JP6156060B2 - 発泡性複合樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃剤を含有する発泡性複合樹脂粒子に関する。
発泡粒子成形体は、緩衝性、軽量性、防振性、防音性、断熱性等に優れるという特性を生かして、包装材料、建築材料、車輌用部材等の幅広い用途に利用されている。発泡粒子成形体は、一般に、発泡性樹脂粒子を用いて製造されている。具体的には、まず、プロパン、ブタン、及びペンタン等の有機系物理発泡剤を樹脂粒子に含浸させて発泡性樹脂粒子を作製する。次いで、加熱等により発泡性樹脂粒子を発泡させることにより発泡粒子を得た後、該発泡粒子を成形型内で相互に融着させることにより発泡粒子成形体を得ることができる。発泡粒子成形体を構成する樹脂成分としては、ポリスチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂が主流であるが、近年、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との複合樹脂(以下、単に「複合樹脂」という。)が注目をされている。
上記複合樹脂を含有する発泡粒子成形体(以下、適宜「発泡複合樹脂成形体」という)は、例えばポリスチレン系樹脂を含有する発泡粒子成形体(以下、適宜「発泡PS系樹脂成形体」という)と比較して、復元性、耐油性等に優れるため、精密部品や重量の大きな製品の梱包材等として用いられる。また、発泡複合樹脂成形体は、充分な剛性、緩衝性を有するため、バンパー、フロアースペーサー等の自動車部材としても広く用いられる。ところが、発泡複合樹脂成形体は、燃えやすいという欠点がある。
そこで、発泡複合樹脂成形体に難燃性を付与する技術が開発されている。具体的には、例えばスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡成形体の発泡倍率をY倍とし、成形体中に残存する可燃性発泡剤の量をX重量%とした場合に、X2×Y≦5となるように発泡剤残存量と発泡倍率を特定の関係に維持する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、難燃剤としてテトラブロモシクロオクタンやトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを用いた、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子を得る方法が提案されている(特許文献2〜4参照)。
特開平6−57027号公報 特開平7−179646号公報 特開平7−179647号公報 特開2006−257150号公報
しかしながら、上述の従来の手法で得られる難燃性の発泡性複合樹脂粒子は、発泡性複合樹脂粒子を予備発泡後、短時間の熟成で発泡粒子を成形する場合に問題が生じる。即ち、この場合には、発泡複合樹脂成形体中の脂肪族炭化水素または環式脂肪族炭化水素の残留量が多くなり、その結果、発泡複合樹脂成形体の難燃性が不充分になる。
また、発泡複合樹脂成形体を車両用内装材として用いる場合には、さらに高い難燃性が求められる。そこで、難燃剤の配合量を増やすことにより、難燃性をさらに向上させる方法が考えられるが、増量してもその配合量に見合った難燃性は得られない。また、難燃剤の増量は、発泡複合樹脂成形体の剛性や復元性を低下させる傾向がある。さらに、難燃剤の配合量を増やすと、残留スチレンモノマー量が増大するという問題点がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、発泡性に優れると共に、残留スチレンモノマーが少なく、難燃性、剛性及び復元性に優れた発泡複合樹脂成形体を得ることができる発泡性複合樹脂粒子の製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との複合樹脂と、有機系物理発泡剤と、難燃剤とを含有する発泡性複合樹脂粒子を製造する方法において、
ポリオレフィン系樹脂と難燃剤とを混練してなるポリオレフィン系樹脂核粒子を水性媒体中に分散させる分散工程と、
上記ポリオレフィン系樹脂核粒子100質量部に対して100〜2000質量部のスチレン系モノマーを上記水性媒体中に添加し、上記ポリオレフィン系樹脂核粒子に上記スチレン系モノマーを含浸、重合させて複合樹脂粒子を得る改質工程と、
該改質工程における重合中及び/又は重合後に上記有機系物理発泡剤を樹脂粒子に含浸させる発泡剤含浸工程を有し、
上記難燃剤が臭素化ブタジエン系重合体であることを特徴とする発泡性複合樹脂粒子の製造方法にある。
上記製造方法においては、上記分散工程と上記改質工程と上記発泡剤含浸工程とを行うことにより、発泡性複合樹脂粒子を製造している。また、上記製造方法においては、上記難燃剤として、特定の物質を採用し、該難燃剤を上記ポリオレフィン系樹脂核粒子に練り込んである。そのため、難燃剤によるスチレン系モノマーの重合阻害が起き難く、残留スチレン系モノマー量を少なくすることができ、また、発泡性に優れた発泡性複合樹脂粒子を得ることができる。また、上記発泡性複合樹脂粒子を用いることにより、難燃性に優れた発泡複合樹脂成形体を製造することができ、該発泡複合樹脂成形体は、少量の難燃剤でも優れた難燃性を示すことができる。
また、上記製造方法により得られる発泡性複合樹脂粒子を用いることにより、ポリスチレン系樹脂(以下、適宜「PS系樹脂」という)の特性である優れた剛性と、ポリオレフィン系樹脂(以下、適宜「PO系樹脂」という)の特性である優れた復元性とを兼ね備えた発泡複合樹脂成形体を得ることができる。
次に、好ましい実施形態について説明する。
上記発泡性複合樹脂粒子は、これを発泡させることにより、複合樹脂発泡粒子を製造し、さらにこれらの複合樹脂発泡粒子を型内成形することにより、発泡複合樹脂成形体を製造するために用いることができる。発泡性複合樹脂粒子は、上述のように、分散工程、改質工程、及び発泡剤含浸工程を行うことにより製造する。
上記分散工程においては、PO系樹脂と難燃剤とを混練してなるポリオレフィン系樹脂核粒子(以下、適宜「核粒子」ともいう)を水性媒体中に分散させる。
PO系樹脂としては、例えば直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、分岐状の低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体等のポリエチレン系樹脂を用いることができる。また、PO系樹脂としては、例えばプロピレンホモ重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−4-メチル−1−ペンテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂を用いることもできる。また、PO系樹脂としては、1種の重合体でもよいが、2種以上の重合体の混合物を用いることもできる。
PO系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。この場合には、発泡性複合樹脂粒子を発泡成形させて得られる発泡複合樹脂成形体の難燃性をより向上させることができる。同様の観点から、PO系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンであることがより好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体であることがさらに好ましい。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルを、例えば高圧ラジカル重合などで共重合して得られる重合体である。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、一般に、ポリエチレン鎖からなる長鎖と、この長鎖から分岐する酢酸ビニル由来の短鎖とを有している。エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル成分の含有量(共重合体中の酢酸ビニルモノマー由来の構造割合)は、通常1〜45質量%のものが知られているが、上記PO系樹脂としては、酢酸ビニルの含有量が5〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。この場合には、難燃性、発泡剤の保持性をより一層高めることができる。このようなエチレン-酢酸ビニル共重合体は、市販品から入手することができる。
PO系樹脂の密度は、通常、0.88〜0.945g/cm3であるが、0.90〜0.94g/cm3であることが好ましく、0.91〜0.93g/cm3であることがより好ましい。
また、核粒子を構成するPO系樹脂成分のメルトマスフローレート(MFR190℃、2.16kg)は、発泡性の観点から0.5〜4.0g/10分であることが好ましく、1.0〜3.0g/10分であることがより好ましい。このMFR(190℃,2.16kg)は、JIS K7210(1999年)に基づき、条件コードD(190℃、荷重2.16kg)で測定される値である。なお、測定装置としては、メルトインデクサー(例えば宝工業(株)製の型式L203など)を用いることができる。
核粒子を構成するPO系樹脂成分の融点(Tm)は、80〜115℃であることが好ましい。この場合には、上記改質工程時に、PO系樹脂にスチレン系モノマーを充分に含浸させることができ、重合時に懸濁系が不安定化することを防止することができる。その結果、得られた発泡性複合樹脂粒子を用いることにより、PS系樹脂の優れた剛性とPO系樹脂の優れた復元性とをより高いレベルで兼ね備えた発泡複合樹脂成形体を得ることが可能になる。同様の観点から、核粒子を構成するPO系樹脂成分の融点(Tm)は85〜110℃であることがより好ましい。なお、上述の融点(Tm)は、JIS K7121(1987年)に基づいて、示差走査熱量測定(DSC)にて測定することができる。
上記核粒子において、難燃剤はPO系樹脂に練り込まれている。この場合には、改質工程において添加されるスチレン系モノマーと、上記難燃剤との接触頻度が少なくなるものと考えられる。さらに、難燃剤として臭素化ブタジエン系重合体を用いているため、難燃剤によるスチレン系モノマーの重合阻害が起きにくく、残留スチレンモノマー量をより少なくなることができ、また、発泡性に優れた発泡性複合樹脂粒子を得ることができる。また、この場合には、少量の難燃剤でも優れた難燃性を発揮することができる。上記臭素化ブタジエン系重合体としては、例えば特開2009−516019号公報や、特開2012−512942号公報で開示されるものが挙げられる。これらの臭素化ブタジエン系重合体は、ブタジエン系重合体を臭素化することにより製造される。
また、上記臭素化ブタジエン系重合体は、核粒子に含浸されるスチレン系モノマーとの相溶性を考慮すると、スチレン系単量体の成分単位を含むブロック共重合体、ランダム共重合体、又はグラフト共重合体であることが好ましく(以下、これらを併せて「臭素化ブタジエン−スチレン共重合体」ともいう。)、ポリスチレン系重合体ブロックと臭素化ポリブタジエンブロックとのブロック共重合体であることがより好ましい。
上記スチレン系単量体としては、スチレン、臭素化スチレン、塩素化スチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレンなどが例示できる。これこれらの中でも、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、又はこれらの混合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
