JP7619272B2 - フィルター用ガラス繊維シート - Google Patents

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Description

本発明は、フィルター用ガラス繊維シートに関し、詳しくは、機能材料を内部に担持することでフィルターとして使用されるフィルター用ガラス繊維シートに関する。
セラミック繊維は、高耐熱性、高断熱性、不燃性等の特徴を有するため、セラミック繊維を用いた無機繊維シートは広く使用されている。たとえば、該無機繊維シートは、断熱材、耐熱クッション材、耐熱シールド材、セパレーター、触媒等の機能材料の担持体などに用いられる。また、無機繊維シートを、コルゲート加工して得られるハニカム成形体は、吸着材などの機能材料を担持した熱交換用ハニカムフィルタ、あるいはガス吸着用ハニカムフィルタとして用いられている。
たとえば、特許文献1および2には、セラミック繊維、有機バインダー、山皮等を含む原料スラリーを調製し、該原料スラリーを抄紙して無機繊維シートとする、無機繊維シートの製造方法が記載されている。ここで山皮とは、天然に産出する粘土鉱物の一種であり、含水ケイ酸マグネシウムである。山皮は、無機バインダーとして使用されている。また、特許文献2には、無機繊維シートをコルゲート加工してハニカム成形体とした後、焼成し、得られた焼成体に吸着材等を担持させて、ガス吸着素子(ハニカムフィルタ)とすることが記載されている。
ところが、セラミック繊維は、EU(ヨーロッパ連合)による人造非晶質繊維に対するEU指令97/69ECにおいて、カテゴリー2(発がんの疑いがある)に分類されている。そのため、人体に対する安全面から、脱セラミック化が志向されており、例えば、ガラス繊維や、生体溶解性繊維への代替が検討されている。脱セラミック化で用いられるガラス繊維の繊維径としては、3μm以上のものが好ましいとされている。
このような事情を背景とし、たとえば特許文献3には、生体溶解性セラミック繊維を主体とし、ガラス繊維と、有機繊維と、カチオン性無機バインダーおよび山皮の一種であるセピオライトを含むスラリーを抄紙して、無機繊維シートを得る方法が開示されている。しかしながら、生体溶解性セラミック繊維は強度が得られにくく、軽量化、薄葉化が難しいという課題がある。
一方、セラミック繊維代替のガラス繊維は、繊維径や繊維長が大きいため、これを原料として製造された無機繊維シートは硬く、形状に追従し難くなる。そのため、波形がつきにくく、波の頂点で繊維が折れて不均一なセル形状となりやすいため、コルゲートを加工する上で問題があった。
特許文献4には、ガラス繊維を主成分とし、アスペクト比が300~2000の有機繊維を併用することで、コルゲート加工性を改善できることが提案されている。しかし、無機繊維シートの繊維間の結合が弱く、これを改善するために、バインダー成分を増量すると、コルゲート加工性が損なわれる傾向にあることが分かった。
特開昭60-33250号公報 特許第2925127号公報 特許第5558518号公報 国際公開第2018/079529号
本発明は、無機繊維シートの強度を高めた場合であってもコルゲート加工の際の形状追従性(以下、単に形状追従性ともいう)に優れ、またコルゲート加工の際の粉落ち(以下、単に粉落ちともいう)を防ぎ、かつ機能材料担持後も十分な機能材料担持性を有するフィルター用ガラス繊維シートを提供することを課題とする。
本発明は以下の構成を有する。
(1) ガラス繊維を主成分とし、更に木材パルプとバインダーを含み、かつ湿式抄紙によって形成されたフィルター用ガラス繊維シートであって、
前記フィルター用ガラス繊維シートは、機能材料を内部に担持することでフィルターとして機能し、
前記フィルター用ガラス繊維シートの全繊維分の51~85質量%は前記ガラス繊維であり、
前記フィルター用ガラス繊維シートの全繊維分の10~49質量%は前記木材パルプであり、
前記バインダーの含有量は、前記フィルター用ガラス繊維シートの全質量に対して1質量%以上であり、
前記フィルター用ガラス繊維シートの坪量が15~55g/mであるフィルター用ガラス繊維シート。
(2)前記木材パルプの叩解度が300~750CSFである(1)に記載のフィルター用ガラス繊維シート。
(3)前記ガラス繊維の加重平均繊維径は4~10μmである(1)又は(2)に記載のフィルター用ガラス繊維シート。
(4)前記バインダーの含有量は、前記フィルター用ガラス繊維シートの全質量に対して25質量%以下である(1)~(3)のいずれかに記載のフィルター用ガラス繊維シート。
