JP7316206B2 - 車両用制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動輪に連結される走行用モータを制御する車両用制御装置に関する。
電気自動車やハイブリッド車両等の車両には、駆動輪に連結される走行用モータが設けられている(特許文献1~3参照)。この走行用モータの目標駆動力は、乗員のアクセル操作に基づき制御されているが、加速走行中に駆動輪が空転した場合には、目標駆動力を自動的に低下させるスリップ制御が実行される。
特開2003-174702号公報 特開2012-232729号公報 特開2015-136207号公報
ところで、加速走行中の空転を抑制するスリップ制御については、アクセルペダルの踏み込み解除等に伴って停止させることが考えられる。しかしながら、雪道等の低μ路走行中にアクセル操作が解除されてスリップ制御を停止させた場合には、スリップ制御による目標駆動力の引き下げが解除されることから、新たな目標駆動力の設定状況によっては駆動輪を再び空転させてしまう虞がある。このため、スリップ制御を停止させる場合には、走行用モータを適切に制御することが求められている。
本発明の目的は、スリップ制御を停止させる場合に、走行用モータを適切に制御することにある。
本発明の車両用制御装置は、駆動輪に連結される走行用モータを制御する車両用制御装置であって、アクセル開度に基づいて第1要求駆動力を設定し、前記第1要求駆動力になまし処理を施して第2要求駆動力を設定する駆動力設定部と、前記第2要求駆動力に基づいて、前記走行用モータから出力されるモータ駆動力を制御するモータ制御部と、を有し、前記モータ制御部は、加速走行中に前記駆動輪が空転する場合に、前記第2要求駆動力よりも小さな制限駆動力に基づき前記モータ駆動力を制御するスリップ制御を実行し、前記スリップ制御を停止させる場合に、前記第1要求駆動力と前記モータ駆動力とを比較判定し、前記第1要求駆動力が前記モータ駆動力よりも小さい場合に、前記第1要求駆動力に基づいて前記モータ駆動力を制御する。
本発明によれば、スリップ制御を停止させる場合に、第1要求駆動力とモータ駆動力とを比較判定し、第1要求駆動力がモータ駆動力よりも小さい場合に、第1要求駆動力に基づいて前記モータ駆動力を制御する。これにより、走行用モータを適切に制御することができる。
本発明の一実施の形態である車両用制御装置を備える車両の構成例を示す概略図である。 第1要求駆動力が設定される駆動力マップの一例を示す図である。 第1要求駆動力に対するレート処理の実施状況の一例を示す図である。 雪道等の低μ路におけるスリップ制御の実行状況の一例を示す図である。 比較例としてスリップ制御の実行状況を示すタイミングチャートである。 移行制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。 スリップ制御および移行制御の実行状況を示すタイミングチャートである。 スリップ制御および移行制御の実行状況を示すタイミングチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[車両構成]
図1は本発明の一実施の形態である車両用制御装置10を備える車両11の構成例を示す概略図である。図1に示すように、車両11には、後輪(駆動輪)12に連結されるモータジェネレータ(走行用モータ)13が設けられている。このモータジェネレータ13のロータ14には、モータ出力軸15、デファレンシャル機構16、および車輪駆動軸17を介して後輪12が連結されている。また、モータジェネレータ13のステータ18には電力変換機器であるインバータ19が接続されており、インバータ19にはリチウムイオンバッテリ等のバッテリ20が接続されている。なお、図示する車両11は、後輪駆動の車両であるが、これに限られることはなく、前輪駆動や全輪駆動の車両であっても良い。
車両用制御装置10は、モータジェネレータ13のモータ駆動力を制御するため、マイコン等からなるメインコントローラ21およびモータコントローラ22を有している。駆動力設定部として機能するメインコントローラ21は、アクセル開度等に基づいて目標駆動力としての要求駆動力を設定し、この要求駆動力をモータコントローラ22に出力する。また、モータ制御部として機能するモータコントローラ22は、要求駆動力に基づいてモータジェネレータ13から出力されるモータ駆動力を制御する。
