JP6621077B2 - リチウム二次電池システム及びリチウム二次電池システムの制御方法 - Google Patents
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Description
[1] Li金属又はLi合金を含有する負極層と、
正極活物質を含有する正極層と、
前記負極層と前記正極層との間に設けられた、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層と、
を有するリチウム二次電池と、
前記リチウム二次電池の温度を検出する温度検出部と、
充電に際し、前記温度検出部で検出した前記リチウム二次電池の温度が50℃以上であるときに、前記固体電解質層と前記負極層との接触面積Scに対する電流Ieを示す電流密度(Ie/Sc)を300μA/cm 2 以上に制御する電流制御部と、
を有することを特徴とするリチウム二次電池システムである。
[2] 前記リチウム二次電池を加熱する加熱手段を有することを特徴とする前記[1]に記載のリチウム二次電池システムである。
[3] 前記リチウム二次電池を冷却する冷却手段を有することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のリチウム二次電池システムである。
[4] 充電に際し、固体電解質層は、前記負極層の表面から前記固体電解質層に突出すると共にLiを含有する突起状析出物が、前記負極層と前記固体電解質層との積層方向の断面において、前記突起状析出物は前記負極層と前記固体電解質層とがなす直線上における長さが5μm以上であり、前記直線の全長さに対する前記突起状析出物の前記直線上における長さの合計長さの割合で示される前記突起状析出物の存在割合が20%以下であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のリチウム二次電池システムである。
[5] 前記固体電解質層は、室温におけるリチウムイオン伝導率が10−5S/cm以上であり、相対密度が86%以上であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のリチウム二次電池システムである。
[6] 前記負極層は、Li金属、Li−Al合金、Li−Sn合金、及びLi−Si合金からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のリチウム二次電池システムである。
[7] 前記負極層及び前記正極層は、それぞれ固体であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のリチウム二次電池システムである。
[8] Li金属又はLi合金を含有する負極層と、
正極活物質を含有する正極層と、
前記負極層と前記正極層との間に設けられた、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層と、
を有するリチウム二次電池の温度を検出する温度検出工程と、
充電に際し、前記温度検出工程で検出した前記リチウム二次電池の温度が50℃以上であるときに、前記固体電解質層と前記負極層との接触面積Scに対する電流Ieを示す電流密度(Ie/Sc)を300μA/cm 2 以上に制御する電流制御工程と、
を有することを特徴とするリチウム二次電池システムの制御方法である。
(1)リチウム二次電池システム
本発明に係るリチウム二次電池システムの第1の実施形態であるリチウム二次電池システムを、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係るリチウム二次電池システムの一実施例であるリチウム二次電池システムの概要を示すブロック図である。このリチウム二次電池システム100は、リチウム二次電池10と、リチウム二次電池10の温度を検出する温度検出部20と、温度検出部20で検出したリチウム二次電池の温度に基づいて充放電する際の電流密度を制御する電流制御部31を有するマイコン30とを有する。図1に示すリチウム二次電池10は、電力変換機60を介して電力を消費する負荷50に電気的に接続されている。リチウム二次電池10は、電力の貯蔵及び供給のために充放電を繰り返し行うことができる。
なお、リチウム二次電池10への電力供給は、図示しない電力供給源とリチウム二次電池とを電気的に接続することで行うことができる。
まず、本発明に係るリチウム二次電池システムにおけるリチウム二次電池について、図面を参照しつつ説明する。図2は、本発明に係るリチウム二次電池システムにおけるリチウム二次電池の一実施例であるリチウム二次電池を示す断面概略説明図である。このリチウム二次電池10は、固体電解質層11、正極層12、及び負極層13を有する電池素子部18と、一対の集電体14,15と、外装体19とを備える。このリチウム二次電池10は、固体電解質層11、正極層12、及び負極層13がすべて固体であるので、全固体リチウム二次電池と称することもできる。
Li7La3Zr2O12(LLZ)・・・一般式(I)