(5)前記バインダーがポリビニルアルコールを含む(1)~(4)のいずれかに記載のフィルター用ガラス繊維シート。
本発明によれば、無機繊維シートの強度を高めた場合であっても形状追従性に優れたフィルター用繊維シートを提供することができる。また、本発明によればコルゲート加工の際の粉落ちを防ぎ、かつ機能材料担持後も十分な機能材料担持性を有するフィルター用ガラス繊維シートを提供することができる。
<フィルター用ガラス繊維シート>
先ず、本発明の一実施形態であるフィルター用ガラス繊維シート(以下、単にガラス繊維シートともいう)の構成の一例について説明する。本実施形態のフィルター用ガラス繊維シートは、主成分であるガラス繊維と、副成分として木材パルプとバインダーを含んでおり、フィルター用ガラス繊維シートの全繊維分の51~85質量%はガラス繊維であり、全繊維分の10~49質量%は木材パルプである。また、バインダーの含有量は、フィルター用ガラス繊維シートの全質量に対して1質量%以上である。
また、本実施形態のガラス繊維シートの坪量は、15~55g/mである。坪量が上記範囲の下限値以上であれば、ガラス繊維シートおよび該ガラス繊維シートから得られるガラス繊維シート成形体の強度が充分に得られ、上記範囲の上限値以下であれば、厚みが抑えられコルゲート加工しやすい。
(ガラス繊維)
ガラス繊維の種類としては特に制限はなく、生産量の多いEガラスの他、高強度のSガラス、耐酸性に優れるCガラス等を使用できる。コストの観点からは、安価なEガラスを使用することが好ましい。また、ガラス繊維は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ガラス繊維の繊維長は、特に制限はないが、長さ加重平均繊維長が、1~15mmであることが好ましく、1~10mmであることがより好ましい。長さ加重平均繊維長が上記範囲の下限値以上であると、得られるガラス繊維シートの強度がより優れる傾向にあり、上記範囲の上限値以下であると、得られるガラス繊維シートの地合が優れる傾向にある。なお、長さ加重平均繊維長は、100本の繊維の繊維長を顕微鏡観察により測定し、算出する。
ガラス繊維の加重平均繊維径は3μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。加重平均繊維径が上記範囲の下限値以上であれば、「WHO吸入繊維」に該当せず、人体に対して安全である。この「WHO吸入性繊維」とは、世界保健機関(WHO)により定義された、呼吸により体内に吸入され、肺まで到達する繊維状物質をいい、長さ5μm超、直径3μm未満、アスペクト比3超のものである。
また、ガラス繊維の加重平均繊維径は10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましい。上記範囲の上限値以下であれば、ガラス繊維シートの強度と、該ガラス繊維シートを焼成して得られるフィルター基材の強度とが共に向上する。なお、加重平均繊維径は、100本の繊維の繊維径を顕微鏡観察により測定し、算出する。
ガラス繊維シートの全繊維分の51~85質量%はガラス繊維である。ガラス繊維の含有量は、ガラス繊維シートに含まれる繊維の全質量に対して55質量%以上であることが好ましく、58質量%以上であることがより好ましい。また、ガラス繊維の含有量は、ガラス繊維シートに含まれる繊維の全質量に対して80質量%以下であることが好ましく、68質量%以下であることがより好ましい。
(木材パルプ)
木材パルプとしては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプが使用できる。木材パルプとしては、例えば、NBKP、LBKP、NBSP、LBSP、GPなどが挙げられ、パルプ化方法は特に限定されるものではない。中でも、NBKPは強度が優れるため好ましい。
ガラス繊維シート中の木材パルプの含有量は、全繊維分の10~49質量%である。木材パルプの含有量は、ガラス繊維シートに含まれる繊維の全質量に対して20質量%以上であることが好ましく、32質量%以上であることがより好ましい。また、木材パルプの含有量は、ガラス繊維シートに含まれる繊維の全質量に対して45質量%以下であることが好ましく、42質量%以下であることがより好ましい。
