JP6567404B2 - 車両のブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は、制動力を発生して車両を減速または停車させる車両のブレーキシステムに関する。
従来、凍土や泥濘地などで使用される運搬車両や不整地走行車両などの車両として、アクセル操作手段の操作量に応じて駆動する油圧ポンプにより油圧モータを回転し、油圧モータにより左右一対の車軸を回転させる走行駆動手段を備えたものが知られている。また、従来の運搬車両や不整地走行車両は比較的低速で走行するものが多かったが、近年では、時速30km以上の比較的速い速度で走行する車両も増えている。
上記車両には、油圧ポンプからブレーキ用パイロット管路を介して作動油が供給された場合に車両の制動を解除するブレーキ手段と、ブレーキ用パイロット管路に配置された電磁切替弁と、アクセル操作手段の操作状態を検出し、アクセル操作手段の操作中は電磁切替弁を開き、操作信号が非入力状態となってから所定の遅延時間の経過後に前記電磁切替弁を閉じる制御手段とを備えるブレーキシステムが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
電磁切替弁の動作に遅延時間を付与するのは、車両が完全に停止してからブレーキ手段に制動力を発生させるためである。油圧モータは、作動油が供給されなくなってもすぐには回転を停止しないため、車両は、油圧モータが回転を停止するまで惰性で走行する。車両が惰性で走行している状態でブレーキ手段を作動させると、車両の停車時に衝撃が発生するとともに、ブレーキ手段に負荷がかかってしまう。そのため、電磁切替弁の動作に遅延時間を付与している。
特開平05−106244号公報
上述したように、比較的速い速度で走行する現在の車両は、従来の低速度の車両に比べて油圧モータが回転を停止するまでの時間が長くなるため、従来の車両よりも電磁切替弁が動作するまでの遅延時間を長く設定する必要がある。しかしながら、電磁切替弁の遅延時間を長くすると、車両が惰性で走行する距離も長くなってしまうので、運転者が意図した停車位置と実際の停車位置のずれが大きくなり、危険な場合が考えられる。
車両を緊急停止できるようにするため、電磁切替弁をマニュアル操作により開放して急制動をかけることもできるが、制動力を制御できないので急制動時のショックが大きくなり、逆に危険な場合も考えられる。また、急制動は、制動力が徐々に変化するように制御する場合に比べて感応的に劣る。
本発明は、上記課題を解決するために、車両の急制動時のショックが小さく、感応的に優れたブレーキ操作感が得られる車両のブレーキシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、アクセル操作手段の操作量に応じて駆動する油圧ポンプにより油圧モータを回転し、油圧モータにより左右一対の車軸を回転させる走行駆動手段を備えた車両に設けられ、油圧ポンプからブレーキ用パイロット管路を介して作動油が供給された場合に車両の制動を解除するブレーキ手段と、ブレーキ用パイロット管路に配置された電磁切替弁と、アクセル操作手段の操作状態を検出し、アクセル操作手段の操作中は電磁切替弁を開き、操作信号が非入力状態となってから所定の遅延時間の経過後に電磁切替弁を閉じる制御手段とを備えた車両のブレーキシステムである。このブレーキシステムは、さらに、電磁切替弁を迂回して油圧ポンプとブレーキ装置とを接続する迂回管路と、迂回管路に配置された電磁比例減圧弁とを備えており、制御手段は、車両を減速または停止させる際に操作されるブレーキ操作手段の操作量に比例するように電磁比例減圧弁の開き量を調節し、ブレーキ手段に供給される作動油の油圧を減少させるものである。
この発明によれば、ブレーキ操作手段が操作された場合に、その操作量に比例するように電磁比例減圧弁の開き量を調節し、ブレーキ手段に供給される作動油の油圧を減少させる。すなわち、ブレーキ操作手段の操作量に比例するようにブレーキ手段に制動力を発生させ、車両を減速または停止させる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両のブレーキシステムにおいて、制御手段は、ブレーキ操作手段の操作量が予め設定された所定の操作量となるまで電磁比例減圧弁の作動を行なわない不感帯を有するものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両のブレーキシステムにおいて、制御手段は、ブレーキ操作手段の操作量に対して直線的、あるいは多次曲線的に比例するように電磁比例減圧弁の開き量を調節するものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両のブレーキシステムにおいて、走行駆動手段として、左右一対の車軸にそれぞれ連結された左右一対の遊星歯車機構と、走行用の油圧モータからの動力を左右一対の遊星歯車機構の太陽ギヤに入力して一対の車軸を同方向に同速度で回転させる走行駆動系と、旋回用の油圧モータからの動力を左右一対の遊星歯車機構のリングギヤに入力して互いに逆方向に回転させ、左右一対の車軸の回転速度に差を生じさせる旋回駆動系とを備えるものである。
