本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性(M3−12)が、300kgf/cm2〜24,000kgf/cm2であり、曲げ角度24°〜30°の曲げ剛性(M24−30)に対する曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性(M3−12)の比(M3−12/M24−30)が0.20〜2.00であり、スラブ硬度がショアD硬度で30〜65であることを特徴とする。
前記ゴルフボール用樹脂組成物の曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性(M3−12)は、300kgf/cm2(29.4MPa)以上が好ましく、600kgf/cm2(58.8MPa)以上がより好ましく、800kgf/cm2(78.5MPa)以上がさらに好ましく、24,000kgf/cm2(2354MPa)以下が好ましく、10,000kgf/cm2(981MPa)以下がより好ましく、6,000kgf/cm2(588MPa)以下がさらに好ましい。前記曲げ剛性(M3−12)が、300kgf/cm2以上であれば、打球時のボール変形が少なくなり、打撃のエネルギーを効率よくボールの加速に変換できるため、ゴルフボールが高反発となる。また、前記曲げ剛性(M3−12)が、24,000kgf/cm2以下であれば、適度の柔軟性を持ち、打球時の衝撃を抑えて、打球感が良好なゴルフボールが得られる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物の曲げ角度24°〜30°の曲げ剛性(M24−30)に対する曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性(M3−12)の比(M3−12/M24−30)は、0.20以上が好ましく、0.50以上がより好ましく、0.80以上がさらに好ましく、1.00以上が特に好ましく、2.00以下が好ましく、1.80以下がより好ましく、1.50以下がさらに好ましい。前記比(M3−12/M24−30)が、0.20以上であれば、樹脂材料が変形した際の曲げ剛性の低下が小さい。そのため、打撃のエネルギーをより効率よくボールの加速に変換できる高反発のゴルフボールが得られる。また、前記比(M3−12/M24−30)が、2.00以下であれば、打撃開始から終了まで大きな曲げ剛性を維持できることとなり、ゴルフボールの反発性を向上させることができる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物の曲げ角度24°〜30°の曲げ剛性(M24−30)は、150kgf/cm2(14.7MPa)以上が好ましく、375kgf/cm2(36.8MPa)以上がより好ましく、800kgf/cm2(78.5MPa)以上がさらに好ましく、24,000kgf/cm2(2354MPa)以下が好ましく、12,000kgf/cm2(1177MPa)以下がより好ましく、8,000kgf/cm2(785MPa)以下がさらに好ましく、6,000kgf/cm2(588MPa)以下が特に好ましい。前記曲げ剛性(M24−30)が、前記範囲内であれば、打球感が良好であり、かつ、打球時のボール変形が少なく、高反発なゴルフボールが得られる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で、30以上が好ましく、35以上がより好ましく、40以上がさらに好ましく、65以下が好ましく、60以下がより好ましく、55以下がさらに好ましい。前記スラブ硬度が、前記範囲内であれば、打球感のよいゴルフボールを提供できる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂と、(B)表面が有機処理された金属フィラーとを含有するものであることが好ましい。(B)表面が有機処理された金属フィラーは、(A)熱可塑性樹脂との相溶性が高いため、フィラーによる補強効果が高くなる。また、前記ゴルフボール用樹脂組成物が、(A)熱可塑性樹脂と、(B)表面が有機処理された金属フィラーとを含有することで、曲げ剛性(M3−12)、および、比(M3−12/M24−30)を前記範囲に制御するのが容易となる。
まず、本発明で使用し得る(A)熱可塑性樹脂について説明する。前記(A)熱可塑性樹脂としては、例えば、アイオノマー樹脂、熱可塑性オレフィン共重合体、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性スチレン系樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリジエン、熱可塑性ポリエーテルなどの熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂の中でも、ゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーが好ましい。前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性アクリル系エラストマーなどを挙げることができる。また、これらの中でもカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂が好ましい。カルボキシル基を有する熱可塑性樹脂としては、アイオノマー樹脂、熱可塑性オレフィン共重合体が挙げられる。前記カルボキシル基を有する熱可塑性樹脂中の酸成分の含有率は、4質量%〜50質量%が好ましい。前記酸成分としては、アクリル酸、メタクリルなどのカルボキシル基を有する単量体が挙げられる。
(1)アイオノマー樹脂
前記アイオノマー樹脂としては、オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂;オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂;または、これらの混合物を挙げることができる。
なお、本発明において、「オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂」を単に「二元系アイオノマー樹脂」と称し、「オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂」を単に「三元系アイオノマー樹脂」と称する場合がある。
前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンであることが好ましい。前記炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。
前記二元系アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。前記三元系アイオノマー樹脂としては、エチレンと(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
前記二元系アイオノマー樹脂中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率は、15質量%以上が好ましく、16質量%以上がより好ましく、17質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率が、15質量%以上であれば、得られる構成部材を所望の硬度にしやすくなる。また、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率が、30質量%以下であれば、得られる構成部材の硬度が高くなり過ぎず、耐久性と打球感が良好になる。
前記二元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、15モル%以上が好ましく、20モル%以上が好ましく、100モル%以下が好ましい。中和度が15モル%以上であれば、得られるゴルフボールの反発性および耐久性が良好になる。なお、前記二元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、下記式で求めることができる。また、理論上のアイオノマー樹脂中のカルボキシル基の中和度が100モル%を超えるように金属成分を含有する場合がある。
二元系アイオノマー樹脂の中和度(モル%)=100×二元系アイオノマー樹脂中の中和されているカルボキシル基のモル数/二元系アイオノマー樹脂中のカルボキシル基の総モル数
前記二元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。
前記二元系アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポン・ポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7311(Mg)、ハイミランAM7329(Zn)など」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されている「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li))」などが挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn))」などが挙げられる。
前記二元系アイオノマー樹脂は、例示のものをそれぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよい。前記商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
