JP5475367B2 - N−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムおよびn−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

N−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムおよびn−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、少なくともN−ビニルカルバゾールを原料とする共重合体からなる位相差フィルム、およびN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムを製造するための方法に関するものである。
近年、液晶ディスプレイの適用範囲は、電卓やデジタル時計などの表示板からコンピュータディスプレイや液晶テレビなどにまで広がっており、我々の生活に欠かせないものとなりつつある。液晶ディスプレイは、一般的に液晶セルを二枚の偏光板により挟む構成を有しており、入射側の偏光板を経た偏光を液晶セルでねじり、出射側の偏光板を通す。この際、液晶セルに対する電圧負荷の有無により、光制御を行う。
ここで、液晶ディスプレイの液晶セルでは、波長に依存して入射光の位相がずれる波長分散という現象が起こる。液晶ディスプレイの表示方式としては、STN方式、TN方式、VA方式、IPS方式、OCB方式などが知られているが、特にSTN方式の液晶ディスプレイは液晶セルにおけるツイスト角が180〜270°と大きいことから、位相のずれが大きい。その結果、液晶ディスプレイが着色してしまうという問題がある。
上記の問題を解消するために、光の波長が短いほど複屈折が小さくなるという波長分散性、即ち逆波長分散性を示す位相差フィルムを液晶セルと組合わせることが行われている。上記の光学補償の他、逆波長分散性を示す位相差フィルムは、VA方式液晶ディスプレイの斜め方向のコントラストの向上のためにも利用されている。また、有機ELディスプレイの反射防止用1/4λ板にも適用されている。
位相差フィルムを構成する樹脂材料としては、ガラス転移温度が高く耐熱性に優れる上に、屈折率が大きいことから、N−ビニルカルバゾール単位を含む共重合体が用いられる。
例えば特許文献1には、N−ビニルカルバゾールを主要なモノマー成分とする重合体を含む光学用樹脂組成物であって、成形性に優れ、複屈折性の小さなものが開示されている。
また、特許文献2には、N−ビニルカルバゾールを電荷輸送性化合物として共重合させた電界発光素子が記載されている。
さらに特許文献3〜4には、N−ビニルカルバゾールの共重合体からなる光学フィルム、特に位相差板が開示されている。
しかし、従来のN−ビニルカルバゾール共重合体は、薄黄色〜薄褐色に着色している。さらに、フィルム状に成形する際には、キャスト法はコストがかかることから、一般的には溶融押出成形や熱プレス成形など加熱成形が行われ、かかる加熱により着色度合いが高まってしまう。その結果、可視光領域で光吸収が起き、光透過率が低下するという問題があった。
また、N−ビニルカルバゾールは一般的にコールタールから単離精製されるものであるため、化学構造の類似する化合物が混入する。かかる類似化合物の中には独特の臭気を発するものがあり、共重合後にも残留するため、N−ビニルカルバゾール共重合体フィルムにも独特の臭気が残るという問題があった。
特開昭58−162617号公報 特開平7−188340号公報 特開2009−102625号公報 特開2009−138069号公報
上述したように、従来、N−ビニルカルバゾール共重合体フィルムは位相差フィルムなどとして利用されていたが、着色のために可視光領域での光透過性が低減するという問題があった。また、N−ビニルカルバゾール共重合体には、独特の臭気を有するという問題もある。
そこで本発明は、着色と臭気が顕著に抑制されているN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムを製造するための方法と、着色と臭気が顕著に抑制されているN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、N−ビニルカルバゾールの原料化合物であるカルバゾールとして高純度のものを用いれば、着色と臭気が顕著に抑制されているN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムを製造できることを見出して、本発明を完成した。
より詳しくは、本発明者らは、先ずN−ビニルカルバゾールを精製して共重合体の純度を上げることを考えたが、層状のN−ビニルカルバゾール中に入り込んだ不純物を除去することは極めて困難であり、共重合体の着色と臭気を低減することはできなかった。そこで、着色や臭気の原因となる化合物を特定し、その化合物を低減する手段を検討しようとしたが、原因化合物の特定には至らなかった。即ち、N−ビニルカルバゾールの原料であるカルバゾールは原油から単離精製されるが、原油由来の不純物が混入しがちであり、例えば、ある市販のカルバゾール製品の純度は95%程度であって、不純物の種類や量は比較的多いといえる。その上、着色原因化合物は極めて微量で着色や臭気の原因となっているのか、特定することができなかった。しかし本発明者らは、原料化合物であるカルバゾールの精製を徹底的に進め、得られた高純度カルバゾールからN−ビニルカルバゾールを合成して共重合したところ、着色と臭気が顕著に抑制された位相差フィルムを得ることに成功できた。