請求項1に記載の発明によれば、ブレーキ操作手段が操作された場合にその操作量に比例するように電磁比例減圧弁の開き量を調節し、ブレーキ手段に供給される作動油の油圧を減少させることにより、ブレーキ操作手段の操作量に比例するようにブレーキ手段に制動力を発生させることができるので、車両を緊急に停車させる際の衝撃を小さくすることができる。また、車両を徐々に減速させて停車させることができるので、感応的に優れたブレーキ操作感を得ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、車両を緊急に停車させる際に運転者が意図するよりも強くブレーキ操作手段が操作されてしまった場合でも、所定の不感帯によって電磁比例減圧弁がすぐに作動しないようにしているので、車両の減速により発生する衝撃を小さくすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、ブレーキ操作手段の操作感覚に合わせて、ブレーキ操作手段の操作量に対して直線的、あるいは多次曲線的に比例するように電磁比例減圧弁の開き量を調節するので、感応的に優れたブレーキ操作感を得ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、走行駆動手段として、左右一対の遊星歯車機構、走行駆動系および旋回駆動系を備え、比較的高い速度で走行する車両にブレーキシステムを用いることができるので、ブレーキ手段が遅延時間の経過後に制動力を発生するまで車両が惰性で走行する場合でも、車両を緊急に停車させることができる。
第1の実施の形態の走行駆動装置が取り付けられた車両のシャーシ部分を示す斜視図である。 第1の実施の形態の走行駆動装置の外観斜視図である。 第1の実施の形態の走行駆動装置の水平方向の断面図である。 第1の実施の形態の走行駆動装置の動力伝達ブロック図である。 第1の実施の形態の走行駆動装置の油圧系統および電気系統を示す制御ブロック図である。 第1の実施の形態のブレーキシステムのタイミングチャートである。 第2の実施の形態の走行駆動装置の動力伝達ブロック図である。
(実施の形態1)
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態の走行駆動装置(走行駆動手段)1が取り付けられた車両2のシャーシ部分を示す斜視図である。車両2は、例えば、凍土や泥濘地などで使用される運搬車両や、不整地走行車両であり、農機具や工事用車両よりも比較的速い速度で走行する車両である。車両2は、図中右方が車両前部、図中左方が車両後部であり、車両2の両側方には、前後方向に沿って配されたシャーシ3L、3Rを備えている。シャーシ3L、3Rは、車両2の幅方向に配設された複数のフレーム(図示せず)によって一体化されている。走行駆動装置1は、車両後部に配置されており、左右一対の軸支部材4L、4Rと、走行駆動装置1の下部を支持する下部フレーム(図示せず)と、によってシャーシ3L、3Rに固定されている。また、走行駆動装置1の動力源となるエンジン5と、このエンジン5によって駆動される走行用油圧ポンプ6および旋回用油圧ポンプ7(図5参照)は、車両2の前部に配置されている。
車両2は、車両2を後方から見て、左右一対のクローラ8L、8Rを備える。左右一対のクローラ8L、8Rは、走行駆動装置1に設けられた左右一対の車軸9L、9R(図3参照)によって回転される一対の駆動輪10L、10Rと、車両2の後部でシャーシ3L、3Rに固定され、前方に向けて付勢された遊動輪(図示せず)と、駆動輪10L、10Rと遊動輪とに巻掛けられた履帯11L、11Rと、シャーシ3L、3Rに固定されて履帯11L、11Rの下側内周面を支持する複数個の下部転輪12L、12Rとを備える。車両2は、左右の駆動輪10L、10Rが同速度で回転することにより前方または後方に直進し、左右の駆動輪10L、10Rが異なる速度で回転することにより、前方または後方に左旋回もしくは右旋回する。また、車両2は、左右の駆動輪10L、10Rが互いに逆方向に回転することにより超信地旋回をする。
