JP6200445B2 - 電流検出器 - Google Patents
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Description
図1は、第1実施形態の電流検出器100の構成を示す概略図である。以下、電流検出器100の構成について説明する。
電流検出器100は、例えばパーマロイを用いた磁性体コア102を備えており、この磁性体コア102は全体として略角リング形状をなしている。磁性体コア102の内側(リングの内周)には略矩形状の電流導通部102aが形成されており、この電流導通部102aには、バスバー等の導体105(一次巻線)が挿通されるものとなっている。電流検出器100は導体105を通る電流を検出対象とするものであり、磁性体コア102は、導体105に被検出電流(If)が流れる際に発生する磁界の周回方向に沿って環状に配置されている。なお、被検出電流(If)が比較的低い水準(微弱電流)である場合、導体105を磁性体コア102に巻き付けてもよい。
上記のように磁性体コア102は略角リング形状をなしており、そのため磁性体コア102にはそれぞれ一対の短辺部102b及び長辺部102cが含まれている。また磁性体コア102には、例えば1つの長辺部102cの途中を部分的に切り欠くことでギャップ102dが形成されている。なおギャップ102dは、短辺部102bに形成されていてもよい。
電流検出器100は、磁気検出用素子の一例としてホール素子106(MR素子、MI素子でもよい)を備えている。ホール素子106は、ギャップ102d内に挿入した状態で磁性体コア102に取り付けられている。なおホール素子106は、例えば樹脂封止によりパッケージされた電子部品であり、各ホール素子106には、例えば図示しない電源回路を通じて駆動電圧(例えば+5V)が供給されている。ホール素子106は、ギャップ102dに発生する磁界の強さ(磁束)に応じた電圧信号(ホール電圧)を出力する。
また電流検出器100は、専用回路108を備えている。この専用回路108は、例えば第1実施形態のようなサーボタイプの電流検出器100向けに構成を最適化し、内部に専用設計の回路をパッケージした電子部品(ディスクリート製品)である。専用回路108には、図示しない電源回路から駆動電圧(例えば+5V)が供給される他、ホール素子106から出力される電圧信号が入力されている。また専用回路108は、参照ポートとしてREFIN及びREFOUT(例えば2.5V)を有している。
上述したように、第1実施形態の電流検出器100はサーボタイプであり、そのためフィードバック回路としての構成要素を備えている。フィードバック回路は、例えば上記の専用回路108内に図示しない差動増幅器を有する他、専用回路108に接続された二次巻線104を有している。二次巻線104は、例えば磁性体コア102の一方の長辺部102cに巻かれた状態で形成されている。二次巻線104は、ホール素子106からの電圧信号に基づいて専用回路108内で生成されたフィードバック電流(Ih)が供給されることで、被検出電流(If)により発生する磁界を打ち消す方向への逆磁界を発生させるものである。なおフィードバック回路には負荷抵抗110が設けられており、二次巻線104の電流出力(Ih)は、負荷抵抗110で電圧出力(Vout)に変換される。
また、電流検出器100は消磁回路150を有している。この消磁回路150は、磁性体コア102の残留磁束を消去する(いわゆるヒステリシス除去)ものである。このため磁性体コア102には、上記の二次巻線104とは別に消磁用コイル156が巻かれており、消磁用コイル156には消磁回路150から交流電流が印加されるものとなっている。具体的には、消磁回路150は発振回路152及び減衰回路154を有している。このうち、発振回路152は所定範囲の周波数で交流電流を生成し、減衰回路154がこれを減衰させて消磁用コイル156に印加する。
図2は、消磁回路150から消磁用コイル156に印加される交流電流の波形を概略的に示す図である。
消磁回路150の発振回路152は、例えば以下の式で表される交流電流(Ipp)を生成する。
Ipp=Vh/Vgain・If
上式において、
Vh:ヒステリシス電圧
Vgain:0.625V
If:被検出電流(定格値)
である。
ここで、交流電流(Ipp)の周波数を8kHz〜17kHzの範囲内に設定する根拠について説明する。周波数の範囲は、以下の試験に基づいて設定されている。