木材パルプは、他の有機繊維にくらべ、柔軟性が優れるため、バインダーを増量しても、コルゲート加工の際の課題(例えば、形状従性等)も解決できる。木材パルプの叩解度は300~750CSFであることが好ましく、450~750CSFであることがより好ましい。叩解は叩解機等により施されるが、上記叩解度の範囲であれば、その柔らかさからガラス繊維シートの柔軟性を高めることができ、また、パルプのフィブリル化した部分がガラス繊維と絡みあうことでガラス繊維シートの強度を高めることができる。更に、ガラス繊維シートの内部に存在するパルプのフィブリル化した部分に、含浸した機能材料等が付着するため、効率よく機能材料等を担持させることができる。
(有機繊維)
本実施形態のフィルター用ガラス繊維シートでは、木材パルプを副成分として用いるが、木材パルプの使用効果を損なわない範囲で他の有機繊維を併用してもよい。
有機繊維としては、天然繊維と、合成繊維とが挙げられる。天然繊維としては、綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維が挙げられる。合成繊維としては、ガラス繊維シートの製造工程中の加熱により溶融しない繊維であれば、特に制限はなく、ガラス繊維シートの製造工程で設定される乾燥温度等に応じて適宜選択することができる。合成繊維としては、たとえば、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン繊維、ポリブテン繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、ポリ塩化ビニル繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエーテルイミド繊維、ビニロン繊維、ポリカーボネート繊維、エチレン-ビニルアセテート繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維等の化学繊維等が挙げられる。これらの中からいずれか1種以上を併用してもよい。
併用できる有機繊維の長さ加重平均繊維長は、1~15mmであることが好ましく、1~10mmであることがより好ましい。長さ加重平均繊維長が上記範囲の下限値以上であると、抄紙時に歩留まりが向上する傾向にあり、上記範囲の上限値以下であると、有機繊維が絡まってダマ等になりにくくなる傾向にある。なお、長さ加重平均繊維長は、100本の繊維の繊維長を顕微鏡観察により測定し、算出する。
併用できる有機繊維の加重平均繊維径は、特に制限はないが、ガラス繊維の加重平均繊維径に対して3倍以下であることが好ましく、2倍以下であることがより好ましい。有機繊維の加重平均繊維径がガラス繊維の加重平均繊維径の3倍以下であると、有機繊維によるガラス繊維シートの剛性の低減効果や耐折強度の向上効果が向上する傾向にある。特に、ガラス繊維の加重平均繊維径は、3~10μmが好ましいため、有機繊維の加重平均繊維径は30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。有機繊維の加重平均繊維径の下限は特に制限はされないが、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。有機繊維の加重平均繊維径が上記下限値以上のものが比較的入手しやすいために好ましい。なお、繊維径の加重平均繊維径は、100本の繊維の繊維径を顕微鏡観察により測定し、算出する。また、有機繊維の断面形状が扁平状の場合は、短径と長径を測定して断面積を算出し、当該断面積に相当する円の直径を繊維径とする。
(バインダー)
バインダーとしては、有機バインダー成分や無機バインダー成分を用いることができる。バインダーの含有量は、フィルター用ガラス繊維シートの全質量に対して1質量%以上である。なお、上記バインダーの含有量はフィルター用ガラス繊維シートの製造工程で内添されたバインダーの含有量であることが好ましい。
有機バインダー成分は、繊維同士を接着させる成分である。有機バインダー成分としては、ガラス繊維シートを製造する際に加熱により少なくとも一部が溶融する熱可塑性樹脂等が挙げられ、ガラス繊維シートの製造する際の乾燥温度等に応じて適宜選択することができる。有機バインダー成分の形態には制限はなく、繊維状、粒子状、エマルション、液状等のいずれであってもよい。
熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。また、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)等のゴム系エマルジョンを使用してもよい。熱可塑性樹脂としては、これらの中から1種以上を使用できる。