上記研究により完成された本発明に係るN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムの製造方法は、純度99.0質量%以上のカルバゾールからN−ビニルカルバゾールを合成する工程;1質量%以上、15質量%以下のN−ビニルカルバゾールおよび85質量%以上、99質量%以下の(メタ)アクリル酸系モノマーを含むモノマー群を共重合する工程;および、得られた共重合体をフィルム状に加熱成形する工程を含むことを特徴とする。
(メタ)アクリル酸系モノマーとして、少なくともメタクリル酸メチルおよび2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを用い、さらに、隣り合うメタクリル酸メチル単位と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル単位とを脱アルコール環化縮合させ、ラクトン環構造を形成する工程を実施することが好ましい。かかる環構造を導入されたN−ビニルカルバゾール共重合体相差フィルムは、耐熱性に極めて優れる。
また、本発明に係るN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムは、着色が顕著に抑制されているものであって、280℃で20分間加熱した前後におけるYI値の変化率が3.5倍以下であることを特徴とする。
本発明に係るN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムとしては、逆波長分散性を示すものが好適である。
本発明方法によれば、従来技術に比して着色と臭気が顕著に抑制されたN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムを製造することができる。
また、着色物質などを比較的多く含む従来のN−ビニルカルバゾール共重合体は、溶融成形をすると加熱により着色度合いが高まってしまうが、それに対して本発明に係るN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムは、加熱成形を経ても着色度合いの高まりは抑えられる。
従って本発明に係るN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムは、可視光領域における光吸収が抑制されており、また、臭気も抑制されているものとして、非常に実用的である。
N−ビニルカルバゾール重合体から発せられる臭気をGS−MS分析して得られたマススペクトルチャートのうち、N−メチルカルバゾールのものと推定されるチャートである。 N−ビニルカルバゾール重合体から発せられる臭気をGS−MS分析して得られたマススペクトルチャートのうち、ジヒドロアクリジンのものと推定されるチャートである。 N−ビニルカルバゾール重合体から発せられる臭気をGS−MS分析して得られたマススペクトルチャートのうち、アザフルオレンのものと推定されるチャートである。 N−ビニルカルバゾール重合体から発せられる臭気をGS−MS分析して得られたマススペクトルチャートのうち、メチルアクリジンのものと推定されるチャートである。 N−ビニルカルバゾール重合体から発せられる臭気をGS−MS分析して得られたマススペクトルチャートのうち、エチルアクリジンのものと推定されるチャートである。
以下、本発明方法を実施の順番に従って説明する。
1.N−ビニルカルバゾールの合成工程
本発明方法では、原料として、純度が99.0質量%以上のカルバゾールを用いる。カルバゾールは、一般的に原油から単離精製されるため、原油由来の不純物であり、特にカルバゾールと類似の構造や物性を有するものが混入するため、市販のものの純度は比較的低い。
原料であるカルバゾールの純度が99.0質量%以上であれば、カルバゾールからN−ビニルカルバゾールを合成し、さらに共重合させても、得られるN−ビニルカルバゾール共重合体の着色と臭気は抑制され、また、共重合体を溶融成形しても着色度合いの高まりは抑制される。かかる効果は、カルバゾールの純度が高いほど優れたものとなるので、当該純度としては、99.1質量%以上がより好ましく、99.2質量%以上がさらに好ましい。
カルバゾールの精製方法としては、蒸留、共沸蒸留、抽出および再結晶などが挙げられる。より詳しくは、カルバゾールの沸点は355℃であるので、一般的な蒸留ではかかる沸点を示す留分を集める。カルバゾールの共沸蒸留で用いられる共沸剤としては、一価アルコールやポリアルキレングリコールなどが知られている。抽出に用いられる溶媒としては、トルエン、ベンゼン、クロロトルエンなどが用いられる。再結晶に用いられる溶媒としては、抽出溶媒に加えて、C1-6アルコールなどが用いられる。
