粉砕法を用いて製造する方法の1例について説明する。
粉砕法では、結着樹脂、離型剤、荷電制御剤及び着色剤等をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により十分混合する。そして、これらを加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して、樹脂類を互いに相溶せしめた中に荷電制御剤、着色剤を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、機械的に所望の粒度に微粉砕し、更に分級によって微粉砕物の粒度分布をシャープにする。或いは、冷却固化後、ジェット気流下でターゲットに衝突させて得られた微粉砕物を、熱又は機械的衝撃力によって球形化する。
このようにして得られたトナー粒子に、前述の無機微粉体を外添して本発明に係るトナーとする。
該粉砕法で用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらは、単独又は混合して使用される。中でもスチレン−アクリル共重合樹脂、スチレン−メタクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
トナー粒子を正帯電性に制御する場合は、以下に挙げる荷電制御剤を用いることができる。例えば、脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩;トリブチルベンジジルホスホニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレートの如きホスホニウム塩;アミン及びポリアミン系化合物;高級脂肪酸の金属塩;アセチルアセトン金属錯体;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレートを添加することができる。また、トナー粒子を負帯電性に制御する場合は、以下に挙げる荷電制御剤を用いることができる。例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効で、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸の金属錯体、スルホン酸を側鎖に持つ高分子化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、珪素化合物、カリックスアレーン等を用いることができる。これらの荷電制御剤の使用量は結着樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが使用できるが、重合阻害性がなく水系媒体への可溶成分のない荷電制御剤が特に好ましい。
トナー粒子には、必要に応じて低軟化点物質を添加することができる。低軟化点物質としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、パラフィンワックス、フィッシャートロプッシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス又はその酸化物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス、又はその一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族ビスアミド類;ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンの如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化物が挙げられる。低軟化点物質の添加量は結着樹脂(或いは重合性単量体)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
次に、電子写真感光体の表面の形成方法について説明する。表面形状の形成方法としては、前記の凹形状部に係る要件を満たし得る方法であれば、特に制限はない。電子写真感光体表面の形成方法の例を挙げれば、パルス幅が100ns(ナノ秒)以下である出力特性を有するレーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法が挙げられる。
パルス幅が100ns(ナノ秒)以下である出力特性を有するレーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法について説明する。この方法で用いるレーザーの具体的な例としては、ArF、KrF、XeFまたはXeClのようなガスをレーザー媒質とするエキシマレーザーあるいはチタンサファイアを媒質とするフェムト秒レーザーが挙げられる。さらに、上記、レーザー照射における、レーザー光の波長は、1,000nm以下であることが好ましい。
上記エキシマレーザーは、以下の工程で放出されるレーザー光である。まず、Ar、KrまたはXeのような希ガスと、FあるいはClのようなのハロゲンガスとの混合気体に、放電、電子ビームまたはX線のような高エネルギーを与えて、上記の元素を励起して結合させる。その後、基底状態に落ちることで解離する際、エキシマレーザー光が放出される。上記、エキシマレーザーにおいて用いるガスとしては、ArF、KrF、XeClまたはXeFが挙げられるが、いずれを用いてもよい。特には、KrFあるいはArFが好ましい。
凹形状部の形成方法としては、図4に示されているレーザー光遮蔽部aとレーザー光透過部bとを適宣配列したマスクを使用する。マスクを透過したレーザー光のみがレンズで集光され、電子写真感光体の表面に照射されることにより、所望の形状と配列を有した凹形状部の形成が可能となる。上記、レーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法では、一定面積内の多数の凹形状部を、凹形状部の形状あるいは面積に関わらず瞬時に、かつ同時に加工できるため、表面形成工程は短時間で行うことが可能である。マスクを用いたレーザー照射により、1回照射当たり電子写真感光体の表面の数mm2から数cm2の領域が加工される。レーザー加工においては、図5に示すように、まず、ワーク回転用モーターdにより電子写真感光体fを自転させる。自転させながら、ワーク移動装置eにより、エキシマレーザー光照射器cのレーザー照射位置を電子写真感光体fの軸方向上にずらしていくことにより、電子写真感光体の表面の広範囲に効率良く凹形状部を形成することができる。