前記二元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性は、140MPa以上が好ましく、より好ましくは150MPa以上、さらに好ましくは160MPa以上であり、550MPa以下が好ましく、より好ましくは500MPa以下、さらに好ましくは450MPa以下である。前記二元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性が低すぎると、ゴルフボールのスピン量が増加して飛距離が低下する傾向があり、曲げ剛性が高すぎると、ゴルフボールの耐久性が低下する場合がある。
前記二元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)は、0.1g/10min以上が好ましく、より好ましくは0.5g/10min以上、さらに好ましくは1.0g/10min以上であり、30g/10min以下が好ましく、より好ましくは20g/10min以下、さらに好ましくは15g/10min以下である。前記二元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10min以上であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性が良好となり、例えば、薄い層の成形が可能となる。また、前記二元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が30g/10min以下であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記三元系アイオノマー樹脂中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率は、2質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下である。
前記三元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、20モル%以上が好ましく、より好ましくは30モル%以上であり、100モル%以下が好ましい。中和度が15モル%以上であれば、得られるゴルフボールの反発性および耐久性が良好になる。なお、アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、下記式で求めることができる。また、理論上のアイオノマー樹脂中のカルボキシル基の中和度が100モル%を超えるように金属成分を含有する場合がある。
アイオノマー樹脂の中和度(モル%)=100×アイオノマー樹脂中の中和されているカルボキシル基のモル数/アイオノマー樹脂中のカルボキシル基の総モル数
前記三元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。
前記三元系アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポン・ポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミランAM7327(Zn)、ハイミラン1855(Zn)、ハイミラン1856(Na)、ハイミランAM7331(Na)など)」が挙げられる。さらにデュポン社から市販されている三元系アイオノマー樹脂としては、「サーリン6320(Mg)、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン9320W(Zn)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)など)」が挙げられる。またエクソンモービル化学(株)から市販されている三元系アイオノマー樹脂としては、「アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)など)」が挙げられる。なお、商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Mgなどは、中和金属イオンの種類を示している。前記三元系アイオノマー樹脂は、単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記三元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性は、10MPa以上が好ましく、より好ましくは11MPa以上、さらに好ましくは12MPa以上であり、100MPa以下が好ましく、より好ましくは97MPa以下、さらに好ましくは95MPa以下である。前記三元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性が低すぎると、ゴルフボールのスピン量が増加して飛距離が低下する傾向があり、曲げ剛性が高すぎると、ゴルフボールの耐久性が低下する場合がある。
前記三元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)は、0.1g/10min以上が好ましく、より好ましくは0.3g/10min以上、さらに好ましくは0.5g/10min以上であり、20g/10min以下が好ましく、より好ましくは15g/10min以下、さらに好ましくは10g/10min以下である。前記三元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10min以上であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性が良好となり、薄い層の成形が容易になる。また、前記三元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が20g/10min以下であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記三元系アイオノマー樹脂のスラブ硬度は、ショアD硬度で20以上が好ましく、より好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上であり、70以下が好ましく、より好ましくは65以下、さらに好ましくは60以下である。前記スラブ硬度が、ショアD硬度で20以上であれば、得られる構成部材が、柔らかく成り過ぎず、ゴルフボールの反発性が良好になる。また、前記スラブ硬度が、ショアD硬度で70以下であれば、得られる構成部材が硬くなりすぎず、ゴルフボールの耐久性がより良好となる。
(2)熱可塑性オレフィン共重合体
前記熱可塑性オレフィン共重合体としては、例えば、オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体;オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体;または、これらの混合物を挙げることができる。前記熱可塑性オレフィン共重合体は、そのカルボキシル基が中和されていない非イオン性のものである。
なお、本発明において、「オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体」を単に「二元共重合体」と称し、「オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体」を単に「三元共重合体」と称する場合がある。
前記オレフィンとしては、アイオノマー樹脂を構成するオレフィンと同一のものを挙げることができ、特にエチレンであることが好ましい。前記炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸およびそのエステルとしては、アイオノマー樹脂を構成する炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸およびそのエステルと同一のものを挙げることができる。
前記二元共重合体としては、エチレンと(メタ)アクリル酸との二元共重合体が好ましい。前記三元共重合体としては、エチレンと(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの三元共重合体が好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
前記二元共重合体または三元共重合体中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率は、4質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
前記二元共重合体または三元共重合体のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)は、5g/10min以上が好ましく、より好ましくは10g/10min以上、さらに好ましくは15g/10min以上であり、1700g/10min以下が好ましく、より好ましくは1500g/10min以下、さらに好ましくは1300g/10min以下である。前記二元共重合体または三元共重合体のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が5g/10min以上であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性が良好となり、構成部材の成形が容易になる。また、前記二元共重合体または三元共重合体のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が1700g/10min以下であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記二元共重合体の具体例を商品名で例示すると、例えば、三井・デュポン・ポリケミカル社から商品名「ニュクレル(NUCREL)(登録商標)(例えば、「ニュクレルN1050H」、「ニュクレルN2050H」、「ニュクレルN1110H」、「ニュクレルN0200H」)」で市販されているエチレン−メタクリル酸共重合体、ダウケミカル社から商品名「プライマコア(PRIMACOR)(登録商標)5980I」で市販されているエチレン−アクリル酸共重合体などを挙げることができる。
