JP6035201B2 - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性樹脂組成物に関する。
電極材料、自動車用の導電性材料、半導体パッケージ等の様々な分野において、電気絶縁体である熱可塑性樹脂にカーボンブラックを配合して導電性を付与した導電性樹脂組成物が広く用いられている。該導電性樹脂組成物によって優れた導電性を有する導電性物品を得るには、カーボンブラックの導電性が重要である。
優れた導電性を有するカーボンブラックとしては、例えば、以下に示すものが知られている。
(i)液状炭化水素(原料油)を、炉内において分子状酸素及び水蒸気の存在下に部分酸化反応させて合成ガスを製造すると同時に得られる、DBP吸油量が290〜640cm/100gのカーボンブラック(例えば、特許文献1〜4)。
(ii)液状炭化水素(原料油)を、炉内において分子状酸素及び水蒸気の存在下に部分酸化反応させて合成ガスを製造すると同時に得られる、DBP吸油量が400cm/100g以上で、かつ比表面積が1000m/g以上のカーボンブラック(例えば、特許文献5)。
しかし、前記したようなDBP吸油量が高く、優れた導電性付与効果を有するカーボンブラックは、分散性が悪いため、導電性物品の表面平滑性が低下しやすい。
一方、カーボンブラックとしては、アセチレンブラック等の分散性に優れるものが知られている。しかし、アセチレンブラック等を用いた場合は導電性付与効果が低く、高い機械強度を得ることも困難である。
特開昭60−60912号公報 特開昭60−67564号公報 特開昭60−88073号公報 特開昭60−152569号公報 特開昭60−197763号公報
本発明は、高い機械強度と、優れた表面平滑性及び導電性を兼ね備えた導電性物品を製造できる導電性樹脂組成物を提供する。
本発明の導電性樹脂組成物は、下記条件(1)〜(3)を満たすカーボンブラックと、樹脂とを含有することを特徴とする。
(1)BET比表面積が350〜650m/gである。
(2)DBP吸油量が270〜340cm/100gである。
(3)JIS K6217−6に記載の凝集体径の測定方法により測定される、モード径(Dmod)に対するD90径(D90)の比D90/Dmodが1.90〜2.20である。
本発明の導電性樹脂組成物を用いれば、高い機械強度と、優れた表面平滑性及び導電性を兼ね備えた導電性物品を製造できる。
モード径(Dmod)とD90径(D90)の求め方を説明するためのグラフである。
本発明の導電性樹脂組成物は、カーボンブラックと、樹脂とを含有する。また、本発明の導電性樹脂組成物は、必要に応じて、カーボンブラック及び樹脂以外の成分を含有してもよい。
[カーボンブラック]
カーボンブラックは、下記条件(1)〜(3)を満たす。下記条件(1)〜(3)を満たすカーボンブラックは、分散性と導電性付与効果が共に良好である。そのため、該カーボンブラックを用いることで、高い機械強度と、優れた表面平滑性及び導電性を兼ね備えた導電性物品を製造できる導電性樹脂組成物となる。
(1)BET比表面積が350〜650m/gである。
(2)DBP吸油量が270〜340cm/100gである。
(3)JIS K6217−6に記載の凝集体径の測定方法により測定される、モード径(Dmod)に対するD90径(D90)の比D90/Dmodが1.90〜2.20である。
カーボンブラックのBET比表面積は、350〜650m/gであり、350〜550m/gが好ましく、350〜500m/gがより好ましい。カーボンブラックのBET比表面積が下限値以上であれば、導電性樹脂組成物の導電性が良好になり、優れた導電性を有する導電性物品を製造できる。また、高い機械強度を有する導電性物品を製造できる。カーボンブラックのBET比表面積が上限値以下であれば、樹脂中のカーボンブラックの分散性が良好になり、優れた表面平滑性を有する導電性物品を製造できる。
なお、カーボンブラックのBET比表面積は、ASTM D 3037に準拠した方法で測定される。
カーボンブラックは、一次粒子が葡萄房状に連なった連鎖体からなる二次粒子で構成された粉末である。この葡萄房状連鎖体の空隙部分等にDBP(n−ジブチルフタレート)が吸収されるため、DBP吸油量はカーボンブラックが有する重要な指標値である。
