JP6080791B2 - セラミック射出成形用材料とセラミック製品の製造方法 - Google Patents
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Description
このため、射出成形用材料に好適な流動性および離型性を付与するために、セラミック粉末の粒径やバインダ成分の含有割合を調整したり、バインダ成分に特殊な滑剤や可塑剤などの添加剤を添加したりすることが必須とされていた。
なお、本明細書における「固化温度」とは、後述の実施例に示されるように、動的粘弾性測定装置(レオメータ)を用い、動的振動(OSC)測定モードにより測定される、溶融状態にある射出成形用材料を降温させたときに複素粘度が上昇し始める温度である。より具体的には、複素粘度が上昇に転じて100Pa・sとなる温度とすることができる。あるいは、典型的には、複素粘度の温度変化が10Pa・s/℃となる温度とすることができる。
ここで開示されるセラミック射出成形用材料(射出成形用組成物)は、本質的に、セラミック粉末と、バインダ成分とを含んでいる。そしてかかるバインダ成分が、いわゆる熱可塑性樹脂を含まず、石油系ワックスと、非水溶性ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤とを含むことを特徴としている。
セラミック粉末を構成するセラミックは、製造目的であるセラミック製品を構成する材料であって、その用途や求められる特性等に応じて各種のセラミック材料から適宜選択して用いることができる。かかるセラミックとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、アルミナ(Al2O3),ジルコニア(ZrO2),マグネシア(MgO),シリカ(SiO2),チタニア(TiO2),セリア(CeO2),イットリア(Y2O3),チタン酸バリウム(BaTiO3),ムライト(Al6O13Si2)等の酸化物系セラミックや、窒化ケイ素(Si3N4),炭化ケイ素(SiC),窒化アルミニウム(AlN)等の非酸化物系セラミック、もしくはこれらのようなセラミックを少なくとも1種以上含む複合材料などが挙げられる。
なお、本明細書における「平均粒径」は、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布における、積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;D50)を意味する。
また、本明細書における「気孔率」は、水銀圧入法に基づき測定される細孔量から算出される値である。
ここに開示される発明において、バインダ成分は、常温領域(例えば45℃未満、典型的には25±5℃)において固体であり得るが、45℃未満の所定の温度にまで加熱されることにより溶融(軟化)し、45℃以上の溶融状態において上記のセラミック粉末を含む射出成形用材料に高い流動性を付与する組成物(混合材料)である。また、射出成形後に冷却されて固化することでセラミック粉末同士を結着し、所望のセラミック製品に対応する形状を有するグリーン成形体を構築することができる。かかるバインダ成分が射出成形用材料に占める割合は、5質量%以上35質量%未満とすることができる。また、かかるバインダ成分が燃えぬけることで、例えば、多孔率が5%以上(5%以上45%以下)、典型的には10%以上45%以下、例えば20%以上40%以下の多孔質なセラミック製品を好適に製造することができる。
ワックスは、一般に、常温(25℃)で軟らかく滑らかな固体状の物質であって、水の沸点(100℃)よりも低い融点を持ち、気体はよく燃焼する物質である。その原料(由来)によって、動物系ワックス、植物系ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス等に大別される。従来の射出成形用材料において、ワックスは、溶融状態における射出成形用材料においてセラミック粉末の粒子間すべりを良好にするための添加剤として、例えば15質量%程度以下の割合で利用されてきた。これに対し、ここに開示される技術において、ワックスは、溶融状態においてセラミック粉末の粒子間すべりを向上させる役割はもちろんのこと、セラミック粉末を含む射出成形用材料に十分な流動性を与えるとともに、固化状態においてはグリーン成形体におけるセラミック粉末間の結着を担う、主たるバインダ成分として用いるようにしている。かかるワックスは、後述の界面活性剤と共に用いた場合に射出成形用材料の固化温度45℃未満を実現し得る物質であれば特に制限されないものの、その品質の安定性、価格、供給安定性等の面から、石油系ワックスを用いるようにしている。なお、本明細書における「石油系ワックス」とは、JIS K 2235(1991)にて規定される各種のワックスを包含する。