メインコントローラ21に接続されるセンサとして、アクセルペダルの踏み込み量(以下、アクセル開度と記載する。)を検出するアクセルセンサ23、およびブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキセンサ24がある。また、メインコントローラ21に接続されるセンサとして、前輪25の回転速度を検出する前輪速度センサ26、後輪12の回転速度を検出する後輪速度センサ27、および車両11に作用する加速度を検出する加速度センサ28等がある。なお、メインコントローラ21とモータコントローラ22とは、CAN等の車載ネットワーク29を介して互いに通信自在に接続されている。
[要求駆動力の設定]
続いて、メインコントローラ21による要求駆動力Fd1,Fd2の設定について説明する。ここで、図2は第1要求駆動力Fd1が設定される駆動力マップの一例を示す図であり、図3は第1要求駆動力Fd1に対するレート処理の実施状況の一例を示す図である。図2に示すように、駆動力マップには、アクセル開度Acc毎に第1要求駆動力Fd1を示す特性線L1~L4が設定されている。つまり、アクセル開度Accが0%である場合には、特性線L1に沿って第1要求駆動力Fd1が設定され、アクセル開度Accが25%である場合には、特性線L2に沿って第1要求駆動力Fd1が設定される。同様に、アクセル開度Accが50%である場合には、特性線L3に沿って第1要求駆動力Fd1が設定され、アクセル開度Accが100%である場合には、特性線L4に沿って第1要求駆動力Fd1が設定される。例えば、アクセル開度Accが「50%」であり、かつ車速が「Va」である場合には、運転手から要求される第1要求駆動力Fd1として「Fa」が設定される。
なお、図2に示される駆動力マップには、一例として4本の特性線L1~L4が設定されているが、これに限られることはなく、5本以上の特性線が設定された駆動力マップを使用しても良い。また、図2の駆動力マップに示した例では、アクセル開度Accが0%である場合に、特性線L1に沿って第1要求駆動力Fd1がゼロに設定されているが、これに限られることはなく、アクセル開度Accが0%である場合に、第1要求駆動力Fd1を回生発電側つまり負側に設定しても良い。
また、メインコントローラ21は、モータジェネレータ13の急な駆動力変化を抑制するため、第1要求駆動力Fd1にレート処理(なまし処理)を施して第2要求駆動力Fd2を設定し、このレート処理後の第2要求駆動力Fd2をモータコントローラ22に対して出力する。つまり、図3に示すように、アクセル開度に基づいて第1要求駆動力Fd1が設定されると、この第1要求駆動力Fd1に対して変化速度を制限するレート処理を施すことにより、第1要求駆動力Fd1を緩やかに変化させた第2要求駆動力Fd2が設定される。すなわち、急なアクセル操作によって第1要求駆動力Fd1が急速に増減する場合であっても、モータジェネレータ13の制御目標である第2要求駆動力Fd2については緩やかに増減することになる。このような第2要求駆動力Fd2を用いてモータジェネレータ13を制御することにより、モータジェネレータ13の急な駆動力変化を防止することができ、乗員に違和感を与えることなくモータジェネレータ13を制御することができる。
[スリップ制御]
続いて、モータコントローラ22によるスリップ制御について説明する。ここで、図4は雪道等の低μ路におけるスリップ制御の実行状況の一例を示す図である。図4に示されるスリップ率Sは、加速走行時における後輪12の空転状況を示す値であり、以下の式(1)を用いて算出される値である。以下の式(1)において、Vrは駆動輪の回転速度つまり後輪速度であり、Vvは車両11の移動速度つまり車速である。すなわち、後輪12が空転せずに後輪速度Vrが車速Vvに一致する場合には、スリップ率Sが0%として算出される一方、後輪12が空転して後輪速度Vrが車速Vvを超える場合には、スリップ率Sが上昇して算出される。なお、車速Vvとして、例えば、従動輪速度である前輪速度を使用しても良く、車両加速度等から算出される車両11の移動速度を使用しても良く、GPS(Global Positioning System)の位置信号から算出される車両11の移動速度を使用しても良い。
S={(Vr-Vv)/Vv}×100 ・・・(1)
