JP7679846B2 - フロントサイドメンバ - Google Patents

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Description

本発明は、フロントサイドメンバに関する。
特許文献1には、衝突時に鋳造による一体成型等で形成された骨格部材を割ることによりエネルギを吸収する構造が開示されている。特許文献1に記載された骨格部材は、荷重伝達方向に対して垂直な方向を型開き方向とし、型開き方向が開放されたU字状断面形状を有している。また、骨格部材は、荷重伝達方向に対して垂直な壁面状のリブで区切られた複数の部屋を有しており、リブはC字状にえぐられている。
国際公開2022/031991号
特許文献1に記載の骨格部材は、衝突荷重が加わり、先端から逐次圧壊される際に、1番目の部屋の崩壊に伴って2番目の部屋の変形が引きずられてしまい、壁面が1番目の部屋とは逆方向に座屈する。そのため、1番目の部屋の壁面が外側方向に凸となる凸変形をした場合には、偶数番目の部屋の壁面は内側方向に凸となる変形、すなわち凹変形をすることとなり、骨格部材内部に破片が残留することで潰れ残りが発生してしまう場合がある。潰れ残りが発生すると、潰れ残りの分だけ車両変形(ストローク)を十分に取れずに、エネルギ吸収効率が低下してしまう。一方、潰れ残りの発生を抑制するために、C字状にえぐられたえぐり部を無くしてしまうと、潰れ残りの発生は抑制できても各部屋における圧壊荷重が大きくなり過ぎて、意図したエネルギ吸収量の確保ができない場合がある。
本発明は上記事実を考慮し、潰れ残りによるエネルギ吸収効率の低下を低減し、かつ意図したエネルギ吸収量を確保することができるフロントサイドメンバを得ることを目的とする。
請求項1に記載の本発明に係るフロントサイドメンバは、車両幅方向の左右両側において各々車両前後方向に延在し、車両幅方向の少なくとも一方に開口が設けられた開断面形状を有してダイキャストにより一体成型されたフロントサイドメンバであって、反開口側の底面と車両上下方向の上壁の下面と下壁の上面とを接続するリブを複数備え、該リブは車両幅方向に沿ったリブ最小高さが、前記上壁及び前記下壁の幅方向寸法の半分以上に設定されていて、前記リブ最小高さは、車両後方に向けて高く設定されている。
請求項1に記載の本発明に係るフロントサイドメンバは、車両幅方向の少なくとも一方に開口が設けられた開断面形状を有してダイキャストにより一体成型されている。また、フロントサイドメンバは、反開口側の底面と車両上下方向の上壁の下面と下壁の上面とを接続するリブを複数備えている。このように、壁面同士を複数のリブによって補強することにより、複数のリブによって各々区切られた複数の部屋のうちのある部屋が破壊した際に、そのある部屋内で変形が完結する。そのため、上記ある部屋に隣接する部屋の壁面に対して凹形状又は凸形状等の変形の傾向が伝播されない。従って、全ての部屋の車両上下方向の壁面をフロントサイドメンバの外側方向に凸となるように屈させることができる。これにより、フロントサイドメンバに掛かる衝突荷重による割れの破片がフロントサイドメンバの内部に溜まることを抑制することができるので、潰れ残りによるエネルギ吸収効率の低下を低減することができる。
また、請求項1に記載の本発明に係るフロントサイドメンバにおいて、リブは、車両幅方向に沿ったリブ最小高さが、上壁及び下壁の幅方向寸法の半分以上に設定されている。このように、リブ最小高さ、すなわち、開口側から車幅方向に向かって抉られたえぐり部のえぐり量を調整することにより、リブによって区切られた部屋における圧壊荷重を制御することができるので、意図したエネルギ吸収量を確保することができる。
請求項に記載の本発明に係るフロントサイドメンバでは、リブ最小高さが、車両後方に向けて高くなるように設定されている。すなわち、上記えぐり部のえぐり量が車両後方に向けて小さくなる。これにより、フロントサイドメンバの車両前方側から後方に向けて圧壊荷重が大きくなるので、車両前方側から順番に圧壊し易くすることができ、衝突時の変形のロバスト性を向上させることができる。
請求項に記載の本発明に係るフロントサイドメンバは、請求項1に記載の構成において、前記開断面形状はU字状断面形状であり、前記開口が車両幅方向の外側に設けられている。
