以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る医療デバイス1は、図4に示すように、生体管腔である血管Hに形成された狭窄部(物体)Sや閉塞部を切削する処置に用いることができる。本明細書では、医療デバイス1の生体管腔に挿入する側を先端側(遠位側)と称し、手元での操作がなされる側を基端側(近位側)と称する。
図1に示すように、医療デバイス1は、生体管腔内に導入可能な長尺状のチューブ(カテーテル)80を有している。図2A、図2Bに示すように、チューブ80の先端部には、狭窄部Sに切削力を作用させる切削端21を備える回転体20と、先端が切削端21から突出する位置に配置された性状切り替え部30と、性状切り替え部30を所定の位置において保持する保持部40と、回転体20の基端側に配置された回転受け部(本体部に相当する)50と、切削端21による切削を補助する切削補助部60とが配置されている。
本実形態においては、性状切り替え部30は、回転体20の切削端21が処置対象部位である狭窄部S以外の生体組織等に不用意に接触するのを防止する保護部として構成されている。以下、性状切り替え部30を保護部30として説明する。
回転体20は、内部が中空な筒形状を有している。回転体20の先端に配置された切削端21は、先端側に向けて突出した鋭利な刃により構成されている。図2Aに示すように、回転体20の側面には、回転体20の内外に連通する側孔23が配置されている。
回転体20は、例えば、生体適合性を備える公知の金属材料や樹脂材料、セラミックスなどによって構成することが可能である。金属材料としては、例えば、ステンレス、ニッケルチタン(チタン合金)、タングステン、コバルトクロム、チタン、タングステンカーバイトが挙げられ、これらの金属の表面に窒化処理等の表面処理を施して、母材よりもその表面の硬度を向上させたものを用いることができる。なお、切削端21は、例えば、同種または異種金属を多層に配置した多層構造で構成してもよい。樹脂材料としては、例えば、BS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、PEEK、ポリカーボネート、アクリル、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリルスチレン、これらの樹脂材料にガラス繊維等の添加物を含有させて強度を向上させたものを用いることができる。
回転体20が備える切削端21は、凹凸状に切り欠いた形状(ノコギリ状)の刃面21aを有している。刃面21aは、回転体20の周方向に沿って配置されている。なお、切削端21が備える刃面21aは、狭窄部Sに切削力を付与することが可能であれば、形状、厚み、長さ、材質等は特に限定されない。ただし、切削端21のように刃面21aがノコギリ状である場合、狭窄部Sを細かく破砕することが可能になるため、狭窄部Sの切削を効率良く行うことが可能になる。
図1および図2Bに示すように、回転体20は、回転駆動される駆動シャフト(長尺部材に相当)10の先端側に配置している。回転体20は、駆動シャフト10の回転に伴って回転される。
図2Bに示すように、駆動シャフト10は、芯材(芯金)11と、芯材11に固定された補強体12と、を有している。芯材11は、例えば、ステンレス等の公知の金属材料により形成することができる。補強体12は、ステンレス等の公知の金属材料を螺旋状に加工したもので形成することができる。補強体12は、例えば、接着剤による接着、はんだ付け等の公知の方法により芯材11の外表面に固着させることができる。
図2Bに示すように、駆動シャフト10の先端部は、複数の固定部b1を介して回転体20の内面に固定している。駆動シャフト10の先端部は、回転体20の内面に固定されており、チューブ80の中心軸C1から外方側に偏心した位置に配置されている。固定部b1における固定は、例えば、接着剤による接着、融着、溶着等の方法で行うことができる。
図1に示すように、駆動シャフト10の基端部は、所定のコネクタ(図示省略)を介して外部駆動装置180と接続可能に構成している。外部駆動装置180は、駆動シャフト10を回転させる回転力を発生させる公知の電気モータ等により構成される駆動源を備えている。外部駆動装置180が発生させた回転力が駆動シャフト10に付与されると、回転力が駆動シャフト10の基端側から先端側に伝達されて、駆動シャフト10の先端部に配置された回転体20が回転する。回転体20が回転すると、回転体20の先端に配置された切削端21により狭窄部Sに対して切削力を作用させることが可能になる(図4Bを参照)。
外部駆動装置180および後述する吸引装置190の動作制御は、例えば、図示省略する制御部により行うことが可能である。制御部としては、例えば、CPU、RAM、ROM等でなる公知のマイクロコンピュータにより構成されたものを用いることができる。また、制御部は、例えば、外部駆動装置180や吸引装置190に実装させたものでもよいし、外部駆動装置180や吸引装置190とは別の装置に組み込まれて、各装置180、190との間で有線または無線により制御信号等の送受信を行うものでもよい。
図1に示すように、チューブ80の基端部には手元操作部150を設けている。手元操作部150は、ハブ151と、ハブ151に設けられたコネクタ部153と、コネクタ部153に設けられたポート155と、を有している。
コネクタ部153は、例えば、医療分野において公知であるYコネクタによって構成することが可能である。ポート155には、ポート155内外における流体の流通を制御するための三方活栓を配置している。ポート155は、例えば、流体が流通可能なチューブ191を介して吸引装置190と連結することができる。吸引装置190は、例えば、負圧を発生させることが可能な公知の流体吸引ポンプなどで構成することが可能である。
図2Bおよび図3Bに示すように、チューブ80は、当該チューブ80の延伸方向に延在する内腔85を備えている。内腔85は、ハブ151の内部と連通している。チューブ80の内腔85には駆動シャフト10を挿通している。駆動シャフト10は、図2Bに示すように、先端部が回転体20に固定されている。また、駆動シャフト10は、図1に示すように、基端側がチューブ80の内腔85およびハブ151を挿通して、ハブ151の基端ポート152から外部へ導出されている。ハブ151の基端部には、基端ポート152から流体等が漏洩するのを防止する弁体157を配置している。
医療デバイス1を生体管腔内に導入する際にガイドワイヤを使用して医療デバイス1の送達を行う場合、例えば、チューブ80の内腔85にガイドワイヤを挿通することができる。また、例えば、弁体157やハブ151等には、駆動シャフト10と干渉させずにガイドワイヤを医療デバイス1の基端から導出させるためのポートを適宜設けることが可能である。
回転体20に駆動力を伝達する長尺部材は、当該長尺部材の基端側から先端側(手元操作部150側から回転体20側)へ回転駆動力を伝達することが可能であれば構造や材質等は特に限定されず、駆動シャフト10以外のものであってもよい。例えば、長尺部材を樹脂材料等で構成することが可能である。長尺部材を樹脂材料で構成する場合、例えば、単層または複数の層で構成された樹脂製のチューブや、樹脂製のチューブにブレード等の補強部材を付加したものを用いることが可能である。また、例えば、スパイラル加工された金属パイプ、密着コイルバネ、これらの部材に樹脂製のチューブ等を被覆したものを長尺部材として用いることも可能である。
図2Aおよび図2Bに示すように、保護部(性状切り替え部)30は、外部から外力が付加されていない状態においては回転体20の切削端21よりも先端側に突出される中空状の先端部31と、回転体20の基端部に固定された中空状の基端部33と、先端部31と基端部33との間に延在する伸縮変形部35と、を有している。
伸縮変形部35は、回転受け部50の延在方向(図2B中の左右方向)に沿って伸縮可能な中空状のコイルバネによって構成している。伸縮変形部35を構成するコイルバネは、延在方向に所定の間隔が設けられた隙間35gを有している。
伸縮変形部35は、保護部30の位置を保持し、かつ、保護部30の位置を可変させる保持部40としての機能を有している。本実施形態においては、保持部40(伸縮変形部35)の先端部により保護部30が構成されている。つまり、保持部40と保護部30とは一つの部材により一体的に構成している。
保護部30および保持部40(伸縮変形部35)は、例えば、生体適合性を備える公知の金属材料や樹脂材料によって構成することが可能である。なお、保持部40は、例えば、保護部30とは別部材で構成することも可能である。また、保持部40は、伸縮変形可能なものであれば特に材質や構造等は限定されず、板バネ、樹脂製のゴム、スポンジ、金属パイプにスパイラル加工等を施して構成されるバネなどのような弾性変形可能な部材で構成することも可能である。
保護部30の基端部は、固定部b2を介して回転体20の内面に固定している。固定部b2における固定は、例えば、接着剤による接着、融着、溶着等の方法で行うことができる。
保護部30は、切削端21から突出した状態では、切削端21が狭窄部S以外の生体組織等と接触するのを防止する。保持部40は、保護部30が狭窄部Sに押し付けられた際に、押し付け力に応じて切削端21と同一平面上もしくは切削端21よりも狭窄部Sから離間する位置へ保護部30(保護部30の先端部31)を移動させるように保持を行う(図5Aを参照)。保護部30が切削端21と同一平面上もしくは切削端21よりも狭窄部Sから離間する位置へ移動すると、切削端21が狭窄部Sと接触可能な状態となるため、狭窄部Sに対して切削力を付与することが可能になる。つまり、保護部30は、切削端21を、当該切削端21が生体組織等に接触するのを防止可能な性状(状態)と、当該切削端21により狭窄部Sを切削可能な性状(状態)とに可逆的に切り替える機能を有している。
