以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
〔フィルム〕
本発明のフィルムは、ポリイミド系樹脂(A)及び粒子状ポリマー(B)を含み、ヘーズが75%以下の場合、正反射光除去方式で測定される反射光の明度L*(以下、単に「明度」ということがある)が、該フィルムの両面において37以下であり、ポリイミド系樹脂(A)及び粒子状ポリマー(B)を含み、ヘーズが75%を超える場合、正反射光除去方式で測定される反射光の明度L*が、該フィルムの両面において80以下である。
本発明者らは、フィルムの耐吸水性について検討を進めたところ、意外なことに、フィルムのヘーズと明度との関係によって、フィルムの耐吸水性が変化し得るという知見を得た。そこで、本発明者らは、フィルムの明度に着目してさらに検討を行い、ヘーズが75%以下であるフィルムの明度をフィルム両面において、37以下とすると、耐吸水性に優れたフィルムが得られること、及びヘーズが75%を超えるフィルムの明度をフィルム両面において、80以下とすると、耐吸水性に優れたフィルムが得られることを見出した。
一方、ヘーズが75%以下であるフィルムの少なくとも一方の面の明度が37を超えると、フィルムの耐吸水性が低下する傾向にある。また、ヘーズが75%を超えるフィルムの少なくとも一方の面の明度が80を超えると、フィルムの耐吸水性が低下する傾向にある。フィルムは吸水すると誘電特性が低下する傾向にある。
本発明の一実施形態において、ヘーズが75%以下であるフィルムの明度はその両面において、好ましくは36.5以下、より好ましくは36以下、さらに好ましくは34以下、特に好ましくは32以下である。前記明度が上記の上限以下であると、フィルムの耐吸水性を向上しやすい。また、フィルムの明度はその両面において、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは25以上である。前記明度が上記の下限以上であると、例えばフィルムをロール状で保管した際に巻き癖が付きにくい。なお、本発明の正反射光除去(SCE)で測定される反射光の明度は、分光測色計を用いて測定することができ、例えば実施例に記載の方法により測定できる。また、フィルムのヘーズは、JIS K 7136に基づきヘーズメーターを用いて測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の別の一実施形態において、ヘーズが75%を超えるフィルムの明度はその両面において、好ましくは78.5以下、より好ましくは78以下、さらに好ましくは76以下、さらにより好ましくは73以下、特に好ましくは72以下である。前記明度が上記の上限以下であると、フィルムの耐吸水性を向上しやすい。また、フィルムの明度はその両面において、好ましくは30以上、より好ましくは40以上、さらに好ましくは48以上、さらにより好ましくは50以上、特に好ましくは55以上である。前記明度が上記の下限以上であると、例えばフィルムをロール状で保管した際に巻き癖が付きにくい。
フィルムの明度は、フィルムの組成、例えばフィルムに含まれるポリイミド系樹脂(A)及び/又はポリマー(B)を構成する構成単位の種類、それらの構成比、それらの分子量、フィルム中の粒子状ポリマー(B)の含有量、その粒子径、フィルムの製造条件などを適宜調整することによって調整し得る。例えば、フィルムの明度は、後述の説明において好ましい態様として記載されるポリマー(B)の種類、ポリイミド系樹脂(A)及び/又はポリマー(B)を構成する構成単位の種類及びそれらの構成比、粒子状ポリマー(B)の含有量、その粒子径、並びにフィルムの製造方法を選択することにより、フィルムの明度を上記範囲に調整してもよい。特に、後述の好適な製造方法によりフィルムを形成すると、フィルムの明度を上記範囲に調整しやすい。本明細書において、特記しない限り、「粒子径」は粒子状ポリマー(B)の平均一次粒子径及び/又はメジアン径を含む意味である。
<ポリマー(B)>
ポリマー(B)はポリイミド系樹脂(A)とは異なるポリマーである。ポリマー(B)がポリイミド系樹脂である場合は、ポリイミド系樹脂(A)とは異なる種類、例えば樹脂を構成する単量体単位の種類やその含有量等が異なるポリイミド系樹脂であればよい。
ポリマー(B)としては、特に限定されず、例えばオレフィン系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、液晶ポリマー、アラミドポリマー、スチレン系ポリマー及びエーテル系ポリマーなどが挙げられる。ポリマー(B)は単独又は二種以上組合せて使用できる。これらをポリマー(B)として用いると、ポリマー(B)の粒子径を低減しやすく、分散性を向上しやすい。また、これらをポリマー(B)として用いると、得られるフィルムの明度及び線膨張係数(以下、CTEと称することがある)を低減しやすく、かつフィルムの誘電特性及び耐吸水性を高めやすい。これらの中でも、オレフィン系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、液晶ポリマー、スチレン系ポリマー及びエーテル系ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーが好ましく、オレフィン系ポリマーがより好ましく、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン及びシクロオレフィン系ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーがさらに好ましく、シクロオレフィン系ポリマーが特に好ましい。また、本明細書において、誘電特性とは、誘電損失、比誘電率及び誘電正接を含む誘電に関する特性を意味し、誘電特性が高まる又は向上するとは、例えば、誘電損失、比誘電率及び/又は誘電正接が低減することを示す。
本発明の好適な実施形態において、シクロオレフィン系ポリマーは、式(I)
[式(I)中、mは0以上の整数を表し、
R7~R18は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、R11~R14が複数存在する場合、それらは互いに独立に、同一であってもよく、異なっていてもよく、R16とR17とは互いに結合し、それらが結合する炭素原子とともに環を形成してもよい]
で表されるシクロオレフィン由来の単量体単位(I)を含むことが好ましい。なお、以下、「粒子状ポリマー(B)の粒子径」を単に「粒子径」ということがある。
式(I)において、mは0以上の整数である。粒子径及びCTEを低減しやすく、かつフィルムの耐吸水性及び耐熱性を高めやすく、入手も容易である観点からは、mの上限は好ましくは3以下の整数、より好ましくは2以下の整数、さらに好ましくは1以下の整数である。
R7~R18の置換基の一員である炭素原子数1~20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチール基等のアラルキル基;上記アルキル基、アリール基及びアラルキル基の水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基等が挙げられる。これらの中でも、フィルムの耐吸水性、誘電特性及び耐熱性を高めやすく、かつフィルムのCTEを低減しやすい観点から、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であることが好ましい。すなわち、R7~R18は、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基又は炭素原子数7~20のアラルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基であることがより好ましい。
式(I)で表されるシクロオレフィンとしては、例えば、ノルボルネン、5-メチルノルボルネン、5-エチルノルボルネン、5-ブチルノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8-メチルテトラシクロドデセン、8-エチルテトラシクロドデセン等が挙げられる。これらの中でも、原料モノマーの入手容易性、粒子径及びフィルムのCTEの低減、並びにフィルムの耐熱性の向上の観点から、ノルボルネンであることが好ましい。式(I)で表されるシクロオレフィンは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の一実施形態において、シクロオレフィン系ポリマーは、単量体単位(I)の二連鎖構造を含むことが好ましい。該二連鎖構造を含むことにより、単量体単位(I)の含有量が同程度のポリマーに比べて、耐熱性を向上しやすい。なお、二連鎖構造の有無は、13C-NMRスペクトル分析により判定することができる。例えば、テトラシクロデセン-エチレン共重合体の場合、テトラシクロデセンの孤立鎖であるエチレン-テトラシクロデセン-エチレン連鎖由来のシグナルは、54.7ppm付近及び51.1ppm付近に現れ、endo-exo結合のテトラシクロデセンの二連鎖であるエチレン-テトラシクロデセン-テトラシクロデセン-エチレン連鎖由来のシグナルは、51.5ppm付近及び50.8ppm付近に、exo-exo結合のエチレン-テトラシクロデセン-テトラシクロデセン-エチレン連鎖由来のシグナルは、55.3ppm付近及び54.3ppm付近に現れるので、55ppm近辺及び50ppm近辺のシグナルのパターンで判定することができる。
単量体単位(I)の二連鎖構造には、下記構造式(II-1)又は下記構造式(II-2)で表されるメソ型二連鎖、及び/又は、下記構造式(III-1)又は下記構造式(III-2)で表されるラセモ型二連鎖が含まれる。
メソ型二連鎖とラセモ型二連鎖との比(以下、メソ型二連鎖/ラセモ型二連鎖と称することがある)は、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.40以下、さらに好ましくは0.30以下、特に好ましくは0.20以下であり、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上である。メソ型二連鎖とラセモ型二連鎖との比が上記範囲であると、フィルムの機械的特性及び耐熱性を高めやすい。メソ型二連鎖とラセモ型二連鎖との比は、例えば13C-NMRを用いて、「R.A.Wendt,G.Fink,Macromol.Chem.Phys.,2001,202,3490」及び「特開2008-285656号公報」に記載の帰属に基づいて算出でき、具体的には実施例に記載の方法により算出できる。なお、メソ型二連鎖とラセモ型二連鎖を上記範囲に調整する方法としては、モノマーの嵩高さに対して、適切な配位子の広さを持った触媒を選択する方法等がある。前記触媒としては、例えば、特開平9-183809号公報に記載された触媒を用いることができる。なお、本明細書において、機械的特性とは、屈曲耐性及び弾性率を含む機械的な特性を意味し、機械的特性が高まる又は向上するとは、例えば、屈曲耐性及び/又は弾性率が高くなることを示す。
シクロオレフィン系ポリマーにおける前記単量体単位(I)の含有量は、シクロオレフィン系ポリマーを構成する繰り返し単位の合計モル量に対して、好ましくは60mol%以上、より好ましくは65mol%以上、さらに好ましくは70mol%以上、特に好ましくは75mol%以上であり、好ましくは100mol%以下、より好ましくは99mol%以下、さらに好ましくは98mol%以下である。単量体単位(I)の含有量が上記の下限以上であると、ガラス転移温度(以下、Tgと称することがある)を高めやすいため、フィルムのCTEを低減しやすく、また、フィルムの明度を低減しやすいため、耐吸水性を向上しやすい。さらに、フィルムの耐熱性及び屈曲耐性等の機械的特性を向上しやすい。単量体単位(I)の含有量が上記の上限以下であると、屈曲耐性等の機械的特性を高めやすい。単量体単位(I)の含有量は、13C-NMRを用いて、「R.A.Wendt,G.Fink,Macromol.Chem.Phys.,2001,202,3490」に記載の帰属に基づいて算出でき、例えば実施例に記載の方法により算出できる。
シクロオレフィン系ポリマーは、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性及び屈曲耐性等の機械的特性を高めやすい観点から、エチレン、炭素原子数3~20の直鎖状α-オレフィン、及び炭素数8~20の芳香族ビニル化合物からなる群から選択される少なくとも1つに由来する単量体単位(II)を含むことが好ましく、エチレンに由来する単量体単位(II)を含むことがより好ましい。
炭素原子数3~20の直鎖状α-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン等が挙げられる。これらの中でも、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性及び屈曲耐性等の機械的特性を高めやすい観点から、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン又は1-オクテンであることが好ましく、プロピレンであることがより好ましい。炭素原子数3~20の直鎖状α-オレフィンは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、「直鎖状α-オレフィン」とは、α位に炭素-炭素不飽和二重結合を有する直鎖状のオレフィンをいう。
炭素数8~20の芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、tert-ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ジフェニルエチレン、イソプロペニルベンゼン、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン、イソプロペニルナフタレン、イソプロペニルアントラセン等が挙げられる。これらの中でも、原料モノマーの入手容易性、及びフィルムのCTEを低減しやすく、かつ屈曲耐性等の機械的特性を高めやすい観点から、好ましくはスチレン、メチルスチレンまたはジメチルスチレン、より好ましくはスチレンである。炭素数8~20の芳香族ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の一実施形態において、シクロオレフィン系ポリマーは、原料モノマーの入手容易性、及びフィルムのCTEを低減しやすく、かつ屈曲耐性等の機械的特性を高めやすい観点から、エチレン、プロピレン及びスチレンからなる群から選択される少なくとも1つに由来する単量体単位(II)、より好ましくはエチレン及びスチレンからなる群から選択される少なくとも1つに由来する単量体単位(II)を含むことが好ましい。
シクロオレフィン系ポリマーにおける前記単量体単位(II)の含有量は、シクロオレフィン系ポリマーを構成する繰り返し単位の合計モル量に対して、好ましくは0mol%以上、より好ましくは0.01mol%以上、さらに好ましくは1mol%以上、さらにより好ましくは2mol%以上であり、好ましくは40mol%以下、より好ましくは35mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下、特に好ましくは25mol%以下である。単量体単位(II)の含有量が上記の下限以上であると、フィルムの屈曲耐性等の機械的特性、加工性及び成形性を高めやすい。単量体単位(II)の含有量が上記の上限以下であると、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性及び屈曲耐性等の機械的特性を向上しやすい。
本発明の一実施形態において、耐熱性、加工性、屈曲耐性等の機械的特性及び耐吸水性を向上しやすく、かつ粒子径、並びにCTEを低減しやすい観点から、シクロオレフィン系ポリマーは、シクロオレフィン系コポリマーであることが好ましく、式(I)で表されるシクロオレフィン由来の単量体単位(I)とエチレン、炭素原子数3~20の直鎖状α-オレフィン及び炭素数8~20の芳香族ビニル化合物からなる群から選択される少なくとも1つに由来する単量体単位(II)とを含むシクロオレフィン系コポリマーであることがより好ましく、ノルボルネンに由来する単量体単位(I)とエチレンに由来する単量体単位(II)とを含むエチレン-ノルボルネン共重合体、又はノルボルネンに由来する単量体単位(I)とスチレンに由来する単量体単位(II)とを含むスチレン-ノルボルネン共重合体であることがさらに好ましい。
シクロオレフィン系ポリマーは、その他の単量体単位(III)を含んでいてもよい。その他の単量体単位(III)を構成するその他の単量体としては、例えば、ブタジエン又はイソプレン等の共役ジエン;1,4-ペンタジエン等の非共役ジエン;アクリル酸;アクリル酸メチル又はアクリル酸エチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル又はメタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル;酢酸ビニル等が挙げられる。その他の単量体単位(III)は単独又は二種以上組合せて使用できる。
なお、ポリマー(B)は単独又は二種以上組合せて使用できる。
本発明の一実施形態において、シクロオレフィン系ポリマー以外のオレフィン系ポリマーとしては、例えば、前記単量体単位(II);前記単量体単位(III);3-メチルー1-ブテン、3-メチルー1-ペンテン、4-メチルー1-ペンテン及びビニルシクロアルカンからなる群から選択される少なくとも1つの単量体単位;並びにそれらの誘導体等を含む重合体又は共重合体が挙げられ、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリメチルペンテンが好ましく、中でも耐熱性を高める観点から、ポリプロピレン又はポリメチルペンテンがより好ましい。
本発明の一実施形態において、ポリイミド系ポリマーとしては、例えば、第1溶媒に可溶なポリイミド系ポリマーが挙げられる。
本発明の一実施形態において、フッ素系ポリマーとしては、フッ素を含むオレフィンの重合体又はその変性物であり、具体的には、フルオロオレフィン類、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等からなる群から選択される少なくとも1つの単量体単位を含む重合体及び共重合体が挙げられ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと称することがある)、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。フィルムの誘電特性を高める観点からは、フッ素ポリマーは好ましくはテトラフルオロエチレン由来の構成単位を有するポリマーであり、より好ましくは全構成単位の合計に対するテトラフルオロエチレン由来の構成単位のモル比が0.25以上、さらに好ましくは前記モル比が0.30以上、さらにより好ましくは0.50以上、特に好ましくは0.75以上である。フッ素ポリマーの各構成単位のモル比は、NMR測定により求めることができ、モル比の算出に当たっては、例えばEric B. Twum et al., “Multidimensional 19F NMR Analyses of Terpolymers from Vinylidene Fluoride (VDF)-Hexafluoropropylene(HFP)-Tetrafluoroethylene (TFE)”, Macromolecules、2015年, 48巻, 11号, p.3563-3576を参照することができる。また、第1溶媒への溶解性を高める観点から、ビニルエーテル類、ビニルエステル類及びアリルエーテル類からなる群から選択される少なくとも1つと前記単量体単位との共重合体であってもよい。
本発明の一実施形態において、液晶ポリマーとしては、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び脂肪族ジオールなどを繰り返し単位として有するポリマー等が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位を与える単量体の具体例としては、パラヒドロキシ安息香酸、メタヒドロキシ安息香酸、オルトヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、5-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体、ならびにこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。中でも、フィルムの耐吸水性、機械的特性及び耐熱性を高めやすい観点から、パラヒドロキシ安息香酸及び6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸繰返し単位を与える単量体の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル等の芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体、ならびにこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。中でも、フィルムの耐吸水性、機械的特性及び耐熱性を高めやすい観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジオール繰返し単位を与える単量体の具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエ-テル等の芳香族ジオール、これらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体、ならびにこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。中でも、フィルムの耐吸水性、機械的特性及び耐熱性を高めやすい観点から、ハイドロキノン及び3,3’-ジヒドロキシビフェニルが好ましい。
脂肪族ジオール繰返し単位を与える単量体の具体例としては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、ならびにこれらのアシル化物が挙げられる。中でも、フィルムの耐吸水性、機械的特性及び耐熱性を高めやすい観点から、エチレングリコールが好ましい。
本発明の一実施形態において、スチレン系ポリマーとしては、繰り返し構造単位にスチレンを少なくとも1つ含有する樹脂であり、例えば、ポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン共重合体)等が挙げられる。中でも、誘電特性を高めやすい観点から、ポリスチレンが好ましい。
本発明の一実施形態において、エーテル系ポリマーとしては、主鎖にエーテル基を含む繰り返し単位を少なくとも1つ含有する樹脂であり、例えば、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。中でも、フィルムの耐吸水性、誘電特性を高めやすい観点から、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。