請求項に記載の本発明に係るフロントサイドメンバによれば、断面形状がU字状断面形状であり、開口が車両幅方向の外側に設けられているので、車幅方向の内側には壁が存在している。これにより、車幅方向内側に配置される例えばパワーユニットに破片が飛ぶのを抑制することができる。
請求項に記載の本発明に係るフロントサイドメンバは、請求項1に記載の構成において、前記開断面形状はH字状断面形状であり、前記開口が車両幅方向の内側及び外側に各々設けられている。
請求項に記載の本発明に係るフロントサイドメンバによれば、断面形状がH字状断面形状であり、開口が車両幅方向の内側及び外側に設けられているので、フロントサイドメンバの車幅方向の中央部に壁が存在している。これにより、フロントサイドメンバにおいて、車両幅方向の両側の各々において圧壊荷重を制御することができる。
請求項に記載の本発明に係るフロントサイドメンバは、請求項1~請求項の何れか1項に記載の構成において、前記リブは、前記開口側から車両幅方向に向かって先端が円弧状に抉られたえぐり部を備えている。
請求項に記載の本発明に係るフロントサイドメンバでは、リブに設けられたえぐり部は、先端が円弧状に抉られているので、フロントサイドメンバの車両上下方向の中央部がより圧壊し易くなり、車両上下方向の壁面において外側方向に凸となる凸変形がし易くなる。
以上説明したように、本発明に係るフロントサイドメンバは、潰れ残りによるエネルギ吸収効率の低下を低減し、かつ意図したエネルギ吸収量を確保することができる、という優れた効果を有する。
本発明の第1実施形態に係るフロントサイドメンバを含む車両前部の主要部の一例を模式的に示す平面図である。 フロントサイドメンバを車両斜め前方側からみた斜視図である。 図2のA-A線断面図である。 図3に対応する変形例を示す断面図である。 比較例1のフロントサイドメンバを車両斜め前方側からみた斜視図である。 図5の比較例1のフロントサイドメンバに衝突荷重を加えた際の解析結果を模式的に示す側面図である。 図6の状態から比較例1のフロントサイドメンバにさらに衝突荷重を加えた際の解析結果を模式的に示す図である。 比較例2のフロントサイドメンバの縦断面図である。 比較例2のフロントサイドメンバに衝突荷重を加えた際の解析結果を模式的に示す側面図である。 図9の状態から比較例2のフロントサイドメンバにさらに衝突荷重を加えた際の解析結果を模式的に示す図である。 潰れ残りの発生状態を模式的に示す側面図である。 本発明の第2実施形態に掛かるフロントサイドメンバを車両斜め前方側からみた斜視図である。 図12のB-B線断面図である。
(実施形態1)
以下、図面を用いて、本発明の第1実施形態に係るフロントサイドメンバ10を含む車両前部構造100について説明する。なお、車両前部構造100は左右対称の構造であるため、各図には左側の部分のみを示して、右側の部分の記載を省略している。また、各図において適宜示される矢印FRは、車両前後方向の前側を示しており、矢印UPは、車両上下方向の上側を示している。また、矢印LHは、車幅方向の左側を示しており、本実施形態では車幅方向外側を示している。なお、本実施形態では、便宜上、車両左側を車幅方向外側とし、車両右側を車幅方向内側(車幅方向中央側)として説明する。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両左右方向(車幅方向)の左右を示すものとする。また、例えば、本実施形態の構成に対して左右対称の構成とした場合のように、車両右側を車幅方向外側とし、車両左側を車幅方向内側(車幅方向中央側)とする構成であっても本発明の適用が可能である。
(車両前部構造の構成)
まず、車両前部構造100の構成について説明する。図1は本発明の第1実施形態に掛かるフロントサイドメンバ10を含む車両前部の主要部の一例を模式的に示す平面図である。図1に示されるように、本実施形態において車両前部構造100は、一例としてパワーユニットPで生成された動力で走行する電気自動車及び燃料電池自動車等の電動車両に組み込まれる。車両前部には、パワーユニットPが設置されるパワーユニット室11が設けられている。