つまり、充電した後の固体電解質層11は、前記負極層13の表面から前記固体電解質層11に突出すると共にLiを含有する突起状析出物が、前記負極層13と前記固体電解質層11との積層方向の断面において、前記突起状析出物は前記負極層13と前記固体電解質層11とがなす直線上における長さが5μm以上であり、前記直線の全長さに対する前記突起状析出物の前記直線上における長さの合計長さの割合で示される前記突起状析出物の存在割合が20%以下であることが好ましい。前記突起状析出物の存在割合は、さらに好ましくは5%以下であり、最も好ましくは、充電した後において、突起状析出物が存在しないこと、つまり、突起状析出物の存在割合が、0%であることが好ましい。
まず、リチウム二次電池10において、固体電解質層11と負極層13との積層方向に平行な断面画像が得られるように、リチウム二次電池10を切断する。
次に、切断したリチウム二次電池10において、走査型電子顕微鏡(SEM)にて固体電解質層11と負極層13との接合界面が撮像できるように、上記積層方向の断面SEM画像を撮像する。撮像倍率は、拡大しすぎも拡大しなさすぎも好ましくなく、例えば、500倍から5000倍程度が好ましい。もっとも、この倍率に限定されるものではなく、リチウム二次電池10の大きさによって適宜変更できる。
次に、撮像したSEM画像において、負極層13と固体電解質層11との界面を示す直線の画像全体の長さを、負極層13と固体電解質層11とがなす直線の全長さとして測定する。なお、ここでいう上記「負極層13と固体電解質層11とがなす直線の全長さ」とは、取得した断面SEM画像に写る負極層13と固体電解質層11との界面の全体長さであり、前記界面は略直線として示される。断面SEM画像において、負極層13と固体電解質層11との界面に凹凸等が存在している場合であっても、これらの凹凸の存在は無視して負極層13と固体電解質層11とが平面で接合し、断面SEM画像において、負極層13と固体電解質層11との界面は直線であると想定する。
さらに、同画像において、負極層13の表面に析出している析出物すなわち負極層13の表面から固体電解質層11に向かって突出している析出物のうち、前記直線上における長さが5μm以上の析出物の合計長さを算出する。
最後に、「前記直線上における長さが5μm以上の析出物の前記長さの合計長さ」を「負極層13と固体電解質層11とがなす直線の全長さ」で除算し、百分率表記することで突起状析出物の存在割合を算出する。
このようにして、突起状析出物の存在割合を測定することができる。
例えば、本発明に係るリチウム二次電池は、負極層と電解質層との間に金などにより形成される中間層を備える構成としてもよいし、正極層と電解質層との間に金などにより形成される中間層を備える構成としてもよい。
次に、本発明におけるリチウム二次電池の一実施形態であるリチウム二次電池10の製造方法の一例を以下に説明する。
次に、この実施形態のリチウム二次電池システム100における温度検出部20について、説明する。温度検出部20は、リチウム二次電池10の温度を検出することができればよく、例えばリチウム二次電池10の表面、リチウム二次電池10が収納されている容器の内壁面等に設置される。また、温度検出部20としては、熱電対、白金測温抵抗体等の接触式温度センサ、放射温度計等の非接触式温度センサ等を挙げることができる。
次に、この実施形態のリチウム二次電池システム100における電流制御部31について、説明する。電流制御部31はマイコン30によって実現される。マイコン30は、記憶部と演算部とを有する。
次に、本発明に係るリチウム二次電池システムの第1の実施形態であるリチウム二次電池システムの制御方法の一例を、図面を参照しつつ説明する。図3は、本発明に係るリチウム二次電池システムの制御方法の一実施例を示すフロー図である。図3では、リチウム二次電池10を充電する場合のリチウム二次電池システム100の制御方法を例示する。
(1)リチウム二次電池システム
本発明に係るリチウム二次電池システムの第2の実施形態であるリチウム二次電池システムを、図面を参照しつつ説明する。図4は、本発明に係るリチウム二次電池システムの他の実施例であるリチウム二次電池システムの概要を示すブロック図である。第2の実施形態のリチウム二次電池システム200は、加熱手段270と冷却手段280と電圧検出部290とを有し、マイコン230が加熱手段270及び冷却手段280を制御する温度制御部232を有していること以外は、第1の実施形態のリチウム二次電池システム100と基本的に同じ構成を有している。以下においては、第1の実施形態のリチウム二次電池システム100とは異なる構成を中心に説明する。
加熱手段270は、リチウム二次電池210の温度を上げることができるかぎり特に限定されない。加熱手段270としては、例えばヒータ及びペルチェ素子等を挙げることができ、リチウム二次電池210の表面に直接にヒータ等を設置する方法、リチウム二次電池210を容器に入れて、容器の内部又は外部にヒータ等を設置する方法を挙げることができる。また、加熱手段270として、リチウム二次電池210を容器に入れて、容器の内部又は外部に所定の温度のガス又は液体を流す方法を挙げることができる。また、加熱手段270として、工場排熱、自動車の排熱、地熱、太陽熱等を挙げることができ、これらを組合せて利用してもよい。
