〔難燃加工薬剤〕
本発明の繊維用難燃加工薬剤は、繊維材料に難燃性を付与するために用いられる組成物であって、トリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A)(以下、単にトリクレジルホスフェート(A)ということがある。)、臭素含有量が50重量%以上であり、融点が80℃以上である有機臭素化合物(B)(以下、単に有機臭素化合物(B)ということがある。)、界面活性剤及び水を含有するものである。以下に、詳細に説明する。
本発明の繊維用難燃加工薬剤は、リン酸エステルの中でも、トリクレジルホスフェートの数多くある異性体の中の、トリ−p−クレジルホスフェートを選択的に用いるものである。トリ−p−クレジルホスフェートは、有機臭素化合物(B)と同時に使用することで、難燃性を向上させるとともに、繊維材料への汚れや缶体汚染を低減することができる成分である。トリクレジルホスフェートは、オキシ三塩化リンとクレゾールとの縮合反応により得られるが、クレゾールはオルト、メタ、パラの異性体があり、通常、異性体混合物が使用される。すると、得られるトリクレジルホスフェートは、凝固点約−35℃のオルト、メタ、パラの異性体混合物となり、その性状は常温において液体である。このような異性体混合物のトリクレジルホスフェートを用いると、吸尽性及び染色堅牢度が低下する。本発明で用いるトリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A)は、純度の高いp−クレゾールを原料として、オキシ三塩化リンとp−クレゾールとの縮合反応により得られるトリクレジルホスフェートのことをいい、常温で固体である点で、異性体混合物のトリクレジルホスフェートとは異なるものである。
本発明で用いるトリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A)は、トリクレジルホスフェート(A)全体に占めるトリ−p−クレジルホスフェートの重量割合が90重量%以上のものをいう。該重量割合が90重量%未満の場合、トリ−p−クレジルホスフェートを除くトリクレジルホスフェートの割合が増えることになり、トリクレジルホスフェート全体の融点が低下して、吸尽性及び染色堅牢度が低下する。該重量割合は、95重量%以上が好ましく、96重量%以上が好ましく、97重量%以上がさらに好ましい。
また、上記に加え、トリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A)は、トリクレジルホスフェート(A)全体に占める「トリ−p−クレジルホスフェートを除くトリクレジルホスフェート」の重量割合が10重量%以下と表現することもできる。該重量割合は、5重量%以下が好ましく、4重量%以下がより好ましく、3重量%以下が更に好ましい。
ここで、トリ−p−クレジルホスフェートを除くトリクレジルホスフェートとは、オルトクレゾールに由来するトリ−o−クレジルホスフェート、メタクレゾールに由来するトリ−m−クレジルホスフェート、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾールの内の2〜3種の異性体を含むクレゾールの混合物に由来するトリクレジルホスフェート(異性体混合物)等が挙げられる。
本発明で用いるトリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A)の融点は、本願効果を顕著に発揮させる点から、65〜80℃が好ましく、70〜80℃がより好ましく、75〜78℃がさらに好ましい。トリ−p−クレジルホスフェートの融点は約77℃であり、トリ−o−クレジルホスフェートの融点は約−25℃であり、トリ−m−クレジルホスフェートの融点は約25℃である。前述のオルト、メタ、パラの異性体混合物のトリクレジルホスフェートの凝固点は、−40℃〜−30℃程度になる。従って、トリクレジルホスフェート(A)の融点が65〜80℃であることは、トリクレジルホスフェート(A)全体に占めるトリ−p−クレジルホスフェートの割合が大きく、トリ−p−クレジルホスフェートを除くトリクレジルホスフェートの割合が小さいことを示す。
なお、本発明でいう融点とは、示差走査熱量計を用いて測定した融点であり、窒素雰囲気下、サンプル約5mgを昇温速度10℃/分で昇温したときに現れる吸熱ピークの温度をいう。
本発明の繊維用難燃加工薬剤は、前記のトリクレジルホスフェート(A)に加え、臭素含有量が50重量%以上であり、融点が80℃以上である有機臭素化合物(B)を必須に含むものである。有機臭素化合物(B)は、難燃性を向上させる成分である。有機臭素化合物(B)の臭素含有量は、50重量%以上であり、50〜90重量%がより好ましく、60〜80重量%がさらに好ましい。臭素含有量が50重量%未満の場合、繊維材料に対して、良好な難燃性を付与できない。なお、臭素含有量とは、有機臭素化合物(B)全体に占める臭素の重量割合をいう。有機臭素化合物(B)の融点は、80℃以上であり、80〜500℃がより好ましく、100〜200℃がさらに好ましく、100〜140℃が特に好ましい。該融点が80℃未満の場合、トリクレジルホスフェート(A)を併用した場合、繊維材料への汚れや缶体汚染を低減することができない場合がある。有機臭素化合物(B)は市販のものを使用すればよく、その純度は90%以上が好ましい。
有機臭素化合物(B)としては、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(臭素含有量約66重量%、融点約115℃)、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(臭素含有量約70重量%、融点180℃)、ビス(3,5−ジブロモ−4−ジブロモプロピルオキシフェニル)スルホン(臭素含有量約66重量%、融点約115℃)、テトラブロモシクロオクタン(臭素含有量約75重量%、融点約135℃)、テトラブロモ無水フタル酸(臭素含有量約68重量%、融点約280℃)、デカブロモジフェニルエーテル(臭素含有量約83重量%、融点300℃以上)、テトラブロモビスフェノールS(臭素含有量約56重量%、融点約290℃)、テトラブロモビスフェノールA(臭素含有量約58重量%、融点約180℃)、テトラブロモビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル(臭素含有量約51重量%、融点約118℃)、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー(臭素含有量50〜60重量%、融点100℃以上)、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー(臭素含有量約55重量%、融点200℃以上)、テトラブロモビスフェノールAビス(ジブロモプロピルエーテル)(臭素含有量約68重量%、融点約117℃)、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)(臭素含有量約51重量%、融点約120℃)、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン(臭素含有量約82重量%、融点約350℃)、1,2−ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン(臭素含有量約70重量%、融点約224℃)、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)1,3,5−トリアジン(臭素含有量約67重量%、融点約230℃)、エチレンビステトラブロモフタルイミド(臭素含有量約67重量%、融点約456℃)、臭素化ポリスチレン(臭素含有量約66重量%、融点約180℃)、ポリ臭素化スチレン(臭素含有量60重量%以上、融点100℃以上)、ヘキサブロモベンゼン(臭素含有量約87重量%、融点327℃)、ペンタブロモトルエン(臭素含有量約82重量%、融点約288℃)、ヘキサブロモシクロドデカン(臭素含有量約74重量%、融点約180℃)、臭素化シクロアルカン(臭素含有量75〜88重量%、融点100℃以上)等が挙げられる。
これらの中でも、吸尽性が高く、難燃性に優れる点から、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ビス(3,5−ジブロモ−4−ジブロモプロピルオキシフェニル)スルホン、テトラブロモシクロオクタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化シクロアルカンが好ましく、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートがさらに好ましい。
