以下、実施形態によるアクチュエータ装置の製造方法およびアクチュエータ装置を、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図7は、第1の実施形態を示している。図1において、アクチュエータ装置としての電磁アクチュエータ1は、電動リニアモータ(電動リニアアクチュエータ)として構成されている。図2は、電磁アクチュエータ1を最大長状態(最伸長状態)で示しており、図3は、電磁アクチュエータ1を最小長状態(最縮小状態)で示している。
電磁アクチュエータ1は、例えば、鉄道車両、自動車等の車両に搭載され、図示しないばね(懸架ばね、コイルスプリング、空気ばね)と共に、電磁サスペンション装置を構成する。即ち、図示は省略するが、電磁アクチュエータ1は、ばねと共に、例えば、ばね上側となる車体とばね下側となる車輪との間、ばね上側となる車体とばね下側となる台車との間、または、ばね上側となる台車とばね下側となる車輪(車軸、輪軸)との間に設けられる。以下、車体、台車等のばね上側の部材を「ばね上部材」という。また、台車、車輪、車軸、輪軸等のばね下側の部材を「ばね下部材」という。
電磁アクチュエータ1は、例えば、ばね上側に配置される固定子2と、ばね下側に配置される可動子21とを備えている。電磁アクチュエータ1は、第1部材となる可動子21に設けられた永久磁石22,22と、第2部材となる固定子2に設けられた電機子13のコイル部材15(コイル15A,15B,15C)とにより三相リニアモータ(三相リニア同期モータ)を構成している。
より具体的には、電磁アクチュエータ1は、相対変位可能な同軸状の一対の筒部材からなる筒状リニア電磁式アクチュエータとして構成され、相対移動する「ばね上部材」と「ばね下部材」との間に介装されている。この場合、電磁アクチュエータ1は、第1シリンダに対応する外筒23に設けられた磁性部材としての永久磁石22,22と、第2シリンダに対応する内筒3にコア部材14を介して設けられた複数相のコイル群からなるコイル部材15(コイル15A,15B,15C)とを備えている。コイル部材15は、全周にわたって永久磁石22,22と径方向に対面して配置されている。
電磁アクチュエータ1の固定子2と可動子21は、相対移動する2部材の間(例えば、2部材の一方となるばね下部材と2部材の他方となるばね上部材との間)にそれぞれ取り付けられている。固定子2と可動子21は、ばね上部材とばね下部材との間に直線状に互いに相対変位(相対移動)を可能に配置され、ストローク方向となる軸方向、即ち、相対変位の方向である図1の上下方向に推力を発生させる。
実施形態では、電磁アクチュエータ1の第1部材と第2部材とのうち、第1部材を可動子21とし、第2部材を固定子2とした場合を例示している。しかし、これに限らず、第1部材を固定子とし、第2部材を可動子としてもよい。即ち、ばね下部材(2部材の一方)に固定子を取付け、ばね上部材(2部材の他方)に可動子を取付けてもよい。また、2部材の一方(一側部材)をばね上部材とし、2部材の他方(他側部材)をばね下部材としてもよい。また、以下の説明では、電磁アクチュエータ1の軸方向の一端側を下端側(図1の下端側)とし、軸方向の他端側を上端側(図1の上端側)とするが、電磁アクチュエータの軸方向の一端側を上端側とし、軸方向の他端側を下端側としてもよい。
電磁アクチュエータ1の固定子2は、その一端側となる下端側に電機子13を有している。即ち、第2部材としての固定子2は、内筒3と、カバー部材としてのアウタシェル4と、第3シリンダとなる中間筒5と、底部部材6と、閉塞部材7と、電機子13と、環状部材12とを備えている。内筒3は、上下方向(軸方向)に延びる筒状(円筒状)の筒部材(円筒部材)として形成されている。内筒3の径方向外側には、固定子2の中間筒5および可動子21の外筒23が配置されている。逆に言えば、内筒3は、外筒23およびの中間筒5の径方向内側に配置されている。これにより、内筒3は、外筒23の内周に外筒23の軸線方向に相対移動可能に配置されている。
内筒3の一端部となる下端部には、電機子13が設けられている。内筒3は、下端側が電機子13(コア部材14)の内周側を軸方向に延び、コア部材14の内側に挿入されている。即ち、内筒3の下端部は、電機子13まで延びており、電機子13の内周側に位置している。内筒3の下端側には、内筒3の下端側を閉塞する底部部材6が固定されている。内筒3および底部部材6は、第2シリンダを構成しており、底部部材6は、第2シリンダの一端を閉塞する閉塞部(底部)に対応する。底部部材6は、内筒3の下端側に挿入される小径部6Aと、電機子13のコア部材14とほぼ同じ外径寸法を有する大径部6Bとを備えている。
小径部6Aの外周は、雄ねじ部6Cとなっている。雄ねじ部6Cは、内筒3の下端側に設けられた雌ねじ部3Aに螺合されている。即ち、底部部材6は、小径部6Aの雄ねじ部6Cと内筒3の雌ねじ部3Aとの螺合により内筒3に固定される。底部部材6には、小径部6Aおよび大径部6Bを軸方向に貫通する貫通孔6Dが設けられている。底部部材6の貫通孔6Dおよび内筒3には、ロッド24が挿入されている。貫通孔6D内には、ロッド24の外周面と低摩擦で摺動する摺動部材(図示せず)が設けられている。また、貫通孔6D内には、ロッド24と貫通孔6Dとの間をシールするシール部材6Eが設けられている。
内筒3の他端部となる上端部は、ばね上部材(2部材のうちの他方)に取り付けられている。この場合、内筒3の上端側は、閉塞部材7により閉塞されている。即ち、内筒3の他端(上端)には、閉塞部材7が設けられている。閉塞部材7は、ボルト9によって上部部材10に固定されている。これにより、内筒3の上端部は、閉塞部材7を介して、上部部材10に取付けられている。
閉塞部材7は、内筒3の上端側に挿入される小径部7Aと、中間筒5の上端側に挿入される大径部7Bと、大径部7Bの径方向の中央位置から上側に向けて突出する突出部7Cとを備えている。小径部7Aの外周は、雄ねじ部7Dとなっている。雄ねじ部7Dは、内筒3の上端側に設けられた雌ねじ部3Bに螺合される。即ち、閉塞部材7は、小径部7Aの雄ねじ部7Dと内筒3の雌ねじ部3Bとの螺合により内筒3に固定される。
また、大径部7Bの外周は、雄ねじ部7Eとなっている。雄ねじ部7Eは、中間筒5の上端側に設けられた雌ねじ部5Aに螺合される。即ち、閉塞部材7は、大径部7Bの雄ねじ部7Eと中間筒5の雌ねじ部5Aとの螺合により中間筒5に固定される。突出部7Cは、上部部材10に設けられた挿通孔10Aに挿通される。
