JP7641815B2 - 光走査装置及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、MEMS光偏向器を備える光走査装置及びその製造方法に関する。
特許文献1は、MEMS光偏向器を備える光走査装置を開示する。該光走査装置は、眼鏡型のヘッドマウントの一側のテンプル(つる)に装着されて、眼鏡のフロント(前枠)の方に配置されたレンズ及びハーフミラーに向かってMEMS光偏向器からの走査光を出射する。
特許文献1の模式図によれば、テンプルには、光走査装置の他に、レンズ及びハーフミラーが実装され、光走査装置は、レンズを間に挟んでハーフミラーと対向し、光走査装置から出射したレーザ光は、ハーフミラー上をミラー面に沿って走査するとともに、該ミラー面で反射して、ユーザの目の網膜に映像を投影する。
特許第6734532号公報
特許文献1は、光源、MEMS光偏向器及び基板が具体的にどのような位置関係で光走査装置内に実装されているのかについては開示していない。
出願人は、先の特願2021-026244(以下、「先行出願」という。)において、光ビームを出射する光源と光源からの光ビームが入射するMEMS光偏向器とを同一基板に実装するとともに、光源から出射した光をMEMS光偏向器の回動ミラーに入射させる光路を光学素子により生成する光走査装置を開示する。この光走査装置によれば、光源及びMEMS光偏向器の両者の距離が、両者が同一基板に実装されることにより、縮められ、光走査装置の大幅な小型化を図ることができる。
光源とMEMS光偏向器とが同一基板に実装されている場合、光源からMEMS光偏向器までの光ビームの光路を生成する光学素子(例:ミラー)は、光路に対する傾斜角を正確に調整する必要があるが、調整可能な範囲には限界がある。一方、光源は、出射方向が所定方向(例:基板対して垂直方向)になるように、基板に実装されるが、ずれが生じる。
ずれがおおきくなると、光学素子の傾斜角の調整では対応が難しくなる。
本発明の目的は、光源からの光ビームの出射方向がずれて光源が基板に実装されても、そのずれを補償することができる光走査装置及びその製造方法を提供することである。
本発明の光走査装置は、
少なくとも1つの通孔部を有する基板と、
前記基板上に実装された光源及びMEMS光偏向器と、
前記光源から出射した光ビームを前記MEMS光偏向器に入射させる光路を生成する光学素子と、
前記基板の下側に配設された底板と、
下端は前記通孔部の通孔のサイズより大きく、先端に向かって細くなる形状で前記底板の上面に固定され、上部が前記通孔部に嵌合された柱状起立部と、
を備え、
前記柱状起立部の前記上部及び前記通孔部の少なくとも一方が塑性変形して互いに嵌合され、
前記基板と前記底板との相対傾斜角は、前記通孔部と前記柱状起立部との嵌合角度により規定されている。
本発明の光走査装置の製造方法は、
少なくとも1つの通孔部を有し、上面側に光源及びMEMS光偏向器が実装されている基板に対して、上端に向かって細くなる柱状起立部が各通孔に対応付けて上面に固定されている底板を下側に配置する配置工程と、
前記基板の各通孔に前記底板の各柱状起立部を下側から挿入する挿入工程と、
前記光源を点灯し、所定のスクリーン上に前記光源から出射した光ビームの照射点を生成する照射工程と、
前記照射点が前記スクリーン上の所定領域の内側に収まるように、前記通孔部及び前記柱状起立部の少なくとも一方を塑性変形させて前記基板と前記底板との相対傾斜角を調整する調整工程と、
前記照射点が前記スクリーン上の所定領域の内側に収まった時、その時の相対傾斜角で前記基板を前記底板に固定する工程と、
を含む。
本発明によれば、底板と基板との相対傾斜角が適正なものになるように、基板の通孔部及び柱状起立部とは、少なくとも一方が塑性変形で嵌合した嵌合角度により相対傾斜角を規定されている。この結果、光源から光ビームの出射方向がずれて光源が基板に実装されていても、そのずれを補償することができる。