このように、トリクレジルホスフェート(A)及び有機臭素化合物(B)を必須に用いることにより、繊維材料に良好な難燃性を付与することができ、染色堅牢度に優れ、繊維材料への汚れや缶体汚染を低減することができる。
本発明の難燃加工薬剤は、トリクレジルホスフェート(A)及び有機臭素化合物(B)が水中に乳化又は分散された状態にある。トリクレジルホスフェート(A)及び/又は有機臭素化合物(B)のメジアン粒径(D50)は、特に限定はないが、経時的な安定性に優れ、本願発明の効果をより発揮させる点で、5μm以下が好ましく、0.2〜1.0μmがより好ましく、0.2〜0.8μmがさらに好ましい。該メジアン粒径が5μm超では、経時的な安定性及び吸尽性に劣ることがある。なお、本発明において、メジアン粒径(D50)とは、体積を基準とする粒子径のメジアン値(中央値)を意味する。
本発明の難燃加工薬剤中のトリクレジルホスフェート(A)の含有率については、特に限定はないが、難燃加工薬剤全体に対して1〜70重量%が好ましく、5〜60重量%がさらに好ましい。該含有率が1重量%未満では、水やその他の成分が多すぎて、難燃加工薬剤の製造、貯蔵、安定性、性能に問題が発生することがある。一方、該含有率が70重量%超では、安定な難燃加工薬剤が得られにくいことがある。
本発明の難燃加工薬剤中の有機臭素化合物(B)の含有率については、特に限定はないが、難燃加工薬剤全体に対して1〜70重量%が好ましく、5〜60重量%がさらに好ましい。該含有率が1重量%未満では、水やその他の成分が多すぎて、難燃加工薬剤の製造、貯蔵、安定性、性能に問題が発生することがある。一方、該含有率が70重量%超では、安定な難燃加工薬剤が得られにくいことがある。
本発明の難燃加工薬剤中のトリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)との重量比については、特に限定はないが、相乗効果により難燃性を向上させる点、繊維材料への汚れや缶体汚染を低減させる点から、95/5〜5/95が好ましく、70/30〜5/95がさらに好ましく、40/60〜10/90が特に好ましい。
界面活性剤は、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)の乳化あるいは分散性を向上させる成分である。本発明の難燃加工薬剤は、界面活性剤を含有することによって、トリクレジルホスフェート(A)や有機臭素化合物(B)を水中に乳化あるいは分散した状態にすることができる。
界面活性剤は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、乳化あるいは分散性が優れる点で、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が好ましい。
アニオン界面活性剤としては、特に限定はないが、例えば、アルキルサルフェート塩、アルキルアリールサルフェート塩、多環アリールサルフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルサルフェート塩(ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテルサルフェート塩等)、ポリオキシアルキレン多環アリールサルフェート塩(ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンスチリルメチルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンジスチリルメチルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレントリスチリルメチルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンジベンジルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンクミルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンジクミルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンナフチルエーテルサルフェート塩等)、ポリオキシアルキレンアルキル多価アルコールエーテルサルフェート塩、アルキルスルホネート塩、α−オレフィンスルホネート塩、アルキルアリールスルホネート塩、アルキルアリールジスルホネート塩(アルキルジフェニルジスルホネート塩等)、ビス(ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル)コハク酸エステルスルホネート塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルホスフェート塩、アルキルアリールホスフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルホスフェート塩、多環アリールエーテルホスフェート塩、ポリオキシアルキレン多環アリールエーテルホスフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキル多価アルコールエーテルホスフェート塩、芳香族スルホン酸塩(アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩等)、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩(アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、クレオソート油スルホン酸塩系ホルマリン縮合物等)、メラミンスルホン酸塩縮合物、ビスフェノールスルホン酸塩系縮合物、アルキルカルボキシレート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボキシレート塩、ポリカルボン酸塩、ロート油、リグニンスルホン酸塩等が挙げられる。
これらアニオン界面活性剤を構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、イソデシル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基等が挙げられ、不飽和結合を有してもよく、第一級、第二級、第三級のいずれでもよく、直鎖でも分岐でもよい。
同様にアルキルアリール基としては、トリル基、キシリル基、クミル基、オクチルフェニル基、2−エチルヘキシルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、メチルナフチル基等が挙げられ、アルキル基の位置、数に限定はない。
同様に多環アリール基としては、スチリルフェニル基、スチリルメチルフェニル基、スチリルノニルフェニル基、アルキルスチリルフェニル基、トリスチリルフェニル基、ジスチリルフェニル基、ベンジルフェニル基、ジベンジルフェニル基、アルキルジフェニル基、ジフェニル基、クミルフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、置換基の位置や数に限定はない。
同様に多価アルコールとしては、ソルビット、ソルビトール、ソルバイド、ソルビタン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ネオペンチルグリコール、キシリトール、エリスリトール、アルカノールアミン、糖類等が挙げられる。
同様にポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等が挙げられ、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基が好ましい。2種以上の場合、ブロック付加体、交互付加体、又はランダム付加体のいずれを構成してもよい。また、ポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン基を必須に含有することが好ましい。ポリオキシアルキレン基に占めるポリオキシエチレン基の割合は、40モル%以上が好ましく、50モル%がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が特に好ましい。オキシアルキレン基の付加モル数は、1〜50が好ましく、3〜30がより好ましく、5〜20がさらに好ましい。