本発明の一実施形態において、ポリマー(B)の重量平均分子量(以下、重量平均分子量をMwと略すことがある)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000、さらに好ましくは20,000以上、さらにより好ましくは30,000以上、特に好ましくは50,000以上、特により好ましくは70,000以上、特にさらに好ましくは90,000以上であり、好ましくは2,000,000以下、より好ましくは1,000,000以下、さらに好ましくは700,000以下である。Mwが上記の下限以上であると、フィルムの耐吸水性及び耐熱性を高めやすく、また強度を向上しやすい。Mwが上記の上限以下であると、フィルムの耐吸水性、機械的特性及び成形性を高めやすい。
本発明の一実施形態において、ポリマー(B)のMwと数平均分子量(以下、数平均分子量をMnと略すことがある)との比(Mw/Mn)は、ポリスチレン換算で、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.2以下、さらに好ましくは2.0以下、さらにより好ましくは1.95以下、特に好ましくは1.90以下であり、好ましくは1.30以上、より好ましくは1.50以上、さらに好ましくは1.60以上、特に好ましくは1.65以上である。Mw/Mn比が上記の上限以下であると、フィルムの耐吸水性及び機械的特性を高めやすく、また上記の下限以上であると成形性を高めやすい。なお、Mw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略すことがある)測定を行い、標準ポリスチレン換算により求めることができ、例えば実施例に記載の方法により求められる。
本発明の一実施形態において、CTEが低減されたフィルムを得られやすい観点から、ポリマー(B)の屈折率は、好ましくは1.600以下、より好ましくは1.570以下、さらに好ましくは1.550以下であり、好ましくは1.500以上、より好ましくは1.520以上である。ポリマー(B)の屈折率は屈折計により測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の一実施形態において、ポリマー(B)のCTEは、好ましくは110ppm/K以下、より好ましくは80ppm/以下、さらに好ましくは58ppm/K以下、さらにより好ましくは55ppm/K以下、特に好ましくは50ppm/K以下であり、好ましくは0ppm/K以上、より好ましくは0.01ppm/K以上、さらに好ましくは1ppm/K以上、さらにより好ましくは5ppm/K以上である。ポリマー(B)のCTEが上記の上限以下であると、得られるフィルムのCTEを低減しやすい。また、銅箔と貼り合せて銅張積層板を作製する場合には、積層フィルムの剥がれ防止の観点から、フィルムのCTEを20ppm/K前後に調整することが好ましい。混合する樹脂のCTEに応じて、最適なCTEを有するポリマー(B)を選択することができる。なお、CTEは、例えば熱機械分析(以下、TMAと称することがある)により測定でき、実施例に記載の方法により求められる。
本発明の一実施形態において、ポリマー(B)のガラス転移温度及び融点の少なくともいずれか一方は100℃以上であることが好ましい。ポリマー(B)のTgは、好ましくは100℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは160℃以上、さらにより好ましくは180℃以上、特に好ましくは200℃以上、特により好ましくは220℃以上、特にさらに好ましくは240℃以上、最も好ましくは260℃以上であり、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下、さらに好ましくは350℃以下、さらにより好ましくは320℃以下である。また、ポリマー(B)が融点を有する結晶性ポリマーである場合、ポリマー(B)の融点は、好ましくは100℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは160℃以上、さらにより好ましくは180℃以上、特に好ましくは200℃以上、特により好ましくは220℃以上、特にさらに好ましくは240℃以上、最も好ましくは260℃以上であり、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下、さらに好ましくは350℃以下である。ポリマー(B)のTg及び融点の少なくともいずれか一方が上記の下限以上であると、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性及び屈曲耐性等の機械的特性をより高めやすい。ポリマー(B)のTg及び融点の少なくともいずれか一方が上記の上限以下であると、フィルムの機械的特性、特に反復屈曲耐性が高めやすい。ポリマー(B)のTgは、JIS K 7196に基づき、TMAにより測定した軟化温度であり、例えば実施例に記載の方法により測定できる。なお、ポリマー(B)のTg及び融点を調整する方法は、特に限定されないが、例えば単量体単位(I)の含有量、ポリマー(B)のMw、結晶化度等を適宜調整する方法が挙げられる。単量体単位(I)の含有量、ポリマー(B)のMw、及び結晶化度からなる群から選択される少なくとも1つが大きくなるほど、ポリマー(B)のTg及び融点が高くなる傾向がある。ポリマー(B)の融点は、例えば示差走査熱量計(DSC、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、これにより得られる融解曲線から融解ピーク温度を測定することにより求めることができる。
本発明の一実施形態において、粒子状ポリマー(B)の平均一次粒子径は15μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、さらにより好ましくは3μm以下、特に好ましくは1μm以下、特により好ましくは0.8μm以下、特にさらに好ましくは0.5μm以下であり、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上である。粒子状ポリマー(B)の平均一次粒子径が上記の下限以上であると、フィルムの機械的特性を高めやすい。粒子状ポリマー(B)の平均一次粒子径が上記の上限以下であると、粒子状ポリマー(B)の粒子分散性を高め、明度を低減しやすい結果、フィルムの耐吸水性を向上しやすく、また、フィルムの表面平滑性及び屈曲耐性等の機械的特性を高めやすい。なお、粒子状ポリマー(B)の平均一次粒子径は、電子顕微鏡により撮影した画像の画像解析により求めることができる。例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いてフィルムの断面観察を行い、観察画像から50個以上の粒子の粒子径を測定し、それらの平均値を粒子状シクロオレフィンコポリマーの平均一次粒子径とすることができる。
粒子状ポリマー(B)の含有量は、フィルムに含まれるポリイミド系樹脂(A)及び粒子状ポリマー(B)の合計質量に対して、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。粒子状ポリマー(B)の含有量が上記の下限以上であると、フィルム中の粒子分散性を高めやすいため、フィルムの明度を低減しやすく、また、耐吸水性、表面平滑性及び機械的特性を高めやすい。粒子状ポリマー(B)の含有量が上記の上限以下であると、フィルムの明度を低減しやすく、成形性を高めやすい。なお、フィルム中の粒子の分散性が高いと熱伝導率及びCTEの均一性が高くなるため、例えばCCLの樹脂層として該フィルムを使用した場合に、フィルムと銅箔との剥がれを抑制しやすくなる。
<ポリマー(B)の製造方法>
ポリマー(B)は、市販品を用いてもよく、慣用の方法により製造してもよい。本発明の一実施形態では、ポリマー(B)はシクロオレフィン系ポリマーであることが好ましい。シクロオレフィン系ポリマーの製造方法は特に限定されないが、例えば、式(IV)で表される遷移金属錯体(α)を一成分として使用してなる触媒の存在下、シクロオレフィン系ポリマーを形成する単量体、例えば式(I)で表されるシクロオレフィン、前記エチレン、炭素数3~20の直鎖状α-オレフィン、及び炭素数8~20の芳香族ビニル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの単量体、及び任意に前記その他の単量体を重合させることにより製造することが好ましい。本発明におけるシクロオレフィン系ポリマーの製造では、式(IV)で表される遷移金属錯体(α)を用いるため、シクロオレフィン系ポリマー中の単量体単位(I)の含有量を顕著に増加させやすく、Tgを上記範囲内に調整しやすい。
[式(IV)中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属元素を表し、
Cpはシクロペンタジエニル骨格を有する基を表し、
Aは元素の周期律表の第16族の原子を表し、
Tは元素の周期律表の第14族の原子を表し、
D1及びD2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基又は炭素数2~20の2置換アミノ基を表し、それらは同一であってもよく、異なってもよい。
R1~R6は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、炭素数2~20の2置換アミノ基又は炭素数1~20のシリル基を表し、それらは同一であってもよく、異なってもよく、さらにそれらは任意に結合して環を形成してもよい。]
Mは、元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第4族の遷移金属元素であり、例えば、チタニウム原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子等が挙げられる。
Cpは、シクロペンタジエニル骨格を有する基であり、例えば、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、インデニル、置換インデニル、フルオレニル、置換フルオレニル等が挙げられる。具体例としては、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、n-プロピルシクロペンタジエニル基、n-ブチルシクロペンタジエニル基、イソブチルシクロペンタジエニル基、フェニルシクロペンタジエニル基、インデニル基、メチルインデニル基、n-プロピルインデニル基、n-ブチルインデニル基、イソブチルインデニル基、フェニルインデニル基、フルオレニル基、メチルフルオレニル基、n-プロピルフルオレニル基、フェニルフルオレニル基、ジメチルフルオレニル基等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、n-ブチルシクロペンタジエニル基、イソブチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、メチルインデニル基又はフルオレニル基が挙げられる。
Aは、元素の周期律表の第16族の原子であり、例えば、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。これらの中でも、酸素原子であることが好ましい。
Tは、元素の周期律表の第14族の原子であり、例えば、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子又はケイ素原子であることが好ましい。
D1、D2は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基又は炭素数2~20の2置換アミノ基であり、それらは同一であってもよく、異なってもよい。これらの中でも、ハロゲン原子であることが好ましい。
D1、D2がハロゲン原子である場合の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
D1、D2が炭化水素基である場合、その炭素数は好ましくは1~10である。前記炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。
D1、D2がハロゲン化炭化水素基である場合の具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、1-フルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、1,2-ジフルオロエチル基、1,1,2-トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、1-クロロエチル基、1,1-ジクロロエチル基、1,2-ジクロロエチル基、1,1,2-トリクロロエチル基、1,1,2,2-テトラクロロエチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、1-ブロモエチル基、1,1-ジブロモエチル基、1,2-ジブロモエチル基、1,1,2-トリブロモエチル基、1,1,2,2-テトラブロモエチル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2,3-ジフルオロフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、2,5-ジフルオロフェニル基、2,6-ジフルオロフェニル基、2,3,4-トリフルオロフェニル基、2,3,5-トリフルオロフェニル基、2,3,6-トリフルオロフェニル基、2,3,4,5-テトラフルオロフェニル基、2,3,4,6-テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2,3-ジクロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基、2,3,4-トリクロロフェニル基、2,3,5-トリクロロフェニル基、2,3,6-トリクロロフェニル基、2,3,4,5-テトラクロロフェニル基、2,3,4,6-テトラクロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、2-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基、2,3-ジブロモフェニル基、2,4-ジブロモフェニル基、2,5-ジブロモフェニル基、2,6-ジブロモフェニル基、2,3,4-トリブロモフェニル基、2,3,5-トリブロモフェニル基、2,3,6-トリブロモフェニル基、2,3,4,5-テトラブロモフェニル基、2,3,4,6-テトラブロモフェニル基、ペンタブロモフェニル基等が挙げられる。
D1、D2がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、ネオペントキシ基、n-ヘキソキシ基、n-オクトキシ基等が挙げられる。
D1、D2がアリールオキシ基である場合の具体例としては、フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、3-メチルフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
D1、D2が2置換アミノ基である場合の2置換アミノ基とは、置換基が2個結合したアミノ基である。その具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ-sec-ブチルアミノ基、ジ-tert-ブチルアミノ基、ジ-n-ヘキシルアミノ基、ジ-n-オクチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
R1~R6は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、炭素数2~20の2置換アミノ基又は炭素原子数1~20のシリル基を表し、それらは同一であってもよく、異なってもよく、さらにそれらは任意に結合して環を形成してもよい。これらの中でも、炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましい。
R1~R6が炭化水素基である場合、炭素数は1~10であることが好ましい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,3,4-トリメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,3,4,5-テトラメチルフェニル基、2,3,4,6-テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基等が挙げられる。
R1~R6がハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及び2置換アミノ基である場合の具体例としては、D1、D2がハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及び2置換アミノ基である場合の具体例として上記に例示したものが挙げられる。
R1~R6がシリル基である場合の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ-n-プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ-n-ブチルシリル基、トリイソブチルシリル基、トリ-sec-ブチルシリル基、トリtert-ブチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
このような、式(IV)で表される化合物の具体例としては、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-5-メチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-5-メチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-5-メチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(トリメチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-5-メチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-5-メチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(n-プロピルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-5-メチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(n-ブチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-5-メチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(イソブチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-5-メチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(フェニルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-5-メチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(トリメチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(n-プロピルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(n-ブチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(イソブチルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(フェニルシクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(ジメチルシクロペンタジエニル)(2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(トリメチルシクロペンタジエニル)(2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(n-プロピルシクロペンタジエニル)(2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(n-ブチルシクロペンタジエニル)(2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(イソブチルシクロペンタジエニル)(2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(フェニルシクロペンタジエニル)(2-フェノキシ)チタニウムジクロライド等が挙げられる。
また、上記の具体例におけるチタニウムをジルコニウムあるいはハフニウムに変更した化合物、及び、それらを含めイソプロピリデンをジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチレンに変更した化合物についても同様に例示できる。更に、ジクロライドをジブロマイド、ジアイオダイド、ジメチル、ジベンジル、ジメトキシド、ジエトキシドに変更した化合物についても、同様に例示することができる。
上記の式(IV)で表される遷移金属錯体(α)は、種々の助触媒と組合せて、本発明の一実施形態に係るポリマー(B)を製造するための触媒として使用できる。助触媒とは、遷移金属錯体(α)と相互作用をして、環状オレフィン、アルケニル芳香族炭化水素に対する重合活性種を生成せしめる化合物のことである。その例としては、有機アルミニウム化合物(β)及び/又は下記式(γ1)~式(γ3)のいずれかで表されるホウ素化合物(γ)を挙げることができるが、これらの助触媒を使用することにより生成する重合活性種の構造は明らかではない。
式(γ1) BQ1Q2Q3
式(γ2) J+(BQ1Q2Q3Q4)-
式(γ3) (L-H)+(BQ1Q2Q3Q4)-
[式(γ1)~式(γ3)中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、
Q1~Q4は、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1~20の置換シリル基、炭素数1~20のアルコキシ基又は炭素数2~20の2置換アミノ基を表し、
J+は、無機又は有機のカチオンを表し、
Lは、中性ルイス塩基を表し、(L-H)+はブレンステッド酸を表す。]
前記有機アルミニウム化合物(β)としては、公知の有機アルミニウム化合物が使用できる。具体的には、式(β1)で表される有機アルミニウム化合物、式(β2)で表される構造を有する環状のアルミノキサン及び式(β3)で表される構造を有する線状のアルミノキサンが挙げられ、これらは単独でも、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
式(β1) E1
aAlZ3-a