臭素化ブタジエン系重合体中の臭素含有率は、難燃性付与効果の観点から、60重量%以上であることが好ましく、63重量%以上であることがより好ましい。なお、上記臭素含有率は、JIS K7392(2009年)に基づき求めることができる。
代表的な臭素化ブタジエン系重合体である臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体は、下記の一般式(1)により表すことができる。なお、一般式(1)において、X、Y、Zは、正の整数である。また、一般式(1)におけるブロック共重合体は、トリブロック共重合体であるが、ジブロック共重合体であってもよい。
Figure 0006156060
このような臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体は、たとえばスチレン−ブタジエンブロック共重合体を臭素化することにより製造される。臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体の好ましい例としては、Chemtura社製の「Emerald3000」、ICL−IP社の「FR122P」等の市販品が挙げられる。
臭素化ブタジエン系重合体のポリスチレン換算平均分子量は、1000以上、300000以下であることが好ましく、10000以上、200000以下であることがより好ましく、100000以上、150000以下であることがさらに好ましい。
発泡性複合樹脂粒子中への難燃剤の配合量は、所望の難燃性に応じて適宜調整することができる。例えば、FMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standards) No.302の燃焼規格を満足するような高度な難燃性を発泡樹脂成形体に付与するという観点から、発泡性複合樹脂粒子の複合樹脂100質量部に対する難燃剤の配合割合が0.2質量部以上となるように、核粒子に難燃剤を配合することが好ましい。一方、所望の型内成形性や機械的物性を得るという観点からは、発泡性複合樹脂粒子の複合樹脂100質量部に対する難燃剤の配合割合が8質量部以下となるように、核粒子に難燃剤を配合することが好ましい。同様の観点から、難燃剤の配合量は、複合樹脂100質量部に対して0.3〜5質量部であることがより好ましく、0.5〜3質量部であることがさらに好ましい。
また、核粒子中の難燃剤の配合量が多くなると、発泡性複合樹脂粒子及び発泡樹脂成形体中の残留スチレンモノマー量が増加する傾向にある。一方、難燃剤の配合量が少なすぎる場合には、上述のように高度な難燃性が得られなくなるおそれがある。かかる観点から、上記難燃剤の配合量は、核粒子中に0.3〜50質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
核粒子は、PO系樹脂、難燃剤、必要に応じて添加されるその他の添加剤を混練し、混練物を押出して所望の粒子形状にカットすることにより作製することができる。難燃剤やその他の添加剤を核粒子中に均一に分散させるためには、例えばダルメージタイプ、マドックタイプ、及びユニメルトタイプ等の高分散タイプのスクリュや二軸押出機を用いて溶融混練を行うことが好ましい。
また、難燃剤は、使用量の全量を核粒子に練り込むこともできるが、使用量の一部を核粒子に練り込み、残りを改質工程において添加するスチレン系モノマーに溶解させてスチレン系モノマーと共に添加することもできる。この場合には、残留スチレンモノマー量をより少なくし、少量の難燃剤での難燃性をより向上できるという観点から、難燃剤の総配合量の50質量%以上を核粒子に予め練り込んでおくことが好ましい。より好ましくは、難燃剤の総配合量の70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、最も好ましくは全量を核粒子に練り込んでおくことがよい。
また、臭素化ブタジエン系重合体からなる難燃剤の熱安定性を向上させるために、エポキシ化合物、酸化防止剤等の熱安定剤を併用することができる。エポキシ化合物は、核粒子の押出加工時に難燃剤から脱離した臭素に由来するHBrを捕捉する性質を有し、この性質を利用してHBrによるPS系樹脂の分解を抑制することができる。エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物等を用いることができる。より具体的には、たとえばICL−IP社製の「F2200HM」、DIC社製の「EPICLONシリーズ」、HUNTUMAN社製の「Araldaite ECN1280」等の市販品を挙げることができる。これらのエポキシ化合物は、1種又は2種以上を併用することができる。
エポキシ化合物の使用量は、臭素化ブタジエン系重合体100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。
また、上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、及びホスファイト系酸化防止剤等を用いることができる。これらの酸化防止剤は、1種又は2種以上を併用することができる。酸化防止剤は、核粒子の押出加工時に臭素化ブタジエン系重合体が分解して発生するハロゲンラジカルやハロゲンイオンを補足する性質を有する。この性質を利用して、酸化防止剤は、PS系樹脂の分子量の低下や着色を抑制することができるものである。このような観点から、酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤とホスファイト系酸化防止剤とを併用することが好ましい。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、押出加工時の安定性、難燃性の点から、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
上記ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、または4−ヒドロキシ−1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの脂肪族または芳香族カルボン酸エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、押出加工時の安定性、難燃性の点から、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、又はビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましい。
上記ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデン−ビス(2−t−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)モノ−p−ノニルフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、テトラアルキル(C=12〜16)−4,4’−イソプロピリデン−(ビスフェニル)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(3−t−ブチル−6−メチル−4オキシフェニル)−3−メチルプロパントリホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリスデシルホスファイトなどがあげられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでも、押出加工時の安定性の点から、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト又はビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイトが好ましい。
上記酸化防止剤の配合量は、臭素化ブタジエン系重合体100質量部に対して0.2〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましい。
また、上述のエポキシ化合物、酸化防止剤に加えて、他の安定剤を併用することもできる。このような安定剤としては、金属石鹸、有機スズ化合物、鉛化合物、ハイドロタルサイト、多価アルコール、β−ケトン、イオウ系化合物などが挙げられる。
また、本発明の目的、効果を妨げない範囲において、臭素化ブタジエン系重合体からなる難燃剤に加えて、他の難燃剤を併用することができる。併用可能な難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等が挙げられる。好ましくは、臭素系難燃剤がよい。他の難燃剤を併用する場合には、その配合量は、臭素化ブタジエン系重合体100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下とすることがより好ましい。
臭素系難燃剤としては、例えばビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス(4−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、トリアリルイソシアヌレート6臭化物等が挙げられる。また、塩素系難燃剤としては、例えばビス[3,5−ジクロロ−4−(2,3−ジクロロプロポキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス(4−(2,3−ジクロロプロポキシ)−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、トリアリルイソシアヌレート6塩化物等の塩素系難燃剤が挙げられる。
また、上記難燃剤に、難燃助剤、非ハロゲンリン系難燃剤、含ハロゲンリン系難燃剤等を併用することもできる。
難燃助剤としては、例えば三酸化アンチモン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼンなどが挙げられる。非ハロゲンリン系難燃剤としては、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルハスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどが挙げられる。含ハロゲンリン系難燃剤としては、例えばトリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートが挙げられる。これらの難燃剤、難燃助剤は単独で用いても、2種類以上混合して用いても良い。
また、核粒子には、分散径拡大剤を配合することが好ましい。この場合には、発泡性複合樹脂粒子において、PO系樹脂とPS系樹脂とからなる複合樹脂のモルフォロジーにおけるPS系樹脂からなる相の大きさ(分散径)を調整することができる。
分散径拡大剤としては、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ゴム変性ポリスチレン、ABS樹脂、AES樹脂から選択される1種、又はこれら2種以上の混合物が挙げられる。好ましくは、アクリロニトリル−スチレン共重合体がよい。また、アクリロニトリル−スチレン共重合体中のアクリロニトリル成分量は20〜40質量%であることがよい。