上記アニオン界面活性剤が塩の場合、水素原子、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、4級アンモニウム塩等であればよい。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。有機アミンとしては、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン等)、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等)等が挙げられる。4級アンモニウムとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラメタノールアンモニウム、テトラエタノールアンモニウム等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は1種又は2種以上を併用してもよい。
これらのアニオン界面活性剤のうちでも、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレン多環アリールエーテルサルフェート塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩は、繊維材料への汚れや缶体汚染の低減に優れる点において好ましく、ポリオキシアルキレン多環アリールエーテルサルフェート塩がさらに好ましく、多環アリール基としては、スチリルフェニル基、ジスチリルフェニル基、トリスチリルフェニル基、スチリルメチルフェニル基、ジスチリルメチルフェニル基、トリスチリルメチルフェニル基、スチリルノニルフェニル基、クミルフェニル基、ナフチル基が好ましい。
カチオン界面活性剤としては、特に限定はないが、例えば、第四級アンモニウム塩(ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド、ステアラミドメチルピリジニウムクロライド等)等が挙げられる。これらのカチオン界面活性剤は1種又は2種以上を併用してもよい。
ノニオン界面活性剤としては、特に限定はないが、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル(ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル等)、ポリオキシアルキレン多環アリールエーテル(ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレントリスチリルメチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルメチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンナフチルエーテル等)、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル等が挙げられる。
これらノニオン界面活性剤を構成するアルキル基、アルキルアリール基、多環アリール基、多価アルコール、ポリオキシアルキレン基としては、アニオン界面活性剤で例示したものと同様である。これらノニオン界面活性剤を構成する脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、エルカ酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、ひまし油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸等が挙げられる。
これらのノニオン界面活性剤のうちでも、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレン多環アリールエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル脂肪酸エステルは、繊維材料への汚れや缶体汚染の低減に優れる点において好ましく、脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヤシ油脂肪酸が好ましく、多環アリール基としては、スチリルフェニル基、ジスチリルフェニル基、トリスチリルフェニル基、スチリルメチルフェニル基、ジスチリルメチルフェニル基、トリスチリルメチルフェニル基、スチリルノニルフェニル基、クミルフェニル基、ナフチル基が好ましい。
両性界面活性剤としては、特に限定はないが、例えば、アミノ酸型(ラウリルアミノプロピオン酸塩等)、ベタイン型(ラウリルジメチルアンモニウムベタイン、ステアリルジメチルアンモニウムベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等)等が挙げられる。これらの両性界面活性剤は1種又は2種以上を併用してもよい。
本発明の難燃加工薬剤中の界面活性剤の含有率については、特に限定はないが、難燃加工薬剤全体に対して、0.1〜40重量%が好ましく、1〜30重量%がさらに好ましい。界面活性剤の含有率が0.1重量%未満では、安定な難燃加工薬剤が得られにくくなることがある。一方、界面活性剤の含有率が40重量%超であると、難燃加工薬剤を使用した場合に、吸尽性が低下したり、堅牢度の低下が生じたり、染色時に併用した場合に緩染効果が大きくなることがある。
本発明の難燃加工薬剤中の水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、工業用水、井戸水、水道水等のいずれであってもよい。
本発明の難燃加工薬剤は、本発明の効果を損なわない範囲で上記以外の次の他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、たとえば、溶剤(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロパノール、1,1−ジメチルエタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1,1−ジメチルプロパノール、3−メチル−2−ブタノール、1,2−ジメチルプロパノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−へプタノール、2−へプタノール、3−へプタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ベンジルアルコール、ソルフィット、ポリアルキレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ペンチル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、pH調整剤、キレート剤、電位調整剤、水溶性高分子(ポリビニルアルコ−ル、ポリアクリル酸エステル、メチルセルロ−ス、ヒドロキシメチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、キサンタンガム、アラビアガム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリスチレンマレイン酸共重合体、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、澱粉、アルギン酸、可溶化澱粉、カチオン化澱粉、カルボキシメチル澱粉など)、キャリヤー剤(芳香族ハロゲン化合物(クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなど)、N−アルキルフタルイミド(N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミド、N−プロピルフタルイミド、N−ブチルフタルイミド、N−イソプロピルフタルイミド、N−t−ブチルフタルイミド、N−s−ブチルフタルイミド、N−フェニルフタルイミドなど)、芳香族カルボン酸エステル(安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル等)、アルキルナフタレン(1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、2,3−ジメチルナフタレン、1,3−ジメチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレンなど)、ジフェニルエステル、ナフトールエステル、フェノールエーテル(エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテルなど)、ヒドロキシジフェニル(o−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール等)等が挙げられる。