車両前部構造100は、車両の側方骨格部材であり車両前部の車幅方向両側に配置された左右一対のフロントサイドメンバ10を備えている。フロントサイドメンバ10は、車両前後方向に延在されており、フロントサイドメンバ10の車両後方側の端部はクロスメンバ(図示省略)に接続される。また、フロントサイドメンバ10の車両前端部は、車両幅方向に沿って配置されたフロントバンパリインフォースメント(図示省略;以下、「バンパRF」と称する)に接続される。本実施形態においては、一例として、フロントサイドメンバ10とバンパRFとの間には、エネルギ吸収部材としてのクラッシュボックス14が介在されている。
クラッシュボックス14は、車両が前面衝突した際に、フロントサイドメンバ10が変形する前に変形して衝突のエネルギの一部を吸収するように構成されている。バンパRFからクラッシュボックス14に衝撃荷重が伝達されると、クラッシュボックス14は前後方向に圧縮される。
フロントサイドメンバ10の車両後方側の車幅方向外側には、車両上下方向に延在する左右一対のエプロンアッパメンバ15が配置されている。また、フロントサイドメンバ10の車幅方向外側でかつエプロンアッパメンバ15の車両前方側には、左右一対のフェンダエプロン16が配置されている。エプロンアッパメンバ15は、車幅方向外側が開放した略矩形断面形状を有している。
フロントサイドメンバ10の車両後方側でかつ左右一対のエプロンアッパメンバ15の間には、ダッシュパネル17が配置されている。ダッシュパネル17は、パワーユニット室11と車室(図示省略)とを仕切る部材であり、板厚方向を車両前後方向として車幅方向及び車両上下方向に延在される。ダッシュパネル17の車幅方向の端部はフェンダエプロン16に接続される。
一方、フロントサイドメンバ10の車両後方側の車幅方向外側の車両上方にはサスペンションタワー18が設けられている。サスペンションタワー18の車両下方側は、フェンダエプロン16と接合されており、フェンダエプロン16は、車幅方向内側に膨出されて形成されており、図示しない前輪が転舵可能に収容されるホイールハウスも形成されている。
サスペンションタワー18は、フェンダエプロン16のホイールハウスすなわち膨出部から車両上方側に略筒状に突出されて設けられている。サスペンションタワー18の内部には、フェンダエプロン16のホイールハウスに収容された前輪を支持する図示しないサスペンションを構成するショックアブソーバ及びスプリングが収容される。
また、少なくとも左右一対のフロントサイドメンバ10と、左右一対のサスペンションタワー18を含む車両前部構造100は、アルミダイキャストにより一体成型されている。なお、本実施形態においては、左右一対のフロントサイドメンバ10と、左右一対のサスペンションタワー18と、左右一対のサスペンションタワー18の周辺部品、すなわちエプロンアッパメンバ15、フェンダエプロン16、及びダッシュパネル17とがアルミダイキャストにより一体成型されている。
次に、フロントサイドメンバ10の構造について以下説明する。なお、本実施形態においては、図1に示されるように、フロントサイドメンバ10の車両右側の面を内側面10A、車両左側の面を外側面10Bとして以下説明する。図2はフロントサイドメンバ10の前端部の概略構成を示す斜視図である。
図2に示されるように、フロントサイドメンバ10は、車幅方向の外側が開放された開断面形状を有しており、具体的にはU字状断面形状を有している。フロントサイドメンバ10は、車幅方向の外側に開口110が設けられおり、反開口110側、すなわち車幅方向内側に底壁112を有している。また、フロントサイドメンバ10は、車両上方に上壁114、車両下方に下壁116をそれぞれ有している。
フロントサイドメンバ10は、底壁112の車幅方向の外側(左側)の底面112Aと、上壁114の下側の下面114Aと、下壁116の上側の上面116Aとを接続するリブ20を、車両前後方向に複数備えている。本実施形態のフロントサイドメンバ10は、一例として、複数のリブ20は、車両前方から後方に向かって第1リブ20A~第8リブ20Hの8つのリブ20を有している。
図2に示されるように、フロントサイドメンバ10においては、隣り合うリブ20と、底面112Aと、下面114Aと、上面116Aとにより1つの部屋24が形成されている。本実施形態のフロントサイドメンバ10は、一例として、第1の部屋24A~第7の部屋24Gの7つの部屋24を有している。
