JP7763809B2 - デッキプレート及びデッキ合成スラブ - Google Patents

デッキプレート及びデッキ合成スラブ

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Description

本発明は、デッキプレート及びデッキ合成スラブに関する。
中高層建築物等の床は、デッキプレートとコンクリートとを一体化して形成したデッキ合成スラブにより構築されていることが多い。デッキ合成スラブは、デッキプレートが引張力を負担し、コンクリートが圧縮力を負担する合成構造として、床に作用する荷重を支持している。
デッキプレートは、直下階側にあるため、火災時の熱により耐力が失われると、デッキ合成スラブ構造を構成する材料としての機能が失われる。そこで、梁とデッキ合成スラブの接合部である支点位置を補強して、積載荷重やスパンなどの許容性能の向上、耐火性能の向上を図ったデッキ合成スラブが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2020-41348号公報
上記のようなデッキ合成スラブにおいて、火災時に崩壊しやすい箇所を補強した場合、補強箇所以外の箇所が新たな弱点となり、新たに弱点となった箇所から崩壊を招く恐れがある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、デッキ合成スラブの弱点を解消して崩壊を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る一態様は、支持梁に載置されるデッキプレートと、前記デッキプレートの上面に打設されるコンクリート部と、を備えるデッキ合成スラブであって、デッキ合成スラブの補強領域における前記デッキプレート本体部を露出させるように、前記デッキプレート本体部の下面に設けられた木部を備えることを特徴とする。
また、前記補強領域は、前記デッキプレートが載置される前記支持梁近傍であることが好ましい。
また、前記デッキプレートは、前記支持梁に載置されていない領域における前記デッキプレート本体部の長手方向端部が所定距離だけ露出されていることが好ましい。
また、前記木部は、前記デッキプレート本体部の下面における壁材等の取付位置を除いた位置に設けられていることが好ましい。
また、前記コンクリート部を補強する補強部材を備えることが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明に係る一態様は、デッキ合成スラブに用いられるデッキプレートであって、デッキプレートの下面側に設けられた木部を備え、前記木部は、前記デッキプレートの上面にコンクリートを打設してデッキ合成スラブを構築する際に補
強されるデッキ合成スラブの補強領域におけるデッキプレート本体部を露出させるように設けられていることを特徴とする。
また、前記補強領域は、デッキプレートが載置される支持梁近傍であることが好ましい。
また、前記木部は、意匠仕上げ材から形成されていることが好ましい。
本発明の一態様によれば、デッキ合成スラブの弱点を解消して崩壊を抑制することができる。
デッキ合成スラブの一部を示す斜視図である。 デッキプレートの斜視図である。 デッキ合成スラブを短手方向から見た図である。 デッキ合成スラブを長手方向から見た図である。 木部の厚さと耐火時間との関係を説明する表である。 デッキ合成スラブの補強領域と木部で被覆しない範囲との関係を説明する表である。 デッキ合成スラブの補強領域と木部で被覆しない範囲との関係の一例を説明する表である。 木部を備えていないデッキ合成スラブと、木部を備えたデッキ合成スラブとが加熱された場合におけるデッキ合成スラブのたわみ量を比較したグラフである。 木部を備えていないデッキ合成スラブと、木部を備えたデッキ合成スラブとが加熱された場合におけるデッキ合成スラブの上面の最大温度を比較したグラフである。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
<デッキ合成スラブ>
図1は、デッキ合成スラブの一部を示す斜視図である。図3は、デッキ合成スラブを短手方向から見た図である。図4は、デッキ合成スラブを長手方向から見た図である。
