JP5772277B2 - コークス熱間反応後強度の推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、配合炭のコークス熱間反応後強度を推定するコークス熱間強度の推定方法に関する。
高炉装入用原料として使用されるコークスは、乾留後のコークス強度が高いのみならず、高炉内での反応後においても高いコークス強度を有することが要求される。高炉内での反応後に粉化が多くなると、還元ガスの通気性が阻害され、高炉の操業条件が悪化する。
高炉内での反応後のコークス強度を評価する指標として、コークスの熱間反応強度(以下、「CSR」という)が用いられる。CSRの測定方法は、ASTM-D5341に規定されており、20±1mmの大きさに調整されたコークス200gを、ガス組成を二酸化炭素(100%)、反応温度1100℃、反応時間2時間の条件で反応させた後、I型ドラムで600回転させた後、反応後質量に対する9.56mm篩上での質量の百分率で定義される。
コークス製造時の石炭の配合が変更になると、乾留したコークスのCSRの値も変動する。したがって、石炭の配合変更時には予めCSRを予測し、目標とするCSRにできるだけ近づくように石炭の配合条件を設定することが重要である。そのため、従来、コークス熱間反応強度を推定する様々な方法が提案されている。
特許文献1は、配合炭コークスの熱間反応後強度の推定方法であって、配合炭コークスの反応率(以下「CRI」という)を単味炭コークスのCRIの加重平均値に基づいて定め、この求めた配合炭コークスのCRIと配合炭コークス表面破壊強度に基づいて配合炭コークスのCSRを推定することを特徴とするコークス熱間反応後強度の推定方法を開示している。
特開2005−232350号公報
しかしながら、上述の推定方法は、石炭の配合条件等のみからCRIを求めており、コークス炉での操業条件が考慮されていなかった。このため、CRI及びCSRの推定精度が低かった。本願発明はCSRの推定精度を従来よりも向上させることを目的する。
本発明者等は、上記操業条件について検討したところ、特にコークス到達温度、コークスの気孔率及びコークス炉の炉幅がCRIに大きな影響を与えることを発見した。上記知見に基づき、本願発明に係るコークス熱間反応後強度の推定方法は、(1)配合炭コークスの反応率(以下「CRI」という。)を単味炭コークスのCRIの加重平均値に基づいて求める第1のステップと、この求めた配合炭コークスのCRI(以下、「補正前の配合炭コークスのCRI」という。)を、コークス到達温度、コークスの気孔率及びコークス炉の炉幅からなる操業条件に基づき補正する第2のステップと、この補正後の配合炭コークスのCRIと配合炭コークス表面破壊強度(以下「DI1506」という。)とに基づいて配合炭コークスのCSRを推定する第3のステップと、を有し、前記第2のステップにおいて、炉幅とCRIの変化量との関係として、炉幅が大きくなるほどCRIが低下する関係に基いて、前記第1のステップで求めた配合炭コークスのCRIに対して、操業時の炉幅でのCRIの変化量との差分を補正することを特徴とする。
本発明者等は、上記操業条件について検討したところ、コークス炉の昇温速度をCRIの推定条件に加えることにより、さらにCRIの推定精度が向上することを発見した。
本発明によれば、配合炭コークスのCSRの推定精度を高めることができる。
コークス熱間反応後強度を推定する推定方法のモデル図である(実施形態1)。 横軸に単味炭コークスのCRIの加重平均値、縦軸に配合炭コークスの実績CRIをとってデータをプロットした図である。 横軸にTDの加重平均値、縦軸に配合炭コークスのCRIと単味炭コークスのCR Iの加重平均値との差分(ΔCRI)をとった図である。 コークス到達温度とCRIとの相関図である。 コークスの気孔率とCRIとの相関図である。 コークス炉の炉幅とCRIとの相関図である。 補正前のCRIを操業条件で補正した補正後のCRIと、CRIの実測値との関係をプロットした図である(実施例)。 補正前のCRIとCRIの実測値との関係をプロットした図である(比較例)。 第3のステップで推定されたCSRとCSRの実測値との関係をプロットした図である(実施例)。 操業条件で補正せずに推定されたCSRとCSRの実測値との関係をプロットした図である(比較例)。 コークス熱間反応後強度の推定方法のモデル図である(実施形態2)。 コークス炉の昇温速度とCRIとの相関図である。 補正前のCRIを実施形態2の操業条件で補正した補正後のCRIと、CRIの実測値との関係をプロットした関係図である(実施例)。 第3のステップで推定されたCSRとCSRの実測値との関係をプロットした図である。 配合炭コークスのCRIを横軸に取り、配合炭コークスのCSRを縦軸とし、コークスの表面破壊強度で層別してデータをプロットした図である。