図3は図2のA-A線断面図である。図2及び図3に示されるように、複数のリブ20のうち、一例として第1リブ20A~第6リブ20Fは、開口110側から車幅方向の内側に向かって先端が円弧状に抉られたえぐり部22を備えている。本実施形態においては、図3に示されるように、リブ20において、車両幅方向に沿った高さが最も低い位置の高さをリブ最小高さHとし、上壁114及び下壁116の車幅方向の寸法を幅方向寸法Dとする。リブ最小高さHは幅方向寸法Dの半分以上、すなわちH≧D/2に設定されている。
図2に示されるように、第1リブ20A~第6リブ20Fは、車両前方から後方に向けて、すなわち第1リブ20Aから第6リブ20Fに向かうにつれて、リブ最小高さHが高く設定されている。言い換えると、第1リブ20Aから第6リブ20Fに向かうにつれて、リブ20のえぐり部22の幅方向が小さくえぐられている。
なお、本実施形態においては、図3に示されるように、リブ20は、先端が円弧状に抉られたえぐり部22を備えているが、本発明はこれに限られない。例えば、変形例として図4に示されるように、えぐり部22-2は、先端が直線状に抉られていてもよい。
(第1実施形態による作用効果)
次に、第1実施形態の作用効果について説明する。
第1実施形態に係るフロントサイドメンバ10は、車両幅方向の外側に開口110が設けられたU字状断面形状を有してアルミダイキャストにより一体成型されている。また、フロントサイドメンバ10は、反開口110側の底面112Aと車両上下方向の上壁114の下面114Aと下壁116の上面116Aとを接続するリブ20を複数備えている。このように、壁面同士を複数のリブ20によって補強することにより、複数のリブ20によって各々区切られた複数の部屋24のうちのある部屋24が破壊した際に、当該ある部屋24内で破壊による変形が完結する。
そのため、上記ある部屋24に隣接する部屋24の壁面に対して凹形状又は凸形状等の変形の傾向が伝播されない。従って、全ての部屋24の車両上下方向の壁面をフロントサイドメンバ10の外側方向に凸となるように屈させることができる。これにより、フロントサイドメンバ10に掛かる衝突荷重による割れの破片がフロントサイドメンバ10の内部に溜まることを抑制することができるので、潰れ残りによるエネルギ吸収効率の低下を低減することができる。
図5は比較例1のフロントサイドメンバ30を車両斜め前方側からみた斜視図である。図5に示されるように、比較例1のフロントサイドメンバ30は、車両前後方向に車両上下方向に延在された縦リブ32を複数備えている。また、比較例1のフロントサイドメンバ30は、車両上下方向の中央に、車両前後方向に延在された横リブ34を備えている。比較例1のフロントサイドメンバ30は、一例として1つの横リブ34と、8つの縦リブ32とを備えている。また、比較例1のフロントサイドメンバ30は、1つの横リブ34と、8つの縦リブ32とで区画された車両上下方向の1段目と2段目に各々7つ、合計14つの部屋36を備えている。
上記第1実施形態のフロントサイドメンバ10は、リブ20にえぐり部22が設けられているのに対して、比較例1のフロントサイドメンバ30の縦リブ32はえぐり部が設けられていない。このように、えぐり部が設けられていない縦リブ32を備えた比較例1のフロントサイドメンバ30において、車両前方側から所定の衝撃荷重を加えて解析を行った。
図6は図5の比較例1のフロントサイドメンバ30に衝突荷重を加えた際の解析結果を模式的に示す側面図である。図6に示されるように、車両上下方向に2段で設けられた車両前方側から1番目の部屋36Aは、衝突荷重によって車両上下方向の両外側に向けて凸T1となる凸形状に変形された。しかしながら、1番目の部屋36Aに隣接する2番目の部屋36Bは、1番目の部屋36Aの変形に引きずられた変形はされていなかった。すなわち、1番目の部屋36Aが破壊した際に、1番目の部屋36A内で破壊による変形が完結した。