溶剤は少量配合することにより、粘度の低下により作業効率、低温での安定性、乳化分散性が向上する。しかしながら、その含有率が大きくなると、製造や貯蔵に関して問題が発生することがある。そのため、難燃加工薬剤中の溶剤の含有率は、難燃加工薬剤全体に対して難燃加工薬剤の20重量%以下が好ましい。それ以外の上記他の成分の含有率については、特に限定はない。
また、本発明の難燃加工薬剤は、本発明の効果を損なわない範囲で上記以外の他の難燃剤を含んでいてもよい。他の難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、クレジルジキシレニルホスフェート、ジクレジルキシレニルホスフェート、トリイソプロピルフェニルホスフェート、ジフェニルキセニルホスフェート、フェニルジキセニルホスフェート、ジフェニルオルソキセニルホスフェート、フェニルジオルソキセニルホスフェート、トリオルソキセニルホスフェート、トリメタキセニルホスフェート、トリパラキセニルホスフェート、トリキセニルホスフェート、α−ナフチルジフェニルホスフェート、ジ−α−ナフチルフェニルホスフェート、β−ナフチルジフェニルホスフェート、ジ−β−ナフチルフェニルホスフェート、2−フェノキシエチルジフェニルホスフェート、1,3,2−ジオキサホスホリナン−{2−(1,1’−ビフェニル−2−イルオキシ)}−5,5−ジメチル−2−オキシド、5,5−ジメチル−2−(2’−フェニルフェノキシ)−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシド等のリン酸エステル;レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジクレジルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)等の縮合リン酸エステル;メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジプロピル、メチルホスホン酸トリブチル、ブチルホスホン酸ジブチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジクレジル、フェニルホスホン酸ジキシリル、フェニルホスホン酸フェニルクレジル、ビス[(5−エチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチル]メチルホスホネート−P,P‘−ジオキサイド、(5−エチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチルジメチルホスホネート−P−オキサイドの亜リン酸エステル;ジメチルホスフィン酸ジメチル、ジエチルホスフィン酸エチル、ジメチルホスフィン酸プロピル、ジチルホスフィン酸ブチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸クレジル、ジフェニルホスフィン酸キシリル、ジエチルホスフィン酸金属塩等の次亜リン酸エステル;トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリ−n−プロピルホスフィンオキサイド、トリ−n−ブチルホスフィンオキサイド、トリ−n−ヘキシルホスフィンオキサイド、トリ−n−オクチルホスフィンオキサイド、トリシクロヘキシルホスフィンオキサイド、トリトリルホスフィンオキサイド、トリス−3−ヒドロキシプロピルホスフィンオキサイド、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィンオキサイド、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンオキサイド、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィンオキサイド、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィンオキサイド、トリベンジルホスフィンオキサイド、2−(ジフェニルホスフィニル)ハイドロキノン、トリフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド;10−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキソ−10λ(5)−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−フェノキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキソ−10λ(5)−ホスファフェナントレン=10−オキシド等のホスファフェナントレン誘導体;ジフェニル=(フェニルアミド)ホスフェート、フェニル=ビス(フェニルアミド)ホスフェートなどのリン酸エステルアミド;トリス(1,3−ジクロロ−2−プロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等の含塩素リン酸エステル;含塩素縮合リン酸エステル;リン含有ポリエステル樹脂;ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン、ヘキサメトキシシクロトリホスファゼン、ヘキサプロポキシシクロトリホスファゼン等のホスファゼン;三酸化アンチモン等が挙げられる。
本発明の難燃加工薬剤は、耐光性を向上させるために、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2−〔2′−ヒドロキシ,4′−(2″−ヒドロキシ)ブトキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′,4′−ジヒドロキシ−5′−ベンゾイルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′,4′−ジヒドロキシ−3′−ベンゾイルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−ベンゾイル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)−フェノール、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2′−ヒドロキシ−4′−プロポキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;2,2′−(p−フェニレン)ジ−3,1−ベンゾキサジン−4−オン等のベンゾキサジノン系紫外線吸収剤;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、(2−エチルヘキシル)−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤;p−t−ブチルフェニルサリシレート等のサリシレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
難燃加工薬剤中の紫外線吸収剤の含有率は、難燃加工薬剤全体に対して、20重量%以下が好ましい。該含有率が20重量%を超えると、製造や貯蔵に関して問題が発生することがある。
難燃加工薬剤の安定性を向上させるために、難燃加工薬剤は電位調整剤を含むことが好ましい。電位調整剤としては、電荷を有するものであれば限定はないが、例えば、塩酸、亜硝酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、過硫酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホウ酸、次亜塩素酸、過塩素酸等の塩などが挙げられる。
