JP6760362B2 - 溶融金属用流速計および溶融金属の流速測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属用流速計に関し、特に、高温の溶融金属中であっても安定して使用でき、かつ、局所的な流速を測定することができる溶融金属用流速計に関する。また、本発明は、溶融金属の流速測定方法に関する。
流体の流速を測定する流速計としては、電磁式、羽根車式、超音波式など、様々なタイプのものがあり、長途に応じて使い分けられている。
しかし、従来の電磁式や羽根車式の流速計は、電極やセンサの耐熱性の問題などから、例えば、溶融めっきに用いられる溶融金属のような高温の流体の流速の測定に用いることはできなかった。また、超音波式流速計は、管の中を流れる流体の流速測定には適しているものの、溶融金属浴中における流速を測定する様な用途には適していないという問題があった。
そこで、特許文献1では、棒を溶融金属中に差し入れ、歪みゲージを用いて抗力を測定することによって溶融金属の流速を測定する装置が提案されている。
特開平06−324065号公報
しかし、特許文献1で提案されている従来の装置では、溶融金属中に浸漬された棒全体が受ける抗力を測定することになるため、溶融金属浴の深さ方向に流速分布がある場合、各深さにおける流速を正確に測定することができないという問題があった。そのため、例えば、浴内の流速分布を測定するといった用途に用いることはできない。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、溶融金属中であっても安定して使用でき、かつ、局所的な流速を測定することができる手段を提供することを目的とする。
本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.複数の羽根と前記複数の羽根の少なくとも1つに設けられた磁石とを備える羽根車と、
前記磁石の磁気を検知する磁気センサと、
前記磁気センサを冷却する冷却装置とを備える、溶融金属用流速計。
2.前記羽根が、非磁性材料からなる、上記1に記載の溶融金属用流速計。
3.前記冷却装置が、冷媒との熱交換によって前記磁気センサを冷却する冷媒式冷却装置である、上記1または2に記載の溶融金属用流速計。
4.前記磁石が、キュリー点が700℃以上の永久磁石である、上記1〜3のいずれか一項に記載の溶融金属用流速計。
5.さらに、前記磁気センサからの出力から流速を求める演算装置を備える、上記1〜4のいずれか一項に記載の溶融金属用流速計。
6.さらに、前記羽根車、磁気センサ、および冷却装置を移動させる移動装置を備える、上記1〜5のいずれか一項に記載の溶融金属用流速計。
7.前記羽根車の向きが変更可能である、上記1〜6のいずれか一項に記載の溶融金属用流速計。
8.複数の羽根と前記複数の羽根の少なくとも1つに設けられた磁石とを備える羽根車を溶融金属中に浸漬し、
前記羽根車の回転を磁気センサによって検出することによって前記溶融金属の流速を測定する溶融金属の流速測定方法であって、
前記測定を、前記磁気センサを冷却しながら行う、溶融金属の流速測定方法。
9.前記磁石として、キュリー点が前記溶融金属の温度より高い永久磁石を用いる、上記8に記載の溶融金属の流速測定方法。
10.前記測定において、前記羽根車の位置を変えて複数の位置における流速を測定する、上記8または9に記載の溶融金属の流速測定方法。
11.前記測定において、前記羽根車の向きを変えて複数の方向における流速を測定する、上記8〜10のいずれか一項に記載の溶融金属の流速測定方法。
本発明によれば、高温の溶融金属中であっても安定して流速を測定することができる。また、本発明によれば、局所的な流速を測定することができる。そのため、溶融めっきに用いられる溶融金属浴などにおいて流速の測定や、前記浴内の3次元的な流速分布の測定に極めて好適に適用することができる。