上記、レーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法により、表面層に複数の各々独立した凹形状部を有する電子写真感光体を作製することができる。また、凹形状部の長軸径をRpcおよび凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)を1.0より大きく7.0μm以下とすることができる。凹形状部の深さは、上記範囲内で任意であり、レーザー照射による電子写真感光体の表面を形成する場合は、レーザー照射時間、回数のような製造条件の調整で、凹形状部の深さは制御できる。製造上の精度あるいは生産性の観点から、レーザー照射による電子写真感光体の表面を形成する場合は、一回の照射による凹形状部の深さは0.1μm以上2.0μm以下とすることが望ましく、さらには0.3μm以上1.2μm以下であることが好ましい。レーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法を用いることにより、凹形状部の大きさ、形状および配列の制御性が高く、高精度且つ自由度の高い電子写真感光体の表面加工が実現できる。
また、レーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法では、同じマスクパターンを用いて上記の表面の形成方法を複数の部位あるいは感光体表面全域に施されてもよい。この方法により、感光体表面全体に均一性の高い凹形状部を形成することができる。その結果、電子写真装置において使用する際のクリーニングブレードにかかる力学的負荷は均一となる。また、図6に示すように、感光体の任意の周方向線上(矢印で示す)に、凹形状部h及び凹形状非形成部gの双方が存在する配列となるようにマスクパターンを形成することにより、クリーニングブレードにかかる力学的負荷の偏在をさらに抑制できる。
次に、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法について説明する。
図7(a)は、本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の例を示す図である。加圧及び解除が繰り返し行える加圧装置Aに所定のモールドBを取り付けた後、電子写真感光体Cに対して所定の圧力でモールドを当接させ形状転写を行う。その後、加圧を一旦解除し、電子写真感光体Cを回転させた後に、再度加圧そして形状転写工程を行う。この工程を繰り返すことにより、電子写真感光体全周にわたって所定の凹形状部を形成することが可能である。
また、例えば図7(b)に示されているような方法で凹形状部を形成してもよい。すなわち、加圧装置Aに電子写真感光体Cの表面一周長さ程度の所定形状を有するモールドBを取り付ける。その後、電子写真感光体Cに対して所定の圧力をかけながら、電子写真感光体を回転(矢印で示す方向に)、移動(矢印で示す方向に)させることにより、感光体全周にわたって所定の凹形状部を形成する。
また、シート状のモールドをロール状の加圧装置と電子写真感光体との間に挟み、モールドシートを送りながら表面加工することも可能である。
また、形状転写を効率的に行う目的で、モールドや電子写真感光体を加熱してもよい。モールドおよび電子写真感光体の加熱温度は、本発明の形状が形成できる範囲で任意であるが、形状転写時のモールドの温度(℃)を感光体の支持体上の感光層を形成する樹脂のガラス転移温度(℃)より高くするように加熱されていることが好ましい。さらには、モールドの加熱に加えて、形状転写時の支持体の温度(℃)を感光層のガラス転移温度(℃)より低く制御されていることが、電子写真感光体表面に転写された凹形状部を安定的に形成するうえで好ましい。
また、本発明の電子写真感光体が電荷輸送層を有する感光体である場合は、形状転写時のモールドの温度(℃)を支持体上の電荷輸送層のガラス転移温度(℃)より高くするように加熱されていることが好ましい。さらには、モールドの加熱に加えて、形状転写時の支持体の温度(℃)を電荷輸送層のガラス転移温度(℃)より低く制御されていることが、感光体表面に転写された凹形状部を安定的に形成するうえで好ましい。
モールド自体の材質や大きさ、形状は適宜選択することが出来る。材質としては、微細表面加工された金属およびシリコンウエハーの表面にレジストによりパターニングをしたもの、微粒子が分散された樹脂フィルムまたは所定の微細表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングされたものが挙げられる。モールド形状の一例を図8に示す。図8において、(1)は上から見た、モールド形状を示し、(2)は横から見た、モールド形状を示す図である。
また、感光体に対して圧力の均一性を付与する目的で、モールドと加圧装置との間に弾性体を設けてもよい。
上記、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法により、表面層に複数の各々独立した凹形状部を有する電子写真感光体を作製することができる。そして、凹形状部の長軸径をRpc、凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に、モールドの形状を調整することで、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)を1.0より大きく7.0以下とすることができる。凹形状部の深さは、上記範囲内で任意であるが、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成を行う場合は、深さは0.1μm以上10μm以下とすることが望ましい。所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法を用いることにより、凹形状部の大きさ、形状および配列の制御性が高く、高精度且つ自由度の高い電子写真感光体の表面加工が実現できる。
次に、本発明に用いられる電子写真感光体の構成について説明する。