冷却手段280は、リチウム二次電池210の温度を下げることができる限り特に限定されない。冷却手段280としては、例えば、リチウム二次電池210を容器に入れて、容器の内部又は外部に所定の温度のガス又は液体を流す方法を挙げることができる。また、冷却ファンにより外気を取り入れてリチウム二次電池210に外気を吹き付ける方法を挙げることができる。
温度制御部232は、マイコン230によって実現される。マイコン230は、記憶部と演算部とを有する。演算部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行し、これにより電流制御部231と温度制御部232とが実現される。温度制御部232は、温度検出部220で検出したリチウム二次電池210の温度Tに基づいて、リチウム二次電池210を加熱又は冷却するか否かを判定する。すなわち、温度Tが、予め記憶部に記憶されている設定した温度範囲(Tmin≦T≦Tmax)にあるか否かを判定する。温度制御部232は、Tmin≦T≦Tmaxを満たし、加熱及び冷却のいずれもしないと判定した場合には、温度検出部220で検出した温度Tをそのまま電流制御部231に送信する。温度制御部232は、温度TがTmin>Tを満たし、加熱すると判定した場合には加熱手段270に対して信号を送信して加熱手段270を作動させる。温度制御部232は、温度TがT>Tmaxを満たし、冷却すると判定した場合には冷却手段280に対して信号を送信して冷却手段280を作動させる。
電流制御部231は、マイコン230によって実現される。電流制御部231は、第1の実施形態のリチウム二次電池システム100と同様に、温度検出部220で検出したリチウム二次電池210の温度Tを受信し、記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、リチウム二次電池210の充放電時の電流Ieを算出し、この信号を電力変換機260に送信する。
次に、本発明に係るリチウム二次電池システムの第2の実施形態であるリチウム二次電池システムの制御方法の一例を、図面を参照しつつ説明する。図5は、本発明に係るリチウム二次電池システムの制御方法の一実施例を示すフロー図である。図5では、リチウム二次電池210を充電する場合のリチウム二次電池システム200の制御方法を例示する。以下においては、第1の実施形態のリチウム二次電池システム100の制御工程とは異なる工程を中心に説明する。
(サンプル1)
[リチウムイオン伝導性セラミックス材料の作製]
原料粉末である、Li2CO3、La(OH)3、ZrO2を、Li、La、及びZrの各成分の比率が、Li:La:Zr=7:3:2(モル比)になるように秤量し、さらにLiは焼成中に揮発し易いので、秤量したLi2CO3に対して、リチウム揮発分を考慮して10質量%多く添加した。これをジルコニアボールと共にアルミナポットに投入し、エタノール中で15時間にわたってボールミルで粉砕混合し、さらに乾燥して配合材料を得た。
前記焼結体を粉砕して得られた粉末をX線回折装置(XRD)で分析して、X線回折パターンを得た。得られたX線回折パターンとICDDカードとを対比した結果、前記焼結体は、LLZ立方晶のICDDカードとほぼ一致することが確認された。したがって、リチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体は、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有すると判断できる。
前記焼結体の両面を研磨して、研磨面に金スパッタによってコーティングを施した後に、交流インピーダンス法によって、室温において、前記焼結体の比抵抗及びイオン伝導率を測定した。この測定には、ソーラトロン(Solartron)社製1470E型マルチスタットにソーラトロン社製1255B型周波数応答アナライザを接続して用いた。なお、測定される抵抗R(比抵抗)は、粒内抵抗raと粒界抵抗rbとの合計である(R=ra+rb)。また、イオン伝導率Icは、その抵抗Rの逆数として求められる(Ic=1/R)。その結果、前記焼結体のイオン伝導率は、4×10−4S/cmであった。
前記焼結体の乾燥質量を電子天秤で測定し、体積をノギスで測定した。乾燥質量を体積で割ることにより各試料の測定密度を算出した。また、それぞれの組成の理論密度を算出した。測定密度を理論密度で割り、100を掛けた値を相対密度として算出した。その結果、前記焼結体の相対密度は、92%であった。