図1、図3、図4に示すように、デッキ合成スラブ1は、例えば、鋼製のデッキプレート10と、コンクリート部60とを備える合成構造であり、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造等の建築物の屋根、屋上又は床に用いられるものである。デッキ合成スラブ1においては、デッキプレート10が引張力に抵抗し、コンクリート部60が圧縮力に抵抗する。これにより、デッキ合成スラブ1は、大きな荷重に耐え、長いスパンにわたってH形鋼等の鋼材から構成された支持梁Bと支持梁Bとの間に架け渡すことができる。デッキ合成スラブ1は、その下面側にデッキプレート10が設けられ、デッキプレート10の上面にコンクリートが打設されて一体的に固化することにより、コンクリート部60が形成されている。したがって、デッキ合成スラブ1を支持梁Bと支持梁Bとの間に架け渡した際には、デッキプレート10の下面が直下階に露出している。なお、支持梁Bは鋼材に限定されず、鉄筋コンクリートや製材・木質材料でもよい。
以下の説明において、デッキプレート10が建築物の支持梁Bと支持梁Bとに架け渡される方向を、デッキプレート10の長手方向(長さ方向)Lとし、長手方向Lに交差して
デッキプレート10が延びる方向を短手方向(幅方向)Wとし、デッキプレート10を支持梁Bに載置する方向を、デッキプレート10の高さ方向Hとする。
(デッキプレート)
図2は、デッキプレートの斜視図である。
図2に示すように、デッキプレート10は、デッキプレート本体部10aと、木部20と、を備えている。
デッキプレート本体部10aは、亜鉛メッキ等の表面処理が施された薄板状の鋼板をロールフォーミング等することによって形成した波形状の鋼板である。なお、デッキプレート本体部10aにはメッキ等の表面処理が施されていなくてもよい。デッキプレート本体部10aは、山部11と、谷部13と、傾斜部15と、を有する。デッキプレート本体部10aは、複数の山部11と谷部13が交互に形成されており、隣接する山部11と谷部13とが傾斜部15によって繋がっている。デッキプレート本体部10aは、それぞれ長手方向Lに延びる山部11及び谷部13が傾斜部15を介して互いに短手方向Wに連続する波形状をなしている。
デッキプレート本体部10aは、例えば、2つの山部11と、1つの谷部13と、2組の一対の傾斜部15とを有しており、短手方向Wに沿った断面において波形に形成されている。なお、デッキプレート10の短手方向Wの寸法によっては、1つのデッキプレート本体部10aに1つの山部11のみが設けられていてもよい。また、1つのデッキプレート10が短手方向Wにおいて他のデッキプレート10と連結された場合、デッキプレート10同士の連結部は、谷部13として機能する。また、デッキプレート10は、長手方向Lの両端部においてエンドクローズ加工が施されていてもよい。
山部11は、支持梁Bと支持梁Bとの間にデッキプレート10が架け渡された状態(以下、「架渡し状態」ともいう)において、支持梁Bに対して上側に位置する平坦に形成された部分であり、長手方向Lに延在する板状の部分である。
山部11は、溝12を有する。溝12は、デッキプレート10の下面側に向けて凹むように形成されている。溝12は、長手方向Lに延在し、溝12が1つの場合には短手方向Wにおいて中央近傍に設けられている。
山部11における溝12により山部11の強度が向上する。溝12は、山部11に1つ形成されている場合に限らず、複数形成されていてもよい。溝12は、長手方向Lに沿って断続して形成されていてもよい。なお、溝12は、形成されていなくてもよい。
谷部13は、山部11に対して平行又は略平行であり、架渡し状態において、支持梁Bに載置される平坦に形成された部分である。谷部13は、長手方向Lに延在する板状の部分である。谷部13は、短手方向Wにおいて山部11とは重ならない。なお、山部11に形成される溝12が谷部13に形成されていてもよい。
谷部13は、凸部14を有する。凸部14は、デッキプレート10の上面側に向けて突出するように形成されている。凸部14は、長手方向Lに延在し、凸部14が1つの場合には短手方向Wにおいて中央近傍に設けられている。
谷部13における凸部14により谷部13の強度が向上する。凸部14は、谷部13に1つ形成されている場合に限らず、複数形成されていてもよい。凸部14は、長手方向Lに沿って断続して形成されていてもよい。なお、凸部14は、形成されていなくてもよい。