上記のとおり、本発明に用いられる電子写真感光体は、支持体と、該支持体上に設けられた有機感光層とを有する。電子写真感光体は、一般的には、円筒状支持体上に感光層を形成した円筒状有機電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状或いはシート状などの形状も可能である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質とを同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であっても、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体において、積層型感光層を採用する場合、電子写真特性の観点から、順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構成としてもよい。さらに、耐久性能向上等を目的とし感光層上に保護層を設けることも可能である。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレスのような金属製の支持体を用いることができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理したものも用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体や樹脂製支持体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレン又はポリスチレン樹脂)を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子または銀粒子のような導電性粒子を樹脂や紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止などを目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
支持体の体積抵抗率は、支持体の表面が導電性を付与するために設けられた層である場合、その層の体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、特には1×106Ω・cm以下であることがより好ましい。
支持体と、後述の中間層又は感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。これは導電性粉体を適当な結着樹脂に分散させた塗布液を塗工することにより形成される層である。
このような導電性粉体としては、以下のようなものが挙げられる。カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛又は銀のような金属粉;導電性酸化スズ又はITOのような金属酸化物粉体。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、以下の熱可塑樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂樹脂が挙げられる。ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂又はアルキッド樹脂。
導電層は、上記導電性粉体と結着樹脂を、テトラヒドロフラン又はエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル系溶剤;メタノールのようなアルコール系溶剤;メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤;トルエンのような芳香族炭化水素溶剤に分散し、または溶解し、これを塗布することにより形成することができる。導電層の平均膜厚は0.2μm以上40μm以上であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、さらには5μm以上30μm以下であることがより一層好ましい。
導電性顔料や抵抗調節顔料を分散させた導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
支持体又は導電層と、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、例えば、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護のために形成される。
中間層は、硬化性樹脂を塗布後硬化させて樹脂層を形成する、あるいは、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を導電層上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
中間層の結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸又はカゼインのような水溶性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリグルタミン酸エステル樹脂。電気的バリア性を効果的に発現させるためには、また、塗工性、密着性、耐溶剤性および抵抗のような観点から、中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。中間層の平均膜厚は、0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、さらには0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層中に、半導電性粒子を分散させる、あるいは、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
次に感光層について説明する。