光走査装置の平面図である。 図1Aの1B矢視図である。 図1Aの1C矢視図である。 図1Aの1D矢視図である。 支持枠体の側面図である。 支持枠体の斜視図である。 VCSELが実装された突条を斜め上方から見た斜視図である。 VCSELが基板に傾いて実装されたときの問題点についての説明図である。 出射部からの光ビームの出射方向の誤差等に対する板状ミラーの傾斜角の調整による補償についての説明図である。 基板を支持枠体に組み付ける工程を示す図である。 底板部に対する基板の傾斜方向を調整開始する時の状態図である。 VCSELの出射部からの出射方向を矯正する作業の説明図である。 底板部に対する突条の傾斜方向を調整終了した時の状態図である。 図5Cとは異なる仕方でVCSELの出射部からの出射方向を矯正する作業の説明図である。 板状ミラー及び回転型ミラーを起立板部に組付ける時の傾斜角の調整作業の説明図である。 板状ミラー及び回転型ミラーを起立板部に組付ける時の傾斜角の調整作業の説明図である。 つの柱状起立部により基板の傾斜方向を調整することの構造図である。 図8Aの構成に対して突条の傾斜方向を調整するときの状況を示している。 底板部の上面に突条が付加されている支持枠体の斜視図である。 底板部の上面に膨出部が付加されている支持枠体の斜視図である。 光走査装置の適用例としての眼鏡型映像表示装置を示した図である。
図面を参照して、本発明の好適な複数の実施形態を詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されないことは言うまでもない。本発明は、以下の実施形態以外にも、本発明の技術的思想の範囲内で種々の構成態様を包含する。全図を通して、同一の要素については、同一の符号を付けている。
(構成)
図1Aは光走査装置10の平面図、図1Bは図1Aの1B矢視図、図1Cは図1Aの1C矢視図、図1Dは図1Aの1D矢視図である。なお、図1A-図1Dは、カバー33(図1Bの一点鎖線)を取り外した状態で光走査装置10を示している。
光走査装置10は、支持枠体12を備える。支持枠体12は、L字型の横断面輪郭を有し、垂直に結合する底板部13aと起立板部13bとを有する。基板15は、矩形であり、底板部13aの上面に柱状起立部37を介して固定される。
説明の便宜上、3軸の直交座標系を定義する。X軸及びY軸は、それぞれ基板15の長手方向(長辺に平行な方向)及び短手方向(短辺に平行な方向)に平行な方向の軸として定義する。Z軸は、基板15からの起立板部13bの起立方向に平行な軸として定義する。
光走査装置10では、走査光は、図1Bの左側、すなわち、X軸方向に光走査装置10の負側の端から出射されるので、X軸において負側及び正側をそれぞれ適宜、光走査装置10の前方及び後方と呼ぶことにする。また、基板15において、Z軸方向の正側及び負側がそれぞれ上面及び下面になるので、Z軸方向の正側及び負側をそれぞれ適宜、光走査装置10の上方及び下方と定義する。
VCSEL17及びMEMS光偏向器20は、X軸方向を並び方向にして、基板15の上面に実装される。VCSEL17は、出射部18を上面に有し、出射部18からレーザ光をZ軸方向に平行に上向きに出射する。MEMS光偏向器20は、回動ミラー21のミラー面をZ軸方向の上方に向けている。
なお、図1Aにおいて、Cnは、基板15の上面視(基板15の平面視でもある。)VCSEL17の中心としての出射部18とMEMS光偏向器20の中心とを結ぶ線分を含む直線を示している。以降、この直線を適宜「中心線Cn」と呼ぶことにする。
なお、MEMS光偏向器20は、この実施形態では2次元走査型のMEMS光偏向器であるが、1次元走査型のMEMS光偏向器であってもよい。MEMS光偏向器の構成自体は、種々、知られており、例えば、特開2017-207630号公報(2次元走査型MEMS光偏向器)や特開2014-056020号公報(1次元走査型MEMS光偏向器)に記載されているMEMS光偏向器が選択される。
基板15は、2つの通孔部16(図1A)を有している。各通孔部16は、基板15を厚さ方向に貫通し、横断面が円形になっている。基板15における複数の通孔部16の具体的な位置関係については、後述する。
図2Aは、支持枠体12の側面図、図2Bは支持枠体12の斜視図である。図1A-図1D及び図2A-図2Bとを参照して、支持枠体12の構成について説明する。
支持枠体12の起立板部13bは、傾斜溝30及び貫通孔31を有する。傾斜溝30は、矩形の横断面を有し、起立板部13bの側面輪郭に上方に向かって斜め後方に開口している。傾斜溝30の底面は、基板15に対して45°で傾斜する傾斜面で形成されている。貫通孔31は、起立板部13bをY軸方向に貫通する円柱孔として形成されている。
なお、図2Bの支持枠体12は、起立板部13bの構造が図1A-図1D及び図2Aの支持枠体12に対して変形されている。具体的には、図2Bの支持枠体12には、起立板部13bの最大高さ部に側方、すなわち底板部13aの方に張り出す側方張出し部38が設けられている。側方張出し部38の頂面は、カバー33(図1B)の天井部の内面に接触し、カバー33を保持する。