傾斜部15は、山部11と谷部13とを繋ぐ部分であり、長手方向Lに延在する板状の部分である。傾斜部15は、短手方向Wにおいて山部11の側縁から斜めに谷部13の側縁に向かって斜めに延びている。傾斜部15は、山部11及び谷部13に対して所定の角度、例えば、鈍角を形成するように傾斜している。なお、山部11に形成される溝12が
傾斜部15に形成されていてもよい。
傾斜部15は、係合部16を有する。係合部16は、傾斜部15の表面からデッキプレート10の上面側に突出するように形成された凸部である。係合部16は、例えば、エンボス加工により形成されており、傾斜部15の延在方向(長手方向L)に沿って所定の間隔をあけて複数設けられている。係合部16により、傾斜部15の強度が高まるとともに、コンクリート部60とデッキプレート10との係合が促進され、デッキ合成スラブ1の合成効果が高まる。係合部16は、長手方向Lに延在していてもよい。
谷部13と傾斜部15との間の移行部には、膨出部17が形成されている。膨出部17は、1つの山部11における一対の傾斜部15において互いに反対側に突出した部分である。すなわち、谷部13を挟んで対向する一対の傾斜部15における膨出部17は、対向するように形成されており、互いに近づく方向に膨出している。膨出部17は、係合部16に対して谷部13側に位置する。膨出部17は、長手方向Lに沿って断続して形成されていてもよい。
膨出部17と谷部13との間の移行部には、溝18が形成されている。溝18は、長手方向Lに沿って延在する係合溝(蟻溝)として形成されている。溝18の短手方向Wに沿った断面は湾曲するように形成されている。溝18は、1つの山部11における一対の傾斜部15において互いに接近する方向に形成されている。すなわち、デッキプレート10の谷部13に連続する一対の傾斜部15において、溝18は、対向するように形成されており、互いに離れる方向に湾曲している。溝18は、長手方向Lに沿って断続して形成されていてもよい。溝18により、コンクリート部60とデッキプレート10との係合が促進され、デッキ合成スラブ1の合成効果が高まる。
デッキプレート10の下面側(デッキプレート本体部10aの下面側)には、木部20が設けられている。木部20は、例えば、板状に形成された木板であり、谷部13の下面側にビス等を用いて固定されている。木部20は製材のみならず、木質材料例えば薬剤処理や樹脂を添加するなどして強度若しくは耐火・難燃性能、又はその両方を向上させた集成材、LVL等の所謂エンジニアードウッドでもよいし、さらにカビや腐朽菌への耐性を向上させたものでもよい。また、デッキプレート本体部10aへの木部20の取り付けについては、ビスに限らず、接着剤やその他の手段により取り付けられていればよく、その取り付け方法は限定されない。また、木部20は、デッキプレート本体部10aの谷部13の下面に直接接触するように取り付けられる場合に限らず、管材や鋼材等の部材を介してデッキプレート本体部10aの谷部13の下面から間隔を空けた状態で木部20が取り付けられていてもよい。つまり、デッキプレート10は、デッキプレート本体部10aの下面側に木部20が何らかの手段で直接的又は間接的に取り付けられていればよい。
木部20は、デッキプレート10を支持梁Bに載置した状態において、支持梁Bの間から直下階に露出するデッキプレート10の下面を覆い、見映えを向上させる意匠仕上げ材である。
木部20は、デッキ合成スラブ1に付加する耐火時間(耐火性能)と当該木部20の炭化速度との積により算出される厚さを有するように形成されている。
図5は、木部20の厚さと耐火時間との関係を説明する表である。
具体的には、図5に示すように、木部20を構成する木材の炭化速度が0.65mm/minで、デッキ合成スラブ1に30分の耐火時間を付加したい場合には、木部20の厚さを0.65mm/min×30min=19.5mmとすればよい。
同様に、図5に示すように、デッキ合成スラブ1に30~60分の耐火時間を付加したい場合には、木部20の厚さを19.5~39.0mmとし、デッキ合成スラブ1に60~120分の耐火時間を付加したい場合には、木部20の厚さを39.0~78.0mm
とし、デッキ合成スラブ1に120~180分の耐火時間を付加したい場合には、木部20の厚さを78.0~117.0mmとすればよい。なお、木材の炭化速度は0.65mmでなくてもよく、炭化速度に応じて木部20の厚さが変動する。