(第1実施形態)
本実施形態に係るコークス熱間反応後強度の推定方法について説明する。図1はコークス熱間反応後強度を推定する推定方法のモデルを示している。本実施形態に係る配合炭コークスの熱間反応後強度(以下「CSR」という場合もある)の推定方法は、配合炭コークスの反応率(以下「CRI」という場合もある)を単味炭コークスのCRIの加重平均値に基づいて求める第1のステップと、この求めた配合炭コークスのCRI(以下、「補正前の配合炭コークスのCRI」という場合もある)を、コークス到達温度、コークスの気孔率及びコークス炉の炉幅からなる操業条件に基づき補正する第2のステップと、この補正後の配合炭コークスのCRIと配合炭コークス表面破壊強度(以下「DI150 」というもある)に基づいて配合炭コークスのCSRを推定する第3のステップと、を有する。
まず、第1のステップについて説明する。補正前の配合炭コークスのCRIは、コークス炉に装入される配合炭を構成する各単味炭のCRIを加重平均することにより求められる。コークスのCRIについては、加成性が成立し、配合炭を構成する各単味炭のCRIを加重平均することにより、配合炭のCRIを推定することが可能である。図2には、横軸に単味炭コークスのCRIの加重平均値、縦軸に配合炭コークスの実績CRIをとってデータをプロットした結果を示す。図から明らかなように、単味炭コークスのCRI加重平均値から配合炭コークスのCRIが推定できることがわかる。ここでCRIとは、20±1mmの大きさに調整されたコークス200gを、ガス組成:二酸化炭素(100%)、反応温度1100℃、反応時間2時間の条件で反応させた後に反応後試料の質量を測定し、(反応前質量−反応後質量)/反応前質量×100で表される、反応による質量減少率を示す指数である。
CRIの測定においては、まず各単味炭を試験乾留炉で乾留し、上記方法でCRIを測定する。試験乾留炉での乾留方法としては特に指定はなく、通常の方法で乾留を行えばよい。例えば、コークスサーキュラー第30巻第4号(1981)、239〜245ページに記載の方法を用いることができる。
なお、試験乾留炉での乾留条件(昇温速度、気孔率、コークス到達温度、炉幅)も特に指定はなく、通常の操業条件の範囲内で、設定することができる。
配合炭コークスのCRIを、単味炭コークスのCRIの加重平均値から推定するより好ましい方法について説明する。
配合炭コークスのCRIと単味炭コークスのCRIの加重平均値との関係について詳細に調査したところ、単味炭の全膨張率(TD)の加重平均値が低くなったときは、配合炭コークスのCRIが単味炭コークスのCRIの加重平均値よりも大きな値を示すことが明らかになった。図3には、横軸にTDの加重平均値、縦軸に配合炭コークスのCRIと単味炭コークスのCRIの加重平均値との差分(CRIの差分)をとり、データをプロットしている。この図からも上記事実が明らかである。
ここで石炭の全膨張率TDとは、JIS M 8801のディラトメーターにより測定される全膨張率であり、収縮率と膨張率の和として表される。
石炭の全膨張率が低いときに配合炭のCRIが単味炭CRIの加重平均値よりも大きくなる理由については以下のように考えることができる。即ち、全膨張率が低い場合は石炭粒子表面全体が接着していない。このため、気孔と気孔の連結部分(即ち粒子間接着部)をガスが拡散しやすくなり、結果として配合炭のCRIが単味炭CRIの加重平均値よりも高くなると考えられる。