上記の石油系ワックスは、比較的融点が低いものであり得るが、例えば、100℃以下で上記のセラミック粉末を良好に分散させつつ射出成形するに十分な流動性を発現するためには融点がまだ高いといえる。また、上記の石油系ワックスは、一般的な水や有機溶媒等の溶媒等と比較して、分子構造が極めて単純なために相溶性に乏しい物質であり得る。そこで、上記バインダ成分は、石油系ワックスと共に、非水溶性ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤を含むようにしている。かかる非水溶性のポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤を石油系ワックスに加えることで、該石油系ワックスと均一に混合しつつ、該石油系ワックスの融点を低下させて、該射出成形用材料に十分な流動性を付与するようにしている。
エーテル型のPOE型非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル,ポリオキシエチレンオレイルエーテル,ポリオキシエチレンステアリルエーテル,ポリオキシエチレンラウリルエーテル,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル,ポリオキシエチレンベヘニルエーテル,ポリオキシエチレンコレステリルエーテル,ポリオキシエチレンイソセチルエーテル,ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル,ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル,ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル,ポリオキシエチレン水添ダイマージリノレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン誘導体等が挙げられる。
含窒素型のPOE型非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
また、上記の非水溶性POE型非イオン性界面活性剤は、自身が非水溶性であることで、上記の石油系ワックスとの相溶性が備えられ、また、セラミック粉末を親和性良く分散し得る。なお、このような非水溶性ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤は、固化状態におけるバインダ成分の強度を適度に保つ観点から、20℃〜25℃の温度範囲において固体状であるものを用いるのがより好ましい。
また、ここに開示される射出成形用材料には、必須ではないものの、セラミック粉末やバインダ成分の他に、任意添加物を添加することができる。かかる任意添加物としては、カップリング剤,滑剤,可塑剤,離型剤,カーボン等が代表的なものとして挙げられる。かかる任意添加物は、上記の本発明の特徴を損ねない範囲において、例えば、射出成形用材料の10質量%以下の割合で添加することができる。
カップリング剤は、溶融状態の射出成形用材料の流動性を向上させるために添加される。カップリング剤には、バインダとの接合性が良好な高分子化合物を好ましく用いることができる。このような高分子化合物は、バインダ成分と結合することにより、セラミックス粒子とバインダ成分との黍離性を強くするため、溶融状態の射出成形用材料の流動性を向上させることができる。射出成形用材料全体に対するカップリング剤の質量割合は、0質量%(無添加)以上15質量%以下、好ましくは5質量%以上10質量%以下であるとよい。また、カップリング剤は、上記セラミック粉末の種類に応じて好適なものを適宜選択するとよい。具体的には、セラミックの構成金属元素を含んだ高分子化合物をカップリング剤として使用すると、セラミック純度の高いセラミック製品が得られるため好ましい。例えば、シリカ粉末から成るセラミック製品を製造する場合、シラン(水素化ケイ素:SiH)を含んだシラン系カップリング剤を好ましく用いることができる。
上記カップリング剤は、例えば、メタクリル基、エポキシ基、ビニル基の中から選択される1種又は2種以上の有機官能基を有していると好ましい。これらの有機官能基は、「炭素原子間の二重結合」若しくは「2つの炭素原子に直接結合する1つの酸素原子」を有しているため、バインダとの接合性が良好である。