カーボンブラックのDBP吸油量は、270〜340cm/100gであり、270〜320cm/100gが好ましく、285〜315cm/100gがより好ましい。カーボンブラックのDBP吸油量が下限値以上であれば、樹脂中でカーボンブラックが効率良くネットワークを形成し、優れた導電性を有する導電性物品を製造できる。カーボンブラックのDBP吸油量が上限値以下であれば、樹脂中での分散性が良好となり優れた表面平滑性を有する導電性物品を製造できる。
なお、カーボンブラックのDBP吸油量は、ASTM D 2414に準拠した条件で、サンプル量9gで測定される値である。
カーボンブラックは、JIS K6217−6に記載の凝集体径の測定方法により測定される、モード径(Dmod)に対するD90径(D90)の比D90/Dmodが1.90〜2.20である。
なお、D90径(D90)とは、体積基準で求めた粒度分布の全体積を100%とした累積体積分布曲線において90%となる点の粒子径、すなわち体積基準累積90%径を意味する。また、モード径(Dmod)とは、粒度分布において最も出現比率が大きい粒子径、すなわち分布の極大値における粒子径を意味する。
比D90/Dmodは、粒度分布の広がりを表す指標となる。比D90/Dmodが大きくなる、すなわち粒度分布がブロードとなると樹脂等への添加時に良好な分散性能が得られ易いが、導電性付与効果が低下する。そのため、導電性能と分散性能を両立するためには、比D90/Dmodのコントロールが重要となる。
前記比D90/Dmodは、1.90〜2.20であり、2.00〜2.20が好ましく、2.10〜2.20がより好ましい。前記比D90/Dmodが下限値以上であれば、分散性に優れた導電性樹脂組成物が得られる。前記比D90/Dmodが上限値以下であれば、導電性に優れた導電性樹脂組成物が得られる。また、上記の範囲内とすることで分散性、導電性に加えて、高い機械強度を有する導電性樹脂組成物が得られる。
カーボンブラックのDmodは、0.110〜0.140μmが好ましく、0.115〜0.135μmがより好ましい。Dmodが前記範囲内であれば、導電性と表面平滑性に優れた導電性樹脂組成物が得られやすい。
カーボンブラックのD90は、0.230〜0.300μmが好ましく、0.250〜0.290μmがより好ましい。D90が前記範囲内であれば、導電性と表面平滑性に優れた導電性樹脂組成物が得られやすい。
カーボンブラックとしては、良好な分散性と導電性が両立されやすい点から、前記BET比表面積が350〜550m/g、DBP吸油量が270〜320cm/100g、前記比D90/Dmodが1.90〜2.20であるカーボンブラックが特に好ましい。
カーボンブラックの平均一次粒子径は、30〜55nmが好ましく、35〜50nmがより好ましい。カーボンブラックの平均一次粒子径が下限値以上であれば、分散性がより良好になる。カーボンブラックの平均一次粒子径が上限値以下であれば、良好な導電性樹脂組成物が得られやすい。
なお、カーボンブラックの平均一次粒子径は、実施例に記載の方法により測定される値である。
カーボンブラックの揮発分は、0.8質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。カーボンブラックの揮発分が上限値以下であれば、良好な導電性が得られやすい。
なお、カーボンブラックの揮発分は、実施例に記載の方法で測定される。
カーボンブラックの灰分は、0.05質量%以下が好ましく、0.03質量%以下がより好ましい。カーボンブラックの灰分が上限値以下であれば、樹脂の強度低下が抑制されやすく、また安定した導電性が得られやすい。
なお、カーボンブラックの灰分は、ASTM D 1506に準拠した方法で測定される。
本発明のカーボンブラックの24M4DBP吸油量(カーボンブラックを165MPaで4回圧縮した圧縮油吸収量)は、130〜200cm/100gが好ましく、140〜180cm/100gがより好ましい。24M4DBP吸油量が下限値以上であれば、添加時に安定した導電性能が得られやすい。24M4DBP吸油量が上限値以下であれば、添加時に良好な分散性が得られやすい。
24M4DBP吸油量は、JIS K 6217−4に記載の条件でサンプル量20gを用いて測定される。
カーボンブラックは、ヨウ素吸着量が420〜660mg/gで、かつ1質量%水溶液のpHが9〜11であることが好ましい。これにより、導電性と表面平滑性に優れた導電性樹脂組成物が得られやすい。
