JP6576246B2 - 蛍光体、発光装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
a+b=1、
0.01<b<0.20、
1.65<c<2.50、
2.50<d<4.00、
3.15<e<4.90、及び、
2.80<f<4.30であり、
MeはSrとBaのいずれか一方又は双方であり、近紫外又は紫色光で励起した場合に波長450〜485nmの範囲にピークを持つ青色を発光する蛍光体であって、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が90%以上であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が85%以上である蛍光体を提供することを目的とする。
1.組成
本発明に係る蛍光体は、一般式:MeaEubAlcSidOeNfで表される。当該一般式は蛍光体の組成式を表しており、a〜fは元素の比である。本明細書中、特に記載しない限り、組成比a、b、c、d、e及びfは、a+b=1となるように算出した場合の数値を表す。言うまでもないが、a〜fに正の任意の数値を乗じた元素比も同じ組成式を与える。
組成比a〜fが当該範囲を逸脱すると、蛍光体の結晶構造が不安定化し、第二相の形成を助長し、拡散反射率の低下を引き起こす。その結果、母体結晶による非発光吸収が増大し、発光効率が低下してしまう。
本発明の蛍光体は、上述の組成的特徴を満たすことのほかに、特定の波長領域における拡散反射率が所定の数値範囲にあることを特徴の一つとしている。すなわち、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が90%以上、より好ましくは94%以上であり、かつ、蛍光ピーク波長での拡散反射率が85%以上、より好ましくは87%以上である。
すなわち、蛍光体の発光は発光中心となるEu2+イオンの電子遷移により生じることから、一般に、母体結晶による発光を伴わない吸収が少なく、光の透過性が高いほど発光効率は向上する。拡散反射率は蛍光体粉末内での光拡散過程における光の吸収により低下するため、拡散反射率が高いことは光の透過性が高いことを意味する。本発明のように一般式:MeaEubAlcSidOeNfで表される蛍光体は300〜500nmの範囲の光により励起されるので、波長700nmより大きい発光領域での拡散反射率は、蛍光体中のEu2+以外の吸収、つまり母体結晶による発光を伴わない吸収を示す。このため、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が高いほど、母体結晶による発光を伴わない吸収が少なく、光取り出し効率に優れると考えられる。
なかでも、蛍光体に含まれる不純物である炭素の含有量を0.06wt%以下、より好ましくは0.04wt%以下に制御する。炭素含有量が0.06wt%を超えると、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が著しく低下し、母体結晶による非発光吸収が増大し、発光効率が低下する傾向がある。本発明の蛍光体に不純物として存在し得る炭素は、蛍光体の原料に含まれるものや、焼成の際に使用する容器等から混入するものが考えられる。
また、蛍光体を製造する際に、アニール処理や酸処理を行うことによっても結晶欠陥が低減されるため、拡散反射率を向上させることができる。
本発明の蛍光体の製造方法は、アルミン酸塩を含む原料を混合する混合工程と、混合工程後の原料を焼成する焼成工程と、焼成工程後にアニール処理するアニール工程とを含む。また、アニール工程後に、酸処理工程をさらに含むことが好ましい。
混合工程に用いる原料として炭酸ストロンチウムなどの炭素を含む原料を使用すると、原料粉由来の炭素の一部が炭素又は炭化物として蛍光体に含まれることにより、波長700〜800nmにおける平均拡散反射率が低下してしまう傾向がある。このため、特に、Sr及び/又はBaを供給する原料をこれらのアルミン酸塩に限定することにより、蛍光体に含まれる不純物としての炭素の含有量を大幅に低減することができ、高い発光効率を実現することが可能である。
混合粉末を乾燥後、少なくとも混合粉末が接する面が窒化ホウ素からなる坩堝等の容器内に充填し、1気圧以上とした焼成炉内において、空気、アルゴン、又は窒素雰囲気中で、1450〜1750℃で焼成する。焼成温度が1450℃未満であると化合物同士が十分に反応せず、第二相の生成や結晶性の低下を生じ、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が低下する傾向がある。一方、焼成温度が1750℃より高いと、液相を介した反応により焼成物が完全に焼結体となり、これを粉末化する際に行う機械的粉砕等によって結晶性が低下する傾向がある。
焼成工程における最高温度での保持時間は、焼成温度によっても変わるが、通常は1〜20時間である。
アニール工程は、焼成炉を用い、焼成炉内を1気圧以上、1300℃以上1650℃以下で行うのが好ましい。アニール工程での雰囲気は、窒素、アルゴン及び水素のうちの一種もしくは二種以上の混合雰囲気を用いることができる。
酸処理工程を行う場合、塩酸、硫酸、硝酸のうちの一種若しくは二種以上の混合溶液又はその混合溶液をイオン交換水で希釈した酸性溶液を用いることができる。酸処理工程を行うことにより、蛍光体の表面に残存した不純物を気化除去することができ、発光効率をさらに向上することができる。