本発明では、原料であるカルバゾールの純度が99.0質量%以上となるまで精製を繰り返す。かかる純度は、例えば、一般的な蒸留のみではカルバゾールを完全に精製できないため、所望の純度となるまで異なる精製方法を組合わせたり、同一の精製を繰り返し行う。
次に、得られた高純度のカルバゾールを原料とし、N−ビニルカルバゾールを合成する。カルバゾールからN−ビニルカルバゾールを合成する方法としては、主にレッペ法と分子内脱水法がある。
レッペ法とは、溶媒中、カルバゾールにアセチレンを反応させる方法である。反応条件は特に制限されないが、例えば、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどの溶媒にカルバゾールを溶解し、アセチレンを添加する。触媒として水酸化ナトリウムなどの強塩基類やカルバゾールカリウムなどを添加してもよい。反応温度は、100℃以上、200℃以下程度とすることができる。また、アセチレンが蒸散しないように密閉系で反応を行い、好適には加圧下で反応を行う。より具体的には、特開昭48−68564号公報を参照すればよい。
分子内脱水法とは、カルバゾールからN−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールを得、さらに分子内脱水することによりN−ビニルカルバゾールを得る方法である。分子内脱水反応の条件は特に制限されないが、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒にN−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールを溶解した上で気化させて触媒充填層へ通し、分子内脱水させることができる。脱水触媒としては、シリカとアルカリ金属元素などを含むものを挙げることができる。脱水温度は、300℃以上、1000℃以下程度とすればよい。より具体的には、例えば、国際公報第2006/046540号パンフレットを参照すればよい。
2.共重合工程
本発明方法では、1質量%以上、15質量%以下のN−ビニルカルバゾールおよび85質量%以上、99質量%以下の(メタ)アクリル酸系モノマーを含むモノマー群を共重合する。
共重合体におけるN−ビニルカルバゾール単位は、大きな屈折率や高いガラス転移温度を示すものとして広く知られているので、モノマーとしてのN−ビニルカルバゾールは、染料や光伝導性材料の合成中間体、或いは熱可塑性樹脂材料を製造するための原料として非常に有用である。特に熱可塑性樹脂材料用途においては、N−ビニルカルバゾール単位により耐熱性が向上するため、加熱成形に好適である。
モノマー群におけるN−ビニルカルバゾールの割合は、1質量%以上、15質量%以下とすることが好ましい。当該割合が1質量%以上であれば、共重合体の耐熱性の向上効果や良好な屈折性が得られる。一方、当該割合が高過ぎると、位相差フィルムが負の位相差を示すようになるおそれがあるので、当該割合は15質量%以下とすることが好ましい。当該割合としては、2質量%以上、12質量%以下がより好ましく、3質量%以上、10質量%以下がさらに好ましい。
本発明では、N−ビニルカルバゾールに加えて(メタ)アクリル酸系モノマーを用いる。共重合体における(メタ)アクリル酸系モノマー単位は、透明性だけでなく、表面光沢や耐候性を示し、しかも機械的強度、成形加工性、表面硬度のバランスがとれているので、光学関連用途に幅広く使用されている。しかし(メタ)アクリル酸系ポリマーのガラス転移温度は100℃前後であり、耐熱性が十分でないといえるので、本発明ではN−ビニルカルバゾールとの共重合体とする。
モノマー群における(メタ)アクリル酸系モノマーの割合は、85質量%以上、99質量%以下とすることが好ましい。当該割合が85質量%以上であれば、共重合体に上述した(メタ)アクリル酸系モノマー単位の優れた特性を十分に付与することができる。一方、当該割合が高過ぎると耐熱性が十分に得られないおそれがあるので、当該割合は99質量%以下とすることが好ましい。当該割合としては、87質量%以上、95質量%以下がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの(メタ)アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸カルバゾイルエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸アントラセニル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸カルバゾイルエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸アントラセニル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸エステル;2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチルなどの2−置換(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどを挙げることができる。