感光層に添加される電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ、ジスアゾ又はトリスアゾのようなアゾ顔料;金属フタロシアニン又は非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料;インジゴ又はチオインジゴのようなインジゴ顔料;ペリレン酸無水物又はペリレン酸イミドのようなペリレン顔料;アンスラキノン又はピレンキノンのような多環キノン顔料;スクワリリウム色素、ピリリウム塩又はチアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素;セレン、セレン−テルル又はアモルファスシリコンのような無機物質;キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素又はスチリル色素。これら電荷発生材料は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンあるいはクロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため、好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂。特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミルを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、10:1〜1:10(質量比)の範囲が好ましく、特には3:1〜1:1(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択される。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤又は芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物又はトリアリルメタン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂とを溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、上記電荷輸送物質のうち単独で成膜性を有するものは、結着樹脂を用いずにそれ単独で成膜し、電荷輸送層とすることもできる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂又は不飽和樹脂。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂又はジアリルフタレート樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、以下のものが挙げられる。アセトン又はメチルエチルケトンのようなケトン系溶剤;酢酸メチル又は酢酸エチルのようなエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメトキシメタン又はジメトキシエタンのようなエーテル系溶剤;トルエン、キシレン又はクロロベンゼンのような芳香族炭化水素溶剤。これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤又は芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性のような観点から好ましい。
電荷輸送層の平均膜厚は5〜50μmであることが好ましく、特には10〜35μmであることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
電子写真感光体の耐久性能の向上にあたっては、上記の機能分離型感光体の場合、表面層となる電荷輸送層の材料設計は重要である。例えば、高強度の結着樹脂を用いる方法、可塑性を示す電荷輸送物質と結着樹脂との比率を適正化する方法、高分子電荷輸送物質を使用する方法が挙げられるが、より耐久性能を発現させるためには表面層を硬化系樹脂で構成することが有効である。
表面層を硬化系樹脂で構成する方法としては、例えば、電荷輸送層を硬化系樹脂で構成することが挙げられ、また、上記の電荷輸送層上に第二の電荷輸送層或いは保護層として硬化系樹脂層を形成することが挙げられる。硬化系樹脂層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力との両立であり、電荷輸送材料及び重合或いは架橋性のモノマーやオリゴマーから構成されるのが一般的である。
これら表面層を硬化系樹脂で構成する方法には、電荷輸送材料としては、公知の正孔輸送性化合物及び電子輸送性化合物を用いることができる。これらの化合物を合成する材料としては、アクリロイルオキシ基又はスチレン基を有する連鎖重合系の材料が挙げられる。また、水酸基、アルコキシシリル基又はイソシアネート基を有する逐次重合系のような材料が挙げられる。特に、表面層を硬化系樹脂で構成された電子写真感光体の電子写真特性、汎用性や材料設計および製造安定性の観点から正孔輸送性化合物と連鎖重合系材料の組み合わせが好ましい。さらには、正孔輸送性基及びアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を硬化させた表面層で構成された電子写真感光体であることが特に好ましい。
硬化手段としては、熱、光又は放射線のような公知の手段が利用できる。
硬化層の平均膜厚は、電荷輸送層の場合は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、さらには10μm以上35μm以下であることが好ましい。第二の電荷輸送層或いは保護層の場合は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、さらには1μm以上10μm以下であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体の各層には各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤あるいは対光安定剤のような劣化防止剤や、有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系対光安定剤、硫黄原子含有酸化防止剤、リン原子含有酸化防止剤が挙げられる。有機微粒子としては、フッ素原子含有樹脂粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエチレン樹脂粒子のような高分子樹脂粒子が挙げられる。無機微粒子としては、シリカ、アルミナのような金属酸化物が挙げられる。
本発明において用いられる電子写真感光体は、上記の通り、特定の凹形状部を電子写真感光体の表面に有する。本発明の凹形状部は、表面が摩耗しにくい感光体に適用したときに効果的に作用する。