式(β2) {-Al(E2)-O-}b
式(β3) E3{-Al(E3)-O-}cAlE3
2
[式(β1)~式(β3)中、E1、E2及びE3は、互いに独立に、炭素数1~8の炭化水素基を表し、全てのE1、全てのE2及び全てのE3は同一であってもよく、異なっていてもよく、Zは水素又はハロゲンを表し、全てのZは同一であってもよく、異なっていてもよく、aは0~3の整数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。]
式(β1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくはトリアルキルアルミニウムが挙げられ、より好ましくはトリエチルアルミニウム又はトリイソブチルアルミニウムが挙げられる。
式(β2)、式(β3)における、E2、E3の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、好ましくはメチル基又はイソブチル基が挙げられる。bは2以上の整数であり、好ましくは2~40の整数である。cは1以上の整数であり、好ましくは1~40の整数である。
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に限定されず、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム、例えば、トリメチルアルミニウム等を適当な有機溶剤、例えば、ベンゼン、脂肪族炭化水素などに溶かした溶液を水と接触させて作る方法、トリアルキルアルミニウム、例えば、トリメチルアルミニウム等を、結晶水を含んでいる金属塩、例えば、硫酸銅水和物等に接触させて作る方法が例示できる。
ホウ素化合物(γ)としては、式(γ1)、式(γ2)又は式(γ3)で表されるホウ素化合物のいずれかを用いることができる。
式(γ1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q1~Q3は、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1~20の置換シリル基、炭素数1~20のアルコキシ基又は炭素数2~20の2置換アミノ基を表し、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Q1~Q3は、互いに独立に、好ましくはハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、又は、炭素数1~20のハロゲン化炭化水素基である。
式(γ1)で表されるホウ素化合物の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4-トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられ、好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが挙げられる。
式(γ2)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q1~Q4は上記の式(γ1)におけるQ1~Q3と同様である。また、J+は無機又は有機のカチオンを表す。
J+における無機のカチオンとしては、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオン等が挙げられる。
J+における有機のカチオンとしては、トリフェニルメチルカチオン等が挙げられる。
(BQ1Q2Q3Q4)-としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン、テトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレートアニオン、テトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレートアニオン、テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレートアニオン、テトラキス(2,2,4-トリフルオロフェニル)ボレートアニオン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン、テトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートアニオン等が挙げられる。
これらの具体的な組合せとしては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’-ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられ、好ましくはトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
式(γ3)において、Bは3価の原子価状態のホウ素を表し、Q1~Q4は上記の式(γ1)におけるQ1~Q3と同様である。また、Lは中性ルイス塩基を表し、(L-H)+はブレンステッド酸を表す。
式(γ3)において、ブレンステッド酸である(L-H)+としては、トリアルキル置換アンモニウムカチオン、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオン、ジアルキルアンモニウムカチオン、トリアリ-ルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
(BQ1Q2Q3Q4)-としては、前述と同様のものが挙げられる。
これらの具体的な組合せとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジ-iso-プロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。これらの中でも、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又は、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであることが好ましい。
助触媒としては、有機アルミニウム化合物(β)及び化合物(γ)を併用することが好ましい。
式(IV)で表される遷移金属錯体(α)、有機アルミニウム化合物(β)及び/又は化合物(γ)は、重合時に任意の順序で入れて使用することができるが、それらの任意の化合物の組合せを予め接触させて得られた反応物を用いてもよい。
助触媒/遷移金属錯体(α)のモル比は、好ましくは0.01~10,000、より好ましくは0.5~2,000である。触媒成分を溶液状態で使用する場合、遷移金属錯体(α)の濃度は、好ましくは0.0001~5mmol/L、より好ましくは0.001~1mmol/Lである。触媒成分の使用量は、使用される全モノマーの合計量に対して、好ましくは0.00001~1mol%、より好ましくは0.0001~0.1mol%である。
本発明の一実施形態に係るポリマー(B)の重合法としては、特に限定されず、例えば、バッチ式又は連続式の気相重合法、塊状重合法、適当な溶媒を使用しての溶液重合法あるいはスラリー重合法等、任意の方法を採用することができる。
溶媒を使用する場合、触媒を失活させないという条件の各種の溶媒が使用可能であり、このような溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙げられる。
また、溶媒を使用する場合、重合中の系内のエチレン分圧は、例えば50~400kPa、好ましくは50~300kPaであり、水素分圧は好ましくは0~100kPaである。なお、系内にエチレン及び水素を入れる場合、水素分圧での加圧を実施した後、エチレン分圧での加圧を実施することが好ましい。また、式(I)で表されるシクロオレフィンの溶液を重合反応槽に入れた後、さらにトルエンを入れてもよい。
重合温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは50~150℃、さらに好ましくは50℃~100℃である。なお、重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
<ポリイミド系樹脂(A)>
ポリイミド系樹脂(A)とは、イミド基を含む繰返し構造単位を含有する樹脂(以下、ポリイミド樹脂ということがある)、及びイミド基及びアミド基の両方を含む繰り返し構造単位を含有する樹脂(以下、ポリアミドイミド樹脂ということがある)、並びにイミド化によりポリイミド系樹脂を製造する前の前駆体を含む意味である。該ポリイミド樹脂を製造する前の前駆体はポリアミック酸である。なお、本明細書において、「繰り返し構造単位」を「構成単位」ということがある。また、「由来の構成単位」を単に「単位」ということがあり、例えば化合物由来の構成単位を化合物単位などということがある。
本発明の好適な実施形態において、ポリイミド系樹脂(A)は、式(1):
[式(1)中、Xは2価の有機基を表し、Yは4価の有機基を表し、*は結合手を表す]
で表される構成単位を有することが好ましい。このようなポリイミド系樹脂であると、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐熱性及び屈曲耐性等の機械的特性を高めやすい。
式(1)中のXは、互いに独立に2価の有機基を表し、好ましくは炭素数2~100の2価の有機基を表す。2価の有機基としては、例えば2価の芳香族基、2価の脂肪族基等が挙げられ、2価の脂肪族基としては、例えば2価の非環式脂肪族基又は2価の環式脂肪族基が挙げられる。これらの中でも、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ、耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、2価の環式脂肪族基及び2価の芳香族基が好ましく、2価の芳香族基がより好ましい。2価の有機基は、有機基中の水素原子がハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよく、その場合、これらの基の炭素数は好ましくは1~8である。なお、本明細書において、2価の芳香族基は芳香族基を有する2価の有機基であり、その構造の一部に脂肪族基又はその他の置換基を含んでいてもよい。また、2価の脂肪族基は脂肪族基を有する2価の有機基であり、その構造の一部にその他の置換基を含んでいてもよいが、芳香族基は含まない。
本発明の一実施形態において、ポリイミド系樹脂(A)は、複数種のXを含み得、複数種のXは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。式(1)中のXとしては、例えば式(2)~式(8)で表される基(構造);式(5)~式(8)で表される基中の水素原子がメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基などが挙げられる。
[式(2)及び式(3)中、Ra及びRbは、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数6~12のアリール基を表し、Ra及びRbに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、Wは、互いに独立に、単結合、-O-、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-COO-、-OOC-、-SO2-、-S-、-CO-又は-N(Rc)-を表し、Rcは水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、nは0~4の整数であり、tは0~4の整数であり、uは0~4の整数であり、*は結合手を表す。
式(4)中、環Aは炭素数3~8のシクロアルカンを表し、Rdは炭素数1~20のアルキル基を表し、rは0以上であって(環Aの炭素数-2)以下の整数を表し、S1及びS2は、互いに独立に、0~20の整数を表し、*は結合手を表す。]
式(1)中のXの他の例としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、1,2-ブタンジイル基、1,3-ブタンジイル基、1,12-ドデカンジイル基、2-メチル-1,2-プロパンジイル基、2-メチル-1,3-プロパンジイル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基などの2価の非環式脂肪族基が挙げられる。2価の非環式脂肪族基中の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、炭素原子はヘテロ原子、例えば酸素原子、窒素原子等で置換されていてもよい。
これらの中でも、フィルムの高い耐吸水性、高い誘電特性、低CTE、かつ高い耐熱性及び高い機械的特性を達成しやすい観点から、本発明におけるポリイミド系樹脂(A)は、式(1)中のXとして、式(2)で表される構造及び/又は式(3)で表される構造を含むことが好ましく、式(2)で表される構造を含むことがより好ましい。
式(2)及び式(3)において、各ベンゼン環又はシクロヘキサン環の結合手は、-W-を基準に、それぞれ、オルト位、メタ位又はパラ位、もしくはα位、β位又はγ位のいずれに結合していてもよく、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、好ましくはメタ位又はパラ位、もしくはβ位又はγ位、より好ましくはパラ位、もしくはγ位に結合することができる。Ra及びRbは、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数6~12のアリール基を表す。炭素数1~6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-メチル-ブチル基、3-メチルブチル基、2-エチル-プロピル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。炭素数1~6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。炭素数6~12のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基及びビフェニル基等が挙げられる。Ra及びRbに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中でも、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性及び誘電特性を高めやすい観点から、Ra及びRbは、互いに独立に、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のフッ化アルキル基であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のフッ化アルキル基であることがより好ましく、メチル基又はトリフルオロメチル基であることがさらに好ましい。
式(2)及び式(3)において、t及びuは、互いに独立に、0~4の整数であり、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0又は1である。
式(2)及び式(3)において、Wは、互いに独立に、単結合、-O-、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-COO-、-OOC-、-SO2-、-S-、-CO-又は-N(Rc)-を表し、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性及び機械的特性、特に屈曲耐性を高めやすい観点から、好ましくは単結合、-O-、-CH2-、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-COO-、-OOC-又は-CO-を表し、より好ましくは単結合、-O-、-CH2-、-C(CH3)2-又は-C(CF3)2-を表す。Rcは水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表す。炭素数1~12の1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-メチル-ブチル基、3-メチルブチル基、2-エチル-プロピル基、n-ヘキシル、n-ヘプチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基及びn-デシル基等が挙げられ、これらはハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、上記と同様のものが挙げられる。
式(2)及び式(3)において、nは、0~4の整数であり、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、好ましくは0~3の整数、より好ましくは1又は2である。nが2以上の場合、複数のW、Ra、及びtは互いに同一であってもよく、異なっていてもよく、-W-を基準とした各ベンゼン環の結合手の位置も同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明におけるポリイミド系樹脂(A)が、式(1)中のXとして、式(2)で表される構造と式(3)で表される構造の両方を含む場合、式(2)におけるW、n、Ra、Rb、t及びuは、互いに独立に、式(3)におけるW、n、Ra、Rb、t及びuと同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(4)において、環Aは炭素数3~8のシクロアルカンを表す。シクロアルカンとしては、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンが挙げられ、好ましくは炭素数4~6のシクロアルカンが挙げられる。環Aにおいて、各結合手は、互いに隣接していてもよいし、隣接していなくてもよい。例えば、環Aがシクロヘキサンである場合、2つの結合手はα位、β位又はγ位の位置関係にあってもよく、好ましくはβ位又はγ位の位置関係にあってもよい。
式(4)中のRdは炭素数1~20のアルキル基を表す。炭素数1~20のアルキル基としては、R7~R18における炭素数1~20の炭化水素基として上記に例示のものが挙げられ、好ましくは炭素数1~10のアルキル基を表す。式(4)中のrは0以上であって(環Aの炭素数-2)以下の整数を表す。rは0以上であり、好ましくは4以下である。式(4)中のS1及びS2は、互いに独立に、0~20の整数を表す。S1及びS2は、互いに独立に、好ましくは0以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは15以下である。
式(2)~式(4)で表される構造の具体例としては、式(4’)及び式(9)~式(30)で表される構造が挙げられる。なお、これらの式中、*は結合手を表す。
本発明の好適な実施形態において、式(1)中のXとして、式(2)及び/又は式(3)で表される構造を含む場合、式(1)中のXが式(2)及び/又は式(3)で表される構成単位の割合は、式(1)で表される構成単位の総モル量に対して、好ましくは30mol%以上、より好ましくは50mol%以上、さらに好ましくは70mol%以上、特に好ましくは90mol%以上であり、好ましくは100mol%以下である。式(1)中のXが式(2)及び/又は式(3)で表される構成単位の割合が上記の範囲であると、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性、誘電特性、及び機械的特性を高めやすい。式(1)中のYが式(2)及び/又は式(3)で表される構成単位の割合は、例えば1H-NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
式(1)において、Yは、互いに独立に4価の有機基を表し、好ましくは炭素数4~40の4価の有機基を表し、より好ましくは環状構造を有する炭素数4~40の4価の有機基を表す。環状構造としては、脂環、芳香環、ヘテロ環構造が挙げられる。前記有機基は、有機基中の水素原子がハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよく、その場合、これらの基の炭素数は好ましくは1~8である。本発明におけるポリイミド系樹脂(A)は、複数種のYを含み得、複数種のYは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。Yとしては、式(31)~式(38)で表される基(構造);式(34)~式(38)で表される基中の水素原子がメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基;4価の炭素数1~8の鎖式炭化水素基などが挙げられる。
[式(31)~式(33)中、R19~R26は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基又は炭素数6~12のアリール基を表し、R19~R26に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
V1及びV2は、互いに独立に、単結合、-O-、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-COO-、-OOC-、-SO2-、-S-、-CO-、-N(Rj)-、式(a)又は式(b)
(式(a)中、R27~R30は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Zは-C(CH3)2-又は-C(CF3)2-を表し、iは1~3の整数であり、*は結合手を表す)を表し、Rjは、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、e及びdは、互いに独立に、0~2の整数を表し、fは1~3の整数を表し、g及びhは、互いに独立に、0~4の整数を表し、*は結合手を表す]
これらの中でも、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、本発明におけるポリイミド系樹脂は、式(1)中のYとして、式(31)で表される構造、式(32)で表される構造又は式(33)で表される構造からなる群から選択される少なくとも1つの構造を含むことが好ましく、式(31)で表される構造を含むことがより好ましい。
式(31)~式(33)において、R19~R26は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基又は炭素数6~12のアリール基を表す。炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基及び炭素数6~12のアリール基としてはそれぞれ、式(2)及び式(3)における炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基及び炭素数6~12のアリール基として上記に例示のものが挙げられる。R19~R26に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子としては上記に例示のものが挙げられる。これらの中でも、フィルムの耐吸水性、耐熱性及び誘電特性を高めやすい観点から、R19~R26は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