底板部13aの上面には、2つの柱状起立部37が固定されている。各柱状起立部37は、底板部13aの上に基板15を載置するとき、対応する通孔部16に挿入可能となる位置に設定されている。柱状起立部37は、先端に向かって先細となる形状として、例えば、円錐形状で形成されている。
板状ミラー23及び回転型ミラー25について説明する。X軸方向において、傾斜溝30の傾斜面(底面)の幅(図1Bにおける側面視の長さ)の中心は、VCSEL17の出射部18と同一位置に位置する。X軸方向において、貫通孔31の円柱孔の中心線Cl(図1B)は、X軸方向にVCSEL17とMEMS光偏向器20の回動ミラー21との間に位置する。Z軸方向において、傾斜溝30の傾斜面の長さの中心と、貫通孔31の円柱孔の中心線とは、同一位置に、すなわち基板15から同一高さに位置する。
板状ミラー23は、矩形の板状の部材から成り、下側の板面をミラー面として、片持ち状態で一端部を傾斜溝30の斜面部に樹脂などの接着部材によって接着される。板状ミラー23の板厚は、傾斜溝30の深さにほぼ等しく設定されている。
板状ミラー23の板幅(図1Bにおける側面視の長さ)は、傾斜溝30の幅(図1Bにおける側面視の長さ)より少し短くなっている。したがって、傾斜溝30への板状ミラー23の一端部の接着前、すなわち該一端部の固定前の状態では、板状ミラー23は、傾斜溝30内で底面の斜面方向にわずかながら変位可能であるとともに、Y軸に平行な軸線の回りの回転角を変更可能になっている。このような変更は、光走査装置10の製造時において板状ミラー23のミラー面に向きの調整を可能するものである。
回転型ミラー25は、平板状のミラー部26と、ミラー部26の一端部に結合して貫通孔31に嵌合する円柱の嵌合端部27とを有する。嵌合端部27のサイズ(径)は、貫通孔31のサイズよりわずかに小さい。したがって、貫通孔31への嵌合端部27の接着前、すなわち固定前の状態では、回転型ミラー25は、嵌合端部27を貫通孔31に嵌合しつつ、貫通孔31の中心線Clの回りを回動自在であるとともに、貫通孔31の中心線Clに対して回転型ミラー25の中心線を一致させた状態から所定の傾斜角範囲で傾斜可能にしている。そのため、板状ミラー23に比べ大きな角度範囲で回転変位可能となっている。このような回動可能及び傾斜可能な構成は、光走査装置10の製造時においてミラー部26のミラー面に向きの調整を可能にする。調整後は嵌合端部27を樹脂等の接着部材で接着させ固定する。
MEMS光偏向器20の回動ミラー21は、回転型ミラー25に対して回転型ミラー25の直下の位置ではなく、前側、すなわちX軸方向に回転型ミラー25に対して負側に位置している。この構成は、後述するように、光走査装置10からの光Lpの出射方向を基板15に対して垂直方向ではなく、斜め前方に出射させることに寄与する。この構成は、また、光走査装置10をスマートグラスの映像走査装置として眼鏡本体のつるに装着するときに、光走査装置10からの出射光が、映像装置とユーザの顔面とのわずかの間隙からユーザの顔面に干渉されることなく、眼鏡本体のレンズ内面に到達することを保証する(図11)。
図3は、VCSEL17が実装された基板15を斜め上方から見た斜視図である。端子列モジュール39は、基板15の後縁に沿って基板15の上面に固定され、基板15の上面から隆起している。VCSEL17及び前記光走査装置10内のVCSEL17及びMEMS光偏向器20に接続されている給電線や信号線は、端子列モジュール39の内側端子に集められ、それら内側端子に対関係にある外側端子を経て外部に接続されるようになっている。端子列モジュール39は、基板15の上面から所定高さ、隆起している。
2つの柱状起立部37の位置について詳説する。基板15の平面視(上面視でもある。)で、中心線Cnは、起立板部13bに対して平行になっている。平面視でほぼ矩形の底板部13aの短手方向(Y軸方向)のサイズは、MEMS光偏向器20の方がVCSEL17より大きい。
前端側の柱状起立部37は、底板部13aにおいてMEMS光偏向器20に対して長手方向(X軸方向)に前側でかつ短手方向(Y軸方向)に起立板部13b側の側縁の近傍に位置する。後端側の柱状起立部37は、長手方向にVCSEL17と端子列モジュール39との間で短手方向にVCSEL17に対して前端側の柱状起立部37とは反対側に位置する。
(作用)
図1Bにおいて、光Lpが引き出されている破線は、光Lpの光路を示している。なお、VCSEL17の出射部18から出射する光Lpは、人の目に害を与えない程度に十分に弱めたレーザ光である。
