JP7066129B2 - 押出成形用組成物、及び押出成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
(a)数平均繊維径が3nm以上100nm以下
(b)平均アスペクト比が10以上1000以下
(c)セルロースI型結晶構造を有する
(d)アニオン性官能基を有する
本発明の実施形態に係る押出成形体の製造方法は、該押出成形用組成物を押出成形して、押出成形体を製造するものである。
無機材料(A)は押出成形用組成物の主成分をなすものである。無機材料(A)としては、セラミックス製品を構成する各種無機粉末を用いることができ、より詳細には、高温で焼結または反応焼結が可能な各種セラミックス材料粉末を用いることができ、特に限定されない。無機材料(A)の具体例としては、アルミナ、ジルコニア、ムライト、酸化チタン、コーディエライト、フォルステライト、ステアタイト、マグネシア、カルシア、シリカ、フェライト、チタン酸アルミニウムなどの酸化物、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン(WC)などの炭化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ホウ素などの窒化物、ホウ化チタンなどのホウ化物、炭窒化チタンなどの炭窒化物、ガラス粉末、ガラスビーズ、粘土等の可塑性天然原料などが挙げられる。これらはいずれか一種で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。
微細繊維状セルロース(B)としては、(a)数平均繊維径が3nm以上100nm以下であり、(b)平均アスペクト比が10以上1000以下であり、(c)セルロースI型結晶構造を有し、かつ、(d)アニオン性官能基を有するものが用いられる。
平均アスペクト比=数平均繊維長(nm)/数平均繊維径(nm)
アニオン性官能基量(mmol/g)=V(mL)×〔0.05/セルロース試料質量(g)〕
水(C)は、無機材料(A)を押出成形可能な粘土状(即ち、可塑性原料)にするために添加されるものである。押出成形用組成物における水(C)の含有量は、特に限定されないが、100質量部の無機材料(A)に対して、5~50質量部であることが好ましく、より好ましくは10~30質量部である。
バインダー成分(D)としては、特に限定されず、無機材料(A)の結合剤として作用する各種水溶性高分子を用いることができる。具体的には、アルキルセルロース(例えばメチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロースなど)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメトキシセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性セルロース、小麦粉などが挙げられる。また、市販のセラミックス成形用バインダーを用いることができる。具体的には、ユケン工業株式会社製のYB-3N、YB-131D、YB-167、YB-152A、YB-132Aなどが挙げられる。
本実施形態に係る押出成形用組成物には、上記成分(A)~(D)の他、本実施形態の効果を阻害しない範囲において、例えば、可塑剤、焼結助剤、有機溶媒、増粘剤、潤滑剤、無機塩、粘土などの可塑性天然原料などの添加剤を更に添加してもよい。
本実施形態に係る押出成形体の製造方法は、上記の無機材料(A)、微細繊維状セルロース(B)、水(C)及びバインダー成分(D)、並びに必要に応じて任意の添加剤を、混練機を用いて混練して押出成形用組成物を調製した後、得られた押出成形用組成物を押出機により押出成形して、押出成形体を製造するものである。
本実施形態に係る押出成形用組成物であると、押出成形時に口金を通過する際に成形圧の上昇が抑えられ、また口金を通過した後の成形体強度を高めることができるため、流動性と保形性の相反する性能を両立できる。そのため、量産性に優れるとともに、ハニカム構造体、パイプまたは棒状構造物などの様々な形状の成形体を提供することができ、例えば、自動車用排ガス除去フィルター、碍子、グラファイト電極、タイル、透光性アルミナ管、絶縁基板、電気又は磁気セラミックス、機能性繊維などの各種セラミックス製品の成形に利用することができる。
・無機材料(A1):アルミナ、住友化学(株)製「AES-11」
・無機材料(A2):部分安定化ジルコニア、第一稀元素工業(株)製「HSY-3.0」
・セルロース水分散体(B1):TEMPO酸化微細繊維状セルロースの2質量%分散体
・セルロース水分散体(B2):TEMPO酸化微細繊維状セルロースの2質量%分散体
・セルロース水分散体(B3):TEMPO酸化微細繊維状セルロースの2質量%分散体
・セルロース水分散体(B4):TEMPO酸化未解繊セルロース繊維の2質量%分散体
・セルロース水分散体(B5):結晶性のないセルロースの2質量%水分散体
・セルロース水分散体(B6):未変性セルロース、ダイセルファインセル(株)製「セリッシュKY100G」(セルロース繊維を機械粉砕して微細化した未変性の微細繊維状セルロース、10質量%水分散体、数平均繊維径=100nm、平均アスペクト比=5000)を水で2質量%に希釈したもの
・セルロース系バインダー:メチルセルロース、信越化学工業(株)製「メトローズ」
・有機系バインダー:市販セラミックス成形用バインダー、ユケン工業(株)製「YB-131D」