図7は図6の状態から比較例1のフロントサイドメンバ30にさらに衝突荷重を加えた際の解析結果を模式的に示す図である。図7に示されるように、図6に示される状態からさらに衝突荷重が加わると、フロントサイドメンバ30は、車両上下方向に2段で設けられた2番目の部屋36B及び3番目の部屋36Cも1番目の部屋36Aと同様に車両上下方向の両外側に向けて凸T2、T3となる凸形状に変形された。すなわち、衝突荷重により2番目の部屋36B及び3番目の部屋36Cも、1番目の部屋36Aと同様に各部屋内で破壊による変形が完結した。
図8は比較例2のフロントサイドメンバ40の縦断面図である。図8に示されるように、比較例2のフロントサイドメンバ40は、図5で示される比較例1のフロントサイドメンバ30の構成において、さらにえぐり部42が設けられている。上記第1実施形態のえぐり部22のリブ最小高さHが上壁114及び下壁116の幅方向寸法Dの半分以上(H≧D/2)に設定されているのに対して、比較例2のえぐり部42のリブ最小高さH2は上壁44及び下壁46の幅方向寸法D2よりも小さく(H2<D2/2)設定されている。また、比較例2のえぐり部42は、先端が略矩形状に抉られており、図示は省略するが車両後方に向かうにつれてえぐり部42の幅方向が小さくえぐられている。
このように、上記第1実施形態よりも大きく抉られたえぐり部42を有する比較例2のフロントサイドメンバ40において、比較例1のフロントサイドメンバ30と同様に車両前方側から所定の衝撃荷重を加えて解析を行った。なお、比較例2においては、えぐり部42が設けられているので、比較例1と比較して、フロントサイドメンバ40の軸圧縮に必要な衝撃荷重、すなわち各部屋36の圧壊に必要な圧壊荷重は小さくなる。言い換えると、比較例1のフロントサイドメンバ30は、えぐり部42が設けられていないので、比較例2と比較して、各部屋36の圧壊に必要な圧壊荷重が大きくなる。
図9は比較例2のフロントサイドメンバ40に衝突荷重を加えた際の解析結果を模式的に示す側面図である。図9に示されるように、車両上下方向に2段で設けられた車両前方側から1番目の部屋36Aは、衝突荷重によって車両上下方向の両外側に向けて凸T1となる凸形状に変形された。また、1番目の部屋36Aに隣接する2番目の部屋36Bは、1番目の部屋36Aの変形に引きずられて上壁44及び下壁46が外側に向けて矢印Eで示されるように変形されていた。
図10は図9の状態から比較例2のフロントサイドメンバ40にさらに衝突荷重を加えた際の解析結果を模式的に示す図である。図10に示されるように、図9に示される状態からさらに衝突荷重が加わると、フロントサイドメンバ40は、車両上下方向に2段で設けられた2番目の部屋36Bは、車両上下方向の内側に凸(外側に凹P1)となる凹形状に変形された。また、2番目の部屋36Bに隣接する3番目の部屋36Cは、1番目の部屋36Aと同様に車両上下方向の両外側に向けて凸T2となる凸形状に変形された。比較例2においては、凸形状、凹形状、凸形状の順に異なる変形が発生した。
図11は潰れ残りの発生状態を模式的に示す側面図である。図11に示されるように、凸T1、凹P1、凸T2の順に異なる形状の変形が発生する場合、凸T1、T2に変形された箇所については、矢印S1で示されるように、車両前後方向においてフロントサイドメンバ内部に潰れ残りが発生していない。一方、凹P1に変形された箇所については、矢印S2で示されるように、車両前後方向においてフロントサイドメンバ内部に破片が残留することで潰れ残りが発生してしまう場合がある。潰れ残りが発生すると、潰れ残りの分だけ車両変形(ストローク)を十分に取れずに、フロントサイドメンバにおけるエネルギ吸収効率が低下してしまう。
上述したように、比較例2のフロントサイドメンバ40の構成においては、凹形状の変形が発生したため、潰れ残りが発生する可能性がある。他方、比較例1のフロントサイドメンバ30においては、凸形状の変形は発生したが凹形状の変形は発生していないため、潰れ残りを低減することができる。しかしながら、比較例1のフロントサイドメンバ30は、えぐり部が設けられていないため、潰れ残りの発生は抑制できても各部屋36における圧壊荷重が大きくなり過ぎて、意図したエネルギ吸収量の確保ができない場合がある。