前記三元共重合体の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポン・ポリケミカル社から市販されている商品名「ニュクレル(NUCREL)(登録商標)(例えば、「ニュクレルAN4318」「ニュクレルAN4319」)」、デュポン社から市販されている商品名「ニュクレル(NUCREL)(登録商標)(例えば、「ニュクレルAE」)」、ダウケミカル社から市販されている商品名「プライマコア(PRIMACOR)(登録商標)(例えば、「PRIMACOR AT310」、「PRIMACOR AT320」)」などを挙げることができる。前記二元共重合体または三元共重合体は、単独または二種以上を組み合わせて使用しても良い。
(3)熱可塑性ポリウレタンおよび熱可塑性ポリウレタンエラストマー
熱可塑性ポリウレタンおよび熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、分子の主鎖にウレタン結合を複数有する熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマーを挙げることができる。前記ポリウレタンは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られるものが好ましい。前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、例えば、BASFジャパン(株)社製の商品名「エラストラン(登録商標)XNY85A」、「エラストランXNY90A」、「エラストランXNY97A」、「エラストランET885」、「エラストランET890」などが挙げられる。
(4)熱可塑性スチレン系エラストマー
熱可塑性スチレン系エラストマーとしては、スチレンブロックを含有する熱可塑性エラストマーを好適に使用できる。前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。典型的なソフトセグメントは、ジエンブロックである。ジエンブロックの構成成分としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが例示される。ブタジエン及びイソプレンが好ましい。2以上の構成成分が併用されてもよい。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物としては、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物としては、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。
前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーにおけるスチレン成分の含有率は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。得られるゴルフボールの打球感の観点から、この含有率は50質量%以下が好ましく、47質量%以下がより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPS、並びに、これらの水添物からなる群から選択された1種又は2種以上と、ポリオレフィンとのアロイが含まれる。このアロイ中のオレフィン成分は、アイオノマー樹脂との相溶性向上に寄与すると推測される。このアロイが用いられることにより、ゴルフボールの反発性能が向上する。好ましくは、炭素数が2以上10以下のオレフィンが用いられる。好適なオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン及びペンテンが例示される。エチレン及びプロピレンが特に好ましい。
ポリマーアロイの具体例としては、三菱化学社製「ラバロン(登録商標)T3221C」、「ラバロンT3339C」、「ラバロンSJ4400N」、「ラバロンSJ5400N」、「ラバロンSJ6400N」、「ラバロンSJ7400N」、「ラバロンSJ8400N」、「ラバロンSJ9400N」及び「ラバロンSR04」が挙げられる。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの他の具体例としては、ダイセル化学工業社製「エポフレンドA1010」及びクラレ社製「セプトンHG−252」が挙げられる。
(5)熱可塑性ポリアミドおよび熱可塑性ポリアミドエラストマー
前記熱可塑性ポリアミドとしては、分子の主鎖中にアミド結合(−NH−CO−)を複数有する熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えば、ラクタムを開環重合させたり、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを反応させたりすることによって、アミド結合が分子内に形成された生成物が挙げられる。
前記熱可塑性ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド612などの脂肪族系ポリアミド;ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドなどの芳香族系ポリアミドが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12などの脂肪族系ポリアミドが好適である。
前記熱可塑性ポリアミドの具体例を商品名で示すと、例えば、アルケマ社から市販されている「リルサン(登録商標)B(例えば、リルサンBESN TL、リルサンBESN P20 TL、リルサンBESN P40 TL、リルサンMB3610、リルサンBMF O、リルサンBMN O、リルサンBMN O TLD、リルサンBMN BK TLD、リルサンBMN P20 D、リルサンBMN P40 Dなど)」などが挙げられる。
ポリアミドエラストマーは、ポリアミド成分からなるハードセグメント部分とソフトセグメント部分とを有する。ポリアミドエラストマーのソフトセグメント部分としては、例えば、ポリエーテルエステル成分又はポリエーテル成分を挙げることができる。前記ポリアミドエラストマーとしては、例えば、ポリアミド成分(ハードセグメント成分)と、ポリオキシアルキレングリコール及びジカルボン酸からなるポリエーテルエステル成分(ソフトセグメント成分)との反応で得られるポリエーテルエステルアミド;ポリアミド成分(ハードセグメント成分)と、ポリオキシアルキレングリコールの両末端をアミノ化又はカルボキシル化したものとジカルボン酸又はジアミンとからなるポリエーテル(ソフトセグメント成分)との反応で得られるポリエーテルアミドが例示される。
前記ポリアミドエラストマーとして、例えば、アルケマ社製の「ペバックス(PEBAX)(登録商標)2533」、「ペバックス3533」、「ペバックス4033」、「ペバックス5533」などを挙げることができる。
(6)熱可塑性ポリエステルおよび熱可塑性ポリエステルエラストマー
前記熱可塑性ポリエステルは、分子の主鎖にエステル結合を複数有するものであれば特に限定されず、例えば、ジカルボン酸とジオールとを反応させることにより得られるものが好ましい。熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、例えば、ポリエステル成分からなるハードセグメントと、ソフトセグメントとを有するブロック共重合体を挙げることができる。ハードセグメントを構成するポリエステル成分としては、例えば、芳香族ポリエステルを挙げることができる。ソフトセグメント成分としては、脂肪族ポリエーテルや、脂肪族ポリエステルを挙げることができる。
前記ポリエステルエラストマーの具体例としては、東レ・デュポン社製の「ハイトレル(登録商標)3548」、「ハイトレル4047」、三菱化学社製の「プリマロイ(登録商標)A1606」,「プリマロイB1600」、「プリマロイB1700」などを挙げることができる。
(7)熱可塑性(メタ)アクリル系エラストマー
前記熱可塑性(メタ)アクリル系エラストマーとしては、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合してなる熱可塑性エラストマーを挙げることができる。前記熱可塑性(メタ)アクリル系エラストマーの具体例としては、例えば、クラレ社製「クラリティ(メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルのブロック共重合体)」を挙げることができる。
(8)熱可塑性ポリオレフィン
ポリオレフィンは、1種または2種以上のオレフィンをモノマーとして合成されるものであれば、特に限定されない。前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができる。前記ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。
(9)熱可塑性ポリジエン