式(31)において、V1及びV2は、互いに独立に、単結合、-O-、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-COO-、-OOC-、-SO2-、-S-、-CO-、-N(Rj)-、式(a)又は式(b)を表し、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、好ましくは単結合、-O-、-CH2-、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-COO-、-OOC-又は-CO-を表し、より好ましくは単結合、-O-、-C(CH3)2-又は-C(CF3)2-を表す。Rjは水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表す。炭素数1~12の一価の炭化水素基としては、上記に例示のものが挙げられる。
式(31)において、e及びdは、互いに独立に、0~2の整数を表し、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、好ましくは0又は1であり、より好ましくはe+d=1である。
式(32)において、fは1~3の整数を表し、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、好ましくは1又は2、より好ましくは1である。
式(33)において、g及びhは、互いに独立に、0~4の整数を表し、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、好ましくは0~2の整数であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくはg+h=0~2の整数である。
式(a)において、R27~R30は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。炭素数1~6のアルキル基としては、式(2)及び(3)における炭素数1~6のアルキル基として上記に例示のものが挙げられる。これらの中でも、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、R27~R30は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
式(a)において、Zは-C(CH3)2-又は-C(CF3)2-を表す。Zがこのような構造であると、フィルムの耐吸水性、耐熱性、誘電特性、及び機械的特性を高めやすい。iは1~3の整数を表し、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性及び機械的特性を高めやすい観点から、好ましくは1又は2である。iが2以上の場合、複数のZ及びR27~R30は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(31)~式(33)で表される構造の具体例としては、式(39)~式(51)で表される構造が挙げられる。なお、これらの式中、*は結合手を表す。
本発明の一実施形態において、式(1)中のYとして、式(31)~式(33)で表される構造からなる群から選択される少なくとも1つを含む場合、式(1)中のYが式(31)~式(33)で表される構造からなる群から選択される少なくとも1つで表される構成単位の割合は、式(1)で表される構成単位の総モル量に対して、好ましくは30mol%以上、より好ましくは50mol%以上、さらに好ましくは70mol%以上、特に好ましくは90mol%以上であり、好ましくは100mol%以下である。式(1)中のYが式(31)~式(33)で表される構造からなる群から選択される少なくとも1つで表される構成単位の割合が上記の範囲であると、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性、誘電特性及び機械的特性を高めやすい。式(1)中のYが式(31)~式(33)で表される構造からなる群から選択される少なくとも1つで表される構成単位の割合は、例えば1H-NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明におけるポリイミド系樹脂(A)は、式(1)で表される構成単位の他に、式(52)で表される構成単位、式(53)で表される構成単位、及び式(54)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
[式(52)及び式(53)中、Y1は4価の有機基を表し、
Y2は3価の有機基を表し、
X1及びX2は、互いに独立に、2価の有機基を表し、
*は結合手を表す。
式(54)中、G及びXは、互いに独立に、2価の有機基を表し、
*は結合手を表す。]
本発明の好適な実施形態では、式(52)及び式(53)において、Y1は式(1)におけるYと同義であり、X1及びX2は、式(1)におけるXと同義である。式(53)におけるY2は式(1)におけるYの結合手のいずれか1つが水素原子に置き換わった基であることが好ましい。Y2としては、式(31)~式(38)で表される基(構造)の結合手のいずれか1つが水素原子に置き換わった基;3価の炭素数1~8の鎖式炭化水素基などが挙げられる。本発明の一実施形態において、ポリイミド系樹脂は、複数種のY1又はY2を含み得、複数種のY1又はY2は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(54)において、Gは、互いに独立に、2価の有機基であり、好ましくは炭素数1~8の炭化水素基又はフッ素置換された炭素数1~8の炭化水素基で置換されていてもよい、炭素数2~100の2価の有機基であり、より好ましくは炭素数1~8の炭化水素基又はフッ素置換された炭素数1~8の炭化水素基で置換されていてもよい、環状構造を有する炭素数2~100の2価の有機基を表す。環状構造としては、脂環、芳香環、ヘテロ環構造が挙げられる。Gの有機基としては、例えば式(31)~式(38)で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基及び炭素数6以下の2価の鎖式炭化水素基が挙げられ、好ましくは式(39)~式(51)で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基などが挙げられる。
式(54)中のXは式(1)におけるXと同義であり、ポリイミド系樹脂が式(1)で表される構成単位と式(54)で表される構成単位とを含む場合、各構成単位におけるXは同一であってもよく、異なっていてもよい。本発明の一実施形態において、ポリイミド系樹脂は、複数種のX又はGを含み得、複数種のX又はGは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明の一実施形態において、ポリイミド系樹脂(A)は、式(1)で表される構成単位、並びに、場合により式(52)で表される構成単位、式(53)で表される構成単位及び式(54)で表される構成単位から選択される少なくとも1つの構成単位からなる。また、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性及び誘電特性を高めやすい観点から、上記ポリイミド系樹脂(A)において、式(1)で表される構成単位の割合は、ポリイミド系樹脂に含まれる全構成単位、例えば式(1)で表される構成単位、並びに、場合により式(52)で表される構成単位、式(53)で表される構成単位及び式(54)で表される構成単位から選択される少なくとも1つの構成単位の総モル量に基づいて、好ましくは80mol%以上、より好ましくは90mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上である。なお、ポリイミド系樹脂(A)において、式(1)で表される構成単位の割合の上限は100mol%以下である。なお、上記割合は、例えば、1H-NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。また、本発明におけるポリイミド系樹脂は、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性及び誘電特性を高めやすい観点から、好ましくはポリイミド樹脂である。
本発明の一実施形態において、本発明におけるポリイミド系樹脂(A)は、例えば上記の含ハロゲン原子置換基等によって導入することができる、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を含有していてもよい。ポリイミド系樹脂(A)がハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を含有する場合、耐吸水性、耐熱性及び誘電特性を高めやすいことに加え、光学特性を高めやすい。ポリイミド系樹脂(A)にフッ素原子を含有させるために好ましい含フッ素置換基としては、例えばフルオロ基及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
ポリイミド系樹脂(A)がハロゲン原子を含有する場合、ポリイミド系樹脂(A)におけるハロゲン原子の含有量は、ポリイミド系樹脂の質量を基準として、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは1~35質量%、さらに好ましくは5~30質量%である。ハロゲン原子の含有量が上記の下限以上であると、フィルムの耐吸水性、耐熱性及び誘電特性を高めやすい。ハロゲン原子の含有量が上記の上限以下であると、フィルムのCTEを低減でき、また合成がしやすくなる。
ポリイミド系樹脂(A)のイミド化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは95%以上であり、通常100%以下である。フィルムの誘電特性、光学特性及び耐吸水性を高めやすい観点から、イミド化率が上記の下限以上であることが好ましい。イミド化率は、ポリイミド系樹脂中のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量の2倍の値に対する、ポリイミド系樹脂中のイミド結合のモル量の割合を示す。なお、ポリイミド系樹脂(A)がトリカルボン酸化合物を含む場合には、ポリイミド系樹脂中のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量の2倍の値と、トリカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量との合計に対する、ポリイミド系樹脂中のイミド結合のモル量の割合を示す。また、イミド化率は、IR法、NMR法などにより求めることができる。
ポリイミド系樹脂(A)のTgは、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは200℃以上、さらにより好ましくは300℃以上、特に好ましくは350℃以上であり、好ましくは550℃以下である。ポリイミド系樹脂(A)のTgが上記の下限以上であると、得られるフィルムの耐熱性を高めやすく、かつCTEを低減しやすい。ポリイミド系樹脂(A)のTgが上記の上限以下であると、機械的特性を高めやすい。ポリイミド系樹脂(A)のTgは、例えば動的粘弾性測定(以下、DMA測定と略すことがある)を行うことで求められ、実施例に記載の方法により測定できる。
ポリイミド系樹脂(A)のMwは、ポリスチレン換算で、好ましくは50,000以上、より好ましくは100,000以上、より好ましくは150,000以上、さらに好ましくは200,000以上、さらにより好ましくは250,000以上、特に好ましくは300,000以上であり、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは800,000以下、さらに好ましくは700,000以下、さらにより好ましくは500,000以下、とりわけ好ましくは450,000以下である。ポリイミド系樹脂(A)のMwが上記の下限以上であると、得られるフィルムの耐吸水性、耐熱性及び機械的特性を高めやすく、かつCTEを低減しやすい。ポリイミド系樹脂(A)のMwが上記の上限以下であると成形性を高めやすい。なお、ポリイミド系樹脂(A)のMwは、例えばGPC測定を行い、標準ポリスチレン換算によって求めることができ、例えば実施例に記載の方法により求められる。
本発明におけるポリイミド系樹脂(A)は、上記の通り、ポリイミド系樹脂をイミド化する前の前駆体を包含する。ポリイミド系樹脂(A)がポリアミック酸の場合、ポリアミック酸は式(1’):
[式(1’)中、Y及びXはそれぞれ、式(1)におけるY及びXを表す]
で表される構成単位を含む。
<ポリイミド系樹脂(A)の製造方法>
ポリイミド系樹脂(A)の製造方法は特に限定されないが、例えば、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とを反応させてポリアミック酸を得る工程、及び該ポリアミック酸をイミド化する工程を含む方法により製造できる。また、ポリイミド系樹脂(A)がポリアミック酸である場合、ポリアミック酸を得る工程を実施すればよい。なお、テトラカルボン酸化合物の他に、ジカルボン酸化合物、トリカルボン酸化合物を反応させてもよい。
ポリイミド系樹脂(A)の合成に用いられるテトラカルボン酸化合物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸化合物;及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸化合物等が挙げられる。テトラカルボン酸化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。テトラカルボン酸化合物は、二無水物の他、酸クロリド化合物等のテトラカルボン酸化合物類縁体であってもよい。
テトラカルボン酸化合物の具体例としては、無水ピロメリット酸(以下、PMDAと略すことがある)、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(以下、BPADAと略すことがある)、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと略すことがある)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(以下、6FDAと略すことがある)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(以下、ODPAと略すことがある)、2,2’,3,3’-、2,3,3’,4’-又は3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3”,4,4”-、2,3,3”,4”-又は2,2”,3,3”-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(以下、HPMDAと略すことがある)、2,3,5,6-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下、CBDAと略すことがある)、ノルボルナン-2-スピロ-α’-スピロ-2”-ノルボルナン-5,5’,6,6’-テトラカルボン酸無水物、p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物などが挙げられる。これらの中でも、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性、誘電特性、及び機械的特性を高めやすい観点から、PMDA、BPDA、6FDA、BPADA、ODPA、HPMDA、CBDA、p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)が好ましい。これらのテトラカルボン酸化合物は単独又は二種以上組合せて使用できる。
ポリイミド系樹脂(A)の合成に用いられるジアミン化合物としては、例えば、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン及びこれらの混合物が挙げられる。なお、本実施形態において「芳香族ジアミン」とは、芳香環を有するジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族基又はその他の置換基を含んでいてもよい。この芳香環は単環でも縮合環でもよく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環及びフルオレン環等が例示されるが、これらに限定されるわけではない。これらの中でも、好ましくはベンゼン環である。また「脂肪族ジアミン」とは、脂肪族基を有するジアミンを表し、その構造の一部にその他の置換基を含んでいてもよいが、芳香環は有しない。
ジアミン化合物の具体例としては、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(以下、m-TBと記載することがある)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニル(以下、TFMBと記載することがある)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、1,3-APBと略すことがある)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、1,4-APBと略すことがある)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPと記載することがある)、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、2,2-ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4’-メチレンジアニリン、3,3’-メチレンジアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4”-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3”-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン(p-PDAと略すことがある)、レゾルシノール-ビス(3-アミノフェニル)エーテル、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-tert-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-tert-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、ピペラジン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビシクロヘキサン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4”-ジアミノ-p-ターフェニル、ビス(4-アミノフェニル)テレフタレート、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,5-ジ-tert-ブチルベンゼン、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-(ヘキサフルオロプロピリデン)ジアニリン、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキンサン、1,2-ジアミノプロパン、1,2-ジアミノブタン、1,3-ジアミノブタン、2-メチル-1,2-ジアミノプロパン、2-メチル-1,3-ジアミノプロパン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジアミン、2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-ジアミノベンズアニリド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ビス[4,4’-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4’-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジンなどが挙げられる。これらの中でも、フィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性、誘電特性及び機械的特性を高めやすい観点から、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、TFMB、4,4’-メチレンジアニリン、3,3’-メチレンジアニリン、p-PDA、BAPP、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビシクロヘキサン、m-TB、4,4”-ジアミノ-p-ターフェニル、ビス(4-アミノフェニル)テレフタレート、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,5-ジ-tert-ブチルベンゼン、1,3-APB、1,4-APB、レゾルシノール-ビス(3-アミノフェニル)エーテル、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-(ヘキサフルオロプロピリデン)ジアニリンなどが好ましい。ジアミン化合物は単独又は二種以上組合せて使用できる。
なお、上記ポリイミド系樹脂(A)は、フィルムの各種物性を損なわない範囲で、上記の樹脂合成に用いられるテトラカルボン酸化合物に加えて、他のテトラカルボン酸、ジカルボン酸及びトリカルボン酸並びにそれらの無水物及び誘導体をさらに反応させたものであってもよい。
他のテトラカルボン酸としては、上記テトラカルボン酸化合物の無水物の水付加体が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロリド化合物、酸無水物等が挙げられ、単独又は2種以上を組合せて用いてもよい。具体例としては、テレフタル酸;イソフタル酸;ナフタレンジカルボン酸;4,4’-ビフェニルジカルボン酸;3,3’-ビフェニルジカルボン酸;炭素数8以下である鎖式炭化水素、のジカルボン酸化合物及び2つの安息香酸が単結合、-O-、-CH2-、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-SO2-又はフェニレン基で連結された化合物並びに、それらの酸クロリド化合物が挙げられる。
トリカルボン酸化合物としては、芳香族トリカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロリド化合物、酸無水物等が挙げられ、単独又は2種以上を組合せて用いてもよい。具体例としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸の無水物;2,3,6-ナフタレントリカルボン酸-2,3-無水物;フタル酸無水物と安息香酸とが単結合、-O-、-CH2-、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-SO2-又はフェニレン基で連結された化合物が挙げられる。