また、有機バインダー成分としては、融点の異なる2種以上の材料が複合化し、より低融点の部分が溶融してバインダーとして作用する複合繊維を使用してもよい。複合繊維としては、芯鞘繊維、サイドバイサイド繊維等が挙げられる。芯鞘繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等からなる高融点の芯部の周りに、ポリエチレン等からなる低融点の鞘部が形成された繊維等が挙げられる。
有機バインダー成分としては、ガラス繊維シートの製造工程中の加熱により硬化して繊維同士を接着させる熱硬化型樹脂も使用できる。熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。熱硬化型樹脂は1種以上を使用できる。
中でも、有機バインダー成分としては、接着力に優れる点から、ポリビニルアルコール(PVA繊維等)を用いることが好ましい。また、ガラス繊維シートに耐水性の向上が求められる場合にはアクリル樹脂エマルション等を用いることも好ましい。これらの有機バインダー成分を使用すると、ガラス繊維シートの強度が向上し、得られるガラス繊維シート成形体の粉落ちを抑制することができるため、好ましい。
ガラス繊維シートにおける有機バインダー成分の含有量は、ガラス繊維シートの全質量に対して1質量%以上であり、1~25質量%であることが好ましく、3~20質量%がより好ましい。なお、上記有機バインダー成分の含有量はフィルター用ガラス繊維シートの製造工程で内添されたバインダーの含有量であることが好ましい。有機バインダー成分の含有量が上記範囲の下限値以上であると、繊維同士を充分に結合することができる。上記範囲の上限値以下であると、ガラス繊維シートを焼成してフィルター基材としたときに、焼成して焼失する有機バインダー成分の量が少なく、このような焼失にともなって形成される繊維間の空隙を低減することができるので好ましい。
有機バインダー成分としてポリビニルアルコールを使用する場合には、有機バインダー成分の全質量に対するポリビニルアルコールの含有量は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが好ましい。なお、有機バインダー成分の全質量に対するポリビニルアルコールの含有量は、100質量%であってもよい。有機バインダー成分としてアクリル樹脂エマルションを使用する場合には、有機バインダー成分の全質量に対するアクリル樹脂(固形分)の含有量は、5~70質量%であることが好ましい。
無機バインダー成分は、特に制限されないが、例えば、コロイダルシリカ、水ガラス、珪酸カルシウム、シリカゾル、アルミナゾル、セピオライト、アルコキシラン等が挙げられる。無機バインダー成分としては、これらのうちの1種以上を使用できる。ただし、これらの無機バインダーは、擦れ、曲げ等の外力が加わると粉落ちし、ハンドリング性に劣る場合がある。そのため、無機バインダー成分の含有量は、ガラス繊維シートの全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。
(その他の成分)
本実施形態のガラス繊維シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した主体繊維となるガラス繊維と木材パルプ、バインダーの他に、当該ガラス繊維以外の1以上の無機繊維や、当該ガラス繊維シートを湿式抄紙によって製造する際に添加する1以上の任意成分を含んでいてもよい。
ガラス繊維以外の無機繊維としては、特に限定されるものではないが、人体に対する安全性を考慮した場合、生体溶解性無機繊維であることが好ましい。
本明細書において、生体溶解性無機繊維とは、上述したように「WHO吸入性繊維」に該当しない繊維であるか、または、EU指令97/69/ECのNotaQ「生体溶解性繊維判定基準」により、以下の4条件(1)~(4)のうち、いずれか1つを満足する繊維である。生体溶解性無機繊維には、生体溶解性セラミック、生体溶解性ロックウールなどが含まれる。
上記4条件とは、以下のとおりである。
(1)短期吸入暴露の動物実験で、長さ20μm超の繊維の半減期が10日未満のもの、
(2)短期気管内注入の動物実験で、長さ20μm超の繊維の半減期が40日未満のもの、
(3)腹腔内投与の動物実験で、有意な発がん性がないもの、
(4)長期吸入暴露の動物実験で、発がん性と結びつく病理所見や腫瘍形成がないもの(但し、組成としてアルカリおよびアルカリ土類酸化物(NaO、KO、CaO、MgO、BaO)を18質量%より超えて含有するもの)。