本発明の第1の実施形態における溶融金属用流量計の構造を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態における溶融金属用流量計の構造を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態における溶融金属の流量測定方法を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態における溶融金属の流量測定方法を示す模式図である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な実施態様を示すものであり、本発明は以下の説明によって何ら限定されるものではない。
本発明の一実施形態における溶融金属用流速計は、溶融金属の流速を測定するためのものであって、羽根車、磁気センサ、および冷却装置を備えている。以下、各構成について説明する。
[溶融金属]
前記溶融金属としては、特に限定されることなく任意の金属を溶融させたものを測定対象とすることができる。例えば、溶融めっきに使用される溶融金属のように、温度が400℃以上であるような高温の溶融金属を対象とすることもできる。言い換えると、融点が400℃以上であるような金属を加熱して溶融させた溶融金属を対象とすることもできる。前記金属としては、例えば、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、錫、錫合金などを挙げることができる。
[羽根車]
前記羽根車は、その回転によって溶融金属の流速を測定するための部分であり、複数の羽根と、前記複数の羽根の少なくとも1つに設けられた磁石とを備えている。前記羽根車が溶融金属の流れを受けて回転し、後述する磁気センサでその回転を検知することにより、溶融金属の流速が測定される。
前記羽根車の形状は特に限定されず、溶融金属の流れを受けて回転可能であればよい。通常は、前記羽根車が自在に回転できるように該羽根車の略中心を軸支すればよい。なお、本発明の流速計は、溶融金属の流れを羽根車の回転面に対して垂直に当てる軸流式と、回転面と平行に当てる接線流式の、いずれの方式とすることもできる。
[羽根]
前記羽根車を構成する羽根は、溶融金属の流れによって回転可能なものであれば、任意の形態とすることができる。また、前記羽根の枚数は特に限定されず、任意の枚数とすることができるが、より効率的に流れを回転に変換するという観点からは、羽根の枚数を4以上とすることが好ましく、6以上とすることがより好ましい。また、後述する磁石の設置箇所の数を確保するという観点からも、羽根の枚数を4以上とすることが好ましく、6以上とすることがより好ましい。
前記羽根の材質は特に限定されず、測定対象である溶融金属の種類や温度に応じて選択すればよい。高温の溶融金属の流速測定に使用するという観点からは、前記羽根の材質を、耐熱性樹脂、セラミック、および金属から選択される1または2以上とすることが好ましい。また、より安定した流速の測定を可能とするという観点からは、非磁性材料からなる羽根を用いることが好ましい。非磁性材料は、磁化されないため、後述する磁石と磁気センサによる測定に対する影響を受けることなく測定を行うことができる。前記非磁性材料としては、例えば、樹脂、非磁性セラミック、非磁性金属などが挙げられる。前記非磁性金属としては、SUS316などのオーステナイト系ステンレスを用いることが好ましい。なお、本発明の流速計を構成する前記羽根以外の部分についても、前記羽根と同様に、非磁性材料を用いることが好ましい。
[磁石]
本発明では、上記複数の羽根の少なくとも1つに磁石を設ける。この磁石を後述する磁気センサで検知することにより、羽根車の回転速度を計測し、流速を求めることができる。前記磁石の取り付け位置は特に限定されず、磁気センサで検知可能な位置であれば任意の位置に設けることができるが、より確実に検知するという観点からは、羽根の先端(回転軸と反対側の先端)に設けることが好ましい。このように、羽根、特に羽根の先端部に磁石を設けることにより、該磁石と磁気センサとの距離を短くし、より確実に測定を行うことが可能となる。