閉塞部材7には、小径部7A、大径部7Bおよび突出部7Cを軸方向に貫通する貫通孔7Fが設けられている。貫通孔7Fは、内筒3内と外部とを連通する連通孔に対応する。貫通孔7Fは、上端側となる突出部7C側の開口がボルト11で閉塞されている。即ち、貫通孔7Fの上端側(突出部7C側)は、雌ねじとなっており、この雌ねじにボルト11が螺合している。ボルト11は、貫通孔7Fを開閉するための栓部材に対応する。
第2端部部材となる上部部材10は、可動子21の外筒23よりも大きな径寸法を有する円板部10Bを備えている。円板部10Bの径方向の中心位置には、閉塞部材7の突出部7Cおよびボルト11が挿通される挿通孔10Aが設けられている。また、上部部材10は、例えば車両のばね上部材に取付けられる取付アイ10Cを備えている。取付アイ10Cは、円板部10Bに一体的に設けられている。上部部材10は、閉塞部材7と共に内筒3、中間筒5およびアウタシェル4をばね上部材に取付けるための取付部材を構成している。
円板部10Bの外周縁には、全周にわたって下方に向けて延びる円筒状のアウタシェル4が取付けられている。アウタシェル4は、中間筒5を覆っている。また、アウタシェル4は、可動子21の外筒23の上側ないし上半部を覆っている。これにより、固定子2には、外筒23の外周側に位置するカバー部材としてのアウタシェル4が設けられている。上部部材10およびアウタシェル4は、車両の走行時に飛び石等から中間筒5および外筒23を保護する。
中間筒5は、上下方向(軸方向)に延びる筒状(円筒状)の筒部材(円筒部材)として形成されている。中間筒5は、内筒3の外周側に設けられている。中間筒5の上端側は、閉塞部材7の大径部7Bに取付けられている。即ち、中間筒5の上端側は、閉塞部材7により閉塞されている。中間筒5の下端部は、電機子13の上側に設けられた環状部材12に接続されている。中間筒5は、閉塞部材7の大径部7Bとの螺合により、環状部材12を介して電機子13を底部部材6に向けて押し付けている。これにより、電機子13は、底部部材6、環状部材12、中間筒5、内筒3および閉塞部材7と一体となって第1部材となる固定子2を構成している。
電機子13は、環状に形成されている。電機子13の内周部(内周側の空間)は、内筒3が挿入されている。電機子13は、例えば磁性体からなる略筒状のコア部材14と、コア部材14に設けられコイル部材15を構成する複数のコイル15A,15B,15C(即ち、u相コイル15A,v相コイル15B,w相コイル15C)とにより構成されている。コア部材14は、内筒3の下端側に設けられている。コア部材14は、外周にコイル部材15、即ち、コイル15A,15B,15Cを有している。なお、コイル15A,15B,15Cの個数は、3個に限らず、例えば6個、9個、12個等、設計仕様等に応じて適宜に変更することができる。
図示は省略するが、環状部材12の外周側には、電磁アクチュエータ1のストローク量を検出するストロークセンサが設けられている。ストロークセンサは、電機子13と可動子21(永久磁石22,22)との間の軸方向の絶対位置または相対位置を測定する。ストロークセンサは、例えば、磁気抵抗の変化、ホール効果等を利用して磁界(磁場、磁束)、極性(磁極)を検出する磁気抵抗素子、ホール素子(ホールIC)等の磁気センサにより構成することができる。
ストロークセンサは、ストロークセンサに対して軸方向に変位する可動子21の永久磁石22,22の磁界、極性等を検出する。これにより、永久磁石22,22の軸方向位置(ストローク位置)を演算することができ、この位置に応じて固定子2のコイル15A,15B,15Cに必要な電流を供給できる。なお、ストロークセンサは、磁気センサに限らず、レーザ変位計等、電機子13と可動子21との間の軸方向の相対位置または絶対位置を測定することが可能な各種のストロークセンサ(変位センサ)を用いることができる。
可動子21は、その下端側が車両のばね下部材に接続されている。可動子21には、可動子21の軸方向に延びて環状に形成される複数の永久磁石22,22からなる界磁が設けられている。可動子21は、円筒状の部材となる外筒23および外筒23の下端側を閉塞する下部部材25を有している。即ち、可動子21は、電機子13(コア部材14およびコイル15A,15B,15C)の外周側に配置されるヨークとしての外筒23と、外筒23の下端側に固定される下部部材25と、外筒23の内側に位置して下部部材25から軸方向に延びるロッド24と、外筒23に設けられコイル15A,15B,15Cに対し径方向に隙間をもって対向する磁性部材としての複数の永久磁石22,22とを備えている。また、可動子21は、外筒23の上端側に取付けられたリング部材26を備えている。
外筒23および下部部材25は、第1シリンダを構成しており、下部部材25は、第1シリンダの底部に対応する。外筒23は、例えば、磁場の中に置くと磁路を形成する磁性材料を用いて形成されている。外筒23の径方向内側には、複数の永久磁石22,22が軸方向に並んで配置されている。外筒23は、磁性材料を用いることにより、電磁アクチュエータ1の磁気回路を形成すると共に、永久磁石22,22の磁束を外部に漏らさないためのカバーとしての機能も有している。外筒23は、上下方向(軸方向)に延びる筒状(円筒状)の筒部材(円筒部材)として形成されている。外筒23は、固定子2の内筒3および中間筒5の外周側に設けられている。
外筒23の一端部となる下端部は、ばね下部材(2部材のうちの一方)に取り付けられている。この場合、外筒23の下端側は、下部部材25に固定されている。即ち、外筒23の下端部は、下部部材25の位置まで軸方向に延びており、下部部材25により閉塞されている。外筒23の下端側は、下部部材25にボルト27によって固定されている。
第1端部部材となる下部部材25は、固定子2の内筒3(および中間筒5)よりも大きな径寸法を有する円板部25Aを備えている。円板部25Aには、ボルト27が挿通されるボルト挿通孔25Bが設けられている。外筒23の下端部には、円板部25Aのボルト挿通孔25Bに対応してねじ穴23Aが設けられている。外筒23と円板部25Aは、円板部25Aのボルト挿通孔25Bに挿通されると共に外筒23のねじ穴23Aに螺合されたボルト27によって固定される。
