JP6288636B2 - 精密機械用耐食性部材 - Google Patents
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Description
具体的には、金属材料の表面に、下地層として母材の直接酸化により形成した1μm以下の膜厚の酸化物皮膜を有する第1皮膜層を有し、さらに200μm程度の第2皮膜層を形成し、第2皮膜層はプラズマ溶射法により形成した酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウムおよびこれらの混晶、NiPメッキ、Niメッキ、Crメッキ、フッ素樹脂皮膜のうち少なくともひとつから成ることが開示されており、これにより母材金属表面を腐食させることを防ぎ、金属汚染を低減させることができると記載されている(特許文献1要約参照)。
具体的には、石英ガラス槽の表面全体を膜厚10μm〜5mmのフッ素系樹脂皮膜で覆われていることを特徴とする超音波洗浄用石英ガラス槽が開示されており、超音波が透過し良好な洗浄が行えることが記載されている。
また、炭素材料上にフッ素樹脂皮膜をコーティングした耐食性部材を精密機械において使用することで強度が増し、部材の腐食を抑えることができる。
さらに、炭素材料とフッ素樹脂皮膜の間にプライマー層を設けることで、炭素材料とフッ素樹脂皮膜との密着性を強くし、フッ素樹脂皮膜の剥離を防ぐことができる。
また、炭素材料とフッ素樹脂皮膜の間にチタネート系プライマーまたはクロム酸系プライマーからなるプライマー層を設けることで、炭素材料とフッ素樹脂皮膜との密着性をより強くし、フッ素樹脂皮膜の剥離を防ぐことができる。
また、炭素材料は熱伝導性が高いため、効率よく熱交換できる熱交換器を提供することができる。
以下、本発明に係る精密機械用耐食性部材について詳細に説明する。
この発明において使用するクロム酸系プライマーとしてフッ素樹脂とクロム酸及びリン酸を含む混合物を好適に用いることができ、具体的には850G−314(Dupont社製)と850−7799(Dupont社製)の重量比3:1混合液が挙げられる。
この発明において使用するチタネート系プライマーとして特許公開2011−202034に開示のプライマーが挙げられる。具体的には、チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)とフッ素樹脂の混合物等が挙げられる。
この発明においてチタネート系プライマー又はクロム酸系プライマーを用いることにより、炭素材料(1)とフッ素樹脂皮膜(3)との密着性がより優れたものとなる。
この発明において、チタネート系プライマーはクロム酸系プライマーと比べて毒性がより低いため、チタネート系プライマーが好適に使用される。何故ならチタネート系プライマーを用いることにより、環境に悪影響を及ぼすことがないからである。
プライマー層(2)の膜厚は3〜15μmの範囲内であることが好ましい。プライマー層(2)の膜厚が3μm未満だとフッ素樹脂皮膜(3)と炭素材料(1)とを密着させる力が小さくなるため好ましくなく、15μmより大きいと発泡などが発生し加工不良となるため好ましくない。
本発明においては、PFA、FEPが好適に使用される。何故ならピンホールがないフッ素樹脂皮膜を形成するのに適しており、耐薬品性が良いからである。
フッ素樹脂皮膜(3)の膜厚は100〜2000μmの範囲内であることが好ましい。フッ素樹脂皮膜(3)の膜厚が100μm未満だと耐熱性や耐酸性度が低くなるため好ましくなく、2000μmより大きいと皮膜の収縮力が大きくなり、耐食性部材の歪みが増すため好ましくない。
次に、本発明の精密機械用耐食性部材の製造方法について説明する。
まず、炭素材料(1)表面のゴミやホコリを取り除く。次に、コーティングの施工温度で熱分解するような有機物等を取り除くため必要に応じて有機溶剤等で脱脂処理を行なうか400℃程度で空焼きする。接着のための表面積を増やすため、炭素材料(1)の表面をブラスト処理によって粗面化する。ブラスト処理の方法は特に限定されない。
上記したプライマーを用いて炭素材料の上にプライマー層(2)を形成する。プライマーはエアスプレー等の方法で塗布し、乾燥させる。乾燥させる方法は特に限定されない。プライマーを塗布する際、1回塗布しても良いし、複数回塗布しても良い。
プライマー層(2)の上にフッ素樹脂皮膜(3)を静電粉体塗装法等によって1〜20回塗布し、320〜380℃で1〜5時間焼成する。
本発明においては、半導体製造装置及び熱交換器に好適に使用される。
特に半導体製造装置のウエハ洗浄工程を行う部分に使用される部材として好適に使用される。
(実施例1)
等方性黒鉛であるIG−11(東洋炭素株式会社製)のプレート(200mm×200mm×厚み5mm)上にスプレー法によってチタネート系プライマーチタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)とフッ素樹脂混合物を塗布し、その上に静電粉体塗装法によってフッ素樹脂皮膜(NFX−3650A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み300μmでコーティングした。これを実施例1とした。