本発明では、N−ビニルカルバゾールおよび(メタ)アクリル酸系モノマーの他に、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−ω−ヘプタラクタムなどのビニルラクタムモノマーや、その他、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどのモノマーを、1種または2種以上用いてもよい。
N−ビニルカルバゾールおよび(メタ)アクリル酸系モノマー以外のモノマーを用いる場合の使用量は適宜調整すればよいが、0.5質量%以上、10質量%以下とすることが好ましい。なお、当然であるが、N−ビニルカルバゾールおよび(メタ)アクリル酸系モノマーのみ使用する場合には、モノマー群におけるN−ビニルカルバゾールと(メタ)アクリル酸系モノマーとの合計が100質量%であり、その他のモノマーを用いる場合には、N−ビニルカルバゾールおよび(メタ)アクリル酸系モノマーおよびその他のモノマーの合計で100質量%である。
本発明方法は、N−ビニルカルバゾールおよび(メタ)アクリル酸系モノマー、および任意成分であるその他のモノマーを含むモノマー群を共重合させる。
重合反応で用いる溶媒としては、モノマーなどを適度に溶解することができ、且つ重合反応を阻害しないものであれば特に制限無く用いることができる。例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン溶媒;酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル溶媒;これらの混合溶媒などを用いることができる。また、光重合を行う場合には、N−ビニルピロリドンなどの反応性溶媒を用いてもよい。溶媒の使用量は、モノマーに対する溶解性などに応じて適宜調整すればよい。
重合反応で用いる重合開始剤としては、有機過酸化物、アゾ化合物、および過酸化水素と金属塩との混合物などを用いることができる。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1’−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチレンシクロヘキサン、1,3−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルヒドロペルオキシドを挙げることができる。これら有機過酸化物の中では、t−ブチルヒドロペルオキシドおよびt−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートが好ましく、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートが特に好ましい。有機過酸化物は、1種のみ選択して使用してもよいし、2種以上を選択して併用してもよい。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を挙げることができる。これらアゾ化合物の中では、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩が好ましい。アゾ化合物は、1種のみ選択して使用してもよいし、2種以上を選択して併用してもよい。
また、重合反応としては、いわゆる光重合反応を行ってもよい。光重合反応のための重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類およびその塩;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシシクロチオキサントンなどのチオキサントン類およびその塩;エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノンなどのアントラキノン類;アセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル類;ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル類;2,4,6−トリハロメチルトリアジン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体などのイミダゾール類;ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾイン類;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン誘導体;ビスアシルフォスフィンオキサイド、ビスフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドなどのフォスフィンオキサイド類;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンおよびそのエチレンオキサイド類などを挙げることができる。