核粒子中の分散径拡大剤の含有量は、核粒子を構成するPO系樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、3〜7質量部であることがより好ましい。分散径拡大剤の含有量が上記範囲内であれば、複合樹脂においてPO系樹脂とPS系樹脂が共連続相(海海構造)を示すモルフォロジーを形成し易くなる。また、上記範囲内であれば、複合樹脂においてPO系樹脂が連続相をなしPS系樹脂が分散相をなすモルフォロジー(海島構造)においてPS系樹脂(分散相)の分散径が大きいモルフォロジーを形成しやすくなる。その結果、発泡性複合樹脂粒子の発泡剤保持性能を充分に向上させることができる。また、発泡性複合樹脂粒子を発泡し、型内成形して得られる発泡樹脂成形体の良好な復元性、剛性を維持するという観点からも、分散径拡大剤の含有量を上記範囲にすることが好ましい。
また、核粒子には、その他にも、気泡調整剤、顔料、スリップ剤、帯電防止剤等を必要に応じて添加することができる。
核粒子は、オレフィン系樹脂、難燃剤、及びその他の必要に応じて添加される各種添加剤を配合し、配合物を溶融混練してから細粒化して製造することができる。溶融混練は押出機により行うことができる。このとき、均一な混練を行うために、予め各樹脂成分等を混合した後に押出を行うことが好ましい。各樹脂成分等の混合は、例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダー、レディーゲミキサーなどの混合機を用いて行うことができる。
核粒子の微細化は、上記押出機で溶融混練した後、ストランドカット方式、ホットカット方式、水中カット方式等により行うことができる。所望の粒子径が得られる方法であれば他の方法により行うこともできる。
核粒子の粒子径は、0.1〜3.0mmが好ましい。この場合には、発泡性複合樹脂粒子の発泡性をより向上させることができる。また、この場合には、発泡性複合樹脂粒子を発泡させて得られる複合樹脂発泡粒子を型内成形する際に、複合樹脂発泡粒子を金型内へ充填し易くなる。同様の観点から、核粒子の粒子径は、0.3〜1.5mmであることがより好ましい。なお、押出機を用いる場合には、例えば作製しようとする粒子径のほぼ同じ大きさの口径を有する孔から樹脂を押出し、カットスピードを変えて所定の粒子径の核粒子が得られる長さに切断することにより、粒子径の調整を行うことができる。
核粒子の粒子径は次のようにして測定することができる。即ち、まず、核粒子を顕微鏡写真により観察し、200個以上の核粒子について各核粒子における最大径を測定する。次いで、測定された最大径の算術平均値を核粒子の粒子径とする。
分散工程においては、核粒子を水性媒体中に分散させる。水性媒体中への分散は、例えば撹拌機を備えた密閉容器を用いて行うことができる。上記水性媒体としては、例えば脱イオン水等が挙げられる。また、分散工程においては、懸濁剤を含む水性媒体中に核粒子を分散させることができる。
懸濁剤としては、例えばリン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第2鉄、水酸化チタン、水酸化マグネシウム、リン酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、ベントナイト等の微粒子状の無機懸濁剤を用いることができる。また、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の有機懸濁剤を用いることもできる。好ましくは、懸濁剤としては、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムがよい。これらの懸濁剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
懸濁剤の使用量は、懸濁重合系の水性媒体(反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水)100質量部に対して、固形分量で0.05〜10質量部が好ましい。より好ましくは0.3〜5質量部がよい。
また、水性媒体には界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
また、水性媒体には、必要に応じて、例えば塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の無機塩類からなる電解質を添加することができる。
また、水性媒体には、水溶性重合禁止剤を添加することが好ましい。この場合には、発泡性複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体の靱性をより向上させることができる。
水溶性重合禁止剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、クエン酸等を用いることができる。
水溶性重合禁止剤の添加量は、水性媒体(反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水をいう)100質量部に対して0.001〜0.1質量部が好ましく、0.005〜0.06質量部がより好ましい。
次に、上記改質工程においては、核粒子を分散させた水性媒体中にスチレン系モノマーを添加し、核粒子にスチレン系モノマーを含浸、重合させる。
スチレン系モノマーの添加量が少なすぎる場合には、上記発泡性複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体が十分な剛性を示さなくなる虞がある。したがって、核粒子100質量部に対するスチレン系モノマーの添加量は100質量部以上であることが好ましく、200質量部以上であることがより好ましく、250質量部以上であることがさらに好ましい。一方、スチレン系モノマーの添加量が多すぎる場合には、上記発泡性複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体が十分な復元性を示さなくなる虞がある。したがって、核粒子100質量部に対するスチレン系モノマーの添加量は2000質量部以下であることが好ましく、1000質量部以下であることがより好ましく、750質量部以下であることがさらに好ましい。上述のスチレン系モノマーの添加量の範囲は、上述の上限及び下限の好ましい範囲、より好ましい範囲、及びさらに好ましい範囲の全ての組み合わせから決定することができる。複合樹脂中のPO系樹脂及びPS系樹脂の含有量は、発泡性複合樹脂粒子の製造時における原料の配合組成から求めることができる。
上述の配合割合でスチレン系モノマーを添加することにより、ポリスチレン系樹脂の比率が比較的高い発泡性複合樹脂粒子を得ることができる。そして、この発泡性複合樹脂粒子は、有機系物理発泡剤の保持性に優れ、嵩張らない発泡性複合樹脂粒子の状態での輸送及び長期間の保管が可能になる。また、発泡性複合樹脂粒子を実際に長期間保存し、その後発泡させて複合樹脂発泡粒子を得ると、該複合樹脂発泡粒子の見掛け密度のバラツキを小さくすることが可能になる。
上記スチレン系モノマーとしては、スチレン(スチレンモノマー)を用いることができるが、スチレンと、これと共重合可能なモノマーとを併用することもできる。本明細書では、PS系樹脂を構成するスチレン、必要に応じて添加される、スチレンモノマーと共重合可能なモノマーを、併せてスチレン系モノマーと称することがある。スチレン系モノマーの合計100質量%中のスチレンの使用量は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
スチレンと共重合可能なモノマーとしては、例えば下記のスチレン誘導体、その他のビニルモノマー等がある。
スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、ジビニルベンゼン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、単独でも2種類以上を混合したものを用いても良い。
また、上述のその他のビニルモノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、水酸基を含有するビニル化合物、ニトリル基を含有するビニル化合物、有機酸ビニル化合物、オレフィン化合物、ジエン化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等がある。
メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等がある。
水酸基を含有するビニル化合物としては、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等がある。
ニトリル基を含有するビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等がある。
有機酸ビニル化合物としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等がある。
オレフィン化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン等がある。
ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等がある。
ハロゲン化ビニル化合物としては、例えば塩化ビニル、臭化ビニル等がある。
ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば塩化ビニリデン等がある。
マレイミド化合物としては、例えばN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等がある。
これらのビニルモノマーは、単独でも2種類以上を混合したものを用いても良い。
発泡性複合樹脂粒子の発泡性を高めるという観点から、上記改質工程においては、スチレン系モノマーとして、スチレンを単独で用いるか、スチレンとアクリル系単量体とを併用することが好ましい。発泡性を高めると共に、難燃性も高めるという観点から、スチレン系モノマーとして、スチレンとアクリル酸ブチルとを併用し、アクリル酸ブチルの添加量は、上記核粒子と上記スチレン系モノマーとの合計量100質量部に対して0.5〜10質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましく、2〜5質量部であることがさらにより好ましい。
上記核粒子にスチレン系モノマーを含浸させて重合させるにあたって、使用量の全量のスチレン系モノマーを一括して添加することもできるが、スチレン系モノマーの使用量を例えば第1モノマー及び第2モノマーに分割し、これらのモノマーを異なるタイミングで添加することもできる。後者のように、スチレン系モノマーを分割して添加することにより、重合時に樹脂粒子同士の凝結を効果的に抑制することが可能になる。
具体的には、上記分散工程においては、上記核粒子を分散させた水性媒体中に、まず、第1モノマー(配合予定のスチレン系モノマー全量のうち一部)と重合開始剤とを添加し、水性媒体中に第1モノマーを分散させることができる。次いで、水性媒体を加熱し、所定温度において第2モノマー(配合予定のスチレン系モノマー全量のうち残部)を所定の添加時間をかけて水性媒体中に添加することができる。これにより、核粒子にこれらのスチレン系モノマーを含浸させて重合させることができる。
なお、第1モノマーのシード比(核粒子に対する第1モノマーの配合比(質量比))は、0.5以上であることが好ましい。この場合には、発泡性複合樹脂粒子が扁平になることを防止し、成形時の充填性を向上させることができる。同様の観点から、第1モノマーのシード比は、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。