なお、上記の「性状を切り替える」とは、切削端21による切削可能な性状と切削端21と生体組織の接触を防止する性状とを切り替えることのみを意味するものではなく、切削端21が生体組織や狭窄部Sに及ぼす影響を切り替えることを広く意味する。例えば、後述する変形例において説明するように、切削端21自体により狭窄部Sを切削することが可能な性状と、切削端21以外の部材により狭窄部Sを切削することが可能な性状とに切り替えることも上記の「性状を切り替える」ことに含まれる。
保護部30は、外部から負荷が掛かっていない状態では、例えば、切削端21から0.5mm突出するように構成することができる。また、狭窄部Sに対する押し付けに伴って切削端21よりも狭窄部Sから離間する位置へ移動する場合、例えば、切削端21から0.3mm離間するように構成することができる。なお、例示したこれらの寸法は、一例であり、これらの寸法に特に限定されることはない。
図2A、図2Bに示すように、回転受け部50は、先端開口部51と、基端開口部53と、先端開口部51と基端開口部53との間に連なるルーメン55と、側面に配置された側孔56と、を有している。
回転受け部50の先端側の内面には、管壁の肉厚が他の部分よりも薄くなった段差部分を設けている。段差部分には、回転体20の基端部を差し込んでいる。
回転受け部50内における回転体20やチューブ80等の配置や固定構造等は適宜変更することができる。例えば、回転受け部50に段差部分を設けず、回転受け部50にチューブ80を差し込み、チューブ80により回転受け部50の内径を狭めて段差部分を設けて、この段差部分に回転体20を差し込むように配置してもよい。
回転体20の内部と回転受け部50のルーメン55は連通している。回転受け部50の側孔56は、回転体20が回転して、回転体20の側孔23が重なる位置に配置されると、伸縮変形部35に配置された隙間35gの一部を外部に露出させる(図2Aに示す状態)。
回転体20が回転する際、回転体20の基端部は回転受け部50の内面によって支持される。回転体20の基端部が回転受け部50によって支持されることにより、回転体20の回転軸が安定するため、回転体20が円滑に回転する。なお、回転受け部50は回転体20とは固定されていないため、回転体20が回転する際に回転受け部50は回転しない。
回転受け部50の基端側にはチューブ80の先端を挿入している。チューブ80の先端(外層82の先端)は回転受け部50の内面に固定している。チューブ80と回転体20との固定は、例えば、接着剤による接着、融着、溶着等の方法で行うことができる。
図3Bに示すように、チューブ80は、チューブ本体81と、チューブ本体81を覆う外層82と、を有している。
チューブ本体81の先端側には第1スリット81aを配置しており、第1スリット81aの基端側には第2スリット81bを配置している。第1スリット81aは、第2スリット81bよりもスリット間隔が小さい。チューブ本体81の先端側は、第1スリット81aが配置されていることにより、先端側が比較的大きな曲率で湾曲可能となっている。一方、チューブ本体81の基端側は、第2スリット81bが配置されていることにより、比較的小さな曲率で湾曲可能となっている。チューブ本体81は、例えば、公知の金属材料や硬質の樹脂材料などによって構成することが可能である。
外層82は、チューブ80に柔軟性を付加し、さらに生体組織とチューブ80とが接触する際に生体組織を保護する。また、外層82は、チューブ80内に流入したデブリD等がチューブ80から排出されるのを防止する。外層82としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの公知の樹脂材料で構成された中空状のチューブを用いることができる。
図2Bに示すように、切削補助部60は、先端が保護部30の先端から突出するように配置されており、基端が保持部40の基端部に固定されている。切削補助部60の基端は、固定部b3を介して保持部40の内面に固定している。固定部b3における固定は、例えば、接着剤による接着、融着、溶着等の方法で行うことができる。切削補助部60の基端を、保護部30の伸縮変形部35よりも基端側の位置に固定しているため、切削補助部60を狭窄部Sに押し付けた際に伸縮変形部35に過度な力が掛かるのを防止することができる。これにより、伸縮変形部35に破損等が生じるのを好適に防止することができる。
切削補助部60は、中空状である。また、図3Aに示すように、正面視において、周方向の一部に切欠きが設けられた略U字形の形状を有している。なお、本実施形態の医療デバイス1においては、切削補助部60は、保持部40の伸縮変形(軸方向への変形)に関わらず保護部30の先端部31から突出するように配置されている。このため、切削補助部60により生体組織が不用意に損傷等することのないように、切削補助部60は、ノコギリ状の刃面21aを備える回転体20の切削端21と比較して切削力が低く抑えられた形状を備えるもので構成することが好ましい。
切削補助部60の形状や大きさ、切削補助部60と保護部30との位置関係等は、図示したものに限定されず、適宜変更することが可能である。例えば、中実な構造を備える切削補助部を使用したり、回転体20等に挿通されるガイドワイヤとの干渉が生じるのを防止し得るように形状や配置等を変更したりすることが可能である。
図2Bに示すように、切削補助部60は、保持部40の基端部(保護部30の基端部33)を介して間接的に回転体20に固定している。回転体20が回転すると、その回転に連動して保持部40が回転し、さらに切削補助部60も回転する。切削を行う際、切削補助部60は、切削端21に先立って切削対象となる狭窄部S内に入り込み、狭窄部S内に切り込みを形成する。切り込みが形成された状態で回転体20の切削端21を狭窄部Sに対して押し付けると、切り込みが形成されていない場合と比較して、容易に狭窄部Sを切削することが可能になる。また、切削補助部60が狭窄部S内に入り込んだ状態で、狭窄部Sに切削端21を押し付けると、切削補助部60が狭窄部Sに対して回転体20を支持するため、回転体20の回転軸のずれが抑えられる。これにより、特に処置対象部位となる狭窄部Sが石灰化病変であるような場合に、回転体20の切削端21による切削を効率良く行うことが可能になる。
次に、図4A〜図4Cおよび図5A、図5Bを参照して、医療デバイス1を使用した処置方法を説明する。ここでは、血管Hに形成された狭窄部Sを切削する方法を例に挙げて説明する。
まず、図4Aに示すようにガイディングシース170を狭窄部S付近まで導入する。ガイディングシース170は、ガイディングシース170の導入に先立って導入されたガイドワイヤ(図示省略)に沿わせて、狭窄部S付近まで送達することができる。なお、ガイディングシース170の送達に際して、ガイドワイヤの使用は適宜省略することが可能である。
次に、ガイディングシース170を介して医療デバイス1を狭窄部S付近まで送達する。この際、ガイドワイヤを、ハブ151、チューブ80、保護部30および保持部40の内部に挿通させることで、ガイドワイヤに沿わせて医療デバイス1を送達することができる。医療デバイス1を狭窄部S付近まで送達している間は、保護部30および保持部40に対して外力が付加されていない状態であるため、図2Aおよび図2Bに示すように、保護部30は回転体20の切削端21から突出した状態となる。したがって、切削端21が血管壁の正常な生体組織などに不用意に接触するのを防止することができる。
次に、図4Bに示すように、回転体20を矢印rで示すように回転させながら、医療デバイス1を先端側から狭窄部Sに対して押し付ける。図5Aに示すように、保護部30が狭窄部Sに対して押し付けられることにより基端側へ向けて押し付け力f1が付加されると、その押し付け力f1が保護部30を保持する保持部40に伝わり、保持部40が基端側へ収縮する。保持部40が収縮すると、保護部30が回転体20の内部へ引き込まれるように移動する。そして、保護部30の先端が切削端21と同一平面上もしくは切削端21よりも狭窄部Sから離間する位置まで移動し、保護部30よりも切削端21が先端側に突出した状態になると、切削端21から狭窄部Sに対して切削力を付与することが可能になるため、狭窄部Sの狭窄物(例えば、プラークや血栓)を削り取ることができる。
切削端21を回転させて狭窄部Sの狭窄物を削り取る際に、例えば、図1に示す吸引装置190を作動させて、削り取った狭窄物(デブリ)Dを回転体20の内部に吸引することができる。デブリDは、回転体20の先端開口部を経由して回転体20の内部へ流入し、さらに、回転体20の基端側に連通するチューブ80を経由して基端側へ向けて移動し、吸引装置190で回収される。この際、回転体20の回転により誘起される対流により、回転体20の内部へデブリDを引き込む吸引力が増幅されるため、デブリDが回転体20の内部へ向けて円滑に移動する。
また、図5Bに示すように、デブリDは、回転受け部50に配置された側孔56、回転体20に配置された側孔23、および伸縮変形部35に配置された隙間35gを経由して、保護部30の内部へ吸引される。回転体20の先端側および保護部30の側面側からデブリDを吸引することにより、デブリDを効率良く回収することができ、回転体20の周囲に削り屑としてのデブリDが滞留するのを防止することができる。このため、回転体20の切削端21にデブリDが付着等するのを防止でき、切削端21が狭窄部Sに対して作用させる切削力を高めることが可能になる。