重合開始剤の使用量は、モノマーの種類や濃度などに応じて適宜調整すればよく特に制限されないが、例えば、モノマー100質量部に対して0.001質量部以上、3質量部以下とすることができ、0.005質量部以上、2質量部以下が好ましい。
重合のための反応混合液には、必要に応じ、連鎖移動剤、pH調整剤、緩衝剤などを添加することができる。
重合反応は、反応液の温度を上げたり、また、紫外線や電子線などを照射することで開始することができる。通常、重合反応の開始のためには反応液を100℃程度まで昇温する。反応開始後における反応温度も、60℃以上、200℃以下程度で維持すればよい。反応温度が反応液の沸点を超える場合には、圧力をかけてもよい。
反応時間は特に制限されず、反応の進行状況をクロマトグラフィで確認したり、予備実験などにより適宜決定すればよいが、通常、1時間以上、20時間以下程度とすることができる。
反応終了後は、常法により共重合体を分離すればよい。例えば、反応液から溶媒を減圧留去し、さらに常圧または減圧下で加熱乾燥してもよい。
3.分子内環化工程
共重合体の耐熱性をより一層向上させたい場合などには、さらに分子内環化反応を行い、環構造を形成してもよい。かかる環構造としては、例えば、ラクトン環構造、イミド環構造、ラクタム環構造、環状酸無水物構造および脂肪族炭化水素環構造を挙げることができる。以下、ラクトン環構造、グルタルイミド構造、無水グルタル酸構造、N−置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造を例にして、環構造につき説明する。
(1)ラクトン環構造
ラクトン環構造としては、以下の構造を例示することができる。
[上記式中、R1〜R3は、それぞれ独立して水素原子、または炭素数1〜20の有機残基を示す。当該有機残基は、酸素原子を含んでいてもよい]
上記有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などC1-20アルキル基;エテニル基やプロペニル基などのC1-20不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基やナフチル基などのC6-20芳香族炭化水素基を挙げることができる。上記基においては、1以上の水素原子が、水酸基、カルボキシ基、エーテル基およびエステル基からなる群より選択される1以上の基により置換されていてもよい。
上記ラクトン環構造は、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)とを含む単量体群を共重合した後、得られた共重合体における隣り合ったMMA単位とMHMA単位とを脱アルコール環化縮合させて形成できる。この場合、R1は水素原子であり、R2とR3はメチル基である。
(2)グルタルイミド構造および無水グルタル酸構造
グルタルイミド構造および無水グルタル酸構造としては、以下の構造を例示することができる。
[上記式中、R4とR5は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示し、X1は酸素原子または窒素原子を示す。但し、X1が酸素原子であるときR6は存在せず、X1が窒素原子であるとき、R6は水素原子、C1-6直鎖アルキル基、C3-8シクロアルキル基またはC6-10芳香族炭化水素基を示す。]
3-8シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基を挙げることができる。C1-6直鎖アルキル基としては、前述したC1-20アルキル基のうち直鎖で且つ炭素数が1〜6であるものを挙げることができる。C6-10芳香族炭化水素基としては、前述したC6-20芳香族炭化水素基のうち炭素数が6〜10であるものを挙げることができる。
上記式において、X1が窒素原子のとき、上記構造はグルタルイミド構造となる。グルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体をメチルアミンなどのイミド化剤によりイミド化して形成できる。
上記式において、X1が酸素原子のとき、上記構造は無水グルタル酸構造となる。無水グルタル酸構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体を分子内で脱アルコール環化縮合させて形成できる。
(3)N−置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造
N−置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造としては、以下の構造を例示することができる。
[上記式中、R7とR8は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示し、X2は酸素原子または窒素原子を示す。但し、X2が酸素原子であるときR9は存在せず、X2が窒素原子であるとき、R9は水素原子、C1-6直鎖アルキル基、C3-8シクロアルキル基またはC6-10芳香族炭化水素基を示す。]