光Lpは、VCSEL17の出射部18から基板15に対して垂直で上向き(Z軸方向の正の向き)に出射する。光Lpは、板状ミラー23に入射すると、板状ミラー23で反射して、向きを、基板15の上面におけるVCSEL17及び出射部18の並び方向としてのX軸に対して平行でかつX軸の負側にし、変更する。そして、X軸に平行に前方(X軸の負側)に進んだ後、回転型ミラー25のミラー部26の斜め下向きのミラー面に入射する。
基板15に対するミラー部26の傾斜角は、45°より小さい。したがって、ミラー部26で反射した光Lpは、Z軸方向に平行に、すなわち基板15に対して垂直方向に基板15へ下降することなく、斜め前方に向かって下降し、MEMS光偏向器20の回動ミラー21の中心に入射する。
回動ミラー21は、2次元で回動している。したがって、回動ミラー21に入射した光Lpは、2次元走査の走査光となって、回動ミラー21から斜め前方の上方に向かって進む。
(出射方向のずれ)
図4Aは、VCSEL17が基板15に傾いて実装されたときの出射方向のずれについての説明図である。図4Aには、基板15におけるVCSEL17の実装例として、基板15に異なる角度で実装されたVCSEL17a,17b,17cが示されている。
VCSEL17aは、光ビームLpの出射方向がZ軸に平行な方向であるのに対し、VCSEL17b,17cは、VCSEL17aに対して相互に逆側に傾いて基板15に実装されている。このため、出射部18からの光ビームLpは、基板15に対して垂直の直上に出射されるのに対し、VCSEL17b,17cは、Z軸に対して傾斜する方向に出射される。すなわち、基板15に対するVCSEL17の取付角度には、誤差やむらがあり、VCSEL17からの光ビームLpの出射方向は、直上に対して矢印Asのように変位する。
図4Bは、出射部18からの光ビームLpの出射方向のずれに対する板状ミラー23の傾斜角の調整による補償についての説明図である。後述するように、光走査装置10の製造時では、板状ミラー23及び回転型ミラー25は、支持枠体12に組付ける時、傾斜角を調整される。しかしながら、出射部18からの光ビームLpの出射方向のずれに対する板状ミラー23の傾斜角の調整による補償可能な範囲には、限界があり、限界を超えたずれに対しては、補償が困難になる。
図4Bにおいて、矢印Amは、VCSEL17の出射部18からの光ビームLpの出射方向が、直上から限界値を超えて変位したことを示している。Bwは、光走査装置10の製造時の起立板部13bに対する板状ミラー23及び回転型ミラー25の取付角の調整では、出射部18からの出射方向のずれに対する補償が困難になっていることを示している。
(出射方向のずれの矯正)
以下、光走査装置10の製造方法の主要部を工程順に説明する。図5Aは、基板15を支持枠体12に組み付ける工程を示す図である。図5Aにおいて、VCSEL17及びMEMS光偏向器20は、基板15に実装済みとなっている。VCSEL17は、基板15に傾斜して実装されている。この傾斜は、図4Bの矢印Amに示すものである。
図5Aにおいて、矢印A1は、支持枠体12の底板部13aに基板15を組付けるときの方向を示している。基板15は、各通孔部16に底板部13aの各柱状起立部37が挿入されるように、底板部13aの上から底板部13aに対して垂直下向き、すなわち矢印A1の方向に移動される。
図5Bは、底板部13aに対する基板15の傾斜方向を調整開始する時の状態図である。通孔部16に底板部13aの柱状起立部37が挿入された後、VCSEL17を点灯状態にして、出射部18から光ビームLpを出射される。ビームプロファイラ61は、VCSEL17の上方に配置され、出射部18から出射されて来る光ビームLpの入射位置を検査する。すなわち、ビームプロファイラ61のディスプレイ62には、光スポットSpが映し出される。ディスプレイ62の中心には、光スポットSpの目標位置65が示されている。VCSEL17の出射部18から出射する光ビームLpが底板部13aに対して垂直上向きになるとき、光スポットSpは、目標位置65に重なる。
調整作業者は、光スポットSpがディスプレイ62上で矢印Adの方向に移動して、目標位置65と重なるように、底板部13aに対する基板15の傾斜角を調整する。
柱状起立部37は、本来の形状として先端(上端)に向かって先細の円錐形状を有している。これに対して、基板15の通孔部16は、平面視の形状、すなわち横断面の形状が円形になっている。側方張出し部38の根元(下端)の径は、通孔部16の径(直径)より大きい。