また、第1モノマーのシード比は、1.5以下であることが好ましい。この場合には、スチレン系モノマーが核粒子に充分に含浸される前に重合してしまうことを抑制し、復元性が良好な成形体をより確実に得ることができる。また、この場合には、スチレン系モノマーを安定化させることができ、樹脂の塊状物の発生を抑制することができる。同様の観点から、第1モノマーのシード比は、1.3以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。第1モノマーのシード比の範囲は、上述の上限及び下限に関する好ましい範囲、より好ましい範囲、及びさらに好ましい範囲の全ての組み合わせから決定することができる。
また、第2モノマーの添加温度は、Tm−10〜Tm+30℃(但し、Tm:核粒子を構成するPO系樹脂成分の融点)の範囲内であることが好ましい。第2モノマーの添加温度がこの温度範囲から外れる場合には、懸濁系が不安定化し、樹脂の塊状物が発生する虞がある。第2モノマーの添加温度は、Tm−5〜Tm+10℃であることがより好ましい。
また、核粒子内でスチレン系モノマーを均一に重合させるためには、スチレン系モノマーを核粒子に含浸させて重合させる。この場合には、スチレン系モノマーの重合と共にPO系樹脂の架橋が生じることがある。スチレン系モノマーの重合においては重合開始剤を用いるが、必要に応じて架橋剤を併用することができる。また、重合開始剤及び/又は架橋剤を使用する際には、予めスチレン系モノマーに重合開始剤及び/又は架橋剤を溶解しておくことが好ましい。なお、スチレン系モノマーの重合過程においては、上記核粒子中に含まれるPOの架橋が生じる場合があることから、本明細書において、「重合」は「架橋」を含む場合がある。
重合開始剤としては、スチレン系モノマーの懸濁重合法に用いられるものを用いることができる。例えばスチレン系モノマーに可溶で、10時間半減期温度が50〜120℃である重合開始剤を用いることができる。具体的には、例えばクメンヒドロキシパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物を用いることができる。また、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いることもできる。これらの重合開始剤は1種類、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、残留スチレンモノマーを低減しやすく、後述の複合樹脂の膨潤度を調整し易いという観点から、重合開始剤としてはt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが好ましい。
重合開始剤は、溶剤に溶解させて添加し、核粒子に含浸させることもできる。重合開始剤を溶解する溶剤としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素等を用いることができる。芳香族炭化水素としては、例えばエチルベンゼン、トルエン等がある。脂肪族炭化水素としては、例えばヘプタン、オクタン等がある。重合開始剤は、スチレン系モノマー100質量部に対して0.01〜3質量部の範囲で使用することが好ましい。
また、架橋剤としては、重合温度では分解せず、架橋温度で分解し、10時間半減期温度が重合温度よりも5℃〜50℃高いものを用いることが好ましい。具体的には、例えばジクミルパーオキサイド、2,5−t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン等の過酸化物を用いることができる。架橋剤としては、これらのうちの単独または2種類以上を併用して用いることができる。架橋剤の配合量は、スチレン系モノマー100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。なお、重合開始剤及び架橋剤としては、同じ化合物を採用することもできる。
また、改質工程において、重合温度は、使用する重合開始剤の種類によって異なるが、60〜105℃が好ましい。また、架橋温度は使用する架橋剤の種類によって異なるが、100〜150℃が好ましい。
また、スチレン系モノマーには、必要に応じて、気泡調整剤、可塑剤、油溶性重合禁止剤、難燃剤、染料等を添加することができる。
次に、発泡剤含浸工程においては、改質工程におけるスチレン系モノマーの重合中及び/又は重合後の樹脂粒子に有機系物理発泡剤(以下、単に「発泡剤」ともいう)を含浸させる。これにより、発泡性複合樹脂粒子を得る。具体的には、重合中又は重合後の樹脂粒子を収容する容器内に発泡剤を圧入し、樹脂粒子中に含浸させる。なお、上述の樹脂粒子は、核粒子へのスチレン系モノマーの含浸重合途中の粒子や、含浸重合後の複合樹脂粒子を含む概念である。
発泡剤の含浸温度は、スチレン系モノマーが重合してなるPS系樹脂のガラス転移温度をTgとすると、Tg−10℃以上であることが好ましい。この場合には、発泡性複合樹脂粒子における発泡剤の保持性がより向上する。また、発泡成形後に得られる発泡複合樹脂成形体において独立気泡率や復元性がより向上する。これは、発泡剤が含浸され難いPS系樹脂相にも発泡剤が充分に含浸されるためと推定される。一方、発泡剤の含浸温度が高くなり過ぎると、発泡剤の含浸時に樹脂粒子同士が凝結する虞がある。したがって、発泡剤の含浸温度はTg+40℃以下が好ましい。より好ましくは、発泡剤の含浸温度はTg−5(℃)〜Tg+25(℃)の範囲内であることがよい。
発泡剤としては、例えば炭素数3〜6の飽和炭化水素化合物、炭素数5以下の低級アルコール、エーテル化合物等を用いることができる。具体的には、飽和炭化水素化合物としては、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、シクロブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどを用いることができる。また、低級アルコールとしては、メタノール、エタノールなどを用いることができる。また、エーテル化合物としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどを用いることができる。これらの発泡剤は、単独で又は2種以上の混合物で用いることができる。なお、エーテル化合物としては、例えば炭素数6以下のものを用いることができる。
好ましくは、発泡剤は、炭素数3〜6の飽和炭化水素化合物を用いることがよく、より好ましくは、イソブタン30〜80質量%とその他の炭素数4〜6の炭化水素20〜70質量%との混合物を用いることがよい。但し、イソブタンとその他の炭素数4〜6の炭化水素との合計量は100質量%である。イソブタンとその他の炭素数4〜6の炭化水素の配合割合を上記のごとく調整することにより、含浸工程において発泡剤を樹脂粒子中に充分に含浸させることができる。また、発泡性複合樹脂粒子の発泡剤の保持性、及び発泡時における発泡力をより向上させることができる。さらに、発泡複合樹脂成形体における発泡粒子相互の融着性をより向上させることができる。より好ましくは、発泡剤中のイソブタンが占める割合は40〜75質量%がよい。
また、発泡性複合樹脂粒子における発泡剤の含有量は、3〜10質量%であること好ましい。
この場合には、発泡性複合樹脂粒子の発泡性をより向上させることができ、発泡時の収縮を防止することができる。さらに、発泡後に得られる複合樹脂発泡粒子の型内成形時に、複合樹脂発泡粒子同士の融着性をより向上させることができ、発泡複合樹脂成形体の寸法安定性を向上させることができる。より好ましくは、発泡剤の含有量は4〜9質量%がよい
また、発泡剤の含浸後には、発泡性複合樹脂粒子を脱水乾燥し、必要に応じて表面被覆剤を被覆させることができる。表面被覆剤としては、例えばジンクステアレート、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ひまし硬化油などが挙げられる。また、機能性の表面被覆剤として帯電防止剤などを使用することもできる。上記表面被覆剤の添加量は、上記発泡性複合樹脂粒子100質量部に対して0.01〜2質量部であることが好ましい。
上述の製造方法によって、次のような発泡性複合樹脂粒子を得ることができる。
即ち、PO系樹脂とPS系樹脂との複合樹脂と、有機系物理発泡剤と、難燃剤とを含有し、
複合樹脂は、3〜50質量%のPO系樹脂と、50〜97質量%のPS系樹脂とを含む(但し、両者の合計が100質量%)発泡性複合樹脂粒子を得ることができる。
難燃剤の配合量は、複合樹脂100質量部に対して上述のように0.2〜8質量部であることが好ましく、0.3〜5質量部であることがより好ましく、0.5〜3質量部であることがさらに好ましい。
PO系樹脂及びPS系樹脂との含有量を上記範囲にする理由は、上述の改質工程におけるスチレン系モノマーの添加量と同様である。この理由に基づいて、複合樹脂中のPO系樹脂の含有量は、上述のように3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、12質量%以上であることが特に好ましい。また、複合樹脂中のPS系樹脂の含有量は、上述のように97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましく、88質量%以下であることが特に好ましい。また、PO系樹脂の含有量は、上述のように50質量%以下であることが好ましく、33質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。また、複合樹脂中のPS系樹脂の含有量は、上述のように50質量%以上であることが好ましく、67質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましい。上述のPO系樹脂とPS系樹脂との含有量の範囲は、上述の上限及び下限の好ましい範囲、より好ましい範囲、さらに好ましい範囲、特に好ましい範囲の全ての組み合わせから決定することができる。
また、発泡性複合樹脂粒子においては、スチレン系モノマーの含有量が500ppm以下(0を含む)であることが好ましい。この場合、低VOC(揮発性有機化合物)の車両用部材や建築用部材として好適な発泡複合樹脂成形体を得ることができる。発泡性複合樹脂粒子におけるスチレン系モノマーの含有量は、400ppm以下(0を含む)であることがより好ましく、300ppm以下(0を含む)であることがさらに好ましく、100ppm以下(0を含む)であることがさらに好ましい。
発泡性複合樹脂粒子を嵩密度33kg/m3に発泡させ、複合樹脂発泡粒子を得た場合において、ATR(全反射吸収)法の赤外分光分析により測定された上記複合樹脂発泡粒子の表層部における赤外線吸収スペクトルから得られる960cm-1における吸光度DA960と2850cm-1における吸光度DA2850との吸光度比S(S=DA960/DA2850)、及び上記複合樹脂発泡粒子の中心部における赤外吸収スペクトルから得られる960cm-1における吸光度DB960と2850cm-1における吸光度DB2850との吸光度比I(I=DB960/DB2850)が、0.01≦S/I≦0.8の関係を満足することが好ましい。
また、上述のS/Iが上記範囲内にある場合、即ち粒子中心部よりも表層部における臭素化ブタジエン系重合体の配合濃度が特定範囲内において低い場合には、発泡性複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体が靱性と難燃性のバランスに優れたものとなる。同様の観点から、S/Iは0.05〜0.7の範囲にあることがより好ましく、0.1〜0.6の範囲にあることが更に好ましい。
