JP7650927B2 - N-アルキルボラジン化合物の製造方法 - Google Patents

N-アルキルボラジン化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、N-アルキルボラジン化合物の製造方法に関する。
情報機器の高性能化に伴い、LSIのデザインルールは、年々微細になっている。微細なデザインルールのLSI製造においては、LSIを構成する材料も高性能で、微細なLSI上でも機能を果たすものでなければならない。
例えば、LSI中の層間絶縁膜に用いられる材料に関していえば、高い誘電率は信号遅延の原因となる。微細なLSIにおいては、この信号遅延の影響が特に大きい。このため、層間絶縁膜として用いられ得る、新たな低誘電材料の開発が所望されていた。また、層間絶縁膜として使用されるためには、誘電率が低いだけでなく、耐湿性、耐熱性、機械的強度などの特性にも優れている必要がある。
かような要望に応えるものとして、分子内にボラジン環骨格を有するボラジン化合物が提案されており、分子分極率が小さいため、形成される被膜は低誘電率である上に、形成される被膜は、耐熱性にも優れる。このようなボラジン化合物として、ボラジン環を構成する窒素原子がアルキル基と結合しているN-アルキルボラジンが挙げられ、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層を形成するために好ましく用いられる。
例えば、特許文献1にはN-アルキルボラジンの製造方法が記載されており、ABH(Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である)で表される水素化ホウ素アルカリと、RNHX(Rはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である)で表されるアルキルアミン塩の一方を反応容器中に仕込む段階と、他方を前記反応容器に徐々に供給して、両者を溶媒中で反応させる段階を含むN-アルキルボラジンの製造方法と、前記水素化ホウ素アルカリと、前記アルキルアミン塩を、反応容器に徐々に供給して両者を溶媒中で反応させるN-アルキルボラジンの製造方法が開示されている。
特開2006-213683号公報
特許文献1に開示される製造方法によれば、水素化ホウ素アルカリとアルキルアミン塩の反応において、水素ガスの発生量が制御できることが記載される。しかし、本発明者らが更に検討したところ、水素化ホウ素アルカリとアルキルアミン塩を有機溶媒中で反応させる方法では、得られるN-アルキルボラジン化合物を効率的に高い収率で得ることが難しい場合があることが明らかになった。
そこで、本発明はN-アルキルボラジン化合物を高い収率で得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を達成した本発明は以下の通りである。
[1]ABH(Aはリチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子)で表される水素化ホウ素アルカリと、RNHX(Rはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である)で表されるアルキルアミン塩を有機溶媒中で反応させてN-アルキルボラジン化合物を製造する方法であって、
前記水素化ホウ素アルカリ、前記アルキルアミン塩及び前記有機溶媒を含む反応液の合計体積1mあたり0.1~10kWの撹拌動力を与えて、前記水素化ホウ素アルカリ及び前記アルキルアミン塩を反応させることを特徴とするN-アルキルボラジン化合物の製造方法。
[2]100~200℃で前記水素化ホウ素アルカリ及び前記アルキルアミン塩を反応させる[1]に記載の製造方法。
[3]前記水素化ホウ素アルカリは水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]前記アルキルアミン塩はモノメチルアミン塩酸塩(CHNHCl)である[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記の有機溶媒が、モノグライム、ジグライム、トリグライム、およびテトラグライムからなる群から選択される1種以上である[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]体積が0.5~10,000Lの反応容器で前記水素化ホウ素アルカリ及び前記アルキルアミン塩を反応させる[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]プロペラ型、パドル型、タービン型、コーン型、リボン・スクリュー型、及びマックスブレンド型からなる群から選択される少なくとも1種以上の撹拌翼を用いて前記反応液を攪拌する[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、N-アルキルボラジン化合物を高い収率で得ることができ、好ましくは更に最終生成物において反応中間体であるボラザン化合物量を低減することもできる。