1-6直鎖アルキル基、C3-8シクロアルキル基およびC6-10芳香族炭化水素基としては、前述したものと同様のものを挙げることができる。
上記式において、X2が窒素原子のとき、上記構造はグルタルイミド構造となる。グルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体をメチルアミンなどのイミド化剤によりイミド化して形成できる。
上記式において、X2が酸素原子のとき、上記構造は無水マレイン酸構造となる。無水マレイン酸構造は、例えば、無水マレイン酸と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて形成できる。
4.加熱成形工程
本発明方法では、得られた共重合体を加熱成形し、フィルムとする。
加熱成形の条件としては、当業者公知の通常のものとすることができる。例えば、加熱温度は、熱プレス成形の場合ではガラス転移温度以上、ガラス転移温度+20℃以下程度とし、溶融押出成形の場合では融点以上、融点+20℃以下程度とすることが好ましい。
5−1. 延伸工程
次に、必要であれば、得られたフィルムを延伸してもよい。かかる延伸により、逆波長分散型位相差フィルムとすることができる。
フィルムは、一軸延伸してもよいし、二軸延伸してもよい。延伸倍率は適宜調整すればよいが、通常、1.1倍以上、5倍以下程度とすることができる。また、二軸延伸する場合、二方向へ逐次延伸してもよいし、同時に延伸してもよい。
5−2. 積層工程
上記延伸工程の前後に加えて、或いは上記延伸工程の代わりに、任意に別のフィルムを積層してもよい。例えば、上記方法により得られたフィルムが負の固有複屈折率を示す場合には、正の固有複屈折率を示すフィルムを積層することにより、逆波長分散性を付与することが可能になる。その際、両フィルムの配向方向(光軸)を直交させる。また、両フィルムの接着方法としては、接着剤や粘着剤を用いる方法や、共押出しフィルムを延伸する方法を挙げることができる。
上記本発明方法で製造されたN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムは、着色が抑制されており、黄変度を示すYI値や、黄色めを示すb値が低い。その上、溶融成形工程などにおける熱履歴を受けても、着色程度が顕著に抑制される。より具体的には、280℃で20分間加熱した前後におけるYI値の変化率が3.5倍以下である。当該変化率としては、3.0倍以下が好ましい。また、同加熱処理前後におけるb値の変化率は、2.5倍以下である。当該変化率としては、2.0倍以下が好ましい。
なお、通常、重合体に着色の原因となる物質が含まれている場合、熱履歴により着色度合いは高まる。よって、熱処理前におけるYI値よりも熱処理後におけるYI値の方が大きくなるため、280℃で20分間加熱した前後におけるYI値の変化率、即ち、当該熱処理後におけるYI値を熱処理前におけるYI値で除した値は1.0倍以上となる。b値でも同様である。
従来のN−ビニルカルバゾール共重合体は、共重合体自体が着色しており、熱処理によりさらに着色度合いが増す。よって、加熱成形されたN−ビニルカルバゾール共重合体の位相差フィルムは黄色から褐色に着色しており、可視光領域での光吸収が問題となる。一方、本発明に係るN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムは、おそらく原料であるカルバゾールの純度が高く、着色原因物質の量が低減されていることによると考えられるが、加熱成形工程の後であっても着色が顕著に抑制されている。よって、本発明に係るN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムは、従来フィルムよりもディスプレイの構成部材などとして極めて有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、共重合体の評価は、以下の条件で実施した。
試験例1 重量平均分子量の測定
共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置と測定条件は、以下のとおりである。
カラム: TSK−GEL superHZM−M 6.0×150 2本直列
TSK−GEL superHZ−L 4.6×35 1本
リファレンスカラム: TSK−GEL superH−RC 6.0×150
2本直列
溶離液: クロロホルム, 流量: 0.6mL/分
カラム温度: 40℃
試験例2 ガラス転移温度の測定
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク社製,DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、得られたDSC曲線から始点法によりガラス転移温度を求めた。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
試験例3 5%重量減少温度の測定