また、デッキ合成スラブ1は、デッキプレート10に何の被覆処理もされておらず、木部20を設けていない無被覆状態でも所定時間の耐火性能を有していてもよい。例えば、デッキ合成スラブ1が無被覆状態で120分の耐火時間(耐火性能)を有している場合、厚さ39mmの木部20をデッキプレート10の下面に設けることで、デッキ合成スラブ1の耐火性能は、デッキ合成スラブ1自身の耐火時間120分と、木部20の耐火時間60分とを足した180分の耐火時間を確保することができる。一方、このデッキプレート10を有するデッキ合成スラブ1を180分の耐火時間としたい場合には、木部20は、デッキ合成スラブ1自身の耐火時間120分を減じて、残りの耐火性能60分に必要な39mmの厚さに形成すればよい。
また、木部20に所定時間の防火性能を付加する不燃処理が施されていてもよい。例えば、木部20を構成する木板に不燃性能(20分の不燃時間を確保)、準不燃性能(10分の不燃時間を確保)、難燃性能(5分の不燃時間を確保)を付加するような処理(例えば、薬液処理など)を施した場合、これらの各不燃時間に炭化速度を乗じた分の厚さだけ木部20を薄くすることができる。
具体的には、デッキ合成スラブ1に耐火時間120分の耐火性能を付加したい場合において、木部20に不燃性能(20分の不燃時間を確保)の処理が施されている場合、木部20は、耐火時間120分から不燃性能の処理分の不燃時間20分を減じた耐火時間100分の厚さ、すなわち、0.65mm/min×100min=65.0mmとすればよい。
このように、木部20はデッキプレート10の下面に設けられているので、火災時には最初に木部20が熱せられることになる。したがって、木部20の炭化速度を考慮してデッキ合成スラブ1に付加したい耐火時間の厚さに形成しておくことで、木部20が燃え尽きるまではデッキプレート本体部10aは熱による影響をほとんど受けることがない。
木部20は、長手方向L及び短手方向Wに沿って、直下階に露出するデッキプレート本体部10aの下面を覆うように設けられており、デッキプレート本体部10aの谷部13に当接した状態でデッキプレート本体部10aに固定されている。したがって、図4に示すように、デッキプレート本体部10aの山部11と木部20との間には隙間が形成され、山部11と傾斜部15と木部20の上面とで囲まれた空間Sが形成されている。この空間Sにより、デッキ合成スラブ1には空気層が形成されるので、遮熱性をより高めることができるようになっている。
なお、木部20は、木材であれば、その材質は問わないが、木材の種類に応じて炭化速度が異なるので、木材の種類に応じて木部20の厚さを調整する必要がある。
このように、火災時の加熱に対して木板が炭化により消失するまでは被覆効果を発揮する性質を利用し、デッキプレート10の下面に木部20を設けることで、デッキプレート10及びデッキ合成スラブ1の耐火性能(非損傷性、遮熱性)を高めることができる。また、木部20を構成する木材の材質に基づく炭化速度とデッキ合成スラブ1に付加したい耐火時間とに基づいて木部20の厚さを決めることができるので、木部20を最適な厚さに構成することができ、耐火性能に過不足が生じることもなく、最適な機能とコストの選択が可能となる。すなわち、木部20を最適な厚さとすることで、木部20を火災の熱で完全に燃焼させることができ、木部20が燃え尽きる前に木部20の加熱が終わることがなく、火災の鎮火後に木部20が燃え草となって燃焼が継続することもない。また、木部20の厚さを調節するだけでデッキ合成スラブ1の耐火性能(耐火時間)を簡単に調節することができる。
木部20は、直下階に露出するデッキプレート本体部10aの下面において、デッキ合成スラブ1の一部の領域においてデッキプレート本体部10aの下面を露出させるようにデッキプレート本体部10aに設けられている。
具体的には、デッキ合成スラブ1は、デッキプレート10が載置される支持梁B近傍で補強されていることが一般的であり、その補強が及ぶ範囲(補強領域)においては、木部20でデッキプレート本体部10aを覆わず、デッキプレート本体部10aの下面を露出させている。例えば、図1、3、4に示すように、木部20は、デッキプレート10の長手方向に沿った端部が支持梁Bから所定距離だけ離れた場所に位置している。すなわち、木部20は、デッキプレート10の長手方向端部近傍において、支持梁Bに載置される領域以外の一部の領域にも設けられておらず、木部20のデッキプレート10の長手方向に沿った端部は、支持梁Bのフランジから間隔をあけて対向した状態となっている。したがって、木部20のデッキプレート10の長手方向に沿った長さは、デッキプレート10が架け渡される支持梁B間の距離よりも短くなるように形成されている。これにより、木部20のデッキプレート10の長手方向に沿った端部から支持梁Bのフランジまでの間においては、デッキプレート本体部10aは木部20に覆われておらず、デッキプレート本体部10aの下面が直下階に露出した状態となっている。