切削補助部60は、回転体20により狭窄部Sの切削が行われる際、回転体20に連動して回転しつつ、回転体20よりも先端側で狭窄部Sに対して切削力を付与する。狭窄部Sにおいて回転体20が切削力を作用させる部分は、切削補助部60によって予め切削がなされた状態となっている。このため、回転体20の切削端21が接触する部分では、狭窄部Sが脆くなっているため、接触に伴って回転体20の回転が阻害されるのを防止でき、回転体20による切削を円滑に進行することが可能になる。例えば、狭窄部Sが比較的硬質に形成されている場合においても、切削補助部60により補助的な切削がなされた部分に対して回転体20の切削端21を接触させることで、狭窄部Sに対して十分な切削力を作用させることが可能になる。
図5Aに示すように、駆動シャフト10は、回転する際、その回転軸がチューブ80の中心軸C1から偏心した位置にずれる。このように偏心した位置にずれる理由は、駆動シャフト10をチューブ80の中心軸C1よりも外周側に位置する回転体20の内面に固定しているためである。駆動シャフト10の回転軌道は、矢印r1で示す楕円軌道となる。駆動シャフト10は、楕円軌道を描いて回転しつつ、回転体20の内部およびチューブ80の内部に流入したデブリDに対してせん断力を作用させる。デブリDは、このせん断力が作用することにより、細かく破砕される。デブリDが破砕されることにより、回転体20の内部やチューブ80の内部にデブリDの詰まりが発生するのを防止できる。そして、デブリDの詰まりに伴う吸引力の低下が発生するのを防止することで、チューブ80の基端側へデブリDを円滑に移動させることが可能になる。なお、駆動シャフト10は、チューブ80の内腔85の延在方向に沿って挿通しているため、チューブ80の延在方向の各所においてデブリDにせん断力を付与することができる。したがって、デブリDは基端側へ行くほど細かく破砕されるため、比較的多量のデブリDが短時間の間にチューブ80内に吸引されるような場合においても、デブリDの詰まりが発生するのを好適に防止することが可能になる。
図4Cに示すように、狭窄部Sに対して回転体20の切削端21を押し付けるようにして医療デバイス1を先端側へ移動させる。この作業を行うことにより、延在方向に沿って狭窄部Sを切削することができる。狭窄部Sに対する切削処置が完了したのを確認した後、医療デバイス1は生体外へ適宜抜去する。なお、引き続き他の狭窄部Sに対する切削処置を実施することも可能である。
以上のように、本実施形態に係る医療デバイス1は、回転可能な駆動シャフト10と、狭窄部Sに切削力を作用させる切削端21を備えるとともに駆動シャフト10の先端側に配置されて駆動シャフト10の回転に伴って回転される回転体20と、先端が切削端21から突出する位置に配置された性状切り替え部30と、性状切り替え部30が狭窄部Sに押し付けられた際に、押し付け力に応じて切削端21と同一平面上もしくは切削端21よりも狭窄部Sから離間する位置へ移動するように性状切り替え部30を保持する保持部40と、を有している。
上記のように構成された医療デバイス1によれば、切削対象となる狭窄部Sに対して性状切り替え部30を押し付ける押し付け力を調整することにより、医療デバイス1を血管Hから取り出すことなく切削端21の性状を容易に切り替えることができる。これにより、切削端21の性状を切り替える作業に要する手間を省くことができ、円滑かつ迅速に手技を実施することが可能になる。また、狭窄部Sの性状等に応じて切削端21の性状を適宜に切り替えながら処置を進めることが可能になるため、医療デバイス1を使用した手技の治療効果の向上を図ることができる。
また、性状切り替え部30が切削端21を保護する保護部30として構成されている場合、切削対象となる狭窄部Sに対して保護部30を押し付ける押し付け力を調整することにより、回転体20の切削端21から保護部30が突出した状態と、切削端21と同一平面上もしくは切削端21よりも狭窄部Sから離間した位置へ保護部30が移動した状態と、を可逆的に切り替えることができる。切削端21から保護部30を突出させた状態とすることにより、切削端21が狭窄部以外の生体組織(例えば、正常な生体組織)等に不用意に接触するのを防止することができるため、処置を行う際に術者が過度な注意を払う必要がなくなる。これにより、迅速な処置を実現することができ、かつ、処置に伴う患者への負担を軽減することが可能になる。
また、回転体20の基端には当該回転体20の内部に連通するルーメン55を有する回転受け部50が配置されており、保持部40は回転受け部50の延在方向に沿って伸縮変形可能に構成されている。このため、保護部30を狭窄部Sに対して押し付ける操作と、押し付けた状態を解除する操作とに連動させて保持部40を伸縮変形させることにより、切削端21から突出した位置と、切削端21と同一平面上もしくは切削端21よりも狭窄部Sから離間した位置へ保護部30を可逆的に移動させることが可能になる。
また、回転受け部50は、先端開口部51、基端開口部53、および先端開口部51と基端開口部53に連なるルーメン55を備える筒形状を有しており、保持部40の少なくとも一部が回転受け部50に挿入されており、保護部30が保持部40の伸縮変形によって回転受け部50の内外方向(軸方向)へ移動可能に構成されている。このため、保持部40の伸縮変形に伴わせて回転受け部50の内外へ保護部30を移動させることができ、回転受け部50からの保護部30の突出量を調整して、回転体20の切削端21による切削が可能な状態と、切削端21による切削が制限される状態とを切り替えることができる。
また、保持部40が中空状のバネによって構成されており、保護部30が保持部40の先端部に一体的に設けられている。このため、バネを弾性変形させることにより、保持部40を容易に移動させることが可能になる。また、保護部30および保持部40が一体的に設けられることにより、部材点数の増加を抑えることができるため、製造コストの削減を図ることが可能になる。
また、回転受け部50の側面には保持部40の内部と当該回転受け部50の外部とを連通させる側孔56が配置されている。このため、狭窄部Sの切削を行った際に発生するデブリDを保持部40内へ効率良く回収することが可能になるため、デブリDの発生に起因する切削力の低下を抑制することが可能になる。
また、医療デバイス1は、回転体20に配置され切削端21による切削を補助する切削補助部60をさらに有しており、切削補助部60の先端側は保護部30の先端から突出するように配置されており、切削補助部60の基端側は保持部40の基端側に固定されている。このため、切削補助部60により、狭窄部Sの切削効率を高めることができる。
また、回転体20が備える切削端21が凹凸状に切り欠いた形状の刃面21aを有しているため、狭窄部Sを細かく破砕することができ、処置対象部位となる狭窄部Sが石灰化病変であるような場合においても狭窄部Sの切削を効率良く行うことが可能になる。
本実施形態に係る処置方法は、狭窄部Sに切削力を作用させる切削端21を備える回転体20の先端側に性状切り替え部30を突出させた状態とし、性状切り替え部30を狭窄部Sに押し付けることにより、切削端21と同一平面上もしくは切削端21よりも狭窄部Sから離間する位置へ性状切り替え部30を移動させる工程と、性状切り替え部30を移動させた状態で切削端21により狭窄部Sを切削する工程と、を有している。
上記の処置方法によれば、切削対象となる狭窄部Sに対して性状切り替え部30を押し付ける押し付け力を調整することにより、切削端21の性状の切り替えが行われる。狭窄部Sの性状等に応じて切削端21の性状を適宜に切り替えながら処置を進めることができる。したがって、本方法によれば、円滑かつ迅速な手技の実施と治療効果の向上を図ることが可能になる。
また、性状切り替え部30を保護部30により構成して、切削端21から保護部30を突出させた状態とすることにより、切削端21が狭窄部S以外の生体組織等に不用意に接触するのを防止することができる。そして、保護部30を狭窄部Sに押し付けて切削端21と同一平面上もしくは切削端21よりも物体から離間する位置へ移動させることにより、切削端21による処置を実施することが可能になる。この方法によれば、処置を行う際に術者が過度な注意を払う必要がなくなるため、迅速な処置を実現することができ、処置に伴う患者への負担を軽減することができる。
また、保護部30を移動させる工程は、回転体20の内部に連通するルーメン55を備える回転受け部50の延在方向に沿って、保護部30を保持するための保持部40を収縮変形させて行われる。このため、保護部30を狭窄部Sに対して押し付ける操作と押し付けた状態を解除する操作とに連動させて保持部40を伸縮変形させることができ、さらに保護部30を可逆的に移動させることが可能になる。
また、保持部40の少なくとも一部は、回転受け部50の内部に配置されており、保護部30は、保持部40の伸縮変形によって回転受け部50の内外方向へ移動可能に構成されている。このため、保持部40の伸縮変形に伴わせて回転受け部50の内外へ保護部30を移動させることができ、回転受け部50からの保護部30の突出量を調整して、切削端21による切削が可能な状態と、切削端21による切削が制限される状態とを切り替えることができる。
また、保持部40は、中空状のバネによって構成されており、保護部30は、保持部40の先端部に一体的に設けられている。このため、バネを弾性変形させることにより、保持部40を容易に移動させることが可能になる。また、保護部30および保持部40が一体的に設けられることにより、部材点数の増加を抑えることができるため、製造コストの削減を図ることが可能になる。
また、回転受け部50の側面に配置された側孔56を介して、切削されたデブリDを回転受け部50の内部および保持部40の内部へ導入する工程をさらに有する。このため、狭窄部Sの切削を行った際に発生するデブリDを保持部40の内部へ効率良く回収することができる。これにより、デブリDの発生に起因する切削力の低下を抑制することが可能になる。