熱可塑性ポリジエンは、1種または2種以上のジエンをモノマーとして合成されるものであれば、特に限定されない。前記ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、へプタジエン等を挙げることができる。前記熱可塑性ポリジエンとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレンが好ましい。
(10)熱可塑性ポリエーテル
熱可塑性ポリエーテルの具体例としては、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を挙げることができる。
(11)そのほかの熱可塑性樹脂
ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂などを前記(A)熱可塑性樹脂として使用することもできる。
なお、本発明では、前記例示した熱可塑性樹脂を無水マレイン酸で変性したものを、前記(A)熱可塑性樹脂として使用してもよい。
前記熱可塑性樹脂成分として、アイオノマー樹脂、熱可塑性オレフィン共重合体、熱可塑性スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性アクリル系エラストマーの少なくとも1種を含有することが好ましい。所望の硬度を有する構成部材を形成しやすくなる。
前記(A)熱可塑性樹脂のスラブ硬度は、ショアD硬度で30以上が好ましく、35以上がより好ましく、40以上がさらに好ましく、60以下が好ましく、55以下がより好ましい。(A)熱可塑性樹脂のスラブ硬度が、ショアD硬度で30以上であれば、得られる構成部材が柔らかく成り過ぎず、ゴルフボールの反発性が良好になる。また、(A)熱可塑性樹脂のスラブ硬度が、ショアD硬度で60以下であれば、得られる構成部材が硬くなりすぎず、ゴルフボールの打球感がより良好となる。
本発明では、(A)熱可塑性樹脂として、カルボキシル基を有するものを使用することが好ましい。カルボキシル基を中和することによって、得られるゴルフボール用樹脂組成物の反発性が高くなる。前記(A)熱可塑性樹脂中のカルボキシル基を有する酸成分の含有率は、4質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、(A)熱可塑性樹脂が有する未中和のカルボキシル基は、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、および、亜鉛イオンよりなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンにより中和されていることが好ましい。
次に、本発明で使用し得る(B)表面が有機処理された金属フィラーについて説明する。前記(B)表面が有機処理された金属フィラーとしては、金属の表面が有機処理されているフィラーであれば特に限定されない。前記(B)表面が有機処理された金属フィラーとしては、アルミニウム、チタン、亜鉛、クロム、鉄、ニッケル、錫、銅よりなる群から選択される少なくとも1種の金属の表面が、α,β−不飽和カルボン酸および/またはその誘導体からなる重合体でコーティングされた金属フィラーが好ましい。
(B)表面が有機処理された金属フィラーは、(A)熱可塑性樹脂との相溶性が高いため、フィラーによる補強効果が高くなる。特に、カルボキシル基を有する(A)熱可塑性樹脂に対しては、表面がα,β−不飽和カルボン酸および/またはその誘導体からなる重合体でコーティングされた金属フィラーを使用することが好ましい。(A)熱可塑性樹脂が有するカルボキシル基と、フィラー表面を被覆する重合体が有するカルボキシル基とが、金属イオンを介して、イオン会合体を形成するからである。その結果、金属フィラーによる補強効果が一層高くなる。
前記重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸としては、特に限定されないが、炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸が好ましい。前記α,β−不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸などが挙げられる。
前記α,β−不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸エステルやα,β−不飽和カルボン酸のハロゲン化物、α,β−不飽和カルボン酸イミダゾールなどが用いられ、特に、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸−n−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸−i−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸−1−メチルプロピルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルプロピルエステル、(メタ)アクリル酸−n−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸−t−ブチルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミドなどの(メタ)アクリル酸のハロゲン化物;(メタ)アクリル酸イミダゾールが好ましい。
前記α,β−不飽和カルボン酸および/またはその誘導体からなる重合体としては、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸誘導体からなる重合体が好ましい。(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸誘導体からなる重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸の単独重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が挙げられる。重合体の種類は、1種であってもよく、2種以上を併用してもよい。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
前記(B)フィラーの短手方向の平均径は、0.1μm以上が好ましく、200μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。フィラーの短手方向の平均径が前記範囲内であれば、ソフトな打球感を確保しながら、反発性に優れるゴルフボールが得られやすくなる。
前記(B)フィラーの長手方向の平均長さは、0.5μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、300μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。フィラーの長手方向の平均長さが前記範囲内であれば、ソフトな打球感を確保しながら、反発性に優れるゴルフボールが得られやすくなる。
前記(B)フィラーの平均アスペクト比は、1.5以上が好ましく、3.3以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、3,000以下が好ましく、1,000以下がより好ましく、200以下がさらに好ましい。前記(B)フィラーの平均アスペクト比が、前記範囲内であれば、ソフトな打球感を確保しながら、反発性に優れるゴルフボールが得られやすくなる。なお、本発明において、平均アスペクト比とは、フィラーの長手方向の平均長さと短手方向の平均径との比(長手方向の平均長さ/短手方向の平均径)を意味するものとする。
なお、フィラーの平均長さおよび平均径は、画像イメージング法で測定することができる。具体的には、粒子の顕微鏡写真を画像解析ソフト(例えば、日機装(株)のViewtrac(登録商標))で解析し、粒子のある特定方向の個数基準のメジアン平均(d50)サイズである。
前記(B)フィラーは、表面に極性官能基を有することが好ましい。前記極性官能基としては、カルボキシ基(−COOH)、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH2)、チオール基(−SH)、スルホン基(−SO3H)、ホスホン基(−PO(OH)2)などが挙げられる。
前記(B)フィラーの単位質量当たりの極性官能基量は、0.2μg/g以上が好ましく、より好ましくは10μg/g以上、さらに好ましくは40μg/g以上であり、300μg/g以下が好ましく、より好ましくは220μg/g以下、さらに好ましくは150μg/g以下である。極性官能基量が0.2μg/g以上であればゴルフボール用樹脂組成物の曲げ剛性がより向上し、得られるゴルフボールの飛距離性能がより向上する。また、極性官能基量が300μg/g以下であればゴルフボール用樹脂組成物が硬くなりすぎず、得られるゴルフボールの打球感が良好となる。
なお、(B)フィラーの極性官能基量は、熱重量測定および顕微鏡FTIR測定を併用することで測定できる。具体的には、熱重量測定によって重合体の被覆量を測定し、顕微鏡FTIR測定によって、重合体中の極性官能基量を測定することで、(B)フィラーの極性官能基量を算出できる。
前記(B)フィラーの配合量は、特に限定されないが、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。前記(B)フィラーの配合量が、前記範囲内であれば、ソフトな打球感を確保しながら、反発性に優れるゴルフボールが得られやすくなる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、上記(A)成分と(B)成分に加えて、(C)両性界面活性剤を含有することが好ましい。(C)両性界面活性剤は、(A)熱可塑性樹脂(例えば、アイオノマー樹脂)のイオン会合体に取り込まれて、(I)イオン会合体を微分散化してエチレン鎖の結晶化を阻害し、(II)イオン会合体による主鎖の拘束を弱めるものと考えられる。これらの作用により、前記ゴルフボール用樹脂組成物は、分子鎖の運動性が高くなり、柔軟性を維持したまま反発性が高くなる。