例えば、床を構成するデッキ合成スラブ1の下面(木部20を設けた側)において、間仕切り壁(壁材)や梁の意匠仕上げなど、他の仕上げ部材が取り付けられる領域を補強しておき、当該領域に木部20を設けないようにして、当該領域以外の領域を木部20で覆えばよい。
(コンクリート部)
コンクリート部60は、デッキプレート10に打設されたコンクリートが固化することにより形成されている。コンクリート部60の内部には、デッキ合成スラブ1を補強するための補強部材61が設けられていてもよい。
補強部材61は、例えば、図1、3、4に示すように、支持梁Bのフランジに高さ方向Hに沿って立設するように接合されたスタッド62、コンクリート部60のひび割れを防止する溶接金網63、補強筋(図示せず)、補強鋼板(図示せず)等が挙げられる。
スタッド62は、支持梁Bのフランジ上に短手方向Wに並んでいる。溶接金網63は、デッキプレート10(デッキプレート本体部10a)の上面から高さ方向(上下方向)に間隔をあけて、山部11の面方向に沿うように設けられている。
スタッド62を支持梁Bに設けることにより、デッキプレート10に加えて、スタッド62とコンクリート部60との一体化を増すことができ、支持梁B周囲のデッキ合成スラブ1を補強することができる。
なお、支持梁Bのフランジには、スタッド62がフランジの延在方向に沿って複数設けられているが、スタッド62に限定されず、焼抜き栓溶接等が施されていてもよい。
このような補強部材61により、デッキ合成スラブ1における端部の引抜き耐力等が向上して、支持梁Bへの固定度が向上し、デッキ合成スラブ1の端部におけるひび割れ発生及びひび割れの拡大が抑制できて、積載荷重やスパンなどの許容性能を増強することができる。つまり、スタッド62の周りに発生する応力を分散させて、デッキ合成スラブ1の端部を補強することができるので、耐火性能を向上させることができる。
なお、上記の補強部材61において、スタッド62や支持梁B周辺に配置された補強筋や補強鋼板等はデッキ合成スラブ1の端部(支持梁B近傍)を補強することができ、コンクリート部60内全域にわたって配置された溶接金網63や任意の箇所に設ける補強筋や補強鋼板等は、デッキ合成スラブ1の端部以外(デッキ合成スラブ1の中央部等)を補強することができる。これらの補強部材61によって補強された補強領域には、木部20を設けないことで、当該補強領域に耐火上の弱点をもってくるようにしている。
また、デッキ合成スラブ1の大きさ、耐荷重等に応じて、いずれか一つの補強部材61を用いてデッキ合成スラブ1を補強してもよいし、複数の補強部材61を組み合わせてデ
ッキ合成スラブ1を補強してもよい。
ここで、デッキ合成スラブ1の補強領域に対する木部20でデッキプレート本体部10aの下面を被覆しない範囲について説明する。図6は、デッキ合成スラブ1の補強領域と木部20で被覆しない範囲との関係を説明する表である。図7は、デッキ合成スラブ1の短手方向の長さLxが標準的な長さである3600mmの場合におけるデッキ合成スラブ1の補強領域と木部20で被覆しない範囲との関係を説明する表である。
支持梁B近傍で負曲げが作用する範囲はデッキ合成スラブ1の短手方向の長さLxの1/4である。このとき、負曲げが作用する範囲は3600mm/4=900mmであり、支持梁B近傍では支持梁Bから900mm(簡便に1000mm程度)の範囲に負曲げに対する構造的な補強が施されることが多い。ここで、ひび割れ拡大防止のみを目的とした補強の場合、更に上記の1/2程度、つまり支持梁Bから(Lx/4)/2=3600mm/4/2=450mm(簡便に500mm程度)の範囲に補強が施されることが多い。
よって、図6、7に示すように、デッキ合成スラブ1の支持梁B近傍に補強をしていない場合、支持梁Bのフランジから木部20の端部までの距離(デッキプレート本体部10aの露出長さ)は、0~150mmの範囲とする。