第1実施形態のフロントサイドメンバ10では、図3に示されるように、リブ20のリブ最小高さHが、上壁114及び下壁116の幅方向寸法Dの半分以上(H≧D/2)に設定されている。このように、リブ最小高さH、すなわち、えぐり部22のえぐり量を調整することにより、リブ20によって区切られた部屋24における圧壊荷重を制御することができるので、意図したエネルギ吸収量を確保することができる。具体的には、リブ最小高さHを比較例2よりも高くする、言い換えると、えぐり部22のえぐり量を比較例2よりも小さくすることにより、凹形状の変形の発生を抑制することができる。これにより、潰れ残りによるエネルギ吸収効率の低下を低減しつつ、意図したエネルギ吸収量を確保することができる。
また、第1実施形態のフロントサイドメンバ10では、リブ最小高さHが、車両後方に向けて高くなるように設定されている。すなわち、えぐり部22のえぐり量が車両後方に向けて小さくなる。これにより、フロントサイドメンバ10の車両前方側から後方に向けて圧壊荷重が大きくなるので、車両前方側から順番に圧壊し易くすることができ、衝突時の変形のロバスト性を向上させることができる。
また、第1実施形態のフロントサイドメンバ10によれば、断面形状がU字状断面形状であり、開口110が車両幅方向の外側に設けられているので、車幅方向の内側には壁が存在している。これにより、車幅方向内側に配置される例えばパワーユニットPに破片が飛ぶのを抑制することができる。
また、第1実施形態のフロントサイドメンバ10によれば、リブ20に設けられたえぐり部22は、先端が円弧状に抉られているので、フロントサイドメンバの車両上下方向の中央部がより圧壊し易くなり、車両上下方向の壁面において外側方向に凸となる凸変形がし易くなる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るフロントサイドメンバ10-2について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成に関しては同符号で示してここでの説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。図12は本発明の第2実施形態に係るフロントサイドメンバ10-2を車両斜め前方側からみた斜視図、図13は図12のB-B線断面図である。
図12及び図13に示されるように、第2実施形態のフロントサイドメンバ10-2は、H字状断面形状であり、開口110が車両幅方向の内側面10A及び外側面10B(図1参照)に各々設けられている。すなわち、フロントサイドメンバ10-2は、車幅方向中央部に底壁112を有しており、底壁112の外側(左側)面が左側底面112AL、内側(右側)面が右側底面112ARとされている。
また、フロントサイドメンバ10-2は、図13に示されるように、車両幅方向の外側(左側)に左リブ20Lを、内側(右側)に右リブ20Rを有しており、左リブ20Lに左えぐり部22Lを、右リブ20Rに右えぐり部22Rをそれぞれ有している。第2実施形態においては、左リブ20L及び右リブ20Rを合わせた車両幅方向に沿った高さのうち、最も低い位置の高さをリブ最小高さHとする。リブ最小高さHは上記第1実施形態と同様に幅方向寸法Dの半分以上、すなわちH≧D/2に設定されている。
また、フロントサイドメンバ10-2は、第1実施形態と同様に、車両後方に向かうにつれて、リブ最小高さHが高く設定されている。言い換えると、車両後方に向かうにつれて、左えぐり部22L及び右えぐり部22Rの幅方向が小さくえぐられている。また、左えぐり部22L及び右えぐり部22Rの先端は、円形状に抉られている。なお、第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に先端が直線状に抉られていてもよい。
なお、本実施形態においては、図12に示されるように、リブ20は、先端が円弧状に抉られたえぐり部22を備えているが、本発明はこれに限られない。上記第1実施形態と同様に、えぐり部22-2は、左えぐり部22L及び右えぐり部22Rの先端は、例えば、直線状(図4参照)に抉られていてもよい。
(第2実施形態による作用効果)
次に、第2実施形態の作用効果について説明する。
第2実施形態に係るフロントサイドメンバ10-2は、断面形状がH字状断面形状であり、開口110が車両幅方向の内側及び外側に設けられているので、フロントサイドメンバ10-2の車幅方向の中央部に底壁112が存在している。これにより、フロントサイドメンバ10-2において、車両幅方向の両側の各々において圧壊荷重を制御することができる。