ヨウ素吸着量は、JIS K 6217−1に記載の方法で測定される。
カーボンブラックにおけるBET比表面積に対するCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)吸着比表面積との比(CTAB/BET)は、0.3〜0.8が好ましく、0.6〜0.8がより好ましい。前記比(CTAB/BET)が前記範囲内であれば、導電性と表面平滑性に優れた導電性樹脂組成物が得られやすい。
CTAB吸着比表面積は、JIS K 6217−3に記載の条件で測定される。
本発明の導電性樹脂組成物(100質量%)中のカーボンブラックの割合は、0.5〜40質量%が好ましく、3.0〜30質量%がより好ましい。前記カーボンブラックの割合が下限値以上であれば、優れた導電性を有する導電性樹脂組成物が得られやすい。前記カーボンブラックの割合が上限値以下であれば、導電性樹脂組成物の強度低下が抑制されやすい。
(カーボンブラックの製造方法)
カーボンブラックの製造方法としては、オイルファーネス法が挙げられる。
オイルファーネス法の具体例としては、例えば、原料油を、炉内において分子状酸素及び水蒸気の存在下に部分酸化反応させて、合成ガスを生成させると同時にカーボンブラックを製造する方法等が挙げられる。
カーボン製造炉としては、例えばLG炉、SG炉が挙げられ、特にSG炉が好ましい。
前記条件(1)〜(3)を満たすカーボンブラックを得る条件としては、原料油1トン当たりの炉内に供給される水蒸気の比(スチーム比)、原料油1トン当たりに炉内に供給される分子状酸素の比(酸素比)、単位時間当たり炉内に供給される原料油の供給量、および原料油をエマルジョン化しないことの4項目に相当する製造条件全てのコントロールが重要である。特に条件(3)を満たすためには、原料油の供給量、原料油のエマルジョン化抑制のコントロールが特に重要となる。
スチーム比は、原料油1トン当たり200〜450kg/tが好ましく、250〜300kg/tがより好ましい。スチーム比が前記範囲内であれば、条件(1)〜(3)を満たすカーボンブラックが得られやすい。
酸素比は、原料油1トン当たり500〜650Nmが好ましく、550〜600Nmがより好ましい。酸素比が前記範囲内であれば、条件(1)〜(3)を満たすカーボンブラックが得られやすい。
単位時間当たり炉内に供給される原料油の供給量は、1000〜1800kg/時間が好ましく、1200〜1600kg/時間がより好ましい。単位時間当たり炉内に供給される原料油の供給量が前記範囲内であれば、条件(1)〜(3)を満たすカーボンブラックが得られやすい。
原料油はエマルジョン化しないでフィードさせることが好ましい。これにより、条件(1)〜(3)を満たすカーボンブラックが得られやすい。
炉内温度は、1250〜1350℃が好ましく、1300〜1350℃がより好ましい。
炉内圧力は、15〜45kg/cmが好ましく、25〜35kg/cmがより好ましい。
また、得られたカーボンブラックは、窒素ガス雰囲気下で乾燥することが好ましい。乾燥温度は、300〜900℃が好ましく、350〜700℃が更に好ましく、400〜600℃が特に好ましい。乾燥温度が300℃以上であれば、揮発分が少なくなり、高い導電性付与効果が得られやすい。乾燥温度が900℃以下であれば、黒鉛化度が小さくなり、高い分散性が得られやすい。
原料油としては、カーボンブラックの製造に通常用いられるものを使用でき、例えば、クレオソート油等の石炭系炭化水素、エチレンボトム油(EHE油)等の石油系炭化水素等が挙げられる。これらの中でもEHE油が好ましい。
原料油のBMCI値は、100〜200が好ましく、120〜180が更に好ましく、130〜160が特に好ましい。BMCI値が100以上であれば、歩留まりが低下し難く経済面から好ましい。BMCI値が200以下であれば、原料の安定供給が容易である。
なお、原料油のBMCI値は、下式で求められる。
BMCI値=48640/K+473.7S−456.8
ただし、前記式中、Kは原料油の平均沸点であり、Sは原料油の比重である。
原料油のC/H比は、5〜20が好ましく、10〜18が更に好ましい。C/H比が5以上であれば、歩留まりが低下し難く経済面から好ましい。C/H比が20以下であれば、原料の安定供給が容易である。