前記磁石は、上記複数の羽根のうち、少なくとも1つに設ければよいが、2以上の羽根に設けることが好ましく、3以上の羽根に設けることがより好ましい。磁石を取り付ける羽根の個数を2以上とすることにより、磁気センサが磁石を検出した際のパルス信号の間隔が長くなりすぎることを防止することができ、その結果、羽根車の回転数が低い場合であっても、より安定した流速の測定が可能となる。一方、磁石を設ける羽根の数の上限は特に限定されず、全ての羽根に磁石を取り付けてもよい。また、前記磁石は、回転速度をより精度良く測定するという観点からは、回転羽根の周方向において、等間隔に設置することが好ましい。
前記磁石の種類は特に限定されないが、永久磁石とすることが好ましい。前記永久磁石としては、任意の種類の物を用いることができるが、測定対象とする溶融金属の温度に応じて選択することが好ましい。特に高温の溶融金属の流速を測定する場合には、具体的には、キュリー点が700℃以上の永久磁石を用いることが好ましい。キュリー点が700℃以上の永久磁石としては、例えば、サマリウムコバルト磁石などが挙げられる。例えば、溶融めっきに用いられる溶融金属は、亜鉛めっき浴の場合で浴温が430℃前後と極めて温度が高いが、このように溶融金属の温度が高い場合であっても、キュリー点が該溶融金属の温度よりも高い磁石を用いることにより、高温の溶融金属中でも磁石が磁性を失わず、安定して流速を測定することができる。
ここで、キュリー点が700℃以上の永久磁石を用いることによる効果を説明するために、該永久磁石を実際に溶融金属中に浸漬し、磁力の変化を評価する実験を行った。前記永久磁石としては、キュリー点が700℃以上の永久磁石の一例であるサマリウムコバルト磁石を使用した。また、前記溶融金属としては溶融亜鉛を使用した。
前記評価には、6枚の羽根を有する羽根車と、前記羽根のそれぞれの先端にサマリウムコバルト磁石を取り付けた試験用サンプルを使用した。500℃に保持した溶融亜鉛中に前記試験用サンプルを1時間浸漬し、浸漬前と浸漬後における各サマリウムコバルト磁石の磁力を、磁束密度計(テスラメータ)により測定した。前記磁束密度計としては、カネテック株式会社製、TM−801を用いた。浸漬後の磁力測定は常温まで自然空冷した後に空気中で実施した。6枚の羽根それぞれに取り付けられたサマリウムコバルト磁石の磁力の平均値は浸漬前で9.0(mT)、浸漬後の磁力の平均値は8.9(mT)であった。
上記測定結果から分かるように、サマリウムコバルト磁石の磁力は1時間の浸漬前後でほぼ変化していない。これは、サマリウムコバルト磁石のキュリー点が700℃以上であり、使用した溶融亜鉛の温度である500℃よりも高かったためである。したがって、キュリー点が700℃以上の永久磁石を用いれば、溶融金属の熱による不可逆減磁を防止できるため、溶融金属用流速計の耐久性が向上するとともに、より安定した流速の測定が可能となる。
[磁気センサ]
本発明の流速計は、磁気センサを備える。前記磁気センサにより磁石を検知し、それによって羽根車の回転速度を測定し、流速を求めることができる。
前記磁気センサとしては、磁石を検知することができるものであれば任意のものを用いることができる。前記磁気センサとしては、例えば、ホール素子を用いたセンサ、磁気抵抗素子を用いたセンサ(磁気抵抗(MR)センサ)などを挙げることができる。測定感度の観点からは、温度依存性が低い磁気抵抗センサを用いることが好ましい。前記磁気抵抗センサとしては、感度と温度安定性に優れ、かつ小型であるトンネル型磁気抵抗センサ(TMRセンサ)を用いることがより好ましい。
前記磁気センサの取り付け位置は特に限定されず、磁石を検知できる位置であれば任意の位置とすることができる。例えば、羽根の先端と対向するように前記磁気センサを設けることができる。なお、回転速度の検知にはロータリーエンコーダが広く用いられているが、ロータリーエンコーダを使用する場合には、軸部にロータリーエンコーダを内蔵する必要がある。その場合、高温の溶融金属からロータリーエンコーダを保護する必要があるが、回転する軸部に対して完全にシールや断熱を施すことは困難である。これに対して本発明の溶融金属用流速計では、磁気センサを用いているため、そのような問題が生じない。
[冷却装置]
本発明の流速計は、前記磁気センサを冷却する冷却装置を備える。前記冷却装置で磁気センサを冷却することにより、高温の溶融金属中においても安定した測定が可能となる。