ここで、スリップ制御とは、加速走行中における後輪12の空転を抑制するため、モータ駆動力を低下させる制御である。このスリップ制御の実行条件として、アクセル開度Accが所定の閾値Xa1を上回り、かつスリップ率Sが所定の閾値Xs1を上回ること等が挙げられる。また、スリップ制御の停止条件として、アクセル開度Accが所定の閾値Xa2を下回ることや、スリップ率Sが所定の閾値Xs2を下回ること等が挙げられる。なお、図4に示すように、制御ハンチングを抑制する観点から、アクセル開度Accと比較される2つの閾値Xa1,Xa2が設定され、スリップ率Sと比較される2つの閾値Xs1,Xs2が設定されているが、これに限られることはなく、1つの閾値をアクセル開度Accと比較することで実行条件や停止条件を判定しても良く、1つの閾値をスリップ率Sと比較することで実行条件や停止条件を判定しても良い。
図4に時刻t1で示すように、アクセルペダルの踏み込みによってアクセル開度Accが上昇すると、第2要求駆動力Fd2およびこれに追従するモータ駆動力MFが上昇し始める。また、時刻t2に示すように、第2要求駆動力Fd2が上昇して路面反力を上回り、これに追従してモータ駆動力MFが路面反力を上回ると、後輪12が空転し始めることからスリップ率Sが上昇し始める。そして、時刻t3に示すように、アクセル開度Accが閾値Xa1を上回る状況のもとで、スリップ率Sが上昇して閾値Xs1を上回ると、後輪12の空転を抑制するため、モータ駆動力MFを低下させるスリップ制御が実行される。
このスリップ制御においては、第2要求駆動力Fd2よりも小さな制限駆動力Fmaxが設定され、制限駆動力Fmaxを超えないようにモータ駆動力MFが制限される。つまり、アクセル開度Accに基づき第2要求駆動力Fd2が大きく設定されていたとしても、矢印αで示すように、制限駆動力Fmaxまでモータ駆動力MFが引き下げられる。なお、制限駆動力Fmaxは、所定のスリップ率S(例えば10%)を維持する大きさに設定される。つまり、スリップ率Sが所定値を上回る場合には、制限駆動力Fmaxが下げられる一方、スリップ率Sが所定値を下回る場合には、制限駆動力Fmaxが上げられる。これにより、スリップ制御における制限駆動力Fmaxは、路面反力を若干上回る大きさに設定される。
このように、加速走行中にスリップ率Sが閾値Xs1を上回ると、スリップ制御の実行によって制限駆動力Fmaxが設定されるため、アクセルペダルが踏み込まれていたとしてもモータ駆動力MFが自動的に引き下げられる。これにより、雪道等の低μ路を走行する場合であっても、駆動輪である後輪12の過度な空転を防止することができ、加速走行中の車両11を安定させることができる。
[比較例:低μ路走行時のアクセルオフ]
続いて、低μ路での加速走行中にスリップ制御が実行され、その後、アクセルペダルの踏み込みが解除された場合について説明する。図5は比較例としてスリップ制御の実行状況を示すタイミングチャートである。なお、図5および後述する図7,図8において、アクセル操作がONとは、アクセル開度Accが閾値Xa1を上回る状況であり、アクセル操作がOFFとは、アクセル開度Accが閾値Xa2を下回る状況である。また、スリップ制御フラグがONとは、スリップ制御の実行条件が成立している状況であり、モータコントローラ22によってスリップ制御が実行される状況である。一方、スリップ制御フラグがOFFとは、スリップ制御の停止条件が成立している状況であり、モータコントローラ22によるスリップ制御が停止される状況である。さらに、駆動力制限フラグがONとは、モータコントローラ22によるスリップ制御の実行を、メインコントローラ21が認識している状況であり、駆動力制限フラグがOFFとは、モータコントローラ22によるスリップ制御の停止を、メインコントローラ21が認識している状況である。
図5に時刻t1で示すように、アクセル操作がONであり(符号a1)、スリップ制御フラグがONであり(符号b1)、駆動力制限フラグがONである状況(符号c1)とは、スリップ制御が実行されている状況である。このスリップ制御においては、後輪12の空転を抑制するために制限駆動力Fmaxが設定されており、モータ駆動力MFは制限駆動力Fmaxを超えないように制限される(符号d1)。
続いて、時刻t2~t3で示すように、アクセルペダルの踏み込みが解除され、アクセル操作がOFFになると(符号a2)、スリップ制御の停止条件が成立することから、スリップ制御フラグがOFFになり(符号b2)、駆動力制限フラグがOFFになる(符号c2)。このとき、アクセルペダルの踏み込みは解除されていることから、アクセル開度に基づく第1要求駆動力Fd1は「0」まで低下するものの(符号e1)、レート処理が施される第2要求駆動力Fd2は所定の大きさを維持している(符号f1)。