また、第2実施形態に係るフロントサイドメンバ10-2においても、左リブ20L及び右リブ20Rが設けられているので、リブ最小高さHを調整することにより、左リブ20L及び右リブ20Rによって区切られた部屋24における圧壊荷重を制御することができる。そのため、意図したエネルギ吸収量を確保することができる。具体的には、リブ最小高さHを比較例2よりも高くすることにより、凹形状の変形の発生を抑制することができる。これにより、フロントサイドメンバ10-2に掛かる衝突荷重による割れの破片がフロントサイドメンバ10の内部に溜まることを抑制することができ、潰れ残りによるエネルギ吸収効率の低下を低減することができる。以上により、上記第1実施形態と同様に、潰れ残りによるエネルギ吸収効率の低下を低減しつつ、意図したエネルギ吸収量を確保することができる。
また、第2実施形態に係るフロントサイドメンバ10-2においても、リブ最小高さHが、車両後方に向けて高くなるように設定されているので、フロントサイドメンバ10の車両前方側から後方に向けて圧壊荷重が大きくなる。これにより、車両前方側から順番に圧壊し易くすることができ、衝突時の変形のロバスト性を向上させることができる。
また、第2実施形態に係るフロントサイドメンバ10-2においても、左えぐり部22L及び右えぐり部22Rは、先端が円弧状に抉られているので、フロントサイドメンバ10-2の車両上下方向の中央部がより圧壊し易くなり、車両上下方向の壁面において外側方向に凸となる凸変形がし易くなる。
[補足説明]
なお、上述した実施形態においては、部屋24は車両上下方向に1段設けているが本発明はこれに限られない。例えば比較例1及び比較例2と同様に2段設けてもよい。
また、上述した実施形態においては、左右一対のフロントサイドメンバ10、10-2と、左右一対のサスペンションタワー18と、左右一対のサスペンションタワー18の周辺部品、すなわちエプロンアッパメンバ15、フェンダエプロン16、及びダッシュパネル17とがアルミダイキャストにより一体成型されている。しかしながら、本発明はこれに限られず、フロントサイドメンバ10、10-2は、その他の部材と別体成型されていてもよい。また、アルミダイキャストに限られず、アルミ以外のダイキャストにより成型されていてもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態と各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10、10-2 フロントサイドメンバ
110 開口
112A 底面
112AL 左底面(底面)
112AR 右底面(底面)
114 上壁
114A 下面
116 下壁
116A 上面
20 リブ
20R 左リブ(リブ)
20R 右リブ(リブ)
22 えぐり部
22L 左えぐり部(えぐり部)
22R 右えぐり部(えぐり部)
D 上壁及び下壁の幅方向寸法
H リブ最小高さ

Claims (4)

  1. 車両幅方向の左右両側において各々車両前後方向に延在し、車両幅方向の少なくとも一方に開口が設けられた開断面形状を有してダイキャストにより一体成型されたフロントサイドメンバであって、
    反開口側の底面と車両上下方向の上壁の下面と下壁の上面とを接続するリブを複数備え、該リブは車両幅方向に沿ったリブ最小高さが、前記上壁及び前記下壁の幅方向寸法の半分以上に設定されていて、
    前記リブ最小高さは、車両後方に向けて高く設定されているフロントサイドメンバ。
  2. 前記開断面形状はU字状断面形状であり、前記開口が車両幅方向の外側に設けられている請求項1に記載のフロントサイドメンバ。
  3. 前記開断面形状はH字状断面形状であり、前記開口が車両幅方向の内側及び外側に各々設けられている請求項1に記載のフロントサイドメンバ。
  4. 前記リブは、前記開口側から車両幅方向に向かって先端が円弧状に抉られたえぐり部を備えている請求項1に記載のフロントサイドメンバ。
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