電子写真感光体の表面層の弾性変形率は、40%以上70%以下であることが好ましく、45%以上65%以下であることがより好ましく、50%以上60%以下であることがより一層好ましい。また、電子写真感光体の表面のユニバーサル硬さ値(HU)は、140N/mm2以上240mm2以下であることが好ましく、さらには、150N/mm2以上220N/mm2以下であることが好ましい。
本発明において、電子写真感光体の表面のユニバーサル硬さ値(HU)及び弾性変形率は、雰囲気温度25℃および相対湿度50%の環境下、微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定した値である。このフィシャースコープH100Vは、測定対象(電子写真感光体の周面)に圧子を当接し、この圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読することにより連続的硬さが求められる装置である。本発明においては、圧子として対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用い、電子写真感光体の周面に圧子を押し当て、以下の条件で行った。
圧子に連続的にかける荷重の最終(最終荷重):6mN
圧子に最終荷重6mNをかけた状態を保持する時間(保持時間):0.1秒
また、測定点は273点とした。
図9は、フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの概略を示す図である。図9において、縦軸は圧子にかけた荷重F(mN)を、横軸は圧子の押し込み深さh(μm)を示す。図9は、圧子にかける荷重を段階的に増加させて荷重が最大になった(A→B)後、段階的に荷重を減少させた(B→C)ときの結果を示す。
ユニバーサル硬さ値は、圧子に最終荷重6mNをかけたときの該圧子の押し込み深さから下記式により求めることができる。なお、下記式中、HUはユニバーサル硬さを、Ffは最終荷重(単位N)を、Sfは最終荷重をかけたときの圧子の押し込まれた部分の表面積(mm2)をそれぞれ示す。また、hfは最終荷重をかけたときの圧子の押し込み深さ(mm)を示す。
また、弾性変形率は、圧子が測定対象(電子写真感光体の周面)に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち、圧子の測定対象(電子写真感光体の周面)に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めることができる。具体的には、弾性変形仕事量Weを全仕事量Wtで除した値(We/Wt)が弾性変形率である。なお、全仕事量Wtは、図9中のA−B−D−Aで囲まれる領域の面積であり、弾性変形仕事量Weは、図9中のC−B−D−Cで囲まれる領域の面積である。
以上の各層の塗布液を塗布する際には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法又はリングコーティング法のような塗布方法を用いることができる。
次に本発明の画像形成方法について説明する。
図10(a)は本発明の画像形成方法を適用することのできる画像形成装置の断面図の一例である。図10(a)において感光体1は図示しない駆動装置で矢印の方向に回転駆動されている。
感光体1の表面は、帯電手段によって所望の電位に帯電される。図10(a)においてはスコロトロン帯電器2によるコロナ帯電方式を示しているが、接触帯電方式や近接帯電方式を用いることもできる。
帯電された感光体1の表面は露光装置3によって所望の静電潜像が形成される。
感光体1に形成された静電潜像は、現像装置4によりトナー像として現像される。現像方式は一成分現像方式または二成分現像方式のいずれでもよく、また接触現像でも非接触現像でもよい。
現像装置4は、トナー担持体としての現像スリーブ4aを備えている。現像スリーブ4aは、その外周面の一部を現像装置4の外部に露呈させて、回転可能に配置してある。現像スリーブ4a内には非回転に固定されたマグネットローラ(図示せず)が挿設されている。現像スリーブ4aに対向して、トナーコーティングブレード4bが設けられている。現像装置4内には、現像剤5が収容されている。
現像スリーブ4aは、感光体1と接触または、最近接距離(S−Dgap)を保持して感光体1に対向配設される。S−Dgapは1成分現像方式では0.2μm〜1.0μm、2成分現像方式では0.3μm〜2.0μm程度の範囲に適宜設定される。この感光体1と現像スリーブ4aとの対向部が現像部である。
現像スリーブ4aには、所定の現像バイアスが印加される。現像スリーブ4aに印加される現像バイアス電圧は、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧であることが好ましい。
現像スリーブ4a上に整層された薄層を形成する現像剤は、現像部に搬送されると、現像バイアスによる電界によって、感光体1に形成された静電潜像に対応して感光体1の表面に選択的に付着する。このようにして感光体1に形成された静電潜像はトナー画像として現像される。
感光体1に形成されたトナー画像はコロナ帯電器7からなる転写装置によって転写材6に転写される。また転写装置としては転写ローラーからなる転写装置を用いることもできる。
さらには図10(b)に示すように中間転写体を用いることもできる。図10(b)において中間転写体9は主に1次転写ローラー9aおよび中間転写ベルト9bにより構成される。トナー画像のトナーに対して逆極性のバイアスを1次転写ローラーに印加してトナー画像を中間転写ベルト9bに転写する。さらに中間転写ベルト9b上に転写されたトナー画像を、2次転写ローラー10にトナー画像のトナーに対して逆極性のバイアスを印加することにより、転写材6に転写する。
さらに転写工程後に感光体1上に残留するトナーはクリーニングブレード8によって感光体1から除去される。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお特に断らない限り実施例中の「部」は「質量部」を表す。
<感光体の製造例1>
直径84mm、長さ370.0mmの表面が切削加工されたアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、以下の成分からなる溶液を約20時間、ボールミルで分散し導電層用塗料を調製した。
酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体 60部
(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)
酸化チタン 15部
(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)
レゾール型フェノール樹脂 43部
(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)
シリコーンオイル 0.015部
(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)
シリコーン樹脂 3.6部
(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)
2−メトキシ−1−プロパノール 50部
メタノール 50部
上記方法にて調製した導電層用塗料を、上記支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体上端から170mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、以下の成分をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解した中間層用塗料を、上記導電層上に浸漬塗布し、100℃に加熱されたのオーブン内で30分間、加熱乾燥した。そして、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が0.45μmの中間層を形成した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
次に、以下の成分を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKα特性X線回折において、7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°(ブラッグ角度(2θ±0.2°))に強い回折ピーク有するもの)
下記構造式(1)
で示されるカリックスアレーン化合物 0.2部
ポリビニルブチラール 10部
(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)
シクロヘキサノン 600部
上記電荷発生層用塗料を中間層上に浸漬コーティング法で塗布し、80℃に加熱されたオーブン内で15分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次いで、以下の成分をクロロベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。これを用いて、上記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、100℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
下記構造式(2)
で示される電荷輸送物質(正孔輸送物質) 70部
ポリカーボネート樹脂 100部
(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)
次いで、以下の成分を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)20部及び1−プロパノール20部の混合溶剤に溶解した。
フッ素原子含有樹脂 0.5部
(商品名:GF−300、東亞合成(株)社製)
上記フッ素原子含有樹脂が溶解された溶液に、4フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)10部を加えた。その後、4フッ化エチレン樹脂粉体を加えた溶液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)で600kgf/cm2の圧力で4回の処理を施し、均一に分散させた。さらに、上記分散処理を行った溶液をポリフロンフィルター(商品名PF−040、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過を行い、分散液を調製した。その後、下記構造式(3)
で示される電荷輸送物質(正孔輸送物質)90部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン70部及び1−プロパノール70部を上記分散液に加えた。これを、ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過を行い、第二電荷輸送層用塗料を調製した。
上記第二電荷輸送層用塗料を用いて、上記電荷輸送層上に第二電荷輸送層用塗料を塗布した後、大気中、50℃のオーブンで10分間乾燥した。その後、窒素雰囲気下において加速電圧150kVおよびビーム電流3.0mAの条件で支持体を200rpmで回転させながら1.6秒間電子線照射を行った。引き続いて、窒素雰囲気下において、支持体周囲の温度を25℃から125℃まで30秒かけて昇温させ、第二電荷輸送層に含有される物質の硬化反応を行った。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ、15kGyであった。また、電子線照射及び加熱硬化反応雰囲気の酸素濃度は15ppm以下であった。上記処理を行った支持体を、大気中において25℃まで自然冷却し、その後、100℃に加熱されたオーブン内で30分間、大気中で、加熱処理を行って、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を得た。
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、図8に示されたモールドによる圧接形状転写加工装置において表面加工を行い、感光体aを得た。加工時の電子写真感光体及びモールドの温度は110℃に制御し、5MPaの圧力で加圧しながら、感光体を周方向に回転させ形状転写を行った。図8において、(1)は上から見たモールド形状を示し、(2)は横から見たモールド形状を示す図である。図8に示すモールドは円柱形状を有しており、その長軸径Dは1.0μm、高さFは3.0μmであり、モールドとモールドとの間隔Eは1.0μmである。