図3は、消磁回路150を用いたヒステリシス除去効果を確かめるための実験モデル(電流センササンプル)の構成を概略的に示す図である。実験モデルでは、例えば試験用コア302が珪素鋼板製の積層タイプの電流センサとする。また、試験用コア302には上記の消磁用コイル156を巻き、消磁回路150を接続する。一方、試験用コア302には磁束変化の監視用コイル5を巻き、これに電圧モニタ160を接続する。なお、ここでは消磁用コイル156の巻き数は例えば13ターン、監視用コイル5の巻き数は例えば5ターンとする。
ヒステリシス除去試験は、例えば以下の条件下で行うものとする。
(1)消磁器で実験用電流センサのコア302を消磁して、電源±15Vを接続し、マルチメータで、オフセット電圧を測定する。
(2)実験用電流センサの電源をOFFに設定する。実験用電流センサのコア302に10倍定格電流を貫通してから、電源をONにする。実験用電流センサのオフセット電圧を測定する。
(3)消磁用コイル156に通電して、電圧モニタ160で励起波形を監視し、励起波形の観察ができれば、消磁効果を「有」と観察する。消磁コイル156の信号をOFFして、実験用電流センサの出力電圧(オフセット電圧)を測定して、消磁コイル156を働かせた前後のオフセット電圧の変化は消磁効果とする。
(4)上記(3)の後、試験用コア302を一旦励磁し、試験用コア302に残留磁束を発生させる。通過電流は43.8A×13(ターン数)=570ATとする。
(5)そして、消磁回路150をヒステリシス除去の態様で作動させ、減衰特性を有する交流電流を印加する。
図4は、ヒステリシス除去試験の結果を示す図である。ここでは、試験を10回(No.1〜No.10)行い、それぞれの回で得られた各種の値を一覧にしている。また試験は、回毎に印加電流の周波数を変えて行った。
毎回の試験における測定項目(周波数は設定による)は、以下の通りである。
(1)消磁後のオフセット電圧:Voffset(mV)
(2)励磁後のヒステリシス:VH(mV)
(3)印加電流のRMS値(A)×13T:印加する交流電流の巻き数倍とする。
(4)ヒステリシス除去周波数(Hz):設定した周波数。
(5)電流印加後(消磁試験後)のオフセット電圧:VOFFSET(mV)
(6)ヒステリシス除去効果(mV):VoffsetとVOFFSETとの差を除去効果とする。
(7)監視波形:VRMS(mV)、電圧モニタ160で監視された波形の電圧RMS値。
以下、試験結果について説明する。
図4中、「No.1」の試験結果に示されるように、印加する交流電流の周波数を10Hzに設定した場合、ヒステリシス除去効果(VOFFSET−Voffset)としては何らかの値(−9.29mV)が得られているが、監視波形は観測されなかった。
次に、図4中、「No.2」の試験結果に示されるように、印加する交流電流の周波数を10倍の100Hzに設定した場合、同じくヒステリシス除去効果(VOFFSET−Voffset)としては何らかの値(−5.80mV)が得られているが、やはり監視波形は観測されなかった。
次に、図4中、「No.3」の試験結果に示されるように、印加する交流電流の周波数をさらに10倍の1kHzに設定した場合、ここでもヒステリシス除去効果(VOFFSET−Voffset)としては何らかの値(−9.60mV)が得られているが、依然として監視波形は観測されなかった。
そこで、図4中、「No.4」の試験結果に示されるように、今度は印加する交流電流の周波数を8kHzに設定した。この結果、ヒステリシス除去効果(VOFFSET−Voffset)として良好な値(−11.25mV)が得られるとともに、監視波形(120mV)が観測された。
続いて、図4中、「No.5」の試験結果に示されるように、印加する交流電流の周波数を17kHzに設定した。ここでも、ヒステリシス除去効果(VOFFSET−Voffset)として良好な値(−8.33mV)が得られるとともに、監視波形(156mV)が観測された。
また、図4中、「No.6」〜「No.8」の試験結果に示されるように、印加する交流電流の周波数を20kHz、25kHz、30kHzと次第に高くしていっても、ヒステリシス除去効果の値(−8.68mV、−12.00mV、−9.12mV)が得られ、監視波形(192mV、307mV、355mV)が観測された。
以上の試験結果「No.1」〜「No.10」から、以下のことが明らかとなる。
(i)電流センササンプルの消磁用コイル156に交流電流を印加すると、結果としてヒステリシス除去の効果が得られる。
(ii)ただし、8kHzより低い周波数域では監視波形が得られていないことから、これら低周波数域(10Hz〜1000Hz)では試験用コア302に磁束変化が表れていない。
(iii)一方、8kHz以上の高い周波数域では監視波形が得られることから、試験用コア302に磁束変化が現れる周波数は8kHz以上であることがわかる。