また、切削工程は、回転体20に配置された切削補助部60により、切削端21による切削を補助しつつ狭窄部Sを切削する工程を含む。このため、切削補助部60により狭窄部Sの切削を補助することができ、回転体20の切削端21による切削効率を高めることができる。特に、狭窄部Sの石灰化が進行して硬度が高くなっている場合、切削補助部60による切削補助機能が良好に発揮される。
次に、第1実施形態の変形例1に係る医療デバイスを説明する。
図6に示すように、本変形例では、保護部130を回転体20の外面に配置している。保護部130は、略筒状の弾性部材により構成している。弾性部材としては、例えば樹脂製のゴム、スポンジ、弾性変形可能な金属などを用いることができる。
保護部130を構成する弾性部材は、保護部130を保持する保持部40としての機能も有している。
保護部130の基端部は、例えば、回転受け部50の基端部の外面に対して固定することができる。固定は、例えば、接着剤による接着、融着、溶着等の方法で行うことができる。保護部130は、回転体20には固定していないため、回転体20の回転に連動した回転はなされない。
保護部130は、例えば、周方向の一部の肉厚を他の部分よりも厚くすることができる。本変形例においては、周方向の下部側(底面側)の部分130bを上部側の部分130aよりも厚くしている。保護部130の肉厚が厚い部分130bは、肉厚が薄い部分130aと比較して、狭窄部Sの切削を行う際に切削端21の切削力が作用し難くなり、切削が抑制される。したがって、保護部130の肉厚が薄い部分130a側での切削が優先的に進むため、回転体20の進行方向が狭窄部Sの内側(血管の中心から見て外方側)に誘導される。その結果、回転体20の切削端21が、狭窄部Sと対向する側に位置する血管壁の部分(図4A〜図4Cにおいて下部側に位置する部分)と接触するのを防止することが可能になるため、手技の安全性をより一層高めることが可能になる。
なお、保護部130において肉厚が厚い部分130bは、例えば、保護部130の軸直交断面上において、保護部130の中心軸から見て鉛直下方向側に位置する一部に少なくとも配置されていれば、上記の回転体20の移動方向を誘導する機能を発揮することができる。このため、どのような範囲に亘って配置するかは特に限定されない。
次に、第1実施形態の変形例2に係る医療デバイスを説明する。
図7に示すように、本変形例では、回転受け部50の外面に外装可能な弾性部材によって保護部230を構成している。弾性部材としては、例えば、樹脂製のゴム、スポンジ、弾性変形可能な金属などを用いることができる。
保護部230は、内部が中空状であり、回転受け部50の基端部を覆うように外装される。保護部230は、当該保護部230を回転受け部50に外装した状態において、回転受け部50の側孔56の一部を外部に露出させる傾斜状の切り欠き部を有している。保護部230の先端に位置する底部230bは、先端側に突出している。この底部230bは、回転体20の切削端21が狭窄部S以外の生体組織と接触するのを防止する機能を有している。保護部230の基端は、保護部230を回転受け部50に対して保持する保持部40としての機能を有している。
保護部230は、回転体20には固定されていないため、回転体20の回転に連動した回転はなされない。
保護部230の先端部は、底部230b側のみが突出している。このため、狭窄部Sの切削を行う際には、底部230bが先行して狭窄部Sと接触することになる。回転体20の切削端21による切削がなされる際には、前述した変形例1と同様に、底部230b側での切削が抑制されるため、回転体20の進行方向が狭窄部Sの内側(血管の中心から見て外方側)に誘導される。したがって、回転体20の切削端21が、狭窄部Sと対向する側に位置する血管壁の部分と接触するのを防止することが可能になるため、手技の安全性をより一層高めることが可能になる。
以上、変形例1、2に基づいて説明したように、保護部および保持部の構造は、回転体の先端に有する切削端が狭窄部(物体)以外の部位に不用意に接触するのを防止でき、かつ、物体に対して押し付けられることにより、切削端を物体と接触可能な状態に切り替えることが可能な限りにおいて、その具体的な構成は特に限定されない。
次に、第1実施形態の変形例3に係る医療デバイスを説明する。
図8に示すように、本変形例では、回転体120の切削端121には、回転体120の先端側に向かって肉厚が薄くなるテーパー状の刃面121aを設けている。
刃面121aは、例えば、医療分野の生検器具等に使用されるトレパン刃面(先端側に向けて先細るテーパー状を備え、先端面が平滑な刃面)と同様の形状とすることができる。切削端121がこのような刃面121aを備えることにより、狭窄部Sを切削する際に、回転させながら刃面121aを狭窄部Sに押し付けることにより、狭窄部S内に円滑に進入させることができ、かつ、狭窄部Sを切り取るように切削力を作用させることが可能になる。これにより、狭窄部Sが軟質組織などである場合においても、狭窄部Sの切削を効率良く行うことができる。
次に、第1実施形態の変形例4に係る医療デバイスを説明する。
図9に示すように、本変形例では、性状切り替え部330の先端に、狭窄部Sに切削力を作用させる切削部331を設けている。性状切り替え部330に切削部331を設けているため、性状切り替え部330を狭窄部Sに押し付けることで、狭窄部Sを切削することが可能である。
例えば、性状切り替え部330をある程度弱い押し付け力で狭窄部Sに対して押し付けている状態では、切削部331による切削を行うことができ、狭窄部Sに対する押し付け力を大きくして性状切り替え部330を基端側へ後退させることにより、回転体20の切削端21による切削を行うことができる。つまり、本変形例では、性状切り替え部330は、回転体20の切削端21で切削を行う性状(状態)と、性状切り替え部330の切削部331で切削を行う性状(状態)と、を切り替える機能を有している。
性状切り替え部330の切削部331の刃面331aは、例えば、トレパン刃面で構成するができる。また、刃面331aをトレパン刃面で構成する場合、例えば、回転体20の切削端21の刃面21aは、ノコギリ状の刃面で構成することができる。このように各刃面21a、331aの形状を構成した場合、性状切り替え部330が備える刃面331aにより軟組織の狭窄部Sを切り取る処置と、回転体20が備える刃面21aにより石灰化病変部を細かく破砕する処置とを、一つの医療デバイスで実現することが可能になる。さらに、狭窄部Sに対して先行して切削力を付与する性状切り替え部330の刃面331aをトレパン刃面により構成しているため、当該刃面331aによって狭窄部Sに対して切り込みを入れた後、切込みを入れた部分に対してノコギリ状に構成された刃面21aを進入させることができる。狭窄部S内への刃面21aの進入が容易になるため、刃面21aにより狭窄部Sをより微細に砕くことができ、治療効果を向上させることが可能になる。さらに、回転体20よりも先端側に位置する性状切り替え部330の刃面331aをトレパン刃面のような平滑な刃面で構成しているため、血管壁等に対する安全性が高められる。
なお、回転体20が備える刃面21aの形状と性状切り替え部330が備える刃面331aの形状は、図示したものに限定されず、適宜変更することが可能である。例えば、両方の刃面21a、331aをノコギリ状の刃面やトレパン刃面で構成したり、性状切り替え部330が備える刃面331aをノコギリ状の刃面で構成するとともに回転体20が備える刃面21aをトレパン刃面で構成したりすることも可能である。
次に、第1実施形態の変形例5に係る医療デバイスを説明する。
図10に示すように、本変形例では、性状切り替え部30に外力が付与されていない状態において、切削補助部60の先端の位置が性状切り替え部30よりも基端側に位置するような配置を採用している。このような配置においても、狭窄部Sに対して性状切り替え部30を押し付ける押し付け力を調整することで、性状切り替え部30の先端から切削補助部60を突出させることができ、切削補助部60による切削を実施することが可能になる。また、性状切り替え部30に外力が付与されていない状態においては、性状切り替え部30が保護部として機能し、切削補助部60が生体組織と不用意に接触等するのを防止することが可能になるため、使用時の安全性がより一層向上されたものとなる。例えば、切削力が比較的高いノコギリ状の刃面を切削補助部60に備えさせる場合においても使用時の安全性を非常に高く保つことができる。このため、切削補助部60の構造や形状の設計自由度の幅が広くなり、切削補助部60に種々の機能を備えさせることが可能になる。
なお、性状切り替え部30に外力が付与されていない状態において、切削補助部60の先端は、例えば、切削端21の先端よりも先端側に配置してもよいし、切削端21の先端と略同一の位置に配置してもよい。
次に、第1実施形態の変形例6に係る医療デバイスを説明する。
図11に示すように、本変形例では、切削補助部160の先端161に、R形状の面取り加工が施された面取り部161aを設けている。切削補助部160に面取り部161aを設けているため、回転体20を回転させて切削を行う際に、切削補助部160が描く軌道r2が、先端側から基端側に向けて湾曲した凸状(ドーム状)になる。処置の最中に仮に切削補助部60が血管壁等に接触するようなことがあっても、引っ掻くような力が血管壁に作用するのを防止することができるため、使用時の安全性をより一層高めることが可能になる。
なお、面取り部161aの曲率等は特に限定されず、適宜変更することが可能である。