本発明において、後述の第2のステップの操業条件による補正を行う前の配合炭コークスのCRIを求めるより好適な方法としては、単味炭コークスのCRIの加重平均値と、単味炭の全膨張率(TD)の加重平均値との関係を統計的手法で明らかにし、例えば単味炭CRIの加重平均値を、TDの加重平均値の一次関数として、第2のステップの操業条件による補正を行う前の配合炭コークスのCRIを推定する式を立てることができる。これにより、後述の第2のステップの操業条件による補正を行う前の配合炭コークスのCRIをより精度良く求めることができるため、好ましい。
次に、第2のステップについて説明する。第2のステップでは、第1のステップで求めた補正前の配合炭コークスのCRIを、操業条件としてのコークス到達温度、コークス炉に装入される石炭の気孔率、コークス炉の炉幅に基づき補正する。また、昇温速度は4℃/minの条件とした。
(コークス到達温度について)
ここで、コークス到達温度とは、コークス炉からコークスを押し出す時のコークス温度である。コークス温度は、コークス炉の炉幅方向において温度のバラツキがあるため、本明細書では炉幅方向の温度の平均値をコークス到達温度と定義する。なお、コークス到達温度は、コークス炉における乾留時間、コークス炉の燃焼室の温度、装入される配合炭の温度に左右される。
図4は、コークス到達温度とCRIの変化量との相関図である。コークス炉の昇温速度を4℃/min、コークス炉に装入される石炭の気孔率を50%、炉幅を450mmに設定して、コークス到達温度を変化させることにより、コークス到達温度とCRIの変化量との相関関係を求めた。図示するように、コークス到達温度とCRIの変化量の間には相関があり、コークス到達温度が高くなるほどCRIが低下することがわかった。このように、CRIが低下するのは、コークス到達温度が高くなるとコークスの結晶化度が増加し、緻密な炭素構造となることによると考えられる。
具体的には、測定されたコークス到達温度と、基準到達温度(本実施形態では1000℃)との差分を求め、図4を参照しながら、CRIの変化量であるΔCRI(以下、「ΔCRI−I」と称する)を算出する。図4のデータ形式は、コークス到達温度とΔCRI−Iとを対応付けたデータテーブル、或いは測定したコークス到達温度を関数式(一次式)に代入することによりΔCRI−Iを算出する算出プログラムであってもよい。
(コークスの気孔率について)
コークスの気孔率は、コークス炉に装入される配合炭の嵩密度を用いて算出することができる。図5は、コークスの気孔率とCRIの変化量との相関図である。コークス炉の昇温速度を4℃/min、コークス到達温度を1000℃、炉幅を450mmに設定して、コークスの気孔率を変化させることにより、コークスの気孔率とCRIの変化量との相関関係を求めた。図示するように、コークスの気孔率及びCRIの変化量の間には、コークスの気孔率が下がるとCRIも低下する相関関係がある。このように、CRIが低下するのは、気孔率が低下することによりコークスの比表面積が低下するためであると考えられる。
具体的には、測定されたコークスの気孔率と、基準気孔率(本実施形態では50%)との差分を求め、図5を参照しながら、CRIの変化量であるΔCRI(以下、「ΔCRI−II」と称する)を算出する。図5のデータ形式は、コークスの気孔率とΔCRI−IIの数値とを対応付けたデータテーブル、或いは測定したコークスの気孔率を関数式に代入することによりΔCRI−IIを算出する算出プログラムであってもよい。
(コークス炉の炉幅について)
図6は、コークス炉の炉幅とCRIの変化量との相関図である。コークス炉の昇温速度を4℃/min、コークス到達温度を1000℃、コークス炉に装入される石炭の気孔率を50%に設定して、コークス炉の炉幅を変化させることにより、コークス炉の炉幅とCRIの変化量との相関関係を求めた。図示するように、コークス炉の炉幅及びCRIの変化量の間には相関があり、コークス炉の炉幅が大きくなるほどCRIが低下することがわかった。このように、CRIが低下する理由について説明する。乾留中に石炭から発生するガスは、コークス層内の気孔を通って炉壁側に移動する。このとき、気孔内に熱分解カーボンがデボジットして気孔が小さくなり、コークスの比表面積が低下し、その結果CRIが低下するものと考えられる。