本発明の発光装置は、発光素子と本発明の蛍光体とを含む。かかる発光装置は、本発明の蛍光体の他に、本発明の蛍光体より長波長に発光ピーク波長を有する蛍光体1種以上を組み合わせて用いてもよい。
1.蛍光体の製造
実施例1の蛍光体を、以下の混合工程、焼成工程、アニール工程を経て製造した。
<混合工程>
蛍光体の原料として、SrAl2O4(アルミン酸ストロンチウム)、Si3N4(窒化珪素)、Al2O3(酸化アルミニウム)、及びEu2O3(酸化ユーロピウム)の粉末を用いた。これらを表1記載の組成比になるように秤量し、V型混合機(筒井理化学器械社製S−3)を用いて混合し、混合粉末とした。
得られた混合粉末を、蓋付きの円筒型窒化ホウ素製容器(電気化学工業社製N−1グレード)に充填した。混合粉末を充填した窒化ホウ素製坩堝を、炭素繊維形成体を断熱材とした黒鉛ヒーター過熱方式を用いた電気炉にセットし、混合粉末を焼成した。焼成は、ロータリーポンプ及び拡散ポンプにより電気炉の過熱筺体内を真空として、室温から窒素ガスを1気圧まで充填し、室温から1650℃まで毎時500℃の速度で昇温し、1650℃で4時間保持した。焼成物を粉砕し、蛍光体を粉末状にした。
得られた焼成物に、窒素雰囲気中(大気圧)、1500℃、8時間のアニール処理を行って実施例1の蛍光体を得た。
組成比a〜fは、得られた蛍光体を以下の方法で分析することにより求めた。すなわち、Me元素、Eu元素、Al及びSiの陽イオン元素についてはICP発光分光分析法により、O及びNの陰イオンについては酸素窒素分析計を用いて、炭素含有量に関してはC/S同時分析計(CS−444LS型)を用いて求めた。
700〜800nmでの平均拡散反射率、及び蛍光ピーク波長での拡散反射率は、日本分光社製紫外可視分光光度計(V−550)に積分球装置(ISV−469)を取り付けた装置で測定した。標準反射板(スペクトラロン)でベースライン補正を行い、蛍光体粉末試料を充填した固体試料ホルダーをセットし、450〜800nmの波長範囲で拡散反射率の測定を行った。
700〜800nmでの平均拡散反射率は、この測定結果のうちの700nmから800nmでの平均値である。蛍光ピーク波長での拡散反射率は、この測定結果のうちの蛍光ピーク波長(469nm付近)での測定結果である。
蛍光体の発光効率は以下の方法で測定した。大塚電子株式会社製MCPD−7000を用い、その試料部に反射率が99%の標準反射板(Labsphere社製、スペクトラロン)をセットし、波長405nmの励起光のスペクトルを測定した。その際、400〜415nmの波長範囲のスペクトルから励起光フォトン数(Qex)を算出した。次いで、試料部に蛍光体をセットし、得られたスペクトルデータから蛍光フォトン数(Qem)を算出した。蛍光フォトン数は、415〜800nmの範囲で算出した。得られたフォトン数から発光効率(=Qem/Qex×100)を求めた。
実施例2は、アニール工程後に得られた蛍光体を、イオン交換水にて硝酸を希釈した酸性溶液に30〜60分投入して酸処理工程を行ったこと以外は実施例1と同様に製造した。硝酸の希釈率は容量比で12%とした。
実施例2の蛍光体の組成は、Ba0.93Eu0.07Al1.89Si2.84O3.45N3.13であった。実施例2の蛍光体は発光効率が67%であり、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が96%であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が93%であり、炭素含有量は0.04wt%であった。表1には記載していないが、発光ピーク波長は469nm±8nmの範囲内であった。
実施例3は、さらにBaAl2O4(アルミン酸バリウム)を原料として配合したこと以外は実施例2と同様に製造した。実施例3の蛍光体の組成は、(Sr,Ba)0.93Eu0.07Al1.83Si2.68O3.38N3.12であり、Sr、Baの組成比がSr:Ba=1.00:1.24であった。
実施例3の蛍光体は、発光効率が62%であり、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が94%であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が87%であり、炭素含有量が0.02wt%であった。表1には記載しなかったが、その発光ピーク波長は469nm±8nmの範囲内であった。
実施例4は、さらにBaAl2O4(アルミン酸バリウム)を原料として配合したこと以外は実施例2と同様に製造した。実施例4の蛍光体の組成は、(Sr,Ba)0.93Eu0.07Al2.10Si3.84O3.95N4.22であり、Sr、Baの組成比がSr:Ba=1.00:1.19であった。
実施例4の蛍光体は、発光効率が62%であり、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が94%であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が88%であり、炭素含有量が0.02wt%であった。表1には記載しなかったが、その発光ピーク波長は469nm±8nmの範囲内であった。
実施例5は、SrAl2O4(アルミン酸ストロンチウム)の代わりにBaAl2O4(アルミン酸バリウム)を用いたこと以外は実施例2と同様に製造した。実施例5の蛍光体の組成は、Ba0.96Eu0.04Al1.93Si2.99O3.55N3.09であった。