本発明は、ABH(Aはリチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子)で表される水素化ホウ素アルカリと、RNHX(Rはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である)で表されるアルキルアミン塩を有機溶媒中で反応させてN-アルキルボラジン化合物を製造する方法であって、前記水素化ホウ素アルカリ、前記アルキルアミン塩及び前記有機溶媒を含む反応液の合計体積1mあたり0.1~10kWの撹拌動力を与えて、前記水素化ホウ素アルカリ及び前記アルキルアミン塩を反応させる点に特徴を有している。前記した撹拌動力を与えて反応を進行させることで、N-アルキルボラジン化合物を高い収率で得ることができる他、好ましくは最終生成物における反応中間体であるボラザン化合物の量を低減できる。N-アルキルボラジン化合物を得るにあたっては、本発明の製造方法を採用した後、更に蒸留精製などの精製を行うことができるが、N-アルキルボラジン化合物を高い収率で得られることは、精製効率を向上でき、半導体向け成膜材料に適した純度の高いN-アルキルボラジン化合物が得られる点でも好ましい。また分子構造が類似しているため、N-アルキルボラジン化合物との分離に手間を要する反応中間体であるボラザン化合物の量を低減できることも、精製効率を向上できる点で好ましい。
前記した撹拌動力は水素化ホウ素アルカリ、アルキルアミン塩及び有機溶媒の最終の液の体積1mあたりに換算した値を意味する。好ましくは、本発明の製造方法のうち、少なくとも、水素化ホウ素アルカリの全量とアルキルアミン塩の全量が反応容器に仕込まれた後に前記した範囲の撹拌動力が与えられることが好ましく、水素化ホウ素アルカリとアルキルアミン塩の反応開始から反応終了まで前記した範囲の撹拌動力が与えられることがより好ましい。前記反応開始は、水素化ホウ素アルカリとアルキルアミン塩が一部でも混合された時点であってよく、また前記反応終了は、水素化ホウ素アルカリとアルキルアミン塩を含む反応液を昇温して冷却する場合には冷却開始時点であってもよい。
撹拌動力は、好ましくは0.2kW/m以上であり、より好ましくは0.3kW/m以上であり、また8kW/m以下であってもよいし、5kW/m以下であってもよい。また、前記範囲の撹拌動力を与える時間は1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましく、4時間以上が更に好ましく、上限は72時間であってもよい。
本発明では、(i)水素化ホウ素アルカリを先に反応容器に仕込む段階と、水素化ホウ素アルカリが仕込まれた反応容器にアルキルアミン塩を徐々に供給して溶媒中で水素化ホウ素アルカリとアルキルアミン塩を反応させる段階を備えていること、(ii)アルキルアミン塩を先に反応容器に仕込む段階と、アルキルアミン塩が仕込まれた反応容器に水素化ホウ素アルカリを徐々に供給して溶媒中で水素化ホウ素アルカリとアルキルアミン塩を反応させる段階を備えていること、または(iii)水素化ホウ素アルカリ及びアルキルアミン塩の双方を、反応容器に徐々に供給すること、のいずれかの要件を満たすことが好ましい。このいずれかの要件を満たすことで、反応に伴って多量の水素ガスが短時間に発生することが防止できる。中でも(ii)の態様が好ましい。
上記した(i)及び(ii)のいずれの場合においても、水素化ホウ素アルカリ及びアルキルアミン塩のいずれも、有機溶媒と混合しておくことが好ましい。また(iii)の場合においても、水素化ホウ素アルカリを有機溶媒と混合したものと、アルキルアミン塩を有機溶媒と混合したものをそれぞれ用意し、両者を反応容器に同時に徐々に供給してもよいし、水素化ホウ素アルカリ及びアルキルアミン塩の一方を有機溶媒と混合し、他方は固体のまま用意し、両者を反応容器に同時に徐々に供給してもよい。なお、前記した「徐々に供給する」とは、全量を一括して供給するのではなく、全量を断続的(間欠的)または継続的に分割して供給することを意味する。供給時間については、反応スケールや用いる化合物に応じて決定すればよく、例えば、0.5~48時間かけて供給すればよい。経験則や実験により供給量を決定できるのであれば、所定の量となるように供給を制御するとよく、徐々に供給する水素化ホウ素アルカリまたはアルキルアミン塩の供給速度は、例えば反応容器の単位体積(L)及び単位時間あたり8~20g/(L・時間)である。また、溶媒の供給は、自動であっても手動であってもよい。例えば、実験室レベルで製造を行う場合には、析出量を目視で確認して、適宜溶媒を供給してもよい。