また、円板部25Aには、ボルト挿通孔25Bよりも内径側に位置して軸方向に貫通する貫通孔25Cが設けられている。貫通孔25Cは、外筒23内と外部とを連通する第2連通孔に対応する。貫通孔25Cは、ボルト28で閉塞されている。即ち、貫通孔25Cは、雌ねじとなっており、この雌ねじにボルト28が螺合している。ボルト28は、貫通孔25Cを開閉するための第2栓部材に対応する。
下部部材25は、例えば車両のばね下部材に取付けられる取付アイ25Dを備えている。取付アイ25Dは、円板部25Aに一体的に設けられている。下部部材25は、外筒23をばね下部材に取付けるための取付部材を構成している。下部部材25には、取付アイ25Dとは軸方向の反対側に位置して、下部部材25から電機子13の内側を軸方向に延びるロッド24が設けられている。
ロッド24は、外筒23の内側に位置している。この場合、ロッド24は、内筒3に挿入されている。即ち、ロッド24は、下部部材25(円板部25A)から外筒23の開口側、即ち、リング部材26側に向けて延びている。ロッド24は、一端部となる下端部が下部部材25(円板部25A)に取り付けられている。ロッド24は、他端部となる上端部が底部部材6の貫通孔6Dを通じて電機子13の内周部となる内筒3内に延びている。ロッド24は、例えば、下部部材25と一体に形成する構成、または、下部部材25とは別体のロッド24を下部部材25に螺合により固定する構成を採用することができる。
ロッド24の先端側には、ピストン29が設けられている。ピストン29は、内筒3の内面と摺動し、内筒3内を2室に区画する。また、ピストン29の外周には、ピストン29に区画された2室を連通する連通路29Aが設けられている。ロッド24は、内筒3内を軸方向に相対変位する。この場合、ピストン29の外周面と内筒3の内周面とが摺動し、かつ、ロッド24の外周面と底部部材6(貫通孔6D)に設けられた摺動部材とが摺動することにより、ロッド24が内筒3に案内される。
リング部材26は、外筒23の他端部となる上端部に設けられている。リング部材26は、円環状に形成されており、例えば、外筒23に螺合やかしめ等により固定的に取付けられている。リング部材26は、中間筒5の外周と外部とを仕切っている。また、リング部材26は、例えば、永久磁石22,22が外筒23内から抜け出るのを抑えると共に、永久磁石22,22の軸方向の位置決めを行っている。
リング部材26の内周側には、中間筒5の外周面と低摩擦で摺動する摺動部材(図示せず)が設けられている。また、リング部材26の内周面には、中間筒5とリング部材26との間をシールするシール部材26Aが設けられている。中間筒5は、リング部材26に対して軸方向に相対変位する。この場合、中間筒5の外周面とリング部材26の内周側に設けられた摺動部材とが摺動することにより、中間筒5がリング部材26(即ち、外筒23)に案内される。
界磁となる複数の永久磁石22,22は、可動子21に設けられている。永久磁石22,22は、磁場を生じさせる磁性部材であり、外筒23に配置されている。この場合、永久磁石22,22は、それぞれ円環状に形成されている。永久磁石22,22は、例えば、円筒状に一体に形成されたリング磁石、円弧状の複数の磁石素子を周方向に並べることにより円環状に構成した分割型のセグメント磁石等により構成することができる。
永久磁石22,22は、外筒23の内周面側に軸方向に沿って並んで設けられている。軸方向に隣合う各永久磁石22,22は、互いに逆極性になっている。例えば、内周面側がN極で外周面側がS極の永久磁石の隣には、内周面側がS極で外周面側がN極の永久磁石が配置されている。なお、永久磁石22,22の個数は、図示の例に限るものではない。例えば、ストローク量に応じて必要個数の永久磁石22,22を並べることができる。
次に、電磁アクチュエータ1の作動について説明する。例えば、電磁アクチュエータ1は、図示しないばねと共に、車両の電磁サスペンション装置を構成する。電磁サスペンション装置は、例えば、車両のばね上部材(車体側)とばね下部材(車輪側)との間に上,下方向に縦置き状態で(倒立型として)介在させることができる。この場合、車両が上,下方向に振動すると、電磁サスペンション装置には、ストローク方向(軸方向)に力が作用する。この力に応じて、電磁アクチュエータ1の固定子2と可動子21とが相対移動する。このとき、電磁アクチュエータ1は、コイル15A,15B,15Cと永久磁石22,22の磁極位置とに応じてコイル15A,15B,15Cに所定の電流を流すことにより、電磁アクチュエータ1の推力(減衰力)を調整することができる。この結果、車両の乗り心地や操縦安定性を向上させることができる。
ところで、ロッド24がストロークする内筒3は、結露による水が油に混入することを抑制するために、密閉構造にすることが好ましい。しかし、内筒3を密閉構造にすると、内筒3内をロッド24がストロークすることで、内筒3内の圧力、即ち、図1中に「A」を付した空間の圧力が変化する。このため、例えば、ロッド24の組付けを最大伸長状態で行うと(即ち、最大伸長状態で内筒3を密閉すると)、可動子21(ロッド24)が縮小するときにロッド24に大きな反力(エア反力)が加わる。これにより、電磁アクチュエータ1の伸長行程と縮小行程とで推力が偏る可能性がある。
また、外筒23を密閉構造にすると、外筒23内を固定子2がストロークすることで、外筒23内の圧力、即ち、図1中に「B」を付した空間の圧力が変化する。このため、例えば、固定子2と可動子21との組付けを最大伸長状態で行うと(即ち、最大伸長状態で外筒23を密閉すると)、固定子2と可動子21とが縮小するときに固定子2と可動子21とに大きな反力(エア反力)が加わる。これにより、電磁アクチュエータ1の伸長行程と縮小行程とで推力が偏る可能性がある。
そこで、実施形態では、ロッド24の組付け、即ち、内筒3の密閉を、中間長(最大長および最小長以外の長さ)で行う。また、内筒3の密閉を行うときの長さ(ストローク)の自由度を向上するために、内筒3の密閉を行うボルト11を備えている。また、外筒23の組付け、即ち、外筒23の密閉を、中間長(最大長および最小長以外の長さ)で行う。また、外筒23の密閉を行うときの長さ(ストローク)の自由度を向上するために、外筒23の密閉を行うボルト28を備えている。以下、電磁アクチュエータ1の推力が偏ることを抑制するための構成について、詳しく説明する。