図2は、走行駆動装置1の外観斜視図、図3は、走行駆動装置1の水平方向の断面図、図4は、走行駆動装置1の動力伝達ブロック図である。走行駆動装置1は、1つのケース13に走行用入力シャフト14、旋回用入力シャフト15、および左右一対の遊星歯車機構16L、16Rなどの主要な構成部品を収容して一体化されている。ケース13は、大きく分けて、遊星歯車機構16L、16Rなどを収容する歯車ケース17と、走行用入力シャフト14および旋回用入力シャフト15などを収容するシャフトケース18と、後述するブレーキケース19と、左右一対の側面ケース20L、20R、および車軸ケース21L、21Rから構成されている。
ブレーキケース19は、シャフトケース18の車両前部側に取り付けられた略箱状のケースであり、走行用油圧モータ(油圧モータ)22および旋回用油圧モータ23が取り付けられる2つの取付インロー部19a、19bを備える。走行用油圧モータ22および旋回用油圧モータ23は、車両前部に配置された走行用油圧ポンプ6および旋回用油圧ポンプ7から供給された作動油によって回転する。また、ブレーキケース19内には、走行用油圧モータ22および旋回用油圧モータ23から走行用入力シャフト14および旋回用入力シャフト15への動力伝達を遮断する走行用ブレーキ(ブレーキ手段)24、および旋回用ブレーキ25が組み込まれている。
走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25は、本発明のブレーキシステムを構成し、いわゆるネガティブブレーキと呼ばれるブレーキ装置である。走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25は、図示しないバネによりブレーキピストンを介して摩擦板およびセパレートプレートを押圧して制動力を発生し、ブレーキピストンに作動油が供給され、ブレーキピストンによりバネによる摩擦板およびセパレートプレートの押圧が解除された場合に制動力が開放される。走行用ブレーキ24は、車両2を超信地旋回させる際に作動される。また、旋回用ブレーキ25は、車両2を直進走行させる際に作動される。さらに、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25は、車両2の走行中に、運転者の操作に応じて速度を低下させるサービスブレーキの他、停車中の車両2を制動する駐車ブレーキとしても機能する。
走行用油圧モータ22、走行用ブレーキ24、走行用入力シャフト14は、走行駆動装置1において車両2を前進または後進させる走行駆動系1Aを構成する。走行用入力シャフト14は、走行用油圧モータ22の駆動力を遊星歯車機構16L、16Rに伝達する。走行用ブレーキ24と走行用入力シャフト14との間には、走行用油圧モータ22の駆動力を減速する変速機構33が設けられている。
また、旋回用油圧モータ23、旋回用ブレーキ25、旋回用入力シャフト15は、走行駆動装置1において車両2を左右に旋回させる旋回駆動系1Bを構成する。旋回用入力シャフト15は、旋回用油圧モータ23の駆動力を遊星歯車機構16L、16Rに伝達する。
走行用入力シャフト14および旋回用入力シャフト15は、同軸上に配置されており、走行用入力シャフト14は、円筒状に形成された旋回用入力シャフト15を貫通している。また、走行駆動系1Aおよび旋回駆動系1Bは、走行用入力シャフト14および旋回用入力シャフト15を挟むようにして、左右方向に並列に配置されている。
左右一対の遊星歯車機構16L、16Rは、太陽ギヤ44L、44Rと、ギヤホルダ45L、45Rに支持されて太陽ギヤ44L、44Rに噛合するそれぞれ3個の遊星ギヤ46L、46Rと、3個の遊星ギヤ46L、46Rに噛合する歯列が内面に設けられた円筒状のリングギヤ47L、47Rとから構成されている。左右のギヤホルダ45L、45Rには、左右一対の車軸9L、9Rがそれぞれ連結されている。ギヤホルダ45L、45Rおよびリングギヤ47L、47Rは、側面ケース20L、20Rの内部に設けられた軸受け部により、複数個のベアリングを介して回転自在に支持されている。
走行用入力シャフト14が回転すると、その回転は左右の太陽ギヤ44L、44Rに伝達される。太陽ギヤ44L、44Rの回転は、遊星ギヤ46L、46Rおよびギヤホルダ45L、45Rを介して車軸9L、9Rに伝達される。これにより、左右一対の車軸9L、9Rは同方向に同速度で回転するので、車両2は直進する。また、旋回用入力シャフト15が回転すると、その回転は左右のリングギヤ47L、47Rに伝達され、左右のリングギヤ47L、47Rは互いに逆方向に回転する。リングギヤ47L、47Rの回転は、遊星ギヤ46L、46Rを介して車軸9L、9Rに伝達されるので、左右の車軸9L、9Rの回転速度に差が生じ、車両2は回転速度が遅い側に旋回する。