塩としては、水素原子、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、4級アンモニウム塩等であればよい。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。有機アミンとしては、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン等)、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等)等が挙げられる。4級アンモニウムとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラメタノールアンモニウム、テトラエタノールアンモニウム等が挙げられる。好ましいのは、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、の塩であり、さらに好ましくは、リン酸の塩である。リン酸の塩としては、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム等が挙げられる。
電位調整剤は少量配合することにより、難燃加工薬剤の安定性が向上する。しかしながら、その含有率が大きくなると、凝集性が大きくなり、難燃加工薬剤の安定性が低下する場合がある。そのため、難燃加工薬剤中の電位調整剤の含有率は、難燃加工薬剤全体に対して、5重量%以下が好ましい。
本発明の難燃加工薬剤は、繊維材料に界面活性剤が付着した場合を想定し、界面活性剤が着色していないことが好ましい。難燃加工薬剤の界面活性剤は、界面活性剤を均一に溶解させることのできる溶剤で10重量%としたときに、ハーゼン色数が100以下であることが好ましく、50以下がさらに好ましい。
本発明の難燃加工薬剤は、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)とが混合された1剤型の難燃加工薬剤であってもよいが、例えば、トリクレジルホスフェート(A)を含有する第1剤と、有機臭素化合物(B)を含有する第2剤とからなる2剤型の難燃加工薬剤であってもよい。
本発明の難燃加工薬剤は、トリクレジルホスフェート(A)及び有機臭素化合物(B)と界面活性剤と水や他の成分等を混合することによって製造できる。混合方法や混合順序等に関して特に限定はない。また、難燃加工薬剤は、難燃加工薬剤を繊維材料に処理する工程(処理工程)時に、トリクレジルホスフェート(A)、有機臭素化合物(B)と界面活性剤と水や他の成分等を混合することによって製造することもできる。
本発明の難燃加工薬剤の製造方法としては、例えば、微粒子化されたトリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)とを予め用意し、界面活性剤及び水とを混合する方法(方法1);トリクレジルホスフェート(A)、有機臭素化合物(B)、界面活性剤及び水を混合し、微粒子化装置を用いて、分散及び微粒子化を行う方法(方法2);トリクレジルホスフェート(A)と界面活性剤及び水を混合し、微粒子化装置を用いて分散及び微粒子化を行い、一方で、有機臭素化合物(B)、界面活性剤及び水を混合し、微粒子化装置を用いて分散及び微粒子化を行い、配合する方法(方法3);トリクレジルホスフェート(A)及び有機臭素化合物(B)と界面活性剤等を混合し、場合により撹拌、加熱し溶解させ均一とし、撹拌しながら水などを添加して乳化または分散する方法(方法4)等を挙げることができる。
微粒子化装置として、たとえば、ビーズミル、サンドグラインダ−、アトライター等を挙げることができる。また、必要に応じて、溶剤、不乾性剤、消泡剤(シリコーン消泡剤、鉱物油消泡剤、ポリエーテル消泡剤、脂肪酸(塩)消泡剤等)、増粘剤、無機塩等の添加剤を加えてもよい。トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)は、粗い粉体を微粒子化してもよく、固体を溶融して凝固させながら粉体とし、微粒子化してもよい。
本発明の難燃加工薬剤の製造方法は、上記方法1〜4のいずれでもよいが、方法1では1μm以下のトリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)とが凝集した状態から解離せず、製品安定性が不十分となることがある。また、方法4では、経時的にトリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)とが結晶化し、製品安定性が不十分になることがあるため、方法2、3が好ましい。
本発明の難燃加工薬剤は、繊維材料に難燃性を付与するため使用される繊維用難燃加工薬剤である。その使用形態については、特に限定はないが、通常、水等に希釈して用いられる。
繊維材料としては、特に限定はないが、結晶領域の多い繊維(たとえば、脂肪族ポリエステル繊維、芳香族ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリイミド繊維、ジアセテート繊維、トリアセテート繊維、その単量体の共重合体等の繊維)を少なくとも含む繊維材料であると、難燃加工薬剤に含まれるとトリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)の吸着性に優れ、耐久難燃性が向上するために好ましい。その中でも、芳香族ポリエステルやカチオン可染ポリエステルを少なくとも含む繊維材料では、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)の吸着性に優れるため、さらに好ましい。
脂肪族ポリエステル繊維、芳香族ポリエステル繊維及びカチオン可染ポリエステル繊維としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/5−ソジオスルホイソフタレートポリエチレン/ポリオキシベンゾイルテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート等の繊維が挙げられる。
繊維材料は、上記結晶領域の多い繊維と非結晶領域の多い繊維(たとえば、木綿、麻、羊毛等の天然繊維;ナイロン等)とを含む場合でもよい。
ここで、結晶領域とは、たとえば、合成繊維等の製造工程中で延伸等の物理的処理をした場合に形成されるような、繊維を構成する分子鎖が相対的に規則正しく配向した領域を意味し、非結晶領域とは、上記の説明とは逆で、繊維を構成する分子鎖が相対的に規則正しくなく、ランダムに配向した領域を意味することとする。
繊維材料は、1種のみから構成されていてもよく、複数種から構成されていてもよい。結晶領域の多い繊維と非結晶領域の多い繊維とを含む場合、混紡又は交織のいずれであってもよい。繊維材料の形態には限定はなく、糸、織物、編物、不織布、ロープ、紐等が挙げられる。
〔難燃性繊維の製造方法〕
本発明の難燃性繊維の製造方法は、上記難燃加工薬剤を繊維材料に処理する工程(処理工程)を含む。
処理工程は、難燃加工薬剤と繊維材料とを接触させて、難燃加工薬剤に含まれるトリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)を繊維材料に付着させる工程である。処理工程は、たとえば、難燃加工薬剤を含む浴中(処理浴)に繊維材料を浸漬し、処理温度80℃以上、処理時間2〜120分間の条件下で行われる処理工程(工程1)や;難燃加工薬剤を繊維材料に付着させ、100〜220℃の温度で熱処理して、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)とを繊維材料内部へ吸尽させる処理工程(工程2)等を挙げることができる。
工程1の方法は、難燃加工薬剤を水で希釈した浴中に繊維材料を浸漬することで、本発明のトリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)を付与させるとともに、繊維材料を浸漬した状態で80℃以上、2〜120分間熱処理を行い、耐久性を付与させる。難燃加工薬剤の希釈率については、特に限定はないが、通常、1〜10000倍である。繊維材料を浸漬した状態での処理温度は、繊維材料の非晶領域が弛緩又は膨張し、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)が付着しやすいため、80℃以上が好ましく、80℃〜140℃がさらに好ましい。工程1の方法における、繊維材料と処理浴の重量比は1/2〜1/100であり、1/3〜1/50が好ましい。工程1は、例えば、液流染色機、ビーム染色機、チーズ染色機等を用いて行うことができる。