まず、電磁アクチュエータ1は、相対移動する2部材間(例えば、車両のばね下部材とばね上部材との間)に設けられる。電磁アクチュエータ1は、2部材の一方(例えば、ばね下部材)に取付けられる第1部材としての可動子21、および、2部材の他方(例えば、ばね上部材)に取付けられる第2部材としての固定子2を有している。また、電磁アクチュエータ1は、可動子21と固定子2とが相対移動するよう動作する動力手段としてのコイル部材15(コイル15A,15B,15C)および永久磁石22,22を有している。
可動子21は、第1シリンダとしての外筒23および下部部材25と、ロッド24と、を有している。第1シリンダは、一端(下端)に底部となる下部部材25が設けられている。即ち、第1シリンダの底部は、外筒23に着脱可能な第1端部部材としての下部部材25で形成されている。第1シリンダの他端(上端)は、開口している。ロッド24は、第1シリンダ内の底部(下部部材25)から、開口する他端側(上端側)に向けて延びている。ロッド24には、ピストン29が装着されている。即ち、ロッド24は、先端側にピストン29を有している。
固定子2は、第2シリンダとしての内筒3および底部部材6と、閉塞部材7と、を有している。第2シリンダには、ロッド24が挿入されている。第2シリンダは、ロッド24の外周と摺動すると共に一端(下端)が閉塞される。この場合、内筒3は、ロッド24に設けられたピストン29の外周と摺動する。即ち、ロッド24には、内筒3の内周と摺動し、内筒3内を2室に区画すると共に該2室を連通する連通路29Aを備えるピストン29が固定されている。また、内筒3の一端(下端)は、底部部材6によって閉塞されている。即ち、第2シリンダの一端(下端)は、着脱可能な底部部材6で形成されている。底部部材6の貫通孔6Dは、摺動部材を介してロッド24の外周と摺動する。一方、閉塞部材7は、第2シリンダの他端(上端)に設けられている。
第2シリンダ(内筒3および底部部材6)内には、圧力により体積が変化する第1流体としての空気が封入されている。また、第2シリンダ(内筒3および底部部材6)内には、第1流体としての空気とは、圧力による圧縮性が異なる第2流体としての潤滑剤(例えば、図2のみに示す潤滑油30)が封入されている。潤滑剤としては、潤滑油30以外にも、例えばグリス等、各種の潤滑剤を用いることができる。閉塞部材7には、第2シリンダ(内筒3および底部部材6)内と外部とを連通する連通孔としての貫通孔7Fが設けられている。閉塞部材7は、貫通孔7Fを任意に開閉可能な栓部材としてのボルト11、を有している。実施形態では、第2シリンダ(内筒3および底部部材6)内の圧力、即ち、図1中に「A」を付した空間の圧力は、ロッド24が内筒3内に最大まで挿入される最小長時に、大気圧よりも高くなり、ロッド24が内筒3内から最大まで排出された最大長時に、大気圧よりも低くなる。即ち、内筒3内の空気室の圧力は、最小長時で正圧、最大長時で負圧になる。
また、実施形態では、第1シリンダ(外筒23および下部部材25)内にも、圧力により体積が変化する第1流体としての空気が封入されている。第1端部部材としての下部部材25(円板部25A)には、第1シリンダ(外筒23および下部部材25)内と外部とを連通する第2連通孔としての貫通孔25Cが設けられている。下部部材25は、貫通孔25Cを任意に開閉可能な第2栓部材としてのボルト28、を有している。実施形態では、第1シリンダ(外筒23および下部部材25)内の圧力、即ち、図1中に「B」を付した空間の圧力は、可動子21と固定子2との相対位置が最小になる最小長時に、大気圧よりも高くなり、可動子21と固定子2との相対位置が最大になる最大長時に、大気圧よりも低くなる。即ち、外筒23内の空気室の圧力は、最小長時で正圧、最大長時で負圧になる。
次に、アクチュエータ装置である電磁アクチュエータ1の組立工程(製造工程)について、図4ないし図7を参照しつつ説明する。図4ないし図7では、電磁アクチュエータ1の組立工程を(1)から(9)まで順番に示している。また、図4および図5では、これよりも後の工程で組み立てられる外筒23、上部部材10等の図示を省略している。図5の(6)と図6の(6)は、外筒23、上部部材10等が省略されているか図示されているかの点で異なる。
図4の(1)は、固定子2の一部および可動子21の一部を分解した状態で示している。図4の(1)から(2)の工程は、下部部材25とロッド24とが固定された「ロッドAssy」のロッド24に、底部部材6を挿入する。図4の(2)から(3)の工程は、ロッド24の先端にピストン29を装着する。このように、実施形態では、ロッド24に底部部材6を挿入後、ロッド24にピストン29を装着する。
図4の(3)から図5の(4)の工程は、内筒3と電機子13(コア部材14およびコイル部材15)とにより構成される「第2シリンダAssy」をロッド24に挿入し、内筒3と底部部材6とをねじ止めする。即ち、図4の(3)から図5の(4)の工程は、ロッド24を内筒3に挿入する。そして、図5の(4)に示すように、内筒3の雌ねじ部3Aと底部部材6の雄ねじ部6Cとを螺合することにより、内筒3と底部部材6とを固定する。
なお、「第2シリンダAssy」の内筒3と電機子13は固定されていない。また、「第2シリンダAssy」は、内筒3と電機子13と環状部材12とにより構成してもよい。即ち、内筒3と電機子13と環状部材12とにより構成される「第2シリンダAssy」をロッド24に挿入してもよい。また、内筒3をロッド24に挿通し、内筒3と底部部材6とをねじ止めしてから、電機子13と環状部材12とを順番にロッド24に挿入してもよい。いずれにしても、内筒3内にロッド24を挿通する前に、ロッド24に底部部材6を挿入する。
図5の(4)から(5)の工程は、内筒3に閉塞部材7を取り付ける。即ち、閉塞部材7の小径部7Aを内筒3に挿入し、ねじ止めする。この場合、図5の(5)に示すように、内筒3の雌ねじ部3Bと閉塞部材7の雄ねじ部7Dとを螺合することにより、内筒3と閉塞部材7とを固定する。なお、内筒3内には、第2流体としての潤滑油30(図2参照)を入れる。この潤滑油30を内筒3内に入れる工程は、内筒3に閉塞部材7を固定する前に行う。即ち、潤滑油30は、図5の(5)の状態の前、即ち、内筒3に閉塞部材7を取り付ける前に行う。また、潤滑油30の粘性が高く、流動性が低い特性の材料、例えば、グリスを使用する場合は、内筒3にロッド24を挿入する前に内筒3内に入れてもよいし、内筒3と底部部材6とを固定した後に内筒3内に入れてもよい。