まず、針葉樹パルプ2gに、水150mlと、臭化ナトリウム0.25gと、TEMPO0.025gとを加え、充分撹拌して分散させた後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が12.0mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10~11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間:120分)。反応終了後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化されたセルロース繊維を得た。続いて、遠心分離機で固液分離した後、精製水を加えて固形分濃度4質量%に調整した。その後、24%NaOH水溶液にてスラリーのpHを10に調整した。スラリーの温度を30℃としてNaBH4を0.3g(0.2mmol/g)を加え2時間反応させることにより還元処理した。反応後、1MのHClを添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、セルロース繊維を得た。次に、上記セルロース繊維に純水と水酸化ナトリウムを適量加えて2質量%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理し、セルロース水分散体(B1)を得た。後述する方法で測定したところ、得られたセルロース水分散体(B1)が含有するアニオン変性の微細繊維状セルロースのカルボキシル基の含有量は1.98mmol/g、カルボニル基の含有量は0.10mmol/gであり、一方、アルデヒド基の検出は認められなかった。セルロース水分散体(B1)が含有するアニオン変性の微細繊維状セルロースの数平均繊維径は4nm、平均アスペクト比は280であった。該変性微細繊維状セルロースが含有するセルロースの結晶構造を広角X線回折像測定により確認したところ、I型結晶構造が「あり」であった。また、酸化前のセルロースの13C-NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに、178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れていた。よって、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基等に酸化されていることが確認された。
添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が5.2mmol/gとした以外は、セルロース水分散体(B1)と同様の手法で酸化し、還元、精製した。次に、上記セルロース繊維に純水と水酸化ナトリウムを適量加えて2質量%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理し、セルロース水分散体(B2)を得た。後述する方法で測定したところ、得られたセルロース水分散体(B2)が含有するアニオン変性の微細繊維状セルロースのカルボキシル基の含有量は1.97mmol/g、カルボニル基の含有量は0.10mmol/gであり、一方、アルデヒド基の検出は認められなかった。セルロース水分散体(B2)が含有するアニオン変性の微細繊維状セルロースの数平均繊維径は89nm、平均アスペクト比は92であった。該変性微細繊維状セルロースが含有するセルロースの結晶構造を広角X線回折像測定により確認したところ、I型結晶構造が「あり」であった。また、酸化前のセルロースの13C-NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに、178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れていた。よって、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基等に酸化されていることが確認された。
酸化及び還元処理後のセルロース繊維の分散工程において、水酸化ナトリウムに代えてトリエタノールアミンを適量用いること以外は、セルロース水分散体(B1)の製造と同様にして、セルロース水分散体(B3)を得た。
添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が4.1mmol/gとした以外は、セルロース水分散体(B1)と同様の手法で酸化、還元後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化された未解繊のセルロース繊維を含むセルロース水分散体(B4)を得た。後述する方法で測定したところ、得られたセルロース水分散体(B4)が含有するアニオン変性の未解繊のセルロース繊維のカルボキシル基の含有量は1.0mmol/g、カルボニル基の含有量は0.10mmol/gであり、一方、アルデヒド基の検出は認められなかった。セルロース水分散体(B4)が含有するアニオン変性の未解繊のセルロース繊維の数平均繊維径は182nm、平均アスペクト比は77であった。該変性未解繊のセルロース繊維が含有するセルロースの結晶構造を広角X線回折像測定により確認したところ、I型結晶構造が「あり」であった。また、酸化前のセルロースの13C-NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに、178ppmに、カルボキシル基に由来するピークが現れていた。よって、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基等に酸化されていることが確認された。
原料を針葉樹パルプに替えて再生セルロースを使用し、添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、再生セルロース1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が27.0mmol/gとした以外は、セルロース水分散体(B1)と同様の手法で、セルロース水分散体(B5)を作製した。得られたセルロース水分散体(B5)は、数平均繊維径は測定不可能(1nm以下)で、カルボキシル基量3.1mmol/gであり、結晶構造を有していなかった。
試料0.25gを水に分散させた水分散体60mlを調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが約11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記の式(1)に従いカルボキシル基量を求めた。
カルボキシル基量(mmol/g)=V(mL)×〔0.05/セルロース試料質量(g)〕 …(1)
