JP6888264B2 - 繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents
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Description
また、特許文献3には、強化繊維と熱可塑性樹脂に加えて、さらにバインダー成分を含有させた繊維強化プラスチック成形用複合材が開示されている。ここでは、ガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種からなる強化繊維成分と、限界酸素指数が25以上であり、特定の繊維径を有する熱可塑性スーパーエンプラ繊維からなるマトリックス樹脂成分と、ポリエチレンテレフタレート等からなるバインダー成分と、を含む繊維強化プラスチック成形用複合材が開示されている。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] バインダー成分の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して1質量%以上20質量%以下である[1]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[3] バインダー成分が熱融着性接着剤であり、熱融着性接着剤の融点が200℃未満である[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[4] バインダー成分がポリアミド系樹脂である[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[5] 熱可塑性樹脂を、空気中で開始温度を50℃とし、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間保持した場合に、熱可塑性樹脂の重量減少率が55%以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[6] 熱可塑性樹脂が、ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂及びポリフェニレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも一種である[1]〜[5]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[7] 強化繊維が、ガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも一種である[1]〜[6]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
本発明は、強化繊維と、熱可塑性樹脂と、バインダー成分と、を含む繊維強化プラスチック成形体用基材に関する。ここで、繊維強化プラスチック成形体用基材に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度もしくは融点は200℃以上であり、熱可塑性樹脂の限界酸素指数は20以上である。また、バインダー成分を、空気中で開始温度を50℃とし、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間保持した場合に、バインダー成分の重量減少率は50%以下である。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、上記構成を有するため、ボイドの発生が少なく、表面性状が良好な繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。すなわち、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、外観に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
なお、熱可塑性樹脂が融点を有する樹脂である場合は、「200℃以上」との温度は融点で判別する。熱可塑性樹脂が融点を有さない樹脂である場合は、「200℃以上」との温度はガラス転移温度で判別する。バインダー成分においても、熱可塑性樹脂と同様に、バインダー成分が融点を有する成分である場合は、「200℃未満」との温度は融点で判別し、バインダー成分が融点を有さない成分である場合は、「200℃未満」との温度はガラス転移温度で判別する。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、バインダー成分を含有する。バインダー成分は、主に、繊維強化プラスチック成形体用基材において、強化繊維と熱可塑性樹脂を結着する役割を担う。
その後、集めたバインダー成分を空気中(流量200mL/分)で、加熱開始温度50℃で10℃/分の昇温速度で400℃まで昇温し、400℃で10分間保持する。加熱前後のバインダー成分の重量は、TGA(Thermo Gravimetry Analyzer:熱重量測定)により測定し、以下の式から重量減少率を算出する。
繊維強化プラスチック成形体用基材は、強化繊維を含有する。強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、ガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。強化繊維としては、二種以上を併用してもよく、例えば、ガラス繊維と炭素繊維を併用してもよい。また、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等の耐熱性に優れた有機繊維を用いてもよい。
炭素繊維と熱可塑性樹脂との接着性の向上効果を得るためには、(P−Q)/Rで表される値が、0.05以上であることが望ましい。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、強化繊維として炭素繊維を含んでもよい。強化繊維に含まれる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等の炭素繊維を用いることができる。これらの炭素繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせ用いてもよい。また、これら炭素繊維の中でも、工業規模における生産性及び機械特性の観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維を用いることが好ましい。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、強化繊維としてガラス繊維を含んでもよい。本発明で用いるガラス繊維としては、Eガラス(Electrical glass)、Cガラス(Chemical glass)、Aガラス(Alkali glass)、Sガラス(High strength glass)及び耐アルカリガラス等のガラスを溶融紡糸してフィラメント状の繊維にしたものを挙げることができる。