柱状起立部37は、先細の円錐形状であるので、柱状起立部37は、その先端を通孔部16の下端から通孔部16内に円滑に進入する。そして、柱状起立部37は、通孔部16の径と同一径の部位が通孔部16の下端に当接して、それ以上の進入を阻まれる。複数の通孔部16の径は相互に同一であり、複数の柱状起立部37は、大きさ及び形状が同一であるので、柱状起立部37が通孔部16の下端に当接して、通孔部16への進入を阻まれた時、基板15は、底板部13aに対して平行になる。
しかしながら、VCSEL17は、基板15に対して水平にならず、傾斜して実装されてしまっているので、この状態では、出射部18から出射する光ビームLpは、本来の出射方向に対して相当のずれが生じている。このため、基板15の通孔部16に、通孔部16の下から底板部13aの柱状起立部37に嵌合した状態(初期状態)では、基板15は、底板部13aに対して平行であるものの、VCSEL17の出射部18から出射した光ビームLpをビームプロファイラ61で検査すると、ディスプレイ62上で光スポットSpは、目標位置65から離れた位置に表示される。
以降、基板15が台板としての底板部13aに対して平行になっているときの基板15の平面を「基準平面」という。基準平面は、X軸及びY軸に平行な平面である。なお、底板部13aは、その周縁においてカバー33(図1B)の下側開口に嵌合し、光走査装置10のパッケージを構成する。初期状態では、基板15は、基準平面にある。
(ずれの矯正)
図5Cは、VCSEL17の出射部18からの出射方向を矯正する作業の説明図である。基板15は、柱状起立部37より相対的に硬い材料からできている。例えば基板15はエポキシ樹脂で柱状起立部37はポリ塩化ビニールである。また、柱状起立部37は熱可塑性である。このため、柱状起立部37が先端側において基板15の通孔部16に部分的に挿入した状態で、基板15を底板部13aの方へ強く押し込むと、基板15より下側の下端部73が塑性変形する。この際に柱状起立部37が変形しやすいように加熱させてもよい。加熱は柱状起立部37の材料が軟化し、他の部材が変形しない程度の温度で行う。加熱はホットプレートで行うことが可能である。
調整作業者は、基準平面に対する基板15の傾斜方向(傾斜角度と傾斜の向きとの両方も含む。)を変更する。傾斜方向の変更は、調整作業者が治具を使って、通孔部16を底板部13aの方へ所定の傾斜方向へ押し込みつつ、柱状起立部37を塑性変形させることにより実現できる。所定の傾斜方向とは、図5Bのディスプレイ62において光スポットSpが矢印Acの方へ移動する傾斜方向である。
図5Cにおいて、柱状起立部37は、上端部71、嵌合部72及び下端部73の3つの部分に分けられる。嵌合部72は、通孔部16内に位置して、通孔部16に嵌合している。上端部71及び下端部73は、それぞれ嵌合部72より上側及び下側に位置し、それぞれ基板15から上側及び下側に露出している。下端部73の径は、通孔部16より径が大きく、嵌合部72の径は、通孔部16の径と等しいか小さい。上端部71の径は、通孔部16の径と等しいか小さく、少なくとも上端において通孔部16の径より小さい。
基板15が通孔部16において底板部13aの方へ押し込まれるに伴い、柱状起立部37は、嵌合部72及び下端部73において塑性変形する。基準平面に対する基板15の傾斜方向は、通孔部16と嵌合部72との嵌合角度により決まる。
図5Dは、底板部13aに対する基板15の傾斜方向を調整終了した時の状態図である。ディスプレイ62において光スポットSpが目標位置65に重なると、調整作業は終了する。
基板15の法線15hに対して光ビームLpが傾斜する向きαに対して、底板部13aの法線13ahに対して基板15の法線15hが傾斜する向きβが逆方向であることで、光ビームLpのずれは改善される。また、基板15の法線15hに対する光ビームLpの傾斜角度と底板部13aの法線13ahに対する基板15の法線15hの傾斜角度が同じであることで、光ビームLpは底板部13aに対し垂直になる。
また、底板部13aと起立板部13bが一体の部材であり、起立板部13bに固定される板状ミラー23及び回転型ミラー25は基板15の傾斜によって、底板部13aとの位置関係は変化しない。すなわち本発明において底板部13aを基準として光ビームLpと板状ミラー23及び回転型ミラー25の位置関係が保証されている。
なお、図5DにおいてY方向から見た時の基板15の底板部13aに対する傾斜を図示しているが、同時にX方向から見ても基板15は底部13aに対して傾斜している。