前記焼結体の両面に、Li金属電極を押圧して固定することにより対称セルを作製した。この測定には、ソーラトロン(Solartron)社製1470E型マルチスタットにソーラトロン社製1255B型周波数応答アナライザを接続して用いた。なお、Li金属と固体電解質層との接合体では、「イオン伝導率」を測定時に測定される粒内抵抗raと粒界抵抗rbに加えて、Li金属と固体電解質層との間で観測される界面抵抗riが測定される。この対称セルの界面抵抗riを測定したところ、室温(25℃)で650Ω/cm2であり、80℃で89Ω/cm2であり、170℃で0.5Ω/cm2であった。この結果から、焼結体の温度が高くなるほど、前記焼結体の界面抵抗が小さくなることが分かる。
原料粉末として、Li2CO3、La(OH)3、ZrO2以外にSrCO3、MgOを添加し、Li、La、Zr、Sr、Mgの各成分の比率が、Li:La:Zr=6.95:2.75:2:0.25:0.15(モル比)になるように秤量し、さらにLiは焼成中に揮発し易いので、秤量したLi2CO3に対して、リチウム揮発分を考慮して14質量%多く添加した。これをジルコニアボールと共にナイロン製ポットに投入し、エタノール中で15時間にわたってボールミルで粉砕混合し、さらに乾燥して配合材料を得た。
この焼結体のイオン伝導率は1.4×10−3S/cm、相対密度は93%、界面抵抗は、室温(25℃)で22.5Ω/cm2、170℃で0.18Ω/cm2であった。
(実施例1)
サンプル1の焼結体の両面に、直径10mm、厚さ0.1mmのLi金属箔を加圧接合し、これを170℃で1時間保持し、その後冷却してLi/LLZ/Li接合体を得た。前記Li/LLZ/Li接合体におけるLi金属箔にSUS製の集電体を接合して試験体を作製した。
前記試験体を、所定の温度に保持された容器に入れて、500秒間にわたって直流電流を印加し続ける試験を行った。
印加した直流電流の平均電流をIe、前記焼結体とLi金属箔との接触面積をScとして、IeをScで除した値を電流密度(Ie/Sc)として、温度25℃、電流密度300μA/cm2で試験を行った結果、試験体が短絡した。そこで、電流密度を300μA/cm2にしたままで、温度を80℃、170℃に上げてそれぞれ試験を行った結果、試験体は短絡しなかった。さらに、温度170℃で、電流密度6000μA/cm2で試験を行った結果、試験体は短絡しなかった。
サンプル2の焼結体を用いたこと以外は実施例1と同様にして試験体を作製した。この試験体を温度25℃、電流密度300μA/cm2で、サンプル1と同様にして試験を行った結果、試験体が短絡した。温度を80℃、170℃に上げてそれぞれ試験を行った結果、試験体は短絡しなかった。また、温度170℃で、電流密度7000μA/cm2で試験を行った結果、試験体は短絡しなかった。さらに電流密度を上げて8000μA/cm2で試験を行った結果、試験体が短絡した。
実施例1において、サンプル1により形成された試験体を、温度25℃、電流密度300μA/cm2で試験を行った結果短絡した試験体と、温度170℃、電流密度300μA/cm2で試験を行った結果短絡しなかった試験体において、SEM画像により固体電解質層と負極層との界面を含む断面の観察を行った。
温度25℃、電流密度300μA/cm2で試験を行った試験体の断面において、負極層と固体電解質層との界面には、負極層の表面から固体電解質層に向かって突出すると共に、負極層と固体電解質層とがなす直線上における長さが5μm以上である突起状析出物が存在していた。前述したように、突起状析出物の存在割合を測定したところ、36%であった。
温度170℃、電流密度300μA/cm2で試験を行った試験体の断面にいて、負極層と固体電解質層側との界面には、前記直線上における長さが5μm以上である突起状析出物が存在していなかった。すなわち、突起状析出物の存在割合は0%であった。
これらの結果より、充電した後であっても、負極層と固体電解質層との界面における突起状析出物の存在割合が20%以下であれば、電流の集中により局所的に電流密度が高くなり過ぎることがなく、充電時の温度が高くなるほど電流密度をより高くして充電しても短絡を防止することができると考えられる。
[リチウム二次電池の作製]
(サンプルA)
正極層となる正極合材は、正極活物質としてFeS2と、硫化物系固体電解質ガラスとして80Li2S−20P2S5とを6:4の質量比で混合し、圧紛体とすることで得た。
前記圧紛体とサンプル1のリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体とを重ね合わせて、190℃で1時間加熱してこれらを接合した。次いで、前記焼結体における正極合材の圧紛体が接合されていない面に、負極層としてLi金属箔を加圧接合し、これを170℃で1時間保持して、正極層と固体電解質層と負極層とが積層されてなる電池素子部を作製した。
正極活物質として硫黄と、硫化物系固体電解質ガラスとして80Li2S−20P2S5と、導電助剤として導電性カーボンであるケッチェンブラックとを6:6:1の質量比で混合し、圧紛体とすることで得た正極合材を用いたこと以外は、サンプルAと同様にして電池素子部を作製した。