水素化ホウ素アルカリ及びアルキルアミン塩は、不活性ガス雰囲気下で反応させることが好ましく、不活性ガスとしては、窒素ガスの他、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガスなどの希ガスが挙げられ、窒素ガス又はアルゴンガスが好ましく、特に窒素ガスが好ましい。
水素化ホウ素アルカリ及びアルキルアミン塩を反応させる際の温度、すなわち反応が進行する際(前記反応開始から前記反応終了)の反応溶液の温度は100~200℃が好ましく、さらに150~200℃であることが好ましく、反応溶液がこの温度となっている間に前記した範囲の撹拌動力を与えることがより好ましい。反応が進行している間、温度は好ましい温度範囲である150~200℃の間で一定であってもよいし、変化させてもよく、T1(但し、150℃≦T1<200℃)の温度とした後、T1より高いT2(但し、150℃<T2≦200℃)に昇温することも好ましい。水素化ホウ素アルカリとアルキルアミン塩とを反応させた場合、まず中間体であるN-アルキルシクロボラザンが生成し、N-アルキルシクロボラザンから水素が離脱することによって、N-アルキルボラジンが生成していると推測される。この中間体からN-アルキルボラジンが生成する反応は比較的高い温度で進行すると考えられる。例えば反応の当初は、反応溶液を低温であるT1に制御して、N-アルキルシクロボラザンを生成させ、原料の大部分がN-アルキルシクロボラザンになったら反応溶液の温度をT2に上昇させ、N-アルキルボラジンの合成を完了させることが好ましい。反応時間は、例えば合計で3~72時間であり、反応溶液の温度をT1からT2に変化させる場合には、T1で2~48時間、T2で1~24時間反応させることが好ましい。上記した(i)の態様においては、アルキルアミン塩を供給している間の温度を、また(ii)に態様においては、水素化ホウ素アルカリを供給している間の温度をT1とし、いずれの場合にも供給終了後に温度をT2とすることが好ましい。これらの場合において、少なくとも温度をT2にしている間、上記した撹拌動力を与えることが好ましく、温度T1とT2の両方で上記した撹拌動力を与えることがより好ましい。温度がT2である間に与える撹拌動力が0.2kW/m以上または0.3kW/m以上であることが特に好ましい。反応終了後は、放冷するなどして常温(10~35℃程度)まで冷却すればよい。なお、反応温度は、K熱電対などの温度センサーを用いて測定されうる。
水素化ホウ素アルカリ(ABH)において、Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である。好ましい水素化ホウ素アルカリの例としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)および水素化ホウ素リチウム(LiBH)が挙げられ、水素化ホウ素ナトリウムがより好ましい。
アルキルアミン塩(RNHX)において、Rはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である。アルキル基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。アルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1~10個、より好ましくは1~8個、更に好ましくは1~4個である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。これら以外のアルキル基が用いられてもよい。Xはフッ素原子、塩素原子、または臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。アルキルアミン塩の例としては、モノメチルアミン塩酸塩(CHNHCl)、モノエチルアミン塩酸塩(CHCHNHCl)、モノメチルアミン臭化水素酸塩(CHNHBr)、モノエチルアミンフッ化水素酸塩(CHCHNHF)が挙げられる。アルキルアミン塩はモノメチルアミン塩酸塩であることが好ましい。
本発明により得られるN-アルキルボラジン化合物は下記式(I)で表される化合物である。
Figure 0007650927000001