工程2の方法は、難燃加工薬剤を水で希釈した浴中に繊維材料を浸漬して、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)とを付着させ、場合により乾燥させた後、繊維材料を熱処理して、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)とを繊維材料内部へ吸尽させ耐久性を付与させる。このときの温度は、100〜220℃が好ましく、150℃〜200℃がさらに好ましい。温度が100℃未満であると、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)の繊維材料内部への吸尽が不十分であり、耐久難燃性が劣る場合があるため好ましくない。一方、温度が220℃超であると、繊維材料が熱劣化し強度が低下することがあるため好ましくない。
付着は、パディング法、スプレー法、コーティング法等によって行うことができる。また、熱処理は、乾熱処理及び湿熱処理のいずれでもよい。例えば、スプレー−ドライ−キュア方式、パッド−ドライ−スチーム方式、パッド−スチーム方式、パッド−ドライ−キュア方式等が挙げられる。
本発明の難燃性繊維の製造方法では、例えば、少なくとも上記工程1又は工程2の一方の処理工程を行うものであればよいが、同じ工程を複数回処理したり、工程1及び工程2を組み合わせて処理したりすることによって、より高い難燃性を付与することができる。特に、また、本発明の難燃性繊維の製造方法では、工程1の方法、工程2の方法、工程1の後に工程2を行うこと、工程2の後に工程1を行うことが好ましく、工程1の方法、工程1の後に工程2を行うことがさらに好ましく、工程1の方法を行うことが特に好ましい。本発明の難燃加工薬剤とは異なる別の難燃剤を用いた別の処理工程を併用してもよい。
本発明の難燃性繊維の製造方法において、工程1の方法の場合、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)の合計の処理量は、繊維材料の種類や組織、繊維材料に付着する他の繊維加工剤の種類や付着量等の条件により異なるので特に限定はないが、繊維材料に対して通常0.1〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、0.5〜15重量%がさらに好ましく、0.5〜10重量%が特に好ましい。該処理量が0.1重量%未満では、繊維材料に十分な難燃性を付与することができないことがある。一方、該処理量が20重量%超では、得られる難燃性繊維の風合が悪くなるとともに、繊維材料に対する付着効率が悪く、経済的でない場合がある。なお、本発明でいう処理量とは、処理する繊維材料の乾燥重量に対する、処理浴に含まれるトリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)の合計量との重量比である。
本発明の難燃性繊維の製造方法においては、処理工程の処理浴に本発明の効果を損なわない範囲でこれ以外の他の成分を含んでいてもよい。例えば、前述の他の難燃剤、界面活性剤、溶剤、精練剤、分散剤、浴中柔軟剤、キレート剤(ポリカルボン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、ホスホン酸、グルタミン酸二酢酸及びそれらの塩等)、染料、キャリヤー剤、pH調整剤(蟻酸、酢酸、乳酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、炭酸及びこれらの塩等)、pHスライド剤、電位調整剤、消泡剤(鉱物油、シリコーン等)、消臭剤、抗菌剤(銀系化合物、第4級アンモニウム塩等)、柔軟剤、帯電防止剤、撥水撥油剤(フッ素樹脂等、シリコーン樹脂、パラフィンワックス等)、防汚剤、SR剤(水溶性ポリエステル樹脂、ポリエステル−ポリアルキレングリコール縮重合物、フッ素樹脂等)、硬仕上げ剤、合成樹脂(ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂など)、紫外線吸収剤、親水化剤、平滑剤、可縫性向上剤(流動パラフィン、鉱物油、パラフィンワックス、シリコーン)、架橋剤(カルボジイミド、エポキシ、イソシアネート、オキサゾリン等)等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を併用してもよい。
本発明の難燃性繊維の製造方法においては、処理工程の処理浴に染料を含有することが好ましい。染料としては、分散染料、カチオン染料、酸性染料、酸性媒染染料、金属錯塩染料、直接染料、反応染料、建染染料などが挙げられ、好ましくは、分散染料、カチオン染料である。さらに好ましくは分散染料である。分散染料としては、特に限定はなく、公知のものを採用できる。例えば、Sumikaron染料、Kayalon Polyester染料、Miketon Polyester染料、Palanil染料、Dianix染料、TD染料、Kiwalon Polyester染料、Terasil染料、Foron染料、Serilene染料等が挙げられる。
染料の含有量は、繊維材料に対して、0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜20重量%がより好ましく、0.2〜10重量%がさらに好ましい。
本発明の難燃性繊維の製造方法においては、処理工程の処理浴に紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤としては、難燃加工薬剤で例示したものと同様な成分を挙げることができる。紫外線吸収剤の含有量は、繊維材料に対して、0.01〜10重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましく、0.05〜1重量%が特に好ましい。
本発明の難燃性繊維の製造方法においては、処理工程の処理浴に均染剤、分散剤を含むことが好ましい。均染剤、分散剤としては、市販のものを使用できる。
本発明の難燃性繊維の製造方法においては、処理工程の処理浴にpH調整剤を含むことが好ましい。pH調整剤としては、蟻酸、蟻酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、リン酸、リン酸ニ水素ナトリウム、リン酸水素ニナトリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられる。処理工程のpHに限定はないが、繊維材料に対する付着効率が高く、缶体汚染や排水負荷を低減することができる点から、酸性が好ましく、3〜6がさらに好ましい。
本発明の難燃性繊維の製造方法は、難燃加工薬剤の処理工程前に、繊維材料を精練処理する工程(精練工程)を有してもよい。精練処理を行うことで、紡糸油剤、紡績油剤、編立油剤、製織油剤、糊剤などの不純物を除去でき、難燃性が向上する。精練処理方法は特に制限はないが、水で希釈した浴中に繊維材料を浸漬した状態で50℃以上、1〜120分間熱処理を行い、精練、洗浄、すすぎ、脱水、乾燥等を行う。例えば、液流染色機、ビーム染色機、チーズ染色機等を用いて行うことができる。
本発明の難燃性繊維の製造方法は、難燃加工薬剤の処理工程と精練工程を同時に行うことが好ましい。
また、本発明の難燃性繊維の製造方法は、難燃加工薬剤の処理工程前に、繊維材料に対して、染料、前述の他の難燃剤、紫外線吸収剤などを加工する加工工程を有してもよい。
本発明の難燃性繊維の製造方法は、難燃加工薬剤の処理工程後、ソーピング工程や還元洗浄工程などを行い、繊維材料に吸尽されず表面に付着している成分を除去することが好ましい。ソーピング工程や還元洗浄工程などに使用する剤としては、界面活性剤、還元剤(二酸化チオ尿素、ハイドロサルファイトなど)、アルカリ剤(苛性ソーダ、ソーダ灰など)、酸等が挙げられる。
本発明の難燃性繊維の製造方法では、難燃加工薬剤の処理工程後、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの合成樹脂エマルジョンや合成樹脂溶液を加工してもよい。加工方法に特に制限はなく、コーティング、パッド、スプレー処理などを挙げることができる。コーティング処理としては、エアナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、ブラシコーター、グラビアコーターなどを使用することができる。合成樹脂エマルジョンや合成樹脂溶液には、他の難燃剤等の他の成分を含有してもよい。