正極層となる正極合材は、サンプルBと同じものを準備した。固体電解質層となる焼結体は、サンプル1のリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体を準備した。負極層となる負極合材は、Li−Al合金(モル比でLi:Al=1:1)と、硫化物系固体電解質ガラスとして80Li2S−20P2S5とを1:1の質量比で混合し、圧粉体とすることで得た。集電体はSUS製のものを2枚準備した。集電体、負極合材、焼結体、正極合材、集電体の順に積層し、加熱することなく、これらを加圧固定治具に50MPaで挟んで固定接合し、集電体と正極層と固体電解質層と負極層と集電体とが積層されてなる電池素子部を作製した。
正極活物質としてLiCoO2と、硫化物系固体電解質ガラスとして80Li2S−20P2S5とを6:4の質量比で混合し、圧紛体とすることで得た正極合材を用いたこと以外は、サンプルCと同様にして電池素子部を作製した。
(比較例1)
サンプルA〜Dの電池素子部を、それぞれアルゴン雰囲気を維持した恒温槽に入れて、充放電試験を行った。恒温槽は温度検出部と加熱手段と冷却手段とを有し、設定した温度と温度検出部で検出した温度との差に応じて加熱手段又は冷却手段が作用することによって、恒温槽を設定した温度に維持することができる。電池素子部を充放電する、充電器、負荷、及び電力変換機としてソーラトロン社製の1470E型マルチスタットを用いた。恒温槽の温度検出部、加熱手段、及び冷却手段、並びに1470E型マルチスタットとはパソコンに繋がれており、恒温槽の温度と電流密度とが適宜変更できるシステムとなっている。比較例1では、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電池素子部に供給する電流密度を12.8μA/cm2にして1サイクルの充放電を行った。その結果、サンプルA〜Dのすべての電池素子部は、短絡することなく充放電できたが、電流密度が小さいので充電に長時間を要すると考えられる。
電流密度を300μA/cm2にしたこと以外は比較例1と同様にして、サンプルA〜Dの電池素子部の充放電試験を行った。その結果、サンプルA〜Dのすべての電池素子部は、放電することができたが、充電を行うと短絡してしまった。
恒温槽の温度を185℃、電流密度を300μA/cm2にしたこと以外は比較例1と同様にして、サンプルA〜Dの電池素子部の充放電試験を行った。その結果、サンプルA〜Dのすべての電池素子部は、負極層のLi金属が溶融し、電池側面部から正極層と短絡して放電及び充電することができなかった。
恒温槽の温度を80℃、電流密度を300μA/cm2にしたこと以外は比較例1と同様にして、サンプルA〜Dの電池素子部の充放電試験を行った。その結果、サンプルA〜Dのすべての電池素子部は、放電及び充電のいずれの過程においても短絡しなかった。
サンプルBの電池素子部を、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電流密度128μA/cm2で放電し、その後、温度を120℃に一定にした状態で、電流密度を128、256、348、256、128μA/cm2の順に1000秒毎に変化させて充電したところ、短絡することなく充電することができた。
サンプルBの電池素子部を、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電流密度128μA/cm2で放電し、その後、温度を170℃に一定にした状態で、電流密度を64、128、256、640、1280、2000、1280、640、256、128、64μA/cm2の順に1000秒毎に変化させて充電したところ、短絡することなく充電することができた。
サンプルBの電池素子部を、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電流密度128μA/cm2で放電し、その後、電流密度を300μA/cm2に一定にした状態で、恒温槽の温度を80、120、150、170、150、120、80℃の順に変化させて、各温度で1000秒維持して充電したところ、すべての温度で短絡することなく充電することができた。
サンプルBの電池素子部を、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電流密度128μA/cm2で放電し、その後、電流密度を640μA/cm2に一定にした状態で、恒温槽の温度を150、170、150、170℃の順に変化させて、各温度で1000秒維持して充電したところ、すべての温度で短絡することなく充電することができた。
サンプルBの電池素子部を、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電流密度128μA/cm2で放電し、温度を80℃に維持した後に、
(1)電流密度300μA/cm2、温度80℃で1000秒維持、
(2)電流密度300μA/cm2、温度80℃から120℃まで1000秒で昇温、
(3)電流密度450μA/cm2、温度120℃で1000秒維持、
(4)電流密度450μA/cm2、温度120℃から150℃まで1000秒で昇温、
(5)電流密度450μA/cm2、温度150℃で1000秒維持、