式(I)において、R~Rは前記アルキルアミン塩におけるRと同義であり、R~Rは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。N-アルキルボラジンの例としては、N,N’,N’’-トリメチルボラジン、N,N’,N’’-トリエチルボラジン、N,N’,N’’-トリ(n-プロピル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(iso-プロピル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(n-ブチル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(sec-ブチル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(iso-ブチル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(tert-ブチル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(1-メチルブチル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(2-メチルブチル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(neo-ペンチル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(1,2-ジメチルプロピル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(1-エチルプロピル)ボラジン、N,N’,N’’-トリ(n-ヘキシル)ボラジン、N,N’,N’’-トリシクロヘキシルボラジン、N,N’-ジメチル-N’’-エチルボラジン、N,N’-ジエチル-N’’-メチルボラジン、N,N’-ジメチル-N’’-プロピルボラジンなどが挙げられる。ボラジン化合物は、N,N’,N’’-トリメチルボラジン、N,N’,N’’-トリエチルボラジン、N,N’-ジメチル-N’’-エチルボラジン、及びN,N’-ジエチル-N’’-メチルボラジンの1種以上であることが好ましく、N,N’,N’’-トリメチルボラジンであることがより好ましい。
使用する水素化ホウ素アルカリおよびアルキルアミン塩は、合成するN-アルキルボラジンの構造に応じて選択すればよい。例えば、ボラジン環を構成する窒素原子にメチル基が結合しているN-メチルボラジンを製造する場合には、アルキルアミン塩として、モノメチルアミン塩酸塩などの、Rがメチル基であるアルキルアミン塩を用いればよい。
前記有機溶媒としてはエーテル系溶媒の1種以上を用いることが好ましく、エーテル系溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)が挙げられる。有機溶媒は、モノグライム、ジグライム、トリグライム、およびテトラグライムからなる群から選択される1種以上であることがより好ましく、トリグライム及びテトラグライムの1種以上であることがより好ましく、トリグライムであることが更に好ましい。
水素化ホウ素アルカリとアルキルアミン塩との使用量の比は、特に限定されないが、アルキルアミン塩の使用量を1モルとした場合に、水素化ホウ素アルカリの使用量を0.8~1.2モルとすることが好ましい。
反応に用いる水素化ホウ素アルカリ、アルキルアミン塩及び溶媒の合計量に対する水素化ホウ素アルカリ、アルキルアミン塩の合計量は10~30質量%であることが好ましく、15~25質量%であることがより好ましい。また、上記した(i)及び(ii)の場合において、水素化ホウ素アルカリ及びアルキルアミン塩を有機溶媒と混合しておく場合、有機溶媒100質量部に対する水素化ホウ素アルカリ量は10~40質量部が好ましく、15~35質量部がより好ましく、有機溶媒100質量部に対するアルキルアミン塩量は20~50質量部が好ましく、25~40質量部がより好ましい。
反応容器の体積は、0.5~10,000Lが好ましく、0.5~5,000L、0.5~1,000L、0.5~500L、または0.5~100Lであってもよく、目的の製造量に応じて適宜設定すればよい。
撹拌動力を前記範囲に調整するための撹拌翼は、プロペラ型、パドル型、タービン型、コーン型、リボン・スクリュー型、及びマックスブレンド型からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましく、特にパドル型であることが好ましく、パドル翼の枚数が2~6枚であること、及び傾斜パドル型であることの少なくともいずれかの要件を満たすことも好ましい。また、プロペラ型、パドル型、タービン型、コーン型、リボン・スクリュー型、及びマックスブレンド型からなる群から選ばれる少なくとも1種以上と、アンカー型を併用することも好ましく、この場合、アンカー型を回転軸方向に対して下方に設置することが好ましい。特に、翼の枚数が2~6枚である傾斜パドル型翼とアンカー型翼を、回転軸方向に対してアンカー型が下方になるようにして併用することが好ましい。
