JP7580409B2 - クリーム系ソース用乳化液及びクリーム系ソース - Google Patents
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Description
前記乳化液を用いてクリーム系ソースを製造する、クリーム系ソースの製造方法に関する。
また「乳脂肪分を含まない」とは、本発明の乳化液に乳脂肪分を意図的に添加することを排除する趣旨であり、原料等の不純物や他の工程から不可避的に混入する微量の乳脂肪分の存在は許容される。「微量」とは、乳化液中の乳脂肪分の含有量が、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは0質量%である。
本発明の乳化液が乳脂肪分を含んでいないことによって、乳化液中の油滴を後述する平均粒径に調製する際に、油脂が分離することなく十分に乳化させることができ、また、この乳化液を用いたクリーム系ソースは、製造直後及び冷凍保存後のいずれの場合でもクリーミーな風味と滑らかな食感とを有する。これに加えて、カロリーが高い乳脂肪分を含まないので、本発明の乳化液を用いることによって、消費者の健康志向にマッチしたクリーム系ソースを生産性高く提供することができる。
乳化液における水の含有量は、好ましくは15~90質量%、より好ましくは30~80質量%、更に好ましくは40~75質量%である。このような割合となっていることによって、後述する平均粒径を有する油滴を効率よく形成させることができ、その結果、この乳化液を用いたクリーム系ソースは、製造直後及び冷凍保存後のいずれの場合でもクリーミーな風味と滑らかな食感とが十分に発現する。
また、消費者の健康志向に合致したクリーム系ソースを得る観点から、乳化液は、牛脂や豚脂等の動物油脂を非含有とすることも好ましい。
乳化液における植物油脂の含有量は、クリーミーな風味と滑らかな食感とを発現し、健康志向に合致したクリーム系ソースを得る観点から、好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~60質量%、更に好ましくは30~50質量%である。
飽和脂肪酸の含有量を上述の範囲とすることによって、高い融点を有する飽和脂肪酸の含有量が少ない乳化液を安定的に調製することができ、またこの乳化液を含むクリーム系ソースを低温で喫食する場合に、ざらつきが低減され、食感が良好なソースとなる。飽和脂肪酸の含有量は、例えば、ナトリウムメソキサイド法により、測定対象となる油脂から脂肪酸の遊離とメチルエステル化を行い、得られた脂肪酸メチルエステルをガスクロマトグラフィー法により定量分析する方法で測定することができる。また、飽和脂肪酸の含有量が少ない植物油脂としては、例えば大豆油、コーン油、綿実油、落花生油、オリーブ油及び菜種油等が挙げられる。
乳化液における増粘多糖類の含有量は、乳化液中の油滴を後述する平均粒径に安定に維持させて、ソースの食感の向上を図る観点から、好ましくは0.005~1質量%、より好ましくは0.01~0.5質量%、更に好ましくは0.02~0.1質量%である。
一般に、クリーム系ソースの原料として用いられる牛乳の乳脂肪の油滴の粒径は、0.2~1.5μmの範囲に均質化処理されており、また牛乳を原料として製造された生クリームの油滴の平均粒径は2.5μm程度である。したがって、一般的なクリーム系ソースの原料である牛乳や生クリームは、本発明の乳化液における油滴よりも微細な粒径を有する油滴が乳脂肪分として既に存在しており、このような油滴の粒径及び形成状態に起因して、製造直後において滑らかな食感を有するソースとなる。しかし、ソースを製造した後、流通時に冷凍処理したり、喫食時に加熱処理したりすると、油滴の形成が不安定となり、油滴どうしが結合して油と水に分離してしまい、その結果、ソースの滑らかさが失われ、食感や風味等の品質が悪化してしまう場合があった。
この点に関して、本発明者が鋭意検討したところ、油滴の平均粒径を一般的なクリーム系ソースにおけるものよりも大きくした乳化液を、クリーム系ソースの原料の一部又は全部として用いることによって、滑らかな食感、並びにクリーム感及びコク等の良好な風味を兼ね備えながらも、油っぽさが低減され、且つ冷凍保存後及び加熱後も良好な食感及び風味を発現できるクリーム系ソースを製造できることを見出した。特に、乳化液における油滴の平均粒径が5μm未満であると、この乳化液を用いて製造されたクリーム系ソースのクリーム感及びコクが低下し、風味に劣るソースとなり得る。また油滴の平均粒径が50μmを超えると、クリーム系ソースの滑らかさが低下し、油っぽく感じられるようになり、食感が劣るソースとなり得る。
乳蛋白質としては、本技術分野において通常用いられるものを用いることができ、例えばカゼインやホエイプロテイン等を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上混合して用いることができる。