ここで、時刻t3においては、スリップ制御が停止されていることから、モータジェネレータ13は第2要求駆動力Fd2に向けて制御されるが、第2要求駆動力Fd2は実際に出力されているモータ駆動力MFよりも大きいため、スリップ制御の停止に伴ってモータ駆動力MFが上昇することになる(符号d2)。このように、アクセルペダルの踏み込みが解除されたにも拘わらず、スリップ制御の停止に伴ってモータ駆動力MFが上昇することは、運転手に違和感を与えるとともに後輪12の空転を招いてしまう要因である。そこで、本実施形態の車両用制御装置10は、スリップ制御の停止条件が成立してから後述の移行制御を実行することにより、運転手に違和感を与えることなくモータジェネレータ13を適切に制御している。
[移行制御:フローチャート]
図6は移行制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップS10では、スリップ制御の実行中であるか否かが判定される。ステップS10において、スリップ制御中であると判定された場合には、ステップS11に進み、スリップ制御の停止条件が成立するか否かが判定される。ステップS11において、スリップ制御の停止条件が成立した場合、つまりアクセル開度Accが所定の閾値Xa2を下回る場合や、スリップ率Sが所定の閾値Xs2を下回る場合には、ステップS12に進み、第1要求駆動力Fd1とモータ駆動力MFとが比較判定される。
ステップS12において、第1要求駆動力Fd1がモータ駆動力MFを下回ると判定された場合には、ステップS13に進み、レート処理前の第1要求駆動力Fd1に向けてモータ駆動力MFが制御される。続くステップS14では、第2要求駆動力Fd2とモータ駆動力MFとの差が所定値ΔN以下であるか否かが判定される。ステップS14において、第2要求駆動力Fd2とモータ駆動力MFとの差が所定値ΔNよりも大きい場合、つまりモータ駆動力MFが第2要求駆動力Fd2から離れている場合には、ステップS13に戻り、レート処理前の第1要求駆動力Fd1に向けてモータ駆動力MFが制御される。
一方、ステップS14において、第2要求駆動力Fd2とモータ駆動力MFとの差が所定値ΔN以下である場合、つまりモータ駆動力MFが第2要求駆動力Fd2に近づいている場合には、ステップS15に進み、レート処理後の第2要求駆動力Fd2に向けてモータ駆動力MFが制御される。また、ステップS12において、第1要求駆動力Fd1がモータ駆動力MF以上であると判定された場合には、ステップS15に進み、レート処理後の第2要求駆動力Fd2に向けてモータ駆動力MFが制御される。
このように、ステップS11において、スリップ制御の停止条件が成立したと判定された場合には、ステップS12に進み、第1要求駆動力Fd1とモータ駆動力MFとの大きさが比較判定される。そして、レート処理前の第1要求駆動力Fd1がモータ駆動力MFよりも小さい場合には、ステップS13に進み、レート処理前の第1要求駆動力Fd1に向けてモータ駆動力MFが制御される。一方、レート処理前の第1要求駆動力Fd1がモータ駆動力MFよりも大きい場合には、ステップS15に進み、レート処理後の第2要求駆動力Fd2に向けてモータ駆動力MFが制御される。なお、ステップS13においてモータ駆動力MFを制御する際の駆動力変化速度は、ステップS15においてモータ駆動力MFを制御する際の駆動力変化速度よりも小さく設定されている。
[移行制御:タイミングチャート1]
続いて、低μ路での加速走行中にスリップ制御が実行され、その後、アクセルペダルの踏み込み解除によってスリップ制御が停止された場合の移行制御について説明する。図7はスリップ制御および移行制御の実行状況を示すタイミングチャートである。
図7に時刻t1で示すように、アクセル操作がONであり(符号a1)、スリップ制御フラグがONであり(符号b1)、駆動力制限フラグがONである状況(符号c1)とは、スリップ制御が実行されている状況である。このスリップ制御においては、後輪12の空転を抑制するために制限駆動力Fmaxが設定されており、モータ駆動力MFは制限駆動力Fmaxを超えないように制限される(符号d1)。