ポリイミド系樹脂(A)の製造において、ジアミン化合物、テトラカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物及びトリカルボン酸化合物の使用量は、所望とする樹脂の各構成単位の比率に応じて適宜選択できる。
本発明の好適な実施形態においては、ジアミン化合物の使用量は、テトラカルボン酸化合物1molに対して、好ましくは0.94mol以上、より好ましくは0.96mol以上、さらに好ましくは0.98mol以上、特に好ましくは0.99mol以上であり、好ましくは1.20mol以下、より好ましくは1.10mol以下、さらに好ましくは1.05mol以下、特に好ましくは1.02mol以下である。テトラカルボン酸化合物に対するジアミン化合物の使用量が上記の範囲であると、得られるフィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性、誘電特性、機械的特性及び光学特性を高めやすい。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物との反応温度は、特に限定されず、例えば5~200℃であってもよく、反応時間も特に限定されず、例えば30分~72時間程度であってもよい。本発明の好適な実施形態においては、反応温度は、好ましくは5~50℃、より好ましくは10~40℃であり、反応時間は、好ましくは3~24時間である。このような反応温度及び反応時間であると、得られるフィルムのCTEを低減しやすく、かつ耐吸水性、耐熱性、誘電特性、機械的特性及び光学特性を高めやすい。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物との反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、反応に影響を与えない限り特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン(以下、GBLと記載することがある)、γ-バレロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素含有溶媒;N,N-ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと記載することがある)、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記載することがある)等のアミド系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;N-メチルピロリドン(以下、NMPと略すことがある)等のピロリドン系溶媒;及びそれらの組合せなどが挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、フェノール系溶媒、アミド系溶媒、ピロリドン系溶媒を好適に使用できる。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物との反応は、必要に応じて、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性雰囲気又は減圧の条件下において行ってもよく、例えば、窒素雰囲気又はアルゴン雰囲気等の不活性雰囲気下、厳密に制御された脱水溶媒中で撹拌しながら行うことが好ましい。
イミド化工程では、イミド化触媒を用いてイミド化しても、加熱によりイミド化しても、これらを組合せてもよい。イミド化工程で使用するイミド化触媒としては、例えばトリプロピルアミン、ジブチルプロピルアミン、エチルジブチルアミン等の脂肪族アミン;N-エチルピペリジン、N-プロピルピペリジン、N-ブチルピロリジン、N-ブチルピペリジン、及びN-プロピルヘキサヒドロアゼピン等の脂環式アミン(単環式);アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.2.1]オクタン、アザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアザビシクロ[3.2.2]ノナン等の脂環式アミン(多環式);並びにピリジン、2-メチルピリジン(2-ピコリン)、3-メチルピリジン(3-ピコリン)、4-メチルピリジン(4-ピコリン)、2-エチルピリジン、3-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2,4-ジメチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、3,4-シクロペンテノピリジン、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン、及びイソキノリン等の芳香族アミンが挙げられる。また、イミド化反応を促進しやすい観点から、イミド化触媒とともに、酸無水物を用いることが好ましい。酸無水物は、イミド化反応に用いられる慣用の酸無水物等が挙げられ、その具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。加熱によるイミド化工程は、ポリアミック酸が溶解した溶媒中で行ってもよく、後述のようにフィルム化した状態で行ってもよい。
本発明の一実施形態では、イミド化する場合、反応温度は、通常20~250℃であり、反応時間は好ましくは30分~24時間、より好ましくは1~12時間である。
ポリイミド系樹脂(A)は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた分離手段により分離精製して単離してもよく、好ましい態様では、樹脂を含む反応液に、多量のメタノール等のアルコールを加え、樹脂を析出させ、濃縮、濾過、乾燥等を行うことにより単離することができる。
<フィルム>
本発明のフィルムは、ポリイミド系樹脂(A)及び粒子状ポリマー(B)を含み、該フィルムは、ヘーズが75%以下の場合、明度がフィルムの両面において37以下であり、ヘーズが75%を超える場合、明度がフィルムの両面において80以下であるため、優れた耐吸水性を有している。本発明のフィルムは、優れた耐吸水性を有する結果、フィルムの誘電特性を高めることができる。さらに、本発明のフィルムは、フィルム表面の平滑性も優れている。したがって、本発明のフィルムは、優れた耐吸水性、誘電特性、及び表面平滑性を併せて有し得る。
本発明の一実施形態における本発明のフィルムにおいて、ポリイミド系樹脂(A)と、ポリマー(B)とのHSP値間距離が6以上であることが好ましい。
HSPはハンセン溶解度パラメータ(δ)であり、(δD,δP,δH)の3次元のパラメータで定義され、式(X):
δ2=(δD)2+(δP)2+(δH)2 ・・・(X)
[式(X)中、δDはLоndоn分散力項を示し、δPは分子分極項(双極子間力項)を示し、δHは水素結合項を表す]
により表される。HSPに係る詳細は、「PROPERTIES OF POLYMERS」(著者:D.W.VANKREVELEN、発行所:ELSEVIER SCIENTFIC PUBLISHING COMPANY、1989年発行、第5版)に記載されている。ハンセン溶解度パラメータのδD,δP、及びδHは、ハンセン溶解度パラメータを提案したハンセン博士のグループによって開発されたプログラムであるHSPiP(Hansen Sоlubility Parameters in Practice)を用いて計算することができ、例えばVer.4.1.07等を用いることができる。以下にハンセン溶解球法の詳細を説明する。対象となる成分をHSP値が既知の溶媒に溶解させ、当該成分の特定の溶媒に対する溶解性を評価する。溶解性の評価は、それぞれ対象とする成分が溶媒に溶解したか否かを目視で判定して行う。これを複数の溶媒について行う。この溶媒の種類は、δtが幅広く異なる溶媒を用いることが好ましく、より具体的には、好ましくは10種以上、より好ましくは15種以上、さらに好ましくは18種以上である。次に、得られた溶解性の評価結果をHSPiPに入力する事で得られたHansen球の中心座標(δd,δp,δh)を対象とする組成のHSPとする。また、HSPは上記の方法の他、例えばHSPiPのデータベースの数値や文献値を用いてもよく、HSPiPを使用して構造式から求めてもよい。なお、本明細書において、ハンセン溶解度パラメータの値をHSP値と称し、該HSP値は、25℃における値を表す。ポリイミド系樹脂(A)のHSP値、ポリマー(B)のHSP値、及び溶媒のHSP値は、ぞれぞれ、上記のいずれかの方法により求めてもよく、例えば実施例に記載の方法により求められる。
二つの物質のハンセン溶解度パラメータ(以下、HSPと略すことがある)の距離をHSP値間距離という。HSP間距離(Ra)は、両物質の親和性を表す指標であって、その値が小さい程、両物質の親和性が高いことを示す。逆に、Raの値が大きい程、両物質の親和性が低いこと、すなわち、相溶しがたいことを示す。
HSP値間距離は、二つの物質A及びBのそれぞれのハンセン溶解度パラメータδA及びδBを、
δA=(δDA,δPA,δHA)
δB=(δDB,δPB,δHB)
と仮定すれば、HSP間距離(Ra)は、式(Y):
Ra=[4×(δDA‐δDB)2+(δPA‐δPB)2+(δHA‐δHB)2]0.5 ・・・(Y)
により計算することができる。
なお、本明細書において、HSP値及びHSP値間距離は上記に定義した通りであり、上記方法に従って求めることができる。
本発明の好適な実施形態では、本発明のフィルムは、ポリイミド系樹脂(A)とポリマー(B)とのHSP値間距離が比較的大きくても、耐吸水性、耐熱性、屈曲耐性等の機械的特性及び誘電特性に優れ、かつCTEを低減できる。そのため、本発明のフィルムにおいて、ポリイミド系樹脂(A)とポリマー(B)とのHSP値間距離は、好ましくは6.0以上、より好ましくは7.0以上、さらに好ましくは8.0以上である。
またポリイミド系樹脂(A)とポリマー(B)とのHSP値間距離は、樹脂とポリマー間の親和性の観点から、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下、さらにより好ましくは15以下である。
本発明の一実施形態において、フィルムに含まれるポリイミド系樹脂(A)及び粒子状ポリマー(B)の合計質量は、該フィルムの質量に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。フィルムに含まれるポリイミド系樹脂(A)及び粒子状ポリマー(B)の合計質量が上記の下限以上であると、フィルムの耐吸水性、誘電特性、及び表面平滑性を向上しやすい。
本発明の好適な実施形態において、本発明のフィルムは、ポリイミド系樹脂(A)に対して、粒子状ポリマー(B)が分散、好ましくは均一分散した複合フィルムであることが好ましい。例えば、該複合フィルムは海島構造を有し、ポリイミド系樹脂(A)が海、粒子状ポリマー(B)が島であることが好ましい。このような複合フィルムは、耐吸水性、耐熱性、屈曲耐性等の機械的特性及び誘電特性を高めやすく、かつCTEを低減しやすい。ポリイミド系樹脂(A)とポリマー(B)とのHSP値間距離を上記下限値以上とすることで、粒子状ポリマー(B)をフィルム中に均一に分散させやすく、耐吸水性に優れたフィルムを得ることができる。
本発明の一実施形態において、本発明のフィルムは、低いCTEを有し得る。該フィルムのCTEは、用途に合せて適宜設計することができる。銅箔と貼り合せてCCLを作製する場合には、積層フィルムの剥がれ防止の観点から、フィルムのCTEを20ppm/K前後に調整することが好ましい。フィルムのCTEは、混合するポリイミド系樹脂(A)及び粒子状ポリマー(B)のCTEや混合量等により、調整可能である。CTE低減の観点からは、Tgの高い粒子状ポリマー(B)を混合することが好ましい。なお、CTEは、TMAにより測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
本発明のフィルムの耐吸水性は、フィルムの吸水率によって評価できる。本発明の一実施形態において、本発明のフィルムの吸水率は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.6%以下、さらにより好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下である。フィルムの吸水率が上記の上限以下であると、優れた耐吸水性を有し得る。そのため、フィルムの吸水率が上記の上限以下であると、本発明のフィルムをCCLの樹脂層に使用した場合、誘電特性を高めやすく、誘電損失及び伝送損失を抑制しやすい。また、本発明のフィルムの吸水率は、通常0.01%以上であってよい。なお、本発明のフィルムの吸水率は、フィルムを一定時間水蒸気に曝露し、水蒸気曝露前後のフィルムの質量を測定することにより求めることができ、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の一実施形態において、本発明のフィルムは、優れた表面平滑性を有し得る。フィルムの表面平滑性は、該フィルム表面の直線1mmの領域を10等分割した10個の各測定領域において求めた平均厚さの標準偏差によって評価できる。本発明の一実施形態において、本発明のフィルムは、平均厚さの標準偏差が好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.70以下、さらにより好ましくは1.50以下、特に好ましくは1.0以下、特により好ましくは0.8以下、特にさらに好ましくは0.5以下である。平均厚さの標準偏差が上記の上限以下であると、フィルムの表面平滑性をより向上し得るため、例えばCCLの樹脂層として該フィルムを使用した場合に、配線の高密度化及び微細化時の高い加工精度を達成しやすく、またフィルムと銅箔との剥がれを抑制しやすい。平均厚さの標準偏差の下限は通常0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上である。平均厚さの標準偏差が上記の下限以上であると、例えば、接着剤等により銅箔に貼りつける際に、アンカー効果により密着性を高めやすい。フィルムの平均厚さの標準偏差は、フィルム表面の連続する直線1mmの領域を任意に選択し、該領域を10等分割して10個の測定領域を設定し、次いで、接触式又は非接触式の膜厚計、段差計、表面形状測定器等を用いて、10個の各測定領域における平均厚さをそれぞれ測定し、得られた各測定領域における平均厚さの標準偏差を算出することにより求めることができる。例えば、実施例に記載の方法により求めることができる。なお、各測定領域における平均厚さはそれぞれ、その測定領域における任意の点で測定した複数の厚さから算出した平均値であってもよい。
本発明のフィルムは、必要に応じて、添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば酸化防止剤、難燃剤、架橋剤、界面活性剤、相溶化剤、イミド化触媒、耐候剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無滴剤、顔料、フィラーなどが挙げられる。添加剤は単独又は二種以上組合せて使用できる。
本発明の一実施形態において、本発明のフィルムは、相溶化剤を含んでいなくても、粒子状ポリマー(B)が高い粒子分散性を示すため、高耐吸水性、熱伝導率の低ばらつき性、低CTE、高耐熱性、及び高い機械的特性を発現できる。そのため、本発明のフィルムにおいて、相溶化剤の含有量は、ポリイミド系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以下、さらにより好ましくは0.1質量部未満、特に好ましくは0.05質量部以下、特により好ましくは0.01質量部以下、特にさらに好ましくは0.001質量部以下であり、最も好ましくは0質量部であってもよい。また、例えばポリイミド系樹脂(A)がポリアミック酸のようなポリイミド系樹脂前駆体であり、フィルム製造時に熱イミド化が必要な場合には、相溶化剤によるイミド化の阻害や、加熱による相溶化剤の変質によるフィルムの特性悪化を防ぐ観点からは、相溶化剤の含有量は、上記範囲の中でも、0.1質量部未満であることが好ましい。該相溶化剤の上記含有量は、ポリイミド系樹脂(A)100質量部に代えて、ポリイミド系樹脂(A)と粒子状ポリマー(B)との合計100質量部を基準とした含有量としてもよい。
本発明のフィルムの厚さは、用途に応じて適宜選択でき、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは100μm以下、特に好ましくは80μm以下である。フィルムの厚さは、膜厚計等を用いて測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。なお、本発明のフィルムが多層フィルムである場合、上記厚さは単層部分の平均厚さを表す。
本発明のフィルムは、単層フィルムであってもよく、本発明のフィルムからなる層を少なくとも1層含む多層フィルムであってもよい。該多層フィルムは他の層(又は他のフィルム)を含むことができる。このような場合にも全ての層を含めて本発明のフィルムと称する。他の層としては、例えば機能層などが挙げられる。該機能層としては、プライマー層、ガスバリア層、粘着層、保護層などが例示できる。機能層は単独又は二種以上組合せて使用できる。
本発明のフィルムは、通常工業的に採用されている方法によって、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
本発明の一実施形態にかかるフィルムは、耐吸水性及び誘電特性に優れる。そのため、高周波帯域用のプリント回路基板やアンテナ基板に対応可能な基板材料などに好適に利用できる。例えばCCLは、樹脂層の両表面に接着剤を介して銅箔が積層された構造を有する。本発明のフィルムを該樹脂層として使用する場合、耐吸水性に優れ、誘電損失が小さいため、伝送損失を低減することができる。本発明のフィルムを該樹脂層として使用する場合、表面平滑性が高く、またCTEが低減されているため、従来のものと比較し、銅箔と樹脂層との剥がれを有効に抑制できる。また、機械的特性、特に屈曲耐性に優れるため、塑性変形に強く、巻き癖が付きにくく、またフレキシブル基板材料にも使用できる。
本発明のフィルムは、その他、自動車部品、電気・電子部品等の工業材料;レンズ、プリズム、光ファイバー、記録媒体等の光学材料等にも好適に用いられる。
〔フィルムの製造方法〕
本発明のフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば以下の工程:
(a)ポリイミド系樹脂(A)、粒子状ポリマー(B)及び溶媒を含む組成物を調製する組成物調製工程、
(b)組成物を基材に塗布して塗膜を形成する塗布工程、及び
(c)塗布された液(塗膜)を乾燥させて、フィルムを形成するフィルム形成工程
を含む方法によって製造することができる。ポリイミド系樹脂(A)の熱イミド化を行う際には、イミド化反応を完了させる工程が含まれてもよい。
<組成物調製工程>
組成物は、ポリイミド系樹脂(A)、粒子状ポリマー(B)及び溶媒、ならびに必要に応じて前記添加剤を含む。組成物は、例えば、ポリイミド系樹脂(A)、粒子状ポリマー(B)及び溶媒、並びに任意に前記添加剤を混合することによって調製又は製造してもよいが、得られるフィルム中の粒子状ポリマー(B)の分散性を向上させ、ヘーズが75%以下の場合にフィルムの両面において明度を37以下に調整しやすく、また、ヘーズが75%を超える場合にフィルムの両面において明度を80以下に調整しやすい結果として、耐吸水性に優れたフィルムを得やすい観点から、以下の方法により製造することが好ましい。
本発明の好適な実施形態において、本発明における組成物の製造方法は、
ポリマー(B)を第1溶媒に溶解させてポリマー(B)溶液を得る工程(1);
該ポリマー(B)溶液を第2溶媒に接触させた後、第1溶媒を留去して、粒子状ポリマー(B)を含む分散液(以下、粒子状ポリマー(B)分散液ということがある)を得る工程(2);及び
該粒子状ポリマー(B)分散液にポリイミド系樹脂(A)を添加する工程(3)
を含む。このような製造方法を用いると、ポリマー(B)の粒子の凝集を抑制し得るため、粒子径を低減しやすく、かつ分散性を向上しやすい。そのため、高い耐吸水性、表面平滑性及び高い機械的特性を有するフィルムが得られやすい。また、このような製造方法を用いると、得られるフィルムの明度を低減しやすい。
工程(1)は、ポリマー(B)を第1溶媒に溶解させてポリマー(B)溶液を得る工程である。第1溶媒に溶解させるポリマー(B)の形態は特に限定されない。第1溶媒は、ポリマー(B)が溶解可能であれば、特に限定されず、例えばベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの中でも、炭化水素系溶媒が好ましい。第1溶媒が炭化水素系溶媒を含むと、ポリマー(B)と第1溶媒との溶解性が高まるため、粒子状ポリマー(B)の粒子径を低減しやすく、かつ分散性を向上しやすい。結果として、低明度、高い耐吸水性、平滑な表面、高粒子分散性、高い耐熱性、高い機械的特性及び低CTEを有するフィルムが得られやすい(以下、「結果として」以降の効果の記載を省略することがある)。第1溶媒は単独又は二種以上組合せて使用できる。
第1溶媒は、上記の通り、ポリマー(B)が溶解する溶媒である。ここで、本明細書では、「溶解する」か「溶解しない」かの評価は、実施例における<溶解性の評価>に記載の方法に従って行うことができる。
本発明の一実施形態において、第1溶媒とポリマー(B)とのHSP値間距離が好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。該HSP値間距離が上記の上限以下であると、第1溶媒とポリマー(B)との溶解性が高まるため、粒子状ポリマー(B)の粒子径を低減しやすく、かつ分散性を向上しやすい。HSP値間距離の下限は通常0を超える。
本発明の一実施形態において、第1溶媒とポリマー(B)とのHSP値間距離が、ポリマー(B)の相互作用半径よりも小さいことが好ましい。このような関係であると、ポリマー(B)が第1溶媒に溶解されやすいため、粒子状ポリマー(B)の粒子径を低減しやすく、かつ分散性を向上しやすい。また、本明細書において、相互作用半径とは、ある特定のポリマーを溶解し得る複数の溶媒、すなわち良溶媒のハンセン溶解度パラメータを3次元のHSP空間にプロットすると、各良溶媒のプロットは互いに似たところ、言い換えると、近い位置、すなわち座標に球状に集まる傾向があり、その球、すなわちハンセンの溶解球の半径を指す。相互作用半径が大きい溶質は多くの溶媒に溶けやすく、相互作用半径が小さい溶質は少数の溶媒に溶けやすく、多数の溶媒に溶け難いといえる。未知の特定のポリマーに対しては、各種の溶媒が良溶媒であるか、貧溶媒であるかを、溶解性試験を行って調べ、その結果をHSPiPに入力することにより、当該ポリマーの相互作用半径が算出される。以下、本明細書において、「相互作用半径」は上記に定義した通りであり、上記方法に従って求めることができる。