前記冷却装置としては、磁気センサを冷却できるものであれば任意のものを用いることができる。前記冷却装置の一例としては、冷媒との熱交換によって前記磁気センサを冷却する冷媒式冷却装置が挙げられる。冷媒式冷却装置を使用する場合は、磁気センサに冷温の冷媒を供給して熱交換させることによって磁気センサを冷却する。そのため、流速計には、冷媒を流すための流路が設けられていることが好ましい。前記流路としては、冷媒を流すための配管などを用いることができる。例えば、流速計が二重管を備え、該二重管の一方の先端に磁気センサを設置し、二重管の内側を通って冷媒を供給し、二重管の外側を通って冷媒を排出することができる。
前記冷媒としては特に限定されず、任意の流体を使用できるが、例えば、空気、水などを用いることができる。
冷媒を使用する場合、冷媒を供給または循環させるためのポンプ等の冷媒供給装置と、前記冷媒の温度を調整するための冷媒温度調整装置の一方または両方を用いることができる。冷媒として空気を用いる場合には、常温または室温などの空気を、特に温度調整することなくそのまま使用することもできる。また、冷媒として水を使用する場合には、常温(室温)の水道水や工業用水などを冷却することなく直接冷媒として供給することもできる。その場合、使用後の冷媒(水)は、冷却して再利用することもできるが、再利用せずにそのまま排水することもできる。なお、前記冷媒供給装置と冷媒温度調整装置は、本発明の流速計の一部として設けることもできるが、別体として設けることが好ましい。
[演算装置]
磁気センサによって磁石を検知し、羽根車の回転速度から流速を求めることができる。流速の算出方法は特に限定されないが、例えば、以下のように行うことができる。
羽根車の前後における流体の運動エネルギー変化量は、羽根車の回転エネルギー量に等しい。この関係は、下記(1)式で表される。
Figure 0006760362
ここで、各記号は以下の意味である。
ρ(kg/m):流体の密度
v(m/s):流体の流速
I(kg・m):慣性モーメント
ω(rad/s):羽根車の角速度
したがって、羽根車の角速度:ωは、ρ1/2・v3/2に比例する。この関係に基づいて、羽根車の角速度ω、溶融金属の密度ρ、および慣性モーメントIから溶融金属の流速を求めることができる。
なお、前記慣性モーメントIは、羽根車に固有の値である。そのため、流速および密度が既知である水中などにおいて羽根車の角速度を測定することにより、前記慣性モーメントIを求めることができる。その際の流速の測定には、溶融金属のような高温流体中ではないため、一般的な流速計を使用することができる。
なお、流速の測定は、特に限定されることなく任意のタイミングで行うことができる。例えば、所定の時間における回転速度の平均値を用いて流速を算出することもできる。その場合、平均値を求める時間の長さは特に限定されず、任意に設定できる(例えば、1秒〜10秒など)。平均値を求める時間の長さを短くすれば、溶融金属の流れが非定常状態であるような場合における流速の動的な変化を連続的に測定することも可能である。
[移動手段]
本発明の一実施形態においては、上記流速計は、前記羽根車、磁気センサ、および冷却装置を移動させる移動装置をさらに備えることができる。移動装置としては、特に限定されず、羽根車などを移動させることができるものであれば任意のものを用いることができる。広い範囲を移動させる場合には、例えば、レール上を走行させることによって移動させる形態とすることもできる。
前記移動手段は、1方向(1軸)のみに移動可能であってもよいが、2方向(XY軸)以上の方向に移動可能であることが好ましく、3方向(XYZ軸)に移動可能であることがより好ましい。これにより、流速分布を容易に測定することが可能となる。
流速の測定においては、前記羽根車の位置を変えて複数の位置における流速を測定することができる。これにより、溶融金属の内部における2次元的、または3次元的な流速分布を測定することができる。また、本発明の一実施形態における溶融金属用流速計は、前記移動手段を自動制御する自動位置制御手段を備えることもできる。これにより、溶融金属の内部における2次元的、または3次元的な流速分布を自動的測定することもできる。