上述の吸光度比(S,I)は、複合樹脂中の臭素化ブタジエン系重合体量を推定する指標となる。この吸光度比(S,I)は全反射吸収(ATR)法の赤外吸収スペクトルから求めることができる。ATR法とは、赤外光がATR結晶表面で全反射を起こす際の試料へのもぐり込みを利用して、深さ数μmまでの試料表面の赤外スペクトルを測定する手法である。試料とプリズムを密着させるだけでスペクトル測定できる簡易さから、ATR法は、種々の物質の表面分析として広く利用されている。但し、ATR法では、下記式(2)に表されるように、プリズム材質による屈折率や赤外光の入射角度によって、もぐり込み深さが異なるため、不均一な材質を測定する際には、測定条件を一定にする必要がある。
例えば、下記式(2)より、入射角を大きくした場合や屈折率の大きいプリズムを用いた場合は、もぐり込み深さが浅くなる。
dp=λ/(2π(sin2θ-(n2/n1))1/2)・・・(2)
(但し、dp:もぐり込み深さ(μm)、λ:赤外光の波長(μm)、θ:赤外光の入射角(°)、n1:プリズムの屈折率、n2:試料の屈折率
また、発泡性複合樹脂粒子をキシレンによりソックスレー抽出したときのキシレン不溶分と、上記ソックスレー抽出後のキシレン溶液に含まれるアセトン不溶分との混合不溶分の温度23℃のメチルエチルケトン中における膨潤度(以下、単に「膨潤度」という)が1.25以上であることが好ましい。この理由は次の通りである。
一般に、PO系樹脂とPS系樹脂との複合樹脂からなる発泡粒子及びその成形体においては、PS系樹脂の配合割合が増えると剛性は向上するが、圧縮時の復元性は低下する。一方、発泡性複合樹脂粒子が上記特定の膨潤度を示す複合樹脂を含有する場合には、発泡性複合樹脂粒子を用いて得られる発泡粒子及びその成形体は、PS系樹脂の配合割合の増大による剛性を維持したまま、圧縮時の復元性を大幅に改善することができる。
したがって、膨潤度は上述のように1.25以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2以上がさらに好ましい。また、発泡複合樹脂成形体の収縮を抑えるという観点から膨潤度は、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。膨潤度の範囲は、上述の上限及び下限の好ましい範囲、より好ましい範囲、及びさらに好ましい範囲の全ての組み合わせから決定することができる。また、発泡性複合樹脂粒子を用いて得られる複合樹脂発泡粒子及び発泡複合樹脂成形体の膨潤度も、発泡性複合樹脂粒子と同様の範囲であることが好ましい。
膨潤度が上記所定値以上である場合に、上述のように剛性と復元性が優れる理由については、次のように推察される。
有機溶媒にPO系樹脂を浸漬させた時の膨潤度(膨潤の度合い)は、樹脂の架橋構造(三次元網目構造)と相関性があり、網目が細かいほど有機溶媒の吸収量が低くなるため、膨潤度は低下する。一方、非架橋のPO系樹脂も、温度23℃のメチルエチルケトン中ではほとんど膨潤しない。
即ち、上記のごとく発泡性複合樹脂粒子を構成する複合樹脂のキシレン不溶分(架橋されたPO系樹脂成分)と、キシレン可溶分中のアセトン不溶分(メッシュを通過した架橋されたPO系樹脂成分、架橋されていないPO系樹脂成分、及びスチレン系モノマーがグラフト重合したPO系樹脂成分の合計)との混合不溶分の膨潤度が大きい場合には、膨潤度が小さい場合に比べて、複合樹脂を構成するPO系樹脂中に、架橋された三次元網目構造の網目が粗いPO系樹脂成分が多く含まれていることを意味する。
架橋された三次元網目構造の網目が粗いPO系樹脂成分は、発泡性複合樹脂粒子の発泡時に、強度を有しながらも適度に伸びやすいため、高い強度を有する気泡膜が形成されるものと推察される。さらに、複合樹脂発泡粒子において、圧縮された際に、複合樹脂中のPO系樹脂が柔軟で十分に変形可能なため、複合樹脂中のPS系樹脂の比率が高い場合にも、発泡粒子の気泡膜が破れずに独立気泡構造を維持できるものと推察される。即ち、膨潤度が上記特定範囲の発泡性複合樹脂粒子を用いることにより、剛性及び復元性をより高いレベルで兼ね備える複合樹脂発泡粒子、発泡複合樹脂成形体を得ることができる。
また、発泡性複合樹脂粒子においては、ソックスレー抽出による上記キシレン不溶分の重量割合が50%以下(0を含む)であることが好ましい。この場合には、発泡性複合樹脂粒子の発泡性をより向上させることができる。また、キシレン不溶分の重量割合は45%以下(0を含む)であることがより好ましく、40%以下(0を含む)であることがさらに好ましい。この場合には、発泡性複合樹脂粒子を発泡成形してなる発泡複合樹脂成形体の剛性及び復元性をより向上させることができる。複合樹脂発泡粒子及び発泡複合樹脂成形体におけるキシレン不溶分の重量割合も上述の発泡性複合樹脂粒子と同様の範囲であることが好ましい。
また、発泡性複合樹脂粒子において、PS系樹脂の重量平均分子量は、10万〜60万であることが好ましい。この場合には、発泡性複合樹脂粒子発泡させた際の発泡粒子の収縮をより防止することができる。さらに、発泡後に得られる複合樹脂発泡粒子の型内成形時に、複合樹脂発泡粒子同士の融着性をより向上させることができる。その結果、発泡複合樹脂成形体の寸法安定性をより向上させることができる。同様の観点からPS系樹脂の重量平均分子量は30万〜55万であることがより好ましく、30万〜50万であることがさらに好ましい。PS系樹脂の重量平均分子量の範囲は、上述の好ましい範囲、より好ましい範囲、及びさらに好ましい範囲における上限及び下限の全ての組み合わせから決定することができる。
また、PS系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、85〜100℃であることが好ましい。この場合には、発泡性複合樹脂粒子の発泡性をより向上させることができ、発泡時の収縮をより防止することができる。さらに、発泡後に得られる複合樹脂発泡粒子の型内成形時に、複合樹脂発泡粒子同士の融着性をより向上させることができ、発泡複合樹脂成形体の寸法安定性をより向上させることができる。
PS系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば次のようにして測定できる。
具体的には、まず、150メッシュの金網袋中に発泡性複合樹脂粒子1.0gを入れる。次に、容積200mlの丸型フラスコにキシレン約200mlを入れ、ソックスレー抽出管に上記金網袋に入れたサンプルをセットする。マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行う。抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーションし、上澄み液を減圧蒸発乾固し、アセトン可溶分としてPS系樹脂を得る。得られたPS系樹脂2〜4mgについて、ティ・エイ・インスツルメント社製のDSC測定器(Q1000)を用い、JIS K7121(1987年)に準拠して熱流束示差走査熱量測定を行う。そして、加熱速度10℃/分の条件で得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度としてガラス転移温度Tgを求めることができる。
発泡性複合樹脂粒子を加熱媒体により加熱して発泡させることにより、複合樹脂発泡粒子を得ることができる。具体的には、発泡性複合樹脂粒子を供給した予備発泡機にスチーム等の加熱媒体を導入することにより、発泡性複合樹脂粒子を発泡させることができる。複合樹脂発泡粒子の嵩密度は10〜200kg/m3が好ましく、16〜100kg/m3であることがより好ましい。
複合樹脂発泡粒子は、多数の複合樹脂発泡粒子を袋体に充填してクッション又はマットレスとして用いることができる。この場合には、軽量で、剛性と復元性とを兼ね備えるという複合樹脂発泡粒子の上述の特性を十分にいかすことができる。
また、複合樹脂発泡粒子は、上述のクッション用途だけではなく、型内成形用途に用いることもできる。この場合にも、軽量でありながらも、高い剛性と優れた復元性を兼ね備えた発泡樹脂複合樹脂粒子を得ることができる。即ち、複合樹脂発泡粒子を周知の成形手段により型内成形することにより、発泡複合樹脂成形体を得ることができる。得られる発泡複合樹脂成形体の見掛け密度は10〜200kg/m3であることが好ましく、16〜100kg/m3であることがより好ましい。発泡複合樹脂成形体は、剛性及び復元性に優れると共に、優れた難燃性を示し、残存スチレン系モノマー量も低いため、車両用部材や建築用部材として好適である。
発泡複合樹脂成形体は、独立気泡率が80%以上であることが好ましい。この場合には、発泡複合樹脂成形体が剛性に優れながらも、その優れた復元性をより確実に発揮することができる。
また、発泡複合樹脂成形体は、圧縮永久歪が12%以下であることが好ましい。この場合には、発泡複合樹脂成形体がその優れた復元性をより確実に発揮することができる。発泡複合樹脂成形体の圧縮永久歪は10%以下であることがより好ましく、8%以下であることがさらに好ましい。
以下に、実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
本例においては、実施例にかかる発泡性複合樹脂粒子を作製し、これを用いて複合樹脂発泡粒子及び発泡複合樹脂成形体(複合樹脂発泡粒子成形体)を作製する。本例の発泡性複合樹脂粒子は、PO系樹脂とPS系樹脂との複合樹脂と、この複合樹脂に含浸された有機系物理発泡剤と、難燃剤とを含有する。以下、その製造方法を詳説する。
(1)核粒子の作製
PO系樹脂として、ポリエチレン系樹脂であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(旭化成ケミカルズ社製「EF1531」を準備した。このエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの含有量が15質量%である。また、分散径拡大剤として、アクリロニトリル−スチレン共重合体(電気化学工業(株)製「AS−XGS、重量平均分子量:10.9万、アクリロニトリル成分量:28質量%、MFR(200℃、5kgf):2.8g/10min)を準備した。さらに、難燃剤として、臭素化ブタジエン系重合体である臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ケムチュラ社製「エメラルド3000」、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw=13万、臭素含有量=65質量%)の50質量%マスターバッチ(マスターバッチの基材樹脂はエチレン−酢酸ビニル共重合体(旭化成ケミカルズ社製「EF1531」)を準備した。そして、このPO系樹脂20kgと、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂又はSANともいう)1kgと、難燃剤のマスターバッチ2.44kgとをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製;型式FM−75E)に投入し、5分間混合し、樹脂混合物を得た。
次いで、押出機(アイケージー(株)製;型式MS50−28;50mmφ単軸押出機、マドックタイプのスクリュ)を用いて、樹脂混合物を温度230〜250℃で溶融混練し、水中カット方式により0.4〜0.6mg/個(平均0.5mg/個)に切断することにより、核粒子(PO系樹脂核粒子)を得た。本例で得られた核粒子を「核粒子D」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm及びMFR(200℃、5kgf)を後述の表1に示す。
(2)発泡性複合樹脂粒子の作製