また、潤滑油30の粘性が高く、流動性が低い特性の材料、例えば、グリスを使用する場合は、内筒3にロッド24を挿入する前と内筒3と底部部材6とを固定した後との両方で内筒3内に潤滑油30を入れてもよい。例えば、内筒3と底部部材6とを固定する前に内筒3内に潤滑油30を入れることにより、内筒3にロッド24を挿入するときのピストン29と内筒3との摺動抵抗を小さくできる。また、内筒3と底部部材6とを固定した後に潤滑油30を入れることにより、内筒3内から潤滑油30が漏れないようにできる。
潤滑油30の量は、最小長のときに、内筒3の内圧が上昇し、ロッド24がストロークしなくなる(ロックする)ことにより、内筒3が破損することを防止できる量とする。具体的には、潤滑油30の量は、最小長のときの内筒3内の容量(内筒3内の体積-内筒3内に挿入されているロッド24の体積-ピストン29の体積)よりも少ない量とする。例えば、図2に示すように、潤滑油30は、潤滑性を保持するために、最大長時にロッド24の端部またはピストン29の全体が潤滑油30内に浸かる程度に注入されていることが好ましい。
図5の(5)から(6)の工程は、閉塞部材7に中間筒5を取り付ける。即ち、中間筒5内に閉塞部材7を挿入し、ねじ止めする。この場合、図5の(6)および図6の(6)に示すように、中間筒5の雌ねじ部5Aと閉塞部材7の雄ねじ部7Eとを螺合することにより、中間筒5と閉塞部材7とを固定する。このこき、環状部材12と電機子13は、中間筒5と底部材6とに挟まれ軸方向位置が固定される。図6の(6)から(7)の工程は、外筒23と下部部材25とを接続する。即ち、外筒23内に図5の(6)に示す組立体を挿入し、外筒23と下部部材25とをボルト止めする。具体的には、外筒23の下端を下部部材25に付き当てた状態で、ボルト27を外筒23のねじ穴23Aに螺合することにより、外筒23と下部部材25とを固定する。
図6の(7)から図7の(8)の工程は、可動子21と固定子2との相対位置が最大長および最小長以外の位置、例えば、最大長と最小長との間の半分(略半分)の長さにした状態で、貫通孔7Fおよび貫通孔25Cを塞ぐ。即ち、可動子21と固定子2との相対位置を図6の(7)の状態から図7の(8)の状態に伸ばし、内筒3内に空気を入れる。そして、可動子21と固定子2との相対位置が図7の(8)の状態で、閉塞部材7の貫通孔7Fに栓部材となるボルト11を螺合し、内筒3内を密閉する。また、下部部材25の貫通孔25Cに栓部材となるボルト28を螺合し、外筒23内を密閉する。最大長(最伸長)は、例えば、ピストン29の下面が内筒3の下端の内周面に設けられた段部(または、底部部材6の小径部6Aの上面)に当接した状態(図2)に対応する。最小長(最縮小)は、例えば、底部部材6の下面が下部部材25(円板部25A)の上面に当接した状態に対応する。
内筒3の密閉を行う中間長および/または外筒23の密閉を行う中間長は、最大長および最小長以外であればよい。例えば、中間長は、最大長と最小長との間の半分(略半分)の長さとすることができる。しかし、これに限らず、中間長は、最大長と最小長との間の半分(略半分)からずらしてもよい。中間長は、例えば、伸長行程および縮小行程の反力(推力)が所望の範囲となるように、最大長と最小長との間で設定することができる。また、内筒3内を密閉するときの中間長と外筒23内を密閉するときの中間長とを異ならせてもよい。
図7の(8)から(9)の工程は、閉塞部材7に上部部材10をボルト止めする。即ち、上部部材10(円板部10B)の下面を閉塞部材7(大径部7B)の上面に付き当てた状態で、上部部材10(円板部10B)と閉塞部材7(大径部7B)とをボルト9により固定する。
このように、実施形態の組立工程(製造工程)は、次の(A),(B),(C),(D),(E)の工程を有している。(A)ロッド24を第2シリンダ(内筒3、底部部材6)内に挿入する工程。即ち、図4の(1)から(2)の工程、図4の(3)から図5の(4)の工程。(B)内筒3の他端部(上端部)に閉塞部材7を固定し、可動子21と固定子2との相対位置が最大になる最大長および最小になる最小長以外の位置(最大長以外、かつ、最小長以外の位置)において、内筒3内に圧力により体積が変化する第1流体としての空気を入れて閉塞される工程。即ち、図5の(4)から(5)の工程、および、図6の(7)から図7の(8)の工程。(C)閉塞部材7を固定する前に、内筒3内に空気とは圧力による圧縮性の異なる第2流体としての潤滑油30を入れる工程。即ち、図4の(1)ないし図5の(4)のいずれかの状態で内筒3内に潤滑油30を入れる工程。例えば、潤滑油30として粘性が高く、流動性が低い特性のグリスを使用する場合は、図4の(1)ないし図5の(4)の少なくともいずれかで潤滑油30を入れることができる。例えば、潤滑油30の粘性が低く、流動性が高い特性の場合は、図5の(4)で入れることができる。(D)内筒3内にロッド24を挿入する前に、ロッド24に底部部材6を挿入する工程。即ち、図4の(1)から(2)の工程。(E)ロッド24に底部部材6を挿入後、ロッド24にピストン29を装着する工程。即ち、図4の(2)から(3)の工程。
さらに、実施形態の組立工程(製造工程)は、次の(F)の工程を有している。(F)外筒23の一端(下端)に下部部材25を固定し、可動子21と固定子2との相対位置が最大になる最大長および最小になる最小長以外の位置(最大長以外、かつ、最小長以外の位置)において、外筒23内に圧力により体積が変化する第1流体としての空気を入れて閉塞される工程。即ち、図6の(6)から(7)の工程、および、図6の(7)から図7の(8)の工程。
以上のように、実施形態によれば、内筒3の他端部(上端部)に閉塞部材7を固定し、可動子21と固定子2との相対位置が「最大長以外かつ最小長以外の位置」において、内筒3内に空気を入れて内筒3の空気室(図1および図7中に「A」を付した空間)を閉塞する。このため、内筒3を閉塞したときのロッド24の軸方向位置を中間長(閉塞位置)とし、そのときの内筒3内の圧力を大気圧(閉塞圧力)とすると、内筒3内の圧力は、ロッド24が中間長(閉塞位置)から縮小側に変位することに伴って大気圧より高くなる。また、内筒3内の圧力は、ロッド24が中間長(閉塞位置)から伸長側に変位することに伴って大気圧より低くなる。