続いて、時刻t2~t3で示すように、アクセルペダルの踏み込みが解除され、アクセル操作がOFFになると(符号a2)、スリップ制御の停止条件が成立することから、スリップ制御フラグがOFFになり(符号b2)、駆動力制限フラグがOFFになる(符号c2)。このとき、アクセルペダルの踏み込みは解除されていることから、アクセル開度に基づく第1要求駆動力Fd1は「0」まで低下するものの(符号e1)、レート処理が施される第2要求駆動力Fd2は所定の大きさを維持している(符号f1)。
ここで、図6のフローチャートで説明したように、スリップ制御の停止条件が成立した場合には、第1要求駆動力Fd1とモータ駆動力MFとを比較判定し、モータ駆動力MFの制御目標を決定している。つまり、レート処理前の第1要求駆動力Fd1がモータ駆動力MFよりも小さい場合には、レート処理前の第1要求駆動力Fd1に向けてモータ駆動力MFが制御される(ステップS12,S13)。一方、レート処理前の第1要求駆動力Fd1がモータ駆動力MFよりも大きい場合には、レート処理後の第2要求駆動力Fd2に向けてモータ駆動力MFが制御される(ステップS12,S15)。
すなわち、図7に時刻t3で示すように、スリップ制御の停止条件が成立して駆動力制限フラグがOFFになるタイミングでは(符号c2)、レート処理前の第1要求駆動力Fd1がモータ駆動力MFよりも小さいことから(符号d2,e1)、レート処理前の第1要求駆動力Fd1に向けてモータ駆動力MFが制御される。これにより、モータ駆動力MFを急増させずに緩やかに低下させることができ(符号d3)、アクセルペダルの踏み込み解除に合わせてモータ駆動力MFを適切に制御することができる。なお、図7に時刻t4で示すように、第2要求駆動力Fd2とモータ駆動力MFとの差が所定値ΔN以下になると、レート処理後の第2要求駆動力Fd2に向けてモータ駆動力MFが制御される。
[移行制御:タイミングチャート2]
続いて、低μ路での加速走行中にスリップ制御が実行され、その後、スリップ率の低下によってスリップ制御が停止された場合の移行制御について説明する。図8はスリップ制御および移行制御の実行状況を示すタイミングチャートである。
図8に時刻t1で示すように、アクセル操作がONであり(符号a1)、スリップ制御フラグがONであり(符号b1)、駆動力制限フラグがONである状況(符号c1)とは、スリップ制御が実行されている状況である。このスリップ制御においては、後輪12の空転を抑制するために制限駆動力Fmaxが設定されており、モータ駆動力MFは制限駆動力Fmaxを超えないように制限される(符号d1)。
続いて、時刻t2~t3で示すように、アクセルペダルの踏み込みが継続された状態のもとで(符号a2)、走行路面が低μ路から高μ路に変化して路面反力が急増した場合には(符号e1)、後輪12の空転が止まってスリップ率が低下するため、スリップ制御の停止条件が成立する。このように、スリップ制御の停止条件が成立すると、スリップ制御フラグがOFFになり(符号b2)、駆動力制限フラグがOFFになる(符号c2)。このとき、アクセルペダルの踏み込みは継続されるため、第1および第2要求駆動力Fd1,Fd2はほぼ同じ大きさに維持される(符号f1)。
ここで、図6のフローチャートで説明したように、スリップ制御の停止条件が成立した場合には、第1要求駆動力Fd1とモータ駆動力MFとを比較判定し、モータ駆動力MFの制御目標を決定している。つまり、レート処理前の第1要求駆動力Fd1がモータ駆動力MFよりも小さい場合には、レート処理前の第1要求駆動力Fd1に向けてモータ駆動力MFが制御される(ステップS12,S13)。一方、レート処理前の第1要求駆動力Fd1がモータ駆動力MFよりも大きい場合には、レート処理後の第2要求駆動力Fd2に向けてモータ駆動力MFが制御される(ステップS12,S15)。
すなわち、図8に時刻t3で示すように、スリップ制御の停止条件が成立して駆動力制限フラグがOFFになるタイミングでは(符号c2)、レート処理前の第1要求駆動力Fd1がモータ駆動力MFよりも大きいことから(符号d2,f1)、レート処理後の第2要求駆動力Fd2に向けてモータ駆動力MFが制御される。これにより、モータ駆動力MFを上昇させることができ(符号d3)、路面反力の増加に合わせてモータ駆動力MFを適切に制御することができる。また、図8に符号d3で示すように、第2要求駆動力Fd2に向けてモータ駆動力MFを制御する際の駆動力変化速度は、図7に符号d3で示すように、第1要求駆動力Fd1に向けてモータ駆動力MFを制御する際の駆動力変化速度よりも大きく設定されている。