IG−11の高純度製品であるIG−110(東洋炭素株式会社製)のプレート(200mm×200mm×厚み5mm)上に、実施例1と同様の方法によりチタネート系プライマーを塗布し、その上に実施例1と同様の方法によりフッ素樹脂皮膜(NFX−3650A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み300μmでコーティングした。これを実施例2とした。
IG−11(東洋炭素株式会社製)のプレート(200mm×200mm×厚み5mm)上に実施例1と同じ方法によってクロム酸系プライマー850G−314(Dupont社製)と850−7799(Dupont社製)の重量比3:1混合液を塗布し、その上に実施例1と同じ方法によってフッ素樹脂皮膜(NF−240A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み500μmでコーティングした。これを実施例3とした。
IG−110(東洋炭素株式会社製)のプレート(200mm×200mm×厚み5mm)上に実施例1と同じ方法によってクロム酸系プライマーを塗布し、その上に実施例1と同じ方法によってフッ素樹脂皮膜(NF−240A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み500μmでコーティングした。これを実施例4とした。
ステンレス(SUS304)のプレート(200mm×200mm×厚み6mm)上に実施例1と同じ方法によってチタネート系プライマーを塗布し、その上に実施例1と同じ方法によってフッ素樹脂皮膜(NFX−3650A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み300μmでコーティングした。これを比較例1とした。
ステンレス(SUS304)のプレート(200mm×200mm×厚み6mm)上に実施例1と同じ方法によってクロム酸系プライマーを塗布し、その上に実施例1と同じ方法によってフッ素樹脂皮膜(NF−240A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み500μmでコーティングした。これを比較例2とした。
石英ガラスのプレート(165mm×165mm×厚み3mm)上に実施例1と同じ方法によってチタネート系プライマーを塗布し、その上に実施例1と同じ方法によってフッ素樹脂皮膜(NFX−3650A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み300μmでコーティングした。これを比較例3とした。
石英ガラスのプレート(165mm×165mm×厚み3mm)上に実施例1と同じ方法によってクロム酸系プライマーを塗布し、その上に実施例1と同じ方法によってフッ素樹脂皮膜(NF−240A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み500μmでコーティングした。これを比較例4とした。
IG−11のプレート(200mm×200mm×厚み5mm)上に実施例1と同じ方法によって樹脂系プライマー420−706(Dupont社製)を塗布し、その上に実施例1と同じ方法によってフッ素樹脂皮膜(NFX−3650A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み300μmでコーティングした。これを比較例5とした。
IG−110のプレート(200mm×200mm×厚み5mm)上に実施例1と同じ方法によって樹脂系プライマー420−706(Dupont社製)を塗布し、その上に実施例1と同じ方法によってフッ素樹脂皮膜(NFX−3650A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み300μmでコーティングした。これを比較例6とした。
IG−11のプレート(200mm×200mm×厚み5mm)上に実施例1と同じ方法によって樹脂系プライマー420−706(Dupont社製)を塗布し、その上に実施例1と同じ方法によってフッ素樹脂皮膜(NF−240A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み500μmでコーティングした。これを比較例7とした。
IG−110のプレート(200mm×200mm×厚み5mm)上に実施例1と同じ方法によって樹脂系プライマー420−706(Dupont社製)を塗布し、その上に実施例1と同じ方法によってフッ素樹脂皮膜(NF−240A:日本フッソ工業株式会社製)を厚み500μmでコーティングした。これを比較例8とした。
次に、精密機械用耐食性部材の評価方法を説明する。
本評価においては山崎式ライニングテスターLA−15(山崎精機研究所製)を使用した。図2は、本実施例及び比較例の精密機械用耐食性部材を評価する際の様子を示す。
山崎式ライニングテスターLA−15において、上記実施例及び比較例の耐食性部材プレート(4)を5%塩酸中に下半分を浸潤させ、密閉することで上半分を揮発した5%塩酸に曝した。
5%塩酸に直接浸かる耐食性部材の下半分を液相部分、5%塩酸に直接浸からない上半分を気相部分とし、二つの部分を合わせて浸漬部分(5)とした。これを100℃下で4週間放置し、1週間ごとに以下の評価を行った。
皮膜の変色、劣化、ブリスターの発生等の異常の有無を含む外観の変化の目視並びに拡大鏡での観察を1週間ごとに行った。
ブリスターの最大径、発生面積を1週間ごとに測定した。