図5は、走行駆動装置1の油圧系統および電気系統を示す制御ブロック図である。制御装置(制御手段)50は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUによって処理されるプログラムが格納された記憶媒体とを備えるコンピュータであり、車両2の各部を統括的に制御する。制御装置50に接続されたデータバス51には、車両2の運転席に設けられたアクセルペダル(アクセル操作手段)52、前後進切替レバー53、変速レバー54、ブレーキペダル(ブレーキ操作手段)55、ハンドル56、および超信地旋回モード切替スイッチ57からの操作信号が入力される。
制御装置50は、データバス51に入力された操作信号に応じて、エンジン5、走行用油圧ポンプ6、旋回用油圧ポンプ7、走行用油圧モータ22、旋回用油圧モータ23、電磁切替弁58A、58B、58C、および電磁比例減圧弁60に指示信号を送信して制御する。より具体的には、制御装置50は、アクセルペダル52の操作量に応じてエンジン5の回転数と、走行用油圧ポンプ6の流量とを変化させ、車両2の直進速度を調整するオートモーティブ制御を行なう。また、制御装置50は、ハンドル56の操作量に応じて旋回用油圧ポンプ7の流量を変化させ、車両2の旋回速度と旋回量とを調整する。
エンジン5は、例えば、低速回転時から高トルクが得られるディーゼルエンジンである。走行用油圧ポンプ(油圧ポンプ)6および旋回用油圧ポンプ7は、エンジン5に連結されて駆動される。走行用油圧ポンプ6は、閉回路用ポンプであり、吸込み口と吐出口とが逆転可能な両方向傾転機構を備えた可変容量型油圧ポンプである。走行用油圧ポンプ6は、前後進切替レバー53の前進位置Fまたは後進位置Rの切換指令に応じて、主管路61A、61Bにおける作動油の循環方向を切り換える。車両2が前進走行する場合には、走行用油圧ポンプ6は主管路61Aから作動油を吸込み、主管路61Bに作動油を吐出する。逆に車両2が後進走行する場合には、走行用油圧ポンプ6は主管路61Bから作動油を吸込み、主管路61Aに作動油を吐出する。
旋回用油圧ポンプ7は、同様に閉回路用ポンプであり、吸込み口と吐出口を逆転可能な両方向傾転機構を備えた可変容量型油圧ポンプである。旋回用油圧ポンプ7は、ハンドル56の操作指令に応じて、主管路62A、62Bにおける作動油の循環方向を切り換える。例えば、車両2が左旋回する場合には、旋回用油圧ポンプ7は主管路62Bから作動油を吸込み、主管路62Aに作動油を吐出する。逆に車両2が右旋回する場合には、旋回用油圧ポンプ7は主管路62Aから作動油を吸込み、主管路62Bに作動油を吐出する。
走行用油圧ポンプ6は、パイロットポンプを内蔵しており、その吐出口6aと電磁切替弁58A〜58Cとの間は、パイロット管路63によって接続されている。パイロット管路63には、車両2が停止時に電磁切替弁58A〜58Cからパイロットポンプへの作動油の漏れを防止するチェック弁64と、圧力を保持するためのアキュムレータ65とが設けられている。電磁切替弁58A、58B、58Cと、変速機構33、走行用ブレーキ24、および旋回用ブレーキ25との間は、変速用パイロット管路66、走行ブレーキ用パイロット管路(ブレーキ用パイロット管路)67、旋回ブレーキ用パイロット管路68によって接続されている。
制御装置50は、変速レバー54の切換指令に応じて電磁切替弁58Aの弁を開放し、変速用パイロット配管66を介して変速機構33の油圧シリンダに作動油を吐出して、変速機構33を変速させる。また、制御装置50は、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25を含むブレーキシステムの制御手段としても機能し、アクセルペダル52から操作信号が入力されない状態、すなわち車両2が停車している場合には、電磁切替弁58B、58Cの弁を閉じ、走行ブレーキ用パイロット管路67および旋回ブレーキ用パイロット配管68に対する作動油の供給を絶ち、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に制動力を発生させ、駐車ブレーキとして機能させる。さらに、制御装置50は、アクセルペダル52から操作信号が入力されて車両2が走行を開始した場合には、電磁切替弁58B、58Cの弁を開いて走行ブレーキ用パイロット管路67および旋回ブレーキ用パイロット配管68に作動油を供給し、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25による制動を解除する。
さらに、制御装置50は、図6のタイミングチャートに示すように、車両2の走行中にアクセルペダル52から操作信号が入力されなくなった場合には、アクセルペダル52の操作が停止された時刻T1から、所定の遅延時間Tdの経過後の時刻T2に電磁切替弁58B、58Cの弁を閉じ、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に対する作動油の供給を絶って制動力を発生させる。