前記(C)両性界面活性剤は、分子内にカチオン性部位とアニオン性部位とを含有し、水にとけて表面張力を低下させる作用を有するものであれば特に限定されない。両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン型、アミドベタイン型、イミダゾリウムベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型などのベタイン型両性界面活性剤;アミドアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルアミノ脂肪酸塩;アルキルアミンオキシド;β−アラニン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤;スルホベタイン型両性界面活性剤;ホスホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、ジメチルラウリルベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン(オレイルベタイン)、ジメチルオレイルベタイン、ジメチルステアリルベタイン、ステアリルジヒドロキシメチルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジヒドロキシメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ミリスチルジヒドロキシメチルベタイン、ベヘニルジヒドロキシメチルベタイン、パルミチルジヒドロキシエチルベタイン、オレイルジヒドロキシメチルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドアルキルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシアルキルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドアルキルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドジアルキルヒドロキシアルキルスルホベタイン、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸塩、N−アルキル−β−イミノジプロピオン酸塩、アルキルジアミノアルキルグリシン、アルキルポリアミノアルキルグリシン、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、N,N−ジメチルオクチルアミンオキサイド、N,N-ジメチルラウリルアミンオキサイド、N,N-ジメチルステアリルアミンオキサイドなどを挙げることができる。これらの両性界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(C)両性界面活性剤の配合量は、特に限定されないが、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、20質量部以上が特に好ましく、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。(C)両性界面活性剤の配合量が前記範囲内であれば、界面活性剤分子が熱可塑性樹脂(例えば、アイオノマー樹脂)のイオン会合体に取り込まれやすくなり、熱可塑性樹脂の分子鎖の運動性が高くなり、柔軟性を維持したまま反発性が高くなるからである。
また、前記ゴルフボール用樹脂組成物は、さらに(D)脂肪酸を含有することが好ましい。(D)脂肪酸を含有することにより、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性が向上するため、例えば、薄い層の形成が可能となる。前記(D)脂肪酸としては、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性を向上させる作用を有するものであれば特に限定されず、飽和脂肪酸、あるいは、不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。また前記(D)脂肪酸は、直鎖脂肪酸、分岐鎖を有する脂肪酸のいずれであってもよい。
前記飽和脂肪酸の具体例(IUPAC名)としては、ブタン酸(C4)、ペンタン酸(C5)、ヘキサン酸(C6)、ヘプタン酸(C7)、オクタン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ウンデカン酸(C11)、ドデカン酸(C12)、トリデカン酸(C13)、テトラデカン酸(C14)、ペンタデカン酸(C15)、ヘキサデカン酸(C16)、ヘプタデカン酸(C17)、オクタデカン酸(C18)、ノナデカン酸(C19)、イコサン酸(C20)、ヘンイコサン酸(C21)、ドコサン酸(C22)、トリコサン酸(C23)、テトラコサン酸(C24)、ペンタコサン酸(C25)、ヘキサコサン酸(C26)、ヘプタコサン酸(C27)、オクタコサン酸(C28)、ノナコサン酸(C29)、トリアコンタン酸(C30)などを挙げることができる。
不飽和脂肪酸の具体例(IUPAC名)としては、ブテン酸(C4)、ペンテン酸(C5)、ヘキセン酸(C6)、ヘプテン酸(C7)、オクテン酸(C8)、ノネン酸(C9)、デセン酸(C10)、ウンデセン酸(C11)、ドデセン酸(C12)、トリデセン酸(C13)、テトラデセン酸(C14)、ペンタデセン酸(C15)、ヘキサデセン酸(C16)、ヘプタデセン酸(C17)、オクタデセン酸(C18)、ノナデセン酸(C19)、イコセン酸(C20)、ヘンイコセン酸(C21)、ドコセン酸(C22)、トリコセン酸(C23)、テトラコセン酸(C24)、ペンタコセン酸(C25)、ヘキサコセン酸(C26)、ヘプタコセン酸(C27)、オクタコセン酸(C28)、ノナコセン酸(C29)、トリアコンテン酸(C30)などを挙げることができる。
(D)脂肪酸成分の具体例(慣用名)としては、例えば、酪酸(C4)、吉草酸(C5)、カプロン酸(C6)、エナント酸(C7)、カプリル酸(C8)、ペラルゴン酸(C9)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、ミリストレイン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、パルミトレイン酸(C16)、マルガリン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、オレイン酸(C18)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、12−ヒドロキシステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ガドレイン酸(C20)、アラキドン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、ベヘニン酸(C22)、エルカ酸(C22)、リグノセリン酸(C24)、ネルボン酸(C24)、セロチン酸(C26)、モンタン酸(C28)、メリシン酸(C30)などを挙げることができる。(D)前記脂肪酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(D)脂肪酸の配合量は、特に限定されないが、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、20質量部以上が特に好ましく、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。(D)脂肪酸の配合量が前記範囲内であれば、脂肪酸のブリードアウトが発生しにくく、適当な流動性を有するゴルフボール用樹脂組成物が得られやすい。
前記ゴルフボール用材料は、(A)熱可塑性樹脂がカルボキシル基を有する場合に、未中和のカルボキシル基を中和するために、(E)金属化合物を含有することが好ましい。(E)金属化合物を含有することにより、熱可塑性樹脂の中和度を高めることができる。中和度を高めることにより、得られる構成部材の反発性が高くなる。前記(E)金属化合物としては、熱可塑性樹脂の少なくとも一部のカルボキシル基を中和することができるものであれば、特に限定されず、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。また、前記(E)金属化合物として、塩基性脂肪酸金属塩を使用することもできる。塩基性脂肪酸金属塩としては、塩基性ラウリン酸マグネシウム、塩基性ラウリン酸カルシウム、塩基性ラウリン酸亜鉛、塩基性ミリスチン酸マグネシウム、塩基性ミリスチン酸カルシウム、塩基性ミリスチン酸亜鉛、塩基性パルミチン酸マグネシウム、塩基性パルミチン酸カルシウム、塩基性パルミチン酸亜鉛、塩基性オレイン酸マグネシウム、塩基性オレイン酸カルシウム、塩基性オレイン酸亜鉛、塩基性ステアリン酸マグネシウム、塩基性ステアリン酸カルシウム、塩基性ステアリン酸亜鉛、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、塩基性ベヘニン酸マグネシウム、塩基性ベヘニン酸カルシウム、塩基性ベヘニン酸亜鉛などが挙げられる。これらの(E)金属化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。(E)金属化合物の配合量は、(A)熱可塑性樹脂のカルボキシル基の中和度や後記するゴルフボール用樹脂組成物の総中和度に応じて適宜調整すればよい。