この後、基板15と柱状起立部37とは、接着、溶着、又は上端部71の拡径により底板部13aに対して基板15が非平衡、すなわち傾斜した状態で相互に固定される。溶着の場合、柱状起立部37は、熱溶融性を有する必要がある。図5は、上端部71が拡径された状態を示し、上端部71は、上から圧し潰されることにより、通孔部16の径より大きい径に塑性変形し、基板15の上面に固定される。
図6は、図5Cとは異なる仕方でVCSEL17の出射部18からの出射方向を矯正する作業の説明図である。図6の場合では、図5Cの場合とは逆に、柱状起立部37が、基板15より相対的に硬い材料からできている。例えば基板15はエポキシ樹脂で、柱状起立部37は鉄や真鍮が選択できる。このため、柱状起立部37が先端側において基板15の通孔部16に部分的に挿入した状態で、矢印A2の方向に基板15を底板部13aの方へ強く押し込む。
これにより、図6の下側の図の範囲Ra内に示されるように、柱状起立部37は、元々の円錐又は円錐台の形状を保持する一方、柱状起立部37の嵌合部72は、塑性変形により径方向に押し潰される。これにより、柱状起立部37の形状と嵌合部72の形状とは同一になる。また、下端部73の上端面は、通孔部16より径方向に張り出した平面となって、基板15を支持する。
基準平面に対する基板15の傾斜方向は、通孔部16と嵌合部72との嵌合角度により決まる。その後の処理は、図5Cの場合と同様に、基板15と柱状起立部37とは、接着、溶着、又は上端部71の拡径により相互に固定される。
(光路生成ミラーの調整)
板状ミラー23及び回転型ミラー25は、基準面に対する基板15の傾斜方向の調整後に、起立板部13bに組付けられる。板状ミラー23及び回転型ミラー25は、VCSEL17から出射した光ビームLpをMEMS光偏向器20の回動ミラー21へ入射させるための光路を生成する光学素子である。このため、適正な光路が生成されるように、適正な傾斜角で起立板部13bに組付けられる必要がある。図7A及び図7Bは、それぞれ板状ミラー23及び回転型ミラー25を起立板部13bに組付ける時の傾斜角の調整作業の説明図である。
板状ミラー23の傾斜角は、VCSEL17を点灯して、板状ミラー23で反射した光ビームLpが所定のスクリーン44の基準位置に光スポットSpが生成されるように、板状ミラー23を傾斜溝30内で矢印Adの方向に回転させる。スクリーン44における光ビームLpの照射位置としての光スポットSpが基準位置になった時、板状ミラー23を傾斜溝30に接着等により固定する。
起立板部13bへの回転型ミラー25の組付けは、起立板部13bへの板状ミラー23の組付けの後に行われる。回転型ミラー25の傾斜角は、VCSEL17を点灯して、板状ミラー23、回転型ミラー25及びMEMS光偏向器20の回動ミラー21の順番に反射した光ビームLpが所定のスクリーン51の基準位置に光スポットSpが生成されるように、板状ミラー23を貫通孔31内で矢印Aeの方向に回転させる。スクリーン51における光ビームLpの照射位置としての光スポットSpが基準位置になった時、回転型ミラー25をスクリーン51に接着等により固定する。
(別の実施形態)
図8Aは、1つの柱状起立部37により基板15の傾斜方向を調整することの構造図である。図1Bでは、柱状起立部37が2つ設けられていたが、図8Aでは、2つ柱状起立部37のうちの一方(この例では、後ろ側の柱状起立部37)が、同一位置の膨出部81により置き換えられている。したがって、通孔部16は、基板15に1つだけとなっている。
膨出部81は、凸状曲面、例えば半球面で形成されている。底板部13aからの突出量は、柱状起立部37の方が膨出部81より高い。
図8Bは、図8Aの構成に対して基板15の傾斜方向を調整するときの状況を示している。傾斜方向の調整前の基板15の初期状態では、図5Bとは異なり、基板15は、底板部13aに対して平行ではなく、傾斜角γaで後端側の方に下降している。また、初期状態では、光ビームLpの出射方向は、底板部13aに対して垂直方向から所定角度、傾斜している。このため、光スポットSpは、ディスプレイ62において目標位置65から離れている。
調整作業者は、基板15の前端側、すなわち柱状起立部37の側を下方へ押し込む。これにより、柱状起立部37は、図5Cで説明したように、塑性変形し、基板15の傾斜方向が適正値に調整される。すなわち、図8Bのディスプレイ62上で、光スポットSpは目標位置65に重なる。
柱状起立部37が1つである場合も、図6のときのように、通孔部16側を塑性変形して、通孔部16と柱状起立部37との嵌合角を変更して、所望の傾斜方向を得ることができる。