次に、第1実施形態の変形例7に係る医療デバイス100を説明する。
本変形例では、ガイドワイヤWを使用した処置をより円滑に実施し得るように医療デバイス100の各部の構成が変更されている。前述した医療デバイス1では、回転体20に回転力を伝達する長尺部材として駆動シャフト10を利用した例を示した。本変形例に係る医療デバイス100では、回転体20に回転力を伝達する長尺部材としてコイル90を利用している。なお、図12は、本変形例に係る医療デバイス100の全体構成を示す平面図であり、図13Aは基端部周辺の拡大断面図、図13Bは先端部周辺の拡大断面図である。
図12に示すように、コイル90は、チューブ80の内腔85を挿通している。図13Bに示すように、コイル90の先端には回転体20を取り付けている。また、チューブ80の先端には回転受け部50を取り付けている。
図13Aに示すように、チューブ80の基端には中継チューブ95を取り付けている。コイル90の基端は中継チューブ95の先端の内面に取り付けている。
図13Aに示すように、ハブ151は、中継チューブ95の外周を囲むように取り付けている。図12に示すように、中継チューブ95の基端部は、ハブ151の基端ポート152を挿通して、ハブ151から導出される。また、中継チューブ95は、ハブ151の内部に配置された弁体157を挿通している。
図13Aに示すように、中継チューブ95には開口部96を設けている。中継チューブ95の内腔95aは、開口部96を介して、ハブ151に設けたコネクタ部153の内部と連通している。医療デバイス100を使用した処置において発生したデブリD等は、中継チューブ95の内腔95aおよび開口部96を通じて、中継チューブ95から外部へ排出することが可能である。
図13Bに示すように、コイル90はチューブ80により被覆している。チューブ80は、吸引した流体やデブリD等がコイル90の間隙を通して漏洩するのを防止する。チューブ80は、例えば、公知の樹脂材料からなる単層の樹脂製チューブにより構成することができる。
中継チューブ95は、外部駆動装置180から伝達される回転駆動力により、回転可能に構成している。図12に示すように、外部駆動装置180には、中継チューブ95に設けた第1移動機構86aと協働して中継チューブ95に回転駆動力を付与する第2移動機構186aを設けている。第1移動機構86aは、例えば、従動歯車により構成することができ、第2移動機構186aは、例えば、従動歯車に噛み合う駆動歯車により構成することができる。外部駆動装置180には、例えば、駆動軸を備える電気モータ等の公知の駆動部が備えられる。
外部駆動装置180に電源を入れて、駆動電流を供給して駆動軸を回転させると、駆動歯車(第2移動機構)186aが回転し、駆動歯車186aの回転に従動して従動歯車(第1移動機構)86aが回転する。従動歯車86aが回転すると、その回転に連動して中継チューブ95が回転する(図13Aの矢印r11で回転を示す)。中継チューブ95が回転すると、中継チューブ95に取り付けたコイル90が回転する(図13A、図13B中の矢印r13で回転を示す)。そして、コイル90が回転すると、コイル90の先端に配置した回転体20が回転する(図13Bの矢印r12で回転を示す)。
図13Aに示すように、中継チューブ95の基端には弁体158を配置している。弁体158には、ガイドワイヤWが挿通される挿通孔159を設けている。ガイドワイヤWは、弁体158を挿通して、中継チューブ95の内腔95a内に挿入される。また、図13Bに示すように、ガイドワイヤWは、中継チューブ95の内腔95aを挿通して、中継チューブ95の先端に配置されたコイル90の内腔90a、回転体20、および性状切り替え部30の内部へ案内される。ガイドワイヤWは、性状切り替え部30の先端開口部から導出されて、先端部が回転体20の先端側へ案内される。中継チューブ95の基端から先端へガイドワイヤWを容易に挿通させることができるため、医療デバイス100を使用した処置を行う際には、ガイドワイヤWの操作を円滑に行うことが可能になる。
なお、本変形例では、回転体20および性状切り替え部30の内部でのガイドワイヤWの挿通を円滑かつ容易に行い得るようにするために、回転体20には切削補助部60を設けていない。
コイル90、中継チューブ95は、回転に連動して回転体20を回転し得る構成を備え得る限りにおいて材質や構造は特に限定されない。また、コイル90とチューブ80の固定方法や固定位置、中継チューブ95とチューブ80の固定方法や固定位置、コイル90と中継チューブ95の固定方法や固定位置等も回転体20へ回転駆動力を伝達し得る限りにおいて特に限定されない。
上述した実施形態およびその各変形例では、先端面に切削端が形成された円筒状の回転体を例示したが、回転体は、切削端による切削が可能なものであればその構成は特に限定されず、例えば、回転体の正面ではなく、回転体の側面に切削端が形成されたものであってもよい。また、回転受け部や切削補助部等の付加的な部材の形状や材質等についても、医療デバイスの製品仕様等に応じて適宜変更することができ、説明した構成のものに限定されることはない。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る医療デバイス2を説明する。なお、第2実施形態の説明において前述した第1実施形態に係る医療デバイス1及び医療デバイス100と同様に構成し得る部材等については説明を適宜省略する。また、第2実施形態の説明において特に言及しない構造等については第1実施形態と同様に構成することができる。
図14を参照して、第2実施形態に係る医療デバイス2は、前述した医療デバイス1とはチューブ80の先端側の構造が相違する。具体的には、医療デバイス2は、回転体20を利用して狭窄部Sに対して処置を行う際に、狭窄部Sに対して回転体20を接触させる接触位置の調整を行うための先端部材400を有している(図18Bを参照)。
図14に示すように、医療デバイス2は、概説すると、回転可能な駆動シャフト10と、切削端21を備えるとともに駆動シャフト10の回転に伴って回転される回転体20と、保護部(性状切り替え部)30と、切削補助部60と、回転体20に配置された先端部材400と、を有している。
図15A、図15Bに示すように、先端部材400は、内腔415と側面に開口した側孔416とを備える中空状の本体部410と、回転体20の先端よりも先端側に延在するとともに血管H等の生体管腔に対して回転体20を支持可能に構成された支持部420と、を有している。
先端部材400の本体部410には、回転体20を挿入配置することができる。本体部410は、回転体20を内腔415において保持する。本体部410は、回転体20が回転する際に、回転体20の回転軸のブレを防止する回転受け部としての機能も備えている。図16Aに示すように、先端部材400は回転体20の外面に装着している。
先端部材400の支持部420は、回転体20が本体部410に挿入された状態において、回転体20の先端よりも先端側に延在するように配置される(図14を参照)。支持部420は、回転体20の延在方向に対して交差する第1方向(図15A中の矢印a−a’方向)において回転体20との間の距離が可変に構成されている。
本実施形態においては、第1方向は、先端部材400の延在方向(軸方向)に対して直交する鉛直方向(「高さ方向」とも記載する)に設定している。ただし、第1方向は、医療デバイス2を使用した手技において、回転体20を切削対象となる狭窄部Sに接近させる方向であれば特に限定されず、鉛直方向のみに限定されることはない。
支持部420は、第1方向において回転体20から次第に離間するように延在する弾性変形可能な第1部位421と、第1部位421よりも先端側に延在し、ガイドワイヤWが挿通可能なガイドワイヤ挿通部(ルーメン)423を有する第2部位422と、を有している。
支持部420の第1部位421は、外力が付加されていない状態で、第1方向および回転体20の延在方向の各々に対して交差する第2方向(図15Bの矢印b−b’方向)において回転体20よりも外方へ突出した形状を有している。
本実施形態においては、第2方向は、第1方向に対して直交する水平方向(「幅方向」とも記載する)に設定している。ただし、第2方向は、医療デバイス2を使用した手技において、回転体20を所定の位置に対して位置決めさせることが可能であれば特に限定されず、例えば、第1方向の変更に伴って適宜変更し得る。
図15Bに示すように、第1部位421は、回転体20の回転軸R1に対して対称な方向に広がった形状を有している。また、第1部位421は、第1アーム部421aと第2アーム部421bとにより構成している。
第1アーム部421aおよび第2アーム部421bは、回転軸R1を基準にして、略対称な形状を有している。第1アーム部421aの基端および第2アーム部421bの基端は、本体部410に接続されており、第1アーム部421aの先端および第2アーム部421bの先端は、第2部位422に接続されている。各アーム部421a、421bの間には、環状の空間が区画されている。図15Aに示すように、各アーム部421a、421bは、本体部410から先端側に向けて第1方向に沿ってなだらかに凸状に湾曲した形状を有している。第2部位422に接続される先端側が本体部410から最も離間している。
図15A、図15Bに示すように、先端部材400は、回転体20の基端よりも基端側に延在するとともに血管Hに対して回転体20を支持可能に構成された補助支持部460をさらに有している。補助支持部460は、本体部410の中心位置を基準にして支持部420と略対称な形状を有している。補助支持部460は、支持部420と同様に、回転体20の延在方向に対して交差する第1方向(図15A中の矢印a−a’方向)において回転体20との間の距離が可変に構成されている。