原料油の不純物として、ナトリウム分は10質量ppm以下が好ましく、5質量ppm以下が更に好ましく、3質量ppm以下が特に好ましい。ナトリウム分が10質量ppm以下であれば、鉄等の金属分が生成カーボン中に多く残存することを抑制しやすい。
原料油の鉄含有量は、10質量ppm以下が好ましく、8質量ppm以下がさらに好ましく、4質量ppm以下が特に好ましい。鉄含有量が10質量ppm以下であれば、カーボン中に金属が残存して樹脂特性に悪影響を及ぼすことを抑制しやすい。
原料油のニッケル、銅及びマンガンの含有量は、それぞれ8質量ppm以下が好ましく、4質量ppm以下が更に好ましく、2質量ppm以下が特に好ましい。ニッケル、銅及びマンガンの含有量が8質量ppm以下であれば、カーボン中に金属が残存して樹脂特性に悪影響を及ぼすことを抑制しやすい。
原料油の硫黄分は、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、0.01質量%以下が特に好ましい。硫黄分が1質量%以下であれば、樹脂特性に悪影響を及ぼすことを抑制しやすい。
[樹脂]
樹脂としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂でもよく、熱硬化性樹脂でもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール、メラミン、エポキシ等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、エラストマー系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、オレフィンの単独もしくは共重合体の他、オレフィンと他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば高、中、低圧法により製造された高、中、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ−1,2−プタジエン樹脂、エチレン−ブテン共重合体、エチレン、プロピレンもしくはブチレンとアクリレートもしくはメタクリレートとの共重合体、またはこれらをそれぞれ塩素化したもの、あるいはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の中でも、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が好ましい。
また、エラストマー系熱可塑性樹脂としては、エチレンプロピレン系エラストマー、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)系エラストマー等のオレフィン系エラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン等のスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。
また、ポリスチレン系熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン(AAS)樹脂等が挙げられる。
その他汎用樹脂としては、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、エチレン−エチルアクリレート(EEA)樹脂、エチレン−酢酸ビニル(EVA)樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン(AES)樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、ポリ乳酸等が挙げられる。
エンジニアリングプラスチックとしては、6−、6,6−、6,10−、12−、MXD−ナイロン樹脂等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。
スーパーエンジニアリングプラスチックスとしては、ポリサルフォン樹脂、変性ポリサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネート樹脂、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の代わりに脂環式ジヒドロキシ化合物を用いた脂環式ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4’−ヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、イソソルビド、スピログリコール、シクロヘキシルジオール等が挙げられる。