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、下記式で表わされる総中和度が、30%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましく、300%以下が好ましく、200%以下がより好ましく、150%以下がさらに好ましい。総中和度が、前記範囲内であれば、打感良く高反発な樹脂となるからである。
総中和度は、下記式で定義される。
総中和度(%)=100×[(A)樹脂成分の陽イオン成分のモル数×陽イオン成分の価数+(E)金属化合物の陽イオンのモル数×陽イオン成分の価数]/[(A)樹脂成分のカルボキシル基のモル数+(D)脂肪酸のカルボキシル基のモル数]
なお、陽イオン成分、金属成分、カルボキシル基には、イオン化していない前駆体のモル数を含めるものとする。陽イオン成分量および陰イオン成分量は、例えば、中和滴定により求めてもよい。
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、さらに、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料などの顔料成分、重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などの添加剤を含有することができる。前記重量調整剤としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、得られるゴルフボール構成部材に隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるゴルフボール構成部材の耐久性が低下する場合があるからである。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、例えば、(A)熱可塑性樹脂、(B)表面が有機処理された金属フィラー、および必要に応じて(C)両性界面活性剤、(D)脂肪酸、(E)金属化合物並びにその他の添加剤などを、ドライブレンドすることにより得られる。また、ドライブレンドした混合物を、押出してペレット化してもよい。ドライブレンドには、例えば、ペレット状の原料を配合できる混合機を用いるのが好ましく、より好ましくはタンブラー型混合機を用いる。押出は、一軸押出機、二軸押出機、二軸一軸押出機など公知の押出機を使用することができる。
本発明のゴルフボールは、前記ゴルフボール用樹脂組成物から成形された構成部材を有するゴルフボールであれば、特に限定されない。例えば、単層コアと、前記コアを被覆するように配設されたカバーとを有するツーピースゴルフボール;コアと前記コアを被覆するように配設された単層の中間層と、前記中間層を被覆するように配設されたカバーとを有するスリーピースゴルフボール;または、コアと前記コアを被覆するように配設された一以上の中間層と、前記中間層を被覆するように配設されたカバーを有するマルチピースゴルフボール(前記スリーピースゴルフボールを含む)を構成するいずれかの構成部材が前記ゴルフボール用樹脂組成物から成形されているゴルフボールを挙げることができる。これらの中でも、中間層が、本発明のゴルフボール用樹脂組成物から成形されているゴルフボールが好ましい。
以下、本発明のゴルフボールを、コアと前記コアを被覆するように配設された一以上の中間層と、前記中間層を被覆するように配設されたカバーとを有するゴルフボール(スリーピースゴルフボールを含む)であって、前記中間層の少なくとも一つが、本発明のゴルフボール用樹脂組成物から形成されている好ましい態様に基づいて、詳述するが、本発明は、斯かる態様に限定されない。
前記好ましい態様において、本発明のゴルフボールのコアの構造としては、単層コア、多層コアのいずれであってもよい。
前記コアは、従来公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)から成形することができ、例えば、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤および充填剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形することができる。
前記基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、反発に有利なシス−1,4−結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。
前記架橋開始剤は、基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。前記架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であり、3質量部以下が好ましく、より好ましくは2質量部以下である。0.2質量部未満では、コアが柔らかくなりすぎて、ゴルフボールの反発性が低下する傾向があり、3質量部を超えると、適切な硬さにするために、共架橋剤の使用量を減少する必要があり、ゴルフボールの反発性が不足したり、耐久性が悪くなるおそれがある。
前記共架橋剤としては、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有するものであれば、特に限定されず、例えば、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩を使用することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらの金属塩である。前記金属塩を構成する金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムなどを挙げることができ、得られるゴルフボールの反発性が高くなるということから、亜鉛塩を使用することが好ましい。共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部である。共架橋剤の使用量が10質量部未満では、適当な硬さとするために架橋開始剤の量を増加しなければならず、反発性が低下する傾向がある。一方、共架橋剤の使用量が50質量部を超えると、コアが硬くなりすぎて、打球感が低下するおそれがある。
前記コア用ゴム組成物が、有機硫黄化合物を含むことも好ましい。有機硫黄化合物としては、分子内に硫黄原子を有する有機化合物であれば、特に限定されず、例えば、チオール基(−SH)、または、硫黄数が2〜4のポリスルフィド結合(−S−S−、−S−S−S−、または、−S−S−S−S−)を有する有機化合物、あるいはこれらの金属塩(−SM、−S−M−S−、−S−M−S−S−,−S−S−M−S−S−,−S−M−S−S−S−など、Mは金属原子)を挙げることができる。金属塩としては、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、銅(I)、銀(I)などの1価の金属塩、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン(II)、マンガン(II)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、ジルコニウム(II)、スズ(II)等の2価の金属塩が挙げられる。また、前記有機硫黄化合物は、脂肪族化合物(脂肪族チオール、脂肪族チオカルボン酸、脂肪族ジチオカルボン酸、脂肪族ポリスルフィドなど)、複素環式化合物、脂環式化合物(脂環式チオール、脂環式チオカルボン酸、脂環式ジチオカルボン酸、脂環式ポリスルフィドなど)、および、芳香族化合物のいずれであってもよい。前記有機硫黄化合物としては、例えば、チオール類(チオフェノール類、チオナフトール類)、ポリスルフィド類、チオカルボン酸類、ジチオカルボン酸類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、チアゾール類などを挙げることができる。有機硫黄化合物の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.0質量部以下である。0.05質量部未満では、有機硫黄化合物を添加した効果が得られず、ゴルフボールの反発性が向上しないおそれがある。また、5.0質量部を超えると、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなって、反発性が低下するおそれがある。
前記コア用ゴム組成物は、必要に応じて、顔料、重量調整などのための充填剤、老化防止剤、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。
コア用ゴム組成物に配合される顔料としては、例えば、白色顔料、青色顔料、紫色顔料などを挙げることができる。前記白色顔料としては、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの種類は、特に限定されないが、隠蔽性が良好であるという理由から、ルチル型を用いることが好ましい。また、酸化チタンの含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上であり、8質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下である。
コア用ゴム組成物が白色顔料と青色顔料とを含有することも好ましい態様である。青色顔料は、白色を鮮やかに見せるために配合され、例えば、群青、コバルト青、フタロシアニンブルーなどを挙げることができる。また、前記紫色顔料としては、例えば、アントラキノンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、メチルバイオレットなどを挙げることができる。