実施例5の蛍光体は、発光効率が59%であり、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が95%であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が93%であり、炭素含有量が0.03wt%であった。表1には記載しなかったが、その発光ピーク波長は469nm±8nmの範囲内であった。
比較例1は、アニール処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に製造した。比較例1の蛍光体の組成は、Ba0.93Eu0.07Al1.85Si2.74O3.50N3.18であった。比較例1の蛍光体は、発光効率が49%であり、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が94%であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が79%であった。表1には記載しなかったが、比較例1の蛍光体の発光ピーク波長は469nm±8nmの範囲内であった。
比較例2は、SrAl2O4(アルミン酸ストロンチウム)の代わりに炭酸バリウムを用いたこと以外は実施例2と同様に製造した。比較例2の蛍光体の組成はBa0.93Eu0.07Al1.90Si3.05O3.75N3.23であった。比較例2の蛍光体は、発光効率が55%であり、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が87%であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が84%であり、炭素含有量が0.08wt%であった。
比較例3は、SrAl2O4(アルミン酸ストロンチウム)の代わりに炭酸バリウム及び炭酸ストロンチウムを用いたこと以外は、実施例2と同様に製造した。比較例3の蛍光体の組成は、(Sr,Ba)0.93Eu0.07Al1.91Si2.89O3.59N3.20であり、Sr、Baの組成比がSr:Ba=1.00:1.22であった。比較例3の蛍光体は、発光効率が54%であり、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が86%であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が84%であり、炭素含有量が0.10wt%であった。
比較例4は、さらにBaAl2O4(アルミン酸バリウム)を原料として配合したこと、及びSiの組成比dが本発明に規定する範囲に含まれないこと以外は、実施例2と同様に製造した。比較例4の蛍光体の組成は、(Sr,Ba)0.93Eu0.07Al1.68Si2.49O3.60N2.77であり、Sr、Baの組成比がSr:Ba=1.00:2.55であった。比較例4の蛍光体は、発光効率が48%であり、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が83%であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が79%であった。
比較例5は、さらにBaAl2O4(アルミン酸バリウム)を原料として配合したこと、及びEu、Al、Oの組成比b、c、eが本発明に規定する範囲に含まれないこと以外は、実施例2と同様に製造した。比較例5の蛍光体の組成は、(Sr,Ba)0.78Eu0.22Al2.52Si2.99O4.91N3.10であり、Sr、Baの組成比がSr:Ba=1.00:2.45であった。比較例5の蛍光体は、発光効率が43%であり、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が80%であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が77%であった。
封止材に混合した実施例1の蛍光体と、発光素子としての発光ダイオードとを用いて発光部材を製造した。この発光部材は、比較例1又は2の蛍光体を用いて同様に製造した発光部材に比べて、高い輝度を示した。
また、この発光部材を用いて発光装置を製造したところ、従来よりも高輝度を実現することができた。
Claims (3)
- 一般式:Me a Eu b Al c Si d O e N f で示され、組成比a、b、c、d、e及びfは、
a+b=1、
0.01<b<0.20、
1.65<c<2.50、
2.50<d<4.00、
3.15<e<4.90、及び、
2.80<f<4.30であり、
MeはSrとBaのいずれか一方又は双方であり、近紫外又は紫色光で励起した場合に波長450〜485nmの範囲にピークを持つ青色を発光する蛍光体であって、波長700〜800nmでの平均拡散反射率が90%以上であり、蛍光ピーク波長での拡散反射率が85%以上である蛍光体の製造方法であって、原料を混合する混合工程と、混合工程後の原料を焼成する焼成工程と、焼成工程後の焼成物をアニール処理するアニール工程とを有し、混合工程におけるSr及び/又はBaを供給する原料がこれらのアルミン酸塩である、蛍光体の製造方法。 - 蛍光体の炭素含有量が0.06wt%以下である、請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
- アニール工程後にさらに酸処理工程を有する請求項1又は2に記載の蛍光体の製造方法。
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