そこで、印加する交流電流の周波数を10kHzに設定した上でさらに複数回(ここでは12回)の試験を行い、各回のヒステリシス除去効果を測定した。なお、試験条件は図4に示したものと同じである。この試験では、毎回の印加する交流電流のRMS値を変化させている。
以上の試験結果(図5中のNo.1〜No.12及び図6)から、以下のことが明らかとなっている。
(i)10kHzの周波数で交流電流を消磁用コイル156に印加すると、全ての回においてオフセット電圧に有意な変化が見られることから、ヒステリシス除去効果があることが分かる。
(ii)このとき、印加する交流電流の実効値を大きくすると、それに伴ってオフセット電圧の変化量(絶対値)も全体としては大きくなる傾向にある(多少のばらつきはある)。
以上の電流センササンプルを用いた試験結果を踏まえ、図1に示す第1実施形態のサーボタイプの電流検出器100において実際にヒステリシス除去試験を行った。今回の試験は、電流検出器100を実際に使用するシステム(例えば冷凍機)の電源を遮断した状態として導体105に定格値の10倍の直流電流を通したとき、磁性体コア102に残留したヒステリシスを消磁回路150によって除去することを目的とする。
ここで、実際の試験に先立ち、磁性体コア102の素材及び専用回路108(ディスクリート製品)の特性から以下の理論的な推測が成り立つ。
(a)オフセット電圧(VOFFSET)=2.5V、定格電流If=7A
(b)上記の誤差=±20mV
(c)ヒステリシス相当の電流値(計算値):Ipp=Vh/Vgain・Ifの式から、20/625×7=0.224A=224mA
(d)したがって、ヒステリシス除去用の電流値は0mAから224mAの範囲で高下しつつ減衰する。
図7及び図8は、印加する電流の周波数と電流値の条件を各種に異ならせた場合の試験結果を示す図である。このうち図7中(A)は、消磁用コイル156の巻き数を1回(1T)とした場合の試験結果を示し、図7中(B)及び図8中(A),(B)は、いずれも消磁用コイル156の巻き数を5回(5T)とした場合の試験結果を示している。ヒステリシス除去効果の有無の判定は、試験後のオフセット電圧が理論上のオフセット電圧=2.5V±10mVにあれば「有」とし、それ以外は「無」とする。
サーボタイプの電流検出器100を用いた試験結果から、以下のことが明らかとなる。
(i)図7中(A)においてヒステリシス除去効果「有」となる周波数の下限は8kHzである。特に図示していないが、別途試験を行った結果、印加する交流電流の周波数が8kHzより低いと、高インピーダンスのために充分なヒステリシス除去効果が得られないことが分かっている。
(ii)また、図7中(B)においてヒステリシス除去効果が「有」となる周波数は11kHz〜17kHzである。特に図示していないが、別途試験を行った結果、周波数が17kHzより高くなると磁性体コア102がACCTとして働き、サーボ作用が止まるために充分なヒステリシス除去効果が得られないことが分かっている。
(iii)よって、交流電流の最適な周波数の範囲は8kHz〜17kHzであり、この範囲内の周波数で減衰特性を有した交流電流を消磁用コイル156に印加すると、一例として好適に設定した減衰時間Ts(50ms)内でヒステリシス除去を完了することができる。なお、図示しない別途試験の結果によれば、減衰時間Tsは5ms〜1000msの範囲内で設定することができる。すなわち、減衰時間Tsが5msより短いと十分なヒステリシス除去効果が得られないし、減衰時間Tsが1000msを超えるとシステム起動時の応答性(スタートアップ時間)に悪影響を生じるためである。
図9は、第2実施形態の電流検出器200の構成を示す概略図である。なお、ここでは第1実施形態と共通する事項について、図示も含めて共通の符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。以下、第2実施形態の電流検出器200について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
第2実施形態では、消磁回路150をコンデンサ158でフィートバックコイル104に結合し、消磁用の交流信号で磁性体コア102のヒステリシスを除いた後にこの交流信号をフィートバック系の電流電圧変換用高精度抵抗に通過させれば、そのまま電流検出器200による出力側の値を観察することができるが、ここではフィートバックコイル104を消磁コイルとしても機能させて磁性体コア102を消磁することにより、電流検出器200をONにして先ず消磁の動作を行い、その後で電流検出器200としての動作を行うことができる。したがって、消磁時間内では電流検出器200としての信号出力(電流検出値の出力)は行わない。