ところで、近年のコークス炉新設においては、労働生産性の向上のために、コークス炉の炉幅を従来よりも大きく設計することが多い。したがって、コークス炉の炉幅が変化した際にその変化の度合いに応じてCRIを補正することは、CRIの推定精度を高める上で非常に重要である。
具体的には、測定されたコークス炉の炉幅と、基準炉幅(本実施形態では450mm)との差分を求め、図6を参照しながら、CRIの変化量であるΔCRI(以下、「ΔCRI−III」と称する)を算出する。図6のデータ形式は、コークス炉の炉幅とΔCRI−IIIの数値とを対応付けたデータテーブル、或いは関数式に測定したコークス炉の炉幅を代入することによりΔCRI−IIIを算出する算出プログラムであってもよい。
以上の通り、図4〜6の関係は、通常の操業における典型的な条件(コークス到達温度が1000℃、気孔率が50%、炉幅が450mm、昇温速度は4℃/minの条件)をベースとして、基準となる操業条件として、コークス到達温度が1000℃、気孔率が50%、炉幅が450mmを設定したが、基準となる操業条件が異なる場合でも、通常の操業範囲であれば、図4〜6の関係が維持されることを、別途、知見している。例えば、図4はコークス炉の昇温速度を4℃/min、コークス炉に装入される石炭の気孔率を50%、炉幅を450mmに設定して、コークス到達温度を変化させることにより、コークス到達温度とCRIとの相関関係を示した図であるが、炉幅が550mmの場合でも図4の相関関係は維持される。 従って、通常の操業範囲であれば、図4〜6の関係を用いて、CRIを補正することができる。
以下に、具体的にCRIの補正方法について説明する。まず、第1のステップにおいては、補正前の配合炭コークスのCRIは、コークス炉に装入される配合炭を構成する各単味炭を試験乾留炉で乾留して得られたコークスのCRIを測定し、各単味炭のCRIの加重平均値により推定され、さらに好ましくは、単味炭の全膨張率の加重平均値も考慮して推定される。このとき、各単味炭の試験乾留炉におけるコークスの製造条件が変化すれば、各単味炭のCRIの加重平均値が変化するので、補正前の配合炭コークスのCRIの推定値も変化する。そこで、第2のステップにおける操業条件によるCRIの補正は、第1のステップにおける各単味炭の試験乾留炉のコークスの製造条件(コークス到達温度、気孔率、炉幅)を基準の操業条件と設定し、図4〜6の関係を用いて行えばよい。例えば、第1のステップにおける各単味炭の試験乾留炉のコークスの製造時のコークス到達温度が1050℃であり、実操業でのコークス到達温度が900℃であったとする。このとき、図4よりΔCRI−Iは、3.6−(−1.8)=5.4となる。なお、他の操業条件(気孔率、炉幅)についても同様の補正を行うことができ、ΔCRI−IIおよびΔCRI−IIIを、それぞれ求めることができる。これらの、ΔCRI−I、ΔCRI−II、ΔCRI−IIIは、加成性が成り立つため、合計値を補正値として用いる。従って、CRIの補正としては、各単味炭を試験乾留炉で乾留して得られたコークスのCRIに対して、ΔCRI−I)+(ΔCRI−II)+(ΔCRI−III)の値を加算することで求めることができる。
これらの操業条件でCRIを補正することによる効果について説明する。図7は、補正前の配合炭コークスのCRIを、コークス到達温度に対応するΔCRI−I、コークスの気孔率に対応するΔCRI−II及びコークス炉の炉幅に対応するΔCRI−IIIで補正した補正後のCRIと、CRIの実測値との関係をプロットした図である(実施例)。図8は、補正前のCRIとCRIの実測値との関係をプロットした図である(比較例)。これらの図に描かれた基準線からプロット値が離れるほど、推定精度が低下する。これらの図を比較参照して、本発明の実施例は、比較例よりも基準線により接近した領域に多くのデータがプロットされている。したがって、補正前の配合炭コークスのCRIをコークス到達温度、コークスの気孔率及びコークス炉の炉幅からなる操業条件で補正することにより、CRIの推定精度が高まることが証明された。
次に、第3のステップについて説明する。第3のステップでは、第2のステップで求めた補正後の配合炭コークスのCRIと配合炭コークスのDI150 とに基づいて、配合炭コークスのCSRを推定する。