また、用途に応じた物性を確保する目的で、これらの樹脂をブレンドして用いてもよい。具体的には、ABS/ポリカーボネート樹脂のブレンド、ポリブチレンテレフタレート樹脂/ポリカーボネート樹脂のブレンド、ポリフェニレンエーテル樹脂/ポリアミド樹脂/スチレン−ブチレン−スチレン系エラストマーのブレンド等が挙げられる。
本発明の導電性樹脂組成物(100質量%)中の樹脂の割合は、60.0〜99.5質量%が好ましく、70.0〜97.0質量%がより好ましい。前記樹脂の割合が下限値以上であれば、導電性樹脂組成物の強度低下が抑制される。前記樹脂の割合が上限値以下であれば、優れた導電性を有する導電性樹脂組成物が得られやすい。
[他の成分]
他の成分としては、例えば、耐熱性、寸法安定性、剛性、靱性、耐衝撃性、機械的強度を向上させるために、マイカ、ガラス繊維、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ステンレス、酸化銅、ニッケル、酸化ニッケル、珪酸ジルコニア等の無機充填剤を配合することができる。また、熱可塑性樹脂とカーボンブラックの混練時もしくは経時による劣化や成形性を改良する目的で、公知のフェノール系、リン系等の酸化防止剤、金属石鹸、脂肪酸アマイド誘導体等の滑剤、等の成形、加工助剤を配合してもよい。また、用途に応じて公知の難燃剤や可塑剤等を用いることもできる。
本発明の導電性樹脂組成物が他の成分を含有する場合、本発明の導電性樹脂組成物(100質量%)中の他の成分の割合は、0.1〜40.0質量%が好ましく、1.0〜30.0質量%がより好ましい。
本発明の導電性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されず、例えば、樹脂、カーボンブラック、及び必要に応じて用いる他の成分を公知の方法で混合、混練する方法が挙げられる。
本発明の導電性樹脂組成物は、例えば、各成分を溶融混練してペレット状コンパウンドとしてもよい。本発明の導電性樹脂組成物をペレット状コンパウンドとする方法としては、特に制限はなく、公知の装置、設備を用いる方法を採用できる。例えば、各成分を混練機に供給して溶融混練し、ダイから押し出し、ペレタイザー等を用いてペレット化する方法が挙げられる。
本発明の導電性樹脂組成物の各成分は、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー等の予備混合機で均一に混合した後に混練してもよく、定量フィーダーや容量フィーダー等を用いて特定成分を別々に混練機へ供給して混練してもよい。
混練機としては、例えば、ベント付き単軸押出機、異方向二軸押出機、同方向二軸押出機、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、タンブラー、コニーダー等が挙げられる。
本発明では、カーボンブラックの分散性が良好であるため、公知の混練方法でも、樹脂中にカーボンブラックが良好に分散した導電性樹脂組成物を容易に調製できる。
本発明の導電性樹脂組成物を用いて導電性物品を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、射出成形、押出成形等、用途に応じて適宜選択できる。
本発明の導電性樹脂組成物の用途としては、特に限定されず、例えば、自動車用の導電性材料、半導体パッケージ、パワーケーブル等が挙げられる。
以上説明した本発明の導電性樹脂組成物を用いれば、条件(1)〜(3)を満たすカーボンブラックを用いているため、高い機械強度と、優れた表面平滑性及び導電性を兼ね備えた導電性物品を製造できる。