また、デッキ合成スラブ1の支持梁B近傍にコンクリート部60のひび割れ拡大防止補強が行われている場合、デッキ合成スラブ1の短手方向の長さをLxとすると、支持梁Bのフランジから木部20の端部までの距離(デッキプレート本体部10aの露出長さ)は、150~(Lx/4)/2mmの範囲とする。図7に示すように、デッキ合成スラブ1の短手方向の長さLxが3600mmの場合、支持梁Bのフランジから木部20の端部までの距離(デッキプレート本体部10aの露出長さ)は、150~450mm(簡便に150~500mm程度)の範囲となる。
また、デッキ合成スラブ1の支持梁B近傍に負曲げに対する構造的な補強が行われている場合、デッキ合成スラブ1の短手方向の長さをLxとすると、支持梁Bのフランジから木部20の端部までの距離(デッキプレート本体部10aの露出長さ)は、450~(Lx/4)mmの範囲とする。図7に示すように、デッキ合成スラブ1の短手方向の長さLxが3600mmの場合、支持梁Bのフランジから木部20の端部までの距離(デッキプレート本体部10aの露出長さ)は、450~900mm(簡便に500~1000mm程度)の範囲となる。
以上のようなデッキプレート10及びデッキ合成スラブ1によれば、火災時の加熱に対して木材が炭化により消失するまでは被覆効果を発揮する性質を利用し、デッキプレート10の下面に木部20を設けることで、デッキプレート10及びデッキ合成スラブ1の耐火性能(非損傷性、遮熱性)を高めることができる。また、木部20を構成する木材の材質に基づく炭化速度とデッキプレート10に付加したい耐火時間とに基づいて木部20の厚さを決めることができるので、木部20を最適な厚さに構成することができ、耐火性能に過不足が生じることもなく、最適な機能とコストの選択が可能となる。すなわち、木部20を最適な厚さとすることで、木部20を火災の熱で完全に燃焼させることができ、木部20が燃え尽きる前に木部20の加熱が終わることがなく、火災の鎮火後に木部20が燃え草となって燃焼が継続することもない。また、木部20の厚さを調節するだけでデッキ合成スラブ1の耐火性能(耐火時間)を簡単に調節することができる。
一般的に、デッキ合成スラブ1は、中央に比べて支持梁B近傍の補強が容易で一般的なため、補強されていないデッキ合成スラブ1の中央が弱点となる。ここで、デッキプレート10の下面全域に耐火被覆(木部20)を設けると、弱点はデッキ合成スラブ1の中央のままであるが、補強が行われる支持梁B近傍のみ敢えて被覆をしなければ、耐火上の弱点は支持梁B近傍となる。
そこで、デッキ合成スラブ1に施す補強の仕様に応じて、支持梁Bのフランジから所定
の長さだけ木部20を設けずにデッキプレート本体部10aの下面を露出させる。これにより、火災時において、仕上げ部材(化粧材)が焼失すると、支持梁B近傍の木部20がない部分は、デッキプレート本体部10aが集中的に加熱され、座屈が発生しデッキプレート10がコンクリート部60から剥離する。なお、デッキプレート10とコンクリート部60が剥離せず合成効果が保たれているデッキ合成スラブ1において、補強が行われている領域の一部の狭い領域でデッキプレート10をコンクリート部60から剥離させてもデッキ合成スラブ1としての構造強度低下を最小限に抑えることができる。
木部20の消失後は、座屈した当該箇所に熱伸びが集中し、その伸びを吸収できる。すなわち、デッキプレート10がコンクリート部60から剥離して座屈した箇所においては、余計な付加力であるデッキプレート10の熱伸びを、デッキ合成スラブ1へ損傷を与えることなく、吸収することができるので、木部20が設けられていたデッキプレート10の領域では熱伸びは発生せず、広範囲の当該領域は熱伸びによる損傷を受けない。
このように、支持梁B近傍を敢えてデッキ合成スラブ1の弱点としても、支持梁B近傍は補強が行われているため、即座にデッキ合成スラブ1の崩壊に繋がるような弱点とはなり得ない。また、設計条件によっては、補強がなくとも支持梁B近傍が即座に崩壊するようなことは起こり得ない。つまり、支持梁B近傍のデッキプレート本体部10aを敢えて被覆しないことで、支持梁B近傍にデッキプレート10の熱伸びを集中させてデッキプレート10の剥離を誘発することができる。そして、火災が進行し、全ての木部20が燃え尽きた後、通常のデッキ合成スラブと同様にデッキプレート10全面が加熱されるが、その時は既に支持梁B近傍でコンクリート部60から剥離済みのデッキプレート10が熱伸びを吸収するため、デッキ合成スラブ1の広範囲に渡って損傷を与えることはない。