〔難燃性繊維〕
本発明の難燃性繊維は、繊維材料に対して、トリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A)及び臭素含有量が50重量%以上であり、融点が80℃以上である有機臭素化合物(B)が付着してなるものである。本発明の難燃性繊維の製造方法で得ることができる。繊維材料、トリクレジルホスフェート(A)、有機臭素化合物(B)については、前述したものと同じである。
本発明の難燃性繊維において、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)の合計の繊維材料への付着量は、繊維材料の種類や組織、繊維材料に付着する他の繊維加工剤の種類や付着量等の条件により異なるので特に限定はないが、難燃性繊維(付着物を含む繊維全体)に対して0.1〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、0.5〜15重量%がさらに好ましい。該付着量が0.1重量%未満では、繊維材料に十分な難燃性を付与することができないことがある。一方、該付着量が20重量%超では、得られる難燃性繊維の風合が悪くなるとともに、難燃効果が飽和状態になり経済的でないことがある。なお、本発明でいう付着量とは、処理した繊維材料の乾燥重量に対する、処理した繊維材料に付着しているトリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)の合計量との重量比である。
本発明の難燃性繊維において、トリクレジルホスフェート(A)と有機臭素化合物(B)との付着重量比(A/B)については、特に限定はないが、95/5〜5/95が好ましく、70/30〜5/95がさらに好ましく、40/60〜10/90が特に好ましい。
本発明の難燃性繊維において、界面活性剤の繊維材料への付着量は、繊維材料の種類や組織、繊維材料に付着する他の繊維加工剤の種類や付着量等の条件により異なるので特に限定はないが、難燃性繊維に対して、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がさらに好ましい。
本発明の難燃性繊維において、染料を含むことが好ましい。染料としては、分散染料、カチオン染料、酸性染料、酸性媒染染料、金属錯塩染料、直接染料、反応染料、建染染料などが挙げられ、好ましくは、分散染料、カチオン染料である。さらに好ましくは分散染料である。染料の付着量は、難燃性繊維に対して、0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜20重量%がより好ましく、0.2〜10重量%がさらに好ましい。
本発明の難燃性繊維において、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤としては、難燃加工薬剤で例示したものと同様な成分を挙げることができる。紫外線吸収剤の含有量は、難燃性繊維に対して、0.01〜10重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましく、0.05〜1重量%がさらに好ましい。
本発明の難燃性繊維において、本発明の効果を損なわない範囲でこれ以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、たとえば、他の難燃剤、溶剤、精練剤、均染剤、分散剤、浴中柔軟剤、キレート剤、キャリヤー剤、pH調整剤、pHスライド剤、電位調整剤、消泡剤、消臭剤、抗菌剤、柔軟剤、吸水剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、防汚剤、SR剤、硬仕上げ剤、樹脂、親水化剤等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を含んでいてもよい。
本発明の難燃性繊維において、水溶性の難燃剤を含むことが好ましい。リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、スルファミン酸、硫酸などの塩が好ましく、例えば、ポリリン酸アンモニウム、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、スルファミン酸アンモニウム、環式ホスホン酸エステル、ジメチルリン酸グアニジン、ジメチルホスフィン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩、ニトリロトリスメチレンホスホン酸塩等が挙げられる。
難燃性繊維に上記の染料、紫外線吸収剤、他の成分、水溶性の難燃剤を処理する方法としては、特に限定はなく、公知の手法を採用できる。また、上記の処理工程で、本発明の難燃加工薬剤と共に処理することもできる。
本発明の難燃性繊維は、自動車、航空機、鉄道、船舶などの車輌内装材;ふとん、マットレス、シーツ、枕、カバー、毛布、タオルケットなどの寝具;防災頭巾、防火服などの衣類;カーテン、ブラインド、ソファ、椅子、ざぶとん、暗幕、壁紙、展示用合板、繊維板、どん帳、工事用シート、じゅうたん、カーペット、テーブルクロス、クッション、障子、ふすま、テント、インテリアなどの多くの用途に用いることができる。
本発明の難燃性繊維は、UL−94垂直燃焼試験、UL−94薄手材料垂直燃焼試験、JIS−L−1091のA法(ミクロバーナー法、メッケルバーナー法、水平法、垂直法)、B法(表面燃焼試験)、C法(燃焼速度試験)、D法(接炎試験)、E法(酸素指数法試験)、JIS−D−1201、FMVSS−302法(自動車用内装材の燃焼試験)などの燃焼試験に適用される用途などに用いることが好ましい。
以下の実施例及び比較例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔評価方法〕
〔融点〕
トリクレジルホスフェート(A)、有機臭素化合物(B)について、示差走査熱量計DSC220U(セイコー電子工業株式会社製)を用い、窒素雰囲気下、不揮発分約5mgを昇温速度10℃/分で0℃から500℃まで昇温し、現れる吸熱ピークの温度を測定した。
〔難燃性評価方法〕
1)コイル法
JIS−L−1091のD法に従い、接炎回数を測定した。タテ、ヨコ各5回測定し、その平均値を算出した。平均値は、3以上が好ましく、4以上がさらに好ましい。
2)45°ミクロバーナー法
JIS−L−1091のA−1法に従い、残炎時間を測定した。タテ、ヨコ各5回測定し、その平均値を算出した。平均値は、3秒以下が好ましく、1秒以下がさらに好ましい。
〔スペック防止性、缶体汚染性評価方法〕
スペック防止性、缶体汚染性評価については、水が投入されたミニカラー専用染色ポット内に、調製した難燃加工薬剤を1g/Lの濃度になるよう投入し、続いてKayalon Polyester Black RV−SF300(4重量%owf、日本化薬株式会社製)を30〜35℃の水に溶きながら投入し、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液でpH4.5に調整して、染色浴を調製した。その後、編立て油剤であるブリアンC−1820(2g/L、松本油脂製薬株式会社製)を浴内に投入した。その際の想定浴比としては、1:20とした。
次に、染色浴のみをミニカラーにて処理した。処理条件としては、1分間に2℃の割合で135℃まで加温し、135℃を60分間保った。その後、冷却し60℃になったところで、精練染色液をろ紙を用いてろ過を行った。スペック防止性評価はろ紙を自然乾燥させた状態で、以下の基準で行った。また、缶体汚染性は、ミニカラー専用染色ポットの汚れ度合いを以下の基準で行った。
・スペック防止性評価基準
○:ろ紙に色がほとんど着かない。
×:ろ紙全面にスペックが存在し、ろ紙に激しい着色がみられる。
△:ろ紙全面にスペックが存在し、ろ紙に着色がみられる(○と×の中間レベル)。
・缶体汚染性評価基準
○:ミニカラー専用染色ポット内に汚れがほとんどみられない。
×:ミニカラー専用染色ポット内全体に汚れがみられる。
△:ミニカラー専用染色ポット内の一部に汚れがみられる。
〔耐光堅牢度評価方法〕
JIS−L−0842により、得られた難燃性ポリエステル繊維をカーボンアーク燈光で100時間照射し、級数で評価した。級数が大きいほど耐光堅牢性が良い。
〔ブリード性評価方法〕
難燃性ポリエステル繊維を、JIS−L−0849にて摩擦試験機II型により摩擦堅牢度試験を行い、級数で評価した。級数が大きいほどブリード性がよい。