また、上記エポキシ基を有するシラン系カップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社のZ−6040),3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社のZ−6044),3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社のZ−6041),3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社のZ−6042),2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社のZ−6043),ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン(東京化成工業株式会社のD2632)等が挙げられる。
かかるカップリング剤は、セラミック粉末の表面処理剤として使用することもできる。例えば、セラミック粉末としてシリカ粉末を用いた場合、シリカ粉末を構成する粒子の表面を、シランカップリング剤により表面処理するようにしても良い。表面処理は常法に従って実施することができ、例えば、乾式法または湿式法等を採用することができる。
滑剤は、セラミック粉末の粒子間すべりを向上させるために添加され得る。例えば、滑剤には、ステアリン,シリコーンオイルなどを用いることができる。該滑剤の射出成形用材料全体に対する質量割合は、0質量%(無添加)以上10質量%以下、好ましくは5質量%以上10質量%以下であるとよい。
また、上記可塑剤は、射出成形用材料の可塑性を向上させるために添加され得る。例えば、可塑剤には、フタル酸エステル、フタル酸ジオクチルなどを用いることができる。該可塑剤の射出成形用材料全体に対する質量割合は、0質量%(無添加)以上10質量%以下、好ましくは5質量%以上10質量%以下であるとよい。
以下、ここに開示される射出成形用材料の調製方法について説明するとともに、射出成形用材料の態様についても併せて説明する。ここで開示されるセラミック射出成形用材料は、上記の各構成材料を単に混ぜ合わせた混合体、すなわち「混合材料」の形態であってもよいし、上記の各構成材料を加熱しながら混練したものを所望の形状(典型的には粒状)に成形することで得られた「複合材料」の形態であってもよい。また、上記の各構成材料を複数に分けて用意(例えば、固体状態の構成材料と、液体状態の構成材料とに分けて用意)した「キット」の状態であっても良い。これらの各構成材料を用意する方法は、本発明を限定するものではなく、市販されているものを利用しても良いし、原料から作製するようにしてもよい。また、この混合材料および複合材料には、上記任意添加物(ワックス、カップリング剤など)が添加されていてもよい。
なお、混合材料を溶融状態にするための加熱処理は、ロールミル、ミキサーなどを用い、1rpm〜100000rpmの攪拌速度で混練しながら行ってもよい。これによって、セラミック粉末が好適に分散した状態の複合材料を得ることができる。
また、ここに開示される発明の一側面として、以上のセラミック射出成形用材料を用いて射出成形することで、セラミック製品を製造する方法を提供する。以下、ここで開示されるセラミック製品の製造方法の好適な一実施形態について説明する。
本実施形態に係るセラミック製品の製造方法は、上述のセラミック射出成形用材料を用いて射出成形を行うことによりセラミック製品を製造することを特徴とする。かかるセラミック製品の製造方法では、例えば、「a.射出成形用材料の射出」と、「b.脱脂」と、「c.焼成」とが行われる。
本実施形態に係るセラミック製品の製造方法では、先ず、上記射出成形用材料を所望の形状を有した成形用金型(雌型)のキャビティへ射出する。かかる射出処理では、射出成形用材料を溶融状態にした後に、任意の射出成形機を用いて該溶融状態の射出成形用材料を上記キャビティ内に射出する。
ここでは、射出成形用材料を所定の温度に加熱することによって溶融状態にする。このときの加熱温度は必ずしも限定されるものではないが、射出成形用材料に含まれるバインダ成分の融点よりも高い温度に設定するとよい。具体的には、50℃〜100℃、好ましくは50℃〜70℃の範囲内であるとよい。ここに開示される射出成形用材料によると、100℃以下の低温でありながらも溶融状態の射出成形用材料に十分な流動性が生じる。
次に、溶融状態の射出成形用材料を、バインダ成分が硬化するような温度に維持された成形用金型のキャビティに射出する。かかる射出の後、溶融状態の射出成形用材料が放熱固化(若しくは冷却固化)されることによって、上記成形用金型のキャビティに対応する形状を有した未焼成の成形体(グリーン成形体)が得られる。
例えば、三次元複雑形状を有するセラミック製品を製造する場合は、1mm〜10mm程度の孔径を有した射出口(ノズル)から溶融状態の射出成形用材料を射出するとよい。このとき、溶融状態の射出成形用材料には、1MPa〜100MPa程度の圧力をかけるとよい。これによって、溶融状態の射出成形用材料を成形用金型のキャビティに好適に射出することができる。なお、上記、射出口の孔径や、射出成形用材料に加える圧力は、成形用金型が有するキャビティの形状、寸法等に応じて適宜変更することができる。