図9及び図10は、それぞれ底板部13aの上面に突条85及び膨出部88が付加されている支持枠体12の斜視図である。すでに説明した図2Bとの相違点のみ説明する。突条85及び膨出部88は、共に、中心線Cn(図1)上に位置している。中心線Cnは、図1Aで定義したものである。膨出部88は、さらに、上面視で2つの柱状起立部37を結ぶ線分と中心線Cnとの交点に位置する。
突条85及び膨出部88は、底板部13aからの高さが、初期状態では、柱状起立部37の高さより低くなっている。突条85及び膨出部88は、塑性変形しない。2つの柱状起立部37は、その後、底板部13aに対する基板15の傾斜方向の調整により塑性変形する。塑性変形後の2つの柱状起立部37の高さは、一方の柱状起立部37は、突条85及び膨出部88より高く、他方の柱状起立部37は、突条85及び膨出部88より低くなる。これにより、基板15の下面は、突条85又は膨出部88に接触する。突条85及び膨出部88は、基板15の傾斜方向を安定化させる役割がある。
(光走査装置の適用例)
図11は、光走査装置10の適用例としての眼鏡型映像表示装置155を示した図である。眼鏡型映像表示装置155について簡単に説明する。眼鏡型映像表示装置155は、眼鏡本体160と、クリップ170により眼鏡本体160に着脱自在に装着された映像生成装置110とを備える。眼鏡本体160は、左右のつる161a,161bと、左右の両端において左右のつる161a,161bの前端に結合する前枠163とを備える。前枠163は、さらに、左右のレンズ枠部164a,164bと、左右のレンズ枠部164a,164bを連結するブリッジ165とを備える。
光走査装置10は、映像生成装置110内に眼鏡本体160のつる161bの延在方向に沿って他の素子(例:MEMSセンサ用バッファアンプ及びLDD(レーザドライバ))と共に一列配置で内蔵されている。なお、この一列配置では、光走査装置10は、最前、すなわち最もレンズ167側に配置されている。こうして、光走査装置10から出射する光Lp(図2B)は、レンズ67の内面側に照射して走査領域172に映像を生成する。
(変形例)
光走査装置10は、VCSEL17を備える。VCSEL17は、面発光レーザ素子の一例である。本発明は、面発光レーザ素子であれば、垂直共振器面発光型レーザ(VCSEL : Vertical Cavity Surface Emitting Laser)以外のレーザ光源を採用することができる。
本発明の光走査装置は、スマートグラスにおける映像生成装置として適用されるほか、超小型プロジェクタやインターラクティブプロジェクタにおける映像生成装置としても適用することができる。
光走査装置10では、基板15と底板部13aとの相対傾斜角を規定する通孔部16と柱状起立部37との嵌合角度は、柱状起立部37の上部の塑性変形(図5C)及び通孔部16の塑性変形(図6)のいずれか一方による互いの嵌合で規定されている。本発明の光走査装置では、少なくとも一方の塑性変形による互いの嵌合であればよい。すなわち両方の塑性変形による互いの嵌合を排除しない。
光走査装置10では、本発明の底板としての底板部13aは、支持枠体12の一部として起立板部13bに結合している。本発明の底板は、単独の部品であってもよい。
光走査装置10では、板状ミラー23及び回転型ミラー25が光源としてのVCSEL17から出射した光ビームLpをMEMS光偏向器20の回動ミラー21へ入射させる光路を生成する光学素子となっている。本発明の光学素子は、ミラー以外にプリズム等であってもよい。
光走査装置10では、36は、底板部13aに結合している下端に対し、上部として上端部71と嵌合部72(図5及び図6)とを有している。本発明では、上部として嵌合部72を有していればよく、基板より上側の部分(例:上端部71)はなくてもよい。なお、上端部71がないときは、拡径部(例:図5Dの上端部71)や溶着による底板部13aと基板15とを相互に固定することが困難になるが、接着による相互の固定は、可能である。
光走査装置10では、中心線Cnは、基板15の長手方向に延在している。中心線Cnは、長手方向に対して傾斜していてもよい。
光走査装置10では、短手方向のサイズは、基板15の方がMEMS光偏向器20より小さい。そして、7の中心としての出射部18とMEMS光偏向器20の中心とを結ぶ線分としての並び方向は、基板15の長手方向に延在している。このため、通孔部16を2つ装備するときは、基板15の上面視で、基板15におけるVCSEL17及びMEMS光偏向器20を包含する実装領域に対して長手方向にそれぞれ一側及び他側で、短手方向にVCSEL17に対してそれぞれ一側及び他側となる位置関係で底板に固定されている。このような位置における通孔部16と柱状起立部37との嵌合角度は、基板15と底板部13aとの相対傾斜角の規定を安定化させるからである。