従来から、分散性が良好なカーボンブラックとしては、アセチレンブラック等のDBP吸油量270cm/100g未満かつBET比表面積350m/g未満のカーボンブラック(以下、「カーボンブラック(a)」という。)が市販されているが、カーボンブラック(a)は樹脂に配合した際の導電性付与効果が低い。また、導電性付与効果が高いカーボンブラックとしては、DBP吸油量340cm/100g超かつBET比表面積650m/g超のカーボンブラック(以下、「カーボンブラック(b)」という。)が市販されているが、該カーボンブラック(b)は分散性が低い。本発明で使用するカーボンブラックは、理由は明らかではないが、カーボンブラック(a)の分散性及び導電性とカーボンブラック(b)の分散性及び導電性から想定される中間の性能と比較しても、より良好な分散性及び導電性を有している。これにより、前記効果が得られると考えられる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[測定方法]
(カーボンブラックのDPB吸油量)
カーボンブラックのDPB吸油量は、ASTM D 2414に準拠した条件で、サンプル量9gで測定した。
(カーボンブラックのBET比表面積)
カーボンブラックのBET比表面積は、ASTM D 3037に準拠した条件で測定した。
(カーボンブラックの比D90/Dmod
カーボンブラックの比D90/Dmodは、JIS K6217−6に記載の凝集体径の測定方法により測定した。
具体的には、界面活性剤(SIGMA CHEMICAL社製「NONIDET P−40」)を3滴加えた20容量%エタノール水溶液に、精秤したカーボンブラックを加えて、カーボンブラック濃度が0.01質量%の試料液を調製した。該試料液を超音波洗浄機(ULTRASONIC STIRRING BATH:LAKOMANUFACTURING CO.製)を用いて20分間分散処理することにより、カーボンブラックスラリーとした。遠心沈降式の粒度分布測定装置(BROOK HAVEN INSTRUMENTS社製「BI−DCP PARTICLSIZER」)にスピン液(純水)10mLを注入し、更にバッファー液(20容量%エタノール水溶液)1mLを注入した後、前記カーボンブラックスラリー1mLを注入し、回転数10000rpmで遠心沈降させ、真比重1.78でストークス相当径を計算し、図1に示すような、ストークス相当径に対して相対的な発生頻度のヒストグラムを作った。
ヒストグラムのピークAから直線BをY軸に平行に引き、ヒストグラムのX軸との交点をCとした。このときのCでのストークス直径が、モード径(Dmod)となる。また、このヒストグラムにおいて積算量が90%となる点Dから直線EをY軸に平行に引き、ヒストグラムのX軸との交点をFとした。このときのFでのストークス直径が、D90径(D90)となる。
(カーボンブラックの平均一次粒子径)
カーボンブラックの平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて求めた。具体的にはカーボンブラック試料を150kHz、0.4kWの超音波分散機により、10分間クロロホルムに分散させて分散試料を作成し、これをカーボン補強した支持膜に振り掛けて固定した。これを透過型電子顕微鏡で撮影し、50000〜200000倍に拡大した画像からEndterの装置を用いてランダムに1000個以上のカーボンブラックの粒子径を測定し、その平均値を平均一次粒子径とした。
(カーボンブラックの揮発分)
カーボンブラックの揮発分は磁性るつぼ(直径15mm、高さ30mm、容量10mL)及び落とし蓋を950±20℃で30分間空焼きした後、デシケータ中で室温(25℃)まで冷却し、該磁性るつぼ及び落とし蓋の質量(M)を0.1mg単位まで正確に秤量した。次いで、カーボンブラックの2gを、磁性るつぼ中に蓋下2mmを越えない程度に押し詰めて落とし蓋をし、その質量(M)を0.1mg単位まで正確に秤量した。その後、950±20℃の電気炉で7分間加熱し、デシケータ中で室温(25℃)まで冷却して、再度、質量(M)を0.1mg単位まで正確に秤量して、以下の式により揮発分を算出した。
揮発分(質量%)=(M−M)/(M−M
(カーボンブラックの灰分)
カーボンブラックの灰分は、ASTM D 1506に準拠した条件で測定した。
(カーボンブラックの24M4DBP吸油量)
JIS K 6217−4に記載の条件で、サンプル量20gを用いて実施した。
(カーボンブラックのCTAB吸着比表面積)
JIS K 6217−3に記載の条件で測定を実施した。
(カーボンブラックのヨウ素吸着量)
JIS K 6217−1に記載の方法で測定を実施した。
(カーボンブラックのpH測定法)