即ち、内筒3内の圧力(図1および図7中に「A」を付した空間の圧力)は、ロッド24の変位に伴って大気圧に対して「単に増大」または「単に減少」するのではなく、大気圧に対して「増大および減少」する。このため、例えば、最大長で内筒3を閉塞した場合と比較して、内筒3内の気体(空気)の圧力に基づく反力(ロッド24に加わるエア反力)を低減できる。この結果、反力の偏り、延いては、電磁アクチュエータ1の推力の偏りを低減できる。
実施形態によれば、外筒23の一端(下端)に下部部材25を固定し、可動子21と固定子2との相対位置が「最大長以外かつ最小長以外の位置」において、外筒23内に空気を入れて外筒23の空気室(図1および図7中に「B」を付した空間)を閉塞する。このため、外筒23を閉塞したときの相対位置を中間長(閉塞位置)とし、そのときの外筒23内の圧力を大気圧(閉塞圧力)とすると、外筒23内の圧力は、可動子21と固定子2とが中間長(閉塞位置)から縮小側に相対変位することに伴って大気圧より高くなる。また、外筒23内の圧力は、可動子21と固定子2とが中間長(閉塞位置)から伸長側に変位することに伴って大気圧より低くなる。
即ち、外筒23内の圧力(図1および図7中に「B」を付した空間の圧力)は、可動子21と固定子2との相対変位に伴って大気圧に対して「単に増大」または「単に減少」するのではなく、大気圧に対して「増大および減少」する。このため、例えば、最大長で外筒23を閉塞した場合と比較して、外筒23内の気体(空気)の圧力に基づく反力(可動子21と固定子2とに加わるエア反力)を低減できる。この結果、この面からも、反力の偏り、延いては、電磁アクチュエータ1の推力の偏りを低減できる。
実施形態によれば、閉塞部材7を内筒3に固定する前に、内筒3内に潤滑油30を入れる。このため、内筒3内に空気だけでなく、潤滑油30も入れることができる。即ち、内筒3内に潤滑油30を封入することができる。これにより、内筒3とロッド24との間の摺動抵抗を低減でき、摺動による摩耗を抑制できる。
実施形態によれば、内筒3内にロッド24を挿入する前に、ロッド24に底部部材6を挿入し、その後、ロッド24にピストン29を装着する。このため、底部部材6の内径寸法(換言すれば、ロッド24の外径寸法)よりも外径寸法の大きいピストン29を、ロッド24に装着することができる。この場合、ピストン29の外径寸法を内筒3の内周と摺動可能な大きさにすることにより、可動子21と固定子2との間に横力が加わったときに、ピストン29によって可動子21と固定子2とが折れ曲がる方向に動こうとすることを抑制できる。
実施形態によれば、内筒3内の圧力は、最小長時に大気圧よりも高くなり、最大長時に大気圧よりも低くなる。即ち、内筒3内の圧力は、ロッド24の変位に伴って大気圧に対して「単に増大」または「単に減少」するのではなく、大気圧に対して「増大および減少」する。このため、例えば、内筒3内の圧力が、最大長時に大気圧になる場合と比較して、内筒3内の気体(空気)の圧力に基づく反力(ロッド24に加わるエア反力)を低減できる。この結果、反力の偏り、延いては、電磁アクチュエータ1の推力の偏りを低減できる。
実施形態によれば、外筒23内の圧力は、最小長時に大気圧よりも高くなり、最大長時に大気圧よりも低くなる。即ち、外筒23内の圧力は、可動子21と固定子2との相対変位に伴って大気圧に対して「単に増大」または「単に減少」するのではなく、大気圧に対して「増大および減少」する。このため、例えば、外筒23内の圧力が最大長時に大気圧になる場合と比較して、外筒23内の気体(空気)の圧力に基づく反力(可動子21と固定子2とに加わるエア反力)を低減できる。この結果、この面からも、反力の偏り、延いては、電磁アクチュエータ1の推力の偏りを低減できる。
実施形態によれば、ロッド24には、内筒3の内周と摺動するピストン29が固定されており、ピストン29は、内筒3内の2室を連通する連通路29Aを備えている。このため、可動子21と固定子2との間に横力が加わったときに、ピストン29によって可動子21と固定子2とが折れ曲がる方向に動こうとすることを抑制できる。また、ピストン29の連通路29Aによって、内筒3内の2室が連通されるため、内筒3内の2室の圧力の差が大きくなることを抑制できる。これにより、この面からも、反力の偏り、延いては、電磁アクチュエータ1の推力の偏りを低減できる。
実施形態によれば、閉塞部材7は、内筒3内と外部とを連通する貫通孔7Fと、貫通孔7Fを任意に開閉可能なボルト11とを有している。このため、可動子21と固定子2との相対位置(即ち、ロッド24の軸方向位置)を所望の位置にした状態で、内筒3を閉塞できる。例えば、貫通孔7Fが開いている状態で可動子21と固定子2との相対位置(即ち、ロッド24の軸方向位置)を中間長(所望の長さ)とし、この状態でボルト11により貫通孔7Fを閉じる。これにより、中間長(所望の長さ)で内筒3を大気圧で閉塞することができる。この場合、この作業は、貫通孔7Fをボルト11で開閉することにより容易に行うことができる。従って、内筒3を閉塞するときの作業性を向上できることに加えて、内筒3を閉塞するときの可動子21と固定子2との相対位置(即ち、ロッド24の軸方向位置)の自由度を向上できる。
実施形態によれば、下部部材25(円板部25A)は、外筒23内と外部とを連通する貫通孔25Cと、貫通孔25Cを任意に開閉可能なボルト28とを有している。このため、可動子21と固定子2との相対位置を所望の位置にした状態で、外筒23を閉塞できる。例えば、貫通孔25Cが開いている状態で可動子21と固定子2との相対位置を中間長(所望の長さ)とし、この状態でボルト28により貫通孔25Cを閉じる。これにより、中間長(所望の長さ)で外筒23を大気圧で閉塞することができる。この場合、この作業は、貫通孔25Cをボルト28で開閉することにより容易に行うことができる。従って、外筒23を閉塞するときの作業性を向上できることに加えて、外筒23を閉塞するときの可動子21と固定子2との相対位置の自由度を向上できる。
次に、図8は、第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、第1シリンダの外筒と第1端部部材とを接続(固定)する前に、第1部材と第2部材との相対位置が最大長および最小長以外の位置において第2シリンダ内に空気を入れて第2シリンダを閉塞することにある。なお、第2の実施形態では、上述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