[羽根車の向き]
本発明の一実施形態においては、前記羽根車の向きを変更可能とすることが好ましい。羽根車の向きが変更可能であれば、溶融金属中における任意の方向の流速を測定することが可能となる。羽根車の向きの変更は任意の方法で行えばよく、例えば、溶融金属用流速計の使用者(作業者)が所望の向きとなるように羽根車の向きを調節することも可能である。しかし、測定の効率化や測定精度向上の観点からは、溶融金属用流速計が、羽根車の向きを制御するための方向制御装置を備えることが好ましい。
流速の測定においては、前記羽根車の向きを変えて複数の方向における流速を測定することができる。これにより、溶融金属の内部における任意の方向での流速を測定することが可能となる。また、3次元的な流速ベクトルを測定することもできる。また、本発明の一実施形態における溶融金属用流速計は、前記方向制御装置を自動制御する自動方向制御手段を備えることもできる。これにより、溶融金属の内部における流速を複数の向きで自動測定し、流速ベクトルを自動的に求めることもできる。
さらに、本発明の一実施形態における溶融金属用流速計は、前記移動手段を自動制御する自動位置制御手段と、前記方向制御装置を自動制御する自動方向制御手段の両者を備えることもできる。これにより、溶融金属内部の複数の位置における流速ベクトルを自動測定し、溶融金属内部における流れを詳細に分析することも可能となる。
[断熱材]
本発明の一実施形態においては、上記流速計は、さらに断熱材を備えることができる。前記断熱材は任意の位置に設けることができるが、磁気センサへの熱の影響を抑制するように設置することが好ましい。例えば、磁気センサが容器の内部に収容されている場合には、該容器の壁面に前記断熱材を設けることが好ましい。また、後述するように冷媒の流路を備えた二重管の内部に磁気センサを設置する場合には、該二重管の外側の管の少なくとも1部に断熱材を設けることが好ましい。例えば、二重管の外側の管を、外部の溶融金属と接する側の金属と、断熱材と、内部の冷媒と接する側の金属とを積層した構造とすることもできる。
前記断熱材としては、任意のものを用いることができるが、耐熱性御観点からは無機系断熱材を用いることが好ましい。前記無機系断熱材の例としては、グラスウール、ロックウール、ケイ酸カルシウム、パーライトなどを挙げることができる。
[他の高温流体への適用]
ここまでで説明した本発明の流速計は、溶融金属、特に400℃以上であるような高温の溶融金属中における流速を測定するためのものであった。しかし、上記流速計は、他の高温流体中における流速の測定に用いることも可能である。したがって、本発明の別の実施形態としては、上述した溶融金属用流速計と同じ構造を有する、高温流体用流速計が挙げられる。
前記高温流体としては、特に限定されることなく任意の高温流体を対象とすることができる。中でも、温度が400℃以上であるような高温流体を対象とする場合、前記流速計を用いることは極めて有効である。前記高温流体の例としては、例えば、溶融塩が挙げられる。
次に、本発明の好適な実施形態の例を、図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における溶融金属用流量計1の構造を示す模式図である。羽根車10は、基部11から放射線状に伸びるように、周方向に等間隔に設置された羽根12と、羽根12のそれぞれの先端に設けられた永久磁石13を備えている。基部11には回転軸14が設けられており、回転軸14を中心に羽根車10が回転自在となるよう、支持枠20に指示されている。
支持枠20の上部には、羽根車10の直上かつ羽根車10の回転面内に、垂直に二重管30が固定されている。二重管30の羽根車10側の先端内部には、磁気センサ40が配置されており、磁気センサ40は、二重管を通って供給される冷媒によって冷却される。冷媒の供給は、溶融金属の熱の影響を受けにくい二重管30の内側の空間を通って行い、磁気センサ40の冷却を行った後の廃冷媒は二重管40の外側の空間を通って排出される。
磁気センサ40からは、磁石13を検知した信号を送出するための信号線41が流量計の外部まで伸びており、外部に設置された演算装置50に接続されている。演算装置50は、磁気センサ40が磁石13を検知した信号から、流速を求める。