電磁切替弁58B、58Cの動作に遅延時間Tdを付与するのは、車両2が完全に停止してから走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に制動力を発生させるためである。走行用油圧モータ22および旋回用油圧モータ23は、作動油が供給されなくなってもすぐには回転を停止しないため、車両2は、走行用油圧モータ22および旋回用油圧モータ23が回転を停止するまで惰性で走行する。車両2が惰性で走行している状態で走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25を作動させると、車両2の停車時に衝撃が発生するとともに、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に負荷がかかってしまう。そのため、電磁切替弁58B、58Cの動作に遅延時間Tdを付与している。
本実施の形態の車両2は、従来の農機具などに比べて走行速度が速いので、走行用油圧モータ22および旋回用油圧モータ23が回転を停止するまでの時間が長くなる。そのため、本実施の形態の車両2では、従来の農機具よりも電磁切替弁58B、58Cが動作するまでの遅延時間Tdを長く設定する必要があり、車両2が惰性で走行する距離も長くなってしまう。しかしながら、車両2が惰性で走行する距離が長くなると、運転者が意図した停車位置と、実際の停車位置のずれが大きくなるため、危険な場合が考えられる。電磁切替弁58B、58Cをマニュアル操作により開放して車両2に急制動をかけることもできるが、制動力を制御できないので急制動時のショックが大きくなり、逆に危険な場合も考えられる。また、急制動は、制動力を制御する場合に比べて感応的に劣る。そこで、本実施の形態では、遅延時間Td中にブレーキペダル55の操作によって車両2を停止できるようにするために、電磁比例減圧弁60、迂回管路69、走行ブレーキ用迂回管路70および旋回ブレーキ用迂回管路71およびチェック弁72、73を備えている。
制御装置50は、遅延時間Td中、例えば、時刻T3にブレーキペダル55が操作された場合に、ブレーキペダル55の操作量に比例するように電磁比例減圧弁60の開き量を調節し、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に供給されていた作動油の油圧を減少させる。なお、ブレーキペダル55は、その操作開始時に運転者が意図するよりも強く操作されてしまい、車両2に減速による衝撃が発生することが多い。そのため、本実施の形態では、ブレーキペダル55が操作されてもすぐに制動力が発生しないように、ブレーキペダル55の操作に反応しない所定の不感帯Fを設けている。したがって、電磁比例減圧弁60は、ブレーキペダル55が不感帯F以上に操作された時刻T4のタイミングで開放される。
電磁比例減圧弁60が開放されると、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に供給されていた作動油は、走行ブレーキ用パイロット管路67および旋回ブレーキ用パイロット管路68から、走行ブレーキ用迂回管路70および旋回ブレーキ用迂回管路71に流入する。これにより、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に供給される作動油の油圧は、符号Pで示す破線のように徐々に低下するので、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25は、ブレーキペダル55の操作量に応じた制動力を発生し、車両2は、時刻T5のタイミングで停車する。これにより、アクセルの操作を解除してから車両2が完全に停止するまでの遅延時間Td中でも、車両2をブレーキペダル55の操作量に応じて停車させることができる。
なお、電磁比例減圧弁60の動作をブレーキペダル55の操作感覚に合わせて、符号M1で示す多次曲線状に遷移するようにしているが、符号M2で示す2点鎖線のように、直線状に遷移させてもよい。この場合、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に供給される作動油の油圧Pも直線状に遷移することになる。
次に、上記実施の形態1の作用について説明する。制御装置50は、エンジン5が始動されると、エンジン5を所定の回転数でアイドリング回転させ、走行用油圧ポンプ6および旋回用油圧ポンプ7をアイドリング回転に応じた流量で駆動する。なお、車両2は、駐車ブレーキとして機能している走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25により制動されているので、アイドリング回転に基づく走行用油圧ポンプ6および旋回用油圧ポンプ7の流量では走行しない。