本発明の製造方法により得られるN-アルキルボラジンの収率は80.0%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、更に好ましくは88%以上であり、上限は100%であることが最も好ましいが95%程度であってもよい。
また、水素化ホウ素アルカリとアルキルアミン塩とを反応させてN-アルキルボラジン化合物を製造する本発明の製造方法では、中間体として下記式(II)のN-アルキルシクロボラザンが生成し得る。
Figure 0007650927000002

式(II)中、R~Rは式(I)におけるR~Rと同義である。
しかし、反応液に所定範囲の撹拌動力を付与する本発明では、最終生成物における中間体量が低減されており、N-アルキルシクロボラザンの収率を1.0%以下にすることが可能であり、好ましくは0.9%以下であり、より好ましくは0.8%以下であり、下限は0%が最も好ましいが0.1%程度であってもよい。
また、N-アルキルボラジンの収率(%)に対するN-アルキルシクロボラザンの収率(%)の比は、0.010以下であることが好ましく、0.009以下であることがより好ましく、0.008以下であることが更に好ましく、下限は例えば0.001程度であってもよい。
本発明により得られるN-アルキルボラジン化合物は、N-アルキルボラジン化合物そのもの、またはN-アルキルボラジンまたはN-アルキルボラジンの誘導体を重合させた重合体を、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層などの形成に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
冷却管と、攪拌翼としてアンカー型翼及び45°パドル型翼4枚を備えた(回転軸方向に対してアンカー型翼が下方)5L反応容器に、窒素置換をしながら、アルキルアミン塩としてメチルアミン塩酸塩42g、および溶媒としてトリグライム123gを仕込み、攪拌しながら液温が150℃になるまで昇温させた。
次に液温を150℃に保持し、仕込み液(前述のメチルアミン塩酸塩42gとトリグライム123gからなる液)に与える単位体積あたりの攪拌動力が0.73kW/mになるように攪拌しながら、反応容器内に水素化ホウ素アルカリとして水素化ホウ素ナトリウム26gと溶媒であるトリグライム111gからなるスラリー液を4時間かけて徐々に供給して反応させた。反応容器から排出されるガス量の推移から、反応中は、水素ガスが安定して発生していることがわかった。
スラリー液を供給した後、反応液(前述のメチルアミン塩酸塩42g、トリグライム123gと水素化ホウ素ナトリウム26g、トリグライム111gを含む)の温度を170℃に昇温して、反応液に与える単位体積あたりの攪拌動力が0.40kW/mになるように反応液を2時間攪拌して反応を熟成させた。
反応終了後、25℃まで放冷してから、得られた反応液をガスクロマトグラフィー(GC)によって分析し、後述の方法でN,N’,N’’-トリメチルボラジンの反応収率、及び反応中間体であるN,N’,N’’-トリメチルシクロボラザンの反応収率を測定した。
実施例2
冷却管と、攪拌翼としてアンカー型翼及び45°パドル型翼4枚を備えた(回転軸方向に対してアンカー型翼が下方)1L反応容器に、窒素置換をしながら、アルキルアミン塩としてメチルアミン塩酸塩84g、および溶媒としてトリグライム246gを仕込み、攪拌しながら液温が150℃になるまで昇温させた。
次に150℃を保持し、仕込み液(前述のメチルアミン塩酸塩84gとトリグライム246gからなる液)に与える単位体積あたりの攪拌動力が0.73kW/mになるように攪拌しながら、反応容器内に水素化ホウ素アルカリとして水素化ホウ素ナトリウム52gと溶媒であるトリグライム222gからなるスラリー液を4時間かけて徐々に供給して反応させた。反応容器から排出されるガス量の推移から、反応中は、水素ガスが安定して発生していることがわかった。
スラリー液を供給した後、反応液(前述のメチルアミン塩酸塩84g、トリグライム246gと水素化ホウ素ナトリウム52g、トリグライム222gを含む)の温度を170℃に昇温して、反応液に与える単位体積あたりの攪拌動力が0.40kW/mになるように反応液を2時間攪拌して反応を熟成させた。
反応終了後、25℃まで放冷してから、反応溶液をガスクロマトグラフィー(GC)によって分析し、後述の方法でN,N’,N’’-トリメチルボラジンの反応収率、及び反応中間体であるN,N’,N’’-トリメチルシクロボラザンの反応収率を測定した。