配合炭コークスのCSRと配合炭コークスのCRIとの関係について調べてみると、両者の間には強い相関があり、両者の関係はコークスの表面破壊強度の影響を受ける。即ち、配合炭コークスのCSRは、補正後の配合炭コークスのCRIと配合炭コークスのDI150 とから精度良く推定することが可能である。
ここで、コークスの表面破壊強度であるDI150 は、ドラム試験機で150回転の衝撃を与えた後の、6mm以上の塊の質量割合を示す。
配合炭コークスのCRIを横軸に取り、配合炭コークスのCSRを縦軸とし、コークスの表面破壊強度で層別してデータをプロットすると、図15に示すデータを得ることができる。図15において、例えば「DI<85」と表示されているものは、84≦DI150 <85の意味であり、ここでは、コークス表面破壊強度に応じて6つの階層に分類した。この図から明らかなように、コークス表面破壊強度の各階層ごとに配合炭コークスのCSRはCRIと良好な相関を有しており、コークスの表面破壊強度が高くなるほどCSRは値が高い側にシフトしていることがわかる。このように配合炭コークスのCSRが配合炭コークスのCRIと表面破壊強度とで定まる理由については以下のように考えられる。CRIは一定反応時間における反応率を示す指数であり、CRIが高いコークスは、脆弱な構造となる。そのため、CRIが高いほど、I型ドラムで衝撃を加えた場合の粉化率が高くなり、CSRは低くなると考えられる。また、同一反応率(同一CRI)の場合には、反応させる前の元々のコークスの表面破壊強度が高いほど、耐衝撃粉化性が大きくなるため、CSRは高くなると考えられる。
そこで、コークスのCSRをCRIおよびDI150 から推定する具体的な方法としては、図15に示したCSR、CRI、DI150 の3者の関係を統計的手法により関数として整理しておき、CSRを推定することができる。例えばCRI、DI150 の一次関数としてCSRを推定する式を立てることが推奨できる。
ここで、コークスの表面破壊強度DI150 を推定する方法について説明する。表面破壊強度DI150 を推定する手段としては、例えば下記(1)式で定義される石炭軟化時の空隙充填度を、石炭軟化時の比容積とコークス炉装入時の石炭の嵩密度から求め、さらに石炭軟化時の空隙充填度とコークスの表面破壊強度との関係を予め求めておく。これにより、次に使用する石炭の石炭軟化時の比容積とコークス炉装入時の石炭の嵩密度からコークスの表面破壊強度を推定することができる。
石炭軟化時の空隙充填度(−)=石炭軟化時の比容積(cm3/g)×コークス炉装入時の石炭の嵩密度 (g/cm3) (1)
ここで、石炭軟化時の比容積は、例えばJIS M 8801のディラトメーターにより測定される膨脹率b(%)から下記(2)式により算出できる。
石炭軟化時の比容積(cm3/g)
=最大膨脹時の石炭体積(cm3)/ディラトメーターへの石炭装入量(g)
=0.96π(1+b/100) /ディラトメーターへの石炭装入量(g) (2)
すなわち、先ず各種石炭の軟化時の比容積をそれぞれ測定し、それらの石炭を単味で、あるいは配合して、乾留してコークスを製造する。その際、単味炭あるいは配合炭の石炭装入時の嵩密度を測定しておく。
次に、製造された単味炭あるいは配合炭のコークスの表面破壊強度として、例えばJIS K2151のドラム試験法によるDI150 を測定しておく。
さらに、石炭軟化時の比容積と石炭装入時の嵩密度から(1)式により算出される石炭軟化時の空隙充填度と、コークスの表面破壊強度DI150 の関係を、単味炭あるいは配合炭について予め求めておく。なお、石炭軟化時の比容積は、単味炭の場合は実測値を用い、配合炭の場合は各石炭の実測値の加重平均値を用いればよい。
表面破壊強度を推定するには、使用する石炭の軟化時の比容積を測定し、さらに乾留する際の石炭装入時の嵩密度を石炭水分や粒度などから公知の方法により予測し、これらの値から石炭軟化時の空隙充填度を(1)式により算出し、空隙充填度の値から、予め求めておいた石炭軟化時の空隙充填度とコークスの表面破壊強度の関係により、コークスの表面破壊強度を推定することができる。