前述の第1の実施形態では、図6の(6)から(7)の工程で、外筒23と下部部材25とをボルト27で固定した後、図6の(7)から図8の(8)の工程で、可動子21と固定子2との相対位置を中間長にし、貫通孔7Fおよび貫通孔25Cを塞ぐ。これに対して、第2の実施形態では、図5の(6)から図8の(7)に進む。即ち、第2の実施形態では、外筒23と下部部材31とをボルト27で固定する前に、可動子21と固定子2との相対位置を中間長にし、貫通孔7Fを塞ぐ。また、これと共に、第2の実施形態では、下部部材31は、第1の実施形態の下部部材25のような貫通孔25Cおよびボルト28を備えていない。
即ち、第2の実施形態では、第1シリンダの底部(第1端部部材)に対応する下部部材31は、円板部31Aと、取付アイ31Cとを有している。円板部31Aには、下部部材31と外筒23とを固定するためのボルト27を挿通するボルト挿通孔31Bが設けられているが、外筒23内と外部とを連通する連通孔(第2連通孔)は設けられていない。なお、例えば、部品共通化等の観点から、第2の実施形態でも、第1の実施形態の下部部材25を用いてもよい。即ち、第2の実施形態でも、貫通孔25Cおよびボルト28を有する下部部材25を用いてもよい。
次に、第2の実施形態の組立工程(製造工程)について説明する。なお、図8では、第2の実施形態の組立工程(製造工程)として(7)からの組立工程を示している。(1)から(6)までの工程は、第1の実施形態の図4および図5に示す(1)から(6)までの工程と同様である。図5の(6)から図8の(7)の工程は、可動子21と固定子2との相対位置が最大長および最小長以外の位置、例えば、最大長と最小長との間の半分(略半分)の長さにした状態で、貫通孔7Fを塞ぐ。即ち、可動子21と固定子2との相対位置を図5の(6)の状態から図8の(7)の状態に伸ばし、内筒3内に空気を入れる。そして、可動子21と固定子2との相対位置が図8の(7)の状態で、閉塞部材7の貫通孔7Fに栓部材となるボルト11を螺合し、内筒3内を密閉する。
図8の(7)から(8)の工程は、外筒23と下部部材31とを接続する。即ち、外筒23内に図8の(7)に示す組立体を挿入し、外筒23と下部部材31とをボルト止めする。具体的には、外筒23の下端を下部部材31に付き当てた状態で、ボルト27を外筒23のねじ穴23Aに螺合することにより、外筒23と下部部材31とを固定する。図8の(8)から(9)の工程は、閉塞部材7に上部部材10をボルト9によりボルト止めする。
第2の実施形態は、上述の如き組立工程により電磁アクチュエータ1を組み立てるもので、その基本的作用については、上述した第1の実施形態によるものと格別差異はない。特に、第2の実施形態では、外筒23と下部部材31とをボルト27で固定する前に、可動子21と固定子2との相対位置を中間長にし、貫通孔7Fを塞ぐ。このため、可動子21と固定子2とを中間長にするときに、電機子13(コア部材14、コイル部材15)と永久磁石22,22とが近接対向していないため、この中間長にする作業を小さい力で行うことができる。また、下部部材31の円板部31Aに連通孔(第2連通孔)を設けなくてもよく、かつ、この連通孔を塞ぐためのボルトも必要なくなる。これにより、加工工程数および部品点数を低減できる。
なお、第1の実施形態および第2の実施形態では、内筒3を密閉する栓部材としてボルト11を用いた場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、ボルト以外にも、例えば、ピン部材、差し込みプラグ等、内筒3内を密閉できれば各種の栓部材を用いることができる。このことは、第1の実施形態の外筒23を密閉するボルト28についても同様である。
第1の実施形態および第2の実施形態では、ロッド24にピストン29を固定(装着)した場合、即ち、ピストン29を介してロッド24の外周を内筒3に摺動する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、ピストンを省略してもよい。例えば、ロッドの外周を底部部材の貫通孔のみに摺動する構成、または、ロッドの外周を内筒の内周に摺動する構成としてもよい。
第1の実施形態および第2の実施形態では、内筒3内に入れる第1流体を空気とし、第2流体を潤滑油とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、第1流体として、窒素ガス等、空気以外の気体を用いてもよいし、第2流体としてグリス等の液体以外の流体(半固体状の流体)を用いてもよい。また、第1流体としては、気体以外にも、例えば、気体(例えば、空気、窒素ガス)と液体(例えば、潤滑油)とを混合した流体等、各種の流体を用いることができる。このことは、第2流体についても同様である。
第1の実施形態および第2の実施形態では、筒状リニア電磁式アクチュエータを、固定子2側のコア部材14に設けられたコイル15A,15B,15C(コイル部材15)と、可動子21側の外筒23に設けられた永久磁石22,22(磁性部材)とにより構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、可動子側に設けられたコイル(コイル部材)と、固定子側に設けられた永久磁石(磁性部材)とにより筒状リニア電磁式アクチュエータを構成してもよい。
第1の実施形態および第2の実施形態では、固定子2を車両のばね上部材に取付けると共に、可動子21を車両のばね下部材に取付ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、固定子を車両のばね下部材に取付けると共に、可動子を車両のばね上部材に取付ける構成としてもよい。
第1の実施形態および第2の実施形態では、電磁アクチュエータ1を縦置き状態で鉄道車両、自動車等の車両に取付ける構成とした場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、電磁アクチュエータを横置き状態で鉄道車両等の車両に取付ける構成としてもよい。