補助支持部460は、第1方向において回転体20から次第に離間するように延在する弾性変形可能な第1補助部位461と、第1補助部位461よりも基端側に延在し、ガイドワイヤWが挿通可能なガイドワイヤ挿通部(ルーメン)463を有する第2補助部位462と、を有している。
補助支持部460の第1補助部位461は、外力が付加されていない状態で、第2方向(図15Bの矢印b−b’方向)において回転体20よりも外方へ突出した形状を有している。
第1補助部位461は、回転体20の回転軸R1に対して対称な方向に広がった形状を有している。第1補助部位461は、第1アーム部461aと第2アーム部461bとにより構成している。なお、第1アーム部461aおよび第2アーム部461bは、支持部420が備える各アーム部421a、421bの各々と略同一の形状で構成しているため、形状についての説明は省略する。
先端部材400の本体部410、支持部420、および補助支持部460は、例えば、公知の金属材料や樹脂材料によって一体的に構成することが可能である。本実施形態では、生体適合性を備える金属により上記各部を一体的に構成している。また、本体部410、支持部420、および補助支持部460は、樹脂製の被覆部材(例えば、公知の熱収縮チューブ)などによってその外表面を被覆し、被覆部材を熱収縮させて一体的に連結させることが可能である。
支持部420の第1部位421および補助支持部460の第1補助部位461は、例えば、平板状の部材で構成することが可能である。また、支持部420の第2部位422および補助支持部460の第2補助部位462は、例えば、内部が中空な筒状の部材により構成することが可能である。
図16Aに示すように、先端部材400は、医療デバイス2を使用した処置に際して、回転体20の外面に装着される。先端部材400の支持部420(第1部位421)および補助支持部460(第1補助部位461)は、回転体20を上方(図中の矢印a方向)に挙上する(持ち上げる)張力を発生させる。先端部材400を回転体20に装着する位置は、先端部材400の先端によって回転体20の切削端21が覆われることのない位置に適宜設定することができる。なお、回転体20を挙上する距離(高さ)は、医療デバイス2を血管Hへの処置に適用する場合、例えば7mm以内に設定することができる。
また、先端部材400が回転体20に外装されているため、回転体20の内部に先端部材400が備える支持部420や補助支持部460を収納したり、挿通したりする必要がない。このため、回転体20自体が大径化するのを避けることができ、回転体20の大径化による血管H内での送達性の低下や狭窄部S内への挿通性の低下が発生するのを防止できる。
図16Bに示すように、チューブ80の先端部88aには、湾曲形状を付加している。湾曲形状を付加することにより、回転体20の先端面の向きが上方や下方に傾くのを防止している。例えば、回転体20を使用した処置を行う際に、第2部位422および第2補助部位462にガイドワイヤWを挿通させると、ガイドワイヤWの弾性によって、支持部420の第1部位421と補助支持部460の第1補助部位461がガイドワイヤWの曲がりに追従するように湾曲してしまうことがある。このような湾曲が生じると、矢印eで示す回転体20の先端面の向きが上方や下方に傾いてしまい、切削端21の向きが意図しない方向を向いてしまう可能性がある。図示するように、回転体20の向きが正面を向いた状態を維持し得るようにチューブ80の先端部88aに所定の湾曲形状を付加しておくことにより、切削を行う際に回転体20の向きを正面側に向くように調整することが可能になる。
回転体20による処置を行う際、回転体20の回転に応じて、図17Aに示す状態から図17Bに示す状態へ切り替わる。図17Aに示す状態は、回転体20の側面からのデブリDの流入が防止される状態であり、図17Bに示す状態は、回転体20の側面からデブリDを流入させることが可能な状態である。回転体20が回転することにより、回転体20の側面に配置された側孔23と、先端部材400の側面に配置された側孔416とが重なるように配置されると、回転体20の内側と外側が連通した状態となり、側孔23を介してデブリDが回転体20内、および、保持部40(伸縮変形部35)内へ流入する。デブリDは、チューブ80内に流入し、チューブ80の基端側で回収される。側孔23を介してデブリDを回収することが可能になるため、前述した実施形態と同様に、デブリDの回収効率を向上させることが可能になる。
次に、図18A〜図18Cを参照して、医療デバイス1を使用した処置方法を説明する。ここでは、血管Hに形成された狭窄部Sを切削する方法を例に挙げて説明する。
まず、図18Aに示すようにガイディングシース170を狭窄部S付近まで導入する。ガイディングシース170は、先行して導入されたガイドワイヤWに沿わせて、狭窄部S付近まで送達することができる。
次に、ガイドワイヤWに沿わせて医療デバイス2を狭窄部S付近まで送達する。この際、ガイドワイヤWを、支持部420の第2部位422と、補助支持部460の第2補助部位462とに挿通させることにより、先端部材400を所望の位置まで円滑に移動させることが可能になる。先端部材400は、ガイディングシース170内に収められた状態では、ガイディングシース170の内壁に押し付けられて高さ方向(図15中の矢印a’方向)および幅方向(図15中の矢印b’方向)に収縮する。
図18Bに示すように、ガイディングシース170の先端開口部を介して、ガイディングシース170の外部へ先端部材400を突出させると、支持部420の第1部位421は、血管Hの内壁に当接するまで、高さ方向および幅方向に広がるように変形する。同様に、補助支持部460の第1補助部位461は、血管Hの内壁に当接するまで、高さ方向および幅方向に広がるように変形する。
先端部材400が取り付けられた回転体20は、高さ方向に挙上されることにより、血管Hの内壁に形成された狭窄部Sと対向する位置に配置される。また、回転体20は、幅方向に広がった第1部位421と第1補助部位461とにより、回転軸R1が各ガイドワイヤ挿通部423、463と重なる位置に配置される(図15Bを参照)。これにより、先端部材400の中心を通る回転軸R1は、ガイドワイヤWの走行に対して略平行に配置される。この状態で回転体20を狭窄部Sに向けて移動させると、回転体20がガイドワイヤWの走行と平行に移動して、回転体20の先端に位置する切削端21が狭窄部Sに対向した状態で押し付けられる。
上記のように、回転体20は、血管Hの高さ方向および幅方向(軸直交断面上の高さ方向および幅方向)の位置が適宜調整されたうえで、切削対象である狭窄部Sに接触するため、切削端21による切削力を狭窄部Sに対して良好に作用させることができ、狭窄部Sの切削を効率良く行うことが可能になる。
また、支持部420の第1部位421および補助支持部460の第1補助部位461は、血管Hの内径に追従して弾性変形するため、外力が付加されていない状態における第1部位421および第1補助部位461よりも内径等の寸法が小さい血管Hが処置対象となる場合においても、先端部材400全体を細径化させて血管H内を移動させることができるため、医療デバイス2の生体内における送達性は良好なものとなる。
次に、図18Cに示すように、狭窄部Sに対して回転体20の切削端21を押し付けるようにして医療デバイス2を先端側へ移動させることにより、狭窄部Sの切削を行う。切削端21を回転させて狭窄部Sの狭窄物を削り取る際に、例えば、吸引装置190を作動させて、削り取ったデブリDを回転体20の内部へ吸引することができる。
狭窄部Sに対する切削処置を終えた後、医療デバイス2は生体外へ適宜抜去する。なお、他の狭窄部Sに対する切削処置を引き続き実施することも可能である。
以上のように、本実施形態に係る医療デバイス2は、回転可能な駆動シャフト10と、狭窄部Sに切削力を作用させる切削端21を備えるとともに、駆動シャフト10の先端側に配置されて駆動シャフト10の回転に伴って回転される回転体20と、回転体20に配置された先端部材400と、を有している。先端部材400は、回転体20の先端よりも先端側に延在するとともに血管Hに対して回転体20を支持可能に構成された支持部420を有しており、支持部420は、狭窄部Sに回転体20を接近させる第1方向(高さ方向)において回転体20との間の距離が可変に構成されている。
上記のように構成された医療デバイス2によれば、回転体20は、支持部420により支持されることで血管H内の狭窄部Sに対して位置決めされる。回転体20が狭窄部Sに位置決めされた状態で切削端21が狭窄部Sに接触するため、狭窄部Sに対して切削力を良好に作用させることができる。これにより、狭窄部Sの切削を効率良く行うことが可能になり、さらに切削端21が狭窄部S以外の生体組織に接触するのを好適に防止することが可能になる。
また、支持部420は、第1方向において回転体20から次第に離間するように延在する弾性変形可能な第1部位421と、第1部位421よりも先端側に延在し、ガイドワイヤWが挿通可能なガイドワイヤ挿通部423を備える第2部位422と、を有している。このため、第1部位421の弾性変形を利用することにより、狭窄部Sに対して回転体20を容易に位置合わせすることが可能になる。さらに、ガイドワイヤ挿通部423にガイドワイヤWを挿通させることにより、医療デバイス2の先端部材400を生体内の所望の位置まで送達することが可能になるため、操作性が優れたものとなる。
また、第1部位421は、外力が付加されていない状態では、第1方向および回転体20の延在方向の各々に交差する第2方向において回転体20よりも外方へ突出した形状を有している。このため、第1部位421が血管Hの内壁と当接し易くなり、この当接により、血管Hの内壁に対して先端部材400を支持させることができる。先端部材400が血管Hの内壁に支持されることにより、狭窄部Sを切削する際に、回転体20の回転軸がぶれるのを防止できるため、狭窄部Sの切削を効率良く行うことが可能になる。