図2は、羽根車10を、上方から(磁気センサ40から回転軸14の方向へ向かって)見たときの構造を示す模式図である。本実施形態における溶融金属用流速計1は、軸流式の羽根車10を用いた流速計であり、図1(b)の紙面に垂直な方向における溶融金属の流速が測定される。したがって、溶融金属の流れを受けて羽根車10が回転するように、羽根12は、図2に示したように所定の取り付け角度θで基部11に取り付けられている。
羽根12の取り付け角度θは特に限定されないが、溶融金属の流れをより効率的に羽根車10の回転に変化するという観点からは、θを30〜60°とすることが好ましく、40〜50°とすることがより好ましく、43〜47°とすることがさらに好ましい。
図3は、本発明の第1の実施形態における流量測定方法を示す模式図であり、図1に示した溶融金属用流量計1を、溶融亜鉛めっきに用いられる溶融亜鉛ポット100内における溶融亜鉛110の流速測定に使用する方法の一例を示している。溶融亜鉛110は、溶融亜鉛ポット100内に収容されており、溶融亜鉛ポット100の上には作業者が作業を行うための作業デッキ120が設置されている。また、溶融亜鉛ポット100内には、鋼帯Sの溶融亜鉛めっきを行うための浴中ロール130が設置されている。
作業者は、溶融金属用流量計1の羽根車10が、溶融亜鉛ポット100内の流速を測定したい位置と方向となるように溶融金属用流量計1を保持し、その状態で測定を行う。溶融亜鉛ポット100は、一般的に3m程度の深さがあるため、二重管30は、2m以上の長さを有することが好ましく、2.5m以上の長さを有することがより好ましい。このように本発明によれば、高温の溶融金属中において、任意の位置における流速をピンポイントで測定することができる。したがって、溶融金属用流量計1の位置を変更して複数回測定を行うことにより、溶融亜鉛ポット100内の流速分布を測定することもできる。
また、これまで、このような溶融金属槽内の流速分布を実測することが困難であったため、シミュレーションによって流速分布を求めていた。そこで、本発明によれば、上述したように流速分布を実測することができるため、その測定結果をシミュレーションの結果と比較することにより、シミュレーションの妥当性評価や、校正、改良指針の決定を行うこともできる。
さらに、通常のシミュレーションは、定常状態における流速分布を求めるものであるが、実際の溶融めっきにおける各種のトラブルは、より複雑な非定常状態における流速変化に起因する場合が多いと考えられる。そこで、本発明によれば、非定常状態における流速を、任意の位置で直接測定することができるため、溶融めっきなどの高温の溶融金属中における諸現象の解析に極めて有効である。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態における流量測定方法を示す模式図である。本実施形態では、溶融金属用流量計1が、さらに移動装置段200を備えている。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
移動装置200は、溶融亜鉛ポット100の上に設置された複数のレール210と、駆動装置220とを備えている。流速計1の二重管30は、駆動装置220に保持されており、駆動手段220によってXYZの3方向に羽根車10の位置を移動させることができる。これにより、人手によらず、任意の位置の流速を測定することができ、より容易に流速分布を測定することもできる。
図1、2に示した構造の流速計を使用して、実際に溶融金属の流速を測定した。前記溶融金属としては、温度460〜500℃の溶融亜鉛を使用した。羽根車は、厚さ3mmのステンレス鋼板からなる羽根6枚を、円周方向に等間隔(60°間隔)に取り付けた軸流式の羽根車とし、羽根の取り付け角度θは45°とした。前記6枚の羽根それぞれの先端には、図1に示したようにサマリウムコバルト磁石を取り付けた。