第1の実施形態および第2の実施形態では、電磁アクチュエータ1を車両に取付ける構成とした場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、電磁アクチュエータは、例えば、振動源となる種々の機械、建築物等の緩衝器として用いてもよい。また、電磁アクチュエータは、緩衝器に限定されず、各種機器を駆動するアクチュエータ装置(駆動装置)として用いることができる。
第1の実施形態および第2の実施形態では、横断面形状が円形のリニアモータ、即ち、固定子2および可動子21を円筒状に形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、横断面形状がI字状(平板状)や矩形状、H字状のリニアモータ等、横断面形状が円形以外の筒状(シリンダ状)のリニアモータにより構成してもよい。
さらに、第1の実施形態および第2の実施形態では、アクチュエータ装置として、リニアモータとして構成された電磁アクチュエータ1を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、アクチュエータ装置として、例えば、電動モータ(回転モータ)によりボールネジ機構(回転直動変換機構)のロッドを駆動する構成を採用してもよい。即ち、アクチュエータ装置の動力手段は、コイル15A,15B,15Cおよび永久磁石22,22を軸方向に配置した電動リニアモータに限らず、電動モータ(回転モータ)と回転直動変換機構とにより構成する等、各種の動力手段を採用することができる。
以上説明した実施形態によれば、第2シリンダの他端部に閉塞部材を固定し、第1部材と第2部材との相対位置が最大長および最小長以外の位置において、第2シリンダ内に第1流体を入れて第2シリンダを閉塞する。このため、第2シリンダを閉塞したときのロッドの軸方向位置を「閉塞位置」とし、そのときの第2シリンダ内の圧力を「閉塞圧力」とすると、第2シリンダ内の圧力は、ロッドが閉塞位置から縮小側に変位することに伴って、閉塞圧力から大きくなる。また、第2シリンダ内の圧力は、ロッドが閉塞位置から伸長側に変位することに伴って、閉塞圧力から小さくなる。即ち、第2シリンダ内の圧力は、ロッドの変位に伴って閉塞圧力に対して「単に増大」または「単に減少」するのではなく、閉塞圧力に対して「増大および減少」する。例えば、ロッドの位置を最大長と最小長との間の半分(略半分)の長さとしたときに、第2シリンダを大気圧で閉塞した場合を考える。この場合、第2シリンダ内の圧力は、半分の長さから縮小側にロッドが変位することに伴って大気圧よりも高くなり、半分の長さから伸長側にロッドが変位することに伴って大気圧よりも低くなる。このため、例えば、最大長で第2シリンダを閉塞した場合と比較して、第2シリンダ内の第1流体の圧力に基づく反力(ロッドに加わるエア反力)を低減できる。この結果、反力の偏り、延いては、アクチュエータ装置の推力の偏りを低減できる。
実施形態によれば、閉塞部材を固定する前に、第2シリンダ内に第2流体を入れる。このため、第2シリンダ内に第1流体だけでなく、第2流体も入れることができる。この場合、第2流体として、潤滑剤(例えば、オイル、グリス)を入れることで、第2シリンダとロッドとの間の摺動抵抗を低減でき、摺動による摩耗を抑制できる。
実施形態によれば、第2シリンダ内にロッドを挿入する前に、ロッドに底部部材を挿入し、その後、ロッドにピストンを装着する。このため、底部部材の内径寸法(換言すれば、ロッドの外径寸法)よりも外径寸法の大きいピストンを、ロッドに装着することができる。この場合、例えば、ピストンの外径寸法を第2シリンダの内周と摺動可能な大きさにすることにより、第1部材と第2部材との間に横力が加わったときに、ピストンによって第1部材と第2部材とが折れ曲がる方向に動こうとすることを抑制できる。
実施形態によれば、第2シリンダ内の圧力は、最小長時に大気圧よりも高くなり、最大長時に大気圧よりも低くなる。即ち、第2シリンダ内の圧力は、ロッドの変位に伴って大気圧に対して「単に増大」または「単に減少」するのではなく、大気圧に対して「増大および減少」する。このため、例えば、第2シリンダ内の圧力が、最大長時に大気圧になる場合と比較して、第2シリンダ内の第1流体の圧力に基づく反力(ロッドに加わるエア反力)を低減できる。この結果、反力の偏り、延いては、アクチュエータ装置の推力の偏りを低減できる。
実施形態によれば、ロッドには、第2シリンダの内周と摺動するピストンが固定されており、ピストンは、第2シリンダ内の2室を連通する連通路を備えている。このため、第1部材と第2部材との間に横力が加わったときに、ピストンによって第1部材と第2部材とが折れ曲がる方向に動こうとすることを抑制できる。また、ピストンの連通路によって、第2シリンダ内の2室が連通されるため、第2シリンダ内の2室の圧力の差が大きくなることを抑制できる。これにより、この面からも、反力の偏り、延いては、アクチュエータ装置の推力の偏りを低減できる。
実施形態によれば、第2シリンダ内に第2流体が封入されている。このため、第2流体として、潤滑剤(例えば、オイル、グリス)を封入することで、第2シリンダとロッドとの間の摺動抵抗を低減でき、摺動による摩耗を抑制できる。
実施形態によれば、閉塞部材は、第2シリンダ内と外部とを連通する連通孔と、連通孔を任意に開閉可能な栓部材とを有している。このため、第1部材と第2部材との相対位置(即ち、ロッドの軸方向位置)を所望の位置にした状態で、第2シリンダを閉塞できる。例えば、連通孔が開いている状態で第1部材と第2部材との相対位置(即ち、ロッドの軸方向位置)を中間長(所望の長さ)とし、この状態で栓部材により連通孔を閉じる。これにより、中間長(所望の長さ)で第2シリンダを大気圧で閉塞することができる。この場合、この作業は、連通孔を栓部材で開閉することにより容易に行うことができる。従って、第2シリンダを閉塞するときの作業性を向上できることに加えて、第2シリンダを閉塞するときの第1部材と第2部材との相対位置(即ち、ロッドの軸方向位置)の自由度を向上できる。
尚、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本願は、2021年4月28日付出願の日本国特許出願第2021-076008号に基づく優先権を主張する。2021年4月28日付出願の日本国特許出願第2021-076008号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む全開示内容は、参照により本願に全体として組み込まれる。