カーボンブラック1g±0.01gを0.01gまで正確に秤量して20mLビーカーに採取後、1mLのエチルアルコールと、あらかじめ沸騰させた蒸留水10mLを加え、カーボンブラックの分散液とし、時計皿で蓋をして、25℃の恒温室にて60分間放冷した。分散液が25℃になっていることを確認し、pH標準液4,7,9で校正したpHメーターを用いて、測定開始から1分後の指示値を読み取った。
[原料油]
本実施例に用いた原料油の性状を以下に示す。
種類:EHE油
初留温度:198℃
10%留出温度:220℃
50%留出温度:279℃
C/H比:13.5
不純物:ナトリウム質量3ppm、鉄4質量ppm、ニッケル2質量ppm、銅2質量ppm、マンガン2質量ppm、硫黄10質量ppm
BMCI値:145
[製造例1]
ファーネス炉を用いて、炉内への原料油の供給量(オイル供給量)を1400kg/時間、原料油1トンあたりの炉内に供給される水蒸気の比(スチーム比)を250kg/t、酸素比を570Nm/t、メタン濃度を0.70体積%、炉内温度を1335℃、炉内圧力を30kg/cmとしてカーボンブラックを得た。さらに得られたカーボンブラックを450℃窒素雰囲気中で乾燥した。原料油1トンあたりカーボンブラックの収量は、223kg/tであった。
[製造例2〜4]
オイル供給量、スチーム比、酸素比、メタン濃度、炉内温度、炉内圧力をそれぞれ表1に示すように変更した以外は、製造例1と同様にしてカーボンブラックを得た。
[製造例5]
ファーネス炉を用いて、炉内へのエマルジョン原料油の供給量2222kg/時間(原料油としての供給量2000kg/時間)、原料油1トンあたりの炉内に供給される水蒸気の比(スチーム比)を515kg/t、酸素比を635Nm/t、メタン濃度を0.83体積%、炉内温度を1305℃、炉内圧力を30kg/cmとしてカーボンブラックを得た。さらに得られたカーボンブラックを450℃、窒素雰囲気中で乾燥した。原料油1トンあたりカーボンブラックの収量は、130kg/tであった。
製造例1〜5で得られたカーボンブラックのDBP吸油量、BET比表面積、Dmod、D90、比D90/Dmod、平均一次粒子径、収量、灰分、CTAB吸着比表面積、比(CTAB/BET)、24M4DBP吸油量、ヨウ素吸着量及び1質量%水溶液のpHを表1に示す。
Figure 0006035201
[実施例1]
製造例1で得られたカーボンブラックの10質量部と、ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンS−3000」、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)の90質量部とを、二軸押出機によりシリンダー温度260〜290℃で混練して押出し、冷却した後にペレタイザーにより円柱状のペレット状コンパウンドとした導電性樹脂組成物を得た。
[実施例2〜4]
用いるカーボンブラックを表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を得た。
[比較例1]
比較対象のカーボンブラックとして、製造例5で得られたDBP吸油量が324cm/100g、BET比表面積が800m/g、比D90/Dmodが1.80(D90=0.200μm、Dmod=0.111μm)のカーボンブラックを8質量部、ポリカーボネート樹脂92質量部用いた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を得た。
[比較例2]
比較対象のカーボンブラックとして、DBP吸油量が193cm/100g、BET比表面積が55m/g、比D90/Dmodが3.47(D90=0.406μm、Dmod=0.117μm)の市販のカーボンブラックを10質量部用いた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を得た。
[比較例3]
比較対象のカーボンブラックとして、DBP吸油量が193cm/100g、BET比表面積が55m/g、比D90/Dmodが3.47(D90=0.406μm、Dmod=0.117μm)の市販のカーボンブラックを17質量部、ポリカーボネート樹脂83質量部用いた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を得た。
[比較例4]