制御装置50は、アクセルペダル52が操作されると、電磁切替弁58Bを開いて走行用ブレーキ24に作動油を供給し、制動を解除する。また、制御装置50は、アクセルペダル52が操作の操作量に応じてエンジン5の回転数と、走行用油圧ポンプ6の流量とを調節し、走行用油圧モータ22を駆動する。走行用油圧モータ22の動力は、走行用減速機構26、走行用入力シャフト14、左右一対の遊星歯車機構16L、16Rを介して左右一対の車軸9L、9Rに伝達され、車軸9L、9Rは、同方向に同速度で回転するので、車両2は、アクセルペダル52の操作量に応じた速度で直進走行を開始する。
制御装置50は、車両2の走行中にハンドル56が操作されると、電磁切替弁58Cを開いて旋回用ブレーキ25に作動油を供給し、制動を解除する。また、その操作量に応じて旋回用油圧ポンプ7の流量を調節し、旋回用油圧モータ23を駆動する。旋回用油圧モータ23の動力は、旋回用減速機構27、旋回用入力シャフト15を介して左右一対の遊星歯車機構16L、16Rに伝達され、遊星歯車機構16L、16Rは互いに逆方向に同速度で回転する。これにより、車軸9L、9Rの回転速度に差が生じるので、車両2は、ハンドル56の操作量に応じた方向および速度で旋回を行う。
制御装置50は、車両2の走行中にアクセルペダル52の操作が停止されると、アクセルペダル52の操作停止から所定の遅延時間Tdの経過後に電磁切替弁58B、58Cを閉鎖し、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に対する作動油の供給を停止して制動力を発生させる。制御装置50は、遅延時間Td中にブレーキペダル55が不感帯F以上の操作をされた場合には、ブレーキペダル55の操作量に比例するように電磁比例減圧弁60の開き量を調節し、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に供給されていた作動油の油圧を減少させる。これにより、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に供給されていた作動油は、走行ブレーキ用パイロット管路67および旋回ブレーキ用パイロット管路68から、走行ブレーキ用迂回管路70および旋回ブレーキ用迂回管路71に流入し、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に供給される作動油の油圧は低下するので、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25は、ブレーキペダル55の操作量に応じた制動力を発生する。したがって、車両2は、遅延時間Td中でも、ブレーキペダル55の操作に応じて停車する。
本実施の形態によれば、ブレーキペダル55が操作された場合にその操作量に比例するように電磁比例減圧弁60の開き量を調節し、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に供給される作動油の油圧を減少させることにより、ブレーキペダル55の操作量に比例するように走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25に制動力を発生させることができるので、車両2を緊急に停車させる際の衝撃を小さくすることができる。また、車両2を徐々に減速させて停車させることができるので、感応的に優れたブレーキ操作感を得ることができる。
また、車両2を緊急に停車させる際に運転者が意図するよりも強くブレーキペダル55が操作されてしまった場合でも、所定の不感帯Fによって電磁比例減圧弁60がすぐには作動しないようにしているので、車両2の減速により発生する衝撃を小さくすることができる。さらに、ブレーキペダル55の操作感覚に合わせて、ブレーキペダル55の操作量に対して直線的、あるいは多次曲線的に比例するように電磁比例減圧弁60の開き量を調節するので、感応的に優れたブレーキ操作感を得ることができる。
また、走行駆動装置1として、左右一対の遊星歯車機構16L、16R、走行駆動系1Aおよび旋回駆動系1Bを備え、比較的高い速度で走行する車両2にブレーキシステムを用いることができるので、走行用ブレーキ24および旋回用ブレーキ25が遅延時間Tdの経過後に制動力を発生するまで車両2が惰性で走行する場合でも、車両2を緊急に停車させることができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同部品については、同符号を用いて詳しい説明は省略する。図7は、第2の実施の形態を適用した走行駆動装置80の動力伝達ブロック図である。この走行駆動装置80は、第1の実施の形態の走行駆動装置1とは逆に、走行用入力シャフト14を円筒状とし、この走行用入力シャフト14に旋回用入力シャフト15を貫通させている。また、走行駆動装置1では、走行用入力シャフト14および旋回用入力シャフト15と、左右一対の遊星歯車機構16L、16Rとの連結に複数のベベルギヤを用いたが、本実施の形態では、複数の平歯車と、左右のリングギヤ47L、47Rの外周に設けられた伝達ギヤ81L、81Rとを用いて、走行用入力シャフト14および旋回用入力シャフト15を左右一対の遊星歯車機構16L、16Rに連結している。