よって、デッキ合成スラブ1によれば、通常のデッキ合成スラブの中央近傍で蓄積されるはずだったデッキプレート10の熱伸びによる損傷を強度の高い支持梁B近傍の熱伸びで解消することができ、デッキ合成スラブ1の耐火性能を格段に向上させることができる。さらに、通常のデッキ合成スラブに施される様々な補強コスト増を、被覆範囲を必要最小限に減らすことで相殺し、減ずることが可能である。
また、木部20は、デッキプレート本体部10aの下面を隠す意匠仕上げ材として機能するので、デッキプレート10に木部20を設けるだけで、デッキ合成スラブ1にデッキプレート10への入熱を遮断する耐火被覆の機能と意匠仕上げの機能とを持たせることができ、デッキプレート10に施す処理を簡略化しつつも、デッキプレート10及びデッキ合成スラブ1の耐火性能の向上、例えば耐火補強筋が必要な場合でもその省略が可能となったり、更に見映えなど複数の機能や性能の向上を図ることができる。
ここで、複数の機能とは例えば面内剪断力の向上であり、デッキプレートやデッキ合成スラブは、地震や風による面内剪断力を負担する機能を有するが、木部20があることでその機能を向上させることができるため、デッキプレートやデッキ合成スラブの構成をそのままに耐力を向上させることができる。一方で木部20がないデッキプレートやデッキ合成スラブと同程度の性能が必要な場合、木部20があることで、デッキプレートやデッキ合成スラブの構成、例えばデッキプレートの高さや板厚、コンクリートのボリュームや強度などを簡略化できたり、スラブのスパンや荷重を増加することができる。
その他の複数の機能とは例えば構造性能の向上であり、デッキプレートの施工時やデッキ合成スラブ、デッキ複合スラブ、デッキ構造スラブの完成時における鉛直荷重の支持機能を、木部20があることで向上させることができる。一方で木部20がないデッキプレートやデッキ合成スラブと同程度の性能が必要な場合、木部20があることで、デッキプレートやデッキ合成スラブの構成、例えばデッキプレートの高さや板厚、コンクリートのボリュームや強度などを簡略化できたり、スラブのスパンや荷重を増加することができる。
また、デッキプレート本体部10aの谷部13に木部20をプレキャストしておくだけで、デッキプレート10の意匠仕上げとデッキ合成スラブ1への耐火性能の付加とを行う
ことができるので、現場でデッキプレート10の上面にコンクリートを打設するだけで床スラブと天井仕上げをまとめて行うことができる。
また、木部20に所定時間の耐火性能を付加する耐火処理を施すことで、求められる耐火性能に必要な木部20の厚さを薄くすることができる。
また、デッキプレート10に所定時間の耐火性能を持たせることで、求められる耐火性能に必要な木部20の厚さを薄くすることができる。
また、デッキプレート本体部10aの下面と木部20との間に空間Sが形成されているので、デッキ合成スラブ1に空気層を形成することができ、遮熱性を高めることでデッキ合成スラブ1の上面側(直上階側)への熱の伝達を抑制することができる。これにより、直上階での可燃物発火温度に到達するまでの時間を長くすることができる。
なお、木部20は木材に限らず、耐火性能や見映えなど複数の機能や性能を向上させる部材、例えば、木毛セメント板や石膏ボードなどのボード類やパネル類、シート類であってもよい。また、木部20が幅方向単位のユニットとなる場合、その幅はデッキプレート10の幅と同じでもよいし、デッキプレート10の幅よりも大きくても小さくてもよい。また、木部20相互の継ぎ目とデッキプレート10相互の嵌合部が一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
<非損傷性の評価>
図8は、木部20を備えていないデッキ合成スラブと、木部20を備えたデッキ合成スラブ1とが加熱された場合におけるデッキ合成スラブのたわみ量を比較したグラフであり、横軸に加熱時間、縦軸にデッキ合成スラブの変位をとって描いたものである。すなわち、図8は、デッキ合成スラブの非損傷性を評価したものである。図8のグラフ中、破線は木部20を備えていないデッキ合成スラブ、実線は木部20を備えたデッキ合成スラブ1である。
図8に示すように、加熱が終了する60分に至るまではどちらのデッキ合成スラブも徐々に変位が大きくなっているが、木部20を備えるデッキ合成スラブ1の方が変位しにくいことがわかる。加熱時、加熱終了後のどの時間においても、木部20を備えたデッキ合成スラブ1の方が、デッキ合成スラブの変位を抑えられていることがわかる。したがって、木部20を備えたデッキ合成スラブ1の方が、火災時において熱の影響でたわみにくく、損傷しにくいことがわかる。