共重合体の5%重量減少温度、即ち、共重合体を一定の速度で昇温したときに、その重量が5%減少した時点の温度を測定した。具体的には、示差熱量天秤(リガク社製,TG−8120)を用い、窒素雰囲気下、10mgのサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、測定した。
試験例4 色相(YI値)の測定
共重合体をクロロホルムに溶解し、15質量%溶液を得た。得られた溶液の色相(YI値)を、色差計(日本電色工業社製,ZE6000)により測定した。
また、共重合体を280℃で20分間加熱した後、同様にYI値を測定し、加熱前後におけるYI値の変化率を算出した。
試験例5 臭気の測定
共重合体をアセトンに溶解して5質量%溶液を調製し、オートサンプラーを用い、当該溶液をガスクロマトグラフ質量分析計(サーモクエスト社製,PolarisQ)の注入口へスプリット法で1μL注入し、下記条件で当該溶液を分析した。
測定質量範囲: M/c=30〜600
フラグメントイオン発生方法: EI法
恒温槽温度: 40℃で5分間→5℃/分で昇温→320℃で20分間
キャリアガス: He
気体流量: 1mL/分
注入口温度: 250℃
スプリット法によるカラムへの送付割合: 1/49
カラム: InertCap−1MS,無極性,内径0.25mm×30m,膜厚0.25μm
試験例6 色相(b値)の測定
共重合体フィルムのb値は、色差計(日本電色工業社製,ZE6000)により測定した。
また、共重合体を280℃で20分間加熱した後、同様にb値を測定した。
実施例1 本発明に係る共重合体フィルムの製造
(1) カルバゾールの精製
純度95%の市販カルバゾールをアセトン中に加えて攪拌し、当該混合液を50℃まで加温することによりカルバゾールを完全に溶解させた。当該溶液を静置し、析出した結晶を濾別し、メタノールで洗浄した。かかる操作を繰り返すことにより、純度が99.2質量%のカルバゾールを得た。なお、カルバゾールの純度は、ガスクロマトグラフィ(島津製作所社製,GC−2010,カラム:信和化工社製のULBON−HR1,0.25mmφ×50m,0.25μm)を用い、分析した。
(2) N−ビニルカルバゾールの合成
上記(1)で得た純度99.2質量%のカルバゾールと水酸化カリウムとを、キシレンとジメチルスルホキシドとの混合溶媒に添加した。さらにアセチレンガスを加えて反応容器を密閉し、オートクレーブ中、120℃以上で反応させた。適時反応液を薄層クロマトグラフィで分析することにより原料カルバゾールの残留状態を確認し、原料カルバゾールが確認できなくなったところで反応を終了した。反応終了後、反応液を減圧濃縮して低沸点留分を除去した後、さらに減圧蒸留することにより粗N−ビニルカルバゾールを得た。得られた粗N−ビニルカルバゾールをメタノールに溶解し、不溶物を濾別した。当該溶液を冷却し、析出した結晶を濾過した。かかる再結晶操作を繰り返すことで、純度99.9質量%のN−ビニルカルバゾールを得た。純度の測定は、上記(1)と同様の方法で行った。
(3) 共重合反応
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル25質量部、メタクリル酸メチル58質量部、メタクリル酸n−ブチル10質量部、上記(2)で合成したN−ビニルカルバゾール7質量部、およびトルエン90質量部を仕込んだ。当該反応容器へ窒素ガスを導入しながら、反応混合液を105℃まで昇温した。還流が開始されたところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製,ルペロックス570)0.04質量部を添加した。また、トルエン10質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.08質量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105〜110℃で4時間共重合反応を行った。
反応終了後、得られた共重合体溶液にリン酸オクチル/ジオクチル混合物0.9質量部を添加し、80〜105℃で2時間還流し、環化縮合反応を行った。さらに、オートクレーブ中、240℃で90分間加熱した。得られた共重合体溶液を減圧下240℃で1時間濃縮することにより、主鎖にラクトン環構造を有する透明な共重合体を得た。
(4) 加熱成形
上記(3)で得られた共重合体を、プレス成形機により250℃でプレス成形して、厚さ約140μmのフィルムとした。次に、延伸倍率が2倍となるように、Tg+5℃で当該フィルムを自由端一軸延伸して、厚さ100μmの延伸フィルムを得た。
得られたフィルムの面内位相差を、全自動複屈折計(王子計測機器社製,KOBRA−WR)により、測定波長590nm、447nmおよび750nmで測定した。また、測定波長が590nmとしたときの面内位相差を基準(R0)として、その他の測定波長における位相差RとR0との比(R/R0)を算出した。
比較例1 粗カルバゾールを原料とする共重合体からなるフィルムの製造
(1) N−ビニルカルバゾールの合成