前記サマリウムコバルト磁石と対向するように、二重管の羽根車側先端内部には磁気センサを設置した。前記磁気センサとしては、大同特殊鋼社性ナノグラニュラーTMR型磁気センサJ01を使用した。前記二重管の外側の管は磁気センサが設置されている側の先端が閉じた構造であり、したがって磁気センサは溶融金属と接触しない。前記二重管は、前記羽根と同様にステンレス鋼製とした。
前記二重管には、冷媒として室温(常温)の空気を流して、磁気センサを冷却した。前記冷媒としての空気は、図1(b)に示したように、二重管の内側の管を通じて先端へ送り、二重管の外側の管と内側の管との間の空間を通して排出した。
流速は、磁気センサによって測定された羽根車の角速度から、(1)式の関係に基づいて算出した。なお、羽根車に固有の値である慣性モーメントIは、流速および密度が既知である常温の水中において羽根車の角速度を測定することにより予め求めて置いた値を使用した。言い換えると、(1)式における未知の係数部分は、水中における事前の測定によって得た係数に、水と溶融金属との密度の比を乗ずることによって求めた。なお、その際、水中における流速は、汎用流速計AEM−1D(JFEアドバンテック社製)を用いて測定した。
その後、実際の溶融亜鉛中において流速を測定した。上記のように冷媒としての空気で磁気センサを冷却しながら測定を行うことにより、高温の溶融金属中においても正常に測定を行うことができた。なお、磁気センサによって測定された羽根の通過回数は2.68回/秒であり、この値を元に算出された溶融亜鉛の流速は0.0879m/秒であった。
1 溶融金属用流量計
10 羽根車
11 基部
12 羽根
13 磁石
14 回転軸
20 支持枠
30 二重管
40 磁気センサ
41 信号線
50 演算装置
100 溶融亜鉛ポット
110 溶融亜鉛
120 作業デッキ
130 浴中ロール
200 移動装置
210 レール
220 駆動手段

Claims (11)

  1. 複数の羽根と前記複数の羽根の少なくとも1つに設けられた磁石とを備える羽根車と、
    前記磁石の磁気を検知する磁気センサと、
    前記磁気センサを冷却する冷却装置とを備える、溶融金属用流速計。
  2. 前記羽根が、非磁性材料からなる、請求項1に記載の溶融金属用流速計。
  3. 前記冷却装置が、冷媒との熱交換によって前記磁気センサを冷却する冷媒式冷却装置である、請求項1または2に記載の溶融金属用流速計。
  4. 前記磁石が、キュリー点が700℃以上の永久磁石である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融金属用流速計。
  5. さらに、前記磁気センサからの出力から流速を求める演算装置を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融金属用流速計。
  6. さらに、前記羽根車、磁気センサ、および冷却装置を移動させる移動装置を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶融金属用流速計。
  7. 前記羽根車の向きが変更可能である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶融金属用流速計。
  8. 複数の羽根と前記複数の羽根の少なくとも1つに設けられた磁石とを備える羽根車を溶融金属中に浸漬し、
    前記羽根車の回転を磁気センサによって検出することによって前記溶融金属の流速を測定する溶融金属の流速測定方法であって、
    前記測定を、前記磁気センサを冷却しながら行う、溶融金属の流速測定方法。
  9. 前記磁石として、キュリー点が前記溶融金属の温度より高い永久磁石を用いる、請求項8に記載の溶融金属の流速測定方法。
  10. 前記測定において、前記羽根車の位置を変えて複数の位置における流速を測定する、請求項8または9に記載の溶融金属の流速測定方法。
  11. 前記測定において、前記羽根車の向きを変えて複数の方向における流速を測定する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の溶融金属の流速測定方法。

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