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、超深度形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス社製)を用いて表面観察を行った。測定対象の電子写真感光体を円筒状支持体を固定できるよう加工された置き台に設置し、電子写真感光体の上端から170mm離れた位置の表面観察を行った。その際、対物レンズ倍率50倍とし、感光体表面の100μm四方を視野観察とし、測定を行った。測定視野内に観察された凹形状部を解析プログラムを用いて解析を行った。
測定視野内にある各凹形状部の表面部分の形状、平均長軸径および100μm四方中の凹形状部の個数を測定した。電子写真感光体の表面には、図2(a)に示される円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。平均長軸径は1.0μmであった。また、凹形状部の100μm四方中の個数は2500個であった。
上記の方法により作製された電子写真感光体を、雰囲気温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した後、弾性変形率及びユニバーサル硬さを測定した。結果、弾性変形率値は55%およびユニバーサル硬さ値は180N/mm2であった。
<感光体の製造例2、3、4>
圧接形状転写加工装置における表面加工時のモールドを変更する以外は感光体の製造例1と同様にして感光体b、c、dを得た。凹形状部の表面部分の形状、平均長軸径、100μm四方中の凹形状部の個数、弾性変形率及びユニバーサル硬さを表1に示す。
<感光体の比較製造例1,2,3,4,5>
圧接形状転写加工装置における表面加工時のモールドを変更する以外は感光体の製造例1と同様にして感光体e、f、g、h、iを得た。凹形状部の表面部分の形状、平均長軸径、100μm四方中の凹形状部の個数、弾性変形率及びユニバーサル硬さを表1に示す。
<トナー粒子の製造例>
高速攪拌装置クレアミックス(エムテクニック(株)製)を備えた2L用4つ口フラスコ中に、イオン交換水630部と、0.1mol/LのNa3PO4水溶液485質量部とを添加し、クレアミックスの回転数を14,000rpmにし65℃に加温した。ここに、1.0mol/LのCaCl2水溶液65部を徐々に添加し、更に10%塩酸を滴下して微小な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含むpH=5.8の水系分散媒体を調製した。
・スチレン単量体 180部
・n−ブチルアクリレート単量体 20部
・カーボンブラック 45部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物 1.3部
上記材料をアトライターを用いて5時間分散させたて混合物を調製した後、混合物に下記の成分を加えて、更に2時間分散させて、単量体混合物を調製した。
飽和ポリエステル樹脂(モノマー組成 プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸の重縮合物)
(酸価8.8mgKOH/g、ピーク分子量12,500、重量平均分子量19500) 12部
・エステルワックス(組成:ベヘン酸ベヘニル,分子量11500) 20部
次に、単量体混合物に重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を添加して重合性単量体組成物を調製した後、水系分散媒体中に投入し、内温70℃の窒素雰囲気下、15,000rpmで15分間造粒した。その後、攪拌機をプロペラ攪拌機に交換し、50rpmで攪拌しながら70℃に保ちつつ5時間重合し、更に内温を80℃に昇温させ5時間重合した。重合終了後、スラリーを冷却し希塩酸を添加して分散剤を除去した。更に水洗し、乾燥及び分級を行い、重量平均粒径6.8μmのトナー粒子aを得た。
<キャリアの製造例>
MnOを20.0mol%、MgOを7.8mol%、Fe2O3を65.2mol%及びSrCO3を0.8mol%湿式ボールミル(フリッチュ社製)で5時間粉砕、混合し、乾燥させた後、920℃で1時間保持し、仮焼成を行った。これを湿式ボールミルで7時間粉砕し、3μm以下とした。このスラリーに分散剤およびバインダー(ポリビニルアルコール)を5質量%添加し、次いでスプレードライヤー(三菱化工機製)により造粒、乾燥し、電気炉にて、1200℃で4時間保持し、本焼成を行った。その後、解砕し、さらに分級して、体積平均粒径が45.2μmのキャリア芯材を得た。次に、ストレートシリコーン(信越化学社製KR255(固形分換算))100質量部とシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルエトキシシラン)5質量部をキシレン300質量部と混合させ、キャリア樹脂被覆溶液とした。この樹脂被覆溶液を用いて70℃に加熱した流動床を用いて攪拌しながら、キャリア芯材に対して塗布および溶媒除去操作を行った。さらに、オーブンを用いて、230℃で2.5時間の処理を行い、解砕、篩による分級処理を行い、凝集をほぐした後、200メッシュ(75μmの目開き)以上の粗粒を除去し、キャリアaを得た。
<実施例1>
炭酸ガス反応法によって得られた未処理炭酸カルシウム(無機微粉体Aa)100部を密閉型高速撹拌機に入れ撹拌する。190℃に熱した溶融状態のステアリン酸亜鉛(ステアリン酸純度98%)12部を撹拌機内に噴霧する。処理剤を全量噴霧した後撹拌しながら撹拌機内を1.5℃/分の速度で徐冷して室温に戻し取り出した後、ピンミルで解砕処理をして、無機微粉体Abを得た。無機微粉体Aa、及び無機微粉体Abの特性は表2に示す。
トナー粒子a100部に対して、無機微粉体Ab1部、ジメチルシリコーンオイル10部で表面処理されたアルミナ(1次粒子の個数平均粒径が15nm、真密度が3.7g/cm3、微粉体Ba)1部、イソブチルトリメトキシシラン7部で表面処理されたシリカ(1次粒子の個数平均粒径が50nm、真密度が1.9g/cm3、無機微粉体Ca)0.5部とをヘンシェルミキサー(FM10B、三井三池化工機(株)製)(回転数:66回/秒、時間:3分間)で外添してトナーaを得た。