撹拌装置の付いた内容積3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、室温で30分間撹拌した。これにより、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製した。次に、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)1.25g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.1g、及び核粒子125gを投入した(分散工程)。
次いで、重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート1.715g(日油社製「パーブチルE」)を第1モノマー(スチレン系モノマー)に溶解させた。そして、溶解物を撹拌速度500rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した。なお、第1モノマーとしては、スチレン120gとアクリル酸ブチル5gとの混合モノマーを用いた。次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて温度100℃まで昇温させた。昇温後、この温度100℃で1時間保持した。その後、撹拌速度を450rpmに下げ、温度100℃で1時間保持した。その後、7時間かけて温度105℃まで昇温させた(改質工程)。尚、温度100℃に到達してから1時間経過時に、第2モノマー(スチレン系モノマー)としてのスチレン250gを5時間かけてオートクレーブ内に添加した。
次いで、温度125℃まで2時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で5時間保持した。その後、温度90℃まで1時間かけて冷却し、撹拌速度を400rpmに下げ、そのまま温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、有機系物理発泡剤として、ペンタン(ノルマルペンタン80質量%、イソペンタン20質量%の混合物)20g及びブタン(ノルマルブタン20質量%、イソブタン80質量%の混合物)65gを約1時間かけオートクレーブ内に添加した(発泡剤含浸工程)。さらに、温度105℃まで2時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで約6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出し、硝酸を添加して樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡性複合樹脂粒子100質量部に対して、帯電防止剤であるN,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.008質量部を添加した。さらにステアリン酸亜鉛0.12質量部、グリセリンモノステアレート0.04質量部、グリセリンジステアレート0.04質量部の混合物を添加した。そして、これらによって発泡性複合樹脂粒子を被覆した。
本例の発泡性複合樹脂粒子の製造方法について、重合条件を後述の表2に示す。具体的には、核粒子の種類、核粒子中の難燃剤の種類、その配合割合、核粒子の配合割合、スチレン系モノマーの配合割合、核粒子に対する第1モノマーの配合比(第1モノマー/核粒子)、重合時の温度制御の推移を後述の表2に示す。
また、本例において得られた発泡性複合樹脂粒子について、PO系樹脂とPS系樹脂の配合割合、複合樹脂100質量部に対する難燃剤の配合割合、残存スチレン系モノマーの含有量(R−SM)、膨潤度、キシレン不溶分の重量割合、PS系樹脂の重量平均分子量(Mw)、発泡剤含有量、ビーズライフを以下のようにして調べた。その結果を後述の表2に示す。
「スチレン系モノマーの含有量(R−SM)」
まず、発泡性複合樹脂粒子をIKA社製分析ミルで粒子径が100μm程度になるように冷凍粉砕した。約1gの粉砕物を採取し、これをジメチルホルムアミド25mlに溶解し、ガスクロマトグラフィーにてスチレン系モノマーの含有量を測定した。なお、ガスクロマトグラフィーの測定条件は次の通りである。使用機器:(株)島津製作所製のガスクロマトグラフGC−9A、カラム充填剤:〔液相名〕PEG−20M、〔液相含浸率〕25重量%、〔担体粒度〕60/80メッシュ、担体処理方法〕、カラム材質:内径3mm、長さ3000mmのガラスカラム、キャリヤーガス:N2、検出器:FID(水素炎イオン化検出器)、定量:内部標準法。
「膨潤度」
まず、約1gの発泡性複合樹脂粒子を採取して、その重量(W0)を小数点第4位まで計量し、150メッシュの金網袋中に入れた。次いで、容量200mlの丸型フラスコに約200mlのキシレンを入れ、ソックスレー抽出管に上記金網袋に入れたサンプルをセットした。マントルヒーターで8時間加熱することにより、ソックスレー抽出を行った。抽出終了後、空冷により冷却した。冷却後、抽出管から金網を取り出し、約600mlのアセトンにより金網ごとサンプルを洗浄した。次いで、アセトンを揮発させてから温度120℃で乾燥した。この乾燥後に金網内から回収したサンプルが「キシレン不溶分」である。また、上記ソックスレー抽出後のキシレン溶液を600mlのアセトン中に投入した。そして、JIS P3801に規定される5種Aのろ紙を用いてろ過することにより、アセトンに溶解しない成分を分離回収し、回収物を減圧下にて蒸発乾固させた。得られた固形物が「アセトン不溶分」である。
これらの操作にて得られた「キシレン不溶分」と「アセトン不溶分」との混合不溶分の重量(Wa)を小数点第4位まで計量した。なお、他の実施例及び比較例において混合不溶分の重量が0.2gに満たない場合には、十分量の混合不溶分を得るために、上記操作を繰り返し行って、0.2g以上の混合不溶分を得た。次に、混合不溶分を50mlのメチルエチルケトン中に浸漬し、温度23℃で24時間放置した。その後、メチルエチルケトンから混合不溶分を取出し、濾紙で軽く拭いた後、混合不溶分の重量(Wb)を小数点第4位まで計量した。そして、メチルエチルケトン浸漬前後における混合不溶分の重量(Wa、Wb)に基づいて、下記の式(3)により膨潤度Sを求めた。なお、後述する複合樹脂発泡粒子及び発泡樹脂成形体の膨潤度は、サンプルとしてそれぞれ複合樹脂発泡樹脂粒子、又は複合樹脂発泡粒子成形体から切り出した試験片を使用した点を除いて、上記方法と同様にして測定した。
S=Wb/Wa・・・(3)
「キシレン(XY)不溶分の重量割合」
まず、上記膨潤度にて計量した発泡性複合樹脂粒子の重量(W0)から、発泡性複合樹脂粒子中に含まれる発泡剤の重量を差し引いた重量(W1)を求めた。また、上記膨潤度の測定で得られたキシレン不溶分について、その重量(W2)を計量した。キシレン不溶分の割合は、重量(W1)に対する重量(W2)の割合(W2/W1;百分率(%))である。
「PS系樹脂の重量平均分子量(Mw)」
まず、上述の方法と同様にしてソックスレー抽出を行った。そして、抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション、減圧蒸発乾固を行った。その結果、アセトン可溶分としてPS系樹脂を得た。そして、PS系樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法(高分子測定用ミックスゲルカラム)により測定した。具体的には、東ソー(株)製の測定装置(HLC−8320GPC EcoSEC)を用いて、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、流量:0.6ml/分、試料濃度:0.1wt%、カラム:TSKguardcolumn SuperH−H×1本、TSK−GEL SuperHM−H×2本を直列に接続するという測定条件で測定した。即ち、重量平均分子量は、PS系樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで校正して求めた。
「発泡剤含有量」
まず、遠心分離機により、発泡性複合樹脂粒子を脱水・洗浄し、さらに気流乾燥装置により発泡性複合樹脂粒子の表面に付着した水分を除去した。次いで、発泡性複合樹脂粒子をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。溶解物のガスクロマトグラフィーにより、添加した発泡剤の含有量を測定し、各成分の含有量を合計して求めた。ガスクロマトグラフによる発泡剤の定量は、具体的には以下の手順で行った。
まず、100mLのメスフラスコにシクロペンタノール約5gを小数点以下第3位まで精秤し(このときの重量をWiとする)、DMFを加えて全体を100mLとした。このDMF溶液をさらにDMFで100倍に希釈し内部標準溶液とした。次いで、測定対象となる発泡性複合樹脂粒子約1gを小数点以下第3位まで精秤し、このときの重量をWs(g)とした。精秤した発泡性複合樹脂粒子の試料を約18mLのDMFに溶解させ、溶解物に、内部標準溶液をホールピペットにて正確に2mL加えた。この溶液1μLをマイクロシリンジにて採集し、ガスクロマトグラフィーに導入し、クロマトグラムを得た。得られたクロマトグラムから各発泡剤成分及び内部標準のピーク面積を求め、下式により各成分濃度を求めた。
各成分濃度(質量%)=[(Wi/10000)×2]×[An/Ai]×Fn÷Ws×100
ここで、
Wi:内部標準溶液を作成したときのシクロペンタノール重量(g)
Ws:DMFに溶解させた試料重量(g)
An:ガスクロマトグラフ測定時の各発泡剤成分のピーク面積
Ai:ガスクロマトグラフ測定時の内部標準物質のピーク面積
Fn:あらかじめ作成した検量線より求めた各発泡剤成分の補正係数
また、上記ガスクロマトグラフ分析の条件は以下の通りとした。
使用機器:(株)島津製作所製のガスクロマトグラフGC−6AM
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
カラム材質:内径3mm、長さ5000mmのガラスカラム
カラム充填剤:[液相名]FFAP(遊離脂肪酸)、[液相含浸率]10質量%、[担体名]ガスクロマトグラフ用珪藻土Chomasorb W、[担体粒度]60/80メッシュ、[担体処理方法]AW−DMCS(水洗・焼成・酸処理・シラン処理)、[充填量]90mL
注入口温度:250℃
カラム温度:120℃
検出部温度:250℃
キャリヤーガス:N2、流量40ml/分
「ビーズライフ」
発泡性複合樹脂粒子を温度23℃の開放状態で所定時間放置し、発泡性複合樹脂粒子から発泡剤を散逸させた。その後、発泡性複合樹脂粒子を加熱スチーム温度107℃で270秒間加熱することにより発泡させて発泡粒子を得た。次いで、発泡粒子を温度23℃で24時間乾燥させた。次いで、乾燥後の発泡粒子の嵩密度(kg/m3)を測定した。嵩密度(kg/m3)は、1Lのメスシリンダーを用意し、空のメスシリンダー中に発泡粒子を1Lの標線まで充填し、1Lあたりの発泡粒子の質量(g)を測定し、単位換算することにより求めた。そして、嵩密度33kg/m3の発泡粒子が得られる間の放置時間(日数)、即ち嵩密度33kg/m3の発泡粒子が得られなくなるまでの放置時間(日数)をビーズライフとした。
(3)複合樹脂発泡粒子の作製
次に、上記のようにして得られた発泡性複合樹脂粒子を用いて、嵩密度約33kg/m3の複合樹脂発泡粒子を作製した。
具体的には、まず、発泡性複合樹脂粒子を容積30Lの常圧バッチ発泡機内に入れ、この発泡機内にスチームを供給した。これにより、発泡性複合樹脂粒子を嵩密度約33kg/m3まで発泡させ、嵩発泡倍率30倍の複合樹脂発泡粒子を得た。
なお、複合樹脂発泡粒子の嵩密度(kg/m3)は、上述の発泡性複合樹脂粒子のビーズライフの評価方法における発泡粒子の嵩密度と同様の操作によって測定することができる。この操作にて求められた嵩体積1Lあたりの発泡粒子の質量を単位換算することにより複合樹脂発泡粒子の嵩密度(kg/m3)を求めた。また、複合樹脂発泡粒子の膨潤度を測定した。測定方法は、上述の通りである。