射出が行われる際の成形用金型の温度は、例えば10℃〜50℃、好ましくは常温(この場合、15℃〜30℃程度)に調整されているとよい。成形用金型の温度が低すぎると、射出成形用材料が急激に冷却されて、クラックや充填不良が生じる可能性が高くなる。また、成形用金型の温度が高すぎると、射出成形用材料の固化後の強度が低くなる虞がある。
次に、上記グリーン成形体を成形用金型から取り出し(離型)、グリーン成形体からバインダを除去する脱脂処理を行う。具体的には、バインダ成分を構成する石油系ワックスが熱分解される程度の温度でグリーン成形体を加熱する。この脱脂処理における加熱条件(温度、時間)は、バインダ成分の種類や含有割合に応じて適宜変更することができる。また、加熱温度をできるだけ低く設定するとともに加熱時間を長く設定すれば、グリーン成形体の体積が急激に縮小することを防止することができ、クラックの発生を抑制できるために好ましい。例えば、上記グリーン成形体全体に対して10質量%の割合でパラフィンワックスが含まれている場合、50℃〜100℃、好ましくは60℃〜90℃、より好ましくは70℃±5℃の範囲内に加熱温度を設定するとよい。また、このときの加熱雰囲気は、酸化雰囲気に設定するとよい。
上述のようにして、脱脂処理が行われると、熱分解によってバインダ成分がグリーン成形体から除去される。
次に、バインダ成分を除去したグリーン成形体に対して焼成処理を行う。当該焼成処理における加熱条件(温度、時間、雰囲気)については、セラミック粉末の種類や粒径、目的とするセラミック製品の密度等に応じて適宜変更することができる。例えば、気孔率20%程度の多孔質構造のセラミック製品を製造する場合、焼成温度は1000℃〜1500℃(好ましくは1100℃〜1300℃)に設定するとよい。また、焼成中の雰囲気は酸化雰囲気若しくは不活性雰囲気に設定するとよい。
上記製造方法によって得られたセラミック製品は、構成材料や成形時の形状・寸法に応じて種々の目的に使用することができる。特に、射出成形用材料に含まれるセラミック粉末の平均粒径を1μm以上90μm以下、好ましくは10μm以上80μm以下、より好ましくは15μm以上70μm以下に設定すると、例えば気孔率が5%以上45%以下、典型的には20%以上40%以下程度の多孔質構造のセラミック製品が好適に得られる。かかるセラミック製品は、射出成形法により、複雑な三次元形状を有するものとして、簡便かつ多量に作製することができる。かかる特長を生かして、この多孔質構造のセラミック製品は、金属触媒の担体、水やガスなどの浄化フィルター、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の構成部材(例えばアノード)、三次元複雑形状を有するセラミック緻密部材形成用のスリップキャスト用鋳型、金属鋳造用鋳型等として好適に用いることができる。
次に、本発明に関する実施例を示し、本発明の特徴を更に説明する。なお、以下で説明する実施例は、本発明を限定することを意図したものではない。
S:ポリオキシエチレンステアリルエーテル
C:ポリオキシエチレンセチルエーテル
L:ポリオキシエチレンラウリルエーテル
D:ポリオキシジスチレン化フェニルエーテル
これらの材料を、下記の表1に示す12通りの割合で配合し、120℃で加熱しながら溶融させ、ロールミルにより0.5時間の混合を行った。かかる溶融混合物を室温(ここでは25℃)にまで冷却しながら粒状に成形・固化させることで、射出成形用材料1〜12を得た。なお、表1の配合欄において、「バインダ」の欄(上段)には、セラミック粉末とバインダとの合計に占めるバインダの割合を示し、「ワックス」および「界面活性剤」の欄(下段)には、このバインダに占めるワックスと界面活性剤との割合をそれぞれ示している。
上記で用意した4種の界面活性剤の水への溶解性を、次の手法で調べた。すなわち、界面活性剤と水とを、質量比で25:75の割合で秤量し、50℃に加温することで、該界面活性剤が水に対し溶解するか否かを目視で観察した。その結果、界面活性剤が水に均一に溶解した場合を「可溶」、界面活性剤が水中で僅かでも分離していたら「不溶」と判断し、表1の界面活性剤の溶解性の欄に示した。
表1に示されるように、本実施形態で用いた上記4種の界面活性剤のうち、S(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)とC(ポリオキシエチレンセチルエーテル)が水に不溶で、非水溶性であった。また、本実施形態で用いた上記4種の界面活性剤のうち、L(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)とD(ポリオキシジスチレン化フェニルエーテル)が水に溶解し、水溶性であった。これらの界面活性剤は、市販されているものでありその詳細な分子構造は不明であるが、本実施形態で用いたS(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)とC(ポリオキシエチレンセチルエーテル)とは50℃において水への水和力が低く(無く)、本実施形態で用いたL(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)とD(ポリオキシジスチレン化フェニルエーテル)とには50℃における水への水和力が備えられていたことが確認された。