乳化液における乳蛋白質の含有量は、油滴の安定性を更に高める観点から、好ましくは0.05~3質量%、より好ましくは0.1~2質量%、更に好ましくは0.2~1質量%である。
乳化剤としては、本技術分野において通常用いられるものを用いることができ、例えばグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、サポニン、及びレシチンを挙げることができる。これらは単独で又は二種以上混合して用いることができる。
乳化液における乳化剤の含有量は、油滴の安定性を更に高める観点から、好ましくは0.005~3質量%、より好ましくは0.05~2質量%、更に好ましくは0.1~1質量%である。
より詳細には、まず、植物油脂と増粘多糖類と、必要に応じて乳蛋白質とを混合し、次いで、水を混合して、また必要に応じて乳化剤を更に混合して混合液とする。そして該混合液を均質化処理して乳化させる方法を挙げることができる。本製造方法では、製造開始から終了まで乳脂肪分を非含有とする。
本発明の乳化液は、クリーム系ソースの原料として一般的に用いられる牛乳や生クリームなどの微細な油滴が予め存在している原料を用いていないので、このような温度範囲で乳化を行うことによって、所定の平均粒径を有する油滴が安定的に形成された乳化液を生産性高く製造することができ、また、冷凍及び加熱による該油滴の水と油との分離が少なくなる。
また、乳化処理の時間は、上述した温度範囲及び回転数の範囲を条件として、好ましくは1~30分、より好ましくは2~20分、更に好ましくは5~15分とする。
また本発明のクリーム系ソースは、クリーム系ソース用乳化液以外の原料として固形具材を含有していてもよい。固形具材としては、例えば、肉類、魚介類、野菜類、及びキノコ類が挙げられ、これらの一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のクリーム系ソースにおけるクリーム系ソース用乳化液以外の他の原料の含有量は通常、該ソースの全質量に対して30~95質量%程度である。
また、「スープ」としてのクリーム系ソースの具体例としては、ホワイトクリームスープ、ポタージュスープ、キノコクリームスープ、トマトクリームスープ、かにクリームスープ、ほたてクリームスープ、コーンクリームスープ、クラムチャウダーなどが挙げられる。
特に本発明の乳化液は、pHが比較的低い状態でも油滴の形成状態を安定的に維持できるため、例えばトマト等の酸を有する野菜や果物を含む原料を用いたクリーム系ソースを製造した場合であっても、クリーミーな風味と滑らかな食感とを高いレベルで維持しつつ、冷凍保存後及び加熱後も風味、食感及び品質が維持されたソースとなる。
本発明のクリーム系ソースを冷凍する場合、冷凍の条件は常法で行うことができ、急速凍結法や緩慢凍結法のいずれも採用できる。凍結後は-20℃以下の冷凍庫等で長期間保管可能である。
以下の表1及び表2に示す配合で、クリーム系ソース用乳化液を製造した。具体的には、まず植物油脂と増粘多糖類とを混合して撹拌し、次いで清水を加えて撹拌して混合液とした。そして、前記混合液を品温が55℃となるように加熱し、その温度を維持した状態で、ホモミキサー(プライミクス社製、T.K.ホモミキサー)を用いて、5000rpm、10分間で均質化処理して乳化させ、水中油型の乳化液を調製した。乳蛋白質を含有させる場合、乳蛋白質は増粘多糖類と共に混合した。乳化剤を含有させる場合、乳化剤はホモミキサーによる処理を行う直前に混合した。なお、乳化液の製造にあたり、乳脂肪分はいずれも非含有とした。
また、常法のクリーム系ソースの製造方法によって製造したソースを「参考例1」とし、常法のクリーム系ソースの製造方法において、生クリームを200gに減量し、その減量分を小麦粉と牛乳との混合物で補って製造したソースを「参考例2」とした。
(1)薄力小麦粉50gと牛乳800mLとを混合・撹拌して、小麦粉と牛乳との混合物を調製した。
(2)鍋を火にかけ、バター40gを溶かし、溶かしバターに小麦粉と牛乳との混合物560gを加えて、沸騰しないようにかき混ぜながら10分間加熱した。
(3)前記(2)の混合物に、更に生クリーム400gを火にかけながら少量ずつ加えて混合し、全体に均一になったら更に20分間加熱し、清水を加えて全量を1000gとして、クリーム系ソースとした。
各実施例又は比較例のクリーム系ソース用乳化液について、体積平均径(MV)を上述した条件で測定し、油滴の平均粒径(μm)とした。その結果を表1及び表2に示す。
実施例、比較例及び参考例のクリーム系ソースを製造直後に1食当たり80gずつプラスチック製のトレイに分け、その後、該ソースを10名の専門パネラーに喫食してもらい、以下の評価基準に従って、風味及び食感を評価してもらった。