このように、走行用入力シャフト14および旋回用入力シャフト15は、いずれか一方を他方に貫通するように配置することができ、走行用入力シャフト14および旋回用入力シャフト15を1本分の入力シャフトの配置スペースに配置することができる。また、本発明は、ベベルギヤを使用しない走行駆動装置80にも適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
以上、この発明の各実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記実施の形態では、凍土や泥濘地などで使用される運搬車両や不整地走行車両を例に説明したが、農機具や工事用車両に適用してもよい。また、履帯敷きの車両2を例に説明したが、タイヤを用いる車両にも適用可能である。
1、80 走行駆動装置
1A 走行駆動系
1B 旋回駆動系
2 車両
5 エンジン
6 走行用油圧ポンプ(油圧ポンプ)
7 旋回用油圧ポンプ
8L、8R クローラ
9L、9R 車軸
13 ケース
14 走行用入力シャフト
15 旋回用入力シャフト
16L、16R 遊星歯車機構
22 走行用油圧モータ(油圧モータ)
23 旋回用油圧モータ
24 走行用ブレーキ(ブレーキ手段)
25 旋回用ブレーキ
33 変速機構
50 制御装置(制御手段)
52 アクセルペダル(アクセル操作手段)
55 ブレーキペダル(ブレーキ操作手段)
57 超信地旋回モード切り替えスイッチ
58A、58B、58C 電磁切替弁
60 電磁比例減圧弁
67 走行ブレーキ用パイロット管路(ブレーキ用パイロット管路)
69 迂回管路
70 走行用迂回管路
F 不感帯

Claims (4)

  1. アクセル操作手段の操作量に応じて駆動する油圧ポンプにより油圧モータを回転し、前記油圧モータにより左右一対の車軸を回転させる走行駆動手段を備えた車両に設けられ、前記油圧ポンプからブレーキ用パイロット管路を介して作動油が供給された場合に前記車両の制動を解除するブレーキ手段と、前記ブレーキ用パイロット管路に配置された電磁切替弁と、前記アクセル操作手段の操作状態を検出し、前記アクセル操作手段の操作中は前記電磁切替弁を開き、前記アクセル操作手段が不操作状態となってから所定の遅延時間の経過後に前記電磁切替弁を閉じる制御手段と、を備える車両のブレーキシステムであって、
    前記電磁切替弁を迂回して、前記油圧ポンプと前記ブレーキ装置とを接続する迂回管路と、
    前記迂回管路に配置された電磁比例減圧弁と、
    を備えており、
    前記制御手段は、前記車両を減速または停止させる際に操作されるブレーキ操作手段の操作量に比例するように前記電磁比例減圧弁の開き量を調節し、前記ブレーキ手段に供給される前記作動油の油圧を減少させる、
    ことを特徴とする車両のブレーキシステム。
  2. 前記制御手段は、前記ブレーキ操作手段の操作量が予め設定された所定の操作量となるまで前記電磁比例減圧弁の作動を行なわない不感帯を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両のブレーキシステム。
  3. 前記制御手段は、前記ブレーキ操作手段の操作量に対して直線的、あるいは多次曲線的に比例するように前記電磁比例減圧弁の開き量を調節する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のブレーキシステム。
  4. 前記走行駆動手段は、
    前記左右一対の車軸にそれぞれ連結された左右一対の遊星歯車機構と、
    前記油圧モータからの動力を前記左右一対の遊星歯車機構の太陽ギヤに入力し、前記一対の車軸を同方向に同速度で回転させる走行駆動系と、
    前記油圧モータからの動力を前記左右一対の遊星歯車機構のリングギヤに入力して互いに逆方向に回転させ、前記左右一対の車軸の回転速度に差を生じさせる旋回駆動系と、
    を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両のブレーキシステム。
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