光走査装置10は、柱状起立部37を1つ又は2つ備えている。本発明の光走査装置は、柱状起立部37を3つ以上備えていてもよい
図5Dにおける目標位置65は、スクリーンとしてのディスプレイ62における光ビームLpの照射点としての光スポットSpの目標位置の例である。この例では、目標位置65のサイズは、光スポットSpのサイズと同一であるが、光ビームLpの出射方向のずれが矯正可能な限界内に収まった時の所定領域として、光スポットSpのサイズより大きくすることができる。そして、光スポットSpが目標位置65である所定領域の内側に収まった時、調整が終了したと認定することができる。
10・・・光走査装置、13a・・・底板部、15・・・基板、16・・・通孔部、17・・・VCSEL、20・・・MEMS光偏向器、2123・・・板状ミラー、25・・・回転型ミラー、37・・・柱状起立部、71・・・上端部、72・・・嵌合部、73・・・下端部、81,86・・・膨出部、85・・・突条。

Claims (7)

  1. 少なくとも1つの通孔部を有する基板と、
    前記基板上に実装された光源及びMEMS光偏向器と、
    前記光源から出射した光ビームを前記MEMS光偏向器に入射させる光路を生成する光学素子と、
    前記基板の下側に配設された底板と、
    下端は前記通孔部のサイズより大きく、先端に向かって細くなる形状で前記底板の上面に固定され、上部が前記通孔部に嵌合された柱状起立部と、
    を備え、
    前記柱状起立部の前記上部及び前記通孔部の少なくとも一方が塑性変形して互いに嵌合され、
    前記基板と前記底板との相対傾斜角は、前記通孔部と前記柱状起立部との嵌合角度により規定されていることを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1記載の光走査装置において、
    前記底板は、前記光源及び前記MEMS光偏向器の少なくとも並び方向に前記柱状起立部から離れた位置に凸状曲面の1つの膨出部を有し、
    前記基板の下面は、前記下面を前記膨出部に押圧状態で接触していることを特徴とする光走査装置。
  3. 請求項1記載の光走査装置において、
    前記通孔部は、少なくとも2つあり、
    前記柱状起立部は、少なくとも2つあり、
    前記基板における前記光源及び前記MEMS光偏向器の並び方向は、前記基板の長手方向であり、
    前記2つの通孔は、前記基板の上面視で、前記基板における前記光源及び前記MEMS光偏向器を包含する実装領域に対して前記長手方向にそれぞれ一側及び他側で、短手方向に前記光源に対してそれぞれ一側及び他側となる位置関係で前記底板に固定されていることを特徴とする光走査装置。
  4. 請求項3記載の光走査装置において、
    前記底板は、前記2つの柱状起立部を結ぶ線分と交差して延在する突条を有していることを特徴とする光走査装置。
  5. 請求項3記載の光走査装置において、
    前記底板は、前記2つの柱状起立部を結ぶ線分上に球面突出部を有していることを特徴とする光走査装置。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の光走査装置において、
    さらに、前記底板に結合し、前記底板から起立する起立板を有し、
    前記光学素子は、前記起立板に固定されているミラーであることを特徴とする光走査装置。
  7. 少なくとも1つの通孔部を有し、上面側に光源及びMEMS光偏向器が実装されている基板に対して、上端に向かって細くなる柱状起立部が各通孔に対応付けて上面に固定されている底板を下側に配置する配置工程と、
    前記基板の各通孔に前記底板の各柱状起立部を下側から挿入する挿入工程と、
    前記光源を点灯し、所定のスクリーン上に前記光源から出射した光ビームの照射点を生成する照射工程と、
    前記照射点が前記スクリーン上の所定領域の内側に収まるように、前記通孔部及び前記柱状起立部の少なくとも一方を塑性変形させて前記基板と前記底板との相対傾斜角を調整する調整工程と、
    前記照射点が前記スクリーン上の所定領域の内側に収まった時、その時の相対傾斜角で前記基板を前記底板に固定する工程と、
    を含むことを特徴とする光走査装置の製造方法。
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