またこれとは別に、実施例、比較例及び参考例のクリーム系ソースを1食当たり80gずつプラスチック製のトレイに分け、冷凍庫(-20℃)にて7日間凍結保存した。その後、冷凍したクリーム系ソースを、電子レンジで500W、2分間再加熱し、加熱後のソースを10名の専門パネラーに食してもらい、以下の評価基準に従って、風味及び食感を評価してもらった。
上述の各評価結果を10名の評価点の算術平均値として、以下の表1及び表2に示す。
5点:濃厚なクリームのコクが十分にあり、非常に良好な風味である。
4点:濃厚なクリームのコクがあり、良好な風味である。
3点:クリームのコクがやや物足りないか、わずかに油っぽいが、問題のない風味である。
2点:クリームのコクが物足りないか、油っぽく、風味が不良である。
1点:クリームのコクが感じられないか、非常に油っぽく、風味が非常に不良である。
<ソース食感の評価基準>
5点:ソース全体に滑らかなクリームの舌触りがあり、非常に良好な食感である。
4点:ソース全体がほぼムラなく滑らかなクリームの舌触りがあり、良好な食感である。
3点:ソースの一部にわずかにざらつきが感じられるが、問題のない食感である。
2点:ソースが全体にざらついており、食感が不良である。
1点:ソースが全体にざらついており、一部に油分の分離があり、食感が非常に不良である。
植物油脂(実施例9~16)、増粘多糖類(実施例17~23)、乳蛋白質(実施例24~31)又は乳化剤(実施例32~39)の各含有量を変更した以外は、以下の表3~表6に示す配合割合で、実施例1と同様にクリーム系ソース用乳化液を製造し、また油滴の平均粒径を測定した。
また実施例1と同様の方法で、得られた乳化液を用いてクリーム系ソースを製造し、該ソースの風味及び食感を上述の方法と同様に評価した。結果を以下の表3~表6に示す。なお、表5及び表6には、実施例7の結果を再掲する。
ホモミキサーを用いて乳化処理を行う際の品温を以下の表7に示すように変更した以外は、実施例1と同様にクリーム系ソース用乳化液を製造し、また油滴の平均粒径を測定した。
また実施例1と同様の方法で、得られた乳化液を用いてクリーム系ソースを製造し、該ソースの風味及び食感を上述の方法と同様に評価した。結果を以下の表7に示す。
なお、表7には、実施例1の結果を再掲する。
製造例1~7では、実施例1と同様の組成及び方法にて調製した乳化液を、以下の表8に示す割合で用いて、クリーム系ソースを製造した。また実施例1と同様の方法で、製造したソースの風味及び食感を上述の方法と同様に評価した。結果を以下の表8に示す。
なお、表8には、実施例1の結果を再掲する。
Claims (11)
- 乳脂肪分を含まず、且つ水、植物油脂及び増粘多糖類を含有し、油滴の平均粒径が5~50μmであり、該植物油脂の含有量が20~70質量%である、クリーム系ソース用乳化液。
- 乳脂肪分を含まず、且つ水、植物油脂及び増粘多糖類を含有し、油滴の平均粒径が5~50μmであり、該植物油脂中の飽和脂肪酸の含有量が50質量%未満である、クリーム系ソース用乳化液。
- 乳蛋白質を更に含有する、請求項1又は2に記載のクリーム系ソース用乳化液。
- 前記乳蛋白質の含有量が0.05~3質量%である、請求項3に記載のクリーム系ソース用乳化液。
- 乳化剤を更に含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のクリーム系ソース用乳化液。
- 前記乳化剤の含有量が0.005~3質量%である、請求項5に記載のクリーム系ソース用乳化液。
- 前記増粘多糖類の含有量が0.005~1質量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載のクリーム系ソース用乳化液。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載のクリーム系ソース用乳化液を5~40質量%含有する、クリーム系ソース。
- 乳脂肪分を含まず、且つ水、植物油脂及び増粘多糖類を含有する混合液を乳化させて、油滴の平均粒径が5~50μmであり、該植物油脂の含有量が20~70質量%である、クリーム系ソース用乳化液を調製し、次いで、
前記乳化液を用いてクリーム系ソースを製造する、クリーム系ソースの製造方法。 - 乳脂肪分を含まず、且つ水、植物油脂及び増粘多糖類を含有する混合液を乳化させて、油滴の平均粒径が5~50μmであり、該植物油脂中の飽和脂肪酸の含有量が50質量%未満である、クリーム系ソース用乳化液を調製し、次いで、
前記乳化液を用いてクリーム系ソースを製造する、クリーム系ソースの製造方法。 - 前記混合液を25~70℃の品温で乳化させて前記乳化液を調製する、請求項9又は10に記載のクリーム系ソースの製造方法。
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