上記で用意した射出成形用材料1〜12について、固化温度を次の手法で測定した。すなわち、レオメータ(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、HAAKE
MARSII)を用い、測定モードをオシレーター(Oscillator:OSC)温度依存性測定に設定し、下記の条件で各射出成形用材料の複素粘度の温度依存性を調べた。その結果、降温測定において、被検体である射出成形用材料の複素粘度が100Pa・sとなる温度(または、複素粘度の上昇が10Pa・s/℃となる温度)を「固化温度(℃)」とし、表1に示した。
ジオメトリー:φ20mmパラレルプレート
ギャップ:0.5mm
測定温度範囲:70℃〜30℃
降温速度:0.1℃/sec
周波数:1Hz
応力:500Pa
上記で用意した射出成形用材料1〜12を用いて射出成形したときの、金型への該材料の充填性を調べた。かかる射出成形用材料は、60℃に加熱して溶融状態とし、成形に供した。なお、成形用金型は、最小厚みが約1mmで最大厚みが約30mmの三次元複雑形状のグリーン成形体が得られる金型を用いた。また、射出時の成形用金型の温度は、常温(ここでは25℃)に維持した。
上記の充填性評価において良品と判定されたグリーン成形体を、1200℃で焼成することによって、バインダを除去するとともに、セラミック製品を得た。サンプル毎に10個ずつ作製されたセラミック製品を、目視で観察し、クラックが生じたセラミック製品をカウントした。そして、作製したセラミック製品全体に対するクラックが生じているものの割合を「クラック発生率」として算出した。その結果を表1に示す。
射出成形用材料2〜3および7〜9は、セラミック粉末の配合量を85重量部と固定し、バインダに配合する界面活性剤としてS(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)を用い、かかる界面活性剤とワックスとの量比を変化させた例である。射出成形用材料1は、セラミック粉末の配合量を85重量部と固定して、バインダに界面活性剤を配合せずにワックスのみを用いた例である。これらの射出成形用材料の比較から、非水溶性のポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤の添加量が増えるにつれて、射出成形用材料の固化温度が低下することがわかった。そして、射出成形用材料2〜3および7〜8を用いた例では、欠陥等の無い良好なグリーン成形体が得られ、また焼成も良好に行え、良好なセラミック製品が得られた。
Claims (7)
- セラミック製品を射出成形により製造するために用いられるセラミック射出成形用材料であって、
前記セラミック製品を構成するセラミック粉末と、
100℃よりも低い融点を有する石油系ワックスと、
非水溶性ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤と、
を含み、
熱可塑性樹脂を含まず、
前記セラミック粉末と前記石油系ワックスと前記界面活性剤との合計に占める前記セラミック粉末の割合は、65質量%を超えて95質量%以下であって、
前記石油系ワックスと前記界面活性剤との合計に占める前記界面活性剤の割合は、35質量%未満である、
セラミック射出成形用材料。 - 固化温度が45℃未満である、請求項1に記載のセラミック射出成形用材料。
- 前記石油系ワックスは、重量平均分子量が1000以下である、請求項1または2に記載のセラミック射出成形用材料。
- 前記セラミック粉末は、平均粒子径が1μm以上90μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミック射出成形用材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミック射出成形用材料を用い、射出成形を行うことよりセラミック製品を製造することを特徴とする、セラミック製品の製造方法。
- 50℃以上100℃以下の温度範囲の前記セラミック射出成形用材料を射出成形する、請求項5に記載のセラミック製品の製造方法。
- 気孔率が20%以上の多孔質セラミック製品を製造する、請求項5または6に記載のセラミック製品の製造方法。
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