本発明の一実施形態において、第1溶媒は、ポリイミド系樹脂(A)が溶解しない溶媒であることが好ましい。このような溶媒であると、粒子状ポリマー(B)の粒子径を低減しやすく、かつ分散性を向上しやすい。
本発明の一実施形態において、第1溶媒とポリイミド系樹脂(A)とのHSP値間距離が、好ましくは5.0以上、より好ましくは6.0以上、さらに好ましくは7.0以上、さらにより好ましくは8.0以上、特に好ましくは9.0以上である。該HSP値間距離が上記の下限以上であると、ポリイミド系樹脂(A)が第1溶媒に溶解されにくいため、粒子状ポリマー(B)の凝集体の形成を抑制しやすく、また、粒子径が低減されやすいことから分散性を高めやすい。さらに、得られるフィルムの表面平滑性、粒子分散性、耐熱性、耐吸水性及び屈曲耐性等の機械的特性を高めやすく、CTEを低減しやすい。第1溶媒とポリイミド系樹脂(A)とのHSP値間距離の上限は好ましくは30.0以下、より好ましくは27以下、さらに好ましくは25以下、さらにより好ましくは23以下、特に好ましくは21以下である。第1溶媒とポリイミド系樹脂(A)とのHSP値間距離が上記の上限以下であると、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすいことから、粒子の分散性を向上しやすく、また得られるフィルムの粒子分散性を高めやすい。
本発明の一実施形態において、第1溶媒とポリイミド系樹脂(A)とのHSP値間距離が、ポリイミド系樹脂(A)の相互作用半径よりも大きいことが好ましい。このような関係であると、ポリイミド系樹脂(A)が第1溶媒に溶解されにくいため、粒子状ポリマー(B)の凝集体の形成を抑制しやすく、また、粒子径が低減されやすいことから分散性を高めやすい。さらに、得られるフィルムの表面平滑性、粒子分散性、耐熱性、耐吸水性及び屈曲耐性等の機械的特性を高めやすく、CTEを低減しやすい。
本発明の一実施形態において、ポリマー(B)の第1溶媒に対する溶解度は、ポリマー(B)の第2溶媒に対する溶解度よりも大きいことが好ましい。このような関係であると、粒子径が小さく、かつ分散性が良好な粒子状ポリマー(B)が得られやすい。なお、ポリマー(B)の溶媒に対する溶解度は、以下の方法で測定できる。サンプル瓶にポリマー(B)1,000mgと溶媒3mLとを加え、室温下で2時間撹拌する。次いで、固相と液相とを濾過により分別し、固相を減圧下、80℃で2時間乾燥させた後の質量:X(mg)を測定し、下記式により、溶解度Y(mg/mL)を求めることができる。
Y=(1,000-X)/3
なお、例えば本明細書の定義で、ポリマー(B)が、第1溶媒に「溶解する」に相当し、第2溶媒に「溶解しない」に相当する場合、明らかに第1溶媒に対する溶解度の方が大きいため、溶解度を測定しなくてもよい。
前記ポリマー(B)溶液中のポリマー(B)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、さらにより好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。該溶液中のポリマー(B)の含有量が上記の下限以上であると、組成物を調製しやすい。また該溶液中のポリマー(B)の含有量が上記の上限以下であると、粒子径が小さく、かつ分散性が高い分散液及びフィルムが得られやすい。
ポリマー(B)を第1溶媒に溶解させる方法は、特に限定されないが、例えばポリマー(B)に対して第1溶媒を加えてもよいし、第1溶媒に対してポリマー(B)を加えてもよいし、その両方であってもよい。また、ポリマー(B)に対する第1溶媒の溶解度に応じて、加熱等により溶解させてもよい。
工程(2)は、前記ポリマー(B)溶液を第2溶媒に接触させた後、第1溶媒を留去して、粒子状ポリマー(B)分散液を得る工程である。
第2溶媒は、ポリマー(B)溶液との接触により、粒子状ポリマー(B)が生成し得る溶媒であれば、特に限定されず、例えばDMAc、DMF等のアミド系溶媒;GBL、γ-バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;N-メチルピロリドン等のピロリドン系溶媒;及びそれらの組合せが挙げられる。これらの中でも、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすく、高い粒子分散性を有する結果、低明度、高耐吸水性、平滑な表面、低いCTE、高い耐熱性及び高い機械的特性を有するフィルムが得られやすい観点から、アミド系溶媒、ラクトン系溶媒及びピロリドン系溶媒からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。これらの溶媒は単独又は二種以上組合せて使用できる。また、粒子状ポリマー(B)分散液には水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、非環状エステル系溶媒、エーテル系溶媒などが含まれてもよい。
本発明の一実施形態において、第2溶媒とポリマー(B)とのHSP値間距離は、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは10.0以上、さらにより好ましくは11.0以上である。該HSP値間距離が上記の下限以上であると、ポリマー(B)の粒子の凝集を抑制しやすく、また、粒子径を低減しやすいことから、粒子の分散性を向上しやすい。結果として、得られるフィルムを低明度化しやすく、また耐吸水性、粒子分散性、表面平滑性、耐熱性及び屈曲耐性等の機械的特性を高めやすい。また、第2溶媒とポリマー(B)とのHSP値間距離の上限は、好ましくは30.0以下、より好ましくは25.0以下、さらに好ましくは20.0以下である。該第2溶媒とポリマー(B)とのHSP値間距離が上記の上限以下であると、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすいことから粒子の分散性を向上しやすく、また、得られるフィルムを低明度化しやすく、粒子分散性を高めやすい。
本発明の一実施形態において、第2溶媒とポリマー(B)とのHSP値間距離が、ポリマー(B)の相互作用半径よりも大きいことが好ましい。このような関係であると、ポリマー(B)が第2溶媒に溶解されにくいため、粒子状ポリマー(B)分散液中の粒子状ポリマー(B)の粒子径を低減しやすく、かつ分散性を向上しやすい。
本発明の一実施形態において、第2溶媒は、ポリマー(B)が溶解しない溶媒であることが好ましい。このような溶媒であると、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすいため、粒子径を低減しやすく、かつ粒子の分散性を向上しやすい。
本発明の一実施形態において、第2溶媒は、ポリイミド系樹脂(A)が溶解する溶媒であることが好ましい。このような溶媒であると、得られる組成物及びフィルム中に小さい粒子径で粒子状ポリマー(B)が分散しやすい。また、該フィルムは海島構造を形成しやすい。
本発明の一実施形態において、第2溶媒とポリイミド系樹脂(A)とのHSP値距離は、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.5以下、さらに好ましくは9.0以下、特に好ましくは8.5以下であり、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上である。該HSP値間距離が上記の上限以下であると、第2溶媒とポリイミド系樹脂(A)との親和性が向上し得るため、得られる組成物及びフィルム中に、小さい粒子径で粒子状ポリマー(B)が分散して、粒子分散性を高めやすい。
本発明の一実施形態において、第2溶媒とポリイミド系樹脂(A)とのHSP値間距離は、ポリイミド系樹脂(A)の相互作用半径よりも小さいことが好ましい。このような関係であると、ポリイミド系樹脂(A)が第2溶媒に溶解されやすいため、得られる組成物中に、小さい粒子径で粒子状ポリマー(B)が分散しやすく、粒子分散性を高めやすい。
該ポリマー(B)溶液を第2溶媒と接触させる方法は、特に限定されないが、例えばポリマー(B)溶液と第2溶媒とを混合する方法が挙げられる。具体的には、第2溶媒に対して、ポリマー(B)溶液を添加する方法、ポリマー(B)溶液に対して、第2溶媒を添加する方法が例示できる。このように接触させることにより、第2溶媒と第1溶媒との混合液中に、粒子径が小さい粒子状ポリマー(B)を析出又は分散させることができる。なお、粒子状ポリマー(B)の凝集が生じない範囲であれば、工程(2)中、任意のタイミングでポリイミド系樹脂(A)や他の添加剤を少量添加してもよい。
第2溶媒と接触させるポリマー(B)溶液の使用量は、第2溶媒の使用量1質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上、特に好ましくは0.7質量部以上であり、好ましくは100質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、特に好ましくは1.5質量部以下である。第2溶媒と接触させるポリマー(B)溶液の使用量が上記の範囲であると、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすいため、粒子径を低減しやすく、かつ粒子の分散性を向上しやすい。
工程(2)において、ポリマー(B)溶液を第2溶媒と接触させた後、第1溶媒を留去する。第1溶媒の留去により、粒子状ポリマー(B)の分散安定性を高めることができる。また、第1溶媒の留去により、ポリマー(B)がさらに析出してもよい。第1溶媒は少なくとも部分的に留去又は除去すればよく、粒子状ポリマー(B)を含む分散液中に第1溶媒が残存していてもよい。ポリマー(B)の凝集を抑制しやすく、かつ分散液を調製しやすい観点から、粒子状ポリマー(B)分散液中に第1溶媒が部分的に残存又は一部含有していることが好ましい。
工程(2)において、第1溶媒を留去する方法としては、特に限定されず、エバポレータ等を用いて減圧留去する方法が例示される。留去時の圧力及び温度については、第1溶媒と第2溶媒の沸点等の特性に応じて適宜選択できる。本製造方法では、第1溶媒と第2溶媒の混合液から第1溶媒を留去するため、通常、第1溶媒の沸点は第2溶媒の沸点よりも低い。
第1溶媒留去後に得られる粒子状ポリマー(B)分散液に含まれる第1溶媒の含有量は、第2溶媒の含有量100質量部に対して、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下、さらにより好ましくは45質量部以下、特に好ましくは40質量部以下、特により好ましくは35質量部以下、特にさらに好ましくは30質量部以下、特にさらにより30質量部未満、最も好ましくは25質量部以下であり、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上である。第1溶媒の含有量が上記の上限以下であると、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすいため、粒子径を低減しやすく、かつ粒子の分散性を向上しやすい。結果として、得られるフィルムの明度を低減しやすく、かつ耐吸水性、粒子分散性、表面平滑性及び機械的特性を高めやすい。また、第1溶媒の含有量が上記の下限以上であると、分散液を調製しやすい。なお、粒子状ポリマー(B)分散液中の前記第1溶媒の含有量は、ガスクロマトグラフィーにより測定でき、例えば実施例に記載の方法により算出できる。
本発明の一実施形態において、粒子状ポリマー(B)分散液に含まれる溶媒の含有量は、該分散液の質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であり、好ましくは99.99質量%以下、より好ましくは99.9質量%以下、さらに好ましくは99質量%以下、特に好ましくは95質量%以下である。溶媒の含有量が上記の範囲であると、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすいため、粒子径を低減しやすく、かつ粒子の分散性を向上しやすい。結果として、得られるフィルムの耐吸水性、粒子分散性、表面平滑性、及び機械的特性等を高めやすい。
本発明の一実施形態において、粒子状ポリマー(B)分散液に含まれる溶媒は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1溶媒と第2溶媒以外の他の溶媒を含んでいてもよい。他の溶媒としては、特に限定されず、慣用の溶媒を使用することができる。本発明の一実施形態において、第1溶媒と第2溶媒との合計質量は、分散液に含まれる溶媒の質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらにより好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。第1溶媒と第2溶媒との合計質量が上記の範囲であると、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすいため、粒子径を低減しやすく、かつ粒子の分散性を向上しやすい。結果として、得られるフィルムの耐吸水性、粒子分散性、表面平滑性、及び機械的特性等を高めやすい。
第1溶媒留去後に得られる粒子状ポリマー(B)分散液に含まれる粒子状ポリマー(B)の含有量は、該粒子状ポリマー(B)分散液の質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。ポリマー(B)の含有量が上記の範囲であると、粒子の分散性を向上しやすいため、フィルムの明度を低減しやすく、かつ耐吸水性、粒子分散性、表面平滑性、及び機械的特性を高めやすい。
前記粒子状ポリマー(B)分散液は、メジアン径が0.01~15μmの粒子状ポリマー(B)を含むことが好ましい。粒子状ポリマー(B)のメジアン径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、さらにより好ましくは3μm以下、特に好ましくは1μm以下、特により好ましくは0.8μm以下、特にさらに好ましくは0.5μm以下である。分散液中の粒子状ポリマー(B)のメジアン径が上記の下限以上であると、組成物から形成されるフィルムの誘電特性を高めやすく、またフィルムを製造しやすい。分散液中の粒子状ポリマー(B)のメジアン径が上記の上限以下であると、組成物から形成されるフィルムの明度を低減しやすく、かつ粒子分散性、耐吸水性、表面平滑性、及び屈曲耐性等の機械的特性を高めやすい。なお、分散液中の粒子状ポリマー(B)のメジアン径は、レーザー回析を用いた散乱式粒度分布測定により求めることができる。例えば、実施例に記載の通り、粒子状ポリマー(B)分散液を溶媒で希釈して分散液試料を調製し、得られた分散液試料をレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置(Malvern Panalytical社製、型式:NanоZS、屈折率:1.70-0.20i)を用いて測定することにより求めることができる。なお、本明細書において、メジアン径とはD50とも称され、その値よりもサイズの小さい側の粒子状ポリマー(B)の粒子数と、大きい側の粒子数とが等しくなる値を示す。
工程(3)は、粒子状ポリマー(B)分散液にポリイミド系樹脂(A)を添加する工程である。工程(3)において、添加するポリイミド系樹脂(A)は固体、好ましくは粉体の形態であってもよく、ポリイミド系樹脂(A)を所定の溶媒、例えば第2溶媒に溶かしたワニスの形態であってもよい。本発明の一実施形態では、工程(3)において、ポリイミド樹脂又はポリアミック酸を固体、好ましくは粉体の形態又はワニスの形態で添加することができる。ポリイミド系樹脂(A)をワニスの形態で添加する場合、ワニス中のポリイミド系樹脂(A)の含有量は、該ワニスの質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらにより好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。該ワニス中のポリイミド系樹脂(A)の含有量が上記の範囲であると、膜形成が容易となるため、フィルム製造の観点から有利である。
工程(3)で添加するポリイミド系樹脂(A)は、粒子状ポリマー(B)分散液中のポリマー(B)とポリイミド系樹脂(A)との合計質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。工程(3)で添加するポリイミド系樹脂(A)の含有量が上記の下限以上であると、膜形成が容易となるため、フィルム製造の観点から有利である。また、工程(3)で添加するポリイミド系樹脂(A)の含有量が上記の上限以下であると、分散液及び組成物中の粒子状ポリマー(B)の分散性が向上しやすいため、得られるフィルムの明度や熱伝導率又は熱拡散率などの物性のばらつきを低減しやすく、かつ耐吸水性、粒子分散性、表面平滑性及び機械的特性等を高めやすい。
該粒子状ポリマー(B)分散液にポリイミド系樹脂(A)を添加する方法は、特に限定されず、ポリイミド系樹脂(A)を一度に添加してもよく、ポリイミド系樹脂(A)を複数回にわけて添加してもよい。
本発明の一実施形態にかかる組成物調製工程は、本発明の効果を損なわない範囲で、工程(1)~(3)以外の工程を含んでいてもよく、ポリイミド系樹脂(A)及びポリマー(B)以外のポリマー又は添加剤、例えば上記に例示の添加剤などを使用してもよい。
なお、本発明の好適な実施形態では、粒子状ポリマー(B)分散液にポリイミド系樹脂(A)を添加するが、粉体形態のポリマー(B)をポリイミド系樹脂(A)のワニスに添加してもよい。前記工程(3)に示したように、ポリイミド系樹脂(A)のワニスは、ポリイミド系樹脂(A)を所定の溶媒、例えば第2溶媒に溶かしたものであってもよいし、ポリイミド系樹脂(A)の前駆体を合成した際の樹脂溶液、例えばポリアミック酸溶液(少なくともポリアミック酸と合成溶媒を含む溶液)であってもよい。
組成物調製工程で得られる組成物に含まれる粒子状ポリマー(B)の含有量は、ポリイミド系樹脂(A)と粒子状ポリマー(B)との合計質量に対して、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。該組成物に含まれる粒子状ポリマー(B)の含有量が上記の下限以上であると、粒子状ポリマー(B)の分散性が高めやすいため、得られるフィルムの明度を低減しやすく、かつ耐吸水性、粒子分散性、表面平滑性、及び機械的特性を高めやすい。また、該組成物に含まれる粒子状ポリマー(B)の含有量が上記の上限以下であると、フィルムの明度を低減しやすく、また膜形成が容易となるため、フィルム製造の観点から有利である。なお、フィルム中の粒子の分散性が高いと熱伝導率又は熱拡散率、及びCTEの均一性が高くなるため、例えばCCLの樹脂層として該フィルムを使用した場合に、フィルムと銅箔との剥がれを抑制しやすくなる。
なお、本発明の好適な実施形態では、粒子状ポリマー(B)分散液にポリイミド系樹脂(A)を添加するが、粉体形態のポリマー(B)をポリイミド系樹脂(A)のワニスに添加してもよい。
本発明の一実施形態において、組成物に含まれるポリイミド系樹脂(A)及び粒子状ポリマー(B)の合計質量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらにより好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。組成物に含まれるポリイミド系樹脂(A)及び粒子状ポリマー(B)の合計質量が上記の範囲であると、フィルムの耐吸水性、誘電特性、及び表面平滑性を向上しやすい。
組成物調製工程で得られる組成物に含まれる第1溶媒の含有量は、第2溶媒の含有量100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは45質量部以下、さらにより好ましくは30質量部以下、特に好ましくは30質量部未満、特により好ましくは25質量部以下であり、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上である。第1溶媒の含有量が上記の上限以下であると、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすく、また、粒子径を低減しやすいことから、分散性を向上しやすい。そのため、低明度、高耐吸水性、表面平滑性及び高い機械的特性を有するフィルムが得られやすい。また、第1溶媒の含有量が上記の上限以下であると、フィルムの熱伝導率又は熱拡散率の均一性、表面平滑性及び機械的特性を高めやすい。また、第1溶媒の含有量が上記の下限以上であると、組成物を調製しやすい。
組成物調製工程で得られる組成物に含まれる溶媒の含有量は、該組成物の質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。溶媒の含有量が上記の範囲内であると、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすく、また、粒子径を低減しやすいことから分散性を向上しやすい。そのため、高耐吸水性、表面平滑性及び高い機械的特性を有するフィルムが得られやすい。さらに、溶媒の含有量が上記の下限以上であると、得られる組成物を混錬しやすいため、フィルムの成形性を高めやすく、上記の上限以下であると、得られる組成物中の粒子状ポリマー(B)の沈降や浮上を抑制しやすいため、粒子状ポリマー(B)の分散性を高めやすい。
組成物調製工程で得られる組成物に含まれる溶媒は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1溶媒と第2溶媒と以外の他の溶媒を含んでいてもよい。他の溶媒としては、特に限定されず、慣用の溶媒を使用することができる。本発明の一実施形態において、第1溶媒と第2溶媒との合計質量は、組成物に含まれる溶媒の質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらにより好ましくは95質量%以上、好ましくは100質量%以下である。第1溶媒と第2溶媒との合計質量が上記の範囲内であると、粒子状ポリマー(B)の凝集を抑制しやすく、また、粒子径を低減しやすいことから分散性を向上しやすい。そのため、高耐吸水性、表面平滑性及び高い機械的特性を有するフィルムが得られやすい。
組成物調製工程で得られる組成物中の粒子状ポリマー(B)のメジアン径は、上記の分散液中の粒子状ポリマー(B)のメジアン径と同様の範囲から選択できる。組成物中の粒子状ポリマー(B)のメジアン径を求める方法は特に限定されないが、例えば遠心沈式粒度分布測定装置や超音波減衰式粒度分布測定装置により求めることができる。工程(3)において、粒子状ポリマー(B)の粒子径に影響を及ぼさない範囲の量で、ポリイミド系樹脂(A)を粒子状ポリマー(B)分散液に添加して組成物を形成する場合、分散液中の粒子径を測定して、これを組成物中の粒子径とすることもできる。