比較例1
冷却管と、攪拌翼として半月型翼を備えた0.5L反応容器に、窒素置換をしながら、アルキルアミン塩としてメチルアミン塩酸塩42g、および溶媒としてトリグライム123gを仕込み、攪拌しながら液温が150℃になるまで昇温させた。
次に150℃を保持しながら、仕込み液(前述のメチルアミン塩酸塩42g、トリグライム123gからなる液)に与える単位体積あたりの攪拌動力が0.09kW/mになるように攪拌しながら、反応容器内に水素化ホウ素アルカリとして水素化ホウ素ナトリウム26gと溶媒であるトリグライム111gからなるスラリー液を4時間かけて徐々に供給して反応させた。
スラリー液を供給した後、反応液(前述のメチルアミン塩酸塩42g、トリグライム123gと水素化ホウ素ナトリウム26g、トリグライム111gを含む)の温度を170℃に昇温して、反応液に与える単位体積あたりの攪拌動力が0.05kW/mになるように2時間攪拌して反応を熟成させた。
反応終了後、25℃まで放冷してから、反応溶液をガスクロマトグラフィー(GC)によって分析し、後述の方法でN,N’,N’’-トリメチルボラジンの反応収率、及び反応中間体であるN,N’,N’’-トリメチルシクロボラザンの反応収率を測定した。
実施例及び比較例において、反応液を下記の条件でガスクロマトグラフィーにより分析し、N,N’,N’’-トリメチルボラジン及びN,N’,N’’-トリメチルシクロボラザンの収率を、メチルアミン塩酸塩の仕込み量をベースに算出した。
装置:株式会社島津製作所製 GC-2014
カラム: フロンティア・ラボ社製 Ultra Alloy-1
キャリアガス:窒素
キャリアガス流量:3.0mL/分
試料注入温度:200℃
検出器温度:280℃
試料注入量:0.2μL
カラム温度:50℃(4分)、20℃/分の昇温速度で280℃まで昇温、280℃(15分)
結果を表1に示す。
Figure 0007650927000003
以上のことから、N-アルキルボラジン化合物の製造方法において、反応液に与える単位体積あたりの攪拌動力を0.1~10kW/mに保持して攪拌を行うことで、高収率でN-アルキルボラジン化合物が得られることがわかった。また、反応中間体のN-アルキルシクロボラザン量が低減できるため、高純度のN-アルキルボラジン化合物を容易に得られることがわかった。

Claims (8)

  1. ABH(Aはリチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子)で表される水素化ホウ素アルカリと、RNHX(Rはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である)で表されるアルキルアミン塩を有機溶媒中で反応させてN-アルキルボラジン化合物を製造する方法であって、
    プロペラ型、パドル型、タービン型、コーン型、リボン・スクリュー型、及びマックスブレンド型からなる群から選択される少なくとも1種以上の撹拌翼を用いて前記水素化ホウ素アルカリ、前記アルキルアミン塩及び前記有機溶媒を含む反応液の合計体積1mあたり0.1~10kWの撹拌動力を与えて前記反応液を攪拌し、前記水素化ホウ素アルカリ及び前記アルキルアミン塩を反応させることを特徴とするN-アルキルボラジン化合物の製造方法。
  2. 反応中間体であるN-アルキルシクロボラザンの収率が1.0%以下である請求項1に記載の製造方法。
  3. 100~200℃で前記水素化ホウ素アルカリ及び前記アルキルアミン塩を反応させる請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記水素化ホウ素アルカリと前記アルキルアミン塩を、150℃以上200℃未満である温度T1とした後、150℃超200℃以下の温度T2で反応させ、少なくとも前記温度T2の間に前記撹拌動力を与える請求項に記載の製造方法。
  5. 前記水素化ホウ素アルカリは水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である請求項1または2に記載の製造方法。
  6. 前記アルキルアミン塩はモノメチルアミン塩酸塩(CHNHCl)である請求項1または2に記載の製造方法。
  7. 前記の有機溶媒が、モノグライム、ジグライム、トリグライム、およびテトラグライムからなる群から選択される1種以上である請求項1または2に記載の製造方法。
  8. 体積が0.5~10,000Lの反応容器で前記水素化ホウ素アルカリ及び前記アルキルアミン塩を反応させる請求項1または2に記載の製造方法。
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