生体溶解性無機繊維には、通常、その製法に起因して、非繊維状物の「ショット」が含有されるが、ショットの含有量が多い生体溶解性無機繊維を用いると、得られるガラス繊維シートにおいて穴開き、粉落ち等が問題となる場合がある。そのため、生体溶解性無機繊維としては、ショットの含有率が20質量%以下のものを使用することが好ましい。また、生体溶解性無機繊維は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本実施形態のガラス繊維シートは、人体に対する安全性の点から、EU指令97/69ECにおいて、カテゴリー2(発がんの疑いがある)に分類されるセラミック繊維を含有しないことが好ましい。また、ガラス繊維シート中のガラス繊維以外の無機繊維の割合は、ガラス繊維シートの全質量に対して、45質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
ガラス繊維シートは湿式抄紙によって形成されるが、その際に添加する任意成分は特に制限されない。任意成分としては、たとえば、助剤、添加剤、充填剤等が挙げられる。
助剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤や、アミノ基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、メルカプトロ基等の官能基を有するシランカップリング剤が挙げられ、1種以上を使用できる。シランカップリング剤の含有量は、バインダー100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。
添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、濡れ剤、粘剤、歩留向上剤、紙力向上剤、濾水剤、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、ピッチコントロール剤等が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。添加剤の含有量は、ガラス繊維シートの全質量に対して5質量%以下であることが好ましい。
充填剤としては、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、プラスチックピグメント、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ等が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
(フィルター用ガラス繊維シートの製造方法)
次に、本実施形態のフィルター用ガラス繊維シートの製造方法の一例について説明する。本実施形態のフィルター用ガラス繊維シートの製造方法においては、上述したガラス繊維、木材パルプ及びバインダーを含有する原料スラリーを湿式抄紙してガラス繊維シートを製造する。
ガラス繊維シートの製造に用いる原料スラリーは、ガラス繊維を主体繊維として含有するとともに、木材パルプとバインダーを含む。また、原料スラリーは、任意成分として充填剤等を含んでもよい。また、スラリーの媒体として、通常、水を含む。
湿式抄紙は、上述した各成分と水(媒体)を含有する原料スラリーを調製した後、該原料スラリーを公知の抄紙機で抄紙する方法により行うことができる。抄紙機としては、円網抄紙機、傾斜型抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機が挙げられ、これら抄紙機の同種または異種を組み合わせて多層抄紙を行ってもよい。但し、コルゲートの加工をする上で単層シートであることが好ましい。なお、多層シートの場合、コルゲート加工の際に層間剥離を生じやすいので、木材パルプやバインダーを増量する必要がある。
抄紙後の脱水および乾燥の方法に特に制限はなく、たとえばヤンキードライヤー、シリンダードライヤー、エアドライヤー、赤外線ドライヤー等の公知のドライヤーを用いることができる。乾燥温度は特に制限されないが、通常100℃~200℃程度である。
なお、有機バインダー成分、あるいは無機バインダー成分は、ガラス繊維シートを製造するための原料スラリーに添加されてもよいが、得られたガラス繊維シートに対して、有機バインダー成分、あるいは無機バインダー成分を含む液をスプレー塗布、カーテン塗布、含浸塗布、バー塗布、ロール塗布、ブレード塗布等の方法で付着(外添塗布)させてもよい。外添塗布の対象である不織布は、乾燥後の乾燥不織布でも、乾燥前の湿潤ウェブであってもよい。
<コルゲート加工>
本実施形態のフィルター用ガラス繊維シートは、コルゲート加工してハニカム状に加工され、フィルターとして使用されてもよい。