組成物調製工程で得られる組成物は、必要に応じて、上記に例示の添加剤を含むことができる。本発明の一実施形態において、本発明における組成物は、本発明の上記方法により製造されるため、相溶化剤を含んでいなくても、粒子状ポリマー(B)の粒子径が小さく、かつ分散性に優れている。そのため、本発明における組成物において、相溶化剤の含有量は、ポリイミド系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以下、さらにより好ましくは0.1質量部未満、特に好ましくは0.05質量部以下、特により好ましくは0.01質量部以下、特にさらに好ましくは0.001質量部以下であり、最も好ましくは0質量部であってもよい。また、ポリイミド系樹脂(A)が、例えばポリアミック酸のようなポリイミド系樹脂前駆体であり、フィルム製造時に熱イミド化が必要な場合には、相溶化剤によるイミド化の阻害や、加熱による相溶化剤の変質によるフィルムの特性悪化を防ぐ観点からは、相溶化剤の含有量は、上記範囲の中でも、0.1質量部未満であることが好ましい。該相溶化剤の上記含有量は、ポリイミド系樹脂(A)100質量部に代えて、ポリイミド系樹脂(A)とポリマー(B)との合計100質量部を基準とした含有量としてもよい。
(塗布工程及びフィルム形成工程)
塗布工程は、前記工程(1)~(3)で得られた組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程である。
塗布工程において、公知の塗布方法により、基材上に組成物を塗布して塗膜を形成する。公知の塗布方法としては、例えばワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、ダイコート法、カンマコート法、リップコート法、スピンコーティング法、スクリーン印刷コーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法、カーテンコート法、スロットコート法、流涎成形法等が挙げられる。
基材の例としては、銅板(銅箔含む)、SUS板(SUS箔、SUSベルト含む)、ガラス基板、PETフィルム、PENフィルム、他のポリイミド系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム等が挙げられる。中でも、耐熱性に優れる観点から、好ましくは銅板、SUS板、ガラス基板、PETフィルム、PENフィルム等が挙げられ、フィルムとの密着性及びコストの観点から、より好ましくは銅板、SUS板、ガラス基板又はPETフィルム等が挙げられる。
フィルム形成工程において、塗膜を乾燥し、基材から剥離することによって、フィルムを形成することができる。本発明の一実施形態において、基材が銅箔の場合には、塗膜を銅箔から剥離することなくフィルムを形成し、得られた銅箔上にフィルムが積層された積層体を銅張積層板に用いることもできる。剥離する場合、剥離後にさらにフィルムを乾燥する乾燥工程を行ってもよい。塗膜の乾燥は、ポリイミド系樹脂(A)の耐熱性などに応じて適宜選択できるが、本発明の一実施形態では、50~450℃、好ましくは70~400℃の温度にて行うことができ、本発明の別の実施形態では、50~350℃、好ましくは70~300℃の温度にて行うことができる。本発明の好適な実施形態では、段階的に乾燥を行うことが好ましい。段階的に乾燥を行うことにより、組成物を均一に乾燥することができ、得られるフィルムの明度を低減しやすいため、耐吸水性を向上しやすいことに加え、得られるフィルムのTgが向上することによるCTEの低減、及び機械的特性、表面平滑性の向上を達成しやすい。例えば、50~150℃の比較的低温下で加熱した後、200~450℃、好ましくは200~350℃で加熱してもよい。乾燥又は加熱の時間は、好ましくは5分~10時間、より好ましくは10分~5時間である。このような範囲で段階的に低温から高温に加熱することにより、得られるフィルムの耐吸水性、熱伝導率又は熱拡散率の均一性、光学特性及びTgを向上しやすい。必要に応じて、窒素やアルゴン中等の不活性雰囲気条件下、真空もしくは減圧条件下、及び/又は通風下において塗膜の乾燥を行ってもよい。
段階的に乾燥を行う場合、段階的な乾燥の間で、基材から塗膜を剥離後、塗膜の乾燥を継続してもよく、全ての乾燥が終了してから基材から塗膜(フィルム)を剥離してもよい。例えば1段階目の乾燥後に基材から塗膜を剥離して2段階目以降の乾燥を行ってもよいし、すべての乾燥段階が終了した後に基材から塗膜(フィルム)を剥離してもよい。なお、1段階目の乾燥は予備乾燥であってよい。
基材が銅箔である場合、例えば、銅箔を、第二塩化鉄溶液等でエッチング除去することで、基材である銅箔からフィルムを剥離してよい。
本発明の一実施形態において、組成物中のポリイミド系樹脂(A)がポリイミド系樹脂前駆体、例えばポリアミック酸であり、フィルム製造時にポリイミド系樹脂を生成する場合、該組成物を基材に塗布後、加熱により熱イミド化することが好ましい。該加熱により、溶媒を除去する乾燥と熱イミド化を同時に行うことができる。乾燥及びイミド化温度は、通常50~450℃の範囲であり、優れた耐吸水性を有し、かつ平滑なフィルムを得やすい観点からは、段階的に加熱を行うことが好ましい。例えば、50~150℃の比較的低温下で加熱して溶媒を除去した後、300~450℃の範囲の温度まで段階的に加熱してもよい。加熱の時間は、例えば上記範囲と同様の範囲から選択できる。
本発明のフィルムが多層フィルムである場合には、例えば、共押出加工法、押出ラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法等の多層フィルム形成法により製造することができる。
〔組成物〕
本発明は、ポリイミド系樹脂(A)、粒子状ポリマー(B)及び溶媒を含み、該溶媒は第1溶媒と第2溶媒とを含み、第2溶媒と粒子状ポリマー(B)とのHSP値間距離が8.5以上である組成物も包含する。本発明の好適な実施形態において、本発明の組成物は、上記〔フィルムの製造方法〕の項に記載の組成物であることが好ましく、組成物に含まれるポリイミド系樹脂(A)、粒子状ポリマー(B)及び溶媒は、〔フィルム〕及び〔フィルムの製造方法〕の項に記載のものと同様である。
本発明の組成物は、ポリイミド系樹脂(A)、粒子状ポリマー(B)及び溶媒を含み、該溶媒は第1溶媒と第2溶媒とを含み、第2溶媒と粒子状ポリマー(B)とのHSP値間距離が8.5以上であるため、明度が低減され、その結果として耐吸水性を向上したフィルムを形成できる。また、本発明の組成物は、従来の複合フィルムと比べ、CTEが低減されたフィルムを形成できる。さらに、本発明の組成物はポリマー(B)のTgが大きいにもかかわらず、優れた屈曲耐性等の機械的特性を発現し得るフィルムを形成できる。そのため、本発明の組成物は、優れた耐吸水性、表面平滑性、耐熱性及び屈曲耐性等の機械的特性と低減されたCTEとを併せて有するフィルムを形成できる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。まず測定方法について説明する。
<明度>
実施例及び比較例で得られた複合フィルムについて、反射光の明度(L*)をフィルムの両面において、分光測色計を用いて下記条件にて評価を行った。
装置:コニカミノルタ(株)製 CM3700A
光源:D光源
入射光:フィルムに対して、法線方向から角度2°で照射
検出モード:反射SCE
ターゲットマスク:LAVマスク(測定範囲:直径8mm)
サンプル測定条件:フィルムを反射測定位置に設置し、ダークボックスで蔽い測定。
<ヘーズ>
実施例及び比較例で得られた複合フィルムについて、JIS K 7136に基づき、ヘーズメーターを用いて下記条件にて測定を行った。測定値は5回測定した値の平均値とした。
装置:(株)村上色彩技術研究所製 HM―150
測定回数:5回
<ノルボルネン(NB)含有量>
製造例で得られたシクロオレフィンコポリマーにおけるノルボルネン由来の単量体単位の含有量(「NB含有量」ともいう)は、13C-NMRを用いて測定した。13C-NMR測定条件は、以下の通りである。
装置:Bruker社製 AVANCE600、10mmクライオプローブ
測定温度:135℃
測定方法:プロトンデカップリング法
濃度:100mg/mL
積算回数:1024回
パルス幅:45度
パルス繰り返し時間:4秒
化学シフト値基準:テトラメチルシラン
溶媒:1,2-ジクロロベンゼン-d4と1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2との体積比85:15の混合溶媒
シクロオレフィンコポリマー中のNB含有量は、1,2-ジクロロベンゼン(127.68ppm)を基準とし、「R.A.Wendt,G.Fink,Macromol.Chem.Phys.,2001,202,3490」に記載の帰属に基づいて算出した。具体的には、13C-NMRを用いて測定されたスペクトルチャートのケミカルシフト値44.0-52.0ppmに観測されるシグナル積分値:IC2,C3(ノルボルネン環の2、3位の炭素原子に由来)、ケミカルシフト値27.0-33.0ppmに観測されるシグナル積分値:IC5,C6+ICE(ノルボルネン環の5、6位の炭素原子と、エチレン部の炭素原子とに由来)より、以下の式から求めた。
NB含有量(mol%)=IC2,C3/(IC5,C6+ICE)×100
<ハンセン溶解度パラメータ(HSP)及びHSP値間距離>
製造例で得られたシクロオレフィンコポリマー、ポリイミド系樹脂、溶媒及びフッ素ポリマーのハンセン溶解度パラメータ(HSP)、並びにHSP値間距離は以下のように求めた。
(溶媒のハンセン溶解度パラメータ(HSP))
溶媒のHSP値は、HSPiP(Ver.4.1.07)のデータベースの数値を用い、GBLのδDは18.0MPa0.5、δPは16.6MPa0.5、δHは7.4MPa0.5とし、DMAcのδDは16.8MPa0.5、δPは11.5MPa0.5、δHは9.4MPa0.5とし、トルエンのδDは18.0MPa0.5、δPは1.4MPa0.5、δHは2.0MPa0.5とした。
(シクロオレフィンコポリマーのHSP)
シクロオレフィンコポリマーの各種溶媒への溶解性を評価した。溶解性の評価は、透明の容器に溶解度パラメータが既知の溶媒(HSPiPのデータベースを参照、使用した溶媒:塩化メチル、1,4-ジクロロベンゼン、クロロホルム、トルエン、p-キシレン、GBL、DMAc、NMP、水、アセトン、ジヨードメタン、安息香酸ブチル) 10mLとシクロオレフィンコポリマー 0.1gとを入れて混合液を調製した。得られた混合液に対して累計6時間超音波処理を施した。超音波処理後の混合液の外観を目視にて観察し、得られた観察結果から下記の評価基準に基づいて、それぞれの樹脂の溶媒への溶解性を評価した。
(評価基準)
2:室温で混合液の外観は白濁、沈殿が発生しているが、50℃に加温して攪拌子で30分攪拌することで混合液の外観が透明になる。
1:室温で混合液の外観は透明である。
0:室温で混合液の外観は白濁、沈殿が発生しており、50℃に加温して攪拌子で30分攪拌しても混合液の外観が透明にならない。
得られたシクロオレフィンコポリマーの溶媒への溶解性の評価結果から、HSPiPを用い、上述のハンセン溶解球法によりHSP値を算出した。
(ポリイミド系樹脂のHSP)
ポリイミド樹脂の各種溶媒への溶解性を評価した。溶解性の評価は、透明の容器に溶解度パラメータが既知の溶媒(HSPiPのデータベースを参照、使用した溶媒:アセトン、トルエン、エタノール、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサン、GBL、エチルアセテート、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1-ブタノール、N-メチルホルムアミド、1-メチルナフタレン、ブロモベンゼン、1-メチルイミダゾール、ピラゾール、酢酸) 10mLとポリイミド系樹脂 0.1gとを入れて混合液を調製した。得られた混合液に対して累計6時間超音波処理を施した。超音波処理後の混合液の外観を目視にて観察し、得られた観察結果から下記の評価基準に基づいて、それぞれの樹脂の溶媒への溶解性を評価した。
(評価基準)
1:混合液の外観は白濁している。
0:混合液の外観は透明である。
得られたポリイミド系樹脂の溶媒への溶解性の評価結果から、HSPiPを用い、上述のハンセン溶解球法によりHSP値を算出した。
(フッ素ポリマー(PTFE)のHSP)
PTFEのHSP値は、文献(Marion K. Buckley-Smith, "The Use of Solubility Parameters to Select Membrane Materials for Pervaporation of Organic Mixtures", The University of Waikato, Hamilton, New Zealand, 2006, P52)に記載の数値を使用した。δDは17.1MPa0.5、δPは8.1MPa0.5、δhは1.3MPa0.5とした。
(HSP値間距離)
2つの物質のHSP値間距離(Ra)は、式(Y)に従って求めた。
<メソ型二連鎖/ラセモ型二連鎖>
製造例で得られたシクロオレフィンコポリマーのノルボルネン二連鎖のメソ型二連鎖とラセモ型二連鎖との比(メソ型二連鎖/ラセモ型二連鎖)は、13C-NMRを用いて上記NB含有量の測定と同様の条件にて測定した。
前記ノルボルネン二連鎖のメソ型二連鎖/ラセモ型二連鎖は、1,1,2,2-テトラクロロエタン(74.24ppm)を基準とし、「R.A.Wendt,G.Fink,Macromol.Chem.Phys.,2001,202,3490」及び「特開2008-285656号公報」に記載の帰属に基づいて算出した。具体的には、メソ型二連鎖/ラセモ型二連鎖は、13C-NMRを用いて測定されたスペクトルチャートのケミカルシフト値27.5-28.4ppmに観測されるシグナル積分値:IC5,C6-m(メソ型二連鎖のノルボルネン環の5、6位の炭素原子に由来)、ケミカルシフト値28.4-29.6ppmに観測されるシグナル積分値:IC5,C6-r(ラセモ型二連鎖のノルボルネン環の5、6位の炭素原子に由来)より、以下の式から求めた。
メソ型二連鎖/ラセモ型二連鎖=IC5,C6-m/IC5,C6-r
<屈折率>
製造例で得られたシクロオレフィンコポリマーの屈折率は、真空プレス機で厚さ100μmに成形したシート状の試料を用いて、下記条件で測定することにより求めた。
機器:(株)アタゴ製 アッベ屈折計、TYPE-3
光源波長:589.3nm
中間液:1-ブロモナフタレン
測定温度:23±1℃
<ガラス転移温度>
(シクロオレフィンコポリマー)
製造例で得られたシクロオレフィンコポリマーのTgは、JIS K 7196に基づき、TMAにより軟化温度を測定することにより求められた。具体的には、シクロオレフィンコポリマーを真空プレス機でシート状に成型した試料(厚さ:1.0mm)を下記条件で測定し、圧子が試料に沈み込む際の変位のオンセットを軟化温度とした。
装置:(株)日立ハイテクサイエンス製、TMA/SS6200
圧子径:1mm
荷重:780mN
温度プログラム:20℃から380℃まで5℃/分の速度で昇温
(ポリイミド系樹脂)
製造例で得られたポリイミド系樹脂のTgは、以下の測定により求められた。TA Instrument社製、DMA Q800を用い、次のような試料及び条件下で測定して、損失弾性率と保存弾性率の値の比であるtanδ曲線を得た後、tanδ曲線のピークの最頂点からTgを算出した。
試料:長さ5-15mm、幅5mm
実験モード:DMA Multi-Frequency-Strain
実験モード詳細条件:
(1)Clamp:Tension:Film
(2)Amplitude:5μm
(3)Frequncy:10Hz(全温度区間で変動なし)
(4)Preload Force:0.01N
(5)Force Track:125N
温度条件:(1)昇温範囲:常温~400℃、(2)昇温速度:5℃/分
主要収集データ:(1)保存弾性率(Storage modulus、E’)、(2)損失弾性率(Loss modulus、E”)、(3)tanδ(E”/E’)
<シクロオレフィンコポリマーのMw及びMn>
製造例で得られたシクロオレフィンコポリマーのポリスチレン換算のMw及びMnは、GPCを用いて測定した。GPC測定は下記条件で行い、ISO16014-1の記載に基づき、クロマトグラム上のベースラインを規定してピークを指定した。
(GPC装置及びソフトウェア)
装置:HLC-8121GPC/HT(東ソー(株)製)
測定ソフト:GPC-8020 modelII データ収集 Version 4.32(東ソー(株)製)
解析ソフト:GPC-8020 modelII データ解析 Version 4.32(東ソー(株)製)
(測定条件)
GPCカラム:TSKgel GMH6-HT 7.8mm I.D.×300mm(東ソー(株)製) 3本連結
移動相:オルトジクロロベンゼン(富士フイルム和光純薬(株)製、特級)に2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(以下、BHTと記載することがある)を0.1w/V、すなわち0.1g/100mLの濃度で添加して使用した。
流速:1mL/分
カラムオーブン温度:140℃
オートサンプラー温度:140℃
システムオーブン温度:40℃
検出:示差屈折率検出器(RID)
RIDセル温度:140℃
試料溶液注入量:300μL
GPCカラム校正用標準物質:東ソー(株)製標準ポリスチレンを下記表1のような組合せで量り取り、組合せごとに移動相と同組成のオルトジクロロベンゼン 5mLを加え、室温で2時間溶解させて調製した。得られたGPCカラム校正用標準物質を用いてカラムの校正を行ってから、以下に示すように、試料の測定を実施した。
(試料溶液調製条件)
溶媒:オルトジクロロベンゼン(富士フイルム和光純薬(株)製、特級)に、BHTを0.1w/V、すなわち0.1g/100mLの濃度で添加して使用した。
試料溶液濃度:1mg/mL
溶解用自動振とう器:DF-8020(東ソー(株)製)
溶解条件:5mgの試料を1,000meshのSUS製の金網袋に封入し、試料を封入した金網袋を試験管に入れ、さらに前記移動相と同組成のオルトジクロロベンゼン 5mLを加え、試験管にアルミホイルで蓋をし、試験管をDF-8020にセットし、60往復/分の撹拌速度で140℃にて120分間撹拌した。攪拌後の溶液を試料として、GPC測定を行った。
<ポリイミド樹脂のMw>
製造例で得られたポリイミド樹脂のポリスチレン換算のMwは、GPCを用いて測定した。GPC測定は下記条件で行った。
GPC測定
(1)前処理方法
サンプルにDMF溶離液(10mmol/L臭化リチウム添加DMF溶液)を濃度2mg/mLとなるように加え、80℃にて30分間攪拌しながら加熱し、冷却後、0.45μmメンブランフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(2)測定条件
カラム:TSKgel SuperAWM-H×2+SuperAW2500×1(内径6.0mm、長さ150mm、3本連結)
溶離液:DMF(10mmol/Lの臭化リチウム添加)
流量:1.0mL/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μL
分子量標準:標準ポリスチレン
<溶解性の評価>
実施例及び比較例で使用した溶媒に、シクロオレフィンコポリマー、PTFE及びポリイミド樹脂が溶解するか否かの評価は以下のように行った。
まず、30mLのガラス製スクリュー管に溶媒9.9gを量り取り、さらにマグネチックスターラーを入れて撹拌する。そこにポリマー又は樹脂を0.1g加え、24℃で24時間攪拌する。24時間撹拌後、目視で固体が確認できない、かつ溶液が透明の場合は「溶解する」と評価した。一方、目視で固体を確認できる、又は、溶液が不透明の場合は「溶解しない」と評価した。
<分散液及び組成物中の粒子状シクロオレフィンコポリマーの粒子径、及び分散液及び組成物中の粒子状PTFEの粒子径>
実施例及び比較例で得られた粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液中の粒子状シクロオレフィンコポリマー及び粒子状PTFE分散液中の粒子状PTFEのメジアン径を、レーザー回折を用いた散乱式粒度分布測定により求めた。
具体的には、容量3.5mLのガラス製セルに、実施例で得られた分散液を入れ、さらにGBL又はDMAcにて(分散液と同溶媒を用いて)1000倍希釈し、粒子状シクロオレフィンコポリマーもしくはPTFEを含有する分散液試料を得た。得られた分散液試料をレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置(Malvern Panalytical社製、型式:NanоZS、屈折率:1.70-0.20i)を用いて測定し、粒子状シクロオレフィンコポリマー及び粒子状PTFEのメジアン径を求めた。
なお、上記の通り、実施例及び比較例では粒子状シクロオレフィンコポリマー及び粒子状PTFEの粒子径に影響しない範囲の量でポリイミド樹脂を分散液に添加して組成物を形成したため、分散液中の粒子状シクロオレフィンコポリマー及び粒子状PTFEのメジアン径を組成物中の粒子状シクロオレフィンコポリマー及び粒子状PTFEのメジアン径とした。
<複合フィルムの厚さ>
実施例及び比較例で得られた複合フィルムの厚さは、デジマチックインジケータ((株)ミツトヨ製、ID-C112XBS)を使用し、フィルムの任意の5点以上の厚さを測定し、それらの平均値を複合フィルムの厚さとした。
<粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液及び粒子状PTFE分散液中の溶媒含有量>
実施例及び比較例で得られた粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液及び粒子状PTFE分散液中の溶媒含有量は、ガスクロマトグラフィーにより測定した。具体的には下記条件で測定を行い、一点検料によりシクロオレフィンコポリマー分散液及び粒子状PTFE分散液中の溶媒含有量を算出した。
装置:Agilent 7890Bガスクロマトグラフ(アジレント・テクノロジー(株)製)
カラム:DB-5(アジレント・テクノロジー(株)製)
キャリアガス:ヘリウム
注入口温度:200℃
検出器温度:250℃
内部標準液:ベンジルアルコール
溶媒:クロロホルム
<CTE>
(複合フィルムのCTE)
実施例及び比較例で得られた複合フィルムのCTEは、TMAにより測定した。具体的には、下記条件で測定を行い、50℃から100℃におけるCTEを算出した。
装置:(株)日立ハイテクサイエンス製 TMA/SS7100
圧子(プローブ)径:3.5mm
荷重:50.0mN
温度プログラム:20℃から130℃まで5℃/分の速度で昇温
試験片:40mm×10mm×50μmの直方体
(シクロオレフィンコポリマーのCTE)
シクロオレフィンコポリマーのCTEは、TMAを用いて、下記条件で測定を行い、50℃から100℃におけるCTEを算出した。
装置:(株)日立ハイテクサイエンス製 TMA/SS6200
圧子(プローブ)径:3.5mm 荷重:38.5mN 温度プログラム:20℃から130℃まで5℃/分の速度で昇温
試験片:10mm×10mm×1mmの直方体
<複合フィルムの吸水率>
実施例及び比較例で得られた複合フィルムを、100mm×90mmの大きさに切り出した。切り出した複合フィルムを80℃で3時間乾燥させたのち、複合フィルムの質量を測定し、水蒸気暴露前の質量W0とした。