トナーaとキャリアaとをトナー濃度8%で混合して二成分系現像剤を作製した。
次に、感光体aを、キヤノン(株)製の電子写真複写機iRC6800の改造機(負帯電型に改造)に装着し、以下のように評価を行った。
まず、温度25℃/湿度60%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)は感光体上のトナーコート量が0.3g/cm3になるように電位の条件を設定し、電子写真感光体の初期電位を調整した。
次に、ウレタンゴム製のクリーニングブレードを、電子写真感光体表面に対して、当接角26°、当接圧0.294N/cm(30g/cm)となるように設定した。
トナーaを補給剤に用い、出力解像度600dpiとして以下の評価を行った。評価結果を表5に示す。
[画像濃度安定性]
温度25℃/湿度60%RH環境において、印字比率6%の文字チャートで2万5千枚のA4連続プリントを行った。A4連続プリント100枚目と2万5千枚目にべた黒画像をサンプリングした。評価モード1の100枚目と2万5千枚目のサンプルのベタ黒部の画像濃度を測定(各9点平均)し、その差を求める。濃度測定は反射濃度計RD918(マクベス社製)で行った。この評価を3回行い、その平均値からランクを求めた。評価のランク分けは以下のように行った。
ランク5:濃度差0.05未満
ランク4:濃度差0.05以上0.1未満
ランク3:濃度差0.1以上0.15未満
ランク2:濃度差0.15以上0.20未満
ランク1:濃度差0.20以上
[クリーニング性]
クリーニング性評価のため、クリーニング不良に因って発生する融着を評価した。温度25℃/湿度3%RHの環境において、印字比率30%の文字チャートで2万5千枚のA4連続プリントを行った。
連続プリント終了後、感光体表面をデジタルハイビジョンマイクロスコープVQ−7000(キーエンス社製)で観察する(倍率300倍)。視野中の融着が発生している個所をマーキングし、面積を求め、視野中に融着が発生している面積比率を求める。これを感光体全面で20視野観察し、その平均値を融着発生率とした。この評価を3回行い、その平均値からランクを求めた。評価のランク分けは以下のように行った。
ランク5:融着発生率1%未満
ランク4:融着発生率1%以上5%未満
ランク3:融着発生率5%以上10%未満
ランク2:融着発生率10%以上15%未満
ランク1:融着発生率15%以上
[転写効率]
画像濃度安定性評価の2万5千枚目時に転写効率の測定を行った。
[白ポチの発生]
温度25℃/湿度3%RHの環境において、印字比率15%の文字チャートで1万枚のA4連続プリントを行った。連続プリント終了後ベタ黒画像(A3)を5枚サンプリングした。
ベタ黒画像上、左端から5cm、15cm、25cmかつ上端から7cm、21cm、35cmの計9点を中心とした半径2.5cmの円内の白ポチの個数を各円毎に数え、9個の円一つあたりの白ポチの個数の平均を求めた。さらに5枚のサンプル画像における平均を求め、以下のランク分けを行った。
ランク5:白ポチなし
ランク4:1.0未満
ランク3:1.0以上2.0未満
ランク2:2.0以上5.0未満
ランク1:5.0以上
<無機微粉体Ac〜Axについて>
外添剤Ac、Af〜Anは処理方法を以下のように変更する以外は、無機微粉体Abと同様にして作成された。また、Atは以下の様にして得られた。Aeは表面処理を行わなかった。それ以外の無機微粉体は、表2に示すように母体を変更した以外は、無機微粉体Abと同様にして作成された。
Ac:無機微粉体Aaの表面処理をトリメチルシラン10部にした
Af:無機微粉体Aaの表面処理をヘキサメチルジシラザン6部にした
Ag:無機微粉体Aaの表面処理剤として、ステアリン酸:オレイン酸=70:30の質量比率からなる脂肪酸のカルシウム塩を用いて表面処理した
Ah:無機微粉体Aaの表面処理剤として、ステアリン酸:オレイン酸=68:32の質量比率からなる脂肪酸のカルシウム塩を用いて表面処理した
Ai:無機微粉体Aaの表面処理剤として、オクタン酸のカルシウム塩を用いて表面処理した
Aj:無機微粉体Aaの表面処理剤として、ラウリン酸のカルシウム塩を用いて表面処理した
Ak:無機微粉体Aaの表面処理剤として、ミリスチン酸のカルシウム塩を用いて表面処理した
Al:無機微粉体Aaの表面処理剤として、ベヘニン酸のカルシウム塩を用いて表面処理した
Am:無機微粉体Aaの表面処理剤として、モンタン酸のカルシウム塩を用いて表面処理した
An:無機微粉体Aaの表面処理剤として、メリシン酸のカルシウム塩を用いて表面処理した
At:炭酸ガス反応法によって得られた未処理炭酸カルシウム(無機微粉体Aa)100部をスラリー化し、窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して3質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れた。そして、撹拌しながら、硫酸カルシウム水溶液を滴下し、無機微粉体Aa表面にステアリン酸カルシウムを析出させた。該スラリーを純水で繰り返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥してステアリン酸カルシウムを用いて表面処理した。
<実施例2〜37>
用いる無機微粉体を表5のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作成し、評価を行った。結果を表5に示す。無機微粉体Aa〜Ax、Ba〜Bg、Ca〜Cfの詳細をそれぞれ表2、3、4に示す。
<実施例38〜40>
実施例1において、感光体aの代わりにそれぞれ、感光体b、感光体c、感光体dを用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果を表5に示す。
<比較例1〜5>
実施例1において、感光体aの代わりにそれぞれ、感光体e、f、g、h、iを用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
<比較例6〜11>
用いる無機微粉体を表6のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作成し、評価を行った。結果を表6に示す。