重量変化の評価を1週間ごとに測定した。重量測定の結果より、皮膜の単位面積当たりの重量変化(ΔW/S、重量変化(mg)/表面積(123cm2))を求め、その結果を表1乃至4に示す。
図3は、本発明に係る精密機械用耐食性部材の密着力を評価する際の様子を示す。実施例1乃至4と比較例1乃至8を5%塩酸に浸漬させ、100℃下で4週間評価した後、皮膜を5mm幅でカットし90°方向に皮膜を剥がし、剥がす際に必要な力(N/5mm幅)を図3に示すA乃至E点でそれぞれ測定した。
測定値には炭素材料等の基材との密着力以外に、皮膜を曲げるのに要する力も含まれ、測定値は膜厚に影響される。本実施例及び比較例では、剥がす際に必要な力が24.5N/5mm以上または皮膜が測定時に破断すれば密着力の低下は認めないと判断した。
また、A点は浸漬部分ではないため5%塩酸や100℃に曝された影響を受けておらず、B乃至E点の測定値をA点と比較することで密着力が維持されているかどうかを判断した。その結果を表5に示す。
外観評価の結果、実施例1乃至4にはブリスターの発生、皮膜の変色、劣化等の異常は認められなかった(図4参照)。
比較例1では、試験開始後2週間後から液相部分にブリスターの発生が確認され、試験期間の経過とともにブリスターの面積の増加が確認されたことから(図5参照)、皮膜が5%塩酸浸透の影響を受けていると考えられる。
比較例2では、試験開始1週間後から液相部分にブリスターの発生が確認された。試験開始2週間後からは気相、液相部分共にブリスター発生を確認し、試験期間の経過とともにブリスターの面積の増加が確認されたことから(図6参照)、5%塩酸浸透の影響を受けていると考えられる。
また、比較例3及び4では、試験開始後2週間後から気相、液相部分共にブリスターの発生が確認され、試験期間の経過とともにブリスターの面積の増加が確認されたことから(図7参照)、皮膜が5%塩酸浸透の影響を受けていると考えられる。
比較例2には及ばないものの、比較例1、3、4の重量変化の値はそれぞれ0.57mg/cm2、0.81mg/cm2、1.54mg/cm2であり、浸透が進んでいることを示した。
また、実施例1及び2、実施例3及び4を比較すると、IG−11とIG−110との間に差異は認められなかった。
さらに実施例1、3と比較例5、7、及び実施例2、4と比較例6、8を比較すると、炭素材料を基材とした時、チタネート系プライマー、クロム酸系プライマー及び樹脂系プライマーとの間に耐熱性及び耐酸性については大きな差異は認められなかった。
つまり、比較例5乃至8は実施例1乃至4と比較して、100℃、5%塩酸に曝す前の初期密着力が低いことが確認された。
また、実施例1乃至4は密着力が強いため皮膜の破断が見られた。実施例1乃至4のB乃至E点の測定値は目安値(24.5N/5mm)よりも低いものの、浸漬していないA点と測定値がほとんど変わらないことから、気相、液相部分共に浸漬前の密着力を維持していることが確認された(図8参照)。
炭素材料を基材とする耐食性部材にチタネート系プライマーまたはクロム酸系プライマーを用いた場合、浸漬しても気相、液相部分共に浸漬前の密着力を維持していた。
これらの結果から、樹脂系プライマーからなるプライマー層を有する炭素材料を基材とする耐食性部材よりも、チタネート系プライマーまたはクロム酸系プライマーからなるプライマー層を有する炭素材料を基材とする耐食性部材の方が密着性に優れているといえる。
密着力評価後の耐食性部材の状態を観察すると、プライマー層と炭素材料の層が混在していることから、密着力評価の際に炭素材料の表層が破壊されながら皮膜が剥がれていたと推測される。
つまり、炭素材料を基材とする耐食性部材のA乃至E点全ての密着力がステンレスを基材とする耐食性部材よりも低かったのは、炭素材料の物性が影響していると考えられる。
2 プライマー層
3 フッ素樹脂皮膜
4 耐食性部材プレート
5 浸漬部分
Claims (6)
- 炭素材料と、前記炭素材料上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたフッ素樹脂皮膜とを有し、前記炭素材料が等方性黒鉛からなり、前記プライマー層がチタネート系プライマーまたはクロム酸系プライマーからなることを特徴とする精密機械用耐食性部材。
- 前記プライマー層がチタネート系プライマーからなることを特徴とする請求項1記載の精密機械用耐食性部材。
- 前記クロム酸系プライマーがフッ素樹脂とクロム酸及びリン酸を含む混合液であることを特徴とする請求項1記載の精密機械用耐食性部材。
- 前記チタネート系プライマーがチタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)とフッ素樹脂の混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の精密機械用耐食性部材。
- 前記精密機械が半導体製造装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の精密機械用耐食性部材。
- 前記精密機械が熱交換器であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の精密機械用耐食性部材。
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