これにより、スリップ率の低下によってスリップ制御が解除された場合には、モータ駆動力MFを素早く立ち上げることができ、モータジェネレータ13を応答良く制御することができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、車両用制御装置10が適用される車両として、動力源として走行用モータのみを備えた電気自動車を例示しているが、これに限られることはなく、動力源として走行用モータおよびエンジンを備えたハイブリッド車両であっても良い。また、前述の説明では、メインコントローラ21を駆動力設定部として機能させ、モータコントローラ22をモータ制御部として機能させているが、これに限られることはない。例えば、1つのコントローラを駆動力設定部およびモータ制御部として機能させても良い。
前述の説明では、スリップ制御の実行条件として、アクセル開度Accが所定の閾値Xa1を上回り、かつスリップ率Sが所定の閾値Xs1を上回ることを例示しているが、これに限られることはない。例えば、スリップ制御の実行条件として、アクセル開度Accが所定の閾値Xa1を上回り、かつスリップ率Sが所定の閾値Xs1を上回り、かつ第2要求駆動力Fd2がモータ駆動力MFを上回ることを採用しても良い。また、前述の説明では、スリップ制御の停止条件として、アクセル開度Accが所定の閾値Xa2を下回ることや、スリップ率Sが所定の閾値Xs2を下回ることを例示しているが、これに限られることはない。例えば、スリップ制御の停止条件として、アクセル開度Accが所定の閾値Xa2を下回ること、スリップ率Sが所定の閾値Xs2を下回ること、または第2要求駆動力Fd2がモータ駆動力MFを下回ることを採用しても良い。
図7および図8に示した例では、駆動力制限フラグがOFFになるタイミング(時刻t3)で、第1要求駆動力Fd1とモータ駆動力MFとの大きさを比較判定しているが、これに限られることはなく、スリップ制御の停止条件が成立した後であれば如何なるタイミングであっても良い。例えば、スリップ制御の停止条件が成立し、スリップ制御フラグがOFFになるタイミングで、第1要求駆動力Fd1とモータ駆動力MFとの大きさを比較判定しても良い。
10 車両用制御装置
11 車両
12 後輪(駆動輪)
13 モータジェネレータ(走行用モータ)
21 メインコントローラ(駆動力設定部)
22 モータコントローラ(モータ制御部)
Fd1 第1要求駆動力
Fd2 第2要求駆動力
MF モータ駆動力
Fmax 制限駆動力
Acc アクセル開度
S スリップ率
Xa2 閾値
Xs2 閾値

Claims (4)

  1. 駆動輪に連結される走行用モータを制御する車両用制御装置であって、
    アクセル開度に基づいて第1要求駆動力を設定し、前記第1要求駆動力になまし処理を施して第2要求駆動力を設定する駆動力設定部と、
    前記第2要求駆動力に基づいて、前記走行用モータから出力されるモータ駆動力を制御するモータ制御部と、
    を有し、
    前記モータ制御部は、
    加速走行中に前記駆動輪が空転する場合に、前記第2要求駆動力よりも小さな制限駆動力に基づき前記モータ駆動力を制御するスリップ制御を実行し、
    前記スリップ制御を停止させる場合に、前記第1要求駆動力と前記モータ駆動力とを比較判定し、前記第1要求駆動力が前記モータ駆動力よりも小さい場合に、前記第1要求駆動力に基づいて前記モータ駆動力を制御する、
    車両用制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用制御装置において、
    前記モータ制御部は、
    前記スリップ制御を停止させる場合に、前記第1要求駆動力と前記モータ駆動力とを比較判定し、前記第1要求駆動力が前記モータ駆動力よりも大きい場合に、前記第2要求駆動力に基づいて前記モータ駆動力を制御する、
    車両用制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両用制御装置において、
    前記スリップ制御は、アクセル開度が閾値を下回る場合に停止する、
    車両用制御装置。
  4. 請求項1~3の何れか1項に記載の車両用制御装置において、
    前記スリップ制御は、前記駆動輪のスリップ率が閾値を下回る場合に停止する、
    車両用制御装置。
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