試料を約0.2g(乾燥質量)精秤し、これに、リン酸緩衝液によってpH=5に調整したセミカルバジド塩酸塩3g/l水溶液を正確に50ml加え、密栓し、二日間振とうした。次いで、この溶液10mlを正確に100mlビーカーに採取し、5N硫酸を25ml、0.05Nヨウ素酸カリウム水溶液を5ml加え、10分間撹拌した。その後、5%ヨウ化カリウム水溶液10mlを加えて、直ちに自動滴定装置を用いて、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液にて滴定し、その滴定量等から、下記の式(2)に従い、試料中のカルボニル基量(アルデヒド基とケトン基との合計含量)を求めた。
カルボニル基量(mmol/g)=(D-B)×f×〔0.125/w〕 …(2)
D:サンプルの滴定量(ml)
B:空試験の滴定量(ml)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター(-)
w:試料量(g)
試料を0.4g精秤し、日本薬局方に従って調製したフェーリング試薬(酒石酸ナトリウムカリウム及び水酸化ナトリウムの混合溶液5mlと、硫酸銅五水和物水溶液5mlと)を加えた後、80℃で1時間加熱した。そして、上澄みが青色、試料部分(固形分)が紺色を呈するものは、アルデヒド基が検出されなかったと判断し、「なし」と評価した。また、上澄みが黄色、試料部分が赤色を呈するものは、アルデヒド基が検出されたと判断し、「あり」と評価した。
アニオン変性の微細繊維状セルロースの数平均繊維径を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM-1400)を用いて観察した。すなわち、試料を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテート水溶液でネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、数平均繊維径を算出した。
アニオン変性の微細繊維状セルロースの平均アスペクト比を、以下のようにして測定した。すなわち、試料を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2質量%ウラニルアセテート水溶液でネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、アニオン変性の微細繊維状セルロースの短い方の幅(短幅)の数平均幅、及び、長い方の幅(長幅)の数平均幅を観察し、これらの値から、先に述べた方法に従い、平均アスペクト比を算出した。
X線回折装置(リガク社製、RINT-Ultima3)を用いて、試料の回折プロファイルを測定し、2シータ=14~17°付近と、2シータ=22~23°付近の2つの位置に典型的なピークが見られる場合は結晶構造(I型結晶構造)が「あり」と評価し、ピークが見られない場合は「なし」と評価した。
試料表面上のグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にカルボキシル基等に酸化されているかどうかについて、13C-NMRチャートで確認した。
・硬度:日本ガイシ(株)製のNGK式硬度計により測定した。得られた各押出成形用組成物について、NGK式硬度計の探針の先端部を垂直に押し当て、測定箇所は3点取り、測定値の平均値を硬度とした。
・成形圧:押出機として株式会社島津製作所製オートグラフAGS-10Kを用い、ヘッドスピード約40mm/分の低速成形で、直径30mmのシリンダーより厚み4.0mmのシート状の成形体を押出成形した時の全荷重を測定した。
・3点曲げ強度:上記押出成形により得られた厚み4.0mmの成形体をバッチ乾燥機にて105℃×60分間乾燥した後に、JIS R1601に準じて万能試験機(オートグラフAG-500D、(株)島津製作所)により3点曲げ強度を測定した。
Claims (7)
- 無機材料(A)と、微細繊維状セルロース(B)と、水(C)と、バインダー成分(D)とを含有し、前記微細繊維状セルロース(B)が下記条件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たす、押出成形用組成物。
(a)数平均繊維径が3nm以上100nm以下
(b)平均アスペクト比が50以上1000以下
(c)セルロースI型結晶構造を有する
(d)アニオン性官能基を有する - 無機材料(A)と、微細繊維状セルロース(B)と、水(C)と、バインダー成分(D)とを含有し、前記微細繊維状セルロース(B)が下記条件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たし、前記微細繊維状セルロース(B)の含有量が、100質量部の前記無機材料(A)に対して、0.05~0.5質量部である、押出成形用組成物。
(a)数平均繊維径が3nm以上100nm以下
(b)平均アスペクト比が10以上1000以下
(c)セルロースI型結晶構造を有する
(d)アニオン性官能基を有する - 無機材料(A)と、微細繊維状セルロース(B)と、水(C)と、バインダー成分(D)とを含有し、前記微細繊維状セルロース(B)が下記条件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たし、硬度が10以上である、押出成形用組成物。
(a)数平均繊維径が3nm以上100nm以下
(b)平均アスペクト比が10以上1000以下
(c)セルロースI型結晶構造を有する
(d)アニオン性官能基を有する - 前記微細繊維状セルロース(B)のアニオン性官能基がカルボキシル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の押出成形用組成物。
- 前記微細繊維状セルロース(B)のアニオン性官能基の含有量が、微細繊維状セルロースの乾燥質量あたり、1.2~2.2mmol/gである、請求項1~4のいずれか1項に記載の押出成形用組成物。
- 前記バインダー成分(D)の含有量が、100質量部の前記無機材料(A)に対して、2~20質量部である、請求項1~5のいずれか1項に記載の押出成形用組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の押出成形用組成物を押出成形して、押出成形体を製造する、押出成形体の製造方法。
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