〔製造例1〕
<トリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A1)の製造>
2000mL4つ口フラスコに、p−クレゾール(和光純薬株式会社製、純度99.70重量%、フェノール0.10重量%、o−クレゾール0.20重量%含有)716gと塩化アルミニウム16gを入れ、80℃でオキシ三塩化リン335gを2時間かけてゆっくり滴下し、発生する塩化水素は除去した。滴下終了後、120℃で3時間熟成した。反応物を90℃に冷却し、苛性ソーダ5重量%液を500g投入し、90℃で1時間攪拌した。水相は除去し、反応物を冷水に投入し、1時間洗浄し、脱水し、さらに水で1時間洗浄した。脱水、乾燥させ、トリ−p−クレジルホスフェートの純度が99.1重量%で白色固体である、トリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A1)が770g得られ、融点は77℃であった。
〔製造例2〕
<トリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A2)の製造>
2000mL4つ口フラスコに、p−クレゾール(和光純薬株式会社製、純度99.70重量%、フェノール0.10重量%、o−クレゾール0.20重量%含有)710g、m−クレゾール(和光純薬株式会社製、純度99.9重量%)6gと塩化アルミニウム16gを入れ、80℃でオキシ三塩化リン335gを2時間かけてゆっくり滴下し、発生する塩化水素は除去した。滴下終了後、120℃で3時間熟成した。反応物を90℃に冷却し、苛性ソーダ5重量%液を500g投入し、90℃で1時間攪拌した。水相は除去し、反応物を冷水に投入し、1時間洗浄し、脱水し、さらに水で1時間洗浄した。脱水、乾燥させ、トリ−p−クレジルホスフェートの純度が96.5重量%で白色固体である、トリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A2)が773g得られ、融点は75℃であった。
[実施例1]
表1にそれぞれ示す配合成分(重量部)をデスパ型攪拌機に加え、25℃で十分に攪拌及び分散させた。その後、スターミルZRS(アシザワファインテック株式会社製)を用いて、得られたスラリー液を25℃で6時間微粒子化し、難燃加工薬剤をそれぞれ調製した。調製した難燃加工薬剤を用いて、スペック防止性、缶体汚染性を評価した。
次に、調製した難燃加工薬剤を用いて、下記の難燃加工1、難燃加工2の条件でそれぞれ難燃加工を行い、難燃性ポリエステル繊維を得た。得られた難燃性ポリエステル繊維(表では「加工上り」と示す)について、ブリード性、難燃性を評価した。また、得られた難燃性ポリエステル繊維について、JIS−L−1091の方法により水洗い洗濯を5回行った後(表では「洗濯5回後」と示す)、及びJIS−L−1018の方法によりドライクリーニングを5回行った後(表では「ドライクリーニング5回後」と示す)、難燃性を評価した。これらの結果を表1に示す。
<難燃加工1>
ミニカラー染色機(テクサム技研社製)のミニカラー専用染色ポット内に、水、染色同浴精練剤であるマーポンISD−1(松本油脂製薬株式会社製)2g/L、均染剤であるマーポマーベリンB−70(松本油脂製薬株式会社製)及び難燃加工薬剤組成物10重量%owfを投入し、続いてKayalon Polyester Black RV−SF300(2重量%owf、日本化薬株式会社製)を30〜35℃の水に溶きながら投入し、その後、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液でpH4.5に調整して、染色浴を調製した。
次に、ポリエステルトロピカル生機を調製した染色浴に投入し、ミニカラーにて処理した。その際の浴比としては、1:20であった。処理条件としては、1分間に2℃の割合で135℃まで加温し、135℃を30分間保った。その後、冷却し70℃になったところで、染色浴を廃棄し、5分間水洗いを行った。
次に、ソーピング剤であるマーポマーベリンS−1520(松本油脂製薬株式会社製)1g/L、ハイドロサルファイト2g/L、苛性ソーダ2g/Lを含む浴で、浴比1:20、温度80℃の条件で、15分間ソーピング処理を行い、水洗し、160℃で1分乾燥し、難燃性ポリエステル繊維を得た。
<難燃加工2>
ミニカラー染色機(テクサム技研社製)のミニカラー専用染色ポット内に、水、染色同浴精練剤であるマーポンISD−1(松本油脂製薬株式会社製)2g/L、均染剤であるマーポマーベリンB−70(松本油脂製薬株式会社製)を投入し、続いてKayalon Polyester Black RV−SF300(2重量%owf、日本化薬株式会社社製)を30〜35℃の水に溶きながら投入し、その後、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液でpH4.5に調整して、染色浴を調製した。
次に、ポリエステルトロピカル生機を調製した染色浴に投入し、ミニカラーにて処理した。その際の浴比としては、1:20であった。処理条件としては、1分間に2℃の割合で135℃まで加温し、135℃を30分間保った。その後、冷却し70℃になったところで、染色浴を廃棄し、5分間水洗いを行った。
次に、ソーピング剤であるマーポマーベリンS−1520(松本油脂製薬株式会社製)1g/L、ハイドロサルファイト2g/L、苛性ソーダ2g/Lを含む浴で、浴比1:20、温度80℃の条件で、15分間ソーピング処理を行い、水洗し、120℃で4分間乾燥し、ポリエステル染色布を得た。このポリエステルトロピカル染色布を、難燃加工薬剤組成物5重量%含む処理液に浸漬し、マングルで絞り(絞り率90%)、乾燥を110℃で3分間行い、キュアリングを160℃で1分間行い、難燃性ポリエステル繊維を得た。
[実施例2〜14、比較例1〜17]
表1、2にそれぞれ示す配合成分を変更する以外は、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1、2に示す。なお、表1、2に示したPOE(13)スチレン化フェノールサルフェートNa塩とは、ポリオキシエチレンスチレン化フェノールサルフェートNa塩であって、そのオキシエチレン基の繰返し数の平均が13であるという意味である。また、スチレン化フェノールのスチレン化度は重量比でモノ:ジ:トリ=15:50:35である。POE(7)スチレン化クレゾールサルフェートNa塩のスチレン化クレゾールのスチレン化度は重量比でモノ:ジ:トリ=10:80:10であり、クレゾールは、m−クレゾール:p−クレゾール=50〜60:40〜50(重量比)のクレゾールを使用した。PEG(600)とは、ポリエチレングリコールの平均分子量が約600であるという意味である。有機臭素化合物(B)について、表1のトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートはFCP−660CN(臭素含有量66重量%、融点115℃)(鈴祐化学株式会社製)を使用し、ヘキサブロモシクロドデカンはSAYTEX HP−900(臭素含有量74重量%、融点180℃)(アルベマール日本株式会社製)を使用し、ヘキサブロモベンゼンはFR−B(臭素含有量87重量%、融点327℃)(日宝化学株式会社製)を使用し、エチレンビステトラブロモフタルイミドはSAYTEX BT−93(臭素含有量67重量%、融点456℃)(アルベマール日本株式会社製)を使用し、ビス(3,5−ジブロモ−4−ジブロモプロピルオキシフェニル)スルホンはFCP−65(臭素含有量65重量%、融点115℃)(鈴祐化学株式会社製)を使用した。トリフェニルホスフィンオキサイドは、TPPO(ケイアイ化成株式会社製)を使用した。また、表2の異性体混合物のトリクレジルホスフェート(TCP)は、m−クレゾール:p−クレゾール=50〜60:40〜50(重量比)のクレゾールの異性体混合物から得られる、凝固点が−35℃のトリクレジルホスフェートの異性体混合物を示す。表2の難燃成分C〜Mの詳細は、表3に示す通りである。
トリ−p−クレジルホスフェートを主成分とするトリクレジルホスフェート(A)と臭素含有量が50重量%以上であり、融点が80℃以上である有機臭素化合物(B)を用いた実施例1〜14は、難燃性、スペック防止性、缶体汚染性、ブリード性、耐光堅牢度のいずれもが優れている。それに対して、比較例1〜17は、難燃性、スペック防止性、缶体汚染性、ブリード性、耐光堅牢度において、いずれかが劣っている。