本例における複合樹脂発泡粒子の嵩密度及び膨潤度を後述の表2に示す。
また、複合樹脂発泡粒子について、表層部における吸光度比Sと、中心部における吸光度比Iとの比(S/I)を次のようにして測定した。
「S/I」
まず、日本分光(株)製の「FT/IR-460plus(ATR PRO 450−S型、プリズム:ZnSe、入射角 45°)」を使用し、複合樹脂発泡粒子の表層部を圧力170kg/cm2でプリズムに密着させて赤外スペクトルを測定した。これにより、発泡複合樹脂粒子の表層部における赤外吸収スペクトル(ATR補正なし)を得た。次に、表層部の赤外吸収スペクトルから得られる960cm-1における吸光度DA960と2850cm-1における吸光度DA2850を測定し、その比(DA960/DA2850)を求めた。同様の測定を5つの複合樹脂発泡粒子について行い、これらの平均値Sを算出した。
次に、複合樹脂発泡粒子の断面の中心部における960cm-1における吸光度DB960と2850cm-1における吸光度DB2850を測定し、その吸光度比(DB960/DB2850)を求めた。そして、5つの複合樹脂発泡粒子の吸光度比(DB960/DB2850)の平均値Iを求めた。S/Iの値を算出し、その結果を表2に示す。
(4)発泡複合樹脂成形体の作製
まず、上記のようにして得られた複合樹脂発泡粒子を室温で1日間熟成させた。次いで、型物成形機(DABO(株)製DSM−0705VS)を用いて、複合樹脂発泡粒子を300mm×75mm×25mmの直方体状の成形体と、底面が340mm×270mm×25mmの箱型の成形体に成形した。得られた成形体を温度40℃で1日間乾燥させた後、さらに室温で1日間以上養生させた。
このようにして、嵩密度約33kg/m3の複合樹脂発泡粒子を成形し、発泡倍率30倍の発泡複合樹脂成形体を得た。なお、発泡複合樹脂成形体の発泡倍率は、この成形体の質量をその体積で除することにより見掛け密度(kg/m3)を算出し、下記の式(4)により算出することができる。
発泡倍率(倍)=1000/見掛け密度(kg/m3)・・・(4)
次に、発泡複合樹脂成形体について、残存スチレン系モノマーの含有量(ppm)、難燃性(mm/min)、50%圧縮応力(kPa)、圧縮永久歪(%)、及び独立気泡率(%)、独立気泡率の比を以下のようにして測定した。また、膨潤度を上述の方法により測定した。その結果を表2に示す。
「スチレン系モノマーの含有量(R−SM)」
まず、直方体状の複合樹脂発泡粒子成形体から約1gの試料片を切り出した。次いで、この試料片をジメチルホルムアミド25mlに溶解させ、発泡性複合樹脂粒子のR−SMと同条件のガスクロマトグラフィーにてスチレン系モノマーの含有量を測定した。
「難燃性」
箱型の発泡複合樹脂成形体から340mm×102mm×12.7mmのサイズの直方体状の試験片を切り出した。この試験片を用い、JIS D 1201にて規定するFMVSS No.302の燃焼試験に準じて燃焼速度(mm/min)を測定した。この測定を3個の試験片に対して行って燃焼速度の相加平均値を求めた。なお、自己消火した場合には、評価結果を「SE」とした。
「50%圧縮応力」
直方体状の発泡複合樹脂成形体から縦50mm、横50mm、厚み25mmの板状の試験片を切出し、この試験片についてJIS K 7220(2006年)に準じて圧縮試験を行った。尚、圧縮歪みが50%の時の圧縮応力が50%圧縮応力(kPa)である。
「圧縮永久歪」
直方体状の発泡複合樹脂成形体から縦50mm、横50mm、厚み25mmの板状の試験片を切出し、この試験片の圧縮永久歪をJIS K 6767(1999年)に準じて測定した。
「独立気泡率」
直方体状の発泡複合樹脂成形体からから縦25mm、横25mm、厚み25mmの立方体状の試験片を切出し、大気圧下、相対湿度50%、温度23℃の条件の恒温室内に試験片を1日放置した。次に、この試験片の正確な見かけの体積Vaを測定した。次いで、試験片を十分に乾燥させた後、ASTM−D2856−70に記載されている手順Cに準じ、東芝・ベックマン(株)製の空気比較式比重計930により、試験片の真の体積Vxを測定した。そして、これらの体積値Va及びVxに基づき、下記の式(5)から独立気泡率を算出した。なお、測定及び算出は、異なる5つの試験片について行いその平均値を求めた。
独立気泡率(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ)・・・(5)
(ただし、Vx:上記方法で測定される発泡複合樹脂成形体の真の体積、即ち、発泡複合樹脂成形体を構成する樹脂の容積と、発泡複合樹脂成形体内の独立気泡部分の気泡の全容積との和(cm3)、Va:発泡複合樹脂成形体を水の入ったメスシリンダーに沈めて、その水位上昇分から測定される発泡複合樹脂成形体の見かけの体積(cm3)、W:発泡複合樹脂成形体の重量(g)、ρ:発泡複合樹脂成形体を構成する複合樹脂の密度(g/cm3))
なお、本例においては、上記の測定方法に基づいて、圧縮永久歪試験前と圧縮永久歪試験後の発泡複合樹脂成形体の独立気泡率を求めた。圧縮永久歪試験後の独立気泡率は、圧縮永久歪試験後の体積を考慮し、下記の式(6)により求めた補正値を採用した。
独立気泡率(圧縮永久歪試験後の補正値:(%))=(独立気泡率(圧縮永久歪試験後の実測値:(%))×(100−圧縮永久歪(%))/100・・・(6)
(実施例2)
本例においては、PO系樹脂として、低密度ポリエチレン(住友化学社製「スミカセン G201」)を用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。本例において用いた核粒子を「核粒子I」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm(℃)及びMFR(g/10min)を後述の表1に示す。
(実施例3)
本例においては、PO系樹脂として、メタロセン低密度ポリエチレン(住友化学社製「エクセレンGMH GH030」)を用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。本例において用いた核粒子を「核粒子J」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm(℃)及びMFR(g/10min)を後述の表1に示す。
(実施例4)
本例においては、PO系樹脂として、メタロセン重合触媒を用いて重合してなる直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製「ニポロンZ 9P51A」)を用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。本例において用いた核粒子を「核粒子H」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm(℃)及びMFR(g/10min)を後述の表1に示す。
(実施例5)
本例においては、難燃剤のマスターバッチの投入量を0.52kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。本例において用いた核粒子を「核粒子B」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm(℃)及びMFR(g/10min)を後述の表1に示す。
(実施例6)
本例においては、難燃剤のマスターバッチの投入量を1.16kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。本例において用いた核粒子を「核粒子C」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm(℃)及びMFR(g/10min)を後述の表1に示す。
(実施例7)
本例においては、難燃剤のマスターバッチの投入量を5.52kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。本例において用いた核粒子を「核粒子E」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm(℃)及びMFR(g/10min)を後述の表1に示す。
(実施例8)
本例においては、難燃剤としての臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ケムチュラ社製「エメラルド3000」)100質量部に対して、熱安定剤としてのDIC社製の「EPICLON N680」10質量部と、BASF社製の「Irganox1010」5質量部と、ADEKA社製の「PEP36」5質量部と、可塑剤としての大八化学社製の「TPP」4.16質量部とを混練してなる難燃剤溶融混練物(臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体の濃度80.5質量%)を6.4kg用いて核粒子を作製した点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。本例において用いた核粒子を「核粒子F」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm(℃)及びMFR(g/10min)を後述の表1に示す。
(実施例9)
本例においては、核粒子を150g、亜硝酸ナトリウムを0.15g、第1モノマーとして、スチレン145g及びアクリル酸ブチル5g、第2モノマーとしてスチレン200gを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例10)
本例においては、核粒子E(表1参照)を100g、亜硝酸ナトリウムを0.3g、第1モノマーとして、スチレン95g及びアクリル酸ブチル5g、第2モノマーとしてスチレン200gを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例11)
本例においては、核粒子E(表1参照)を75g、亜硝酸ナトリウムを0.3g、第1モノマーとして、スチレン70g及びアクリル酸ブチル5g、第2モノマーとしてスチレン350gを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例12)
本例においては、核粒子F(表1参照)を50g、亜硝酸ナトリウムを0.3g、第1モノマーとして、スチレン45g及びアクリル酸ブチル5g、第2モノマーとしてスチレン400gを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例13)
本例においては、難燃剤として、実施例8で用いた臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ケムチュラ社製「エメラルド3000」)の濃度80.5質量%の難燃剤溶融混練物13kgを用いて核粒子を作製し、核粒子を25g、亜硝酸ナトリウムを0.3g、第1モノマーとして、スチレン20g及びアクリル酸ブチル5g、第2モノマーとしてスチレン450gを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。本例において用いた核粒子を「核粒子G」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm(℃)及びMFR(g/10min)を後述の表1に示す。
(比較例1)
(1)核粒子の作製