図9は、本発明の第1〜第3のステップを用いて推定されたCSRの推定値とCSRの実測値との関係をプロットした図である(実施例)。図10は、本発明の第1〜第3のステップのうち、第2のステップで操業条件による補正を行わずに推定された補正前のCRIを用いて推定されたCSRの推定値とCSRの実測値との関係をプロットした図である(比較例)。これらの図に描かれた基準線からプロット値が離れるほど、推定精度が低下する。これらの図を比較参照して、本発明の実施例は、比較例よりも基準線により接近した領域に多くのデータがプロットされている。したがって、補正前の配合炭コークスのCRIをコークス到達温度、コークスの気孔率及びコークス炉の炉幅からなる操業条件で補正し、これに基づきCSRを推定することにより、CSRの推定精度が従来よりも高まることが証明された。
(第2の実施形態)
本実施形態に係るコークス熱間反応後強度の推定方法のより好ましい形態について説明する。図11はコークス熱間反応後強度の推定方法のモデルを示している。本実施形態に係るコークス熱間反応後強度の推定方法は、配合炭コークスの熱間反応後強度(以下「CSR」という。)の推定方法であって、配合炭コークスの反応率(以下「CRI」という。)を単味炭コークスのCRIの加重平均値に基づいて求める第1のステップと、この求めた配合炭コークスのCRI(以下、「補正前の配合炭コークスのCRI」という。)を、コークス到達温度、コークスの気孔率、コークス炉の炉幅及びコークス炉の昇温速度からなる操業条件に基づき補正する第2のステップと、この補正後の配合炭コークスのCRIと配合炭コークス表面破壊強度(以下「DI150 」という。)に基づいて配合炭コークスのCSRを推定する第3のステップと、を有する。
実施形態1では、コークス到達温度、コークスの気孔率及びコークス炉の炉幅からなる操業条件に基づき、補正前の配合炭コークスのCRIを補正したが、本実施形態では、前記操業条件にコークス炉の昇温速度を付加する。第1のステップ及び第3のステップは、実施形態1と同様であるため説明を繰り返さない。
(コークス炉の昇温速度について)
コークス炉の昇温速度とは、石炭が軟化溶融している400〜500℃の温度範囲での昇温速度を意味している。一般的に、コークス炉の昇温速度は、コークス炉の燃焼室の温度、装入される配合炭の温度に左右されるため、コークス炉の炉幅方向においてバラツキがある。このため、本明細書では炉幅方向の昇温速度の平均値をコークス炉の昇温速度と定義する。
図12は、コークス炉の昇温速度とCRIの変化量との相関図である。コークス到達温度を1000℃、コークス炉に装入される石炭の気孔率を50%、炉幅を450mmに設定して、コークス炉の昇温速度を変化させることにより、コークス炉の昇温速度とCRIの変化量との相関関係を求めた。図示するように、コークス炉の昇温速度及びCRIの変化量の間には相関があり、コークス炉の昇温速度が速くなるほどCRIが低下することがわかった。このように、CRIが低下する理由については、コークス炉の昇温速度が増加すると、石炭の軟化溶融特性が向上し、コークスの異方性組織が発達するため、CRIが低下するものと考えられる。
具体的には、測定されたコークス炉の昇温速度と、基準昇温速度(本実施形態では4℃/min)との差分を求め、図12を参照しながら、CRIの変化量であるΔCRI(以下、「ΔCRI−IV」と称する)を算出する。図12のデータ形式は、コークス炉の昇温速度とΔCRI−IVとを対応付けたデータテーブル、或いは測定したコークス炉の昇温速度を関数式(一次式)に代入することによりΔCRI−IVを算出する算出プログラムであってもよい。
コークス到達温度、コークスの気孔率、コークス炉の炉幅及びコークス炉の昇温速度でCRIを補正することによる効果について、比較例を示して説明する。図13は、補正前の配合炭コークスのCRIをコークス到達温度に対応するΔCRI−I、コークスの気孔率に対応するΔCRI−II、コークス炉の炉幅に対応するΔCRI−III及びコークス炉の昇温速度に対応するΔCRI−IVで補正した補正後のCRIと、CRIの実測値との関係をプロットした関係図である(実施例)。比較例については、実施形態1と同様の図8を用いた。