比較対象のカーボンブラックとして、DBP吸油量が166cm/100g、BET比表面積が256m/g、比D90/Dmodが1.70(D90=0.292μm、Dmod=0.172μm)の市販のカーボンブラックを17質量部、ポリカーボネート樹脂83質量部用いた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を得た。
[比較例5]
比較例1のカーボンブラックと比較例3のカーボンブラックを質量比59/41でブレンドして得られる、DBP吸油量が280cm/100g、BET比表面積が576m/g、比D90/Dmodが1.75(D90=0.238μm、Dmod=0.136μm)となるカーボンブラックを12質量部、ポリカーボネート樹脂88質量部用いた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を得た。
[比較例6]
比較例1のカーボンブラックと比較例2のカーボンブラックを質量比52/48でブレンドして得られる、DBP吸油量が280cm/100g、BET比表面積が443m/g、比D90/Dmodが2.62(D90=0.299μm、Dmod=0.114μm)となるカーボンブラックを14質量部、ポリカーボネート樹脂86質量部用いた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を得た。
[体積抵抗率]
各例で得られた導電性樹脂組成物のペレットを用いた射出成形により、厚さ3.2mm×縦76mm×横76mmの板状の評価用試験体を作製し、横河北辰電機製デジタルマルチメーターModel 2506Aを用いてISO1853に準拠して体積抵抗率を測定した。体積抵抗率の値が小さいほど導電性に優れていることを示す。
[表面平滑性]
各例で得られた導電性樹脂組成物のペレットを用いたインフレーション成形により、厚さ80〜100μm×横10cm×縦10cmのフィルムを作製した。フィルム表面を目視で観察し、0.2mm以上のカーボン凝集物の個数を計測し、下記評価基準で表面平滑性を評価した。なお、カーボン凝集物の個数が少ないほどカーボンブラックの分散性に優れていることを示す。
「○」:カーボン凝集物の個数が10個未満である。
「×」:カーボン凝集物の個数が10個以上である。
[機械強度]
各例で得られた導電性樹脂組成物のペレットを用いた射出成形により、ISO179記載のタイプ1試験体(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm、ノッチ付)を作製し、ISO179/1eAに準拠してシャルピー衝撃試験を行った。シャルピー衝撃強さが高いほど機械強度に優れていることを示す。
実施例及び比較例で用いたカーボンブラックのDBP吸油量、BET比表面積、比D90/Dmod、及び評価結果を表2に示す。
Figure 0006035201
表2に示すように、条件(1)〜(3)を満たすカーボンブラックを用いた実施例1〜4の導電性樹脂組成物は、高い機械強度と良好な表面平滑性及び導電性が得られた。
一方、条件(2)を満たすものの条件(1)、(3)を満たさないカーボンブラックを用いた比較例1では、カーボンブラックの分散性が充分でなく、表面平滑性が劣っていた。また、条件(1)〜(3)をいずれも満たさないカーボンブラックを用いた比較例2〜4では、導電性、表面平滑性及び機械強度のいずれか1つ以上が劣っていた。
また、条件(1)及び(2)を満たすものの条件(3)を満たさない、2種のカーボンブラックをブレンドしたものを用いた比較例5及び6では、カーボンブラックの分散性が充分でなく、表面平滑性が劣っていた。

Claims (1)

  1. 下記条件(1)〜(3)を満たすカーボンブラック3.0〜30.0質量%と、熱可塑性樹脂70.0〜97.0質量%とを含有することを特徴とする導電性樹脂組成物。
    (1)BET比表面積が350〜650m/gである。
    (2)DBP吸油量が270〜340cm/100gである。
    (3)JIS K6217−6に記載の凝集体径の測定方法により測定される、モード径(Dmod)に対するD90径(D90)の比D90/Dmodが1.90〜2.20である。
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