前記青色顔料の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上であって、0.2質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1質量部以下である。0.001質量部未満では、青みが不十分で、黄色味がかった色に見え、0.2質量部を超えると、青くなりすぎて、鮮やかな白色外観ではなくなる。
コア用ゴム組成物に用いる充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの重量を調整するための重量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤として特に好ましいのは、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、加硫助剤として機能して、コア全体の硬度を高めるものと考えられる。前記充填剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。充填剤の含有量が0.5質量部未満では、重量調整が難しくなり、30質量部を超えるとゴム成分の重量分率が小さくなり反発性が低下する傾向がある。
前記老化防止剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成形する条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130〜200℃で10〜60分間加熱するか、或いは、130〜150℃で20〜40分間加熱した後、160〜180℃で5〜15分間の2段階で加熱することが好ましい。
前記コアの形状としては、球状であることが好ましい。コアの形状が球状でない場合には、中間層やカバーの厚みが不均一になる。その結果、部分的に中間層やカバー性能が低下する場合があるからである。
前記コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは36.8mm以上、さらに好ましくは38.8mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、41.8mm以下がより好ましく、さらに好ましくは41.2mm以下であり、最も好ましくは40.8mm以下である。コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、反発性がより良好となる。一方、コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。
前記コアは、直径34.8mm〜42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にコアが縮む量)が、2.0mm以上が好ましく、2.8mm以上がより好ましく、6.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましい。圧縮変形量が、2.0mm以上であれば打球感がより良好となり、6.0mm以下であれば、反発性がより良好となる。
中間層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて球体を包み、加圧成形する方法、または、中間層用組成物を直接球体上に射出成形して球体を包み込む方法などを挙げることができる。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物を球体上に射出成形して中間層を成形する場合、成形用上下金型としては、半球状キャビティを有しているものを使用することが好ましい。射出成形による中間層の成形は、ホールドピンを突き出し、被覆球体を投入してホールドさせた後、加熱溶融されたゴルフボール用樹脂組成物を注入して、冷却することにより中間層を成形することができる。
圧縮成形法により中間層を成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。本発明のゴルフボール用樹脂組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、ゴルフボール用樹脂組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いて中間層を成形する方法としては、例えば、球体を2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形して中間層に成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、ゴルフボール用樹脂組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みを有する中間層を成形できる。
なお、成形温度とは、型締めから型開きの間に、下型の凹部の表面が到達する最高温度を意味する。またゴルフボール用材料の流動開始温度は、島津製作所の「フローテスター CFT−500」を用いて、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を、プランジャー面積:1cm2、DIE LENGTH:1mm、DIE DIA:1mm、荷重:588.399N、開始温度:30℃、昇温速度:3℃/分の条件で測定することができる。
前記中間層の厚みは、0.3mm以上が好ましく、より好ましくは0.4mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上であり、2.5mm以下が好ましく、より好ましくは2.4mm以下、さらに好ましくは2.3mm以下である。複数の中間層の場合は、複数の中間層の合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
前記中間層のスラブ硬度は、ショアD硬度で30以上が好ましく、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上であり、60以下が好ましく、より好ましくは55以下である。中間層のスラブ硬度がショアD硬度で30以上であれば、ゴルフボールの外剛内柔構造の度合を大きくすることに寄与するため、高打出角、低スピンとなり高飛距離化が達成される。一方、中間層のスラブ硬度が60以下であれば、優れた打球感が得られる。ここで、中間層のスラブ硬度とは、中間層用組成物をシート状に成形して測定した硬度であり、後述する測定方法により測定する。
次に、本発明のゴルフボールに用いられるカバーについて説明する。前記カバーは、カバー用組成物を用いて、前述した中間層を形成する方法と同様の方法により得られる。
前記カバー用組成物に含有する樹脂成分としては、例えば、本発明のゴルフボール用樹脂組成物が含有する(A)熱可塑性樹脂として例示したものと同一のものを使用することができる。具体的には、アイオノマー樹脂、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーなどが挙げられる。
前記カバー用組成物は、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下である。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
前記カバー用組成物のスラブ硬度は、所望のゴルフボールの性能に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、飛距離を重視するディスタンス系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で50以上が好ましく、55以上がより好ましく、80以下が好ましく、70以下がより好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度を50以上にすることにより、ドライバーショットおよびアイアンショットにおいて、高打出角で低スピンのゴルフボールが得られ、飛距離が大きくなる。また、カバー用組成物のスラブ硬度を80以下とすることにより、耐久性に優れたゴルフボールが得られる。また、コントロール性を重視するスピン系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で、50未満が好ましく、20以上が好ましく、25以上がより好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度が、ショアD硬度で50未満であれば、アプローチショットのスピン量が高くなる。また、スラブ硬度を20以上とすることにより、耐擦過傷性が向上する。
前記カバーの厚みは、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。カバーの厚みが4.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、さらに好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1.0mm以上である。カバーの厚みが0.3mm未満では、カバーの耐久性や耐摩耗性が低下する場合がある。
カバーを成形する際には、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。ディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