これらの図を比較参照して、本発明の実施例は、比較例よりも基準線により接近した領域に多くのデータがプロットされている。したがって、補正前の配合炭コークスのCRIをコークス到達温度、コークスの気孔率、コークス炉の炉幅及びコークス炉の昇温速度からなる操業条件で補正することにより、従来と比べて推定精度が高まることが証明された。さらに、図7及び図13を比較参照して、補正情報としての操業条件にコークス炉の昇温速度を加えることにより、さらに、CRIの推定精度が高まることが証明された。
図14は、本発明の第1〜第3のステップを用いて推定されたCSRの推定値とCSRの実測値との関係をプロットした図である(実施例)。比較例については、実施形態1と同様に図10を用いた。これらの図に描かれた基準線からプロット値が離れるほど、推定精度が低下する。これらの図10及び図14を比較参照して、本発明の実施例は、比較例よりも基準線により接近した領域に多くのデータがプロットされている。したがって、補正前の配合炭コークスのCRIをコークス到達温度、コークスの気孔率、コークス炉の炉幅及びコークス炉の昇温速度からなる操業条件で補正し、これに基づきCSRを推定することにより、CSRの推定精度が従来よりも高まることが証明された。さらに、図9及び図14を比較参照して、補正情報としての操業条件にコークス炉の昇温速度を加えることにより、さらに、CSRの推定精度が高まることが証明された。

Claims (5)

  1. 配合炭コークスの熱間反応後強度(以下「CSR」という。)の推定方法であって、
    配合炭コークスの反応率(以下「CRI」という。)を単味炭コークスのCRIの加重平均値として求める第1のステップと、
    この求めた配合炭コークスのCRI(以下、「補正前の配合炭コークスのCRI」という。)を、コークス到達温度、コークスの気孔率及びコークス炉の炉幅からなる操業条件に基づき補正する第2のステップと、
    この補正後の配合炭コークスのCRIと配合炭コークス表面破壊強度(以下「DI1506」という。)とに基づいて配合炭コークスのCSRを推定する第3のステップと、を有し、
    前記第2のステップにおいて、
    炉幅とCRIの変化量との関係として、炉幅が大きくなるほどCRIが低下する関係に基いて、前記第1のステップで求めた配合炭コークスのCRIに対して、操業時の炉幅でのCRIの変化量との差分を補正することを特徴とするコークス熱間反応後強度の推定方法。
  2. 前記操業条件は、前記コークス到達温度、前記コークスの気孔率、前記コークス炉の炉幅及びコークス炉の昇温速度からなることを特徴とする請求項1に記載のコークス熱間反応後強度の推定方法。
  3. 前記第2のステップにおいて、
    コークス到達温度とCRIの変化量との関係に基いて、前記第1のステップで求めた配合炭コークスのCRIに対して、操業時のコークス到達温度でのCRIの変化量との差分を補正し、
    コークスの気孔率とCRIの変化量との関係に基いて、前記第1のステップで求めた配合炭コークスのCRIに対して、操業時のコークスの気孔率でのCRIの変化量との差分を補正することを特徴とする請求項1に記載のコークス熱間反応後強度の推定方法。
  4. 前記第2のステップにおいて、
    コークス到達温度とCRIの変化量との関係に基いて、前記第1のステップで求めた配合炭コークスのCRIに対して、操業時のコークス到達温度でのCRIの変化量の差分を補正し、
    コークスの気孔率とCRIの変化量との関係に基いて、前記第1のステップで求めた配合炭コークスのCRIに対して、操業時のコークスの気孔率でのCRIの変化量との差分を補正し
    前記昇温速度とCRIの変化量との関係に基いて、前記第1のステップで求めた配合炭コークスのCRIに対して、操業時の昇温速度でのCRIの変化量との差分を補正することを特徴とする請求項2に記載のコークス熱間反応後強度の推定方法。
  5. 前記第1のステップにおいて、前記補正前の配合炭コークスのCRIを、単味炭コークスのCRIの加重平均値及び単味炭コークスの全膨張率(以下「TD」という。)の加重平均値に基づいて求めることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載のコークス熱間反応後強度の推定方法。
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