ここで、丸ガラスとは、繊維の断面形状が略円形のものである。なお、繊維の断面形状とは、ガラス繊維の長さ方向に対し、垂直方向のカット面の形状のことをいう。扁平ガラスとは、繊維の断面形状が扁平(異形)であるものであり、略円形ではないものをいう。具体的には、扁平形状とは、繊維の断面形状が、中心点を通過する最大長で定義される長径と、中心点を通過する最小長で定義される短径を有する形状をいう。扁平形状としては、例えば、ひょうたん型、まゆ型、長円型、楕円型等を例示することができる。
繊維強化プラスチック成形体用基材は、熱可塑性樹脂を含有する。本発明においては、熱可塑性樹脂のガラス転移温度もしくは融点は200℃以上であり、熱可塑性樹脂の限界酸素指数は20以上である。熱可塑性樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂繊維として繊維強化プラスチック成形体用基材に含有されるほか、フィルムや不織布シートのような形態で含有されてもよい。また、発明の効果を損なわない範囲で、上記条件を満たす2種以上の熱可塑性樹脂を併用することができ、相溶性を示す2種以上の熱可塑性樹脂を組み合わせることもできる。
その後、集めた熱可塑性樹脂を空気中(流量200mL/分)で、加熱開始温度50℃で10℃/分の昇温速度で400℃まで昇温し、400℃で10分間保持する。加熱前後の熱可塑性樹脂の重量は、TG−DTA(Thermo Gravimetry−Differencial Thermal Analysis:示差熱−熱重量同時測定)により測定し、以下の式から重量減少率を算出する。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程は、強化繊維と、熱可塑性樹脂と、バインダー成分と、を混合してスラリーを得る工程と、該スラリーを湿式抄紙法によって繊維強化プラスチック成形体用基材を形成する工程を含む。
本発明は、上述した繊維強化プラスチック成形体用基材から成形される繊維強化プラスチック成形体に関するものでもある。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上述した繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形することにより成形される。繊維強化プラスチック成形体用基材は、目的とする形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することができる。繊維強化プラスチック成形体は、繊維強化プラスチック成形体用基材を、1枚単独、或いは所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱した金型によって加熱加圧成形したりすることで成形される。また、繊維強化プラスチック成形体が多層構造である場合、他種の繊維強化プラスチック成形体用基材を積層して熱プレスで加熱加圧成形することもできる。本発明の繊維強化プラスチック成形体は、一般的な繊維強化プラスチック成形体用基材の加熱加圧成形方法を用いて加工される。
本発明の繊維強化プラスチック成形体の用途としては、例えば、「OA機器、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどの携帯電子機器、エアコンその他家電製品などの筐体、及び筐体に貼り付けるリブ等の補強材、「支柱、パネル、補強材」などの土木、建材用部品、「各種フレーム、各種車輪用軸受、各種ビーム、ドア、トランクリッド、サイドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、などの外板またはボディー部品及びその補強材」、「インストルメントパネル、シートフレームなどの内装部品」、または「ガソリンタンク、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品」、「エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング」、などの自動車、二輪車用部品、「ウィングレット、スポイラー」などの航空機用部品、「鉄道車両用の座席用部材、外板パネル、外板パネルに貼り付ける補強材、天井パネル、エアコン等の噴出し口」などの鉄道車両用部品、「樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)からなる成形体の補強材、樹脂と強化繊維からなる成形体の補強材、植物由来のシート(クラフト紙、段ボール、耐油紙、絶縁紙、導電紙、剥離紙、含浸紙、グラシン紙、セルロースナノファイバーシートなど)の補強材」などの部材等に好適に使用される。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体は、電気絶縁性の高いガラス繊維を強化繊維として用いることで、電気絶縁用基板としても好適に用いることができる。本発明の繊維強化プラスチック成形体は、表面性状が良好であり、強度が高いので、電気、電子機器用の筐体、自動車用の構造部品、航空機用の部品、土木、建材用のパネル、その他多種多様な用途に好ましく用いられる。
以下のようにして、表1に示す割合で各成分を含む不織布を製造した。
まず、プロペラ型アジテーター付のタンクに、炭素繊維の濃度が0.25質量%となるように、PAN系炭素繊維(繊維長12mm、繊維径7μm)と水を投入した。さらに、分散剤として「エマノーン(登録商標)3199V」(花王社製、ポリエチレングリコールモノステアレート)の0.6質量%水溶液を、その固形分が炭素繊維100質量部に対して1質量部となるように添加し、プロペラ型アジテーターを用いて回転数500rpmで攪拌した。
次いで、ポリエーテルイミド樹脂繊維(PEI繊維)として、「UP201」(クラレ社製、繊維長15mm、繊維径15μm、ガラス転移温度220℃)を、表1の配合比(質量比)となるように投入し、回転数200rpmで攪拌を続けた。最後に、バインダー繊維として、「Gryltex D1993A」(EMS社製、融点110℃)を繊維化した熱融着ナイロン繊維(繊維長10mm、繊維径20μm、以下低融点ナイロン繊維1ともいう)を、表1の配合比(質量比)となるように投入し、回転数200rpmで攪拌を続けた。