また、第1部位421は、回転体20の回転軸R1に対して対称な方向に広がった形状を有しているため、回転体20の回転軸R1に対して先端部材400の中心位置を位置合わせすることができ、さらに血管Hの幅方向の中心位置に先端部材400の中心位置を位置合わせすることができるため、狭窄部Sの切削をより一層効率良く行うことが可能になる。
また、先端部材400は、回転体20の基端よりも基端側に延在するとともに血管Hに対して回転体20を支持可能に構成された補助支持部460をさらに有する。これにより、先端部材400の先端側および基端側で先端部材400を挙上することが可能になるため、先端部材400の挙上をより確実に行うことができ、かつ、挙上された際に先端部材400の先端側と基端側とで高さ方向のギャップが生じるのを防止することができるため、狭窄部Sに対する回転体20の位置合わせを適切に行うことが可能になる。
また、補助支持部460は、第1方向において回転体20から次第に離間するように延在する弾性変形可能な第1補助部位461と、第1補助部位461よりも基端側に延在し、ガイドワイヤWが挿通可能なガイドワイヤ挿通部463を備える第2補助部位462と、を有している。このため、支持部420の第1部位421と補助支持部460の第1補助部位461とで回転体20を適切な位置まで挙上することが可能となるうえに、支持部420の第2部位422と補助支持部460の第2補助部位462とに挿通させたガイドワイヤWにより、先端部材400を所望の位置まで円滑に移動させることが可能になる。
本実施形態に係る処置方法は、血管H内の狭窄部Sに切削力を作用させる切削端21を備える回転体20を、狭窄部Sに接近させる第1方向(高さ方向)において支持した状態とし、回転体20を回転させつつ狭窄部Sに切削端21を接触させて切削を行う切削工程を有している。
上記のような工程を有する処置方法によれば、回転体20を支持して、血管H内の狭窄部Sに対して回転体20の位置を調整したうえで、回転体20による狭窄部Sの切削を行う。これにより、狭窄部Sに対して切削力を良好に作用させることが可能になり、さらに切削端21が狭窄部S以外の生体組織に接触するのを好適に防止することが可能になる。
また、切削工程は、第1方向および回転体20の延在方向の各々と交差する第2方向(幅方向)において回転体20を支持した状態で行うため、血管H内において先端部材400をより安定した状態で支持することができ、狭窄部Sを切削する際に回転体20の回転軸がぶれるのを防止できる。これにより、狭窄部Sの切削を効率良く行うことが可能になる。
また、切削工程は、回転体20の先端側に延在する支持部420と、回転体20の基端側に延在する補助支持部460とにより、回転体20を支持した状態で行う。これにより、先端部材400の挙上をより確実に行うことができ、かつ、先端部材400を挙上した際に先端部材400の先端側と基端側とで高さ方向のギャップが生じるのを防止することができる。このため、狭窄部Sに対する回転体20の位置合わせを適切に行うことが可能になる。
また、当該処置方法は、切削したデブリDを回転体20内へ吸引する吸引工程を有するため、血管H外へデブリDを速やかに排出することができ、処置時間の短縮化を図ることができる。
次に、第2実施形態の変形例1に係る医療デバイスについて説明する。
図19A、図19Bに示すように、変形例1に係る先端部材510は、矢印eで示す回転体20の先端面の向きを所定の方向に維持するためのリンク構造512を備えている。リンク構造512は、例えば、先端部材510の本体部511に配置したスリットにより構成することができる。先端部材510には、リンク構造512により、下面側の中央部分が上面側に反り返る形状が付加される。本体部511内に挿入された回転体20は、先端部材510の反り返りにより、先端面が、血管Hの走行と平行な位置よりも下側(狭窄部Sから離間する側であって、図18A中の下側)に向くのが防止される。これにより、切削端21が狭窄部S以外の生体組織と接触するのを防止することが可能になる。
なお、本変形例においては、ガイドワイヤ挿通部423は、支持部420の先端に配置した貫通孔により構成しており、ガイドワイヤ挿通部463は、補助支持部460の基端に配置した貫通孔により構成している。各支持部420、460に配置した貫通孔によってガイドワイヤ挿通部423、463を構成する場合においても、ガイドワイヤWを用いた回転体20の送達や移動は円滑に行うことができる。また、前述した実施形態において示した第2部位422及び第2補助部位462のような中空状の部材を用いる場合と比較して、先端部材510の小型化を図ることもでき、さらに部品点数の削減による製造コストの削減を図ることもできる。
次に、第2実施形態の変形例2に係る医療デバイスについて説明する。
図20A、図20Bに示すように、変形例2に係る先端部材520は、支持部420と補助支持部460とに接続された弾性変形可能な接続部550を有している。
接続部550は、外力が付加されていない状態では、回転体20の延在方向に対して交差する方向において支持部420および補助支持部460よりも外方側(図20B中の上下方向)へ突出した形状を有している。
接続部550は、支持部420に接続された先端部551と補助支持部460に接続された基端部552とが、回転体20の回転軸R1に対して互いに対称な方向に広がった形状を有している。本変形例では、接続部550は、平面視においてS字形状であるがこれに限定されることはない。例えば、接続部550は、平面視において8の字形状でもよい。
接続部550としては、例えば、弾性変形可能な金属製の線材や樹脂製の線材により構成することが可能である。
図20Cには、血管Hの軸直交断面が模式的に示される。図示する血管Hは、例えば、上下方向の内腔の寸法が長く、左右方向の内腔の寸法が短く形成された扁平状の血管Hである。このような血管H内へ先端部材520を導入すると、接続部550が血管Hの短軸方向(図中の左右方向)に広がることにより、先端部材520の中心位置、つまり回転体20の回転中心が血管Hの短軸方向の中心位置に位置合わせされる。したがって、回転体20の切削端21が狭窄部S以外の生体組織に接触するのを好適に防止することが可能になる。なお、接続部550が血管Hの内壁に当接することで、血管Hに対する先端部材520全体の支持力が増すため、切削処置の最中に切削端21の向きがずれるのを好適に防止することが可能になる。
接続部550は、拡張した状態における当該接続部550の幅(図20B中の上下方向の長さ)よりも内径が小さいガイディングシース等に挿入される際は、図20B中の二点鎖線で示すような略直線形状に弾性変形することで、その幅を小さくする。このため、比較的細径なガイディングシース内でも先端部材520を円滑に移動させることが可能である。
次に、第2実施形態の変形例3に係る医療デバイスについて説明する。
図21A、図21Bに示すように、変形例3に係る先端部材530は、支持部420に、第1部位421と第2部位422との間に延在する第3部位430が備えられている。この第3部位430は、第2部位422よりも柔軟な部材で構成している。
第3部位430は、例えば、スリットが配置された湾曲可能な金属製の中空部材で構成することが可能である。第2部位422は、例えば、第3部位よりも硬質(剛直)な樹脂製の中空部材で構成することが可能である。
第3部位430は、所定の中継部材433を介して第2部位422と接続している。中継部材433は、例えば、第2部位422および第3部位430を覆って一体的に連結する樹脂製の被覆部材(例えば、公知の熱収縮チューブ)などにより構成することが可能である。第1部位421と第3部位430は、例えば、接着剤などを使用して適宜接続される。
図21Bには、狭窄部Sの遠位側(先端側)に分岐血管H1が存在する血管Hにおいて変形例3に係る先端部材530を使用した際の処置例を示している。
ガイドワイヤWが、例えば、狭窄部Sの遠位側に存在する分岐血管H1内に導入されて分岐血管H1側に向けて大きく湾曲すると、その湾曲の影響を受けて、先端部材530の向き、姿勢、位置等が湾曲方向に矯正されてしまうことがある。また、先端部材530の向き等が矯正されると、狭窄部Sが形成された側の血管壁に対して想定以上の力で切削端21が押し付けられてしまう可能性がある。これに対して、本変形例に係る先端部材530によれば、第2部位422の基端側に位置する第3部位430が第2部位422よりも柔軟であるため、当該第2部位422が湾曲することにより、湾曲したガイドワイヤWの走行による影響が回転体20まで及ぶのを抑制することが可能になる。したがって、ガイドワイヤWを使用して回転体20を所望の部位まで送達する際に、仮に、ガイドワイヤWが先端側で大きく湾曲するようなことがあっても、その影響を受けて切削端21が意図しない方向を向いたり、想定以上の押し付け力で血管壁等に押し付けられたりするのを防止することが可能になる。
次に、第2実施形態の変形例4に係る医療デバイスについて説明する。
図22を参照して、本変形例では、先端部材400の基端側に接続されるチューブ80に形状記憶部材を利用している。チューブ80は、予め形状付けされた形状に復元することにより、先端部材400を挙上するように構成されている。チューブ80には、手技において使用されるガイディングシース等から導出された際に、先端部材400を高さ方向(図中の上方向)に持ち上げるような湾曲形状を予め付与している。