例えば、上述したガラス繊維シートに対してコルゲート加工を施すことにより、波形(凹凸)を付与したガラス繊維シートを得ることができる。コルゲート加工した波形のガラス繊維シート(中芯紙)と、コルゲート加工をしていないガラス繊維シート(ライナー)とを接着して片波状のガラス繊維シート成形体を得てもよい。そして、複数の片波状ガラス繊維シート成形体を積層することで、ハニカム成形体を作製してもよい。
ガラス繊維シートを積層する際には接着剤を使用してもよい。接着剤としては、コロイダルシリカ、水ガラス、セピオライト、アルミナゾル等の無機糊が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。また、接着剤としては、エチレン-ビニルアルコール等の有機糊を併用してもよい。
なお、ハニカム成形体は、そのままフィルターとして使用されてもよく、また焼成された後にフィルターとして使用されてもよい。
<機能材料>
本実施形態のフィルター用ガラス繊維シートは機能材料を内部に担持することでフィルターとして機能するものである。このため、本実施形態のフィルター用ガラス繊維シートは機能材料担持用シートである。
機能材料としては、例えば、公知の各種の吸着剤、除湿剤等が挙げられる。吸着剤としては、シリカゲル、ゼオライト、セピオライト、活性炭、酸化ケイ素等の多孔質体、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の触媒、イオン交換樹脂などが例示できる。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、多孔質体表面を触媒で被覆した複合体のような形体で用いてもよい。特に、揮発性有機化合物(VOC)の吸着剤としては、酸化チタン等の触媒が好ましい。
除湿剤としては、たとえばシリカ、ゼオライト、疎水性合成ゼオライト、天然ゼオライト、セピオライト、ハイドロタルサイト、アルミナ、石灰、石膏、苦土石灰、水酸化マグネシウム、パーライト、珪藻土、塩化リチウム、塩化カルシウム、ポルトランドセメント、アルミナセメント、パリゴルスカイト、珪酸アルミニウム、活性白土、活性アルミナ、ベントナイト、タルク、カオリン、マイカ、活性炭、吸水性ポリマー等が挙げられる。
その他の機能材料の例としては、アルカリ性化合物を吸着能のある担体(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等)や、たとえば活性炭、シリカ、アルミナ、アロフェン、セピオライト、コージライト、その他の粘土鉱物等に担持させた固形吸着材;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、イオン交換樹脂、消臭剤等が挙げられる。
機能材料の担持方法としては、機能材料を含有するスラリーを上述したガラス繊維シート、ガラス繊維シート成形体、又はハニカム成形体に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。
以上説明したように、本実施形態のガラス繊維シートは、ガラス繊維を主成分とし、木材パルプとバインダーを特定の割合で含有する構成であるため、該シートの強度を維持しつつ、柔軟性が付与されている。したがって、本実施形態のガラス繊維シートは、形状追従性に優れ、機能材料担持性に優れている。また、本実施形態のガラス繊維シートは機能材料担持後も十分な強度を発揮することができる。
以下、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されない。
<実施例1>
繊維成分として、ガラス繊維(繊維径:6μm、繊維長:6mm)60質量部、500CSFに叩解した木材パルプ(NBKP)40質量部、及び、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ製、ポバールK-17U6)を、繊維成分100質量部に対して16質量部、助剤として分散剤と消泡剤を少量、水に加え、混合、攪拌、分散して0.2質量%濃度の原料スラリーを調製した。湿式抄紙法にて、ランダムな配列のウェブを形成し、アクリルエマルションを0.2g/mとなるようにスプレー塗布し乾燥し、一層のガラス繊維シートを得た。
得られたガラス繊維シートについて、JIS P8124に準じ坪量を測定したところ、秤量44g/mであった。
<実施例2>
ガラス繊維を70質量部、木材パルプ(NBKP)30質量部とした以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維シートを得た。