(6)電流密度450μA/cm2、温度150℃から170℃まで1000秒で昇温、
(7)電流密度1500μA/cm2、温度170℃で1000秒維持、
(8)電流密度450μA/cm2、温度170℃から120℃まで1000秒で冷却、
の順に変化させて充電したところ、すべての条件にて短絡することなく充電することができた。
比較例1に示されるように、25℃で12.8μA/cm2という比較的低い電流密度で充電すると短絡しないが、比較例2に示されるように、300μA/cm2という比較的高い電流密度で充電すると短絡した。加えて、比較例3に示されるように、185℃以上になると、負極層に含まれるLi金属部分が溶け出し、電池側面部から正極層と短絡した。一方、実施例11に示されるように、128μA/cm2という比較的高い電流密度で充電しても、温度を80℃にすると短絡しなかった。また、実施例12〜16に示されるように、比較的高い一定の温度に維持した状態で、電流密度を変化させた場合、比較的高い一定の電流密度で充電しながら、50℃以上の比較的高い温度で温度を変化させた場合、並びに、比較的高い温度及び比較的高い電流密度でこれらの値を変化させつつ充電した場合のいずれの場合も短絡しなかった。
なお、本発明において、比較的高い温度とは、50℃以上として表すことができ、比較的低い温度とは50℃未満として表すことができる。さらに、比較的高い電流密度とは、300μA/cm2以上として表すことができ、比較的低い電流密度とは、300μA/cm2未満として表すことができる。
10、210 リチウム二次電池
11 固体電解質層
12 正極層
13 負極層
14 第1の集電体
15 第2の集電体
18 電池素子部
19 外装体
20、220 温度検出部
30、230 マイコン
31、231 電流制御部
232 温度制御部
50、250 負荷
60、260 電力変換機
270 加熱手段
280 冷却手段
290 電圧検出部
Claims (8)
- Li金属又はLi合金を含有する負極層と、
正極活物質を含有する正極層と、
前記負極層と前記正極層との間に設けられた、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層と、
を有するリチウム二次電池と、
前記リチウム二次電池の温度を検出する温度検出部と、
充電に際し、前記温度検出部で検出した前記リチウム二次電池の温度が50℃以上であるときに、前記固体電解質層と前記負極層との接触面積Scに対する電流Ieを示す電流密度(Ie/Sc)を300μA/cm 2 以上に制御する電流制御部と、
を有することを特徴とするリチウム二次電池システム。 - 前記リチウム二次電池を加熱する加熱手段を有することを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池システム。
- 前記リチウム二次電池を冷却する冷却手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウム二次電池システム。
- 充電に際し、固体電解質層は、前記負極層の表面から前記固体電解質層に突出すると共にLiを含有する突起状析出物が、前記負極層と前記固体電解質層との積層方向の断面において、前記突起状析出物は前記負極層と前記固体電解質層とがなす直線上における長さが5μm以上であり、前記直線の全長さに対する前記突起状析出物の前記直線上における長さの合計長さの割合で示される前記突起状析出物の存在割合が20%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池システム。
- 前記固体電解質層は、室温におけるリチウムイオン伝導率が10−5S/cm以上であり、相対密度が86%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池システム。
- 前記負極層は、Li金属、Li−Al合金、Li−Sn合金、及びLi−Si合金からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池システム。
- 前記負極層及び前記正極層は、それぞれ固体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウム二次電池システム。
- Li金属又はLi合金を含有する負極層と、
正極活物質を含有する正極層と、
前記負極層と前記正極層との間に設けられた、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層と、
を有するリチウム二次電池の温度を検出する温度検出工程と、
充電に際し、前記温度検出工程で検出した前記リチウム二次電池の温度が50℃以上であるときに、前記固体電解質層と前記負極層との接触面積Scに対する電流Ieを示す電流密度(Ie/Sc)を300μA/cm 2 以上に制御する電流制御工程と、
を有することを特徴とするリチウム二次電池システムの制御方法。
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