純度95%の市販カルバゾールを用いた以外は上記実施例1(2)と同様にして、純度98.7質量%のN−ビニルカルバゾールを得た。なお、再結晶操作を繰り返したが、N−ビニルカルバゾールの純度は98.7質量%超とはならなかった。
(2) 共重合反応とフィルム成形
上記(1)で得たN−ビニルカルバゾールを用いた以外は上記実施例1(3)と同様にして、主鎖にラクトン環構造を有する共重合体を得た。また、上記実施例1(4)と同様にして、当該共重合体から延伸フィルムを得、面内位相差を測定した。
上記実施例1および比較例1で得られた共重合体の物性等を表1に示す。
上記結果のとおり、原料として95.0%のカルバゾールを用いた場合には、加熱処理前のN−ビニルカルバゾール重合体自体が既に着色しており、加熱処理後ではさらに着色が進行し、肉眼ではほぼ褐色となった。また、加熱処理前後におけるYI値の変化率は4.25と、非常に大きいものであった。
一方、原料として99.2質量%のカルバゾールを用いた場合には、加熱処理後においてもわずかに黄色に着色しているのみであり、また、変化率も1.92と顕著に低減されていた。
また、本発明に係る実施例1の重合体は、比較例1の重合体に比してガラス転移温度(Tg)が3℃高くなっており、また、5%重量減少温度は6℃高くなっていた。ガラス転移温度における3℃の差は大きいといえ、通常、樹脂の組成比などを変更しない限り3℃も変化しない。このように、原料であるカルバゾールの純度の差は、重合体の耐熱性などにも影響を与えることが明らかとなった。
さらに、上記実施例1および比較例1で得られた重合体から発せられる臭気の原因物質と考えられる化合物、そのガスクロマトグラフィチャートのリテンションタイムとピーク強度、およびその化学構造を以下に示す。また、得られたGC−MSのマススペクトルチャートを図1〜5に示す。
上記結果のとおり、本発明に係る実施例1の重合体は、比較例1の重合体に比して、臭気の原因であると考えられる化合物の含有量が顕著に抑制されていることが分かった。
また、上記実施例1および比較例1で得られた共重合体フィルムの面内位相差と色相(b値)の測定結果を表3に示す。
上記結果のとおり、通常のカルバゾールから合成されたN−ビニルカルバゾールの共重合体からなる比較例1のフィルムに比して、高純度カルバゾールから合成されたN−ビニルカルバゾールの共重合体からなる実施例1のフィルムの方が、位相差が出やすい傾向にあることが分かった。その理由は明らかではないが、本発明フィルムは不純物含量が少ないため、延伸時の応力が十分にフィルムに付与されて高分子が十分に配向したためであると考えられる。
また、黄色みの色相を表すb値も、純度95.0質量%のカルバゾールから合成された共重合体フィルムでは、加熱処理前であっても高く、加熱処理後では約2.8倍まで高まる。一方、純度99.2質量%のカルバゾールから合成された共重合体フィルムでは、加熱処理前のb値が明らかに低いのみならず、加熱処理後でも約1.9倍となったのみであった。
よって本発明によれば、着色と臭気が顕著に抑制されているN−メチルカルバゾール共重合体位相差フィルムが得られることが実証された。

Claims (5)

  1. 280℃で20分間加熱した前後におけるYI値の変化率が3.5倍以下であるN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムを製造する方法であって、
    純度99.0質量%以上のカルバゾールからN−ビニルカルバゾールを合成する工程;
    1質量%以上、15質量%以下のN−ビニルカルバゾールおよび85質量%以上、99質量%以下の(メタ)アクリル酸系モノマーを含むモノマー群を共重合する工程;および
    得られた共重合体をフィルム状に加熱成形する工程;
    を含むことを特徴とするN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムの製造方法。
  2. (メタ)アクリル酸系モノマーとして、少なくともメタクリル酸メチルおよび2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを用いる請求項1に記載の製造方法。
  3. さらに、隣り合うメタクリル酸メチル単位と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル単位とを脱アルコール環化縮合させ、ラクトン環構造を形成する工程を含む請求項2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法から得られ、280℃で20分間加熱した前後におけるYI値の変化率が3.5倍以下であることを特徴とするN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルム。
  5. 逆波長分散性を示す請求項4に記載のN−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルム。
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