なお、コンデンサ158としては、静電容量が50nF〜0.22μFのものを用いることができる。
図10は、第3実施形態の電流検出器300の構成を示す概略図である。ここでも第1,第2実施形態と共通する事項については、図示も含めて共通の符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。以下、第3実施形態の電流検出器300について、第1,第2実施形態との相違点を中心に説明する。
すなわち、第3実施形態の電流検出器300は、二次巻線を持たないオープンタイプである点が異なっている。第3実施形態の電流検出器300は、専用回路108に代えて増幅回路308を有しており、ホール素子106からの信号は増幅回路308にて増幅されて電圧出力(Vout)となる。
次に、各実施形態の電流検出器100,200,300の動作制御の好適な例について説明する。
具体的には、第1,第2実施形態の制御例では、電流検出器100,200が適用されたシステムに電源が投入(OFF→ON)されると、これをトリガとして専用回路108から消磁回路150に作動信号を出力する構成とする。そして、これを受けて消磁回路150が交流電流の印加を開始し、減衰時間Ts内でヒステリシス除去を完了する手順を制御プログラムに組み込んでおく。以後、システムの稼働中は消磁用コイル156に通じる電流が0の近似値にまで減衰しているので、消磁用コイル156が磁性体コア102に磁束を発生させることはない。
また、第3実施形態の制御例は、電流検出器300が適用されたシステムに電源が投入(OFF→ON)されると、これをトリガとして増幅回路308から消磁回路150に作動信号を出力する構成とする。これを受けて消磁回路150が交流電流の印加を開始し、同じく減衰時間Ts内でヒステリシス除去を完了する手順を制御プログラムに組み込んでおく。以後、システムの稼働中は消磁用コイル156に通じる電流が0の近似値にまで減衰しているので、消磁用コイル156が磁性体コア102に磁束を発生させることはない。
102 磁性体コア
102d ギャップ
104 二次巻線
106 ホール素子
108 専用回路
150 消磁回路
Claims (3)
- 被検出電流の導通時に発生する磁界の周回方向に沿って環状に配置され、一部に磁気検出素子を配置するエアギャップが形成された磁性体コアと、
前記磁性体コアに設けられた巻線に対し、所定範囲内の周波数で所定の減衰特性を有した交流電流を印加することにより前記磁性体コアに残留した磁束を消去する消磁動作を実行可能な消磁回路と、
前記磁気検出素子からの出力信号に基づいて前記被検出電流を検出する検出動作を実行可能な検出回路と、
電源の投入により前記被検出電流の導通が開始されると、前記消磁回路に作動信号を出力して被検出電流とヒステリシス電圧との関係から求まるヒステリシス相当の電流値で交流電流の印加を開始させるとともに、所定の減衰時間内で減衰が完了する特性が得られる周波数に制御することで前記消磁回路による前記消磁動作を前記所定の減衰時間内で完了させた後に前記検出回路による前記検出動作の実行を開始させる制御手段と
を備えた電流検出器。 - 請求項1に記載の電流検出器において、
前記消磁回路は、
前記消磁動作における前記交流電流の周波数の下限値を8kHzとし、上限値を17kHzとした範囲内で前記交流電流を印加することを特徴とする電流検出器。 - 請求項1又は2に記載の電流検出器において、
前記消磁回路は、
前記減衰時間を5ms以上で50ms以内とした減衰特性の前記交流電流を印加して前記消磁動作を完了させることを特徴とする電流検出器。
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Legal Events
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| A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170725 |
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| A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20170801 |
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| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170825 |
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