カバーが成形されたゴルフボールは、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が50μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
本発明のゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、ゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向にゴルフボールの縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.4mm以上であり、さらに好ましくは2.5mm以上であり、最も好ましくは2.8mm以上であり、5.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは4.5mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を5.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール1は、球状コア2と、この球状コア2の外側に配設された中間層3と、この中間層3の外側に配設されたカバー4とを有する。前記カバー4の表面には、多数のディンプル41が形成されている。このカバー4の表面のうち、ディンプル41以外の部分は、ランド42である。そして、前記中間層3が前記ゴルフボール用樹脂組成物から形成されている。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)スラブ硬度(ショアD硬度)
ゴルフボール用樹脂組成物を熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(2)曲げ剛性(kgf/cm2)
ゴルフボール用樹脂組成物を190℃、10分間プレスして、厚み約2mm、幅20mm、長さ100mmのテストピースを作製した。作製したテストピースについて、オルゼン剛性度試験機(東洋精機製作所製)を用いて、曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性、および、曲げ角度24°〜30°の曲げ剛性をそれぞれ測定した。具体的には、所定の曲げ角度における荷重目盛を測定し、横軸に曲げ角度(°)、縦軸に荷重目盛の読みをプロットし、その一次近似曲線の傾きを求めた。測定条件は、温度23±2℃、相対湿度50±5%、曲げ速度60°/min、支点間距離50mmとした。曲げ剛性は、前記傾きの値に8.7078を乗じ、試験片の厚み(cm)の三乗で除することで算出した。なお、曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性は曲げ角度3°、6°、9°および12°における荷重目盛、曲げ角度24°〜30°の曲げ剛性は曲げ角度24°、27°および30°における荷重目盛を測定した。
(3)圧縮変形量(mm)
ゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)を測定した。
(4)反発係数
各ゴルフボールに198.4gの金属製円筒物を40m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの反発係数とした。
(5)打球感
アマチュアゴルファー(上級者)10人により、ドライバーを用いた実打テストを行って、各人の打撃時のフィーリングを下記基準で評価させた。10人の評価のうち、最も多い評価をそのゴルフボールの打球感とした。
評価基準
○:衝撃が少なくてフィーリングが良い。
△:普通。
×:衝撃が大きくてフィーリングが悪い。
[ゴルフボールの作製]
(1)コアの作製
表1に示す配合のコア用ゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより、直径39.8mmの球状コアを得た。
ポリブタジエンゴム:JSR社製「BR730(シス結合含有率:95質量%)」
アクリル酸亜鉛:シグマ・アルドリッチ社製
ジクミルパーオキサイド:東京化成工業社製
チオナフトール:東京化成工業社製
(2)中間層の作製
表2に示した配合で、(B)成分以外の各成分をニーダーに入れて、220℃、15分間混練した。その後、(B)成分を投入し、さらに200℃、10分間混練して、ゴルフボール用樹脂組成物を調製した。得られたゴルフボール用材料をハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに1つずつ投入し、加圧してハーフシェルを成形した。圧縮成形は、成形温度170℃、成形時間5分、成形圧力2.94MPaの条件で行った。(1)で得られた球状コアを、得られた2枚のハーフシェルで同心円状に被覆して、圧縮成形により、厚み1mmの中間層を成形した。圧縮成形は、成形温度170℃、成形時間15分の条件で行った。
二元共重合体1:エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有率:15質量%、MFR(190℃×2.16kg荷重):60g/10min、曲げ剛性:81MPa)
三元共重合体1:エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ブチル共重合体(メタクリル酸含有率:8質量%、MFR(190℃×2.16kg荷重):55g/10min、曲げ剛性:184MPa)
二元共重合体2:エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有率:20質量%、MFR(190℃×2.16kg荷重):60g/10min、曲げ剛性:109MPa)
PCF7620A:東洋アルミニウム社製、表面が有機処理されたアルミニウム粉末(短手方向の平均径:0.3μm、長手方向の平均径:18μm、平均アスペクト比:60、コート剤:(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸誘導体からなる重合体、表面官能基量:40μg/g〜150μg/g)
アルミニウム粉末:シグマアルドリッチジャパン社製(粒径110μm)
中性アルミナ粉末:和光純薬工業社製(粒径32〜63μm)
スノーテックOXS:日産化学工業社製シリカ粉末(粒径4〜6nm)
SG−BH8:伊藤黒鉛工業社製グラファイト粉末(短手方向の平均径:8μm、長手方向の平均径:15μm、平均アスペクト比:1.9)
オレイルベタイン:ルーブリゾール社製「Chembetaine OL」から水分と塩分を除去したもの
オレイン酸:東京化成工業社製
水酸化マグネシウム:和光純薬工業社製
水酸化ナトリウム:和光純薬工業社製
酸化亜鉛:シグマ・アルドリッチ社製
水酸化カルシウム:東京化成社製
(3)カバーの作製
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(BASFジャパン社製、エラストランXNY85A)100質量部に、酸化チタン(石原産業社製、A220)4質量部を加えて、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー用組成物をそれぞれ調製した。カバー用組成物の押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で160〜230℃に加熱された。
カバー成形時には、ホールドピンを突き出し、中間層が形成された球体を投入後ホールドさせ、80トンの圧力で型締めした金型に260℃に加熱したカバー用組成物を0.3秒で注入し、30秒間冷却して型開きしてゴルフボールを取り出した。得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.8mm、質量45.4gのゴルフボールを得た。
各ゴルフボールに使用されたゴルフボール用樹脂組成物の物性を表2に示した。また、ゴルフボールNo.3、15、16および19に用いられたゴルフボール用樹脂組成物について、曲げ角度と荷重目盛との関係を図2に示した。図2に示すように、シリカ粉末またはグラファイト粉末を含有する場合(ゴルフボールNo.15、16)、曲げ角度が15°以下の範囲では近似曲線の傾きが大きいが、曲げ角度が15°を超えると近似曲線の傾きが緩やかになっている。すなわち、曲げ角度が小さい領域では高い曲げ剛性を示すが、曲げ角度が大きい領域では曲げ剛性が低下している。
これに対して、(B)表面が有機処理された金属フィラーを含有する場合(ゴルフボールNo.3)、曲げ角度が3°〜30°の範囲で近似曲線の傾きがほぼ一定である。また、(B)表面が有機処理された金属フィラーを含有する場合(ゴルフボールNo.3)、フィラーを含まない樹脂組成物(ゴルフボールNo.19)に比べて、近似曲線の傾きが大きくなっている。つまり、(B)表面が有機処理された金属フィラーを含有することで、樹脂組成物の曲げ剛性が向上しており、かつ、曲げ角度が大きい領域でも、高い剛性を維持できている。
得られた試験用ゴルフボールついて評価した結果を表2に示した。表2の結果から、曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性(M3−12)が、300kgf/cm2〜24,000kgf/cm2であり、曲げ角度24°〜30°の曲げ剛性(M24−30)に対する曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性(M3−12)の比(M3−12/M24−30)が0.20〜2.00であり、ショアD硬度がスラブ硬度で30〜65であるゴルフボール用樹脂組成物を用いたゴルフボールは、打球感が良く、反発性(反発係数がいずれも0.8以上である)に優れることが分かる。