難燃剤を用いずに、PO系樹脂(旭化成ケミカルズ社製「EF1531」)20kgと、分散径拡大剤(電気化学工業(株)製「AS−XGS」1kgとをヘンシェルミキサーに投入した点を除いては、実施例1と同様にして樹脂混合物を作製した。次いで、実施例1と同様にして、樹脂混合物を押出機で溶融混練し、水中カット方式により切断し、核粒子を得た。本例で得られた核粒子を「核粒子A」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm、MFR(200℃、5kgf)を後述の表1に示す。
(2)発泡性複合樹脂粒子の作製
まず、実施例1と同様に、撹拌装置の付いた内容積3Lのオートクレーブ内で、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製した。次に、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)1.5g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.1g、及び本例の核粒子125gを投入した。
次いで、難燃剤としての臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ケムチュラ社製「エメラルド3000」)6.5g、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」、水希釈粉体品)1.29gとt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(日油社製「パーブチルE」)1.72g、及び架橋剤としてのジクミルパーオキサイド(日油社製「パークミルD」)0.86gを第1モノマー(スチレン系モノマー)に溶解させた。なお、第1モノマーとしてはスチレン270g及びアクリル酸ブチル5gを用いた。そして、溶解物を撹拌速度500rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した。
次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて温度88℃まで昇温させた。昇温後、この温度88℃で30分間保持した。その後、撹拌速度を450rpmに下げ、30分かけて温度88℃から80℃まで冷却し、この重合温度80℃で8時間保持した。なお、温度80℃到達時に第2モノマー(スチレン系モノマー)としてスチレン100gを5時間かけてオートクレーブ内に添加した。
次いで、温度125℃まで4時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で2時間30分保持した。その後、温度90℃まで1時間かけて冷却し、撹拌速度を400rpmに下げ、そのまま温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、実施例1と同様の有機系物理発泡剤を約1時間かけオートクレーブ内に添加した。さらに、温度105℃まで2時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで約6時間かけて冷却した。この冷却後は、実施例1と同様の操作を行うことにより、発泡性複合樹脂粒子を得た。
(比較例2)
本例においては、難燃剤の使用量を13gに変更した点を除いては、比較例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(比較例3)
本例においては、難燃剤として、ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3―ジブロモプロポキシ)]フェニルスルホン((株)鈴裕化学製の「ファイアカットP−65(FCP−65)」、分子量966、臭素含有量=65重量%)19.35gを用いた点を除いては、比較例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(比較例4)
本例においては、核粒子を150g、第1モノマーとしてスチレンを350g、難燃剤として、ビス2,2−ビス(4−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(第一工業製薬(株)製の「SR130」、分子量972、臭素含有量=66重量%)12.9gを用い、第2モノマーを用いなかった点を除いては、比較例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(比較例5)
本例においては、核粒子に難燃剤を配合せず、難燃剤としてのトリアリルイソシアヌレート6臭化物(鈴裕化学社製「ファイアカットP−660CN(FCP−660CN)、分子量729、臭素含有量=66重量%」12.9gを、第1モノマー(スチレン120gとアクリル酸ブチル5gとの混合モノマー)に溶解して添加した点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(比較例6)
本例においては、核粒子に難燃剤を配合しなかった点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(比較例7)
本例においては、核粒子G(表1参照)を15g、亜硝酸ナトリウムを0.3g、第1モノマーとして、スチレン10g及びアクリル酸ブチル5g、第2モノマーとしてスチレン470gを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(比較例8)
本例においては、難燃剤として、ビス2,2−ビス(4−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(第一工業製薬(株)製の「SR130」、分子量972、臭素含有量=66重量%)の50質量%マスターバッチ(マスターバッチの基材樹脂はエチレン−酢酸ビニル共重合体(旭化成ケミカルズ社製「EF1531」)を2.44kg用いて核粒子を作製した点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。本例において用いた核粒子を「核粒子G」とし、その組成、PO系樹脂の融点Tm(℃)及びMFR(g/10min)を後述の表1に示す。
(比較例9)
本例においては、核粒子として「核粒子A」を用い、難燃剤としての臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ケムチュラ社製「エメラルド3000」)6.5gを第1モノマーに溶解させて添加した点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例及び比較例の結果)
実施例2〜13及び比較例1〜9において作製した発泡性複合樹脂粒子について、実施例1と同様に、複合樹脂100質量部に対する難燃剤の配合割合、R−SM(ppm)、膨潤度、キシレン(XY)不溶分量割合(%)、PS系樹脂のMw、発泡剤含有量、ビーズライフ(日)を調べた。また、各実施例及び比較例において作製した発泡性複合樹脂粒子をそれぞれ用いて、実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子及び発泡複合樹脂成形体を作製した。そして、複合樹脂発泡粒子について、実施例1と同様にして、膨潤度、嵩密度(kg/m3)、S/Iを測定した。また、発泡複合樹脂成形体について、実施例1と同様にして、見掛け密度(kg/m3)、R−SM(ppm)、難燃性(mm/min)、50%圧縮応力(kPa)、圧縮永久歪(%)、圧縮永久歪試験の前後における独立気泡率(%)、及び膨潤度を測定した。これらの結果を表2及び3に示す。
なお、比較例8の発泡性複合樹脂粒子は、実施例1と同様にしてこれを発泡させたが、200kg/m3までしか発泡せず、33kg/m3まで発泡させることはできなかった。また、比較例8において得られた複合樹脂発泡粒子を用いて成形した発泡複合樹脂成形体は収縮しており、外観に優れる成形品が得られなかった。
Figure 0006156060
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表1〜3より知られるごとく、PO系樹脂とPS系樹脂の組成、難燃剤の種類、及びその配合量を調整することにより、残留スチレンモノマーが少なく、剛性及び復元性に優れた発泡複合樹脂成形体を得ることが可能であり、かつ発泡性及び発泡剤の保持性に優れた発泡性複合樹脂粒子を製造することができる。また、発泡性複合樹脂粒子の膨潤度を調整することにより、剛性と復元性とをより高いレベルで兼ね備える発泡複合樹脂成形体が得られる。
これに対し、比較例1、2、4、9の発泡性複合樹脂粒子を用いて作製した発泡複合樹脂成形体は、優れた難燃性を示すものの、残留スチレンモノマー量が多くなっていた。また、比較例3、5、6、7の発泡性複合樹脂粒子を用いて作製した発泡複合樹脂成形体は、難燃性が不十分であった。また、比較例8の発泡性複合樹脂粒子は発泡性が不充分で、これを用いて作製した発泡複合樹脂成形体は、残留スチレンモノマー量が多く、成形品は収縮し、外観が悪かった。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との複合樹脂と、有機系物理発泡剤と、難燃剤とを含有する発泡性複合樹脂粒子を製造する方法において、
    ポリオレフィン系樹脂と難燃剤とを混練してなるポリオレフィン系樹脂核粒子を水性媒体中に分散させる分散工程と、
    上記ポリオレフィン系樹脂核粒子100質量部に対して100〜2000質量部のスチレン系モノマーを上記水性媒体中に添加し、上記ポリオレフィン系樹脂核粒子に上記スチレン系モノマーを含浸、重合させて複合樹脂粒子を得る改質工程と、
    該改質工程における重合中及び/又は重合後に上記有機系物理発泡剤を樹脂粒子に含浸させる発泡剤含浸工程を有し、
    上記難燃剤が臭素化ブタジエン系重合体であることを特徴とする発泡性複合樹脂粒子の製造方法。
  2. 上記ポリオレフィン系樹脂核粒子中における上記難燃剤の配合量は0.3〜50質量%であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性複合樹脂粒子の製造方法。
  3. 上記ポリオレフィン系樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性複合樹脂粒子の製造方法。
  4. 上記ポリオレフィン樹脂は、酢酸ビニル成分の含有量が5〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性複合樹脂粒子の製造方法。
  5. 上記発泡性複合樹脂粒子における上記複合樹脂100質量部に対する上記難燃剤の配合量が0.2〜8質量部となるように、上記ポリオレフィン系樹脂核粒子に上記難燃剤を配合することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡性複合樹脂粒子の製造方法。
  6. 上記難燃剤が臭素化ブタジエン−スチレン共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡性複合樹脂粒子の製造方法。
  7. 上記改質工程においては、スチレン系モノマーとして、スチレンとアクリル酸ブチルとを併用し、アクリル酸ブチルの添加量は、上記ポリオレフィン系樹脂核粒子と上記スチレン系モノマーとの合計量100質量部に対して0.5〜10質量部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡性複合樹脂粒子の製造方法。
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