<実施例3>
坪量を30g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維シートを得た。
<比較例1>
ガラス繊維を92質量部、木材パルプ(NBKP)8質量部とした以外は、実施例3と同様にしてガラス繊維シートを得た。
<比較例2>
ガラス繊維を45質量部、木材パルプ(NBKP)55質量部とした以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維含有シート(以下、ガラス繊維シートに含める)を得た。
<比較例3>
坪量を60g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維シートを得た。
<比較例4>
ポリビニルアルコールを添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維シートを得た。
<評価方法>
得られたガラス繊維シートについて、下記の評価を行い、結果を表1に示した。
(ガラス繊維シートの強度)
得られたガラス繊維シートについて、JIS P 8113に準じた方法で、テンシロン型引張試験器(ORIENTEC社製)による測定を行い、引張強度の強弱を判断した。
○:強い
×:弱い
(コルゲート加工)
得られたガラス繊維シートを高さ1.4mm、ピッチ2.6mmの波形状に加工して中芯紙とし、該中芯紙を得られたガラス繊維シートからなる平面のシート状ライナーに無機接着剤で接着してコルゲート加工し、これを成巻し、円筒状のハニカム成形体を作製した。
「形状追従性の評価」
ガラス繊維シートを波形状に加工する際に、以下の指標に基づいて形状追従性を評価した。
○:波形状の型つきが良く、波の形が良好である。
×:波形状の型つきが悪い。
(粉落ち)
得られたハニカム成形体のハニカム部分を指で触り、以下の指標に基づいて粉落ちを評価した。
〇:指に紙粉が付かない。
×:指に紙粉が付く。
(機能材料の担持性)
上記ハニカム成形体を、機能材料としてVOC吸着剤の酸化チタンを水に高濃度で分散させた含浸液に、30分間浸漬させた。その後、焼成して、フィルター基材を作製した。このフィルター基材のハニカム部分を指で触り、機能材料の担持性を、以下の指標で評価した。
○:粉落ちがなく、担持性が優れる
×:粉落ちがあり、担持性が劣る
表1に示すように、実施例1~3は、ガラス繊維シートの形状追従性が優れており、焼成後も十分な強度を有しており、粉落ちがなかった。
比較例1は、ガラス繊維シートの強度、形状追従性が不十分であった。また、ハニカム成形体において粉落ちが生じていた。
比較例2は、機能材料の担持性が不十分であった。
比較例3は、ガラス繊維シートの形状追従性が不十分であった。
比較例4は、ガラス繊維シートの強度が不十分であり、ハニカム成形体において粉落ちが生じていた。

Claims (5)

  1. ガラス繊維を主成分とし、更に木材パルプとバインダーを含み、かつ湿式抄紙によって形成されたフィルター用ガラス繊維シートであって、
    前記フィルター用ガラス繊維シートは、機能材料を内部に担持することでフィルターとして機能し、
    前記フィルター用ガラス繊維シートの全繊維分の51~85質量%は前記ガラス繊維であり、
    前記フィルター用ガラス繊維シートの全繊維分の30~49質量%は前記木材パルプであり
    前記バインダーの含有量は、前記フィルター用ガラス繊維シートの全質量に対して1質量%以上であり、
    前記フィルター用ガラス繊維シートの坪量が15~55g/mであり、コルゲート加工用であるフィルター用ガラス繊維シート。
  2. 前記木材パルプの叩解度が300~750CSFである請求項1に記載のフィルター用ガラス繊維シート。
  3. 前記ガラス繊維の加重平均繊維径は4~10μmである請求項1又は2に記載のフィルター用ガラス繊維シート。
  4. 前記バインダーの含有量は、前記フィルター用ガラス繊維シートの全質量に対して25質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルター用ガラス繊維シート。
  5. 前記バインダーがポリビニルアルコールを含む請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルター用ガラス繊維シート。
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