<遮熱性の評価>
図9は、木部20を備えていないデッキ合成スラブと、木部20を備えたデッキ合成スラブ1とが加熱された場合におけるデッキ合成スラブの上面の温度を比較したグラフであり、横軸に加熱時間、縦軸にデッキ合成スラブの上面の温度をとって描いたものである。すなわち、図9は、デッキ合成スラブの遮熱性を評価したものである。図9のグラフ中、破線は木部20を備えていないデッキ合成スラブ、実線は木部20を備えたデッキ合成スラブ1である。
図9に示すように、加熱時間が増えるにつれて、どちらのデッキ合成スラブも上面の温度が上昇していくが、木部20を備えたデッキ合成スラブ1の方が上面の温度が上昇しにくいことがわかる。どの時間においても、木部20を備えたデッキ合成スラブの方が、デッキ合成スラブの上面の温度を抑えられていることがわかる。したがって、木部20を備えたデッキ合成スラブ1の方が、火災時においてデッキ合成スラブの上面の温度が上がりにくく、遮熱性が高いことがわかる。すなわち、木部20を備えることで、火災時に直上階に与える影響が少ないことがわかる。
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に
組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
例えば、デッキ合成スラブ1の中央近傍が補強されているのであれば、中央近傍を木部20で覆わないようにすればよい。要は、デッキ合成スラブ1において、補強されている領域、又は、他より強度が高い領域のみを、補強の仕様に応じて所定範囲だけ木部20で覆わないことで、強度が高い領域を耐火上の弱点とするように構成するとよい。
また、補強の仕様も上記の仕様に限らず、各仕様に応じてデッキプレート本体部10aの下面を木部20で覆わない範囲を設定することができる。
1 デッキ合成スラブ
10 デッキプレート
10a デッキプレート本体部
11 山部
12 溝
13 谷部
14 凸部
15 傾斜部
16 係合部
17 膨出部
18 溝
20 木部
60 コンクリート部
61 補強部材
62 スタッド
63 溶接金網
S 空間

Claims (8)

  1. 支持梁に載置されるデッキプレートと、前記デッキプレートの上面に打設されるコンクリート部と、を備えるデッキ合成スラブであって、
    デッキ合成スラブの補強領域におけるデッキプレート本体部の下面を露出させるように、前記デッキプレート本体部の下面に設けられた木部を備えることを特徴とするデッキ合成スラブ。
  2. 前記補強領域は、前記デッキプレートが載置される前記支持梁近傍であることを特徴とする請求項1に記載のデッキ合成スラブ。
  3. 前記デッキプレートは、前記支持梁に載置されていない領域における前記デッキプレート本体部の長手方向端部が所定距離だけ露出されていることを特徴とする請求項2に記載のデッキ合成スラブ。
  4. 前記木部は、前記デッキプレート本体部の下面における壁材の取付位置を除いた位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のデッキ合成スラブ。
  5. 前記コンクリート部を補強する補強部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のデッキ合成スラブ。
  6. デッキ合成スラブに用いられるデッキプレートであって、
    デッキプレートの下面側に設けられた木部を備え、
    前記木部は、前記デッキプレートの上面にコンクリートを打設してデッキ合成スラブを構築する際に補強されるデッキ合成スラブの補強領域におけるデッキプレート本体部の下面を露出させるように設けられていることを特徴とするデッキプレート。
  7. 前記補強領域は、デッキプレートが載置される支持梁近傍であることを特徴とする請求項6に記載のデッキプレート。
  8. 前記木部は、意匠仕上げ材から形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のデッキプレート。
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