直径75mmの円筒形のビーカーを準備し、その中に150gの水を入れ、該ビーカーを120℃に設定したホットプレート上に置き、水を沸騰させた。水を沸騰させている間、蒸気が逃げないように、金属板でビーカーに蓋をした。水が十分に沸騰した後、金属板の蓋を外し、前記複合フィルムにおいて、該フィルムの製膜時にガラス基板に接していた面と反対の面が、蒸気と接する面となるようにして、該フィルムでビーカーに蓋をし、さらにその上を金属板で蓋をして、複合フィルムを水蒸気に暴露させた。5分経過後、複合フルムを取り出して質量を測定し、水蒸気暴露後の質量W1とした。以下の式よりフィルムの吸水率(%)を計算した。
吸水率(%)=(W1-W0)/W1×100
<複合フィルムの平均厚さの標準偏差>
実施例及び比較例で得られた複合フィルムの平均厚さの標準偏差は、以下のように算出した。
ガラス基板上に密着するように固定したフィルム表面において、触診式表面形状測定器(ブルカージャパン(株) Dektak XTE)を用いて、任意の連続する直線1mmの領域における、ガラス基板を基準面とする厚さプロファイル(高さプロファイル)を得た。該領域を10等分割して10個の測定領域を設定し、次いで、10個の各測定領域におけるそれぞれの平均厚さ(平均高さ)を求めた。そして、得られた各測定領域における10点の平均厚さデータから複合フィルムの平均厚さの標準偏差を算出した。
<試薬の詳細>
シクロオレフィンコポリマーの合成には、住友化学(株)製のトルエン、富士フイルム和光純薬(株)製のスチレン、荒川化学工業(株)製の2-ノルボルネン(以下、NBという)、東ソー・ファインケム(株)製のトリイソブチルアルミニウム(以下、TIBAという)、AGC(株)製のN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(以下、ABという)を用いた。
トルエンは、モレキュラーシーブス13X(ユニオン昭和(株)製)と活性アルミナ(住友化学(株)製、NKHD-24)とを用いて脱水し、次いで、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を除去したものを使用した。
NBは、トルエンに溶解させた後、モレキュラーシーブス13X(ユニオン昭和(株)製)と活性アルミナ(住友化学(株)製、NKHD-24)とを用いて脱水し、次いで、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を除去したものを使用した(以下、NB溶液という)。なお、NB溶液中のNB濃度は、ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3-tert-ブチル-5-メチル-2-フェノキシ)チタンジクロリド(以下、錯体という)は、特開平9-183809号公報に記載の方法に従って合成したものを使用した。
[シクロオレフィンコポリマー溶液1の製造]
<製造例1>
内部を減圧乾燥したオートクレーブに、NB溶液 1,501mL(NB濃度:3.00mol/L)を加え、60℃に昇温した。系内を攪拌しながら、エチレン分圧:100kPaで加圧した後、TIBAのヘキサン溶液 4.0mL(濃度:1.0mol/L)と、AB 0.16gと、錯体のトルエン溶液 10.0mL(濃度:10mmol/L)とを加え、エチレンとNBとの重合を開始した。重合中は系内の温度を60℃に保ち、また、エチレンを連続的に供給して系内の圧力を開始時の値に保った。重合開始から3時間経過後、水 5.0mLを加えて重合を停止し、オートクレーブ内の溶液を抜き出した。抜き出された溶液に、トルエン 1,500gと、硫酸マグネシウム 100gとを加えて攪拌し、次いで、水 100mLを加えて攪拌し、固体を濾過により除去した。得られた液体をアセトンに滴下し、析出した粉末を濾過により単離した。単離された粉末を更にアセトンで洗浄し、減圧下、120℃で2時間乾燥して、シクロオレフィンコポリマー 210.0gを得た。得られたシクロオレフィンコポリマーにおいて、NB含有量は84.1mol%であり、Tgは293℃であり、Mwは521,000であり、Mw/Mnは1.87であり、CTEは49.4ppm/Kであった。該シクロオレフィンコポリマーのδDは17.7MPa0.5であり、δPは2.1MPa0.5であり、δHは3.9MPa0.5であり、メソ型二連鎖/ラセモ型二連鎖は0.19であり、屈折率は、1.538であった。製造例1の合成条件を表2に示す。このシクロオレフィンコポリマーをトルエン溶液に2質量%の濃度で溶解して、シクロオレフィンコポリマー溶液1を得た。
[シクロオレフィンコポリマー破砕粉の製造]
<製造例2>
内部を減圧乾燥した反応釜に、NB溶液 611.7L(NB濃度:3.00mol/L)を加え、60℃に昇温した。系内を攪拌しながら、エチレン分圧:100kPaで加圧した後、TIBAのヘキサン溶液 0.51L(濃度:0.6mol/L)と、ABのトルエン溶液 40.8L(濃度:1.0mmol/L)と、錯体のトルエン溶液 2.0L(濃度:10mmol/L)とを加え、エチレンとNBとの重合を開始した。重合中は系内の温度を60℃に保ち、また、エチレンを連続的に供給して系内の圧力を開始時の値に保った。重合開始からエチレン消費量が3.0kgに到達した後に、水 1.0Lを加えて重合を停止した。反応釜内にNaOH水溶液 612L(濃度:0.1mol/L)を加え、30分間撹拌した。撹拌を停止し、水溶液を抜き出し、水 612Lを加え30分間撹拌した。さらに水 612Lを加え30分間攪拌した後、反応釜にトルエン 942Lとアセトン 49.5Lとを混合した溶液を加え、続いてアセトンを 314L加え、析出した粉体を濾過により単離した。単離された粉末を更にアセトンで洗浄し、減圧下、120℃で2時間乾燥して、シクロオレフィンコポリマー 60.0kgを得た。得られたシクロオレフィンコポリマーにおいて、NB含有量は92.3mol%であり、Tgは308℃であり、Mwは852,000であり、Mw/Mnは1.81であった。また、該シクロオレフィンコポリマーのδDは17.7MPa0.5であり、δPは2.1MPa0.5であり、δHは3.9MPa0.5であり、CTEは44.5ppm/Kであった。
このシクロオレフィンコポリマーを、ホソカワミクロン(株)製のカウンタージェットミルで粉砕し、フィルターにより分級することによって、メジアン径が2.6μmの粒子であるシクロオレフィンコポリマー破砕粉を得た。
[シクロオレフィンコポリマー溶液2の製造]
<製造例3>
内部を減圧乾燥したオートクレーブに、NB溶液 1,427mL(NB濃度:3.00mol/L)と、スチレン55.2mLとを加え、80℃に昇温した。系内を攪拌しながら、TIBAのヘキサン溶液 3.0mL(濃度:1.0mol/L)と、AB 0.32gと、錯体のトルエン溶液 15.0mL(濃度:10mmol/L)とを加え、NBとスチレンの重合を開始した。重合中は系内の温度を80℃に保った。重合開始から2時間経過後、水 3.0mLを加えて重合を停止し、オートクレーブ内の溶液を抜き出した。抜き出された溶液に、得られた液体をアセトンに滴下し、析出した粉末を濾過により単離した。単離された粉末を更にアセトンで洗浄し、減圧下、150℃で2時間乾燥して、シクロオレフィンコポリマー 198.3gを得た。得られたシクロオレフィンコポリマーにおいて、NB含有量は96.3mol%であり、Mwは79,000であり、Mw/Mnは1.83であり、Tgは300℃超であった。また、該シクロオレフィンコポリマーのδDは17.7MPa0.5であり、δPは2.1MPa0.5であり、δHは3.9MPa0.5であった。製造例3の合成条件を表3に示す。このシクロオレフィンコポリマーをトルエン溶液に2質量%の濃度で溶解して、シクロオレフィンコポリマー溶液2を得た。
[ポリイミド樹脂の合成]
<製造例4>
セパラブルフラスコにシリカゲル管、攪拌装置及び温度計を取り付けた反応器と、オイルバスとを準備した。乾燥窒素を用いてこのフラスコ内を窒素雰囲気にした後、6FDA 75.52gと、TFMB 54.44gとを入れた。これを400rpmで攪拌しながらDMAc 519.84gを加え、フラスコの内容物が均一な溶液になるまで攪拌を続けた。続いて、オイルバスを用いて容器内温度が20~30℃の範囲になるように調整しながらさらに20時間攪拌を続け、反応させてポリアミック酸を生成させた。30分後、攪拌速度を100rpmに変更した。20時間攪拌後、反応系温度を室温に戻し、DMAc 649.8gを加えてポリマー濃度が10質量%となるように調整した。さらに、ピリジン 32.27gと、無水酢酸 41.65gとを加え、室温で10時間攪拌してイミド化を行った。反応容器からポリイミドワニスを取り出した。得られたポリイミドワニスをメタノール中に滴下して再沈殿を行い、得られた粉体を加熱乾燥して溶媒を除去し、固形分としてポリイミド樹脂を得た。得られたポリイミド樹脂のδDは18.1MPa0.5であり、δPは8.3MPa0.5であり、δHは9.3MPa0.5であった。また、該ポリイミド樹脂のMwは334,300であり、Tgは361℃であった。
[ポリアミック酸の合成]
<製造例5>
セパラブルフラスコにシリカゲル管、攪拌装置及び温度計を取り付けた反応器と、オイルバスとを準備した。このフラスコ内に、BPDA 27.83gと、PMDA 13.76gと、m-TB 34.00gとを入れた。これを400rpmで攪拌しながら、DMAc 428.35gを加え、フラスコの内容物が均一な溶液になるまで攪拌を続けた。続いて、オイルバスを用いて容器内温度が20~30℃の範囲になるように調整しながらさらに3時間攪拌を続け、反応させて溶媒に分散した状態のポリアミック酸溶液を得た。
〔実施例1〕
製造例1で得られたシクロオレフィンコポリマー溶液1 100.0gとGBL 98.0gとを混合し、トルエン含有量がGBL 100質量部に対して7質量部となるように、50hPa、80℃で減圧留去してトルエンを留去し、粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液を得た。
得られた分散液 32.1g(シクロオレフィンコポリマー 1.9質量%)に、上記で得られたポリイミド樹脂 1.9gを添加して、ポリイミド-シクロオレフィンコポリマー混合溶液として、組成物を得た。上記方法にて測定した分散液及び組成物中の粒子状シクロオレフィンコポリマーのメジアン径は0.15μmであった。得られた組成物において、1mmを超えるシクロオレフィンコポリマーの凝集体は確認されなかった。
得られた組成物をガラス基板上において流涎成形し、線速0.4m/分で塗膜を成形した。70℃で60分、塗膜を加熱させ、ガラス基板からフィルムを剥離した後、金枠でフィルムを固定し更に200℃で1時間加熱することにより、厚さ60μmのポリイミド-シクロオレフィンコポリマー複合フィルムを得た。得られた複合フィルム中の粒子状シクロオレフィンコポリマーの含有量は、ポリイミド樹脂及び粒子状シクロオレフィンコポリマーの合計質量に対して、24質量%であった。また、得られた複合フィルムのCTEは44ppm/Kであった。さらに、得られた複合フィルムの平均厚さの標準偏差は0.4であり、フィルム表面の平滑性にも優れていた。なお、得られた複合フィルムのヘーズは、44.8%であった。
実施例1で使用したシクロオレフィンコポリマーとポリイミド樹脂とのHSP値間距離は8.3であり、該シクロオレフィンコポリマーとトルエンとのHSP値間距離は2.1であり、ポリイミド樹脂とトルエンとのHSP値間距離は10.0であり、該シクロオレフィンコポリマーとGBLとのHSP値間距離は14.9であり、ポリイミド樹脂とGBLとのHSP値間距離は8.5であった。
上記溶解性の評価方法により、実施例1で使用したシクロオレフィンコポリマーはトルエンに溶解し、GBLに溶解しなかった。またポリイミド樹脂は、GBLに溶解し、トルエンに溶解しなかった。
〔実施例2〕
トルエン含有量がGBL 100質量部に対して20質量部となるように、50hPa、80℃で減圧留去してトルエンを留去し、粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液を得た以外は実施例1と同様にして、粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液を得た。
得られた粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液 35.9g(シクロオレフィンコポリマー 1.7質量%)に、上記で得られたポリイミド樹脂 1.9gを添加して、ポリイミド-シクロオレフィンコポリマー混合溶液として、組成物を得た。上記方法にて測定した分散液及び組成物中の粒子状シクロオレフィンコポリマーのメジアン径は0.14μmであった。得られた組成物において、1mmを超えるシクロオレフィンコポリマーの凝集体は確認されなかった。
得られた組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ60μmのポリイミド-シクロオレフィンコポリマー複合フィルムを得た。得られた複合フィルム中の粒子状シクロオレフィンコポリマーの含有量は、ポリイミド樹脂及び粒子状シクロオレフィンコポリマーの合計質量に対して、24質量%であった。また、得られた複合フィルムのCTEは44ppm/Kであった。また、得られた複合フィルムの平均厚さの標準偏差は0.37であり、フィルム表面の平滑性にも優れていた。なお、得られた複合フィルムのヘーズは、50.5%であった。
〔実施例3〕
トルエン含有量がGBL 100質量部に対して30質量部となるように、50hPa、80℃で減圧留去してトルエンを留去し、粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液を得た以外は実施例1と同様にして、粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液を得た。
得られた粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液 38.8g(シクロオレフィンコポリマー 1.5質量%)に、上記で得られたポリイミド樹脂 1.9gを添加して、ポリイミド-シクロオレフィンコポリマー混合溶液として、組成物を得た。上記方法にて測定した分散液及び組成物中の粒子状シクロオレフィンコポリマーのメジアン径は0.13μmであった。得られた組成物において、1mmを超えるシクロオレフィンコポリマーの凝集体は確認されなかった。
得られた組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ60μmのポリイミド-シクロオレフィンコポリマー複合フィルムを得た。得られた複合フィルム中の粒子状シクロオレフィンコポリマーの含有量は、ポリイミド樹脂及び粒子状シクロオレフィンコポリマーの合計質量に対して、24質量%であった。また、得られた複合フィルムのCTEは45ppm/Kであり、フィルム表面の平滑性にも優れていた。なお、得られた複合フィルムのヘーズは、65.7%であった。
〔実施例4〕
シクロオレフィンコポリマー破砕粉 2.73gと、DMAc 52.03gとを混合し、撹拌することで分散液を得た。得られた分散液のトルエン含有量はDMAc 100質量部に対して1.3質量部であった。
得られた分散液に、ポリアミック酸溶液 100g(ポリアミック酸 15質量%)を添加して、ポリアミック酸-シクロオレフィンコポリマー混合溶液としての組成物を得た。上記方法にて測定した分散液及び組成物中の粒子状シクロオレフィンコポリマーのメジアン径は2.6μmであった。得られた組成物において、1mmを超えるシクロオレフィンコポリマーの凝集体は確認されなかった。
得られた組成物をガラス基板上において流涎成形により、線速0.4m/分で塗膜を作製した。50℃で80分、塗膜を加熱させ、ガラス基板からポリアミック酸-シクロオレフィンコポリマー複合フィルムを剥離した後、金枠でフィルムを固定し更に窒素雰囲気下、360℃で15分間加熱することにより、ポリアミック酸はイミド化され、厚さ50μmのポリイミド-シクロオレフィンコポリマー複合フィルムを得た。得られたフィルムにおいて、粒子状シクロオレフィンコポリマーの含有量は、ポリイミド樹脂と粒子状シクロオレフィンコポリマーとの合計質量に対して15.4質量%であった。また、得られた複合フィルムのCTEは19ppm/Kであり、フィルム表面の平滑性にも優れていた。なお、得られた複合フィルムのヘーズは、98.9%であった。
実施例4で使用したシクロオレフィンコポリマーとポリアミック酸とのHSP値間距離は6.0以上であり、シクロオレフィンコポリマーとDMAcとのHSP値間距離は11.5あった。また、実施例4で使用したシクロオレフィンコポリマーと、ポリアミック酸をイミド化して得られたポリイミド樹脂とのHSP値間距離は6.0以上であった。
上記溶解性の評価方法により、実施例4で使用したシクロオレフィンコポリマーはトルエンに溶解し、DMAcに溶解しなかった。またポリアミック酸は、DMAcに溶解し、トルエンに溶解しなかった。
〔実施例5〕
粒子状PTFE(Pоlysciences Inc.製、融点;320℃、Mw:20,000) 5.69gと、DMAc 41.9gと、トルエン 0.2gとを混合し、撹拌することで分散液を得た。得られた分散液のトルエン含有量はDMAc 100質量部に対して0.5質量部であった。
得られた分散液にポリアミック酸溶液 100g(ポリアミック酸 15質量%)を添加して、ポリアミック酸-PTFE混合溶液としての組成物を得た。上記方法にて測定した分散液及び組成物中の粒子状PTFEのメジアン径は3μmであった。得られた組成物において、1mmを超えるPTFEの凝集体は確認されなかった。
得られた組成物をガラス基板上において流涎成形により、線速0.4m/分で塗膜を作製した。50℃で80分、塗膜を加熱させ、ガラス基板からポリアミック酸-PTFE複合フィルムを剥離した後、金枠でフィルムを固定し更に窒素雰囲気下、360℃まで段階的に30分でポリアミック酸-PTFE複合フィルムを加熱することにより、ポリアミック酸はイミド化され、厚さ50μmのポリイミド-PTFE複合フィルムを得た。得られたフィルムにおいて、粒子状PTFEの含有量は、ポリイミド樹脂とPTFEとの合計質量に対して27.5質量%であった。また、得られた複合フィルムのCTEは17ppm/Kであり、フィルム表面の平滑性にも優れていた。なお、得られた複合フィルムのヘーズは、88.0%であった。
実施例5で使用したPTFEとポリアミック酸とのHSP値間距離は6.0以上であり、PTFEとDMAcとのHSP値間距離は9.5であった。また、実施例5で使用したPTFEと、ポリアミック酸をイミド化して得られたポリイミド樹脂とのHSP値間距離は6.0以上であった。
上記溶解性の評価方法により、実施例5で使用したPTFEはDMAcに溶解しなかった。またポリアミック酸は、DMAcに溶解し、トルエンに溶解しなかった。
[実施例6]
得られたシクロオレフィンコポリマー溶液2 100.0gと、DMAc 98.0gとを混合し、トルエン含有量がDMAc 100質量部に対して0.6質量部となるように、50hPa、80℃で2時間減圧留去して、トルエンを留去し、粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液を得た。上記方法にて測定した粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液中の粒子状シクロオレフィンコポリマーのメジアン径は0.13μmであった。
得られた粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液 10.92g(粒子状シクロオレフィンコポリマー 2.0質量%)にポリアミック酸溶液 8.0gを添加して、ポリアミック酸-シクロオレフィンコポリマー混合溶液として、組成物を得た。得られた組成物において、1mmを超えるシクロオレフィンコポリマーの凝集体は確認されなかった。
得られた組成物をガラス基板上において流涎成形により、線速0.4m/分で塗膜を作製した。70℃で60分、塗膜を加熱させ、ガラス基板からポリアミック酸-シクロオレフィンコポリマー複合フィルムを剥離した後、金枠でフィルムを固定し更に窒素雰囲気下、360℃まで段階的に30分でポリアミック酸-シクロオレフィンコポリマー複合フィルムを加熱することにより、ポリアミック酸はイミド化され、厚さ30μmのポリイミド-シクロオレフィンコポリマー複合フィルムを得た。得られたフィルムにおいて、粒子状シクロオレフィンコポリマーの含有量は、ポリイミド樹脂と粒子状シクロオレフィンコポリマーとの合計質量に対して15.4質量%であった。また、得られた複合フィルムのCTEは18ppm/Kであり、得られた複合フィルム表面の平滑性にも優れていた。なお、得られた複合フィルムのヘーズは、96.6%であった。
実施例6で使用したシクロオレフィンコポリマーとポリアミック酸とのHSP値間距離は6.0以上であり、該シクロオレフィンコポリマーとトルエンとのHSP値間距離は2.1であり、該シクロオレフィンコポリマーとDMAcとのHSP値間距離は11.5であった。また、実施例6で使用したシクロオレフィンコポリマーと、ポリアミック酸をイミド化して得られたポリイミド樹脂とのHSP値間距離は6.0以上であった。
上記溶解性の評価方法により、実施例6で使用したシクロオレフィンコポリマーは、トルエンに溶解し、DMAcに溶解しなかった。実施例6で使用したポリアミック酸は、DMAcに溶解し、トルエンに溶解しなかった。
〔比較例1〕
トルエン含有量がGBL 100質量部に対して40質量部となるように、50hPa、80℃で減圧留去してトルエンを留去し、粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液を得た以外は、実施例1と同様にして粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液を得た。上記方法にて測定した分散液及び組成物中の粒子状シクロオレフィンコポリマーのメジアン径は0.13μmであった。
得られた分散液 41.8g(シクロオレフィンコポリマー 1.4質量%)に、上記で得られたポリイミド樹脂 1.9gを添加して、ポリイミド-シクロオレフィンコポリマー混合溶液として、組成物を得た。得られた組成物において、1mmを超えるシクロオレフィンコポリマーの凝集体は確認されなかった。
得られた組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ60μmのポリイミド-シクロオレフィンコポリマー複合フィルムを得た。得られた複合フィルム中の粒子状シクロオレフィンコポリマーの含有量は、ポリイミド樹脂及び粒子状シクロオレフィンコポリマーの合計質量に対して、24質量%であった。また、得られた複合フィルムのCTEは44ppm/Kであった。また、得られた複合フィルムの平均厚さの標準偏差は1.77であった。なお、得られた複合フィルムのヘーズは、69.3%であった。
実施例及び比較例で得られたポリイミド-シクロオレフィンコポリマー複合フィルム及びポリイミド-PTFE複合フィルムのヘーズ、明度、該複合フィルムの吸水率を上記方法に従い測定した。得られた結果を表4に示す。なお、複合フィルムの明度は、該フィルムの両面において測定し、該フィルムの製膜時にガラス基板に接していた面の明度をL1、それと反対の面の明度をL2として示す。また、実施例及び比較例において、粒子状シクロオレフィンコポリマー分散液及び粒子状PTFE分散液中の、GBL又はDMAc 100質量部に対するトルエン含有量も表4に示す。
表4に示されるように、実施例1~6で得られたフィルムは吸水率が低く、比較例1と比べ、耐吸水性に優れていた。