炭素繊維、ポリエーテルイミド樹脂繊維、及び熱融着ナイロン繊維の割合を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例1で使用したポリエーテルイミド樹脂繊維の代わりに、ポリフェニレンサルファイド樹脂繊維(PPS繊維)(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、融点289℃)を使用し、各成分の割合を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例1で使用したポリエーテルイミド樹脂繊維の代わりに、ナイロン6繊維「アミラン」(愛知産業社製、繊維長15mm、繊維径19μm、融点220℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例1で使用した炭素繊維の代わりに、ガラス繊維(繊維長13mm、繊維径9μm)を使用し、各成分の割合を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例1で使用した低融点ナイロン繊維1の代わりに、低融点ナイロン繊維2「ジョイナー Lタイプ」(フジボウ愛媛社製、繊維長5mm、繊維径40μm、融点98℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例1で使用した低融点ナイロン繊維1の代わりに、セピオライト「PANKEL HV」(楠本化成社製)の水分散液(濃度2%)を調製して、表1の配合比(質量比)となるようにスプレー塗布法で添加した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例1で使用した低融点ナイロン繊維1の代わりに、PVA繊維「VPB105−2」(クラレ社製、繊維長3mm、繊維径11μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例1で使用した低融点ナイロン繊維1の代わりに、変性PET繊維「N720」(クラレ社製、繊維長5mm、繊維径14μm、芯鞘比5:5)を使用した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例3で使用した低融点ナイロン繊維1の代わりに、PVA繊維「VPB105−2」(クラレ社製、繊維長3mm、繊維径11μm)を使用した以外は、実施例3と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例4で使用した低融点ナイロン繊維1の代わりに、PVA繊維「VPB105−2」(クラレ社製、繊維長3mm、繊維径11μm)を使用した以外は、実施例4と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例5で使用した低融点ナイロン繊維1の代わりに、変性PET繊維「N720」(クラレ社製、繊維長5mm、繊維径14μm、芯鞘比5:5)を使用した以外は、実施例5と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体を得た。
<バインダー成分の重量減少率>
バインダー成分を、空気中で開始温度を50℃とし、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間保持した際の、バインダー成分の重量減少率は、以下のようにして求めた。
まず、バインダー成分を、空気中(流量200mL/分)で、加熱開始温度50℃で10℃/分の昇温速度で400℃まで昇温し、400℃で10分間保持した。加熱前後のバインダー成分の重量は、TG−DTA(Thermo Gravimetry− Differencial Analysis:示差熱−熱重量同時測定)により測定し、以下の式から重量減少率を算出した。
重量減少率(%)=(加熱前のバインダー成分−加熱後のバインダー成分の重量)/(加熱前の熱可塑性樹脂の重量)×100
得られた繊維強化プラスチック成形体の表面の外観を観察し、以下の基準で評価した。
○:ボイドがなく外観が良好。
△:ボイドの発生がみられ実用上問題となる可能性がある。
×:ボイドに起因して明らかに外観が悪く、製品として使用できない。
Claims (6)
- 強化繊維と、熱可塑性樹脂と、バインダー成分と、を含む繊維強化プラスチック成形体用基材であって、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度もしくは融点は200℃以上であり、前記熱可塑性樹脂の限界酸素指数は20以上であり、
前記バインダー成分が熱融着性接着剤であり、前記熱融着性接着剤の融点が200℃未満であり、
前記バインダー成分を、空気中で開始温度を50℃とし、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間保持した場合に、前記バインダー成分の重量減少率が50%以下である繊維強化プラスチック成形体用基材。 - 前記バインダー成分の含有量は、前記繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して1質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
- 前記バインダー成分がポリアミド系樹脂である請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
- 前記熱可塑性樹脂を、空気中で開始温度を50℃とし、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間保持した場合に、前記熱可塑性樹脂の重量減少率が55%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
- 前記熱可塑性樹脂が、ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂及びポリフェニレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
- 前記強化繊維が、ガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
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