チューブ80は、例えば、中空形状の長尺状の形状記憶部材80aと、その外表面を被覆するように配置される熱収縮チューブ(図示省略)と、形状記憶部材80aの基端側に接続した中空部材80bとにより構成することが可能である。本変形例では、形状記憶部材80aを覆うように配置された熱収縮チューブに熱を付与することで、形状記憶部材80aに熱収縮チューブを取り付けて一体化させている。チューブ80の基端側に接続した中空部材80bは、例えば、金属製の中空管により構成することが可能である。
形状記憶部材80aとして、例えば、公知の形状記憶合金を使用することができる。形状記憶合金としては、例えば、チタン系(Ti−Ni、Ti−Pd、Ti−Nb−Sn等)や、銅系の合金を用いることができる。また、形状記憶部材80aとして、例えば、公知の形状記憶樹脂(形状記憶ポリマー)を使用することもできる。形状記憶樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、トランスイソプレンポリマー、ポリノルボルネン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリウレタンを用いることができる。
なお、先端部材400から先端側に延在する挙上機構(支持部420)が備えられた医療デバイス2を使用した手技では、図23に示すように、切削端21の向きが下方向に傾斜した状態(例えば、傾斜角θが90°以下)で処置が行われるような場合においても、切削端21と血管壁の下面とが支持部420により離隔されるため、血管壁に切削端21が不用意に接触するのを防止することが可能となる。よって、血管壁の損傷をより好適に防止しつつ、狭窄部Sの治療を行うことが可能になる。
次に、第2実施形態の変形例5に係る医療デバイスについて説明する。
図24A、図24Bに示すように、本変形例に示す先端部材530は、切削端121を備える回転体120が挿入される本体部531と、本体部531から先端側に向けて延在する側面部532a、532bと、切削端121の底面側に配置される底面部533と、回転体120を先端側で支持する支持部535と、を有している。
側面部532aおよび側面部532bの間の隙間は、先端側へ向けて徐々に小さくなる。また、各側面部532a、532bは、先端側が底面部533側に向けて傾斜する。各側面部532a、532bの側面には、開口部532cが配置されている。
回転体120は、各側面部532a、532bの間に挟み込まれた状態で配置されるため、先端側へ不用意に突出することがなく、また仮に破損等した場合にも各側面部532a、532bと底面部533とによって保持されるため、脱落等が生じるのも防止される。さらに、各側面部532a、532bは、回転体120の先端側で回転体120が不用意に突出するのを防止して、回転体120が狭窄部Sに過度に入り込むのを防止する。これにより、切削端121により正常な組織が傷つけられるのを好適に防止することが可能になる。また、切削端121は、開口部532cを介して本体部531の側面から狭窄部Sに対して切削力を付与する。このため、狭窄部Sを効率よく切削することができる。
回転体120の切削端121よりも先端側には、各側面部532a、532bの先端面によりガイド面A1が形成される。ガイド面A1は、狭窄部Sに対して切削端121を接触させて処置を行っている間、狭窄部Sに対して回転体120を支持し、狭窄部Sから切削端121および回転体120が離反するのを防止する。これにより、切削端121が生体管腔の外方(例えば、図20Cに示す血管Hの下面に向かう方向)に移動するのを防止する。また、ガイド面A1は、切削端121が切削力を及ぼす高さ方向の範囲を、各側面部532a、532bから切削端121が露出した部分の範囲(図24B中に示す高さhの範囲)に制限する。したがって、仮に意図せずに狭窄部S以外の部位に切削端121が接触し、切削をしてしまった場合でも、生体管腔の管壁(血管壁)が高さhよりも厚い場合には、生体管腔を穿孔するリスクを十分に抑えることが可能になる。
支持部535は、例えば、図示するように、先端側へ幅が徐々に小さくなり、かつ、先端側が下方側へ湾曲した一本の部材で構成することが可能である。なお、図示省略するが、支持部535にはガイドワイヤ挿通部(ルーメン)423が配置された第2部位422(図15A、図15Bを参照)を適宜取り付けることが可能である。第2部位422は、例えば、ガイド面A1の先端側に設けることができる。第2部位422を設ける場合、支持部535および第2部位422を、図24Bに示すような樹脂製の被覆部材(例えば、公知の熱収縮チューブ)539で被覆し、この被覆部材539を熱収縮させて一体的に連結させることが可能である。被覆部材539としては、例えば、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、もしくはポリウレタン等で構成された中空部材を用いることが可能である。
各変形例で示したように、回転体を挙上する機能を備える支持部は、血管の内腔内で回転体を支持し、かつ、回転体との間の距離が可変な構造であればその具体的な構成は特に限定されない。例えば、図25に示す変形例6のように、支持部535は、軸方向に略直線状に延在する第1部位421と、第1部位421の先端部に配置されるとともにガイドワイヤ挿通部423が配置された第2部位422とを備えるように構成することも可能である。支持部535のように第1部位421が湾曲した形状ではなく略直線状に配置されている場合においても、第2部位422が生体管腔の内壁に接触すると、その接触に伴って第1部位421が生体管腔の内壁に対して支持される。その結果、第1部位421とともに回転体120が挙上され、生体管腔の高さ方向に回転体120の位置が調整される。なお、第1部位421と第2部位422は、樹脂製の被覆部材(例えば、公知の熱収縮チューブ)を利用して各々一体的に連結させることが可能である。
また、例えば、図26Aに示す変形例7のように、回転体120、先端部材630、および支持部635を配置することも可能である。
図26Aに示すように、本変形例では、先端部材630は、回転体120の基端部側の周囲を覆う筒状部材で構成している。先端部材630は、第1実施形態において説明した回転受け部50と同様に、非回転な状態でチューブ80の先端部付近に配置している(図2B等を参照)。
先端部材630には、先端部材630の先端側へ延びる第1部位621を配置している。また、第1部位621の先端部には、ガイドワイヤ挿通部623が形成された第2部位622を配置している。第1部位621および第2部位622は、生体管腔の内壁に対する接触に伴って回転体120を支持して回転体120を挙上する支持部635を構成する。
支持部635の第1部位621は、軸方向に略直線状に延在している。同様に、支持部635の第2部位622は、軸方向に略直線状に延在している。なお、先端部材630と第1部位621との接続方法(連結方法)、および第1部位621および第2部位622との接続方法(連結方法)は特に限定されず、例えば、接着剤や樹脂被覆チューブ等により行うことができる。
支持部635の第1部位621および第2部位622は、例えば、弾性変形可能な樹脂材料や金属材料で形成することができる。
第1部位621は、図26Aの矢印26B方向から見た平面視において、例えば、図26Bに示すように基端部621aから先端部621bへ向けて幅が小さくなる形状で形成することができる。
図26Cの模式図に示すように、本変形例に係る医療デバイスの先端部(回転体120等)を処置対象となる狭窄部付近まで送達するに際し、医療デバイスをガイディングシース170のルーメン171内に挿入すると、支持部635の第1部位621の先端部621bは、ガイディングシース170の内壁に沿って湾曲する。このため、例えば、医療デバイスの先端部における最大外形寸法Dm(図26Aに示すように、医療デバイスに対して外力が付加されていない状態における先端部の最大外形寸法)がガイディングシース170のルーメン171の径d1よりも大きい場合においても、医療デバイスをガイディングシース170のルーメン171に挿入することができる。これにより、より細径なガイディングシース170を使用して医療デバイスを送達することが可能になるため、生体管腔内のより細径な部位(例えば、血管の末梢側の部位)まで容易に医療デバイスを送達することが可能になる。
以上、実施形態を通じて本発明に係る医療デバイスおよび処置方法について説明したが、本発明は説明した実施形態で説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、第1実施形態およびその変形例において説明した各構成と、第2実施形態およびその変形例において説明した各構成とは、特許請求の範囲に記載された発明と矛盾することのない限りにおいて適宜組み合わせることができ、明細書において説明した組み合わせのみに限定されることはない。例えば、第2実施形態およびその変形例において説明した医療デバイスについては、性状切り替え部の設置を省略することが可能である。
例えば、医療デバイスおよび処置方法の適用対象となる生体管腔は、血管に限定されず、例えば、脈管、尿管、胆管、卵管、肝管等であってもよく、また切削対象となる物体は、狭窄部に限定されることはない。
実施形態において説明した医療デバイスの各部の構造や部材の配置等は適宜変更することができ、図示により説明した付加的な部材の使用の省略や、その他の付加的な部材の使用等も適宜に行い得る。同様に、処置方法に関する各工程や処置に使用される装置等についても変更等は適宜に行い得る。
本出願は、2016年2月15日に出願された日本国特許出願第2016−026338号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。